JPH05263874A - エンジンの可変フライホイール - Google Patents

エンジンの可変フライホイール

Info

Publication number
JPH05263874A
JPH05263874A JP9480592A JP9480592A JPH05263874A JP H05263874 A JPH05263874 A JP H05263874A JP 9480592 A JP9480592 A JP 9480592A JP 9480592 A JP9480592 A JP 9480592A JP H05263874 A JPH05263874 A JP H05263874A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
wheel
variable
engine
flywheel
rotation
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP9480592A
Other languages
English (en)
Inventor
Masanari Fukuma
真生 福馬
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Mazda Motor Corp
Original Assignee
Mazda Motor Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Mazda Motor Corp filed Critical Mazda Motor Corp
Priority to JP9480592A priority Critical patent/JPH05263874A/ja
Publication of JPH05263874A publication Critical patent/JPH05263874A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Retarders (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【目的】 自動車用等のエンジンに用いられる慣性モー
メント可変のフライホイールにおいて、フライホイール
全体としての重量の増加をできるだけ抑制しながら、大
きな慣性モーメントの付加を可能とする。 【構成】 エンジン出力軸12に取り付けられた主ホイ
ール21と、該主ホイール21に対して相対回転可能な
大径の付加ホイール23及び小径の可変ホイール25と
を設け、上記主ホイール21に支持されたピニオン26
を付加ホイール23に設けた内歯ギヤ23aと可変ホイ
ール25に設けた外歯ギヤ25aとに噛合させて、主ホ
イール21、付加ホイール23及び可変ホイール25を
それぞれピニオンキャリヤ、リングギヤ及びサンギヤと
する遊星歯車機構を構成し、かつ、上記可変ホイール2
5を固定するブレーキ手段31を備える。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は自動車用等のエンジンに
備えられるフライホイール、特に慣性モーメントが可変
のフライホイールに関する。
【0002】
【従来の技術】エンジンの出力軸には、回転変動を抑制
するためのフライホイールを取り付けるのが通例である
が、このフライホイールは、特に回転変動が大きいアイ
ドル時には、これを効果的に低減する反面、回転変動が
あまり問題とならない高回転時には、徒らに負荷を増大
させてエンジンの燃費性能を悪化させ、また、加速時に
加速応答性を低下させる原因となるのである。
【0003】これに対しては、例えば実開昭56−17
3241号公報に開示されているように、慣性モーメン
トを可変としたフライホイールが提案されている。この
フライホイールは、図3に示すように、エンジン出力軸
1の端部に主ホイール2を固着する一方、該出力軸1上
に付加ホイール3を回転自在に配置し、さらに、この付
加ホイール3のボス部3a上に可変ホイール4を回転自
在に備えると共に、上記主ホイール2に内歯ギヤ5を、
付加ホイール3に外歯ギヤ6をそれぞれ設け、また、可
変ホイール4には、上記内歯ギヤ5と外歯ギヤ6とに噛
合するピニオン7を回転自在に支持させ、さらに、上記
可変ホイール4の回転を停止させるブレーキ部材8を備
えた構成とされている。そして、アクセルペダルが踏み
込まれていないときには、上記ブレーキ部材8が可変ホ
イール4の周面に押し付けられて該ホイール4の回転を
停止させ、また、アクセルペダルが踏み込まれれば、該
ブレーキ部材8が可変ホイール4の周面から離反されて
該ホイール4の回転を許容するようになっている。
【0004】このフライホイールによれば、アクセルペ
ダルが踏み込まれていないアイドル時には、ブレーキ部
材8により可変ホイール4の回転が停止されるから、エ
ンジン出力軸1の回転により、主ホイール2、内歯ギヤ
5、ピニオン7及び外歯ギヤ6を介して付加ホイール3
も回転することになり、そのため、この付加ホイール3
の慣性モーメントが上記主ホイール2の慣性モーメント
