JPH05258964A - ロータリートランス - Google Patents

ロータリートランス

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Publication number
JPH05258964A
JPH05258964A JP4053662A JP5366292A JPH05258964A JP H05258964 A JPH05258964 A JP H05258964A JP 4053662 A JP4053662 A JP 4053662A JP 5366292 A JP5366292 A JP 5366292A JP H05258964 A JPH05258964 A JP H05258964A
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JP
Japan
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core
ferrite
short ring
rotary transformer
short
Prior art date
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JP4053662A
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English (en)
Inventor
Hitoshi Akiyasu
均 秋保
Naoki Ono
直樹 小野
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Sony Corp
Original Assignee
Sony Corp
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 磁路間分離用のショートリングをコア内に容
易に、かつ確実に組み入れるようにして、ショートリン
グの組立工数を大幅に削減し、磁路間のクロストークの
改善を向上させる。 【構成】 ステータコアSC及びロータコアRCを、フ
ェライト粉末に高分子材料からなるバインダーを混練し
てフェライト樹脂を得た後、該フェライト樹脂を射出成
形して得たコア(即ち、フェライト樹脂コア)にて作製
する。この射出成形において、ショートリングSRをイ
ンサート成形して、各コアSC及びRC内にショートリ
ングSRを組み入れる。このショートリングSRは、厚
みtが0.2mm以上のリング状の外枠11と内枠12
とが底面において短絡した、断面コ字状の形を有する。
外枠11及び内枠12の高さは、コアSC及びRCのコ
ア厚Tと同じに設定してある。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、例えばビデオテープレ
コーダ(VTR)やデジタルオーディオテープレコーダ
(DAT)等に用いられるロータリートランスに関す
る。
【0002】
【従来の技術】一般に、ロータリートランスは、例えば
ビデオテープレコーダ(VTR)やデジタルオーディオ
テープレコーダ(DAT)等において、回転ヘッドの入
出力信号を伝送するために用いられ、ステータとロータ
とから構成されている。このロータリートランスとして
は、現在、平型(ディスク型)のものと縦型(シリンダ
型)のものとが知られている。
【0003】従来のロータリートランス用コアは、必要
な磁気特性を得るために、フェライト等の高い透磁率を
有する材料を用いて形成されている。具体的には、図2
1に示すように、フェライト粉末をプレス成形用金型内
に投入してプレス成形することにより、図で示すような
例えばステータコアSCを作製する。
【0004】このステータコアSCには、1チャンネル
用コイル71が挿入される巻線溝72と2チャンネル用
コイル73が挿入される巻線溝74が同心円状に形成さ
れている。各コイル(71,73)は、絶縁被覆された
導線をスパイラル状に巻回し、更に表面の絶縁フィルム
自体の自己融着によって形成されている。
【0005】そして、各巻線溝72及び74内に接着剤
(図示せず)を塗布した後、上記コイル71及び73を
入れ、更に各コイル71及び73の上面をローラ(図示
