JPH0527084Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 この考案は方形断面を有する棚の後方部分にそ
の前後方向に広がつて該棚を片持ち梁のように支
持する棚の支持機構に関する。この種の棚の支持
機構は、該棚の後方部分を下から受ける支持部材
と、該棚の後方部分を上から抑えるための保持部
材、及び上記支持部材と上記保持部材を連結して
支持機構全体を垂直壁に固定して該垂直壁に棚を
懸架する連結部材とを有している。

〔従来の技術〕

この種の棚の支持機構としては、従来、米国特
許4508301号公報に開示されたものがあり、この
従来のものでは、厚さの薄い棚を保持するため、
保持部材の下に、強固な差し込みが設けられてい
る。しかし、完全に強固な材料というものはない
から、上記従来技術の支持機構や本考案の例で
は、保持部材や連結部材は弾性変形を受ける。と
は云つても、一般的な意味においては、上記支持
部材、保持部材及び連結部材は強固である。

〔考案が解決しようとする問題点〕

上記従来例の棚支持機構は、ガラス製の棚を支
持する場合にいくつかの問題がある。と云うの
も、棚を挿入するのに加える力によつて該ガラス
を破砕もしくは破断する恐れがあるからである。

また、米国特許2477771号公報には、片持ち梁
型ではなく、棚の後方部分に広がるタイプではな
い棚の支持機構が開示されている。ガラス製の棚
の支持及びクランプ上の問題は、ガラス製の棚の
両端に通常の棚ブラケツトを用いることにより解
決されるが、棚の後方部分の上面に係合してクラ
ンプする弾性指状突起を用いる場合は、ガラス製
棚が差し込みに押し込まれるに従つて棚が浮き上
がり、弾性指状突起を上方へ押すようになる。こ
の構成は加工・組立が難しくなり、この指状突起
を巾のある棚支持機構に用いた場合には問題が起
こる。該指状突起は、上方フランジを有する形状
を有し、ガラス製棚を困難なく充分に押し込み得
る程度に、その弾性を充分に低くしなくてはなら
ないからである。

本考案者等は、本考案を為す以前に、支持部材
の前部が、その上面に、可撓性を有する差し込み
を保持する溝を有し、上側支持表面の前端に円弧
をなす膨出部が形成されている棚支持機構を知つ
ているが、この棚支持機構は例えば厚さ15mm程度
の通常の棚用であつて、ガラス製棚用ではなく、
上記差し込みは棚の挿入に必要な力を軽減するも
のではない。

この考案は上記従来の問題を解消するためにな
されたもので、棚を、棚受け溝もしくは間隙に、
大きな挿入力を要することなく、かつ、円滑に挿
入して該棚を正しい姿勢で支持させることができ
る棚支持機構を提供することを目的とする。

〔問題点を解決するための手段〕

この考案は上記目的を達成するため、棚の後方
部分を受ける支持部材、上記棚の上記後方部分の
上部を押えるための保持部材、上記支持部材と上
記保持部材を連結するとともに上記支持部材より
下方に延びて上記支持部材に対する突つ張りを与
える連結部材を有し、上記保持部材が該保持部材
の下面に沿つて延び上記棚の後方部分上面に係合
する弾性変形可能な部材を保持し、該部材が下向
きに突出する少なくとも前方及び後方の隆起部が
形成された主部を備え、上記支持部材と上記保持
部材とが棚を片持ち状に保持する溝もしくは間隙
を画成してなる構成としたものである。

〔作用〕

この考案では、保持部材が、棚の上表面に係合
するき隆起部を有する弾性変形可能な部材を備え
ているので、棚の挿入時には、該隆起部が弾性変
形して棚の挿入を容易にし、挿入後は、該隆起部
が棚を正しい姿勢に維持する作用を行う。

〔実施例〕

以下、この考案の一実施例を図面を参照して説
明する。

第１図及び第２図に示す棚支持機構は、棚２の
後部が載置される剛体の支持部材１、棚２の後部
の上面を保持する剛体の保持部材３、及び支持部
材１と保持部材３とを相互に連結して図示しない
垂直壁に支持機構を固定するのに役立つ剛体の板
状部材４を有している。支持部材１と保持部材３
とは、両者間に棚受け溝もしくは間隙（スロツ
ト）を画成しており、該棚受け溝は、少なくとも
棚２の下面が保持部材３の下面に平行するという
意味において、溝面が平行している。連結部材４
はねじ孔を有する狭巾の溝５と、円錐状頭部５ｂ
を有するねじ５ａに対する嵌合面となる傾斜面も
しくは肩部６を有しており、下側肩部６は棚２の
後方移動を制限して棚２がねじ５ａの頭部５ｂに
衝突しないように、かつ、棚２の後部の上隅部が
硬質部材にもたれかからないようにしている。支
持部材１は棚支持機構の後部（例えば、垂直壁）
から保持部材３のほぼ２倍分だけ前方に伸びてい
る。例えば、保持部材３の前方に向く長さは支持
部材１のほぼ1/2である。支持部材１は棚２の小
巾部分、例えば、棚２の巾の1/5程度とだけ係合
する。

