JPH05260815A - イ草植付機の植付苗取出装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 植付爪が進入して帯状苗から一株ずつイ草苗
を挟持する際、苗茎部に対する爪先端での突刺し等によ
る苗の腰折れや折損等の発生をなくすと共に、植付姿勢
を常に適正にして植付精度を大幅に高める。 【構成】 帯状に連結されたイ草苗１０から一株ずつ苗
を挟持して田面に植付ける二又状の植付爪１９を備えた
イ草植付機Ｐにおいて、苗繰出方向終端側に苗茎下部を
挟持しながら誘導案内する挟持ガイド３４を設け、その
先端側を植付爪１９の回動軌跡Ｒの上方近接位置に臨ま
せると共に、植付爪１９の二又状開口部１９ａが挟持ガ
イド３４の先端側を外方から挟むようにして通過するよ
うに構成した。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、イ草苗を田面に植付け
るイ草植付機の植付苗取出装置に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】従来、イ草苗茎部の根部寄り側を紙製の
接着テープ等で両側から接着して帯状に連結したイ草苗
を植付部に繰出自在に装填すると共に、イ草苗の繰出方
向終端部側に一株ずつ苗を切断する切断機構を設け、ル
ープ状の回動軌跡を描いて上下運動しかつ下降行程で前
記切断機構により切断されたイ草苗を挟持して田面に植
付ける植付爪を設けてなるイ草植付機が提案されてい
る。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】しかし、上記のような
構造のものにおいては、植付作業時、イ草苗の繰出終端
側で切断機構により一株ずつ切断した際に接着テープに
よるイ草苗の挟着作用が緩み切断面がバラケてしまうこ
とがあり、このため苗姿勢が乱れたりして植付爪による
イ草苗のホールドが不確実となる不都合がある。特に、
植付爪に二又状の固定爪を用いた場合には、植付爪の下
降行程でイ草苗を挟持する際、バラケ状で待機している
イ草苗の茎部に植付爪の先端が突刺さり、腰折れ苗や折
損苗が発生したり、或は植付爪による苗の挟持姿勢が乱
れたりして適正苗姿勢で田面に植付られなくなり、浮苗
や倒伏苗の発生を余儀なくさせられるものある。イ草苗
は稲苗と異なり苗茎部が泥土に対する抵抗力が弱く、植
付ける際、苗茎部に泥が付着すると育たなくなるという
難点があり、しかも、植付の良否（苗が順調に育つかど
うか）は植付直後は分らず、植付けてから約２ヶ月後に
判明するものである。したがって苗の植付は適正姿勢で
行なうことが必須の要件となる。

【０００４】

【課題を解決するための手段】本発明は、上記のような
問題点を解消するため創案されたものであって、ループ
状の回動軌跡Ｒを描いて上下運動し、回動軌跡Ｒの上部
側で繰出された帯状苗を一株ずつ挟持し、下部側で挟持
苗を田面に植付ける二又状の植付爪を備えたイ草植付機
において、苗繰出方向終端側に苗茎下部を挟持しながら
誘導案内する挟持ガイドを苗繰出方向前方に突出させて
設け、該挟持ガイドの突出端側を前記植付爪の回動軌跡
Ｒの上方近接位置に臨ませると共に、植付爪の二又状開
口部が挟持ガイドの突出端側を挟むようにして通過する
よう植付爪の回動軌跡Ｒと挟持ガイドを平面視において
ラップさせたことを要旨とする。

【０００５】

【作用】植付爪が上昇行程から下降行程に入る際、爪先
端が待機中のイ草苗に対し繰出方向前方から進入して植
付爪の二又状開口部に一株ずつイ草苗を挟持し、下降行
程下端側で挟持苗を田面に植付けるものであるが、植付
爪に挟持されるイ草苗は挟持ガイドにより苗茎下部側が
左右から挟まれた状態で待機しており、しかも、植付爪
がイ草苗に向って進入する際には、植付爪の二又状開口
部が前記イ草苗を挟持中の挟持ガイドの突出端側を左右
から挟むようにして通過するので、挟持されるイ草苗の
苗茎部が爪の二又状開口部に確実に誘導される。そのた
め、爪先端が苗茎部に干渉することがなくイ草苗は腰折
れや折損等のない状態で、しかも苗姿勢が乱されること
なく植付爪に確実にホールドされ、田面に適正な植付姿
勢で植付けられる。

