JPH05271423A - 変性水添ブロック重合体および同重合体を含む組成物 - Google Patents

変性水添ブロック重合体および同重合体を含む組成物

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JPH05271423A
JPH05271423A JP7083392A JP7083392A JPH05271423A JP H05271423 A JPH05271423 A JP H05271423A JP 7083392 A JP7083392 A JP 7083392A JP 7083392 A JP7083392 A JP 7083392A JP H05271423 A JPH05271423 A JP H05271423A
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polymer
block
copolymer
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rubber
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JP7083392A
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Yoshihiro Otsuka
喜弘 大塚
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Daicel Corp
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Daicel Chemical Industries Ltd
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Publication date
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    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C08ORGANIC MACROMOLECULAR COMPOUNDS; THEIR PREPARATION OR CHEMICAL WORKING-UP; COMPOSITIONS BASED THEREON
    • C08FMACROMOLECULAR COMPOUNDS OBTAINED BY REACTIONS ONLY INVOLVING CARBON-TO-CARBON UNSATURATED BONDS
    • C08F8/00Chemical modification by after-treatment

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  • Polymers & Plastics (AREA)
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  • Compositions Of Macromolecular Compounds (AREA)
  • Other Resins Obtained By Reactions Not Involving Carbon-To-Carbon Unsaturated Bonds (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【目的】他の熱可塑性樹脂との混和性に優れたブタジエ
ン系の水添ブロック共重合体を開発すること。 【構成】「(A) 1,2−ビニル結合含量が20%以下で
あるポリブタジエンブロックセグメント、(B) ポリブタ
ジエンあるいはビニル芳香族化合物/ブタジエン共重合
体であって、ブタジエン部分の1,2−ビニル結合含量
が30〜95%であるブロックセグメントからなり、か
つブロック構造がA−(B−A)または(A−B)
《ただし、nは1以上、mは2以上》で表される直鎖状
あるいは分岐状のブロック重合体のブタジエン部分を9
0%以上水素添加してなるポリスチレン換算重量平均分
子量が3万〜60万の水添ブロック重合体に、ポリラク
トン化合物が0.01〜10モル%付加されたことを特
徴とする変性水添ブロック共重合体」および「上記変性
水添ブロック共重合体と他の熱可塑性樹脂とブレンドさ
れた熱可塑性重合体組成物」 【効果】ラクトンユニットを導入することにより他の熱
可塑性樹脂との混和性に優れたブタジエン系の水添ブロ
ック共重合体を開発することができた。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、自動車の内・外装品、
各種工業部品などに有用な変性水添ブロック重合体およ
びその組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、射出成形が可能なエラストマ−と
して、熱可塑性エラストマ−が注目されており、ポリオ
レフィンとエチレン/プロピレンゴムからなる組成物、
ポリオレフィンとアクリロニトリル/ブタジエン共重合
ゴムからなる組成物などが知られている。しかしなが
ら、これらの組成物は、圧縮永久歪が大きいという欠点
を有しており、エラストマ−としての性能が不充分であ
った。
【0003】一方、スチレンとブタジエンからなるトリ
ブロック共重合体のブタジエンブロックをほぼ完全に水
素添加した水添スチレン/ブタジエントリブロック共重
合体(SEBS)は、優れたエラストマ−性能を有する
熱可塑性エラストマ−として知られており、他の樹脂成
分と組み合わせることにより特徴ある熱可塑性エラスト
マ−組成物を得る試みがなされている。
【0004】しかしながら、SEBSは、ポリスチレン
をブロック成分として有することから、硬度が高く、耐
薬品性に劣るという欠点を有している。また、1,2−
ビニル構造の少ないポリブタジエンセグメントと1,2
−ビニル構造の多いポリブタジエンセグメントからなる
ステレオブロック重合体のブタジエン成分を水素添加し
て得られる水添ステレオブロック重合体は、室温で優れ
たエラストマ−弾性を有する熱可塑性エラストマ−であ
ることが知られている。
【0005】この水添ステレオブロック重合体は、構造
的にはポリエチレン(PE)、エチレンブテン共重合ゴ
ム(EB)からなるものとみなされる熱可塑性エラスト
マ−であるため、柔軟で耐薬品性に優れたものである
