JPH05256U - 溶鋼処理容器等の保温蓋 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 熱膨張してキャスタブルを損傷するスタッド
と埋め込み鉄板を保温蓋の開孔部から取り除き、熱膨張
に起因するキャスタブルの損傷がない開孔部を備えた保
温蓋を提供する。 【構成】 溶鋼処理容器等の保温蓋において、保温蓋の
開孔部に、プレキャスト開孔部耐火物１を使用する溶鋼
処理容器等の保温蓋。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

本考案は、製鋼過程で使用する溶鋼処理容器等の保温蓋に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】

溶鋼処理容器等の保温蓋、例えば取鍋保温蓋、タンディッシュ保温蓋等には、 数カ所の開孔部があり、この開孔部は形状がまちまちのために、開孔部の施工に は不定形施工が採用されている。

【０００３】 以下に、タンディッシュ保温蓋開孔部の施工例について説明する。施工順序は 図４(a) 、(b) に示すように、Ｖ字形スタッド12を設けた開孔部３の孔４より大 きめの埋め込み鉄板11を作成し、これを保温蓋の開孔部３の保温蓋鉄板５に溶接 固定して、つぎに開孔部３の孔４の外形に合わせた流し込み枠13をセットして、 埋め込み鉄板11と流し込み枠13との間にキャスタブルを流し込み開孔部３を成形 している。その後、流し込んだキャスタブルを乾燥したのち、流し込み枠13を取 り除いて開孔部３の施工を終わる。開孔部以外の施工も、リブ14とＹ字形スタッ ド15を設けた保温蓋鉄板５にキャスタブルを流し込んで行っている。

【０００４】 保温蓋開孔部３は、タンディッシュ本体の加熱時、内部からの熱気の流出通路 となり、温度が上昇し、そうでないときとの温度差が大きいところである。した がって、埋め込み鉄板11とＶ字形スタッド12が熱膨張と収縮を繰り返し受け、こ のために、キャスタブル７が割れ、図５のように溶損して、開孔部３を損傷させ 保温蓋の寿命を短縮させている。

【０００５】

【考案が解決しようとする課題】

本考案は、上記の問題点を解決するためになされたもので、熱膨張してキャス タブルを損傷するスタッドと埋め込み鉄板を開孔部から取り除き、熱膨張に起因 するキャスタブルの損傷がない開孔部を備えた保温蓋を提供することを目的とす る。

【０００６】

【課題を解決するための手段】

溶鋼処理容器等の保温蓋において、保温蓋の開孔部に、プレキャスト開孔部耐 火物を使用する溶鋼処理容器等の保温蓋である。

【０００７】

【作用】

本考案の保温蓋は、熱気で熱膨張するスタッドと埋め込み鉄板を開孔部から取 り除いて、プレキャスト開孔部耐火物を開孔部に使用しているため、熱膨張に起 因する開孔部の損傷はない。プレキャスト開孔部耐火物は、それぞれの開孔部の 大きさに合わせ、キャスタブルで成形し、所定温度で乾燥して仕上げたものであ る。

【０００８】

【実施例】

以下に、本考案の実施例について説明する。図１はプレキャスト開孔部耐火物 の形状を、図２はプレキャスト開孔部耐火物の施工例を、図３はタンディッシュ 保温蓋の寿命をそれぞれ示す。

【０００９】 プレキャスト開孔部耐火物１は主成分がAl₂O₃:60.8％、SiO₂:31.3 ％、CaO:1. 4 ％のキャスタブルで成形し、 300℃で乾燥して仕上げたものである。なお、プ レキャスト開孔部耐火物に、必要に応じて SUSファイバー等の強化繊維を添加し てもよい。形状は図１に示すように、リング状で中央部に開孔部の孔に合わせた 孔４を設け、外形側面は台形状で外周面にテーパを持たせている。施工時は図２ (a) に示すように、プレキャスト開孔部耐火物１のテーパ面が重力方向に先細り になる状態で、保温蓋鉄板５に密着させ、保温蓋キャスタブル７で埋め込む。こ のことによって、プレキャスト開孔部耐火物の外周テーパ面と、この外周テーパ 面と接触している保温蓋キャスタブル７のテーパ面とが互いに作用しあって、使 用時のプレキャスト開孔部耐火物１の保温蓋からの落下を防止することができる 。

【００１０】 また、図１(b) に示すように、プレキャスト開孔部耐火物１に鍔状のフランジ ２を設け、図２(b) にのように、このフランジ２を保持金物６で保温蓋鉄板５に 固定させることによって、保温蓋キャスタブル７にかかるプレキャスト開孔部耐 火物１の荷重を軽減することができる。これによって、さらにタンディッシュ保 温蓋の寿命を延ばすことができる。

【００１１】 プレキャスト開孔部耐火物を使用したタンディッシュ保温蓋について実用試験 を行った。その結果を図３に示す。プレキャスト開孔部耐火物を使用したタンデ ィッシュ保温蓋の寿命は、図３に示すように、従来の保温蓋の180 チャージの寿 命に対して、604 チャージの寿命で、寿命の延びが著しい。

【００１２】

【考案の効果】

本考案は、熱膨張してキャスタブルを損傷するスタッドと埋め込み鉄板を開孔 部から取り除き、熱膨張に起因するキャスタブルの損傷がない開孔部を備えた保 温蓋で、この保温蓋を使用することによって、開孔部のキャスタブルの損傷がな くなり保温蓋の寿命を著しく延ばすことができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】プレキャスト開孔部耐火物の形状を示す図であ
る。

【図２】プレキャスト開孔部耐火物の施工例を示す図で
ある。

【図３】タンディッシュ保温蓋の寿命を示す図である。

【図４】従来技術の保温蓋の説明図である。

【図５】保温蓋開孔部の溶損状態を示す図である。

【符号の説明】

１…プレキャスト開孔部耐火物、２…フランジ、３…開
孔部、４…孔、５…保温蓋鉄板、６…保持金物、７…キ
ャスタブル、11…埋め込み鉄板、12…Ｖ字形スタッド、
13…流し込み枠、14…リブ、15…Ｙ字形スタッド。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 【請求項１】 溶鋼処理容器等の保温蓋において、保温
   蓋の開孔部に、プレキャスト開孔部耐火物を使用するこ
   とを特徴とする溶鋼処理容器等の保温蓋。