に付加されて、エンジン出力軸1の回転変動が効果的に
低減されることになる。
【0005】また、アクセルペダルが踏み込まれた高回
転時や加速時等においては、上記ブレーキ部材8が可変
ホイール4の周面から離反して該可変ホイール4がフリ
ーとなるので、エンジン出力軸1ないし主ホイール2の
回転が付加ホイール3に伝達されないことになり、該付
加ホイール3がエンジン出力軸1から切り離された状態
となる。そのため、フライホイール全体としての慣性モ
ーメントは主として上記主ホイール2の慣性モーメント
だけとなり、その結果、高回転時における燃費性能や加
速時における応答性等が向上することになるのである。
【0006】そして、特に、このフライホイールによれ
ば、内歯ギヤ5が設けられた主ホイール2、外歯ギヤ6
が設けられた付加ホイール3、及びピニオン7を支持す
る可変ホイール4が、リングギヤ、サンギヤ及びピニオ
ンキャリヤにそれぞれ相当して遊星歯車機構を構成する
と共に、アイドル時には、ブレーキ部材8によってピニ
オンキャリヤに相当する可変ホイール4が固定されるか
ら、リングギヤに相当する主ホイール2からサンギヤに
相当する付加ホイール3にエンジン出力軸1の回転が増
速されて伝達されることになる。その結果、該付加ホイ
ール3の慣性モーメントがエンジン出力軸1と同速度で
回転する場合より大きくなり、これに伴って、フライホ
イール全体としても大きな慣性モーメントが得られて、
アイドル時の回転変動が一層効果的に抑制されることに
なるのである。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】このように、図3に示
すフライホイールによれば、付加ホイール3をエンジン
出力軸1に連動させて回転させる状態と、該出力軸1か
ら切り離す状態との切換えにより慣性モーメントが可変
とされるのであるが、このフライホイールは、さらに解
決すべき次のような課題を有するのである。
【0008】まず、慣性モーメントを大きくするときに
エンジン出力軸1に連動して回転する付加ホイール3
は、該付加ホイール3、主ホイール2及び可変ホイール
4等によって構成される遊星歯車機構のサンギヤに相当
するものであるから、この遊星歯車機構によって回転速
度が増速されるとしても、該付加ホイール3の慣性モー
メントは、その質量の割りには大きなものとはならない
のである。つまり、この種の回転体の慣性モーメント
は、回転速度が大きいほど、また、質量分布が回転中心
から離れているほど大きくなるのであるが、上記付加ホ
イール3は遊星歯車機構のサンギヤに相当するものであ
るから、図3からも明らかなように、質量分布が回転中
心に近い位置に集中することになり、そのため、質量を
一定とした場合、あまり大きな慣性モーメントが得られ
ず、また、大きな慣性モーメントを得ようとすれば質量
を大きくしなければならないことになる。その結果、エ
ンジン総重量の増加や燃費性能の悪化等を招くことにな
るのである。
【0009】また、上記の構成によれば、付加ホイール
3を連動回転させるために可変ホイール4の回転を停止
させるブレーキ部材8が、該可変ホイール4の周面に半
径方向に押し付けられることによって制動力を発生させ
る構成であるから、制動時に該可変ホイール4を支持す
るエンジン出力軸1に曲げ荷重が作用することになる。
この場合、エンジン出力軸1を支持する主軸受9の負荷
が増大し、該主軸受9の耐久性を低下させる原因となる
のである。
【0010】そこで、本発明は、慣性モーメント可変の
フライホイールにおいて、フライホイール全体としての
重量ないしエンジンの総重量の増加をできるだけ抑制し
ながら、大きな慣性モーメントの付加を可能とし、併せ
て、エンジン出力軸に対する曲げ荷重の作用や主軸受の
負荷の増大等を回避することを課題とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するた
め、本発明は次のように構成したことを特徴とする。
【0012】まず、本願の請求項1に係る発明(以下、
第1発明という)は、エンジンの出力軸に設けられる慣
性モーメント可変のフライホイールにおいて、上記出力
軸に直接取り付けられた主ホイールと、該主ホイールに
対して相対回転可能に設けられた大径の付加ホイール及
び小径の可変ホイールとを設けると共に、上記主ホイー
ルに回転自在に支持されたピニオンを付加ホイールに設
けられた内歯ギヤと可変ホイールに設けられた外歯ギヤ
とに噛合させることにより、この主ホイール、付加ホイ
ール及び可変ホイールをそれぞれピニオンキャリヤ、リ
ングギヤ及びサンギヤとする遊星歯車機構を構成し、か
つ、上記可変ホイールの回転を停止させるブレーキ手段
を備えたことを特徴とする。
【0013】また、請求項2に係る発明(以下、第2発
明という)は、上記第1発明におけるブレーキ手段を、
可変ホイールにその軸心方向に制動力を加えることによ
り該可変ホイールの回転を停止させるように構成したこ
とを特徴とする。
【0014】さらに、請求項3に係る発明(以下、第3
発明という)は、上記第2発明におけるブレーキ手段
を、エンジンのシリンダブロックに設けたことを特徴と
する。
