JPH0526346Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本考案は、四輪自動車や自動二輪車等の車両に
搭載されるドラムブレーキであつて、特に、パー
キングレバーとストラツトとを備える車両用ドラ
ムブレーキに関する。

〔従来の技術〕

一方のブレーキシユーのウエブに、ブレーキケ
ーブルに牽引操作されるパーキングレバーを回動
可能に軸支し、このパーキングレバーと他方のブ
レーキシユーのウエブとの間にストラツトを配設
して、両ブレーキシユーの後退限を規制するよう
にしたドラムブレーキでは、車体組付け時に、予
め非作動時のブレーキシユーのライニングとブレ
ーキドラムの内周面との間に、所定のシユークリ
アランスが設定されるが、ライニングの縮径位置
を規制するウエブやパーキングレバー、ストラツ
ト等の構成部材が、一般にやや小さめに形成され
ることから、これら製作誤差としてシユークリア
ランスに集積される。

この集積誤差は、両ブレーキシユーが縮径した
際には、設定値以上の余分なシユークリアランス
となり、拡開作動時にはロスストロークとなつ
て、初期制動に遅れを生じる。

このため、例えば実開昭53−284号公報では、
前記他方のブレーキシユーのウエブに孔を穿つ
て、ねじりばねのつる巻き部を挿通し、該ばねの
一端をストラツトに穿設した孔に係止すると共
に、他端を他方のブレーキシユーのリムに当接さ
せて、ストラツトをパーキングレバーに向けて弾
圧している。

〔考案が解決しようとする課題〕

しかしながら、上述のねじりばねの弾発力は、
上記構成部材の製作誤差を適正に埋めるものでな
く、ねじりばねの弾発力が小さいと、製作誤差に
よる間隙を埋めきれずにロスストロークが残り、
また弾発力が大きいと、ブレーキドラムの内周面
にライニングが接触して、引摺りを生じることと
なる。

そこで本考案は、ライニングの引摺り防止はも
とより、製作誤差による間隙を埋めて、適正なシ
ユークリアランスを得るようにした車両用ドラム
ブレーキを提供することを目的としている。

〔課題を解決するための手段〕

上述の目的を達成するため、本考案は、一対の
ブレーキシユーをバツクプレートに対向配置し、
一方のブレーキシユーのウエブに、ブレーキケー
ブルに牽引操作されるパーキングレバーを回動可
能に軸支し、該パーキングレバーと他方のブレー
キシユーのウエブとの間に、両ブレーキシユーの
後退限を規制するストラツトを配設した車両用ド
ラムブレーキにおいて、前記ストラツトのパーキ
ングレバー側の端部に、リテーナを着脱自在に設
けると共に、該リテーナに、前記ストラツトと前
記パーキングレバーとの間に介装される差込み片
と、前記一方のブレーキシユー側へ延び、更に該
ブレーキシユーのウエブの反バツクプレート側に
突出する浮上がり抑え部とを形成したことを特徴
としている。

〔作用〕

初期設定時に装着されるリテーナは、差込み片
が、ブレーキシユーのウエブやストラツト等の構
成部材の製作誤差を集積した間隙量と同一の厚み
で形成され、この差込み片を、ストラツトとパー
キングレバーとの間に差込んで間隙を埋込、両ブ
レーキシユーの後退限を規制することにより、ラ
イニングとブレーキドラムの内周面との間に、適
正なシユークリアランスが設定される。

また、制動作用の繰返しによつてブレーキシユ
ーが摩耗すると、上述のシユークリアランスが設
定値以上に拡がるが、定期整備を行なつた際に、
リテーナをストラツトから取外し、ライニング摩
耗分の厚さを増した差込み片を持つリテーナと交
換して、ロスストロークを補償することにより、
所定のシユークリアランスが設定される。

〔実施例〕

以下、本考案の第１実施例を第１図乃至第３図
に基づいて説明する。

ドラムブレーキ１は、バツクプレート２に対向
配置される一対のブレーキシユー３，４の両端部
間を、アンカーピン５とフローテイングサポート
６とに支持されるデイオ・サーボ型の機械式パー
キングブレーキで、一方のブレーキシユー３とバ
ツクプレート２との間には、ブレーキワイヤ７に
て牽引操作されるパーキングレバー８が回動可能
に軸支されている。

