JPH05255619A - 被覆材組成物 - Google Patents

被覆材組成物

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JPH05255619A
JPH05255619A JP4039632A JP3963292A JPH05255619A JP H05255619 A JPH05255619 A JP H05255619A JP 4039632 A JP4039632 A JP 4039632A JP 3963292 A JP3963292 A JP 3963292A JP H05255619 A JPH05255619 A JP H05255619A
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洋 福島
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操 田村
Takashi Kawaguchi
貴司 河口
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Abstract

(57)【要約】 【目的】合成樹脂成形品表面に、耐摩耗性、耐熱性、耐
侯性、耐薬品性に優れた合成樹脂硬化被覆を形成し得る
活性エネルギ−線硬化性被覆材組成物を提供する。 【構成】(A)1分子内に少なくとも3個以上の(メ
タ)クリロイルオキシ基を有する、モノ又はポリペンタ
エリスリト−ルのポリ(メタ)アクリレ−トから選ばれ
た少なくとも1種の多官能単量体:30〜70重量部、
(B)1分子内に1個のアクリロイルオキシ基及び/又
はメタクリロイルオキシ基を有する単官能単量体の少な
くとも1種:30〜70重量部、(C)ポリ〔(メタ)
アクリロイルオキシアルキル〕(イソ)シアヌレ−ト:
5〜50重量部、(D)紫外線吸収剤:2〜30重量
部、(E)光重合開始剤:0.1〜10重量部からなる
(ただし、A、B、C、D及びEの合計量は100重量
部である)被覆材組成物。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、活性エネルギ−線照射
により、耐摩耗性、表面平滑性、耐熱性、耐薬品性、耐
久性、耐侯性及び基材との密着性に優れた架橋硬化被膜
を形成し、かつ有機溶剤を実質的に含まないか或るいは
固形分が70%以上である低公害性の被覆材組成物に関
する。
【0002】
【従来の技術】ポリメチルメタクリレ−ト樹脂、ポリメ
タクリルイミド樹脂、ポリカ−ボネ−ト樹脂、ポリスチ
レン樹脂、AS樹脂などから製造された合成樹脂成形品
は、軽量で耐衝撃性に優れるばかりでなく、透明性も良
好で、近年、自動車用プラスチック材料として、ヘッド
ランプ、グレ−ジング、計器類のカバ−などに多く用い
られるようになってきている。しかし、これらの合成樹
脂成形品はその表面の耐摩耗性が不足しているため、他
の硬い物との接触、摩擦、ひっかきなどによって表面に
損傷を受けやすく、表面に発生した損傷はその商品価値
を著しく低下させたり、短期間で使用不能になったりす
るので表面の耐摩耗性を改良することが強く要求されて
いる。また、上記した自動車用材料として使用される場
合には、その耐侯性も重要な性能となる。
【0003】このような合成樹脂形成品の欠点を改良す
る方法については、従来より種々検討されてきており、
例えばシリコン系、メラミン系の樹脂組成物からなる被
覆材を合成樹脂成形品表面に塗布し、加熱縮合によって
架橋被膜を形成し、耐摩耗性を向上させる方法や、ラジ
カル重合性単量体からなる樹脂組成物を塗布した後活性
エネルギ−線を照射させ架橋被膜を形成する方法などが
提案されている(特開昭56−122840号公報
等)。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかし、これらの方法
により、合成樹脂成形品表面の耐摩耗性はある程度改善
されるものの、前者の方法では熱ショック、熱水などに
対する耐久性や耐薬品性が不十分であり、後者の方法で
は、耐久性や耐薬品性は優れるものの、耐侯性に関して
は満足できるものではなかった。特に、基材合成樹脂成
形品の耐侯性が本質的に不良なもの、例えばポリカ−ボ