せず)で押し付けながら接着剤を硬化させることによ
り、ロータリートランスを製造するようにしている。
【0006】特に、図示するように、複数のコイル71
及び73が取り付けられる多チャンネルのロータリート
ランスにおいては、各チャンネル(磁路)からの漏れ磁
束によってクロストークが発生し、回転ヘッドの入出力
信号を良好に伝送できないという問題がある。
【0007】そこで、従来では、巻線溝72及び74間
に磁路間分離用の溝75を設け、この溝75内にリング
状の銅線76(一般にショートリングと称されている)
を組み入れ、各チャンネルからの漏れ磁束を短絡し、各
チャンネル間のクロストークを抑制するようにしてい
る。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、従来の
ロータリートランスにおいては、上記ショートリング7
6をコイル71及び73と同様に、まず、溝75内に接
着剤を塗布した後、溝内にショートリング76を入れ、
更にショートリング76の上面をローラ(図示せず)で
押し付けながら接着剤を硬化させることにより、ショー
トリング76を溝75内に組み入れる必要がある。
【0009】ショートリング76は、通常、1ターンの
細い銅線にて構成され、更に溝75の幅が非常に小さい
(溝幅0.5mm前後)ことから、上記組み入れ作業
は、非常に手間がかかり、ショートリング76の組立工
数が増大するという不都合があった。これは、ロータリ
ートランス自体の製造コストの高価格化につながる。
【0010】また、各作業方法が不適切な場合には、シ
ョートリング76の浮きが発生し、重大トラブル(例え
ば、回転ドラムの回転停止など)を引き起こすという不
都合があった。これは、ロータリートランスの歩留り低
下につながる。
【0011】本発明は、このような課題に鑑み成された
もので、その目的とするところは、磁路間分離用のショ
ートリングをコア内に容易に、かつ確実に組み入れるこ
とができ、ショートリングの組立工数を大幅に削減する
ことができると共に、磁路間のクロストークの改善を更
に向上させることができるロータリートランスを提供す
ることにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明は、夫々複数の磁
路を有するステータとロータからなるロータリートラン
スにおいて、ステータを構成するコアSC及びロータを
構成するコアRCを、夫々フェライト入り樹脂コアにて
作製し、各コアSC及びRC内に、複数の磁路間を分離
するための金属製のショートリングSRをインサート成
形にて組み入れて構成する。
【0013】また、本発明は、上記ロータリートランス
において、ステータを構成するコアSC及びロータを構
成するコアRCのうち、一方のコア(SC又はRC)を
フェライト入り樹脂コアにて作製し、他方のコア(RC
又はSC)を焼結体にて作製する。そして、上記フェラ
イト入り樹脂コアにて作製された一方のコア(SC又は
RC)内に、複数の磁路間を分離するための金属製のシ
ョートリングSRをインサート成形にて組み入れて構成
する。
【0014】上記ショートリングSRは、ほぼ角形状
で、かつ板厚tが0.2mm以上の環状の非磁性・良導
体金属で構成する。
【0015】
【作用】上述の本発明の構成によれば、ステータを構成
するコアSC及びロータを構成するコアRCを、夫々フ
ェライト入り樹脂コアにて作製し、各コアSC及びRC
内に、複数の磁路間を分離するための金属製のショート
リングSRをインサート成形にて組み入れるようにした
ので、従来から行っていた接着剤の塗布工程、ショート
リングSRの挿入工程及び接着剤の硬化工程が不要とな
り、ショートリングSRの組立工程が大幅に削減され
る。
【0016】特に、ショートリングSRを、環状の非磁
性・良導体金属で構成し、ほぼ角形状で、かつ板厚tを
0.2mm以上にすることにより、ショートリングSR
自体の堅牢性が向上し、インサート成形時に溶射される
フェライト入り樹脂の圧力によって浮遊するという現象
がなくなり、確実にコアSC及びRC内にショートリン
グSRを組み入れることができる。その結果、ショート
リングSRの浮きなどの重大トラブルを引き起こす要因
をなくすことができると共に、ロータリートランスの歩