支持部材１は、通常、米国特許4508301号公報
や、英国特許2053666B公報に記載されているよ
うな広巾構造を有している。連結部材４は支持部
材１の棚係合面の下方に伸び、支持部材１の前後
方向長さとほぼ同じ長さの後方部１ａを有してい
る。この実施例では、傾斜支柱（筋かい）１ｂが
設けられているが、他の形状の突つ張り構造を用
いても良い。

支持部材１はその支持表面に、米国特許
4508301号公報に示されている如き他の棚にも適
用できるように凹み７を有している。この凹み７
の有無にかかわらず、棚２はその前縁部を持上げ
て、即ち、棚２の後部側を下方かつ後方に傾斜さ
せて挿入することが望ましい。

保持部材３は、頂部から前方かつ下方に傾斜し
た第１部材８を有し、該頂部の後端は垂直壁に当
接して突つ張り作用を与えるようになつており、
更に、後方かつ下方に傾斜した第２部分９、第１
部分８の下端から後方に伸びる水平リツプもしく
は戻り部１０、及び第２部分９の下端から前方に
伸びる水平リツプ１１を有している。リツプ１０
と１１は両者間に弾性変形可能な部材もしくはス
トリツプ１２の一部を受け入れて保持する孔もし
くは隙間を形成している。

ストリツプ１２は、第２図に拡大して示してあ
る。該ストリツプ１２は、良好な押出し特性を有
する軟らかい弾性物質で形成するのが好ましい
が、その材質は、特に限定されるものではない。
１例を挙げれば、商品名「Welvic」（gradeG6／
344もしくはG6／942）で市販されているICI可撓
性PVCを使用する。硬度（Shore of hardness）
は50〜80範囲が好ましい。

上記ストリツプ１２は前後両側が平行する主部
１３、該主部１３の下面から隆起する前方、中央
部及び後方の隆起部１４，１５及び１６、上記主
部１３の上面から突出する上方突出部１７を有し
ている。上記隆起部１４，１５及び１６は実質的
に主部１３より狭巾（前後方向巾）で、それぞれ
の巾が段々に、即ち、前方隆起部１４は中央隆起
部１５より、また、中央隆起部１５は後方隆起部
１６より、それぞれ広巾となつている。主部１３
の下面の隆起部１４，１５及び１６に隣接する隆
起部間部分は平面（フラツト）であつて、ほぼ隣
接する隆起部に等しい距離を有している。各隆起
部１４，１５，１６の巾は少なくとも、その深さ
（高さ）の２倍程度、、好ましくは、２〜2.5倍も
しくは4.5〜５倍とする。もし、主部１３が10.5
mm巾を有していれば、隆起部１４，１５，１６の
巾は、例えば、それぞれ2.5mm、２mm、1.5mmとす
る。加うるに、中央隆起部１５は後方隆起部１６
に対してよりも前方隆起部１４に近接しており、
例えば、隆起部１４と１５間の間隔は1.5mm、隆
起部１５と１６間の間隔は２mmである。各隆起部
１４，１５，１６は主部１３の高さの1/4以下の
高さ、好ましくは、主部１３の高さの2.5分の１
の高さを有している。例えば、主部１３の高さが
1.5mmの場合、隆起部は0.6mmの高さとする。隆起
部１４，１５，１６が比較的低くて巾広であるた
め、棚２を容易に挿入することが可能で、棚２に
対して良好な保持力を与えることができる。各隆
起部１４，１５，１６は、下表面側へ向つて円弧
をなす前表面および垂直の後表面を有しており、
この形状を有することにより、棚２の挿入は容易
であるが、棚２を外れ難くしている。棚２を外す
場合、突起１４，１５，１６が曲げを与えること
はない。前方隆起部１４は保持部材３の前部下に
位置し、若干前方へ突出する。中央隆起部１５は
上方突出部１７の中心線より前方にある。後方隆
起部１６は主部１３の後端より若干前方にある。
上方突出部１７は、棚２の挿入により主部１３に
対する揺動作用が減衰する位置にある。上方突出
部１７の後部は後方隆起部１６の前部とほぼ同一
垂直面内にある。