(以下「E−EB系TPE」という)。
【0006】しかしながら、このE−EB系TPEは、
単品では高温での力学的強度の低下などの問題があり、
他の重合体成分との組み合わせにより、総合的にバラン
スの取れた組成物を得る試みがなされている。たとえ
ば、特開昭56−30455号公報には、1,2−ビニ
ル構造の少ないポリブタジエンセグメントと1,2−ビ
ニル構造の多いポリブタジエンセグメントからなるジブ
ロック重合体のブタジエン成分を水素添加して得られる
E−EB系TPEと、ポリプロピレン、ポリエチレンな
どとからなる組成物が開示されており、この組成物は高
温での引き裂き強度は改善されているが、耐熱性が不充
分であった。
【0007】すなわち、前記E−EB系TPEは、本質
的に飽和のオレフィン系重合体であるため、ポリオレフ
ィン系樹脂以外の重合体との混和性に乏しく、配合可能
な重合体が限定されるため、充分な改良ができなかっ
た。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、前記従来の
技術的課題を背景になされたもので、E−EB系TPE
に特定の官能基を導入することにより、アロイ化の相手
となる重合体の選択を広げ、工業的に有用な材料を提供
することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明は、(A) 1,2−
ビニル結合含量が20%以下であるポリブタジエンブロ
ックセグメント(以下「ブロックA」という)、(B) ポ
リブタジエンあるいはビニル芳香族化合物−ブタジエン
共重合体であって、ブタジエン部分の1,2−ビニル結
合含量が30〜95%であるブロックセグメント(以下
「ブロックB」という)からなり、かつブロック構造が
A−(B−A)または(A−B)《ただし、nは1
以上、mは2以上》で表される直鎖状あるいは分岐状の
ブロック重合体(以下「ブロック重合体」という)のブ
タジエン部分を90%以上水素添加してなるポリスチレ
ン換算重量平均分子量が3万〜60万の水添ブロック重
合体(以下「水添ブロック重合体」という)に、ポリラ
クトン化合物が0.01〜10モル付加されたことを特
徴とする変性水添ブロック共重合体(以下「変性ブロッ
ク共重合体」という)を提供するものである。
【0010】また、本発明は、(イ)前記変性水添ブロ
ック重合体99〜1重量%、ならびに(ロ)熱可塑性樹
脂および/またはゴム質重合体1〜99重量%、を含有
する熱可塑性重合体組成物(以下「熱可塑性重合体組成
物(I) 」ということがある)を提供するものである。
【0011】本発明に使用される水添ジエン系重合体
は、1,2−ビニル結合含量が20%以下であるポリブ
タジエンブロックセグメント(A) と、ポリブタジエンあ
るいはビニル芳香族化合物−ブタジエン共重合体であっ
て、ブタジエン部分の1,2−ビニル結合含量が30〜
95%であるブロックセグメント(B) からなり、かつブ
ロック構造がA−(B−A)または(A−B)《た
だし、nは1以上、mは2以上》で表される直鎖状ある
いは分岐状のブロック重合体のブタジエン部分を90%
以上水素添加することによって得られるものである。
【0012】前記ブロックAは、水素添加により通常の
低密度ポリエチレン(LDPE)に類似の構造を示す結
晶性のブロックセグメントとなる。
【0013】ブロックA中の1,2−ビニル構造は、通
常、20%以下であるが、好ましくは18%以下、さら
に好ましくは15%以下であることが望ましい。
【0014】ブロックAの1,2−ビニル構造は、通
常、20%以下であるが、好ましくは18%以下、さら
に好ましくは15%以下であることが望ましい。
【0015】ブロックAの1,2−ビニル構造が20%
を超えた場合には、水素添加後の結晶融点の降下が著し
く、得られる変性水添ブロック重合体の力学的性質が劣
るために好ましくない。
【0016】また、ブロックBは、ポリブタジエンある
いはビニル芳香族化合物−ブタジエン共重合体であり、
水素添加によりゴム状のエチレン−ブテン共重合体ある
いはビニル芳香族化合物−エチレン−ブテン共重合体と
類似の構造を示すブロックセグメント−1連鎖に由来す
る結晶構造を示し、樹脂状の性状となり、得られる変性
水添ブロック重合体の力学的性質が劣るために好ましく
ない。
【0017】なお、前記ブロックAおよびブロックBの
比率は、ブロックAが10〜90重量%、好ましくは1
5〜85重量%、ブロックBが90〜10重量%、好ま
しくは85〜15重量%である。
【0018】ブロックAが10重量%未満、ブロックB
が90重量%を超えた場合には、結晶性のブロックセグ
メントが不足し、変性水添ブロック重合体の力学的性質
が劣るために好ましくない。
【0019】また、ブロックAが90重量%を超え、ブ
ロックBが10重量%未満の場合には、変性水添ブロッ
ク重合体の硬度が上昇し、熱可塑性エラストマ−として
不適当になるので好ましくない。
【0020】また、ブロックAおよびブロックBの重量
平均分子量は、通常、5,000以上、好ましくは1
0,000以上、さらに好ましくは15,000以上で
あることが望ましく、5,000未満では変性水添ブロ
ック重合体の力学的性質が劣るために好ましくない。
【0021】ブロック重合体全体のポリスチレン換算重
量平均分子量は、30,000〜600,000、好ま
しくは50,000〜550,000、さらに好ましく
は70,000〜500,000であり、30,000
未満では力学的性質が不足し、一方600,000を超
えると水素添加反応が困難となるので、好ましくない。
本発明における水添ブロック重合体は、ブロックAおよ
びブロックBのブタジエン部分の二重結合の少なくとも
90%、好ましくは95〜100%が水添されて飽和さ
れていることが必要であり、90%未満では耐熱性、耐
候性、耐オゾン性に劣るものとなる。
【0022】本発明における水添ブロック重合体は、ブ
ロックA、ブロックBを有機溶媒中でリビングアニオン
重合し、ブロック重合体を得たのち、さらにこのブロッ
ク重合体を水素添加することによって得られる。
【0023】前記有機溶媒としては、ペンタン、ヘキサ
ン、ヘプタン、オクタン、メチルシクロペンタン、シク
ロヘキサン、ベンゼン、キシレンなどの炭化水素溶媒が
用いられる。重合開始剤である有機アルカリ金属化合物
としては、有機リチウム化合物が好ましい。
【0024】この有機リチウム化合物としては、有機モ