留りを向上させることができる。
【0017】また、ステータを構成するコアSC及びロ
ータを構成するコアRCのうち、一方のコア(SC又は
RC)をフェライト入り樹脂コアにて作製し、他方のコ
ア(RC又はSC)を焼結体にて作製し、フェライト入
り樹脂コアにて作製された一方のコア(SC又はRC)
内に、複数の磁路間を分離するための金属製のショート
リングSRをインサート成形にて組み入れて構成するこ
とにより、ショートリングSRの組立工数の削減及びロ
ータリートランスの歩留り向上が図れるほか、ロータリ
ートランスに必要な結合係数を容易に得ることができ
る。
【0018】
【実施例】以下、図1〜図20を参照しながら本発明の
実施例を説明する。図1は、第1実施例に係る3チャン
ネル用平型ロータリートランスを一部省略して示す断面
図である。図において、1はモータ軸が挿通される貫通
孔、gはギャップを示す。
【0019】このロータリートランスは、ステータコア
SCとロータコアRCとを有する。これらステータコア
SC及びロータコアRCは、フェライト粉末に高分子材
料からなるバインダーを混練してフェライト樹脂を得た
後、該フェライト樹脂を射出成形して得たコア(即ち、
フェライト樹脂コア)にて作製されている。
【0020】また、ステータコアSC及びロータコアR
Cは、共に円板平板状に形成され、夫々その対向面側に
1チャンネル用コイル2s及び2rが挿入される巻線溝
3s及び3r、2チャンネル用コイル4s及び4rが挿
入される巻線溝5s及び5r、3チャンネル用コイル6
s及び6rが挿入される巻線溝7s及び7rが同心円状
に形成されている。
【0021】しかして、本例においては、非磁性・良導
体金属(例えば真ちゅう、アルミ、銅等)にて形成され
たショートリングSRをステータコアSC及びロータコ
アRC内に組み入れて構成する。このショートリングS
Rは、図2に示すように、厚みtが0.2mm以上のリ
ング状の外枠11と内枠12とが底面において短絡し
た、断面コ字状の形を有する。外枠11及び内枠12の
高さhは、ステータコアSC及びロータコアRCのコア
厚Tの1/2以上に設定する。本例では、上記コア厚T
と同じに設定してある。
【0022】このショートリングSRの作製方法として
は、例えば丸棒あるいは厚板を切削加工する方法(切削
加工法)、厚板からリング状に打ち抜く方法(打ち抜き
加工法)、平板から継目のない底の付いた容器状に成形
する方法(絞り加工法)、型を使って圧縮加工する方法
(鍛造加工法)、粉末金属をプレス加工する方法(プレ
ス加工法)、鋳型により成形する方法(鋳造法)等があ
る。
【0023】従って、本例に係るショートリングSR
は、堅牢性が高く、横方向及び縦方向の圧力に対して十
分な強度を有する。尚、13は、このショートリングS
Rを射出成形用金型に取り付ける際に用いられる位置決
め用穴であり、夫々対称の位置に4つ設けられている。
【0024】そして、このショートリングSRを、図1
に示すように、外枠11が1チャンネルと2チャンネル
間に位置し、内枠12が2チャンネルと3チャンネル間
に位置するように組み込まれる。従って、本例では、1
チャンネル用コイル2s(2r)で形成される磁路と2
チャンネル用コイル4s(4r)で形成される磁路が外
枠11にて分離され、2チャンネル用コイル4s(4
r)で形成される磁路と3チャンネル用コイル6s(6
r)で形成される磁路が内枠12にて分離される。
【0025】ここで、本例に係るステータコアSC及び
ロータコアRCを構成するフェライト樹脂の作り方を図
3及び図4に基いて説明する。
【0026】まず、酸化鉄を主成分とする例えばNi−
Zn系の原料組成物をボールミルで粉砕し、これに添加
剤(バインダー、消泡剤、潤滑剤、可塑剤)を投入しな
がらスラリー濃度を調整し、スラリー組成物を調製す
る。下記に原料組成物及び添加剤の各組成を示す。
【0027】原料組成物(Ni−Zn系) Fe2O3 49.72 mol% ZnO 31.70 mol% NiO 9.11 mol% CuO 9.47 mol% 添加剤 バインダ(PVA) 120 リットル 消泡剤 1 リットル 潤滑剤 8.5 kg 可塑剤 1.0 kg スラリー濃度(原料組成物%) 55 %
【0028】このようにして調製したスラリー組成物を
