JPH0526473A - 空気調和機 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 室内温度制御を重視しながらも、室内の適切
な換気を可能とする。 【構成】 Ａ室，Ｂ室，Ｃ室の空調負荷（＝ΔＴ）を求
め、これら空調負荷に応じて各ダンパ１３の開度を制御
するとともに、室内ファン６の速度を各空調負荷の総和
に応じて制御する。また、Ａ室，Ｂ室，Ｃ室ごとに換気
優先モードまたは室温優先モードを設定する手段があ
り、換気運転動作時、換気優先モードが設定された部屋
についすてはダンパ１３を全開し、室温優先モードが設
定された部屋についてはダンパ１３の開度を絞り、かつ
室内ファン６の速度を上昇させる。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】この発明は、空調用空気をダクト
により複数の部屋に分配供給する空気調和機に関する。

【０００２】

【従来の技術】複数の部屋を有するビルディング等で
は、冷凍サイクルおよびファンの運転によって冷気ある
いは暖気を得、それをダクトで複数の部屋に分配供給す
るタイプの空気調和機が使用される。

【０００３】この空気調和機の場合、ダクトに複数の分
岐路があり、各分岐路内にダンパが設けられている。そ
して、各部屋の空調負荷が求められ、それら空調負荷に
対応する必要風量がそれぞれ求められ、それら必要風量
に従って各ダンパの開度が制御される。また、必要風量
の総和に従ってファンの速度が制御される。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】ところで、上記の空気
調和機では、空調負荷が減少すると、つまり室内温度が
設定室内温度に近付くと、ダンパの開度が絞られ、吹出
し風量が減少することになる。この場合、室内温度制御
を重視しているから仕方ないとはいうものの、吹出し風
量の減少に伴なって室内の換気作用が損なわれるという
問題がある。

【０００５】この発明は上記の事情を考慮したもので、
その目的とするところは、室内温度制御を重視しながら
も、室内の適切な換気を可能とする空気調和機を提供す
ることにある。

【０００６】

【課題を解決するための手段】この発明の空気調和機
は、室内ファンの運転により空調用空気を吹出す室内ユ
ニットと、複数の部屋に向かう分岐路を有し各部屋に上
記室内ユニットの吹出風を分配供給するダクトと、この
ダクトの各分岐路内に設けた吹出し風量調節用のダンパ
と、上記各部屋の空調負荷を求める手段と、これら空調
負荷に応じて上記各ダンパの開度を制御する手段と、上
記室内ファンの速度を上記各空調負荷の総和に応じて制
御する手段と、上記各部屋ごとに換気優先モードまたは
室温優先モードを設定する手段と、換気運転動作時、換
気優先モードが設定された部屋のダンパを全開し、室温
優先モードが設定された部屋のダンパの開度を絞り、か
つ上記室内ファンの速度を上昇させる手段とを備える。

【０００７】

【作用】この発明の空気調和機では、各部屋の空調負荷
に応じて各ダンパの開度を制御するとともに、室内ファ
ンの速度を各空調負荷の総和に応じて制御する。また、
各部屋ごとに換気優先モードまたは室温優先モードを設
定できるようになっており、換気運転動作時、換気優先
モードが設定された部屋についてはダンパを全開し、室
温優先モードが設定された部屋についてはダンパの開度
を絞り、かつ室内ファンの速度を上昇させる。

【０００８】

【実施例】以下、この発明の一実施例について図面を参
照して説明する。第１図に示すように、複数の部屋Ａ，
Ｂ，Ｃを有する建屋１があり、その建屋１内に室内ユニ
ット２を設置している。

【０００９】室内ユニット２は、空気吸込口３および空
気吹出口４を有し、空気吸込口３の内側に室内熱交換器
５を設け、空気吹出口４の内側に室内ファン６を設けて
いる。つまり、室内ファン６の運転により、空気吸込口
３からユニット内に室内空気を吸込み、それを室内熱交
換器５を通して空気吹出口４からユニット外に吹出す構
成としている。

【００１０】室内ユニット２は、さらに、室内ファン６
の吹出口近傍に吹出し空気温度センサ７を備えるととも
に、室内ファン６の駆動用としてインバータ８を備えて
いる。このインバータ８は、商用交流電源（図示しな
い）の電圧を整流し、それを後述する制御器３０の指令
に応じた周波数の電圧に変換し、出力するものである。
この出力は、室内ファン６のモータの駆動電力となる。
つまり、インバータ回路８の出力周波数Ｆに応じて室内
ファン６の速度が連続的に変化する。

