JPH05264794A - 放射性アイソトープの生成方法および装置、並びに放射性鉛212の生成方法 - Google Patents

放射性アイソトープの生成方法および装置、並びに放射性鉛212の生成方法

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JPH05264794A
JPH05264794A JP3169959A JP16995991A JPH05264794A JP H05264794 A JPH05264794 A JP H05264794A JP 3169959 A JP3169959 A JP 3169959A JP 16995991 A JP16995991 A JP 16995991A JP H05264794 A JPH05264794 A JP H05264794A
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JP3169959A
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John H Norman
エイチ. ノーマン ジョン
Wolfgang A Wrasidlo
エー. ラシドロ ウォルフガング
Karol J Mysels
ジェイ. マイセルズ カロル
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Brunswick Corp
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    • G21G4/08Radioactive sources other than neutron sources characterised by constructional features specially adapted for medical application
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    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
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    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
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Abstract

(57)【要約】 【目的】鉛の放射性アイソトープ、212Pbを容易に調
製できる。 【構成】閉鎖チャンバーに入れた228Tnは220Rnガス
へ崩壊し、この220Rnガスは受容チャンバー12へ拡
散することにより、直ちにトリウムおよび他の崩壊生成
物から分離する。220Rnは受容チャンバー12におい
212Pbへ崩壊するため、この受容チャンバー12に
212Pbが回収される。228Tnは、好ましくはステア
リン酸トリウムなどの無定形である。220Rnは、崩壊
生成物が開放多孔性浸透媒体を有する多孔性浸透膜14
へと反跳するように、この浸透膜14に向けて拡散さ
れ、212Pbの回収はこの浸透膜14にて行われる。212
Pbは、浸透膜14を溶解、または、抗体−キレート錯
体溶液と反応させて、抗体−キレート錯体内に捕捉する
ことにより、浸透膜14から回収される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は放射性アイソトープの生
成および分離に関する。さらに詳しくは、トリウム22
8(228Th)から鉛212(212Pb)を生成するため
の方法および装置に関する。
【0002】
【従来の技術】放射性アイソトープは多岐にわたって応
用されている。特定の使用のために適切なアイソトープ
を選択するに際して、その選択はアイソトープの半減
期、および生成する放射線のタイプとエネルギーなどの
要因により決定される。しかしアイソトープには、生成
および分離が難しいためにその有用性が著しく制限され
るものもある。
【0003】放射線療法は長年、癌およびその他の局部
損傷の治療に使用されている。著しい特異性を有する特
定の細胞をターゲットとし得る単クローン抗体の開発に
より、放射性媒体を優先して選択的に特定のターゲット
細胞へと到達させることが可能となった。適切な放射性
アイソトープを選択することは、ターゲット放射線療法
においては重要なことである。放射性アイソトープの半
減期は、望ましくは、施与前に、しかも、施与後ターゲ
ット細胞に到着する前に、大幅な活動損失および途中経
路での損傷を与えることなく、必要な事前準備および薬
学的操作(輸送、反応、殺菌など)を実行し得るほどに
長い期間であるが、治療行為を迅速に行い得るほどに短
い期間のものが適切である。また、一般的に、狭い領域
において強い細胞毒性を有し、抗体を付着させた細胞
(および同様に病原であると思われる隣接した細胞)は
破壊するが、広い領域においては無害で、周囲の健全な
組織を傷つけないような放射線が望まれる。さらに、有
害な持続性残留物質を含まないことも重要である。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】潜在的な放射性物質の
候補の多くは、生成するためにはサイクロトロンが必要
であるため、コストおよび入手可能性の点から定期治療
への利用については真剣に考慮されていない。サイクロ
トロンにて生成する必要のないそれらの可能な候補の中
で、212Biおよび212Pbは、崩壊形態、エネルギーお
よび半減期特性が妥当であるため、大きな注目を集めて
いる。
【0005】212Biおよび212Pb共にいくつかの生成
方法が知られているが、ほとんどは耐用期間の短い複雑
な装置を必要とする。212Biおよび212Pbを共に生成
するための、比較的複雑でなく、耐用期間の長い生成装
置が、Zucchini他による文献に示されている(Intl. J.
