JPH0527389U - 高負荷伝動用ベルト - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 無端状バンドとブロック体のショルダー面で
の磨耗や発熱を阻止し、また無端状バンドの横方向の移
動を規制することによってベルトの寿命を向上させる。 【構成】 ブロック体２の本体６にピラー７を介してヘ
ッド８を形成し、該本体６とヘッド８との間にスロット
部９を設けた複数個のブロック体２を間隙を有する状態
もしくは互いに密接させた状態で並列せしめ、そのスロ
ット部９を通じて無端状バンド３を掛架した高負荷伝動
用ベルト１である。上記無端状バンド３に当接するショ
ルダー面１０は、ブロック体の厚み方向のスリット２４
を複数有し、該無端状バンド３の最内側に設けた突出部
２５がこのスリット２４に嵌合する。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

本考案は高負荷伝動用ベルト、特に自動車を始めとする車輛及び各種機械変速 装置に使用する高負荷伝動用ベルトに関するものである。

【０００２】

【従来の技術】

従来、高負荷伝動用ベルトの動力伝達方式は、通常押し伝動と引張伝動の２つ に分類される。そのうち、押し伝動タイプとしては無端の多層スチールバンドに 複数のブロック体を互いに接触させた状態で取り付け、しかもこれらのブロック 体をスライド可能にした構造であり、例えば米国特許第３、７２０、１１３号明 細書等に開示されている。

【０００３】 この伝動方式は一般にブロック体が無端状バンドと固定された関係になく、無 端状バンド上を摺動可能に配列せしめた構造であり、駆動、従動の両プーリに掛 かったとき、ベルトのゆるみ側にブロック体が集まり、駆動プーリにかかったブ ロック体からベルトのゆるみ側に集まっているブロック体を押して従動プーリを 回すというものである。

【０００４】

【考案が解決しようとする課題】

しかし、こうしたベルトの各ブロック体は無端状バンド上を摺動するので、無 端状バンドとブロック体のショルダー面での磨耗や発熱が大きくなって、無端状 バンドにおける最内層のスチールバンドが切断し易くなる傾向があった。

【０００５】 また、変速によるベルトのミスアライメンによって、ブロック体がプーリに傾 いて進入すると、無端状バンドが横方向に滑って、該バンドの端面がピラー部の 側面またはプーリと接触して摩耗し、無端状バンドが破断することがあった。 本考案はこのような問題点を改善するもので、無端状バンドとブロック体のシ ョルダー面での磨耗や発熱を阻止し、また無端状バンドの横方向の移動を規制す ることによってベルトの寿命を向上させることを目的とする。

【０００６】

【課題を解決するための手段】

本考案の特徴とするところは、ブロック体の本体にピラーを介してヘッドを形 成し、該本体とヘッドとの間にスロット部を設けた複数個のブロック体を間隙を 有する状態もしくは互いに密接させた状態で並列せしめ、そのスロット部を通じ て無端状バンドを掛架した高負荷伝動用ベルトにおいて、上記ブロック体の厚み 方向のスリットを無端状バンドが当接するショルダー面に複数設け、該無端状バ ンドの最内側に設けた突出部をかかるスリットに嵌合可能にした点にある。

【０００７】

【作用】

本考案の高負荷伝動用ベルトでは、無端状バンドが当接するショルダー面に設 けたブロック体の厚み方向のスリットが油溜まり部となって潤滑効果を発揮し、 無端状バンドとショルダー面との摩擦係数を低減させて、摩耗および発熱を最小 限におさえ、無端状バンドの耐久性を向上させる。また、無端状バンドの最内側 に設けた突出部が前記スリットに嵌合するため、無端状バンドは変速によるベル トのミスアライメンが生じても横方向の移動が規制され、ベルトの耐久性を向上 させる。

【０００８】

【実施例】

以下、更に本考案の実施例を添付図面に従って説明する。 図１に示される高負荷伝動用ベルト１は、複数のブロック体２を、無端状バン ド３、例えば多層のスチールバンドに対して摺動可能に配列させることにより構 成されている。もちろん、ブロック体２は互いに密接した状態で配置して無端状 バンド３にプレテンションを付与してもよい。

【０００９】 ここで使用する各ブロック体２は、図２に示されるように、Ｖプーリ壁面４に 当接する傾斜端面５を有する本体６と、ほぼ中央部に位置しているピラー７と、 山形のヘッド８、そして無端状バンド３を掛ける一対のスロット部９とを備えて いる。このスロット部９は無端状バンド３を担持するショルダー面１０を有して いる。

【００１０】 更に、ブロック体ヘッド８のほぼ中心部には円形、楕円形、長方形、正方形等 の貫通穴１２が設けられ、該貫通穴１２とＲ形の上切欠き部１３との間、貫通穴 １２とヘッド頂部１４との間および貫通穴１２と突起部１５との間に油溝１６が 配置されている。

