JPH05263100A - 食用廃油用鹸化剤と、それを用いる食用廃油の鹸化方法 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 食用廃油を、常温で撹拌するのみで即席簡便
に鹸化できる鹸化剤と、それを用いる鹸化方法を提供す
る。 【構成】 食用油：概ね０．１％〜５％（重量％）、水
酸化ナトリウム：概ね９％〜１９％（重量％）、水：概
ね３５％〜５０％（重量％）、エチルアルコール：概ね
２５％〜６０％（重量％）、からなる混合組成物を、鹸
化処理してなる食用廃油用鹸化剤と、食用廃油に該食用
廃油用鹸化剤を添加して常温で撹拌混合し、該食用廃油
を鹸化する食用廃油の鹸化方法が特徴である。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、食用廃油（使用済みの
廃却状態の食用油）を石鹸化するの用いる鹸化剤と、そ
の鹸化剤を用いて食用廃油を鹸化物になす鹸化方法に関
するものである。

【０００２】

【従来の技術】食用廃油の鹸化剤と、その鹸化剤を用い
る食用廃油の鹸化方法は、特開昭６１ー１１６０００号
公報、特開昭６３ー１６８４９９号公報等の公知例があ
る。そして、これ等公知例のものは、苛性ソーダ・苛性
カリ・アンモニア等を主成分とする組成物、または、強
アルカリ塩と界面活性剤の混合組成物、或は、アミン誘
導体と界面活性剤の混合組成物からなる鹸化剤が特徴で
あり、これ等の鹸化剤を食用廃油に添加して加熱撹拌処
理することによって、食用廃油をクリーム状の鹸化物に
なす方法になっている。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】以上の従来の鹸化剤
は、界面活性剤を全く含まないか、または、合成された
既存の界面活性剤を添加する組成からなるので、鹸化す
べき食用廃油との親和性が乏しく界面二重層ができ易い
ので、鹸化反応が遅く、加熱処理による鹸化が必要にな
る。そして、その加熱処理が鹸化品質に特に寄与する要
因となるので、鹸化処理が煩雑にして危険であると共
に、鹸化物の品質が不均質になることが多く、例えば、
一般家庭で生じた食用廃油を、即席簡便に石鹸化して、
食用廃油の有効利用を図る一般技術としては、処理上の
難点が存在し、一般に普及し難くなっている。

【０００４】さらに、既存の合成された界面活性剤を添
加した鹸化剤は、含まれているＬＡＳ・ＡＢＳ等の有害
な合成物が、処理後の鹸化物に残存する不具合がある。
本発明は、以上の従来技術の難点を解消する鹸化剤と、
それを用いる食用廃油の鹸化方法を提供するものであ
る。

【０００５】

【課題を解決するための手段】以上の技術課題を解決す
る本発明の鹸化剤と鹸化方法は「食用油：概ね０．１％
〜５％（重量％、以下同じ）、水酸化ナトリウム：概ね
９％〜１９％、水：概ね３５％〜５０％、エチルアルコ
ール：概ね２５％〜６０％、からなる混合組成物を、鹸
化処理してなることを特徴とする食用廃油用鹸化剤」
と、

【０００６】「食用廃油に、前記構成の食用廃油用鹸化
剤を添加し、常温で撹拌混合して、該食用廃油を鹸化す
ることを特徴とする食用廃油の鹸化方法」が特徴であ
る。

【０００７】詳しくは、前記構成の本発明の鹸化剤は、
前記の組成物群を前記の割合で混合した混合組成物を基
剤となし、この混合組成物の基剤を、予め（加熱または
常温によって）鹸化処理して、その混合組成物中の食用
油分の脂肪酸塩を生成させ、その脂肪酸塩と水酸化ナト
リウムと水とエチルアルコールからなる液状組成物によ
って構成されている。そして、その基剤をなす各組成物
の割合は前記の範囲内の重量％を組合せたものが採択さ
れる。

【０００８】即ち、食用油は、０．１％未満では、食用
廃油との鹸化反応の核となる脂肪酸塩の生成が少なくな
って、初期乳化が起き難くなるので、反応の促進性に欠
け、５％を超えると、鹸化剤中の水酸化ナトリウムを消
費して、食用廃油を鹸化するための水酸化ナトリウムを
欠乏させる。また、水酸化ナトリウムは、９％未満で
は、食用廃油との鹸化反応において未反応生成物を生じ
易く、１９％以上では、鹸化剤のゲル化や液層分離が生
じ、鹸化剤自体の保存性や使用性が悪くなると共に、食
用廃油の鹸化物にアルカリ分が残存して有害となる。

【０００９】そして、アルカリ水溶液の濃度調節として
機能する水は、３５％未満ではアルカリ濃度が高くなり
過ぎ、ゲル化や液層分離が生じ易くなるので、鹸化剤の
保存性と使用性に問題を生じ、５０％以上では、アルカ
リ濃度が低くなり過ぎるので、食用廃油との鹸化反応性
が著しく低下する。また、エチルアルコールは、２５％
未満または６０％以上では、食用廃油の鹸化性能が低下
して常温撹拌による鹸化反応が不充分となる。

