JPH0526321Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 ［産業上の利用分野］ 本考案は、例えば、配管内を流れる圧力流体の
衝撃力、脈動圧力等を吸収するアキユムレータに
関するものである。

［従来の技術とその問題点］ 従来から、インライン型アキユムレータとし
て、第５図に示すようなアキユムレータが存在す
る。このアキユムレータは、略筒状を呈するシエ
ル１の両端にそれぞれポート４，５を備えた端蓋
２，３が取着されている。又、シエル１と端蓋
２，３の接合部には、略筒状を呈するブラダ６の
両端部を挟着してシエル１内空間を各ポート４，
５に連通する液体室７と液体室７の外側にガスを
封入したガス室８とに区画している。更にブラダ
６の内周側には、ブラダ６の過度の変形を規制す
るインナーチユーブ９が配設されている。更に、
インナーチユーブ９には液体を通す多数の透孔が
穿たれている。このアキユムレータは、一方のポ
ート４を流入口、他方のポート５を流出口として
油圧配管の中途に、直接に接続配管される。しか
し、この構造は、流体が透孔側へ流入するよりも
ライン方向へ流れやすいため、脈動圧力や衝撃力
に対し十分に機能せず、装置等を脈動圧力や衝撃
力により不具合にするという問題がある。又、液
体室７の外周面側に全体が管状のガス室８を形成
するため、ガス室８の容積（能力）を必要量に保
とうとするとアキユムレータ全体の寸法が軸方向
に長大となる。このため、例えば自動車などへの
取付上に問題を有している。又、他の従来技術と
して、実願昭57−77014号（実開昭56−181091号）
又は実願昭53−46520号（実開昭54−149701号）
の願書に添付した明細書および図面の内容を撮影
したマイクロフイルムのアキユムレータが存在す
る。

このうち、実開昭58−181091号公報の第１図に
示す液体配管系の脈動減衰装置は、弾力性中空体
が円筒状保持部材内に移動自在に保持されている
ため、流体圧力を受けると移動することになり、
応答性が期待できない。更にこの保持部材が、配
管内に配置されているため、少なくとも配管の径
よりも大きくすることができないから、この弾力
性中空体の大きさでは脈動圧力の吸収能力に限界
がある。又、円筒状保持部材２の外周面は配管内
周面と平行であるため、衝撃力等は容易に装置ま
で達してしまい、この両部材の間隙である流路に
よつて弾力性中空体６に対し作用させる効果も期
待できない。更には、弾性中空体６は、内圧によ
り許容限度以上に膨脹しても保持部材２により外
面を押えられないから、弾性中空体６の内圧は低
圧にしかできず、吸収能力に問題を有する。次
に、実開昭54−149701号公報の第１図又は第４図
に示すものは、いずれも流路の途中の緩衝室に数
個の緩衝体を配置したものである。このため、液
体中の衝撃力等は緩衝室を通過して装置にまで達
し、それから逆流した衝撃力が緩衝体に作用して
衝撃を緩和することになる。その結果、装置が衝
撃力等により不具合が生じたり、破損したりする
ことになる。又、緩衝体は膨脹をシエルなどによ
り押さえるように構成されていないため、金属板
等により構成しなければならず、弾力性の点で吸
収能力および応答性に問題がある。更に、シエル
で保持されない球状の緩衝体は、圧力の大きさに
対応した能力に欠けるから、異なる種類のものを
複数個設けなければならない。その結果、大型に
なり、取付上の制限をうける。

［問題点を解決するための手段］ 本考案は、以上のような問題点に鑑み成された
ものであつて、液体の衝撃力および脈動圧力を管
路途中で効果的に吸収すると共に、ブラダの耐久
能力を向上させることにある。

この課題を解決するため、本考案は以下のよう
に構成されている。すなわち、流入ポートと流出
ポートとを有する円球状又は楕円球状のアウター
シエル、アウターシエルの内周面に保持される環
状の鍔部を外周部に有すると共に、流入ポート側
に設けられた流入口を有する略円球状又は楕円球
状のインナーシエル、およびインナーシエル内の
空室を前記流入口側の液体室とガス室とに区画す
るゴム状弾性材製のブラダを備え、アウターシエ
ルの内周面とインナーシエルの外周面との間の間
隙が流入ポートと対向して連通する流路と流出ポ
ートに連通する流路に形成されていると共に鍔部
に両流路を連通する透孔を設けたものである。

［作用］ 本考案のアキユムレータは、流入ポートより流
入した衝撃力および脈動圧力を流路に導入し、鍔
部に有する透孔でしぼると共に、その衝撃力およ
び脈動圧力をブラダに作用させて効果的に吸収す
る。そして、脈動圧力等のない流体圧力を装置等
へ圧送するものである。

［実施例］ 以下、本考案の一実施例を図面に基づいて説明
する。

第１図において、略円球状を呈し、180度対称
位置に流入ポート１２と流入ポート１３を備えた
アウターシエル１１の内周面に環状の段部１４が
形成され、段部１４にインナーシエル１５の外周
部に周接した環状の鍔部１６を係合し、アウター
シエル１１に対して同心的に略円球状のインナー
シエル１５が内装されている。インナーシエル１
５の鍔部１６には、第２図に明示するように、多
数の透孔１７…が等配形成されると共に、アウタ
ーシエル１１内周面とインナーシエル１５外周面
は、段部１４と鍔部１６の係合部分を除いて全面
が離間して間隙が形成されている。そして、この
間隙がインナーシエル１５を包囲するように環状
の流路１８を形成している。又、インナーシエル
１５の一端にはアウターシエル１１の流入ポート
１２と対向する側に流入口１９が形成されると共
に、インナーシエル１５の内部空間は流入口１９
に連なる液体室２１とガスを封入したガス室２２
とに区画するブラダ２０が架設されている。