【００１１】 従動プーリの近傍でブロック体の下方より供給された潤滑油は、無端状バンド ３およびピラー両隅部の下切欠き部１７に囲まれた空間に蓄えられて油溜りを形 成し、この部分からピラーの側壁１７と無端状バンドの端面１９との間を経由し て上切欠き部１３へと移動し、そして遠心力によりその近傍に開口した油溝１６ を通りつつヘッド８を潤滑しながら貫通穴１２に蓄積される。 この貫通穴１２よりヘッド頂部１４に設けた油溝１６を通過することにより、 この周辺も潤滑しながらブロック体２外部へと流出することにより、潤滑機能が 有効に発揮される。

【００１２】 本実施例ではヘッド８に設けた貫通穴１２は直径２〜３ｍｍであり、油溝１６ は幅０．４〜０．８ｍｍ、深さ０．２〜０．４ｍｍであり、この程度が潤滑性能 とブロック体の強度からいっても最適で、また潤滑油を貫通穴１２に保持し通常 油溝１６へ供給することが可能になる。ヘッド８を比較的広範囲に潤滑させるた めに油溝１６の径路を長くしてもよい。

【００１３】 また、ブロック体２のピラー７に突起部１５及び同位置の裏面には溝部２２が 配置されている。前記突起部１５と溝部２２を有するブロック体２であれば、ブ ロック体がプーリに進入して傾斜し、最小のプーリ径に変位しても、これらの結 合関係は常時維持され、またブロック体２がプーリから離れるときも、この結合 状態は変わらない。尚、突起部１５及び溝部２２の位置は、ピラー７に限定され ない。

【００１４】 前記本体６の正面は下方に向けてその厚さが徐々に減少するテーパー面２０を 有し、テーパー面の開始位置となる傾斜開始線２１がスロット部９のショルダー 面１０と同一ライン上に位置している。一般にテーパー面２０は、プーリ上を回 転するブロック体がその曲率に応じて進行方向に傾斜することを可能にし、ベル トのピッチラインはブロック体２がプーリ上を回転する際のラインとなり、本体 の厚みが減少し始める傾斜開始線２１になる。

【００１５】 スロット部９の無端状バンド３を担持するショルダー面１０には、ブロック体 ２の厚み方向のスリット２４が幅方向に一定の間隔で設けられている。このスリ ット２４は油溜まり部となって潤滑効果を発揮し、無端状バンド３とブロック体 ２のショルダー面１０との摩擦係数を低減させて、摩耗および発熱を最小限にお さる。しかも、該スリット２４は無端状バンド３の最内側に長手方向に沿って設 けた複数の突出部２５と嵌合し、無端状バンド３の幅方向の移動を規制している 。これにより、無端状バンド３は変速によるベルトのミスアライメンが生じても 横方向の移動が規制され、ベルトの耐久性を向上させる。

【００１６】

【考案の効果】

以上のように本考案の高負荷伝動用ベルトでは、無端状バンドが当接するショ ルダー面にブロック体の厚み方向のスリットを複数設けることにより、このスリ ットに補給された潤滑油が常時無端状バンドの表面を潤滑するために、無端状バ ンドの磨耗や発熱が軽減し、無端状バンドの耐久性が向上する効果がある。しか も、無端状バンドをその最内側に設けた突出部がスリットに嵌合するように配置 することで、無端状バンドの幅方向の移動を規制し、たとえ変速によるベルトの ミスアライメンが生じても横方向の移動を規制して、ベルトの耐久性を向上させ る。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案に係る高負荷伝動用ベルトの縦断面図で
ある。

【図２】図１を裏面から見た図である。

【図３】図１に示す高負荷伝動用ベルトに用いるブロッ
ク体の斜視図である。

【図４】図１に示す高負荷伝動用ベルトに用いる無端状
バンドを最内側から見た部分斜視図である。

【符号の説明】

２ ブロック体 ３ 無端状バンド ６ 本体 ７ ピラー ８ ヘッド １０ ショルダー面 １２ 貫通穴 １５ 突起部 １６ 油溝 ２０ テーパー面 ２１ 傾斜開始線 ２４ スリット ２５ 突出部

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)考案者 益田 孝 神戸市長田区浜添通４丁目１番21号 三ツ 星ベルト株式会社内

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 ブロック体の本体にピラーを介してヘッ
   ドを形成し、該本体とヘッドとの間にスロット部を設け
   た複数個のブロック体を間隙を有する状態もしくは互い
   に密接させた状態で並列せしめ、そのスロット部を通じ
   て無端状バンドを掛架した高負荷伝動用ベルトにおい
   て、上記無端状バンドが当接するショルダー面にブロッ
   ク体の厚み方向のスリットを複数設け、該無端状バンド
   の最内側に設けた突出部をかかるスリットに嵌合可能に
   したことを特徴とする高負荷伝動用ベルト。