ノリチウム化合物、有機ジリチウム化合物、、有機ポリ
リチウム化合物が用いられる。これらの具体例として
は、エチルリチウム、n−プロピルリチウム、イソプロ
ピルリチウム、n−ブチルリチウム、sec−ブチルリ
チウム、t−ブチルリチウム、ヘキサメチレンジリチウ
ム、ブタジエニルリチウム、イソプレニルジリチウムな
どが挙げられ、単量体100重量部当たり0.02〜
0.2重量部の量で用いられる。
【0025】また、この際、ミクロ構造、すなわち共役
ジエン部分のビニル結合含量の調節剤としてルイス塩
基、例えばエ−テル、アミンなど、具体的にはジエチル
エ−テル、テトラヒドロフラン、プロピルエ−テル、ブ
チルエ−テル、高級エ−テル、またエチレングリコ−ル
ジブチルエ−テル、ジエチレングリコ−ルジメチルエ−
テル、ジエチレングリコ−ルジブチルエ−テル、トリエ
チレングリコ−ルジメチルエ−テルなどのポリエチレン
グリコ−ルのエ−テル誘導体、アミンとしてはテトラメ
チルエチレンジアミン、ピリジン、トリブチルアミンな
どの第3級アミンなどが挙げられ、前記有機溶媒ととも
に用いられる。
【0026】さらに、重合反応は、通常、−30℃〜1
50℃で実施される。
【0027】また、重合は、一定温度にコントロ−ルし
て実施しても、また熱除去をしないで上昇温度下にて実
施してもよい。
【0028】ブロック重合体にする方法は、いかなる方
法でもよいが、一般に前記有機溶媒中で、前記アルカリ
金属化合物などの重合開始剤を用いて、まずブロックA
を重合し、続いてブロックBを重合する。
【0029】このようにして得られるブロック重合体
は、カップリング剤を添加することにより下記一般式 A−(B−A) または(A−B) 《式中、nは1以上、好ましくは2〜4の整数を、また
mは2以上、好ましくは2〜4の整数を示す》で表され
るような、重合体分子鎖が延長または分岐されたブロッ
ク共重合体であってもよい。
【0030】この際のカップリング剤としては、例えば
アジピン酸ジエチル、ジビニルベンゼン、テトラクロロ
ケイ素、ブチルトリクロロケイ素、テトラクロロスズ、
ブチルトリクロロスズ、ジメチルクロロケイ素、テトラ
クロロゲルマニクム、1,2−ジブロムエタン、1,4
−クロルメチルベンゼン、ビス(トリクロルシリル)エ
タン、エポキシ化アマニ油、トリレンジイソシアネ−
ト、1,2,4−ベンゼントリイソシアネ−トなどが挙
げられる。
【0031】このブロック重合体中のビニル芳香族化合
物の結合含量は、各段階における重合時のモノマ−の供
給量で調節され、共役ジエンのビニル結合含量は、前記
ミクロ調節剤の成分を変量することにより調節される。
さらに、重量数平均分子量は、重合開始剤、例えばn−
ブチルリチウムの添加量で調節される。
【0032】本発明で使用されるブロック重合体の製造
方法について、さらに具体的に説明すると、まずブロッ
ク重合体を得るには、例えばsec−ブチルリチウムな
どの有機リチウム化合物を開始剤とし真空下あるいは高
純度窒素気流下、第1段目にベンゼンあるいはシクロヘ
キサンなどの有機溶媒を重合溶媒として1,3−ブタジ
エンを重合することにより、ブロックAとなる低ビニル
ポリブタジエンブロックを重合し、続いてテトラヒドロ
フランあるいはジエチルエ−テルなどのミクロ調整剤お
よび第2段目用の1,3−ブタジエンを添加し、重合完
結後、ジメチルジクロロシランなどのカップリング剤を
計算量添加し、A−Bジブロック重合体をカップリング
することにより、A−B−Aからなるトリブロック重合
体が得られる。
【0033】また、多官能性のカップリング剤を使用す
ることにより、複数のA−Bブロックを枝状に持つ分岐
状マルチブロック重合体が得られる。
【0034】ここで、第1段目終了時に適当量の重合液
をサンプルし、ゲルパ−ミエ−ションクロマトグラフィ
−(GPC)によって測定することにより、ブロックA
の分子量が求められる。同様に、第2段目の終了時のサ
ンプルのGPC測定により得られる分子量値から、第1
段目の分子量を差し引くことにより、第2段目の分子量
が求められる。
【0035】したがって、A−B−Aトリブロック重合
体の場合のブロックBの分子量は、GPC測定から求め
られた第2段目の分子量の2倍となる。
【0036】以上のようにして重合されたブロック重合
体を水素添加することにより、本発明で使用される水添
ブロック重合体が得られる。
【0037】本発明における水添ブロック重合体は、こ
のようにして得られるブロック重合体を、不活性溶媒中
に溶解し、20〜150℃、1〜100kg/cm2
加圧水素下で水素化触媒の存在下で行われる。
【0038】水素化に使用される不活性溶媒としては、
ヘキサン、ヘプタン、シクロヘキサン、ベンゼン、トル
エン、ヘチルベンゼンなどの炭化水素溶媒、またはメチ
ルエチルケトン、酢酸エチル、エチルエ−テル、テトラ
ヒドロフランなどの極性溶媒が挙げられる。
【0039】また、水素化触媒としては、ジシクロペン
タジエニルチタンハライド、有機カルボン酸ニッケル、
有機カルボン酸ニッケルと周期律表第I〜III 族の有機
金属化合物からなる水素化触媒、カ−ボン、シリカ、ケ
イソウ土などで担持されたニッケル、白金、パラジウ
ム、ルテニウム、レニウム、ロジウム金属触媒やコバル
ト、ニッケル、ロジウム、ルテニウム錯体、あるいはリ
チウムアルミニウムハイドライド、p−トルエンスルホ
ニルヒドラジド、さらにはZr−Ti−Fe−V−Cr
合金、Zr−Ti−Nb−Fe−V−Cr合金、LaN
5 合金などの水素貯蔵合金などが挙げられる。
【0040】これらの水素化触媒のうちでも、有機リチ
ウムとコバルトの有機カルボン酸塩からなる触媒、例え
ば、n−ブチルリチウムとコバルトオクテ−トからなる
触媒が好ましい。この場合、Li/Co比(モル比)=
2.0〜2.5/lが適当である。
【0041】本発明における水添ブロック重合体のブタ
ジエン部分の2重結合の水添率は、水素化触媒、水素化
化合物の添加量、または水素添加反応時における水素圧
力、反応時間を変えることにより調節される。
【0042】水素化されたブロック重合体溶液からは、
触媒の残渣を除去し、フェノ−ル系またはアミン系の老
化防止剤を添加し、重合体溶液から水添ブロック重合体
を容易に単離することができる。
【0043】水添ブロック重合体の単離は、例えば重合
体溶液に、アセトンまたはアルコ−ルなどを加えて沈殿
させる方法、重合体溶液を熱湯中に攪拌下、投入し溶媒
を蒸留除去する方法などで行うことができる。
【0044】本発明の変性水添ブロック重合体は、前述