【0015】そして、請求項4に係る発明(以下、第4
発明という)は、上記第1〜第3発明において、ブレー
キ手段を、アイドル状態を含むエンジンの低負荷低回転
領域で可変ホイールの回転を停止させるように作動させ
ると共に、この可変ホイールの回転を停止させる領域
を、当該エンジンに付設された変速機の変速段が高変速
段側にあるほど広くなるように設定したことを特徴とす
る。
【0016】
【作用】上記の構成によれば、まず、ブレーキ手段によ
り可変ホイールの回転を停止させていない状態では、該
可変ホイールがフリーな状態となるため、エンジン出力
軸及びこれに直接取り付けられた主ホイールの回転が付
加ホイールに伝達されず、該付加ホイールがエンジン出
力軸及び主ホイールから切り離された状態となる。した
がって、フライホイール全体としての慣性モーメント
は、主として主ホイールの慣性モーメントだけの比較的
小さなものとなる。
【0017】一方、上記ブレーキ手段により可変ホイー
ルの回転を停止させれば、エンジン出力軸と一体的に主
ホイールが回転すると同時に、この主ホイールの回転に
よりピニオンを介して付加ホイールが回転することにな
る。その場合に、この主ホイール、付加ホイール及び可
変ホイールは遊星歯車機構のピニオンキャリヤ、リング
ギヤ及びサンギヤにそれぞれ相当すると共に、そのサン
ギヤに相当する可変ホイールが固定されるので、付加ホ
イールはエンジン出力軸ないし主ホイールの回転より増
速されて回転することになる。そして、特に、この付加
ホイールは遊星歯車機構のリングギヤに相当して半径が
大きく、質量分布が回転中心より離れた位置に集中して
いるから、一定の質量に対して大きな慣性モーメントが
得られることになる。これにより、上記可変ホイールを
固定することによって、フライホイール全体の慣性モー
メントが効果的に増大されることになる。
【0018】また、第2発明によれば、上記可変ホイー
ルの回転を停止させるに際して、ブレーキ手段は該可変
ホイールの軸方向に制動力を作用させるようになってい
るから、この制動力に基づいてエンジン出力軸に曲げ荷
重が作用したり、主軸受の負荷が増大したりすることが
ないのである。
【0019】さらに、第3発明によれば、ブレーキ手段
がエンジンのシリンダブロックに設けられるので、この
ブレーキ手段を設けるためのスペースを別途確保する必
要がなくなって、エンジンの全長の増大や大型化が回避
されると共に、該ブレーキ手段に対する高い支持剛性が
得られるから、該ブレーキ手段による制動力が可変ホイ
ールに確実に伝達されることになる。
【0020】そして、第4発明によれば、アイドル時
と、該アイドル時と同様にエンジン出力軸の回転変動が
当該自動車の乗り心地に悪影響を及ぼす低負荷低回転領
域における高変速段での走行時に慣性モーメントが大き
くされて、回転変動が確実に低減されると共に、回転変
動の乗り心地に与える影響が特に問題とならない低変速
段での加速時には、慣性モーメントを大きくする領域が
狭くされて、該慣性モーメントが速やかに小さくされる
ことにより、良好な加速応答性が得られることになる。
【0021】
【実施例】以下、本発明の実施例について説明する。
【0022】図1に示すように、この実施例に係るエン
ジン10においては、シリンダブロック11から突出し
た出力軸12の端部にフライホイール20が取り付けら
れていると共に、このフライホイール20の後方には、
上記エンジン出力軸12と変速機への入力軸13とを断
接するクラッチ(図示せず)が配備されている。
【0023】上記フライホイール20は、エンジン出力
軸12の端部に設けられたフランジ12aに複数のボル
ト14を用いて固着された主ホイール21と、この主ホ
イール21のシリンダブロック11側の面の外周部に軸
受22を介して回転自在に保持された付加ホイール23
と、同じく主ホイール21のエンジン10側の面に軸受
24を介して回転自在に保持された可変ホイール25と
を有する。この付加ホイール23と可変ホイール25と
は、いずれもリング状であって、大径の付加ホイール2
3の内側に小径の可変ホイール25が位置するように配
置されている。
【0024】そして、付加ホイール23の内周面には内
歯ギヤ23aが設けられ、また可変ホイール25の外周
面には上記内歯ギヤ23aに対向させて同一諸元の外歯
ギヤ25aが設けられていると共に、上記主ホイール2
1のシリンダブロック11側の面には、同一円周上に複
数のピニオン26…26がピニオンシャフト27…27
を介してそれぞれ回転自在に支持され、これらのピニオ
ン26…26が上記付加ホイール23の内歯ギヤ23a
と可変ホイール25の外歯ギヤ25aとに噛合されてい
る。これにより、主ホイール21がピニオンキャリヤ、
付加ホイール23がリングギヤ、可変ホイール25がサ
ンギヤにそれぞれ相当する遊星歯車機構が構成されてい
る。
【0025】一方、上記シリンダブロック11のフライ
ホイール20に対向する面には、上記可変ホイール25
と径がほぼ等しいブレーキリング31が出力軸12の軸
方向にのみ移動可能に支持されており、このブレーキリ
ング31における可変ホイール25側の部分の内周面に
設けられた円錐面31aと、可変ホイール25における