Nucl. Med. & Bio., Vol.9, pp.83-84 (June 1982)。
この生成装置により212Pbを生成するためには、1床
のチタン酸ナトリウムを石英カラム中に保持する。この
石英カラムでは、4価の228Thとラジウム224(224
Ra)が、カラム中に密閉された粗い溶融ガラスディス
クの上方で吸収される。チタン酸ナトリウムに水を通す
と、224Raの崩壊生成物である220Rnが水に溶解す
る。この220Rnを含有する水は溶融ディスクを通過し
て、下に2ccの水を含有するガラス製の水槽に回収さ
れる。実質的にはすべての220Rnが水中で5分以内に
崩壊して212Pbに変わるため、これにより十分な崩壊
が行われる。220Rnを含有する水は、水槽から、Bi
oーRad AGー50 WX18陽イオン交換樹脂
(「Bio-Rad」, Richmond, CA)などの強酸性イオン交
換樹脂を含むカラムへと通される。このイオン交換樹脂
は水がカラムを通過するときに、212Pbを吸収する。
十分な212Pbが吸収されると、樹脂カラムを取り出
し、2N HClを使用してこの鉛アイソトープをPb
Cl3に変換することによりカラムから212Pbを溶出す
る。しかし、この方法を利用すると残留放射能および汚
染が報告されている。これは明らかに228Thおよび224
Raの溶出量が少ないためである。汚染を低減するため
には、さらにイオン交換処理が必要である。
【0006】従って、特定の有用な放射性アイソトープ
を効率良くまた安全に生成し得る装置および方法を提供
することが必要である。本発明はこの必要を満たし、ま
たそれによってもたらされる利点を提供するものであ
る。
【0007】本発明は希ガスからの崩壊生成物として形
成される、つまりは固定可能な元素の崩壊生成物であ
る、放射性アイソトープを生成するための方法および装
置を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明は、親アイソトー
プの崩壊から希ガス中間体を経て娘アイソトープを生成
する方法であって、親アイソトープを該親アイソトープ
に不浸透である気体透過性障壁と気体接触させる工程
と、気体中間アイソトープを該気体透過性障壁を通して
開放多孔性浸透媒体を含有する受容チャンバーへ拡散さ
せる工程と、該気体中間体の少なくとも1部が娘アイソ
トープへと崩壊し、この娘アイソトープが該開放多孔性
浸透媒体へと反跳し、また該媒体により捕捉されるため
に十分な期間、該開放多孔性浸透媒体中に該気体中間体
を保持する工程と、主要放射能が該娘アイソトープと同
じである物質を該開放多孔性浸透媒体から回収する工程
とを包含する方法を提供する。また、その方法を実行す
るための生成装置も提供される。
【0009】1つの実施態様においては、親アイソトー
プは228Thであり、娘アイソトープは212Pbである。
開放多孔性浸透媒体は、例えば尿素、グルコース、無機
塩、凍結乾燥した抗体、またはマイクロスフェアであり
得る。
【0010】
【作用】本発明は、放射性アイソトープを生成する簡単
で安価な方法、および迅速かつ簡単であって、実質的に
汚染のない放射性アイソトープの生成装置を提供する。
本発明の生成装置の利点としては、放射性が高く取扱い
が難しい半減期の長い親アイソトープを親チャンバーに
入れ、この親チャンバーからは半減期の短いラドンアイ
ソトープのみが容易に逃げ出せるようにしていることで
ある。一方、この受容チャンバーには開放多孔性浸透媒
体を容易に充填し、また所望するときにこれを容易に取
り出し得る。従って、高レベル放射能を取り扱うための
設備において親アイソトープをこの生成装置に充填し、
その後、輸送すれば、病院または放射線医薬品を取り扱
う薬局では、開放多孔性浸透媒体のみを取り扱うだけで
長期にわたって使用し得る。
【0011】
【実施例】1つの実施態様においては、本発明の方法お
よび生成装置は、228Thなどの親アイソトープを第1
閉鎖チャンバー内で崩壊させて、220Rnなどの気体の
崩壊生成物を生成する。次に、この気体崩壊生成物を第
2閉鎖受容チャンバーに拡散させ、親および他の固体崩
壊生成物から効率的に分離させる。第2閉鎖チャンバー
は開口気孔多孔媒体を含有する。これは1床の粉体尿素
またはスクロースなどの水溶性物質であり、この開放多