上記上方突出部１７はリツプ１０，１１間の孔
もしくは間隙（スロツト）に比較的緩く嵌合して
おり、前方突出フランジ１８及び後方突出フラン
ジ１９を有している。これらのフランジはリツプ
１０，１１の上方に広がつている。前方フランジ
１８は下向きに折曲するリツプ２０を有し、この
リツプ２０をリツプ１０の上面に係合するとによ
り、棚２を上記棚受け溝もしくは間隙に挿入する
際に、ストリツプ１２が、該棚２により弾性変形
するように位置決めされている。第１部分８及び
第２部分９はリツプ１０，１１間のスロツト上方
に、断面積が上方突出部１７の断面積より大きい
閉鎖空間を形成しており、このため、上方突出部
１７は、点線で示す如く、上方への変形が可能と
なる。これは棚２に対してより大きな耐力を与え
る。もし、棚２が一層厚くなつた場合、主部１３
はリツプ１０，１１間の間隙に一層押し上げられ
るかたちとなる。上方突出部１７は変形を容易に
するためのボイド状空間２１を有している。

第２図は、棚２を挿入した時のストリツプ１２
の姿勢を鎖線で示している。棚２は摩擦により保
持されており、片持ち梁のように前方へ突出して
いる。注目すべきは、棚２が、その挿入を助ける
円弧状の後縁を有している点であり、これは、通
常、ガラス製の棚には設けられている。棚２は、
例えば、６mm（又は、6.35mm、1/4インチ）±0.25
mmの正規の厚さを有し、支持部材１と保持部材３
間のギヤツプが８mm（又は、8.35mm）であり、主
部１３と隆起部１４，１５，１６の高さが2.1mm
であるとすると、0.1mmの干渉もしくは主部１３
のほぼ５％の圧縮を与える。圧縮範囲は２％〜10
％が有効である。図示しないが、米国特許
4508301号公報に示されたキヤツプを設けてもよ
い。

この考案は、上記のように、保持部材に、棚の
後方部分の上面に係合し、該棚の挿入時に弾性変
形する弾性変形可能な部材を持たせ、該弾性変形
可能な部材を上記保持部材の底面に広がるストリ
ツプとしたものてある。

弾性変形可能なストリツプを使用すると、ガラ
ス製棚を破損する恐れなく保持することができ
る。特に、本考案の棚支持機構は、棚が簡単に外
れるのを防止することができる。上記弾性変形可
能な部材は支持部材の前部より後方にあつて、棚
の前端が引つ張られた場合、しつかりした保持力
を与え、棚に僅かに弾性的移動を許すが棚が棚受
け溝から外れるようなことはない。

本考案の棚支持機構は２つの要素からなり、押
出し成形により得ることができるので、加工・組
立は簡単である。支持部材、保持部材及び連結部
材は、例えば、アルミニウム押出し成形により一
体ユニツトとして製作する。弾性変形可能な部材
はゴムや適当な合成樹脂材料の如き弾性状物質を
用いて押し出し成形する。保持部材は支持部材に
対して若干の曲がりは許容するけれども、棚の挿
入時に起る歪みは上記弾性変形可能な部材が吸収
する。

しかし、このような弾性変形可能なストリツプ
を用いた場合、棚を充分に押し込んだ時に該スト
リツプが押し戻され又押し上げられる傾向になる
という問題がでてくる。これをさける為に、該ス
トリツプは、主部と、該主部から下向きに突出し
上記主部より狭巾の少なくとも１個の隆起部を形
成してある。この下向きの隆起部は上記主部より
変形しやすく、主部を全体として押し戻すような
力を該主部に作用することはない（該主部は正常
な状態では、ある程度は戻り変位するが）。この
ため、しつかりとかつ安全にガラス製の棚を懸架
することができる。加うるに、棚に物が載せられ
たために前方傾斜が起こりそうな場合、該主部が
上記隆起部よりも大きな抵抗を与え、この傾斜変
位を防止する。

更に、本考案の棚支持機構は、通常は、棚の後
方部分を受ける溝の後部に設けられるねじを用い
て垂直壁に固定されるが、ガラス製棚のような棚
は比較的に薄いので、上記溝も小さくて済む。弾
性変形可能な部材を使用するため、上記ねじの頭
部は、支持部材と保持部材との間の間隔よりほん
の少し小さい径を有し、該ねじはねじ廻しを用い
て充分に締めることができる。この時、ねじ廻し
によりストリツプを変形させることになるが、こ
の変形は弾性変形であるので、問題はない。

上記隆起部の前後方向の巾及び上下方向の高さ
はこれを増減することにより棚に対する圧縮力を
変更することができる。また、上記隆起部を比較
的薄くすると、特に、保持部材の前方部分の下に
１つの隆起部がある場合、良好なグリツプ作用を
与える。もし、棚を、その前端を持ち上げてセツ
トすると、該棚の後端上面が隆起部の後部あるい
は隆起部の背部側に係合するため、隆起部を押す
ことが防止され、ストリツプ全体を棚の後端側に
押すことが防止される。棚がセツトされた場合、
この前方隆起部は棚を把持し、該棚の前部が持ち
上がるのを防止する。