ブレーキリング31側の部分の外周面に設けられた円錐
面25bとが、所要の間隙を隔てて相対向するように配
置されている。
【0026】また、このブレーキリング31は、スプリ
ング32により可変ホイール25側、即ち上記両円錐面
25b,31aが対接する方向に付勢されていると共
に、上記シリンダブロック11には、油圧シリンダ33
と、一端が該シリンダ33のピストンロッド33aに当
接し、他端が上記ブレーキリング31の外周面に設けら
れた鍔部31bに係合された操作レバー34とが備えら
れている。そして、上記油圧シリンダ33に油路35を
介して油圧が供給されてピストンロッド33aが突出さ
れたときに、操作レバー34が図面上、時計回り方向に
回動することにより、上記スプリング32に抗してブレ
ーキリング31を可変ホイール25から後退させる方
向、即ち上記両円錐面25b,31aが離反する方向に
移動させるようになっている。
【0027】なお、この実施例においては、上記付加ホ
イール23の外周にエンジン始動用のリングギヤ28が
設けられ、始動時に、上記ブレーキリング31により可
変ホイール25の回転が停止されると共に、この始動用
リングギヤ28にスタータのピニオン(図示せず)が噛
合して、付加ホイール23を駆動するようになってい
る。
【0028】次に、この実施例の作用を説明する。
【0029】まず、エンジン10のシリンダブロック1
1に設けられた油圧シリンダ33に油圧が供給され、操
作レバー34を介してブレーキリング31が可変ホイー
ル25から後退されて、該ブレーキリング31と可変ホ
イール25の円錐面31a,25bが互いに離反してい
る状態では、主ホイール21、付加ホイール23及び可
変ホイール25で構成される遊星歯車機構においては、
ピニオンキャリヤに相当する主ホイール21がエンジン
出力軸12と一体的に回転するだけで、リングギヤ及び
サンギヤにそれぞれ相当する付加ホイール23及び可変
ホイール25はフリーな状態となり、上記エンジン出力
軸12の回転が伝達されないことになる。そのため、エ
ンジン出力軸12の回転に対して作用するフライホイー
ル20の全体としての慣性モーメントは、上記主ホイー
ル21による慣性モーメントにピニオン26…26及び
ピニオンシャフト27…27の分を加えただけの比較的
小さなものとなる。
【0030】なお、この場合においても、主ホイール2
1の回転により付加ホイール23及び可変ホイール25
が連れ回りすることになり、その回転による慣性モーメ
ントがエンジン出力軸12に作用することが考えられる
が、この実施例のように、大径の付加ホイール23の質
量を大きくし、小径の可変ホイール25の質量を小さく
すれば、これらが主ホイール21の回転に連れ回りする
場合に、専ら可変ホイール25が回転して付加ホイール
23はほとんど回転しないことになる。したがって、こ
の連れ回りによる慣性モーメントの増加分を考慮して
も、その増加分は小径で、質量の小さな可変ホイール2
5によるごく小さなものだけとなり、実質的に、この場
合のエンジン出力軸12に作用する慣性モーメントは、
主ホイール21によるものだけとなる。
【0031】一方、上記油圧シリンダ33から油圧が排
出されて、スプリング32の付勢力によりブレーキリン
グ31の円錐面31aが可変ホイール25の円錐面25
bに圧接されて、該可変ホイール25の回転が停止され
ることになり、この状態では、エンジン出力軸12と一
体回転する主ホイール21により、ピニオン26…26
を介して付加ホイール23が回転駆動されることにな
る。そのため、エンジン出力軸12に作用するフライホ
イール20の全体としての慣性モーメントは、主ホイー
ル21とピニオン26…26及びピニオンシャフト27
…27等による慣性モーメントに付加ホイール23の慣
性モーメントを加えたものとなる。
【0032】そして、この場合、主ホイール21と付加
ホイール23と可変ホイール25とで構成される遊星歯
車機構においては、サンギヤに相当する可変ホイール2
5が固定されるから、ピニオンキャリヤに相当する主ホ
イール21からの回転により、リングギヤに相当する付
加ホイール23は、主ホイール21の回転にピニオン2
6…26の自転分だけ増速されて回転することになる。
また、この付加ホイール23は、上記のように遊星歯車
機構のリングギヤに相当するものであって、主ホイール
21の外周部に対応させて大径のリング状とされてお
り、質量分布が半径の大きい部位に集中しているのであ
る。そのため、この付加ホイール23によれば質量の割
に大きな慣性モーメントが得られることになり、フライ
ホイール20の全体としても、重量の増大を抑制しなが
ら大きな慣性モーメントが得られることになるのであ
る。
【0033】以上のように、このフライホイール20に
よれば、慣性モーメントが大きな状態と小さな状態との
切り換えが可能であるから、例えば、エンジンのアイド
ル時には慣性モーメントを大きくして、アイドル時に特
に著しくなる回転変動を抑制すると共に、回転変動が特
に問題とならない運転領域では、慣性モーメントを小さ
くして、加速応答性や燃費性能を向上させることが可能
となるのであるが、実際に自動車に適用する場合には、