孔質へラドンが拡散し得る。220Rnから212Pbへの
(極めて短命のポロニウム216を経ての)崩壊は反跳
を引き起こし、これにより鉛が開放多孔性浸透媒体中
に、また同様にラドンに曝された他の固体中に固定され
る傾向となる。ラドンは急速に拡散し、また生成装置内
の気相の大部分は開放多孔性浸透媒体の気孔内部に入り
込むため、212Pbの大部分がこの媒体表面および内部
に堆積する。このように堆積した212Pbには、当然、
通常の放射性崩壊が起こるため、上述のように開放多孔
性浸透媒体にて利用可能となる量は、最初は急速に増加
するが、次には212Pbの半減期の数倍の期間操作した
後は均衡値になる傾向となる。
【0012】212Pb(および含有する他のアイソトー
プ)の量は極めて微少であることに注意が必要である。
1mCiの212Pbは、3.3×10-12モルのこの元素
の原子数約2×1012個に相当する。従って、この鉛の
取り扱いと反応操作には、既知の特別な準備および手順
を必要とする。開放多孔性浸透媒体は、所望の抗体との
結合反応の前に、緩慢な錯化剤および「コールド」な
(つまり非放射性の)鉛の痕跡の存在下で溶解され得
る。次に、これを透析または限外濾過により取り出し、
濃縮水を殺菌して使用される。一方、開放多孔性浸透媒
体が凍結乾燥した細粒のラテックス固形物により形成さ
れる場合は、この固形物を、これに固定させた212Pb
と共に、水に再分散して抗体と結合させ注入される。
【0013】本発明の実施において使用されるように、
228Thは、228Thの崩壊生成物として生成される220
Rnガスの拡散に対して主要な障壁とはならない物理形
態であり、好ましくは、無定形または微晶質である。
228Thの必要量は極めて少量であるため、通常は取り
扱いを容易にするために、また崩壊により生じる放射線
損傷を小さくするために、キャリアにて希釈される。ア
ルカリ土類化合物、特にバリウム塩は、トリウムに化学
的に類似しているために好適な希釈液である。このよう
な塩の中で、高級脂肪酸、特にステアリン酸塩およびパ
ルミチン酸塩は好適であって、A.C. WahlおよびW.R. Da
nielsの述べるように、ラドンが生成されるとき直ちに
ラドンを分離する(高「放射力」を有する)として知ら
れている(J. Inorg. Nucl. 6:278-287 (1958)、本明細
書に参考として援用)。
【0014】228Th化合物は、最微粒に粉砕して、こ
れを、同様に粉状としたグラファイト、アルミナおよび
不活性セラミックからなるグループから選択したマトリ
ックス中に拡散される。
【0015】本明細書において、「気体透過障壁」とい
う用語は、固定された親アイソトープを束縛するように
作用するが、気相の中間体には透過性である化学的また
は物理的障壁を意味する。このような障壁の例として
は、ステンレススチール(またはその他の金属)のスク
リーンまたは焼結粉体、セラミック多孔ディスク、多孔
プラスチック、微孔膜などの層状の開放多孔性固形物が
ある。
【0016】本明細書において、所望の娘アイソトープ
に関連して用いられる「回収」は、開放多孔性浸透媒体
と共にまたは該媒体から娘アイソトープを得ることを意
味する。例えば、開放多孔性浸透媒体が水溶性であると
きは、開放多孔性浸透媒体を水に溶解させ、主たる放射
能の発生源が娘アイソトープであるような溶液を得るこ
とができる。また、開放多孔性浸透媒体が凍結乾燥した
マイクロスフェアまたは抗体であるときは、これを取り
出して直接使用し得る。従って、アイソトープは開放多
孔性浸透媒体から抽出、または取り出されるが、また、
該媒体からアイソトープを分離せず、媒体自体、つまり
誘導体を使用し得るようにもされる。
【0017】本明細書において、「開放多孔性浸透媒
体」という用語は、実質的な体積を有する固体であり、
受容コンパートメント内に配置されると、この固体内の
気孔が生成装置内の気相、特に受容チャンバー内の気相
の有力な部分を構成するようなものを意味する。この気
孔は、気体中間体が容易にその気孔に、好ましくは気孔
の大部分に拡散し得るように連結されているという意味
で「開放」である。粉体の多くは受容チャンバーに注ぐ
だけでこれらの要件を満たす。凍結乾燥物質の多くも同
様である。固体自体は、ほぼすべての反跳娘アイソトー