のようにして製造された水添ブロック重合体にポリラク
トンを0.01〜10モル%付加してなるものである。
【0045】本発明の変性水添ブロック重合体を得るに
は、具体的にはラジカル発生剤、例えば有機過酸化物の
存在下に水添ブロック重合体とポリラクトンを含有する
ラジカル重合性単量体とを加熱溶融混合することによっ
て、適当量のポリラクトンを付加させることが可能であ
る。
【0046】この変性水添ブロック重合体中のポリラク
トンの量は、通常水添ブロック重合体を構成する分子に
対して0.01〜10モル%、好ましくは0.1〜8モ
ル%、さらに好ましくは0.15〜5モル%である。
【0047】0.01モル%未満では相溶性が改善され
ず相分離が起こり、機械的強度に劣り、一方10モル%
を超えて付加させても、期待される効果、相溶性などに
及ぼすより以上の効果は期待し難く、特にゲル化などの
副反応をポリラクトン付加反応(グラフト反応)中に起
こしやくなるので好ましくない。
【0048】水添ブロック重合体にポリラクトンを付加
する単量体としては、たとえば、下記一般式(I) 、(II)
で表されるポリラクトン化合物が挙げられる。
【0049】 《Rは水素またはメチル基、nは1〜20の整数》次
に、本発明の熱可塑性重合体組成物は、(イ)前記変性
水添ブロック重合体99〜1重量%、ならびに(ロ)熱
可塑性樹脂および/またはゴム質重合体1〜99重量%
を含有するものである。
【0050】本発明に使用される(ロ)成分中の熱可塑
性樹脂は、加熱により溶融し、任意の形状に成形し得る
ものを総称する。この熱可塑性樹脂の具体例としては、
ポリオレフィン樹脂、ナイロン46、ナイロン6、ナイ
ロン66、などのポリアミド樹脂、ポリエチレンテレフ
タレ−ト、ポリブチレンテレフタレ−トなどのポリエス
テル樹脂、あるいはポリアミドエラストマ−、ポリエス
テルエラストマ−などの結晶性熱可塑性重合体、ABS
樹脂、AES樹脂、AAS樹脂、MBS樹脂などのゴム
変性重合体、アニオン−スチレン共重合体、スチレン−
メチルメタクリレ−ト共重合体、ポリスチレン、ポリメ
チルメタクリレ−ト、ポリカ−ボネ−ト、ポリフェニレ
ンオキサイドなどの非晶性熱可塑性重合体、あるいは炭
素数2〜8のα−モノオレフィンを主たる繰り返し構造
単位とする重合単位に他の重合体がグラフト重合したグ
ラフト重合体、例えばエチレン−プロピレン共重合体に
アクリロニトリル−スチレン共重合体がグラフト重合し
たグラフト重合体、エチレン−ブテン共重合体にアクリ
ロニトリル−スチレン共重合体がグラフト重合したグラ
フト重合体、エチレン−ブテン共重合体にブチルアクリ
レ−ト−メチルメタクリレ−ト共重合体がグラフト重合
したグラフト重合体、エチレン−ブテン共重合体にメチ
ルメタクリレ−ト共重合体がグラフト重合したグラフト
重合体などが挙げられ、特にポリアミド樹脂、ポリエス
テル樹脂、ポリカ−ボネ−ト、ポリアミドエラストマ
−、ポリエステルエラストマ−などは、組成物の耐熱性
を向上させる成分として好ましい。
【0051】これらの熱可塑性樹脂のなかでも、好まし
くは結晶性熱可塑性重合体および炭素数2〜8のα−モ
ノオレフィンを主たる繰り返し構造単位とする重合単位
に他の重合体がグラフト重合したグラフト重合体が挙げ
られる。
【0052】また、(ロ)成分を構成する他方の成分で
あるゴム質重合体とは、天然ゴムおよび合成ゴムを総称
するものである。このゴム質重合体の具体例としては、
スチレン−ブタジエンゴムおよびその水素添加物、イソ
プレンゴム、ニトリルゴムおよびその水素添加物、クロ
ロプレンゴム、ブチルゴム、エチレン/プロピレンゴ
ム、エチレン/プロピレンジエンゴム、エチレン/ブテ
ンゴム、エチレン/ブテンジエンゴム、アクリルゴム、
α,β−不飽和ニトリル/アクリル酸エステル共役ジエ
ン共重合ゴム、塩素化ポリエチレンゴム、フッ素ゴム、
シリコ−ンゴム、ウレタンゴム、エピクロルヒドリンゴ
ム、多硫化ゴム、スチレン/ブタジエンブロック重合体
およびその水素添加物などが代表的なものとして挙げら
れる。
【0053】これらのゴム質重合体のなかでも、好まし
くはスチレン/ブタジエンゴムの水素添加物、ニトリル
ゴムの水素添加物、エチレン/プロピレンゴム、エチレ
ン/プロピレン/ジエンゴム、エチレン/ブテンゴム、
エチレン/ブテンジエンゴム、アクリルゴム、塩素化ポ
リエチレンゴム、フッ素ゴム、シリコ−ンゴム、ウレタ
ンゴム、エピクロルヒドリンゴム、多硫化ゴム、スチレ
ン/ブタジエンブロック重合体の水素添加物、α,β−
不飽和ニトリル/アクリル酸エステル共役ジエン共重合
ゴムなどの、本質的に飽和あるいは不飽和度の小さいゴ
ム、およびこれらに官能基を付与した変性ゴムである。
【0054】本発明の熱可塑性重合体組成物は、前記
(イ)変性水添ブロック重合体と、(ロ)熱可塑性樹脂
および/またはゴム質重合体とを主成分とするが、その
配合割合は、(イ)成分99〜1重量%、好ましくは9
5〜5重量%、さらに好ましくは90〜10重量%、
(ロ)成分1〜99重量%、好ましくは5〜95重量
%、さらに好ましくは10〜90重量%である。
【0055】ここで、(イ)成分が99重量%を超えた
場合には、物性の改良効果が不充分であり、一方1重量
%未満ではエラストマ−としての種々の物性が劣るので
好ましくない。また、(ロ)成分が1重量%未満では
(ロ)成分の添加による物性の改善効果が認められず、
一方99重量%を超えて使用すると熱可塑性エラストマ
−としての特徴を失うことになるので好ましくない。
【0056】本発明に使用される(ロ)成分は、非常に
幅広い範囲のものであるが、その理由は(イ)成分であ
る変性水添ブロック重合体(E−EB系TPE)がゴム
状の極めた柔軟な形態から、樹脂の硬い形態まで幅広く
変化するためである。
【0057】従って、(ロ)成分として、熱可塑性樹脂
を用いるか、ゴム質重合体を用いるか、あるいは両者を
混合して用いるかは、主として(イ)成分の性状と得よ
うとする組成物の目的によるものである。
【0058】より具体的には、通常、(イ)成分中のブ
ロックAが40重量%以下であれば、(イ)成分はゴム
状の柔軟な性状を示すため、(ロ)成分として熱可塑性
樹脂を配合し、バランスのとれた熱可塑性重合体組成物
を得るように設計を行うことが望ましい。
【0059】一方、(イ)成分中のブロックAが60重
量%以上であれば、(イ)成分は比較的樹脂の性質を示
すため、(ロ)成分としてゴム質重合体を配合し、熱可