ネ−ト樹脂等の場合は、表面硬化被膜自身の耐侯性は良
好であっても、被膜を通過した外部からの紫外線等の活
性エネルギ−線によって基材自身が劣化を受け、成形品
が強く黄変したり、表面の硬化被膜にクラックが生じた
り、被膜が剥離したりする。さらに、近年、地球環境を
保護するために、塗料のハイソリッド化が叫ばれてお
り、塗装作業性と、塗膜の平滑性と、そして被膜の性能
とのバランスがとれたものの要求が強くなってきてい
る。
【0005】本発明は、上述の背景になされたものであ
り、その目的とするところは耐摩耗性、表面平滑性、耐
熱性、耐薬品性、耐久性、耐侯性及び基材との密着性に
優れた架橋硬化被膜を形成し、かつ有機溶剤を実質的に
含まないか、或るいは固形分が70%以上である低公害
性の被覆材組成物である。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記の種
々の問題点を解決するために鋭意検討した結果、ある特
定の多官能(メタ)アクリレ−ト及び、特定の単官能
(メタ)アクリレ−ト化合物を特定の割合で配合し、さ
らに紫外線吸収剤及び光重合開始剤を特定の割合に配合
した被覆材組成物を合成樹脂成形品に塗布して活性エネ
ルギ−線照射により硬化させることにより、耐摩耗性、
耐侯性に優れた合成樹脂成形品が得られることを見出し
本発明に至った。
【0007】すなわち本発明は、 (A)1分子内に少なくとも3個以上のアクリロイルオ
キシ基及び/又はメタクリロイルオキシ基を有する多官
能単量体で次の一般式(I)で示されるモノ又はポリペ
ンタエリスリト−ルのポリ(メタ)アクリレ−トから選
ばれた少なくとも1種の単量体:30〜70重量部、
【0008】
【化5】
【0009】(式中、X11、X12、X13、X22、X23
n2、Xn3、及びX14、の中の少なくとも3個はCH2
=CR1−COO−基で、残りは−OH基である。ま
た、nは1〜5の整数であり、R1は水素またはメチル
基を示す。) (B)一般式(II)で示される、1分子内に1個のアク
リロイルオキシ基及び/又はメタクリロイルオキシ基を
有する単官能単量体の少なくとも1種:30〜70重量
部、
【0010】
【化6】
【0011】(式中、R2は水素またはメチル基を、R3
は炭素数3〜10の脂肪族炭化水素残基を示す。) (C)一般式(III)または(IV)で示されるポリ
〔(メタ)アクリロイルオキシアルキル〕(イソ)シア
ヌレ−ト:5〜50重量部
【0012】
【化7】
【0013】
【化8】
【0014】(式中、X1、X2及びX3はアクリロイル
基、メタクリロイル基、水素原子またはアルキル基を示
し、これらのうちの少なくとも2個は(メタ)アクリロ
イル基であり、R1、R2及びR3は炭素数1〜4のオキ
シアルキレン基を示す。) (D)紫外線吸収剤:2〜30重量部、 (E)光重合開始剤:0.1〜10重量部、 からなる(ただし、A、B、C、D及びEの合計量は1
00重量部である)ことを特徴とする被覆材組成物であ
る。
【0015】この被覆材組成物を合成樹脂成形品の表面
に塗布して、活性エネルギ−線を照射することにより、
膜厚1〜30μmの架橋硬化被膜を有する耐摩耗性、耐
熱性、耐薬品性、耐久性、耐侯性に優れた合成樹脂成形
品を得ることができる。本発明を詳しく説明する。先
ず、本発明の被覆材組成物の各成分について説明する。
【0016】(A)成分について、(A)成分であるモ
ノ又はポリペンタエリスリト−ルのポリ(メタ)アクリ
レ−トから選ばれた少なくとも1種の単量体は、活性エ
ネルギ−線の照射により良好な重合活性を示し、また高
度な架橋密度を有する耐摩耗性に優れたポリマ−を形成
する。したがって、基材表面に耐摩耗性に優れた硬化被
膜を形成することができる。
【0017】(A)成分の具体例としては、ペンタエリ
スリト−ルトリ(メタ)アクリレ−ト、ペンタエリスリ
ト−ルテトラ(メタ)アクリレ−ト、ジペンタエリスリ
ト−ルトリ(メタ)アクリレ−ト、ジペンタエリスリト
−ルテトラ(メタ)アクリレ−ト、ジペンタエリスリト
−ルペンタ(メタ)アクリレ−ト、ジペンタエリスリト
−ルヘキサ(メタ)アクリレ−ト、トリペンタエリスリ
ト−ルテトラ(メタ)アクリレ−ト、トリペンタエリス