プを、これらが閉鎖チャンバーを規定する容器の側面に
到着する前に開放多孔性浸透媒体により捕捉されるよう
な十分な密度を有する。このような開放多孔性浸透媒体
の例としては、粉体尿素、グルコーグルコースまたはそ
の他の糖、もしくは無機塩、凍結乾燥させた抗体または
マイクロスフェアがある。さらに、開放多孔性浸透媒体
は、娘アイソトープの使用に応じた化学的および生物学
的必要条件、例えば水に溶解するか分散するか、抗体結
合から分離可能であるかどうか、好ましくない不純物、
特に他の重金属が含まれていないかどうか、などの要件
を満たさなければならない。このような必要条件は、所
望する特定の適用により異なる。
【0018】適切な開放多孔性浸透媒体を形成する固体
としては、尿素、特に、「ICN Biochemicals」(Irvin
e, California)によって市販されている超高純度グレ
ードのもの、および塩化ナトリウム、さらにタンパク
質、抗体、ラテックス、およびその他の粒子などの凍結
乾燥物質がある。本発明で使用されるマイクロスフェア
は直径10μmより小さくほぼ0.02μmより大の球体
であり、通常、ポリスチレン、ポリメチルメタクリレー
トなどの、水中分散物として市販されているポリマーか
ら作製される。凍結乾燥とは、水などの溶媒が、昇華に
より凍結溶液または拡散液から除去されるプロセスであ
る。溶質の再拡散を促進するために、Triton10
0などの湿潤剤を添加し得る。
【0019】本発明は気相中間体を経て崩壊するもので
ある限り、様々なアイソトープを生成するために使用し
得るが、本発明は、特に、228Thから212Pbを生成す
ることに関連して述べる。本発明にて教示する228Th
から212Pbを生成する方法によれば、高純度の生成物
が即座にその場で生成および分離される。本発明の方法
および生成装置は、212Pbを簡単に、効率的に、また
経済的に、あらゆる所望する用途に使用し得る最も望ま
しい形態で生成する。
【0020】228Thの放射性自然崩壊の過程のすべて
を表1に示すが、本発明の目的のために、次のように簡
略化して、主なアイソトープとそれらのおおよその半減
期を示す。
【0021】 228Th → 220Ra → 212Pb → 212Bi → 208Pb 1.9年 1分 10時間 1時間 安定 各崩壊の間にアルファ、ガンマ、および場合によっては
ベータ放射線が生成される(212Pbの崩壊ではベータ
およびガンマ線のみを生成する)。
【0022】212Pb(またはその娘212Bi)が治療用
に使用し得るのは、主にこれが約6および9MVエネル
ギーのアルファ粒子を提供することによる。これは組織
中に約40および90μm突入し、約4〜8個の細胞を
破壊する。この特質は使用する抗体に対応する癌細胞だ
けでなく、反応はしないが隣接した他の細胞への到達も
可能とする。一方、ターゲットに隣接していない健全な
細胞は、このアルファ粒子の影響は受けない。212Pb
の崩壊までの10.6時間という半減期は、癌治療など
に使用するには理想的とは言えないが、治療用錯体の生
成と精製、患者への投与、および癌細胞へ露出される時
間を考慮すれば、妥当な時間である。
【0023】トリウム228の半減期は約2年であり、
市販されているため、親アイソトープとしては非常に望
ましい。このように、本発明の生成装置の親チャンバー
用に充填する原料は容易に入手可能であり、一度充填す
ると生成装置は生産性が僅かに減少するだけで1年以上
使用可能となる。
【0024】希ガスであるラドン220は、状況が許せ
ば即座に拡散して親チャンバー内のトリウムおよび他の
固形物から離れる。半減期が僅か約1分で崩壊し、所望
する212Pbとなる。ラドンを効率よく利用するために
は、実行可能な限りその崩壊を開放多孔性浸透媒体内で
起こさせることが望ましい。これは本発明の好適な実施
態様により次の2つの方法で行われる。
【0025】1)トリウムは高い放射力を有するマトリ
ックス形状とする。この親アイソトープと受容開放多孔
性媒体との距離は短くされる。2つのチャンバーを隔て
る多孔膜は面積が広く多孔の薄膜とする。
【0026】2)親チャンバーの容量は、開放多孔性浸
透媒体の孔の容量に比べて、実行可能な限り小さくす
る。気相の有効容量が得られるように、安定ガスが均衡
に供給される。ラドンが生成し崩壊している間、その濃