例えば次のように慣性モーメントの切り換え制御が行わ
れる。
【0034】即ち、図2に示すように、この例では、エ
ンジン回転数とエンジン負荷とで示されるエンジンの運
転領域において、定常走行ライン(ロードロードライ
ン)を基準として、アイドル状態を含む所定の低回転低
負荷領域(図の斜線部)で慣性モーメントを大きくする
ように設定されていると共に、特に、この低回転低負荷
の領域を変速機の変速段が高変速段側にあるほど広くな
るように設定される。
【0035】これによれば、アイドル時にエンジン出力
軸12の回転変動が抑制されると共に、所定の低負荷低
回転領域での走行時にも回転変動が抑制されて、この領
域での当該自動車の乗り心地が向上することになる。そ
の場合に、特にエンジン出力軸12の回転変動が乗り心
地に影響し易い低負荷低回転領域における高変速段での
走行時には、慣性モーメントを大きくする領域が広くさ
れることにより、エンジン出力軸12の回転変動が確実
に抑制され、また、この回転変動が問題とならない低変
速段での加速時等には、慣性モーメントを大きくする領
域が狭くされることにより、良好な加速応答性が得られ
ることになる。
【0036】なお、以上の実施例では、図1に示すよう
に、上記可変ホイール25の回転を停止させるブレーキ
リング31は、該可変ホイール25に対してその軸心方
向に制動力を付与するようになっているから、この制動
力によってはエンジン出力軸12にスラスト力が作用す
るだけで、該エンジン出力軸12に曲げ荷重が作用する
ことはない。したがって、主軸受15の負荷を増大させ
て、その耐久性を低下させるといった問題が生じること
はないのである。
【0037】また、上記ブレーキリング31を作動させ
るスプリング32、油圧シリンダ33及び操作レバー3
4等は、エンジン10のシリンダブロック11内ないし
該ブロック11とフライホイール20との間のスペース
に配設されているから、これらを設けることによるエン
ジンの全長の増大や大型化等を招かないのであり、ま
た、ブレーキリング31は剛性の高いシリンダブロック
11に支持されているから、該ブレーキリング31に対
する高い支持剛性が得られることになり、したがって、
該ブレーキリング31による制動力が可変ホイール25
に確実に伝達されることになる。
【0038】さらに、この実施例によれば、エンジン1
0の始動時にブレーキリング31により可変ホイール2
5の回転が停止されると共に、付加ホイール23の外周
の始動用リングギヤ28にスタータのピニオンが噛合し
て、該付加ホイール23が駆動されるのであるが、この
場合、上記スタータのピニオンとリングギヤ28とのギ
ヤ比に応じて減速されて付加ホイール23が駆動される
と共に、さらに、この付加ホイール23の回転が減速さ
れて主ホイール21からエンジン出力軸12に伝達され
るから、該エンジン出力軸12を所定の回転速度で駆動
するに当たって、従来必要とされていたスタータに内蔵
された減速機構を省略することができ、したがって、該
スタータの簡素化やコストの低減が図られることにな
る。
【0039】なお、以上の実施例では、可変ホイール2
5の回転を停止させるブレーキリング31をスプリング
32や油圧シリンダ33等によって作動させるようにし
たが、これ以外に、例えばソレノイド等の使用も可能で
ある。
【0040】
【発明の効果】以上のように本発明に係るエンジンの可
変フライホイールによれば、ブレーキ手段により可変ホ
イールの回転を停止させていない状態では、フライホイ
ール全体としての慣性モーメントは、主として主ホイー
ルによる慣性モーメントだけの比較的小さなものとな
り、また、上記ブレーキ手段により可変ホイールの回転
を停止させれば、上記主ホイールによる慣性モーメント
に付加ホイールの慣性モーメントが付加されて、フライ
ホイール全体として大きな慣性モーメントが得られるこ
とになる。
【0041】そして、特に本発明によれば、上記付加ホ
イールは、遊星歯車機構の作用により、エンジン出力軸
及び主ホイールの回転によ増速されて駆動されると共
に、この付加ホイールは遊星歯車機構におけるリングギ
ヤに相当して半径が大きく、質量分布が回転中心より離
れた位置に集中しているから、一定の質量に対して大き
な慣性モーメントが得られることになる。これにより、
フライホイール全体としての重量ないしエンジンの総重
量の増加を抑制しながら、慣性モーメントが効果的に増
大される可変フライホイールが実現されることになる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施例を示す可変フライホイールの
断面図である。
【図2】 慣性モーメントの切換え制御の領域を示す図
である。
【図3】 慣性モーメント可変のフライホイールの従来
例を示す断面図である。
【符号の説明】
10 エンジン 11 シリンダブロック 12 エンジン出力軸 20 フライホイール 21 主ホイール 23 付加ホイール 23a 内歯ギヤ 25 可変ホイール 25a 外歯ギヤ 26 ピニオン 31,32,33,34 ブレーキ手段(ブレーキリ
ング、 スプリング油圧シリンダ、操作レバー)