【００１１】室内ユニット２の空気吹出口４にダクト１
０の一端を接続する。このダクト１０は、空気吹出口４
から吹出される空調用空気をＡ室，Ｂ室，Ｃ室に分配供
給するためのもので、各部屋に向かう分岐路１１，１
１，１１を有している。この分岐路１１，１１，１１を
Ａ室，Ｂ室，Ｃ室の空気導入口に接続する。分岐路１
１，１１，１１にそれぞれ風量制御ユニット１２を設け
る。これら風量制御ユニット１２は、吹出し風量調節用
のダンパ１３および風量センサ１４を有する。具体例を
図２に示す。ダンパ１３は、モータ１３Ｍの駆動によっ
て開度が零（全閉）から全開まで連続的に変化する。

【００１２】風量センサ１４は、通風を受けて回転する
プロペラ１４ａ、およびそのプロペラ１４ａの回転数に
対応する電圧レベルの信号を出力する検出素子１４ｂか
ら成り、分岐路１１の通風量を検知する手段として働
く。また、建屋１の外に室外ユニット２０を設置し、そ
の室外ユニット２０と室内ユニット２を一対の配管１５
で接続する。

【００１３】室外ユニット２０は、能力可変圧縮機２
１、四方弁２２、室外熱交換器２３、膨張弁２４、室外
ファン２５、インバータ２６を有してる。そして、圧縮
機２１の吐出口に四方弁２２を介して室外熱交換器２３
を接続し、その室外熱交換器２３に配管１５の一方の管
を介して室内ユニット２の室内熱交換器５を接続する。
この室内熱交換器５に配管１５の他方の管および四方弁
２２を介して圧縮機２１の吸込口を接続する。すなわ
ち、室外ユニット２０および室内ユニット２において、
ヒートポンプ式の冷凍サイクルを構成している。

【００１４】上記インバータ２６は、商用交流電源（図
示しない）の電圧を整流し、それを後述する制御器３０
の指令に応じた周波数の電圧に変換し、出力するもので
ある。この出力は、圧縮機２１のモータの駆動電力とな
る。一方、室内ユニット２に制御器３０を設ける。風量
制御ユニット１２，１２，１２に、制御器４０をそれぞ
れ設ける。

【００１５】制御器３０は、マイクロコンピュータおよ
びその周辺回路からなる。この制御器３０に、吹出し空
気温度センサ７、インバータ８、リモートコントロール
式の操作器（以下、リモコンと略称する）３１、四方弁
２２、室外ファン２５のモータ、インバータ２６、制御
器４０，４０，４０を接続する。

【００１６】リモコン３１は、運転モード（冷房／暖
房）、吹出し空気温度、運転／停止など、通常の運転条
件を設定する他に、Ａ室，Ｂ室，Ｃ室に対する換気優先
モードまたは室温優先モードを設定する機能を有する。

【００１７】制御器４０，４０，４０は、マイクロコン
ピュータおよびその周辺回路からなる。この制御器４
０，４０，４０に、風量センサ１４およびリモコン４１
をそれぞれ接続する。これらリモコン４１は、室内温度
を設定する機能に加え、室内温度を検知する機能を備え
ている。そして、制御器４０は、次の機能手段を備え
る。 （１）リモコン４１の検知温度（室内温度）Ｔａと同じ
くリモコン４１の設定室内温度Ｔｓとの差ΔＴを空調負
荷として求める手段。 （２）求めた空調負荷から対応する部屋の必要風量を算
出して求める手段。 （３）求めた必要風量を制御器３０に知らせる手段。 （４）求めた必要風量に従って対応する部屋のダンパ１
３の開度を制御する手段。 （５）風量センサ１４の出力を基に、対応する分岐路１
１の通風量を検知する手段。 （６）検知した通風量を制御器３０に知らせる手段。 制御器３０は、次の機能手段を備える。