塑性エラストマ−としての設計を行うことが望ましい。
(イ)成分中のブロックAの含量が40重量%を超え、
60重量%未満であれば、(ロ)成分として熱可塑性樹
脂およびゴム質重合体を併用して総合的にバランスのと
れた熱可塑性エラストマ−として設計することが望まし
い。
【0060】以上の(イ)成分と(ロ)成分の組み合わ
せの内容については、(イ)成分の性状と(ロ)成分で
ある使用される重合体の関係を一般化して述べたもので
あって、本発明の組成物は前記の内容に限定されるもの
ではなく、目的に応じて(ロ)成分の内容を選択するこ
とができる。
【0061】また、(ロ)成分で用いられる重合体は、
複数の熱可塑性樹脂および/または複数のゴム質重合体
を混合して使用してもよい。
【0062】さらに、(ロ)成分として熱可塑性樹脂お
よびゴム質重合体を併用して用いる場合には、それぞれ
を任意の割合で目的とする最終組成物の性能に応じて使
用することができる。
【0063】さらに、本発明では、(イ)成分である水
添ジエン系重合体の固有の性質、すなわち異種高分子間
の相溶化剤として働くという性質を生かして、組成物の
設計を行うこともできる。一般に、ブロック重合体を相
溶化剤として使用する場合には、その添加量は数重量%
程度で充分であることが知られている。
【0064】本発明の(イ)成分の最低使用量が1重量
%であるのは、(イ)成分を相溶化剤として使用するこ
とを考慮しているためである。
【0065】すなわち、(イ)成分を相溶化剤として用
いる場合には、(ロ)成分として熱可塑性樹脂およびゴ
ム質重合体を併用する。
【0066】ここで、(イ)成分が相溶化剤として効果
的に作用するのは、特定の熱可塑性樹脂と特定のゴム質
重合体の組み合わせからなるものが挙げられる。
【0067】この場合、例えば熱可塑性樹脂としては、
ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン−1などの
ポリオレフィン系樹脂、炭素数2〜8のα−モノオレフ
ィンを主たる構成物質とする重合体に他の重合体がグラ
フト重合したグラフト重合体などが挙げられる。
【0068】また、この場合のゴム質重合体としては、
エチレン−プロピレンゴム、エチレン−プロピレン−ジ
エンゴム、エチレン−ブテンゴム、エチレン−ブテン−
ジエンゴムなどのモノオレフィン系共重合ゴム、塩素化
ポリエチレンゴム、スチレン−ブタジエンゴムの水素添
加物、ニトリルゴムの水素添加物、スチレン−ブタジエ
ンブロック重合体の水素添加物などを挙げることができ
る。
【0069】前述の熱可塑性樹脂とゴム質重合体の組み
合わせは、本発明の変性ブロック重合体の基本構造であ
るポリオレフィン構造と類似の構造を有する重合体から
なる組み合わせである。 しかしながら、本発明の変性
ブロック重合体は、官能基を有することから、官能基間
の化学反応を通じて、通常、ポリオレフィン構造を有す
る重合体とは、非相溶であった重合体との相溶化剤とし
て働くものである。本発明の変性ブロック重合体が、相
溶化剤として効果的に働くポリオレフィン系樹脂と非相
溶性の熱可塑性樹脂としては、ナイロン4,6、ナイロ
ン6、ナイロン6,6などのポリアミド樹脂、ポリエチ
レンテレフタレ−ト、ポリブチレンテレフタレ−トなど
のポリエステル樹脂、ポリカ−ボネ−ト、ポリアミドエ
ラストマ−、ポリエステルエラストマ−などが挙げられ
る。
【0070】また、ポリオレフィン系樹脂と非相溶性の
ゴム質重合体としては、アクリルゴム、エピクロルヒド
リンゴム、α,β−不飽和ニトリル/アクリル酸エステ
ル不飽和ジエン共重合ゴム、ウレタンゴムなどを挙げる
ことができる。
【0071】(イ)成分を相溶化剤として使用する場合
でも、前記以外の熱可塑性樹脂および/またはゴム質重
合体が配合されていてもよい。
【0072】本発明の熱可塑性重合体組成物は、前記
(イ)成分と(ロ)成分とを単純に混練りすることによ
って優れた性能を発揮する熱可塑性エラストマ−を得る
ことができるが、特に(ロ)成分としてゴム質重合体を
必須の成分とする場合、あるいは(イ)成分をゴム成分
とし(ロ)成分として熱可塑性樹脂を配合する場合に
は、(イ)成分であるゴム成分および/または(ロ)成
分であるゴム質重合体を架橋する成分の存在下に、構成
される(イ)〜(ロ)成分を剪断変形を与えながら混練
り(加熱溶融混練り)することによって、さらに優れた
性能の組成物(以下「組成物(II)」ということがある)
を得ることができる。
【0073】ここで、使用される架橋剤としては、通常
のゴムの架橋に使用されるもの、例えば「架橋剤ハンド
ブック」(山下晋三、金子東助著、大成社刊)などに記
載のものが使用できる。
【0074】この好ましい架橋剤としては、イオウ、イ
オウ化合物、p−ベンゾキノンジオキシム、p,p´−
ジベンゾイルキノンジオキシム、4,4´−ジチオ−ビ
ス−ジモルホリン、ポリ−p−ジニトロソベンゼン、テ
トラクロロベンゾキノン、アルキルフェノ−ル−ホルム
アルデヒド樹脂、臭素化アルキルフェノ−ル−ホルムア
ルデヒド樹脂などの樹脂加硫剤、アンモニウムベンゾエ
−ト、ビスマレイミド化合物、ジエポキシ化合物、ジカ
ルボン酸化合物、ジオ−ル化合物、ジアミン化合物、ア
ミノ樹脂、有機金属塩、金属アルコキシド、有機金属化
合物、有機過酸化物などが挙げられる。
【0075】これらの架橋剤は、単独であるいは混合し
て使用することができる。また、架橋剤の種類によって
は、他の化合物と組み合わせて使用することによりさら
に効率よく架橋が進行する場合がある。
【0076】特に、イオウあるいはイオウ化合物を架橋
剤として使用する場合には、イオウの架橋反応を促進す
る加硫促進剤、加硫促進助剤、活性剤を併用することが
望ましく、適切な組み合わせ、使用量などは、例えば前
述の文献を活用して決定することができる。
【0077】また、有機過酸化物を架橋剤として用いる
場合には、架橋助剤を併用する方法が好ましい。
【0078】この架橋助剤としては、イオウ、ジペンタ
メチレンチウラムペンタスルフィド、メルカプトベンゾ
シアゾ−ルなどのイオウ化合物、オキシムニトロソ化合
物、エチレングリコ−ルジメタクリレ−ト、アリ−ルメ
タクリレ−ト、トリアリ−ルシアヌレ−ト、ジアリ−ル
フタレ−ト、ポリエチレングリコ−ルジメタクリレ−
ト、ジビニルアジペ−ト、無水マレイン酸、ビスマレイ
ミド化合物、トリメチロ−ルプロパントリメタクリレ−
ト、ジビニルベンゼンなどの単量体類、液状ポリブタジ
エン、液状スチレン−ブタジエン共重合体、ポリ1,2