度は、発生源から開放多孔性浸透媒体の遠位端部に向か
うに従って減少し、また、拡散はこの方向に沿って連続
的に行われる。実験によれば、受容チャンバーを約1c
mより長くしても得られるものはほとんどない。何故な
ら、ほとんどのラドンはそれ以上遠くに拡散する前に崩
壊する。これより、短い開放多孔性媒体のカラムを使用
すると、量は少ないが濃度の高い娘アイソトープが得ら
れる。またその逆も成り立つ。
【0027】
【表1】
【0028】本発明の実施において使用され得る生成装
置を図1に示す。生成装置は閉鎖遮蔽チャンバーにて遠
隔操作し得る、またはグローブボックスにて操作し得
る。図1に示すように、生成装置は、親チャンバー10
と、受容チャンバー12と、2つのチャンバー10およ
び12の間に位置してこれら2つのチャンバーを分離す
る気体浸透膜14などの気体溶離手段と、を備えてい
る。気体浸透膜14は、気体中間体が通過して迅速に拡
散し得て、また同時に親アイソトープが受容チャンバー
12へと通過するのを防ぎ得るに十分な大きさの孔を有
する必要がある。安全のために、この浸透膜14は、好
ましくは、ステンレススチールにより製造される溶融金
属ディスクなどの多孔支持膜を備えている。図1に示す
生成装置は、一端部が端部キャップ22により閉鎖され
たネジ切り管状ハウジング20を有している。端部キャ
ップ22はフランジキャップナット24により定位置に
固定される。管状ハウジング20の内部は、一端部に、
円筒内周面を包囲して、浸透膜14に対向する内部フラ
ンジ26を有する。浸透膜14と端部キャップ22との
間は、その間に親チャンバー10が形成され得るほどの
短い距離でよい。親チャンバー10は上述のように受容
チャンバー12に比して小さくされる。受容チャンバー
12の容量は、親チャンバー10の容量の少なくとも5
倍、好ましくは20倍の大きさとする。
【0029】管状ハウジング20のもう一方の端部に
は、ブッシング28がネジ込みされており、その円形の
内周縁部がフランジ26に対向して浸透膜14を保持す
る。これにより内周面が滑らかな円柱状チャンバーの一
端部が規定される。ブッシング28内のこの円柱状チャ
ンバーに、長軸形端部キャップ30がスライド式に挿入
され、浸透膜14および端部キャップ30の内端部との
間に受容チャンバー12が形成される。端部キャップ3
0を定位置に保持するために、フランジキャップナット
32がブッシング28にネジ込みされる。安全のため
に、生成装置8の構成部品のすべては、好ましくは、
220Rnガスを吸収しないまたは放射線により分解しな
い、火災防止のために融点が1000℃以上である物質
により製造される。特に好適な物質は316ステンレス
スチールである。
【0030】本発明の好適な実施態様によれば、出発材
料すなわち228Thは、228Thの崩壊生成物として形成
される220Rnガスの拡散に対する障壁とはならない物
理形態において使用される。例えば、228Thは硝酸ト
リウム228の形態で「IsotopeProducts Laboratorie
s」(Burbank, California)から市販されている。上述
のWahlおよびDanielsは、228Thおよびステアリン酸バ
リウムの共沈を教示している。これにはステアリン酸ナ
トリウム水溶液を「60〜75」℃に加熱することが含
まれる。これは通常の無換気のグローブボックス内で
は、蒸気が凝縮するという問題を引き起こす。換気を行
うためには、220Rnの崩壊生成物が確実に、連続的に
生成され通常のフィルターによっては吸収されないよう
にしなければならない。従って、本発明によれば、硝酸
バリウムと、ステアリン酸テトラメチルアンモニウムな
どの室温にて溶解するステアリン酸塩との間の溶液中の
複分解反応により、スパイクステアリン酸バリウムを生
成させる。ステアリン酸テトラメチルアンモニウムは、
水酸化テトラメチルアンモニウムをステアリン酸と反応
させることにより得られる。水酸化テトラエチルアンモ
ニウムまたはテトラブチルもしくはテトライソプロピル
化合物もまた使用可能である。
【0031】ステアリン酸テトラメチルアンモニウム溶
液は、過剰のステアリン酸を水酸化テトラエチルアンモ
ニウム溶液と共に加熱することにより、また後者をフェ
ノールフタレイン指示薬がピンク色になるまで添加する