【００１８】（１）リモコン３１の操作に従って圧縮機
２１の運転（インバータ２６の駆動）、室外ファン２５
の運転、四方弁２２の切換、室内ファン６の運転（イン
バータ８の駆動）を制御する手段。 （２）リモコン３１の設定吹出し空気温度と吹出し空気
温度センサ７の検知温度との差を空調負荷として求める
手段。 （３）求めた空調負荷に従って圧縮機２１の能力（つま
りインバータ回路２６の出力周波数）を制御する手段。 （４）各制御器４０で求められた必要風量の総和を求め
る手段。 （５）室内ファン６の速度（つまりインバータ８の出力
周波数Ｆ）を必要風量の総和に応じた値に設定する手
段。 （６）各制御器４０で求められた通風量の総和を求める
手段。 （７）通風量の総和が必要風量の総和と等しくなる方向
に室内ファン６の速度（つまりインバータ８の出力周波
数Ｆ）を補正する手段。 （８）リモコン３１の操作に従い、Ａ室，Ｂ室，Ｃ室ご
とに換気優先モードまたは室温優先モードを設定する手
段。 （９）内部タイマのカウントに基づく一定時間ごとに、
各制御器４０で求められた空調負荷（＝ΔＴ）と設定値
Ｘとをそれぞれ比較する手段。

【００１９】（10）全ての空調負荷（＝ΔＴ）が設定値
Ｘよりも小さいとき（ΔＴ＜Ｘ）、換気優先モードが設
定された部屋のダンパ１３を全開し、室温優先モードが
設定された部屋のダンパ１３の開度を絞り、かつ室内フ
ァン６の速度を上昇させて換気運転を実行する手段。 つぎに、上記の構成において作用を説明する。リモコン
３１で冷房または運転モードが選択されるとともに、所
望の吹出し空気温度が設定され、かつ運転開始操作がな
されたとする。

【００２０】すると、室外ユニット２０および室内ユニ
ット２の運転が開始され、室内ユニット２の空気吹出口
４から冷気または暖気が吹出される。この吹出し空気は
ダクト１０によってＡ室，Ｂ室，Ｃ室に分配供給され
る。

【００２１】このとき、室内ユニット２の吹出空気温度
が空気温度センサ７で検知され、その検知温度とリモコ
ン３１の設定吹出し空気温度との差が空調負荷として求
められる。

【００２２】そして、求められた空調負荷に従って圧縮
機２１の能力（つまりインバータ回路２６の出力周波
数）が制御され、吹出し空気温度が設定室内温度に向か
って変化する。一方、制御器４０，４０，４０は、次の
制御を実行する。

【００２３】リモコン４１の検知温度（室内温度）Ｔａ
と同じくリモコン４１の設定室内温度Ｔｓとの差ΔＴを
空調負荷として求め、その空調負荷（＝ΔＴ）を制御器
３０に知らせる。求めた空調負荷から対応する部屋の必
要風量を算出して求め、その必要風量を制御器３０に知
らせる。

【００２４】求めた必要風量に従って対応する部屋のダ
ンパ１３の開度を求め、その開度を制御器３０に知らせ
る。同時に、求めた開度に等しくなるよう、ダンパ１３
を駆動する。風量センサ１４の出力を基に、対応する分
岐路１１の通風量を検知し、その通風量を制御器３０に
知らせる。制御器３０は、次の制御を実行する。各制御
器４０で求められた必要風量の総和を求め、その総和に
対応する室内ファン速度を内部メモリに予め記憶されて
いる速度設定条件から求める。室内ファン６の速度が上
記求めた室内ファン速度となるよう、インバータ８の出
力周波数Ｆを制御する。必要風量の総和と各制御器４０
で求められた通風量の総和との差を求め、その差が一定
範囲内にあるかどうか判定する。

【００２５】差が一定範囲内から外れていれば、その差
が一定範囲内に入る方向、つまり通風量の総和が必要風
量の総和とほぼ等しくなる方向に、インバータ８の出力
周波数Ｆを所定値だけ補正する。

【００２６】このように、室内ファン６の速度を先ずは
必要風量の総和に対応する値に直接的に設定し、次に実
際の通風量の総和が必要風量の総和とほぼ等しくなる方
向へと室内ファン６の速度を補正することにより、Ａ
室，Ｂ室，Ｃ室の負荷変動に対する風量の良好な追従性
を確保することができる。つまり、Ａ室，Ｂ室，Ｃ室の
必要風量を満足できる状態に迅速に至らせることができ
る。また、制御器３０は、図３に示す制御を実行する。
運転中、内部タイマを使ってタイムカウントｔを開始し
（ステップＳ１）、そのタイムカウントｔと設定値ｔ₁
とを比較する（ステップＳ２）。