上記構成のインライン型アキユムレータは、こ
れを油圧配管の中途に直接接続される。そして、
流入ポートから流入した流体の衝撃力、脈動圧力
等は、最初にアウターシエルとインナーシエルと
の間隙に形成された流路に伝播して鍔部に当る
が、流路は鍔部側に行くにつれて径が大きくなる
ため、この流路の体積が増大している分ゆるやか
に伝播して反射する。その結果、ブラダに作用す
る力はこの圧力低減した状態で作用し、ブラダも
シエル底面より圧力の大きさに対応して上昇した
状態を形成する。つまり、衝撃力および脈動圧力
は、流入ポート１２より流路１８側に伝播して鍔
部に当り、逆流してブラダ２０に作用し、衝撃力
および脈動圧力が吸収されて衝撃力および脈動圧
力の少ない圧力流体を流出ポート１３から装置へ
と圧送する。更に、第３図に示すように、流入口
１９を多数の小孔２３を蜂の巣状に穿設した形と
することにより、インナーシエル１５よりブラダ
２０が全体的に離脱するようにして径全体の全面
積で脈動圧力等を吸収し、応答性を向上させるも
のである。これは、衝撃力および脈動圧力の小さ
なものに適用できる。又、上記アキユムレータ
は、アウターおよびインナーシエルの両シエル１
１，１５を板材から型により正確に形成する。そ
して、第４図に示すようにあらかじめインナーシ
エル１５を組込んでから強固な鍔部を利用してア
ウターシエル１１のスカート部をカシメることに
より容易に組み付けることができる。

［考案の効果］ 本考案のアキユムレータは、下記のような効果
を奏する。

イ 流入ポートと流路は対向し、流路は球状を成
すアウターシエルおよびインナーシエルの内外
周面により形成されて流入方向に流通断面積を
拡大すると共に、しぼり用の透孔を設けた鍔部
により仕切られているから、流入ポートより流
入した流体中の衝撃力や脈動圧力は鍔部により
受け止められて逆流伝播し、ブラダにより効果
的に吸収される。このとき、ブラダはインナー
シエルの内周面から離面しつつその力の大きさ
に対応した受圧面積で受けることができるか
ら、衝撃力や脈動圧力を効果的に吸収し、流出
ポートの下流に設けられている装置等が衝撃力
や脈動圧力により不具合になるのを効果的に防
止することができる。

ロ 更に、ブラダはインナーシエルにより流体圧
力に対し保護されているから、流体圧力に応じ
てインナーシエルから離面して対応するので耐
久能力を発揮する。又ブラダは膨脹時インナー
シエルに接面しているから、ガスの液体側への
浸透を防止する効果があり、耐久能力を発揮す
る。

ハ アウターシエルおよびインナーシエルは球状
に形成されて、ブラダの取付部および鍔部を最
大径で取付けることができるから、インライン
形アキユムレータとしては両端部側が小形にす
ることができると共に、この最小形状に対し吸
収能力を最大にすることが可能である。

ニ インナーシエルは内外周面から均等に流体圧
を受けるように構成されているから、薄肉に形
成することができ加工が容易である。このイン
ナーシエルに設けた鍔部を利用してアウターシ
エルの球状化の加工を容易にする。従つて、ア
ウターシエルのみのアキユムレータ等に比べ加
工が極めて容易となる。しかも、インナーシエ
ルは薄肉であるから、インナーシエルの内面も
なめらかにすることができ、ブラダが接面して
損傷するのを効果的に防止することが期待でき
る。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の一実施例に係るアキユムレー
タの断面図、第２図はインナーシエルの側面図、
第３図はインナーシエルの他の実施例の断面図、
第４図は製作工程説明図、第５図は従来例のアキ
ユムレータの断面図である。 １１……アウターシエル、１２……流入ポー
ト、１３……流出ポート、１４……段部、１５…
…インナーシエル、１６……鍔部、１７……透
孔、１８……流路、１９……流入口、２０……ブ
ラダ、２１……液体室、２２……ガス室、２３…
…小孔。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 流入ポート１２と流出ポート１３とを有する円
   球状又は楕円球状のアウターシエル１１、前記ア
   ウターシエル１１の内周面に保持される環状の鍔
   部１６を外周部に有すると共に前記流入ポート１
   ２側と対向する流入口１９を有する略円球状又は
   楕円球状のインナーシエル１５および前記インナ
   ーシエル１５内の空室を前記流入口１９側の液体
   室２１とガス室２２とに区画するゴム状弾性材製
   ブラダ２０を備え、前記アウターシエル１１の内
   周面と前記インナーシエル１５の外周面との間の
   間隙が前記流入ポート１２に連通する流路と前記
   流出ポート１３と連通する流路に形成されている
   と共に前記鍔部１６に前記両流路を連通する透孔
   １７を設けたアキユムレータ。