−ブタジエンなどのポリマ−類が挙げられる。
【0079】使用する架橋剤は、(ロ)成分中のゴム質
重合体の性状を充分に考慮して決定することが望ましい
が、以下の点を留意して決定する必要がある。
【0080】すなわち、本発明で使用される(イ)変性
水添ブロック重合体は、本質的にα−モノオレフィンか
らなるほぼ飽和の重合体であるとみなせる。
【0081】したがって、(ロ)成分中のゴム質重合体
が不飽和度の高いものであるならば、架橋剤として高不
飽和ゴムに有効なもの、例えば通常のイオウ加硫系、樹
脂加硫系などを選択することにより、ゴム質重合体を優
先的に架橋させることができる。 しかしながら、
(ロ)成分中のゴム質重合体が本質的に飽和の重合体、
特にα−モノオレフィンからなる共重合ゴム、あるいは
不飽和度の少ないものである場合には、架橋剤種類およ
び使用量によっては、ゴム質重合体の架橋のみならず、
(イ)変性水添ブロックをも架橋し不溶化してしまう可
能性がある。例えば、有機過酸化物を架橋剤として、多
量に使用した場合には、(イ)成分をも架橋し、得られ
る組成物が不溶化してしまう恐れがある。
【0082】このような場合には、使用する架橋剤の量
を充分に検討することにより解決可能であるが、ゴム質
重合体の架橋度を充分に高くできないという限界があ
る。この根本的な解決方法としては、使用するゴム質重
合体として、官能基、例えばカルボキシ基、酸無水物
基、ヒドロキシ基、エポキシ基、ハロゲン原子、アミノ
基、イソシアネ−ト基、スルホニル基またはスルホネ−
ト基などを含有するものを使用し、該官能基と反応する
成分を架橋剤として使用する方法が挙げられる。この官
能基を含有するゴム質重合体としては、例えば官能基を
有する単量体を共重合する方法、あるいは既知のグラフ
ト反応によってゴム質重合体に導入する方法などが挙げ
られる。この際、架橋剤として使用される成分は、ゴム
質重合体中の官能基と置換反応を行う多官能性の物質で
あり、低分子物質あるいは高分子量物質であってもよ
い。
【0083】具体的には、カルボキシ基を含有するゴム
質重合体は、ジアミノ化合物、ビスオキサゾリン、ジエ
ポキシ化合物、ジオ−ル化合物などによって容易に架橋
することができる。
【0084】また、無水マレイン酸を官能基として持つ
ゴム質重合体は、ジアミノ化合物が架橋剤として有効で
ある。
【0085】さらに、ゴム質重合体が、不飽和結合部分
を含む場合には、ジチ−ル化合物、ビスマレイミドが、
架橋剤として使用できる。
【0086】さらに、ゴム質重合体として、アクリルゴ
ムあるいはアクリル酸エステルを主たる構成成分とする
ものを使用する場合には、ジアミノ化合物が有効であ
る。
【0087】さらに、塩素化ポリエチレンなどの塩素化
された重合体をゴム質重合体として使用する場合には、
ジチオ−ル化合物が架橋剤として効果的である。
【0088】なお、ゴム質重合体に付与される官能基
は、(イ)成分に導入される官能基と同じものでもよ
い。この場合、架橋剤として使用される多官能性物質に
より、(イ)成分の架橋も起こり得る。
【0089】しかしながら、この場合、(イ)成分中の
の官能基を減少させたり、変性水添ブロック重合体のベ
−スとなる水添ブロック重合体を適当量混合するなどの
方法を用いることによって解決できる。
【0090】このようにして得られる重合体組成物(II)
は、架橋されたゴム質重合体に、適当量の(イ)成分が
グラフトした構造を与える。このような構造物は、しば
しば最も優れた力学的性質を示すものであり、本発明の
組成物としては好ましいものの一つである。
【0091】これらの架橋剤の使用量は、目的とする最
終組成物に要求される性能によって適宜定めることがで
きる。適切な架橋系の選択および使用量は、前述の文献
などを参考として決定することが望ましい。通常は、ゴ
ム質重合体100重量部に対して架橋剤0.1〜8重量
部、加硫促進剤0.1〜10重量部、加硫促進助剤0.
5〜10重量部、活性剤0.5〜10重量部、架橋助剤
0.1〜10重量部の範囲で適宜使用される。
【0092】一方、(イ)成分をゴム成分(分散相)と
して使用し、架橋可能な成分として(イ)成分のみ、あ
るいはこれとゴム質重合体が併用される場合には、架橋
剤としては有機過酸化物と架橋助剤からなる系が好まし
い。
【0093】この有機過酸化物としては、その1分間半
減期温度が150℃以上であるものがこのましく、例え
ば2,5−ジ−メチル−2,5−ジ−ベンゾイル−パ−
オキシヘキサン、n−ブチル−4,4−ジ−t−ブチル
パ−オキシバレレ−ト、ジクミルパ−オキサイド、t−
ブチルパ−オキシベンゾエ−ト、ジ−t−ブチルパ−オ
キシ−ジ−イソプロピルベンゼン、t−ブチルクミルパ
−オキサイド、2,5−ジ−メチル−2,5−ジ−t−
ブチルパ−オキシヘキサン、ジ−t−ブチルパ−オキサ
イド、2,5−ジ−メチル−2,5−ジ−t−ブチルパ
−オキシヘキシン−3などが好ましい例である。
【0094】また、使用する架橋助剤は、ラジカル重合
性の単量体、あるいはラジカル架橋性の重合体が好まし
い。この架橋助剤としては、ジビニルベンゼン、ビスマ
レイミド、トリメチロ−ルプロパントリアクリレ−ト、
トリメチロ−ルプロパンメタクリレ−ト、ペンタエリス
リト−ルトリアクリレ−ト、アルミニウムアクリレ−
ト、アルミニウムメタクリレ−ト、亜鉛メタクリレ−
ト、亜鉛アクリレ−ト、マグネシウムアクリレ−ト、ア
グネシウムメタクリレ−ト、トリアリルイソシアヌレ−
ト、トリアリルシアヌレ−ト、トリアリルトリメリテ−
ト、ジアリルフタレ−ト、ジアリルクロレンデ−ト、液
状ポリブタジエン、液状ポリ1,2−ブタジエンなどが
好ましい例である。
【0095】有機過酸化物および架橋助剤の使用量は、
組成物中の(イ)成分あるいは(イ)成分と他のゴム質
重合体の合計100重量部に対して、有機過酸化物の酸
素量が0.001〜0.1モルになるように算出して添
加することが好ましく、0.001モル未満では充分な
架橋がかからないので好ましくなく、一方0.1モルを
超えて使用してもより以上の架橋は期待できず、経済的
でないうえ、他の好ましくない副反応、例えば重合体の
分解などを起こしやすいので好ましくない。
【0096】また、使用する架橋助剤の使用量は、架橋
助剤中の不飽和二重結合量が、添加した有機過酸化物中
の活性酸素量の1/4〜40倍当量になるように選択し
て使用することが望ましい。1/4倍当量未満では、架
橋助剤を添加したことによる架橋効率の向上という点か