スプレー乾燥し、ほぼ球形の造粒粉とする。図4に本実
施例で使用した造粒粉を製造するための造粒装置20を
示す。
【0029】この造粒装置20は、下端部21aが円錐
形状とされた造粒炉21と、この造粒炉21内に臨むよ
うにして取り付けられたパイプ22を有する。このパイ
プ22は、一端22aから送風機(図示せず)によって
空気が送り込まれるように構成されており、中途部分に
は、上記スラリー組成物を収容しておくためのタンク2
3が設けられている。
【0030】また、パイプ22の他端22bには、ノズ
ル24が回転自在に取り付けられている。このノズル2
4は、回転方向の接線方向に向かってスラリー組成物を
噴出する4個の吹き出し口24aを有し、これら吹き出
し口24aからスラリー組成物を吹き出すことによって
回転する。
【0031】この造粒装置20は、造粒炉21内の温度
が120〜200℃に維持され、造粒炉21の下端部2
1aに設けられた開口部21bに対向する位置には、炉
21内で乾燥された造粒粉25を回収するための受け皿
26が配置されている。
【0032】このように構成された造粒装置20によっ
て造粒粉25の製造を行う場合は、まず、上記タンク2
3内にスラリー組成物を入れ、パイプ22の一端22a
より空気を送り込む。このとき、パイプ22にまで落下
したスラリー組成物は、空気圧によって押し出され、パ
イプ22を通ってノズル24の吹き出し口24aより噴
出する。
【0033】噴出したスラリー組成物は、表面張力によ
ってほぼ球形状となりながら造粒炉21の内壁面に付着
する。この内壁面に付着したスラリー組成物は、炉21
内で乾燥され、ほぼ球形の造粒粉25となって剥がれ落
ち、受け皿26に回収される。
【0034】このようにして製造されたほぼ球形の造粒
粉25は、粒子径が44〜149μmの範囲に分布して
おり、全体的にほぼ均一な粒子径を有する。
【0035】尚、上記造粒装置20の造粒条件を下記に
示す。 造粒条件 ノズル径 1.7mmφ ノズル本数 1本 熱風温度 300〜367℃ 排風温度 130℃
【0036】そして、上記のようにして得られた造粒粉
25を例えば既知の撹拌羽根付きロータリーキルンを用
いて約1050〜1100℃の温度で撹拌しながら焼成
してほぼ球形のフェライト粉末(粒子径=数μm〜数1
0μm)を得る。
【0037】上記例では、原料組成物としてNi−Zn
系の組成物を示したが、他の組成物(Mg−Zn系、M
n−Zn系)も可能なので、以下にそれらの例を示す。
【0038】原料組成物(Mg−Zn系) Fe2O3 48.0 mol% MgO 20.5 mol% CuO 7.5 mol% ZnO 24.0 mol%
【0039】原料組成物(Mn−Zn系) Fe2O3 53.0 mol% MnCO3 34.0 mol% ZnO 13.0 mol%
【0040】そして、上記フェライト粉末を、高分子材
料に重量比で70〜98重量%(本例では、90%程
度)ほど混練してフェライト樹脂を得る。
【0041】上記フェライト粉末に混合する高分子材料
としては、本例では、ポリプロピレン、ポリアミド、ポ
リフェニレンサルファイド、ポリエチレン、ポリスチレ
ン、エチレン酢酸ビニル共重合体、エチレンエチルアク
リレート、6−ナイロン、6,6−ナイロン、6,10
−ナイロン、11−ナイロン、12−ナイロン、ポリエ
チレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等
の熱可塑性樹脂やフェノール樹脂、エポキシ樹脂、ジア
リルフタレート樹脂等の熱硬化性樹脂を用いることがで
きる。本実施例では、ナイロン系の高分子材料を用い
た。
【0042】次に、図1で示す例えばステータコアの作
製方法を図5〜図9に基いて説明する。尚、図1及び図
2と対応するものについては同符号を記す。
【0043】本例の作製方法で用いられる射出成形用金
型は、図5及び図6に示すように、第1の金型31と第
2の金型32とから構成され、第1の金型31は、図5
A及びBに示すように、図1で示すステータコアSCの
外形状に沿った環状凹部33を有し、その高さは、該ス
テータコアのコア厚Tと同じに設定されてある。また、
その環状凹部33の底部には、ショートリングSRに設