リト−ルペンタ(メタ)アクリレ−ト、トリペンタエリ
スリト−ルヘキサ(メタ)アクリレ−ト、トリペンタエ
リスリト−ルヘプタ(メタ)アクリレ−ト、トリペンタ
エリスリト−ルオクタ(メタ)アクリレ−ト、等が挙げ
られる。
【0018】(A)成分の使用割合は、(A)〜(D)
成分の合計量100重量部中30〜70重量部、より好
ましくは、40〜60重量部である。(A)成分の量が
30重量部未満では、十分な耐摩耗性を有する硬化被膜
が得られず、70重量部を越えると、硬化被膜にクラッ
クが生じ易くなり、耐久性試験や耐侯性試験後の硬化被
膜にはクラックが生じる。また硬化被膜の耐熱性も低下
する。
【0019】(B)成分について、(B)成分である、
一般式(II)で示される、1分子内に1個のアクリロイ
ルオキシ基及び/又はメタクロイルオキシ基を有する単
官能単量体は、高粘度の(A)成分を希釈し、塗装作業
性を向上する成分である。また、(A)成分のみでは、
硬化被膜の架橋密度が高くなりすぎるため、架橋密度を
適度に調整する成分でもある。(B)成分は、低粘度で
あることが好ましいが、一般式(II)で炭素数が1〜2
の化合物は、沸点が低いため、有機溶剤を用いるごと
く、硬化被膜形成中に揮散してしまうので、本発明の目
的である環境保護を達成できない。
【0020】(B)成分の具体例としては、プロピル
(メタ)アクリレ−ト、n−ブチル(メタ)アクリレ−
ト、イソブチル(メタ)アクリレ−ト、タ−シャリ−ブ
チル(メタ)アクリレ−ト、n−ペンチル(メタ)アク
リレ−ト、n−ヘキシル(メタ)アクリレ−ト、n−ヘ
プチル(メタ)アクリレ−ト、n−オクチル(メタ)ア
クリレ−ト、イソオクチル(メタ)アクリレ−ト、2−
エチルヘキシル(メタ)アクリレ−ト、n−ノニル(メ
タ)アクリレ−ト、n−デカン(メタ)アクリレ−ト等
が上げられるが、上記した中でも、タ−シャリ−ブチル
アクリレ−ト、タ−シャリ−ブチルメタクリレ−ト、2
−エチルヘキシルアクリレ−ト、2−エチルヘキシルメ
タクリレ−トが特に好ましい。
【0021】(B)成分の使用割合は、(A)〜(D)
成分の合計量100重量部中30〜70重量部、より好
ましくは、35〜65重量部である。(B)成分の量が
30重量部未満では、十分な稀釈効果が得られず、塗装
作業性が低下する。また、十分な耐久性、耐侯性を有す
る硬化被膜が得られない。70重量部を越えると、耐摩
耗性が低下する。
【0022】(C)成分について、(C)成分である、
一般式(III)または(IV)で示されるポリ〔(メタ)
アクリロイルオキシアルキル〕(イソ)シアヌレ−ト
は、活性エネルギ−線の照射により良好な重合活性を示
し、また高い耐摩耗性を損なうことなく硬化被膜の強靱
性、耐熱性を向上することのできる成分である。
【0023】(C)成分の具体例としては、ジ〔2−
(メタ)アクロイルオキシエチル〕イソシアヌレ−ト、ト
リス〔2−(メタ)アクリロイルオキシエチル〕イソシア
ヌレ−ト、ジ〔2−(メタ)アクロイルオキシプロピル〕
イソシアヌレ−ト、トリス〔2−(メタ)アクリロイルオ
キシプロピル〕イソシアヌレ−ト、ジ〔2−(メタ)アク
ロイルオキシエチル〕シアヌレ−ト、トリス〔2−(メ
タ)アクリロイルオキシエチル〕シアヌレ−ト、ジ〔2
−(メタ)アクロイルオキシプロピル〕シアヌレ−ト、ト
リス〔2−(メタ)アクリロイルオキシプロピル〕シアヌ
レ−ト等が挙げられる。
【0024】上記した、(C)成分の使用割合は、
(A)〜(D)成分の合計量100重量部中5〜50重
量部、より好ましくは、10〜40重量部である。
(C)成分の量が5重量部未満では、十分な強靱性、耐
熱性を有する硬化被膜が得られず、50重量部を越える
と、耐摩耗性が低下する。
【0025】(D)成分について、(D)成分である紫
外線吸収剤は特に限定されず、組成物中に均一に溶解
し、かつその耐侯性が良好なものであれば使用可能であ
るが、組成物に対する良好な溶解性および耐侯性改善効
果という点から、ベンゾフェノン系、ベンゾトリアゾ−
ル系、サリチル酸フェニル系、安息香酸フェニル系から
誘導された化合物で、それらの最大吸収波長が240〜
380nmの範囲である紫外線吸収剤が好ましく、特
に、組成物に多量に含有させることができるという点か