らあまり期待できず、充分な架橋がかからないので好ま
しくなく、一方40倍当量を超えて使用してもより以上
の架橋は期待できず、経済的でない。
【0097】以上の本発明の(イ)成分および(ロ)成
分を含有する熱可塑性重合体組成物は、通常の混練り装
置、例えばラバ−ミル、ブラベンダ−ミキサ−、バンバ
リ−ミキサ−、加圧ニ−ダ−、二軸押し出し機などが使
用できるが、密閉式あるいは開放式であっても、不活性
ガスによって置換できるタイプが好ましい。
【0098】なお、混練り温度は、混合する成分がすべ
て溶融する温度であり、通常、140〜300℃、好ま
しくは160〜280℃の範囲であることが望ましい。
また、混練り時間は、構成成分の種類、量および混練り
装置に依存するため一概に論じられないが、加圧ニ−ダ
−、バンバリ−ミキサ−などを混練り装置として使用す
る場合には、通常、約5〜40分程度である。
【0099】さらに、混練りするにあたり、各成分を一
括混練りしてもよく、また任意の成分を混練りしたの
ち、残りの成分を添加し混練りする多段分割混練り法を
とることもできる。
【0100】本発明の熱可塑性重合体組成物には、必要
に応じて各種添加剤、例えば老化防止剤、熱安定剤、紫
外線吸収剤、シリカ、タルク、カ−ボンなどの無機物充
填剤、可塑剤、オイルなどの軟化剤を配合して使用する
ことができる。
【0101】[実施例]以下、実施例を挙げ、本発明を
さらに詳細に説明するが、本発明の主旨を越えない限
り、本発明は、かかる実施例により限定されるものでは
ない。
【0102】なお、実施例中において、部および%は、
特に断らない限り重量基準である。 実施例1〜3(変性水添ブロック重合体の調整) 表に示す配合処方に従い、200℃に温度調整されたブ
ラベンダ−に水添ブロック重合体を投入し、溶融後、ポ
リラクトン化合物と有機過酸化物とを添加し、80r.
p.m.で約10分間混合し、ポリラクトン化合物が付
加した変性水添ブロック重合体を得た。
【0103】この混合物を排出し、熱ロ−ルでシ−ト化
したのち、プレス成形して、一辺10cmの正方形の板
とし、ダンベルカッタ−で切り抜いて測定用の試験片と
した。 なお、物性の評価試験は、JIS K6301
に準じて行った。
【0104】実施例4〜10および比較例1〜8 (変性水添ブロック重合体または熱可塑性重合体組成物
の調整)表−4に示す配合処方に従い、200℃に温度
調整されたブラベンダ−に、変性水添ブロック重合体単
独、(イ)変性水添ブロック重合体ならびに(ロ)熱可
塑性樹脂および/またはゴム質重合体、あるいは水添ブ
ロック重合体単独を添加し、80r.p.m.で約15
分間混合した。この混合物を排出し、熱ロ−ルでシ−ト
化したのち、プレス成形して、一辺10cmの正方形の
板とし、ダンベルカッタ−で切り抜いて測定用の試験片
とした。
【0105】なお、架橋剤を添加する場合には、(イ)
成分および(ロ)成分が完全に溶融したのを確認したの
ち、添加した。架橋剤は、添加後、80r.p.m.で
混合を続行し、約15分間おこなった。
【0106】なお、物性の評価試験はJIS K630
1に準じて行った。実施例1〜10および比較例1〜8に
おける配合処方および物性測定結果を表−1〜表−5に
示す。 実施例1〜3は変性水添ブロック重合体の製造
例、実施例4〜10は本発明の熱可塑性重合体組成物の製
造例であり、いずれも物性値が優れている。
【0107】 表−1 実施例 1 2 3 (イ)成分調整時の 仕込み組成(部) 水添ブロック重合体 種類 B−1 B−2 B−1 量 100 100 100 ポリラクトン化合物 種類 FM-2 FM-2 FA-2 量 3 3 3 有機過酸化合物 種類 t-BPO t-BPO t-BPO 量 0.2 0.2 0.2 表−2 実施例 4 5 6 7 8 9 10 組成物配合処方(部) (イ)成分 実1 実1 実2 実3 実1 実1 実1 種類 60 30 60 60 60 60 60 (ロ)成 分 熱可塑性樹脂 種類 PA6 PA6 PA6 PA6 PBT TPAE TPEE 量 40 30 40 40 40 40 40 ゴム質重合体 EPDM 種類 40 上記表中(イ)成分における記載たとえば、「実1」と
いうのは実施例1において得られたラクトン化合物変性
水添ブロック重合体のことである。
【0108】 表−3 実施例 1 2 3 4 5 物性 引張強度(Kg/cm2 ) 170 150 170 250 200 破断伸び(%) 980 970 980 460 450 100%伸長時 8 8 8 17 25 永久伸び(%) 硬さ(JIS A) 76 75 76 93 87 80℃での引張強度保持率 36 35 36 70 65 (%) 実施例 6 7 8 9 10 物性 引張強度 240 250 310 180 150 (Kg/cm2 ) 破断伸び 450 460 450 760 800 (%) 100%伸長時 16 17 28 17 13 永久伸び (%) 硬さ 90 91 100 87 82 (JIS A) 80℃での引張強度 65 65 70 70 70 保持率 (%) 表−4 比較例 1 2 3 4 5 6 7 8 (イ)成分調整時の仕込み組成(部) 水添ブロック重合体 種類 B−1 B−1 B−3 − B−1 B−2 B−3 SEBS 量 60 70 5 − 100 100 100 100 組成物配合処方(部) (イ)成分 SEBS 種類 60 (ロ)成分 熱可塑性樹脂 種類 PA6 PBT PA6 PA6 量 40 30 50 40 ゴム質重合体 種類 EPDM 量 45 表−5 比較例 1 2 3 4 5 6 7 8 物性 245 250 185 310 225 160 60 310 40 35 30 430 1110 1100 1120 460 測 定 で き ず 22 10 8 6 7 94 100 90 100 85 74 65 84 12 10 10 64 38 28 18 37 上記表中の〜は以下の各物性を示す。
【0109】引張強度(Kg/cm2 ) 破断伸び(%) 100%伸長時永久伸び(%) 硬さ(JIS A) 80℃での引張強度保持率(%)これに対し、比較例
1〜3は、(イ)成分として未変性の水添ブロック重合
体を用いた組成物例であり、破断伸びが悪く、実用に適
したものではない。
【0110】また、比較例4は、水添スチレン−ブタジ
エン−スチレンブロック重合体に無水マレイン酸を3%
付加したものを使用した例であり、力学的性質はほぼ同