けられた4つの位置決め用穴13に対応する位置決め用
突起34が形成されている。
【0044】第2の金型32は、図6A及びBに示すよ
うに、上記第1の金型31と対向する面上、図1で示す
ステータコアSCの3本の巻線溝(3s,5s,7s)
に対応する位置に上記3本の巻線溝(3s,5s,7
s)の形状に沿った3本の環状突起(35,36,3
7)が形成されている。
【0045】尚、図示しないが、フェライト樹脂が注入
されるランナー及びゲートは、各チャンネル毎に設けら
れる。本例では、第2の金型32にランナーが設けら
れ、ゲートは、3本の環状突起(35,36,37)又
はその近傍に設けられる。
【0046】そして、まず、図7A及びBに示すよう
に、第1の金型31の環状凹部33内にショートリング
SRを取り付ける。このとき、ショートリングSRに設
けられた位置決め用穴13内に第1の金型31に設けら
れた位置決め用突起34を嵌合させてショートリングS
Rを第1の金型31に取り付ける。
【0047】次に、図8に示すように、第1及び第2の
金型31及び32同士を密着させた後、上記本例に係る
フェライト樹脂をランナー及びゲート(図示せず)を介
して金型31及び32内に形成されたキャビティ内に射
出する。この場合、フェライト樹脂が、キャビティ内に
均一に充填されることから、変形や反り等のない、高い
寸法精度の成形品を得ることができる。
【0048】また、ショートリングSRは、それ自体が
堅牢であることと、該ショートリングSRが第1及び第
2の金型31及び32によって挟持された形となってい
ること、更に第1の金型31における位置決め用突起3
4がショートリングSRの位置決め用穴13内に嵌合さ
れていることから、フェライト樹脂の射出圧によって変
形したり、キャビティ内を移動するということがない。
【0049】そして、図9に示すように、上記のように
して射出成形された成形品を取り出した後、厚み方向の
二面を平坦研磨し、所定の厚み及び平行度に仕上げて本
例に係るステータコアSRが完成する。上記例では、ス
テータコアSRについて説明したが、もちろんロータコ
アRCも同様の工程にて形成する。
【0050】上述のように、本例によれば、ステータコ
アSC及びロータコアRCを、夫々フェライト樹脂コア
にて作製し、各コアSC及びRC内に、複数の磁路間を
分離するための金属製のショートリングSRをインサー
ト成形にて組み入れるようにしたので、従来から行って
いた接着剤の塗布工程、ショートリングSRの挿入工程
及び接着剤の硬化工程が不要となり、ショートリングS
Rの組立工程が大幅に削減される。
【0051】特に、ショートリングSRを、環状の非磁
性・良導体金属で構成し、ほぼ角形状で、かつ板厚が
0.2mm以上にすることにより、ショートリングSR
自体の堅牢性が向上し、インサート成形時に溶射される
フェライト樹脂の圧力によって浮遊するという現象がな
くなり、確実にコアSR及びRC内にショートリングS
Rを組み入れることができ、ショートリングSRの浮き
などの重大トラブルを引き起こす要因をなくすことがで
きると共に、ロータリートランスの歩留りを向上させる
ことができる。
【0052】また、本例では、ショートリングSRの外
枠11及び内枠12の高さhをステータコアSC及びロ
ータコアRCのコア厚Tと同じにし、更にショートリン
グSRを断面コ字状に形成してあるため、ショートリン
グSRのコア厚方向の寸法及びコアの径方向の寸法が大
きくなり、各チャンネル(磁路)間のクロストークを効
率よく抑制することができる。
【0053】また、完成したステータコアSC及びロー
タコアRCの裏面からショートリングSRの底面が露出
するため、ショートリングSRを容易に接地することが
でき、各チャンネル間のクロストークが更に改善され
る。
【0054】即ち、1チャンネルと2チャンネル間の磁
路を分離する外枠11と2チャンネルと3チャンネル間
の磁路を分離する内枠12とがショートリングSRの底
面(コアの裏面)にて一体となっているため、各チャン
ネルが磁気的に隔離されると共に、外枠11及び内枠1
2が同電位(接地電位)となり、クロストークを大幅に
改善することができる。また、一体構造であるため、部
品点数及び組立工数が削減される。
【0055】ここで、図10に、コアSC及びRCにシ