【００１０】一方、以上の鹸化剤は、鹸化すべき食用廃
油に対して、概ね「鹸化剤６０〜８０：食用廃油１０
０」の重量比で添加して常温で充分に撹拌し、食用廃油
をクリーム状の鹸化物になす。なお、この鹸化撹拌は、
数分の放置時間をおいた２〜３回の反復撹拌をなし、概
ね３０分かけて一様均一な鹸化反応を促進させるのが好
ましい。

【００１１】

【作用】以上の本発明の鹸化剤は、予め前記の基剤に施
す鹸化処理によって、組成物中の食用油と水酸化ナトリ
ウムが反応して界面活性剤が生成される。そして、この
組成物間で自成される界面活性剤は、有害な合成物が存
在しないと共に、鹸化すべき食用廃油と同種の油からな
るので、その鹸化剤は食用廃油との親和性に優れて界面
二重層が生じ難く、食用廃油の鹸化反応が活発かつ円滑
に進行する。

【００１２】そして、本発明の鹸化剤は、従来のものよ
り、アルコール成分の組成割合が大きい特徴を有するの
で、食用廃油の鹸化に際して、油脂分が脂肪酸のアルコ
ールエステルとして解離したり、油脂の分散が活発に生
じ、その鹸化反応を促進すると共に、鹸化反応による発
熱によってアルコール成分が緩やかに発散し、その「発
散による潜熱」によって鹸化反応物の加熱を抑止するの
で、食用廃油の鹸化反応が一段と安定する。以上の諸作
用の複合作用によって、本発明の鹸化剤と、それを用い
る鹸化方法は、食用廃油に鹸化剤を加えて、常温におけ
る概ね３０分以内の短時間撹拌のみで、クリーム上の淡
褐色にして均質良質な鹸化物を生成することができる。

【００１３】

【実施例】以下、実施例を例示して説明する。まず、第
一実施例として、食用油０．１７％（％は重量％、以下
同じ）、水酸化ナトリウム１２％、水３６．１％、エチ
ルアルコール５１．６％、の混合組成物を、予め加熱し
て鹸化処理し、該混合物内に界面活性剤を自成させて淡
褐色液状の鹸化剤を生成した。そして、天ぷら廃油１０
０にこの鹸化剤５８の重量割合で添加し、常温で約３０
分撹拌して淡褐色クリーム状の鹸化物を生成した。

【００１４】つぎに、第二実施例として、食用油１．５
６％（重量％、以下同じ）、水酸化ナトリウム１５．６
％、水４０．６％、エチルアルコール４２．２％、の混
合組成物を、第一実施例と同様に鹸化処理して該混合物
内に界面活性剤を自成させて淡褐色液状の鹸化剤になし
た。そして、天ぷら廃油１００にこの鹸化剤６５の重量
割合で添加して、常温で約３０分撹拌して鹸化反応さ
せ、天ぷら廃油の全量をクリーム状淡褐色の石けんにな
した。

【００１５】さらに、第三実施例として、食用油５．０
％、水酸化ナトリウム１７．５％、水４８．８％、エチ
ルアルコール２８．８％の混合組成物の基剤を、前記実
施例と同様に予め鹸化処理した後、天ぷら廃油に混合し
て常温で撹拌し、その天ぷら廃油を鹸化物になした。以
上の各実施例の鹸化物は、そのクリーム状のまま、また
は、水を加えた液状になし、特に濃い油汚れの食器・調
理用具・ガスレンジ・ガステーブル、または、風呂場・
トイレ等の洗浄に有効に使用できた。

【００１６】

【発明の効果】以上の説明のとおり、本発明の食用廃油
用鹸化剤と、それを用いる食用廃油の鹸化方法は、有害
な合成物質が存在しない鹸化剤にして、単に常温で撹拌
するのみで食用廃油を有用な鹸化物になす優れた性能を
有するので、一般家庭における食用廃油を即席簡便に鹸
化するのに極めて適し、食用廃油の鹸化利用を一般に広
く普及させると共に、資源の有効活用を促進する有用な
効果がある。

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 食用油：概ね０．１％〜５％（重量
   ％）、水酸化ナトリウム：概ね９％〜１９％（重量
   ％）、水：概ね３５％〜５０％（重量％）、エチルアル
   コール：概ね２５％〜６０％（重量％）、からなる混合
   組成物を、鹸化処理してなることを特徴とする食用廃油
   用鹸化剤。
2. 【請求項２】 食用廃油に、請求項１の鹸化剤を添加
   し、常温で撹拌混合して、該食用廃油を鹸化することを
   特徴とする食用廃油の鹸化方法。