保持部材の前部及び後部間の中央隆起部は棚が
押し込まれる際に、押し戻されないように作用す
る。この中央隆起部は主として棚のセツト時に該
棚を把持する作用を呈する。また、棚が押し込ま
れる時、中央隆起部は棚の後端を押し下げる作用
を行い、挿入する棚の後端が後方隆起部により邪
魔されるのを防止する。

中央隆起部は、棚が該中央隆起部下を容易にス
ライド可能なように前方隆起部より狭巾であるこ
とが好ましい。

後方隆起部は棚のセツト時、該棚を把持する役
目をし、棚全体が下向きに傾斜するのを防止す
る。この後方隆起部は中央隆起部及び前方隆起部
より狭巾であるので、棚は該後方隆起部下を容易
にスライドする。

保持部材は、前方かつ下方に傾斜し、上端が垂
直壁に当接して突つ張りを与える第１部分、後方
かつ下方に傾斜して連結部材に連結され上記第１
部分と結合されている第２部分、第１部分の下端
から後方に延びる水平リツプ、第２部分の下端か
ら延びる水平リツプを有し、両リツプは、弾性変
形可能な部材の一部を受け入れて保持する溝（ス
ロツト）を画成しているが、第１部材の下方部
分、第２部材及び上記両リツプは３角形配置状に
並び、充分に堅固な構造となつている。

なお、米国特許4508301号公報の棚支持機構の
支持面に示されている凹み７は、必要に応じて設
ければよい。

また、本考案の棚支持機構はガラス製棚だけで
なく、合板製の棚やパースペクス（商品名）等に
も適用することができる。

第３図はこの考案の他の実施例を示したもの
で、ストリツプ１２′を除いては、他の構成は第
２図に示したものと同じである。

隆起部１４′，１５′，１６′は、比較的に長く、
かつ、薄く形成されているので、棚２の挿入時に
は、図に点線で示すように、後方へ曲げられ、棚
２のセツト状態では、これらは、第２図に示した
隆起部１４，１５，１６と全く良く似た姿勢とな
る。

ストリツプ１２′の後部には、下向に突出する
フラツプ２２が形成されており、該フラツプ２２
は棚２が押し込まれると該棚２の後部に係合し、
肩部６とねじ頭部５ｂ間でクツシヨン作用を呈し
て棚２の後部を保護する役目をする。

〔考案の効果〕

この考案は以上説明した通り、棚の上表面に係
合する隆起部を形成した弾性変形可能な部材を保
持部材に設けたことにより、棚挿入時に該棚に係
合するのは上記隆起部であるので、軽い押圧力で
棚を挿入することができ、棚が、例えば、ガラス
製棚のようなものであつても、破損・破断を招く
恐れなく簡単にセツトすることができ、その上、
下表面側に向つて弧状をなす前表面を有する隆起
部を棚の巾方向に複数個設けたことにより、棚挿
入時にはその挿入を容易・円滑にし、棚セツト後
の姿勢を正しい姿勢に保持することができる。

【図面の簡単な説明】

第１図はこの考案の実施例を示す斜視図、第２
図は上記実施例の端面図、第３図はこの考案の他
の実施例を示す端面図である。 図において、１……支持部材、２……棚、３…
…保持部材、４……連結部材、１０，１１……リ
ツプ、１２，１２′……弾性変形可能な部材、１
３……主部、１４，１５，１６……隆起部、１
４′，１５′，１６′……隆起部、１７……上方突
出部、１８……第１部分、１９……第２部分、２
２……フラツプ。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 断面方形をなす棚の後方部分を受ける支持部
   材、上記棚の上記後方部分の上部を押えるための
   保持部材、上記支持部材と上記保持部材を連結す
   るとともに上記支持部材より下方に延びて上記支
   持部材に対する突つ張りを与える連結部材を有
   し、上記支持部材は上記保持部材より前方へ突出
   しており、上記支持部材と上記保持部材とが棚を
   片持ち状に保持する溝もしくは間隙を画成してい
   る棚の支持機構において、上記支持部材が該保持
   部材の下面に沿つて延び上記棚の後方部分上面に
   係合する弾性変形可能な部材を保持し、該部材は
   下向きに突出し下表面側に向つて弧状をなす前表
   面を有する少なくとも前方及び後方隆起部が形成
   された主部を有し、上記溝もしくは間隙に挿入さ
   れる上記棚により弾性変形されることを特徴とす
   る棚支持機構。