ョートリングSRを取り付けない場合(比較例1:曲線
参照)、コアSC及びRCにショートリングSRを単
に取り付けた場合(比較例2:曲線参照)及びコアS
C及びRCに取り付けたショートリングSRを接地した
場合(実施例:曲線参照)におけるクロストーク信号
の低減特性を示す。
【0056】この図から、低周波領域(100kHz)
でのクロストーク信号の低減は、比較例2及び実施例と
も比較例1に対して3dB程度であるが、周波数1MH
zにおいては、比較例2は、比較例1よりも12dB程
度低減され、実施例はその比較例2よりも3dB程度低
減される。更に高周波領域(5MHz)でのクロストー
ク信号の低減は、比較例2が比較例1よりも24dB程
度低減され、実施例においては、更に4dB程度低減さ
れる。
【0057】次に、2チャンネル用平型ロータリートラ
ンスに適用した変形例を図11に基いて説明する。尚、
図示の例は、ステータコアSCを主体に示し、ロータコ
アRCの構成については、該ステータコアSCと同じで
あるため省略する。また、図において、図1と対応する
ものについては同符号を記す。
【0058】図11Aは、第1の変形例を示すもので、
板厚tが0.2mm以上で、高さがコア厚と同じ円筒状
のショートリングSR1がコアSC内に組み込んで構成
してある。また、図11Bは、第2の変形例を示すもの
で、上面の板厚t1 に対し、底面の板厚t2 が大とさ
れ、高さがコア厚Tと同じ円筒状のショートリングSR
2がコアSC内に組み込んで構成してある。
【0059】図11Cは、第3の変形例を示すもので、
図11Aで示す第1の変形例におけるショートリングS
R1に横方向を軸とする貫通孔41が複数個形成された
ショートリングSR3を組み込んで構成してある。図1
1Dは、第4の変形例を示すもので、板厚tが0.2m
m以上で、高さがコア厚Tよりも低く、かつコア厚Tに
対して1/2以上とされた円筒状のショートリングSR
4がコアSC内に組み込んで構成してある。
【0060】これら変形例のうち、第1〜第3の変形例
は、ショーリングSR1〜SR3の底面がコアSCの裏
面から露出するため、ショートリングSR1〜SR3を
接地電位に固定することが容易となり、チャンネル間の
クロストークを有効に改善させることができる。
【0061】次に、結合効率の向上を図った第2実施例
について図12を参照しながら説明する。この図12
は、第2実施例に係る3チャンネル用平型ロータリート
ランスを一部省略して示す断面図である。尚、図1と対
応するものについては同符号を記す。
【0062】このロータリートランスは、図示するよう
に、該ロータリートランスを構成するコアSC及びRC
のうち、ステータコアSCが、フェライト樹脂コアにて
作製され、ロータコアRCが、フェライト粉末をプレス
成形して得たコア(以下、フェライト焼結コアと記す)
にて作製されている。尚、SR5及びSR6は、夫々細
い銅線を環状にして作ったショートリングを示す。
【0063】ロータコアRCへのショートリングSR5
及びSR6の取り付けは、従来から行われている方法を
用いる。即ち、まず、溝42r及び43r内に接着剤を
塗布した後、各溝42r及び43r内に夫々ショートリ
ングSR5及びSR6を入れ、更に各ショートリングS
R5及びSR6の上面をローラ(図示せず)で押し付け
ながら接着剤を硬化させることにより、ショートリング
SR5及びSR6を溝42r及び43r内に組み入れ
る。
【0064】この第2実施例によれば、ステータコアS
Cが寸法精度の高いフェライト樹脂コアにて作製されて
いるため、対向面精度が大幅に向上する。また、ロータ
コアRCがフェライト焼結コアにて作製されているた
め、従来のフェライト樹脂コアのみで構成したコアより
もその実効透磁率が向上し、それに伴って、ロータリー
トランスの結合効率及び伝送効率を向上させることがで
きる。
【0065】ここで、フェライト焼結コアとフェライト
樹脂コアの特性について説明する。フェライト樹脂コア
の比透磁率(μs)は、μs=10〜50が一般的であ
る(通常、μs=20)。
【0066】比透磁率が低い原因は、フェライト磁性体
を粉砕して数μm〜数100μmの粒子径にしているこ
とと、非磁性の高分子材料が含有されてフェライトの充