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 エンジンの出力軸に設けられる慣性モー
    メント可変のフライホイールであって、上記エンジン出
    力軸に直接取り付けられた主ホイールと、該主ホイール
    に対して相対回転可能に設けられた大径の付加ホイール
    及び小径の可変ホイールとを有すると共に、上記主ホイ
    ールに回転自在に支持されたピニオンが付加ホイールに
    設けられた内歯ギヤと可変ホイールに設けられた外歯ギ
    ヤとに噛合されて、この主ホイール、付加ホイール、可
    変ホイール及びピニオンで遊星歯車機構が構成されてお
    り、かつ、上記可変ホイールの回転を停止させるブレー
    キ手段が備えられていることを特徴とするエンジンの可
    変フライホイール。
  2. 【請求項2】 ブレーキ手段は、可変ホイールにその軸
    心方向に制動力を加えることにより該可変ホイールの回
    転を停止させるように構成されていることを特徴とする
    請求項1に記載のエンジンの可変フライホイール。
  3. 【請求項3】 ブレーキ手段は、エンジンのシリンダブ
    ロックに設けられていることを特徴とする請求項2に記
    載のエンジンの可変フライホイール。
  4. 【請求項4】 ブレーキ手段は、アイドル状態を含むエ
    ンジンの低負荷低回転領域で可変ホイールの回転を停止
    させると共に、この可変ホイールの回転を停止させる領
    域が、当該エンジンに付設された変速機の変速段が高変
    速段側にあるほど広くなるように設定されていることを
    特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のエンジンの
    可変フライホイール。
JP9480592A 1992-03-21 1992-03-21 エンジンの可変フライホイール Pending JPH05263874A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP9480592A JPH05263874A (ja) 1992-03-21 1992-03-21 エンジンの可変フライホイール