【０００６】

【実施例】本発明の構成を図面に示された一実施例によ
り説明する。図面には乗用田植機の走行部（本機）１の
後方に昇降リンク機構２を介してイ草植付機Ｐを装着し
たものが例示されている。イ草植付機Ｐは、苗載台３、
ドライブケース４、植付杆５及び田面滑走用のフロート
６等からなる植付部７を備えており、苗載台３上に載置
されたイ草苗を植付杆５で一株ずつ挟持して田面に連続
的に植付るようになっていて、植付部７の基本的構造は
田植機における従来の植付部と略同様であるが、植付時
（移植時）における苗の形態や根絡み状態等、稲苗とイ
草苗の相違に対応してイ草植付機Ｐの植付部７は構造的
な特異点を有している。

【０００７】即ち、苗載台３の傾斜上端側には補助苗箱
８ａを着脱自在に載置する苗補給部８が連設されてお
り、補助苗箱８ａには、茎部ａを所定長さに切断し且つ
根部ｂ寄り側の茎部を両側から紙製接着テープ９ですだ
れ状に挟着（テーピング加工）すると共にテープ９部分
を外側から糸９ａでつる巻き状に巻付けてなる帯状のイ
草苗１０が装填され、該帯状イ草苗１０は先端側から、
各植付条に対応して苗載台３上に複数組立設した仕切板
１１，１２間に軸支のプーリ１３，１４間に掛渡された
左右一対の上側搬送ベルト１５により倒伏状態で順次苗
載台３の傾斜下方に向け繰出された後、繰出し方向中途
部で苗起立用の一対の下側搬送ベルト１６に茎身方向中
間部が挟持されながら繰出搬送され、その搬送過程でイ
草苗１０は倒伏姿勢から根部ｂを下方にした起立姿勢に
変姿され、繰出終端部１７で、帯状イ草苗１０が苗切断
機構１８により一株ずつ切断されると共に、該切断され
たイ草苗１０は常時回動する植付杆５の植付爪１９で挟
持され、田面に連続的に植付けられるように構成されて
いる。尚、植付爪１９は開口部１９ａを有する二又状の
固定爪で、常時ループ状の回動軌跡Ｒを描いて上下運動
し、回動軌跡Ｒの上部側では苗を一株ずつ挟持し下部側
では押出しフォーク１９ｂで田面に押出すものである
が、二又状の固定爪は棒状のはし爪でもよい。２０は苗
載台３上に固設した樋状の苗根誘導ガイドである。２１
はテンションローラ、２２，２２ａはプーリ、２３は伝
動ケースである。２４は苗押えで、該苗押え２４は前記
仕切板１２に設けた軸受部１２ａに起倒自在に支持され
たＬ型状のロッド２４ａに搬送ベルト１５に沿う押え杆
２４ｂを一体に連結してなり、該苗押え２４は付勢バネ
２５によりイ草苗１０の茎部下部を上方から押圧する方
向に付勢されている。２６は上側搬送ベルトの駆動軸、
２７は下側搬送ベルトの駆動軸、２７ａ，２７ｂは下側
搬送ベルト２７の補助プーリである。

【０００８】ところで、前記イ草苗の繰出終端部１７は
次のように構成されている。即ち、苗載台３上に立設し
た左右一対の側板２８にそれぞれ正面視でコ字状のプー
リ軸受用フレーム２９を対設し、プーリ３０を固定した
軸３０ａの上下突出端にゴム製繰出輪３１を固定し、側
板２８には、苗茎上段側を挟みながらガイドする弾性細
棒状の苗ガイド３２、中段側の繰出先端部を受止める苗
受３３、苗茎下部を左右から挟持しながら誘導案内する
板バネ製の挟持ガイド３４のそれぞれ一端側を各々ボル
ト３２ａ、３３ａ、３４ａで止着してあり、また、挟持
ガイド３４は苗繰出終端部から苗繰出方向前方に突出さ
せて設け、該挟持ガイド３４の突出端側を植付爪１９の
回動軌跡Ｒの上方近接位置に臨ませると共に、植付爪１
９の二又状開口部１９ａが挟持ガイド３４の突出端側を
左右から挟むようにして通過するよう植付爪１９の回動
軌跡Ｒと挟持ガイド３４を平面視においてラップさせて
ある。さて、苗切断機構１８はそれぞれ苗押えガイド３
５ａ，３６ａを有しかつ支点軸３５ｂ，３６ｂを中心に
して間欠的に往復回動するカッタ３５と受座３６とで構
成され、帯状イ草苗のテープ９部分を繰出先端側から一
株ずつ切断するようになっている。３７は前記カッタ３
５と受座３６の対向間内に形成した空間部である。尚、
上記カッタ３５と受座３６は直線的に往復動するように
構成してもよい。３８は植付爪１９に挟持された分割植
付苗を誘導案内するシュータで、ブラケット３８ａ等を
介して植付部７に固定されている。３９は前記苗切断機
構１８の前後にわたり繰出苗の根部ｂに近接対向させて
設けた苗受板で、その後端は苗根誘導ガイド２０の底板
に嵌入係止され、前端は前記シュータ３８に一体的に連
結されている。