填率が低下しているためである。
【0067】フェライト樹脂の比透磁率を高くするに
は、以下のことが必要である。 フェライト磁性体として高比透磁率のものを使用す
る。 フェライト粉の粒子径を大きくする(1mm程度)。 高分子材料に対するフェライト粉の重量比を高くする
(80%以上)。
【0068】上記の方法は、表1で示す通り、Mn−
Zn系フェライト(μs=1000〜10000)でフ
ェライト樹脂を作ることが考えられる(μs=30)。
しかし、比抵抗が10〜10(5)Ω・cmと低いとい
う不都合がある。また、上記及びの方法では、フェ
ライト樹脂の流動性が悪くなり、射出成形が困難になる
という不都合がある。
【0069】
【表1】
【0070】ロータリートランスの伝送特性を表す一つ
のパラメータとして結合係数がある。図13に結合係数
−比透磁率特性を示す。一般に、フェライト焼結コアを
用いたロータリートランスは、比透磁率の比較的高い材
料(μs>500)、例えばMg−ZnフェライトやN
i−Znフェライトが使用され、結合係数もk=0.9
2以上となっている。
【0071】一方、フェライト樹脂コアでロータリート
ランスを作製したものは、フェライト樹脂コアの比透磁
率がμs=20と非常に低く、結合係数もk=0.84
で、実用的でない。そこで、通常は、回転ドラム内にヘ
ッドアンプを内蔵させて、出力レベル及びS/Nを高く
する必要があり、構造が複雑になるという不都合があ
る。
【0072】本例の場合は、フェライト樹脂コア(μs
=20)とフェライト焼結コア(μs=1400)の組
合せのため、結合係数がk=0.93となり、実用化レ
ベルの範囲にある。
【0073】尚、上記第1及び第2実施例では、3チャ
ンネル用平型ロータリートランスに適用した例を示した
が、もちろん図14及び図15に示すように、3チャン
ネル用縦型ロータリートランスにも適用することができ
る。この図14及び図15において、図1及び図12と
対応するものについて同符号を記してある。
【0074】また、上記第2実施例では、フェライト樹
脂コアでステータコアSCを作製し、フェライト焼結コ
アでロータコアRCを作製した例を示したが、その逆の
構成、即ちフェライト焼結コアでステータコアSCを作
製し、フェライト樹脂コアでロータコアRCを作製して
も同様の効果を得ることができる。
【0075】ところで、ロータリートランスには、コイ
ルからのリード線を外部に導出するための端子が取り付
けられる。通常は、図16に示すように、樹脂モールド
部材51に端子ピン52を挿入した端子取付け部材53
を例えばステータコアSCの裏面に接着剤により取り付
け、その後、コイル2s及び4sからのリード線を外部
に引き回して端子ピン52にからげるようにしている。
しかし、この場合、部品点数が多くなり、また、接着工
程が必要であることから製造コストの低廉化に限界が生
じる。
【0076】そこで、本例では、図17に示すように、
図8で示す射出成形時に端子ピン52をインサート成形
する。即ち、図8で示す金型31及び32のキャビティ
内に端子ピン52を位置決め、固定し、その状態でキャ
ビティ内にフェライト樹脂を射出することにより、端子
ピン52がインサート成形された例えばステータコアS
Cを得ることができる。
【0077】この場合、射出成形時に端子ピン52がイ
ンサート成形されるため、図16で示す樹脂モールド部
材51などの部品を省略することができ、また接着工程
を省くことができる。その結果、製造コストの低廉化を
効率よく図ることが可能となる。尚、図18は、縦型ロ
ータリートランスに応用した例を示す断面図である。対
応するものに同符号を記してある。
【0078】また、図19に示すように、コアSCの裏
面にリード線引出し用溝61を端子ピン52の根元まで
つながるように成形することにより、リード線の配線と
端子ピン52へのからげが容易になる。尚、図20A及
びBは、縦型ロータリートランスにリード線引出し用溝
61を成形した例を示すもので、図20Aは、インナー
側のコアにリード線引出し用溝61を設けた場合を示
し、図20Bは、アウター側のコアにリード線引出し用
溝61を設けた場合を示す。
【0079】
【発明の効果】本発明に係るロータリートランスによれ
ば、磁路間分離用のショートリングをコア内に容易に、