【００２７】タイムカウントｔが設定値ｔ₁ に達すると
（ｔ≧ｔ₁ ）、各制御器４０で求められた空調負荷つま
り温度差ΔＴを取込み（ステップＳ３）、その温度差Δ
Ｔと設定値Ｘとをそれぞれ比較する（ステップＳ４）。
全ての温度差ΔＴが設定値Ｘよりも小さいとき（ΔＴ＜
Ｘ）、換気運転を行なう。

【００２８】すなわち、室内ファン６の速度を最大まで
上昇させて風量を１００％に設定するとともに（ステッ
プＳ５）、換気優先モードが設定された部屋たとえばＡ
室，Ｂ室のダンパ１３を全開し（ステップＳ６）、室温
優先モードが設定された部屋たとえばＣ室のダンパ１３
の開度を絞る（ステップＳ７）。

【００２９】したがって、換気優先モードの部屋には大
量の空調用空気が入り、十分な換気作用を確保すること
ができる。室温優先モードの部屋については、ダンパ１
３を閉動作させて空調用空気の導入量を制限するので、
室内温度の変動を防ぐことができる。つまり、室内温度
制御を重視しながらも、室内の適切な換気が可能であ
る。ここで、換気優先モードの部屋の風量と室内温度の
関係、および室温優先モードの部屋の風量と室内温度の
関係の例を図４に示す。また、換気運転時、内部タイマ
でタイムカウントｔを開始し（ステップＳ８）、そのタ
イムカウントｔと設定値ｔ₂ とを比較する（ステップＳ
９）。

【００３０】タイムカウントｔが設定値ｔ₂ に達したら
（ｔ≧ｔ₂ ）、室内ファン６の速度を通常値に戻し（ス
テップＳ10）、Ａ室，Ｂ室，Ｃ室のダンパ１３をそれぞ
れ通常開度に戻し（ステップＳ11，Ｓ12）、換気運転を
終了する。

【００３１】なお、上記実施例では、換気運転に入る条
件を、全ての部屋の空調負荷（＝ΔＴ）が設定値よりも
小さいときとしたが、換気優先モードの部屋のみの空調
負荷が設定値よりも小さいときとしてもよい。

【００３２】

【発明の効果】以上述べたようにこの発明によれば、室
内ファンの運転により空調用空気を吹出す室内ユニット
と、複数の部屋に向かう分岐路を有し各部屋に上記室内
ユニットの吹出風を分配供給するダクトと、このダクト
の各分岐路内に設けた吹出し風量調節用のダンパと、上
記各部屋の空調負荷を求める手段と、これら空調負荷に
応じて上記各ダンパの開度を制御する手段と、上記室内
ファンの速度を上記各空調負荷の総和に応じて制御する
手段と、上記各部屋ごとに換気優先モードまたは室温優
先モードを設定する手段と、換気運転動作時、換気優先
モードが設定された部屋のダンパを全開し、室温優先モ
ードが設定された部屋のダンパの開度を絞り、かつ上記
室内ファンの速度を上昇させる手段とを備えたので、室
内温度制御を重視しながらも、室内の適切な換気を可能
とする空気調和機を提供できる。

【図面の簡単な説明】

【図１】この発明の一実施例の構成を示す図。

【図２】同実施例における風量制御ユニットの具体的な
構成を示す図。

【図３】同実施例の作用を説明するためのフローチャー
ト。

【図４】同実施例における換気運転時の風量と室内温度
との関係を示す図。

【符号の説明】

１…建屋、２…室内ユニット、５…室内熱交換器、６…
室内ファン、１０…ダクト、１１…分岐路、１２…風量
制御ユニット、１３…ダンパ、２０…室外ユニット、２
１…能力可変圧縮機、２３…室外熱交換器、３０…制御
器、４０…制御器。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 【請求項１】 室内ファンの運転により空調用空気を吹
   出す室内ユニットと、複数の部屋に向かう分岐路を有し
   各部屋に前記室内ユニットの吹出風を分配供給するダク
   トと、このダクトの各分岐路内に設けた吹出し風量調節
   用のダンパと、前記各部屋の空調負荷を求める手段と、
   これら空調負荷に応じて前記各ダンパの開度を制御する
   手段と、前記室内ファンの速度を前記各空調負荷の総和
   に応じて制御する手段と、前記各部屋ごとに換気優先モ
   ードまたは室温優先モードを設定する手段と、換気運転
   動作時、換気優先モードが設定された部屋のダンパを全
   開し、室温優先モードが設定された部屋のダンパの開度
   を絞り、かつ前記室内ファンの速度を上昇させる手段と
   を備えたことを特徴とする空気調和機。