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP9480592A JPH05263874A (ja) 1992-03-21 1992-03-21 エンジンの可変フライホイール

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JPH05263874A true JPH05263874A (ja) 1993-10-12

Family

ID=14120277

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP9480592A Pending JPH05263874A (ja) 1992-03-21 1992-03-21 エンジンの可変フライホイール

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JPH05263874A (ja)

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US7594871B2 (en) 2006-01-31 2009-09-29 Honda Motor Co., Ltd. Variable flywheel mechanism and flywheel apparatus
KR101231350B1 (ko) * 2006-12-14 2013-02-07 현대자동차주식회사 가변 관성질량 플라이휠 구조

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US7594871B2 (en) 2006-01-31 2009-09-29 Honda Motor Co., Ltd. Variable flywheel mechanism and flywheel apparatus
KR101231350B1 (ko) * 2006-12-14 2013-02-07 현대자동차주식회사 가변 관성질량 플라이휠 구조

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US7255186B2 (en) Hybrid drive system and vehicle equipped therewith
JP4752089B2 (ja) ベルト式無段変速機
JPS62215150A (ja) 伝動装置
JPS642823B2 (ja)
JP2000346169A (ja) 車両用無段変速機の制御装置
JP2019199131A (ja) ハイブリッド車両の駆動装置
JPH01312266A (ja) トロイダル形無段変速装置
JP2003220842A (ja) トルク伝達装置
JP2011174618A (ja) 軸部材の支持装置
US6648112B2 (en) Power transmitting apparatus with a torque converter
EP1158211A2 (en) Belt-type continuously variable transmission
JP4096370B2 (ja) 無段変速機
JPH05263874A (ja) エンジンの可変フライホイール
JP3886463B2 (ja) フライホイール装置
JP4165028B2 (ja) ハイブリッド車両の制御装置
JP2022030899A (ja) 変速機および車両用駆動装置
JP4374864B2 (ja) 動力伝達装置
JP4085457B2 (ja) 無段変速装置
JPH0242239A (ja) 自動変速機におけるスナップリング支持装置
JP2020138581A (ja) ハイブリッド車両の駆動装置
JPH05202763A (ja) 2基のエンジンを有する無段変速装置
JPH08318741A (ja) ハイブリット車輌
JP7393284B2 (ja) ダイナミックダンパ装置
JPH08100844A (ja) 自動変速機の動力伝達装置
JPH0874966A (ja) 無段変速装置