ブレーキシユー３，４は、それぞれバツクプレ
ート２と平行に配置されるウエブ９ａと、該ウエ
ーブ９ａの外縁に直交して固設されるリム９ｂ
と、このリム９ｂの背面に貼着されるライニング
９ｃとからなつており、これらブレーキシユー
３，４は、ウエブ９ａの略中間部を、シユーホー
ルドピン１０とシユーホールドスプリング１１に
て、バツクプレート２に弾持される。

各ウエブ９ａの外側には切欠き９ｄが形成さ
れ、両切欠き９ｄ，９ｄとアンカーピン５との間
には、両ブレーキシユー３，４を縮径方向に付勢
するコイル状のリターンスプリング１２，１３が
張設されている。

上記パーキングレバー８は、一端８ａをブレー
キシユー３のウエブ９ａに支軸１６にて軸支さ
れ、他端８ｂに上記ブレーキワイヤ７が接続され
るもので、このパーキングレバー８と他方のブレ
ーキシユー４のウエブ９ａとの間には、両ブレー
キシユー３，４の後退限を規制するストラツト１
４が、アンカーピン５の内側に近接して設けられ
ている。

ブレーキシユー４側に配置されるストラツト１
４の他端１４ｂは、ウエブ９ａの切欠き９ｅに嵌
合され、ブレーキシユー３側に配置される一端１
４ａ側には、短冊状の板材を折曲げて形成したリ
テーナ１５が着脱自在に設けられる。

このリテーナ１５は、ストラツト１４の反バツ
クプレート側面にビス１７にて螺着される取付け
片１５ａと、一端１４ａの切欠き１４ｃとパーキ
ングレバー８との間に介装される差込み片１５ｂ
と、両片１５ａ，１５ｂの間からブレーキシユー
３側へ延び、更にウエブ９ａの反バツクプレート
側へ突出して湾曲状に折返される浮上がり抑え部
１５ｃとからなつている。

取付け片１５ａは、ビス１７を挿通するための
ビス孔１５ｄを持つている。

ストラツト１４に差込み片１５ｂを介して支持
されるパーキングレバー８は、バツクプレート２
側を、ストラツト１４の一端１４ａに切り残され
た突片１４ｄの段部１４ｅにて支承され、またブ
レーキシユー３のウエブ９ａは、パーキングレバ
ー８とリテーナ１５の浮上がり抑え部１５ｃとの
間で、且つ差込み片１５ｂから離間して配置され
る。

上記差込み片１５ｂの厚さｔは、ウエブ９ａや
パーキングレバー８、ストラツト１４等の構成部
材による集積誤差に相当し、この差込み片１５ｂ
を、上述の如く、ストラツト１４とパーキングレ
バー８との間に差込むと、構成部材の製作誤差が
補償され、両ライニング９ｃ，９ｃとブレーキド
ラムの内周面との間に、所定のシユークリアラン
スが設定される。

本実施例は以上のように構成され、ブレーキワ
イヤ７を牽引して、パーキングレバー８を回動す
ると、フローテイングサポート６が、他方のブレ
ーキシユー４側へスライドして、ブレーキシユー
３，４がサーボ力で拡開し、ライニング９ｃ，９
ｃがブレーキドラムの内周面と摺接して制動作用
が行なわれる。両ブレーキシユー３，４に生じる
デイオ・サーボ力は、リーデイング及びトレーリ
ングの双方に同様の制動力が働く。

初期設定時のドラムブレーキ１は、ウエブ９ａ
等の構成部材による集積誤差が、リテーナ１５の
差込み片１５ｂにて埋められ、ライニング９ｃ，
９ｃとブレーキドラムの内周面との間に、所定の
シユークリアランスが設定されるので、拡開時の
ロスストロークがなくなり、初期制動を俊敏に行
なうことができる。

また、リテーナ１５の浮上がり抑え部１５ｃ
が、ブレーキシユー３のウエブ９ａの反バツクプ
レート側を覆うので、ブレーキシユー３の浮上が
りやガタ付きを有効に抑止して、円滑で確実な作
動を行なうことができる。

更に、リテーナ１５の取外しによつて、ブレー
キシユー３の抑制が解除されるので、シユー交換
を行なう場合には、ブレーキシユー３をそのまま
ブレーキドラム側に抜き取ればよい。従つて、従
来のように、ブレーキシユー３を、リターンスプ
リング１２の付勢力に抗して拡げながら取外すと
いつた無駄な労力を要することなく、簡便な取外
しが行なえる。