ら、ベンゾフェノン系の紫外線吸収剤が、またポリカ−
ボネ−ト等の基材の黄変を防ぐことができるという点か
ら、ベンゾトリアゾ−ル系の紫外線吸収剤が好ましい。
この上記2種を組合せて用いるのが最も好ましい。
【0026】(D)成分の具体例としては、2−ヒドロ
キシベンゾフェノン、5−クロロ−2−ヒドロキシベン
ゾフェノン、2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2
−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2−ヒド
ロキシ−4−オクチロキシベンゾフェノン、4−ドデシ
ロキシ−2−ヒドロキシベンゾフェノン、2−ヒドロキ
シ−4−オクタデシロキシベンゾフェノン、2,2’−
ジヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2,2’
−ジヒドロキシ−4,4’ジメトキシベンゾフェノン、
フェニルサリシレ−ト、p−tert−ブチルフェニル
サリシレ−ト、p−(1,1,3,3,−テトラメチル
ブチル)フェニルサリシレ−ト、3−ヒドロキシフェニ
ルベンゾエ−ト、フェニレン−1,3−ジベンゾエ−
ト、2−(2−ヒドロキシ−5’−メチルフェニル)ベ
ンゾトリアゾ−ル、2−(2−ヒドロキシ−5−ter
t−ブチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾ−
ル、2−(2−ヒドロキシ−3,5−ジ−tert−ブ
チルフェニル)ベンゾトリアゾ−ル、2−(2−ヒドロ
キシ−5−tert−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾ
−ル、2−(2−ヒドロキシ−4−オクチロキシフェニ
ル)ベンゾトリアゾ−ル等が挙げられるが、これらのう
ち、ベンゾフェノン系の2−ヒドロキシ−4−オクトキ
シベンゾフェノンおよび2,4−ジヒドロキシベンゾフ
ェノン、ベンゾトリアゾ−ル系の2−(2−ヒドロキシ
−5−tert−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾ−ル
が特に好ましく、これらは2種以上を組み合わせて使う
のがより好ましい。
【0027】(D)成分の使用割合は、(A)〜(D)
成分の合計量100重量部中2〜30重量部、より好ま
しくは、5〜15重量部である。(D)成分の量が2重
量部未満では、硬化被膜の耐侯性及び基材の紫外線から
の保護が十分でなく、30重量部を越えると被膜自身の
硬化が不十分となり、硬化被膜の強靱性、耐熱性、対摩
耗性が低下する。
【0028】(E)成分について、(E)成分である光
重合開始剤としては、ベンゾイン、ベンゾインモノメチ
ルエ−テル、ベンゾインイソプロピルエ−テル、アセト
イン、ベンジル、ベンゾフェノン、p−メトキシベンゾ
フェノン、ジエトキシアセトフェノン、ベンジルジメチ
ルケタ−ル、2,2−ジエトキシアセトフェノン、1−
ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、メチルフェ
ニルグリオキシレ−ト、エチルフェニルグリオキシレ−
ト、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパ
ン−1−オン等のカルボニル化合物、テトラメチルチウ
ラムモノスルフェド、テトラメチルチウラムジスルフィ
ドなどの硫黄化合物、2,4,6−トリメチルベンゾイ
ルジフェニルフォスフィンオキサイドなどのアシルフォ
スフィンオキサイド等を挙げることができる。これらは
1種または2種以上の混合系で使用される。これらの中
でも、ベンゾフェノン、ベンゾインイソプロピルエ−テ
ル、メチルフェニルグリオキシレ−ト、ベンジルジメチ
ルケタ−ルがより好ましい。
【0029】(E)成分の使用割合は、(A)〜(D)
成分の合計量100重量部中0.1〜10重量部、より
好ましくは、1〜5重量部である。(E)成分の量が
0.1重量部未満では、硬化性が不十分となり、10重
量部を越えると硬化被膜の着色を招き、また耐侯性も低
下する。
【0030】本発明の被覆材組成物には、必要に応じ
て、有機溶剤、酸化防止剤、黄変防止剤、ブル−イング