かつ確実に組み入れることができ、ショートリングの組
立工数を大幅に削減することができると共に、磁路間の
クロストークの改善を更に向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1実施例に係る3チャンネル用平型ロータリ
ートランスを一部省略して示す断面図。
【図2】第1実施例に係るショートリングを示す斜視
図。
【図3】フェライト樹脂の作り方を示す工程ブロック
図。
【図4】本例で用いられる造粒装置を示す構成図。
【図5】Aは、第1の金型を示す平面図。Bは、図5A
におけるA−A線上の断面図。
【図6】Aは、第2の金型を示す平面図。Bは、図6A
におけるB−B線上の断面図。
【図7】Aは、第1の金型にショートリングを取り付け
た状態を示す平面図。Bは、図7AにおけるC−C線上
の断面図。
【図8】第1及び第2の金型による射出成形を示す断面
図。
【図9】射出成形品(ステータコア)を示す断面図。
【図10】ショートリングによるクロストーク信号の低
減効果を示す特性図。
【図11】Aは、第1実施例の第1の変形例を一部省略
して示す断面図。Bは、第1実施例の第2の変形例を一
部省略して示す断面図。Cは、第1実施例の第3の変形
例を一部省略して示す断面図。Dは、第1実施例の第4
の変形例を一部省略して示す断面図。
【図12】第2実施例に係る3チャンネル用平型ロータ
リートランスを一部省略して示す断面図。
【図13】結合係数−比透磁率特性を示す特性図。
【図14】第1実施例を3チャンネル用縦型ロータリー
トランスに適用した例を示す断面図。
【図15】第2実施例を3チャンネル用縦型ロータリー
トランスに適用した例を示す断面図。
【図16】通常の端子ピンの取り付けを示す断面図。
【図17】本例の端子ピンの取り付けを示す断面図(そ
の1)。
【図18】本例の端子ピンの取り付けを示す断面図(そ
の2)。
【図19】本例のコア(ステータコア)の裏面を示す斜
視図。
【図20】Aは、本例の2チャンネル用縦型ロータリー
トランスのインナー側コアを示す斜視図。Bは、本例の
2チャンネル用縦型ロータリートランスのアウター側コ
アを示す斜視図。
【図21】従来例に係る2チャンネル用平型ロータリー
トランスを一部省略して示す断面図。
【符号の説明】
SC ステータコア RC ロータコア SR ショートリング 11 外枠 12 内枠

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 夫々複数の磁路を有するステータとロー
    タからなるロータリートランスにおいて、 上記ステータを構成するコア及び上記ロータを構成する
    コアが、夫々フェライト入り樹脂コアにて作製され、上
    記各コア内に、上記複数の磁路間を分離するための金属
    製のショートリングがインサート成形されていることを
    特徴とするロータリートランス。
  2. 【請求項2】 夫々複数の磁路を有するステータとロー
    タからなるロータリートランスにおいて、 上記ステータを構成するコア及び上記ロータを構成する
    コアのうち、一方のコアがフェライト入り樹脂コアにて
    作製され、他方のコアが焼結体にて作製され、上記一方
    のコア内に、上記複数の磁路間を分離するための金属製
    のショートリングがインサート成形されていることを特
    徴とするロータリートランス。
  3. 【請求項3】 上記ショートリングは、環状の非磁性・
    良導体金属から構成され、ほぼ角形状で、かつ板厚が
    0.2mm以上であることを特徴とする請求項1又は2
    記載のロータリートランス。
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Cited By (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2002533918A (ja) * 1998-12-22 2002-10-08 レイセオン・カンパニー 無コネクタ型インターフェースを介してエネルギを転送する装置及び方法
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