ことにより、グローブボックスの外部で調製される。グ
ローブボックス内では、228Th溶液を硝酸バリウム溶
液に添加して、過剰な硝酸(トリウムを伴う)を水酸化
テトラエチルアンモニウムにより中性化させる。次に、
十分に撹拌した後、このバリウムスパイク溶液にステア
リン酸溶液を漸次添加する。沈澱物は、当量点近辺およ
び中性近辺で凝集する。次にこれを濾過し、完全に吸引
して、フィルターと共に生成装置の親チャンバーに入
れ、シリカゲルで乾燥する。そして親チャンバーを閉鎖
する。
【0032】受容チャンバーも閉鎖することにより、す
なわち両プランジャーキャップ22および30を挿入し
て端部キャップナット24および32で固定することに
より、生成装置からのラドンの散逸を防ぐ。そして、生
成装置をグローブボックスから取り出し、適切に遮蔽し
た場所に保管、あるいは別の研究所または病院に輸送さ
れる。
【0033】生成装置は、受容チャンバーに開放多孔性
浸透媒体を装填して閉鎖すれば、いつでも娘アイソトー
プを生成し得る。この装填は、所定の短期間に散逸する
ラドンの量が最小であるように、化学的なフード内、ま
たは、さらに高度な容器内にて実行し得る。閉鎖した後
は、生成装置は遮蔽した場所に保管する。所望量の212
Pbを蓄積させるために必要な時間が経過すると、生成
装置をフード内に戻し、受容チャンバーを開けて開放多
孔性浸透媒体を取り出し、該開放多孔性浸透媒体を鉛用
の緩慢な錯化剤の水溶液に注ぐなどの方法により、娘ア
イソトープを含有する物質を回収する。所望であれば、
受容チャンバーを再装填して閉鎖する。受容チャンバー
の開口で解放された(および開放多孔性浸透媒体中に含
有される)ラドンが十分に崩壊するために必要な短い期
間の後、溶液をフードから取り出して、治療用生成物の
調製および投与のために使用する。
【0034】本発明で使用される228Thは物理的混合
物とされる。これは、228Th塩を微細粒に粉砕して、
肉眼で見える結晶構造を破壊し、この228Thの超細粒
を、220Rnガスを吸収しない、例えば同様に粉体のグ
ラファイトなどの多孔マトリックス内に拡散させる。こ
の混合物を凝縮して、228Thをグラファイト内に包み
込み、図2に示すような、拡散膜としてグラファイトデ
ィスク40を形成する。この実施態様では、228Thの
体積が大きくなって取り扱いが便利になると共に、ラド
ンガスを均一に拡散することができ、またトリウム結晶
の形成を防ぐ。228Thのためのこのような多孔マトリ
ックスを形成するためには、220Rnガスが自由に通過
して拡散することができ、また放射線により重大な分解
を引き起こすことのないその他の不活性物質もまた使用
される。これはアルミナおよび不活性セラミックを含む
がこれらに限定されない。
【0035】本発明の生成装置の別の実施態様を図2に
示す。生成装置100は基本的にはカラム本体110を
備えている。該カラム本体110の断面は、上部が広く
なった十字形である。この本体の上部および下部の外面
はネジ切りされている。気体透過性浸透膜14は、本体
110の円柱状チャンバーの直径が大となる部分に形成
されたリップ部に対向して配置される。これにより、チ
ャンバーが親チャンバー10と受容チャンバー12とに
分離される。親チャンバー10用の所望するスペースを
得るためには、適切な厚さのシールリング120を浸透
膜14の先端部に配置される。次に、シール130が本
体の上部にスライド式に挿入され、これはシールキャッ
プ140によりシールリング120に対して定位置に保
持される。シールキャップ140は本体の上部にネジ込
みされる。本体110の下部の開口部には長軸形のプラ
ンジャー150がスライド式に挿入され、浸透膜14と
プランジャー150の内端部との間に受容チャンバー1
2が形成される。プランジャー150はプランジャーキ
ャップ160により定位置に固定される。プランジャー
キャップ160はカラム本体110の下部にネジ込まれ
る。第1の実施態様と同様に、生成装置100のすべて
の構成部品は、好ましくは316ステンレススチールに
より製造される。しかし、シールリング120は高い融
点と共に圧縮性を必要とするため、金、銅、またはニッ
ケルなどの物質により製造することが好適である。
【0036】上述の方法は図示したような生成装置の使