等であったが、溶融粘度が高く、加工性に劣るものであ
った。
【0111】さらに、比較例5〜7は、変性前の水添ブ
ロック重合体そのものの例である。力学的強度などの物
性は、変性されたものを使用した実施例とほとんど同じ
であるが、ポリオレフィンを除く重合体との相溶性に劣
り、有用な組成物がえられないことは、比較例1〜3に
示したとおりである。
【0112】さらに、比較例8は、比較例4で使用した
無水マレイン酸で変性したSEBSそのものの例であ
る。この比較例8は物性的には本発明の変性水添ブロッ
ク重合体とほぼ同等であるが、SEBS系の欠点とし
て、溶融粘度が高く、加工性に劣ることは比較例4に示
したとおりである。
【0113】 ブロックA中の ブロックB中の 1,2−ビニル 1,2−ビニル 数平均分子量 水添率 結合含量(%) 結合含量(%) A/B/A(×103 ) (%) B−1 11 46 30/140/30 98B−2 13 79 60/120/60 98 なお、前記表1に記載されているラクトン化合物は以下
の構造を有するものである。
【0114】 《上記式中のnは約2である》 なお、表中の略号は以
下の通りである。
【0115】t−BPO ジ−t−ブチルパ−オキサ
イド PA6 ナイロン6(宇部興産製) PBT ポリブチレンテレフタレ−ト(東レPB
T 1401−X06) TPEE ポリエステルエラストマ−(PIBIF
LEX 46CM、Dutral社) TPAE ポリアミドエラストマ−(グリラックス
A−250、大日本インキ製) 樹脂加硫剤 アルキルフェノ−ル=ホルムアルデヒド
樹脂 TAC トリアリ−ルイソシアネ−ト BMI ビスマレイミド EPDM エチレン−プロピレン系ゴム(JSR
EP57P、日本合成ゴム製) SEBS 無水マレイン酸を3%グラフトした変性
SEBS(クレイトンG1650、シェル製)
【0116】
【発明の効果】本発明の変性水添ブロック重合体は、オ
レフィン構造でありながら、ポリアミド、ポリエステル
などとの相溶性に極めて優れている。
【0117】特に、この変性水添ブロック重合体の熱可
塑性エラストマ−としての性能を活用した本発明の熱可
塑性重合体組成物は、従来にない組成物であり、その具
体的用途として、自動車車両部品としては内装表皮材、
ラックアンドピニオンブ−ツ、ベロ−ズ、バキュ−ムコ
ネクタ−、チュ−ブ、サイドモ−ル、ヘッドレスト、レ
ギュレ−タ−、ア−ムレスト、シフトレバ−ブ−ツ、ウ
ェザ−ストリップ、エアスポイラ−、サスペンションブ
−ツ、ベルトカバ−、ホイルカバ−、ノブ類、バンパ
−、サイトシ−ルド、バンパ−モ−ルなど、工業部品と
しては、油圧ホ−ス、エアチュ−ブ、ゴムホ−ス、アウ
トカバ−、各種ガスケット、コンテナ、O−リング、パ
ッキング材など、また各種カラ−タイル、床材、家具、
家電表皮材、電動防止材、スポ−ツ用品、特にグリップ
表皮材などに使用できる。

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】(A) 1,2−ビニル結合含量が20%以下
    であるポリブタジエンブロックセグメント、(B) ポリブ
    タジエンあるいはビニル芳香族化合物/ブタジエン共重
    合体であって、ブタジエン部分の1,2−ビニル結合含
    量が30〜95%であるブロックセグメントからなり、
    かつブロック構造がA−(B−A)または(A−B)
    《ただし、nは1以上、mは2以上》で表される直鎖
    状あるいは分岐状のブロック重合体のブタジエン部分を
    90%以上水素添加してなるポリスチレン換算重量平均
    分子量が3万〜60万の水添ブロック重合体に、ポリラ
    クトン化合物が0.01〜10モル%付加されたことを
    特徴とする変性水添ブロック共重合体。
  2. 【請求項2】 ポリラクトンがポリカプロラクトンであ
    る請求項1に記載れた変性水添ブロック共重合体。
  3. 【請求項3】(イ)(A) 1,2−ビニル結合含量が20
    %以下であるポリブタジエンブロックセグメント、(B)
    ポリブタジエンあるいはビニル芳香族化合物−ブタジエ
    ン共重合体であって、ブタジエン部分の1,2−ビニル
    結合含量が30〜95%であるブロックセグメントから
    なり、かつブロック構造がA−(B−A)または(A
    −B)《ただし、nは1以上、mは2以上》で表され
    る直鎖状あるいは分岐状のブロック重合体のブタジエン
    部分を90%以上水素添加してなるポリスチレン換算重
    量平均分子量が3万〜60万の水添ブロック重合体に、
    ポリラクトン化合物が0.01〜10モル%付加された
    変性水添ブロック共重合体99〜1重量%および (ロ)熱可塑性樹脂および/またはゴム質量合体1〜9
    9重量%を含有することを特徴とする熱可塑性重合体組
    成物。
  4. 【請求項4】 ポリラクトンがポリカプロラクトンであ
    る請求項3に記載れた熱可塑性重合体組成物。
JP7083392A 1992-03-27 1992-03-27 変性水添ブロック重合体および同重合体を含む組成物 Pending JPH05271423A (ja)

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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2017528542A (ja) * 2014-07-01 2017-09-28 ビーエーエスエフ コーティングス ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツングBASF Coatings GmbH 反応生成物、および前記反応生成物を含む顔料入りベースコート材料

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JP2017528542A (ja) * 2014-07-01 2017-09-28 ビーエーエスエフ コーティングス ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツングBASF Coatings GmbH 反応生成物、および前記反応生成物を含む顔料入りベースコート材料

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