【０００９】上述の構成において、植付爪１９が回動軌
跡Ｒにおける上昇行程から下降行程に入る際、苗切断機
構１８により帯状イ草苗１０から切断分離されて待機中
のイ草苗１０に対し図６及び図７に示すように植付爪１
９が略水平姿勢で苗繰出方向前方から進入して植付爪１
９の二又状開口部１９ａに一株ずつイ草苗１０を挟持
し、下降行程下端側で挟持苗を田面に植付けるものであ
るが、植付爪１９に挟持される切断後のイ草苗１０は挟
持ガイド３４により苗茎下部側が左右から板バネの有す
る適度の弾性力により挟着保持されているのでイ草苗１
０がバラケることなく安定した静止状態で待機してお
り、しかも、植付爪１９が切断後のイ草苗１０に向って
進入する際は、植付爪１９の二又状開口部１９ａが前記
イ草苗１０を挟持中の挟持ガイド３４の突出端側を外側
から挟むようにして通過するので、苗茎部ａが爪１９の
二又状開口部１９ａに確実に誘導される。そのため、植
付爪１９の進入時、爪先端の先鋭部が待機中のイ草苗１
０に突刺さったり苗を押倒したりする不都合は確実に解
消されるので、イ草苗１０は腰折れや折損等のない状態
で、しかも、苗姿勢が乱されたり切断後の苗が植付爪１
９にうまく挟持されずに抜け落ちたりすることなく植付
爪１９の二又状開口部１９ａに確実にホールドされる。
そして植付爪１９の下降行程終端側で押出しフォーク１
９ｂが作動し挟持苗は田面に適正な植付姿勢で確実に押
出し植付けられる。この結果、浮苗や倒伏苗等の植付不
良苗が発生したり、植付時、苗茎部に泥土が付着したり
することは殆どなくイ草苗１０の植付精度は格段に向上
する。尚、本実施例では挟持ガイド３４の上方に苗茎上
段側を挟む苗ガイド３２及び中段側の繰出先端部を受止
める苗受３３を設け苗茎部ａを上下３段でサポートして
いるので、繰出先端側の苗姿勢は極めて安定した状態に
保持される。また、植付爪１９の下降時にはシュータ３
８により挟持苗の誘導が確実となり挟持苗の脱落も防止
される。

【００１０】

【発明の効果】本発明は上記のように構成したので、イ
草苗の苗茎部を植付爪の二又状開口部に確実に誘導し
て、苗茎部に対する爪先端の突刺し等による苗の腰折れ
や、折損等のない状態で、しかも適正な苗姿勢を保持し
たままの状態で苗を植付爪に確実に挟持でき、植付姿勢
の乱れをなくして常に適正植付姿勢でイ草苗を植付ける
ことができ、もって、泥の茎部付着等により成育が困難
となり易いイ草苗でありながら苗茎部への泥の付着等を
なくして植付精度を大幅に高めると共に、植付後の苗育
成の均一良好化を図ることができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】乗用田植機の走行部にイ草植付機を装着した状
態の側面図である。

【図２】苗載台の一部切欠き斜視図である。

【図３】イ草植付機の側面図である。

【図４】帯状イ草苗の繰出先端部の平面図である。

【図５】挟持ガイドの斜視図である。

【図６】要部の側面図である。

【図７】要部の側面図である。

【図８】要部と苗切断機構の正面図である。

【図９】苗切断機構の作用を示す平面図である。

【符号の説明】 ９ テープ １０ イ草苗 １９ 植付爪 １９ａ 二又状開口部 ３４ 挟持ガイド

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 ループ状の回動軌跡Ｒを描いて上下運動
   し、回動軌跡Ｒの上部側で繰出された帯状苗を一株ずつ
   挟持し、下部側で挟持苗を田面に植付ける二又状の植付
   爪を備えたイ草植付機において、苗繰出方向終端側に苗
   茎下部を挟持しながら誘導案内する挟持ガイドを苗繰出
   方向前方に突出させて設け、該挟持ガイドの突出端側を
   前記植付爪の回動軌跡Ｒの上方近接位置に臨ませると共
   に、植付爪の二又状開口部が挟持ガイドの突出端側を挟
   むようにして通過するよう植付爪の回動軌跡Ｒと挟持ガ
   イドを平面視においてラップさせたことを特徴とするイ
   草植付機の植付苗取出装置。