用に特有のものであり、また本発明を実施するにあたっ
て知り得る最適の態様を述べているが、本発明の目的の
達成においては、同じまたは匹敵し得る原理に基づい
て、鉛アイソトープを生成するために、他の方法を利用
すること、また他の生成装置の実施態様を形成すること
が可能であることは明かであろう。例えば、上述の生成
装置は浸透膜により2つの隣接したチャンバーに分離し
ているが、2つのチャンバーが互いに物理的に分離し
て、例えばコック栓などのように、通路により連結し、
気体生成物はこの通路を通じて拡散されるが、固形物は
すべて移動し得ないように設計することが可能であるの
は明かである。こうすれば、コック栓を開放すると、気
体の220Rnは親チャンバー10から受容チャンバー1
2へ拡散する。本発明の精神から離れることなく、他に
このような変更を本発明の方法および生成装置に行うこ
とが可能であることは明かである。
【0037】本発明は現時点で好適である実施態様を参
照して記述したが、本発明の精神から離れることなく様
々な変更が可能であることは明かである。従って、本発
明はクレームによってのみ限定されるものである。
【0038】
【発明の効果】本発明の生成方法および生成装置は、放
射性が高く取扱いが難しい半減期の長い親アイソトープ
から半減期の短い娘アイソトープのみが容易に逃げ出せ
るようにしているために、特定の有用な放射性アイソト
ープを効率良くまた安全に生成し得る。また、本発明の
生成装置では、受容チャンバーには開放多孔性浸透媒体
を容易に充填することができ、しかも、所望するときに
これを容易に取り出すことができるために、高レベル放
射能を取り扱うための設備において、親アイソトープを
この生成装置に充填して、その後、輸送すれば、病院ま
たは放射線医薬品を取り扱う薬局では、開放多孔性浸透
媒体のみを取り扱うだけで長期にわたって使用し得る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の方法の実施に使用される拡散生成装置
の一例を示す断面図である。
【図2】本発明の方法の好適な実施に使用され生成装置
の別の実施例の断面図である。
【符号の説明】
8 生成装置 10 親チャンバー 12 受容チャンバー 14 浸透膜 20 ハウジング 22、30 端部キャップ 24、32 フランジキャップナット 28 ブッシング
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 ウォルフガング エー. ラシドロ アメリカ合衆国 カリフォルニア 92037, ラ ホヤ,プロスペクト ストリート 307 (72)発明者 カロル ジェイ. マイセルズ アメリカ合衆国 カリフォルニア 92037, ラ ホヤ,ラ ホヤ シーニック ドライ ブ 8327

Claims (24)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 通常は気体の中間アイソトープを含む一
    連の自然崩壊により親アイソトープから生成される娘ア
    イソトープを得る方法であって、 該親アイソトープを、該親アイソトープに不浸透である
    気体透過性障壁と気相接触させる工程と、 該気体中間アイソトープを、該気体透過性障壁を通し
    て、開放多孔性浸透媒体を有する受容チャンバーへ拡散
    させる工程と、 該気体中間体の少なくとも1部が娘アイソトープへと崩
    壊し、この娘アイソトープが該開放多孔性浸透媒体へと
    反跳し、また該媒体により捕捉されるために十分な期
    間、該開放多孔性浸透媒体中に該気体中間体を保持する
    工程と、 該受容チャンバーから該娘アイソトープを回収する工程
    と、を包含する放射性アイソトープの生成方法。
  2. 【請求項2】 前記親アイソトープは第1閉鎖チャンバ
    ーに保持される請求項1に記載の方法。
  3. 【請求項3】 前記回収する工程は、水中に前記媒体を
    拡散させる工程を包含する請求項1に記載の方法。
  4. 【請求項4】 前記回収する工程は、水中に前記媒体を
    溶解させる工程を包含する請求項1に記載の方法。
  5. 【請求項5】 前記開放多孔性浸透孔媒体は尿素である
    請求項1に記載の方法。
  6. 【請求項6】 前記開放多孔性浸透媒体はグルコースで