ライニング９ｃは、制動作用の繰返しによつて
摩耗し、上述のシユークリアランスが設定値以上
に拡がるが、差込み片１５ｂの介装によつて、ロ
スストロークが最小限に抑えられる。このシユー
クリアランスは、定期整備を行なつた際に、リテ
ーナ１５をストラツト１４から取外し、ライニン
グ摩耗分の厚さを増した差込み片１５ｂを持つ別
のリテーナ１５と交換して、ライニング摩耗量を
補償することにより、所定のシユークリアランス
が設定される。

第４図は、本考案の第２実施例を示し、リテー
ナ２０は、取付け部２０ａ及び差込み片２０ｂ
と、上記第１実施例と同様の浮上がり抑え部２０
ｃとからなつている。

取付け部２０ａは、ストラツト１４の反バツク
プレート側面を覆う上片２０ｄと、ストラツト１
４の両側面を覆う側片２０ｅ，２０ｅとからなる
断面コ字形で、各側片２０ｅの内側面には突起２
０ｆが設けられている。

差込み片２０ｂは、板材の端部を折り重ねて二
重の厚さとしてもので、更に幾重にも折り重ねて
所望の厚さを得ることもできる。

このように形成されるリテーナ２０は、ストラ
ツト１４の一端１４ａを取付け部２０ａの側片２
０ｅ，２０ｅで挟み、突起２０ｆをストラツト１
４の両側面に対応して設けた凹部に嵌合して取付
けられる。

本実施例では、ストラツトへの着脱がワンタツ
チでより簡便に行なえると共に、薄い板材を用い
ても、折り重ねによつて所望の厚さの差込み片が
得られるので、軽量化と低コスト化が図れる。

尚、上記実施例では、デイオ・サーボ型の機械
式パーキングブレーキを用いて説明したが、本考
案は、パーキングレバーとストラツトとを備える
あらゆるドラムブレーキに適用可能である。

〔考案の効果〕

本考案は以上のように、ストラツトとパーキン
グレバーとの間に介装されるリテーナの差込み片
によつて、ブレーキシユーのウエブやストラツト
等の構成部材の集積誤差を埋めて、両ブレーキシ
ユーの後退限を規制するので、ライニングとブレ
ーキドラムの内周面との間に、適正なシユークリ
アランスを設定することができ、拡開時のロスス
トロークがなくなつて、初期制動の遅れが防止さ
れる。

また、リテーナに浮上がり抑え部を持たせたの
で、パーキングレバー取付け側のブレーキシユー
の浮上がりやガタ付きを抑止して、円滑で確実な
作動を期待できると共に、リテーナの取外しによ
つて、ブレーキシユーの交換を簡便に行なうこと
ができる。

【図面の簡単な説明】

第１図乃至第３図は第１実施例を示し、第１図
は第２図の−断面図、第２図はドラムブレー
キの正面図、第３図はリテーナの斜視図、第４図
は他の実施例を示すリテーナの斜視図である。 １……ドラムブレーキ、２……バツクプレー
ト、３，４……ブレーキシユー、７……ブレーキ
ワイヤ、８……パーキングレバー、９ａ……ウエ
ブ、９ｃ……ライニング、９ｄ……切欠き、１４
……ストラツト、１４ａ……ブレーキシユー３側
に配置される一端、１４ｂ……ブレーキシユー４
側に配置されるストラツト１４の他端、１４ｃ…
…切欠き、１４ｄ……突片、１４ｅ……段部、１
５……リテーナ、１５ａ……取付け片、１５ｂ…
…差込み片、１５ｃ……浮上がり抑え部、ｔ……
差込み片１５ｂの厚さ。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 一対のブレーキシユーをバツクプレートに対向
   配置し、一方のブレーキシユーのウエブに、ブレ
   ーキケーブルに牽引操作されるパーキングレバー
   を回動可能に軸支し、該パーキングレバーと他方
   のブレーキシユーのウエブとの間に、両ブレーキ
   シユーの後退限を規制するストラツトを配設した
   車両用ドラムブレーキにおいて、前記ストラツト
   のパーキングレバー側の端部に、リテーナを着脱
   自在に設けると共に、該リテーナに、前記ストラ
   ツトと前記パーキングレバーとの間に介装される
   差込み片と、前記一方のブレーキシユー側へ延
   び、更に該ブレーキシユーのウエブの反バツクプ
   レート側に突出する浮上がり抑え部とを形成した
   ことを特徴とする車両用ドラムブレーキ。