    ある請求項1に記載の方法。
  7. 【請求項7】 前記開放多孔性浸透媒体は無機塩である
    請求項1に記載の方法。
  8. 【請求項8】 前記開放多孔性浸透媒体は凍結乾燥した
    抗体である請求項1に記載の方法。
  9. 【請求項9】 前記凍結乾燥した抗体はキレート試薬に
    結合される請求項1に記載の方法。
  10. 【請求項10】 前記開放多孔性浸透媒体は凍結乾燥し
    たマイクロスフェアである請求項1に記載の方法。
  11. 【請求項11】 前記固定された親アイソトープは長鎖
    炭化水素カルボン酸塩の形態である請求項1に記載の方
    法。
  12. 【請求項12】 前記長鎖炭化水素カルボン酸塩は室温
    で水溶性の長鎖炭化水素カルボン酸の第2塩からの複分
    解反応により調製される請求項11に記載の方法。
  13. 【請求項13】 前記第2塩はテトラメチル、テトラエ
    チル、テトラブチルおよびテトライソプロピル化合物を
    含むグループから選択される請求項12に記載の方法。
  14. 【請求項14】 228Thを該228Thに不浸透である気
    体透過性障壁と気相接触させる工程と、 該228Thの崩壊により形成される気体220Rnを該気体
    透過性障壁を通して、開放多孔性浸透媒体を有する受容
    チャンバーへ拡散させる工程と、 該気体220Rnを、その少なくとも一部が該開放多孔性
    浸透媒体へと反跳しまた該媒体により捕捉される212
    bへと崩壊するのに十分な期間、該受容チャンバー内に
    保持する工程と、 該受容チャンバーから該212Pbを回収する工程と、 を包含する放射性鉛212を生成する方法。
  15. 【請求項15】 前記親アイソトープは長鎖炭化水素カ
    ルボン酸塩の形態である請求項14に記載の方法。
  16. 【請求項16】 前記長鎖炭化水素カルボン酸塩はステ
    アリン酸、パルミチン酸、セバシン酸、カプロン酸、ラ
    ウリン酸、およびミリスチン酸からなるグループから選
    択される請求項14に記載の方法。
  17. 【請求項17】 前記固定された親アイソトープは炭、
    グラファイト不活性セラミックおよびアルミナを含む超
    細粒のマトリックス中に拡散される請求項14に記載の
    方法。
  18. 【請求項18】 前記透過性障壁は膜である請求項14
    に記載の方法。
  19. 【請求項19】 前記開放多孔性浸透媒体は尿素である
    請求項14に記載の方法。
  20. 【請求項20】 前記開放多孔性浸透媒体はグルコース
    である請求項14に記載の方法。
  21. 【請求項21】 前記開放多孔性浸透媒体は塩化物であ
    る請求項14に記載の方法。
  22. 【請求項22】 前記開放多孔性浸透媒体は凍結乾燥し
    た抗体である請求項14に記載の方法。
  23. 【請求項23】 前記凍結乾燥した抗体はキレート試薬
    に結合される請求項14に記載の方法。
  24. 【請求項24】 親アイソトープが希ガス中間体を経て
    崩壊することにより生成される放射性アイソトープを調
    製するための生成装置であって、 気体中間体へと崩壊するとき親アイソトープを固定化す
    るための親チャンバーと、 該親チャンバーに隣接した、開放多孔性浸透媒体を有す
    る受容チャンバーと、 該親チャンバーと該受容チャンバーとを分離する拡散膜
    とを備えており、 該拡散膜は該気体中間体が該親チャンバーから該受容チ
    ャンバーへと拡散することを可能にし、また該親アイソ
    トープが該受容チャンバーへ侵入するのを防ぐようにさ
    れていて、さらに、該気体中間体が崩壊するときに、そ
    の結果として得られる放射性アイソトープが前記開放多
    孔性浸透媒体内へ反跳するようにされていることを特徴
    とする生成装置。
JP3169959A 1990-07-10 1991-07-10 放射性アイソトープの生成方法および装置、並びに放射性鉛212の生成方法 Pending JPH05264794A (ja)

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