剤、顔料、レベリング剤、消泡剤、増粘剤、沈降防止
剤、帯電防止剤、防曇剤等の各種の添加剤が含まれてい
てもよい。有機溶剤は使用しないのが好ましいが、被塗
装基材の形状や、より薄い被膜が要求される場合には、
固形分が70%未満にならないように加えてもよい。有
機溶剤の種類は、被塗装基材により選択して用いるのが
良い。すなわち、基材としてポリカ−ボネ−トを使用す
る場合には、イソブタノ−ルなどのアルコ−ル系溶剤、
酢酸n−ブチル、酢酸ジエチレングリコ−ルなどのエス
テル系溶剤、エチルセロソルブなどのセロソルブ系溶剤
の3種を組み合わせて用いるのが良い。溶剤の使用量は
被覆材組成物100部に対して1〜40部を用いるのが
良い。
【0031】本発明の被覆材組成物の塗布方法として
は、ハケ塗り、スプレ−コ−ト、ディップコ−ト、スピ
ンコ−ト、カ−テンコ−トなどの方法が用いられるが、
被覆材組成物の塗布作業性、被覆の平滑性、均一性、硬
化被膜の基材に対する密着性向上の点から、スプレ−コ
−ト法が特に好ましい。また、活性エネルギ−線により
硬化する際には、上記した塗布方法により、被覆材組成
物を基材上に膜厚1〜12μm、好ましくは、3〜8μ
mになるように塗布し、高圧水銀ランプ、メタルハライ
ドランプ等を用いて、100〜400nmの紫外線を1
000〜5000mJ/cm2となるように照射する。
照射する雰囲気は、空気でもよいし、窒素、アルゴン等
の不活性ガス中でもよい。
【0032】本発明の被覆剤組成物を適用する合成樹脂
成形品としては、従来から耐摩耗性や耐侯性等の改善の
要望のある各種の熱可塑性樹脂や熱硬化性樹脂の成形品
である。具体例としては、ポリメチルメタクリル樹脂、
ポリカ−ボネ−ト樹脂、ポリスチレン樹脂、ABS樹
脂、AS樹脂、ポリアミド樹脂、ポリアリレ−ト樹脂、
ポリメタクリルイミド樹脂、ポリアリルジグリコ−ルカ
−ボネ−ト樹脂などの成形品が挙げられる。ここで成形
品とは、これらの樹脂からなるシ−ト状成形品、フィル
ム状成形品、各種射出成形品などである。上記した中で
も、ポリメチルメタクリル樹脂、ポリカ−ボネ−ト樹
脂、ポリスチレン樹脂、ポリメタクリルイミド樹脂は、
透明性に優れかつ耐摩耗性改良要求も強いため、本発明
の被覆材組成物の基材として用いるのに特に有効であ
る。
【0033】
【実施例】以下に実施例及び比較例を掲げ本発明を更に
詳しく説明する。なお、実施例中の「部」はすべて「重
量部」を意味する。また実施例中の測定評価は次のよう
な方法で行った。 (1)硬化被膜の外観 組成物の塗布、硬化後の外観を目視評価した。 ○…表面が平滑で、透明である。 △…表面に凹凸があり、平滑でない。 ×…平滑でなく、白化やクモリが観察される。
【0034】(2)耐摩耗性 ♯000のスケ−ルウ−ルを直径25mmの円筒先端に
装着し水平に置かれたサンプル面に接触させ、1Kgの
荷重で50回往復摩耗した後、拡散透過率(ヘイズ値)
を測定し、対摩耗性の判定を行った。 耐摩耗性の判定基準 ○…増加ヘイズ値=0〜0.5 :ほとんど傷はつい
ていない。 △…増加ヘイズ値=0.5〜3.0:少し傷がつく。 ×…増加ヘイズ値=3.0以上 :ひどく傷がつく。
【0035】(3)密着性 硬化被膜に1mm間隔で基材まで達するクロスカットを
入れ、1mm2の碁盤目を100個作り、その上にセロ
テ−プを貼り付け急激にはがし、剥離した碁盤目を数え
た。 ○…剥離なし。 △…剥離の数1〜50個 ×…剥離の数51〜100個
【0036】(4)耐熱性 塗板サンプルを120℃の熱風乾燥機に24時間入れ、
硬化被膜の変化を観察した。 ○…変化なし。 △…小さなクラックが発生。 ×…塗板の全面にクラックが発生。
【0037】(5)耐侯性 サンシャインカ−ボンウエザオメ−タ−(スガ試験機
製、WEL−SUN−HC−B型)耐候試験機を用い
て、ブラックパネル温度63±3℃、降雨12分間、照
射48分間のサイクルで試験した。1000時間、20
00時間曝露後の硬化被膜の変化を観察し、密着性を試
験した。 (a)外観の変色 ○…変色なし。 △…若干黄変あり。 ×…黄変大。 (b)クラックの発生、膜の剥離 ○…なし。 ×…あり。
【0038】(実施例1〜4、比較例1〜6)表1に示
す成分、配合比で被覆材組成物を調製した。各被覆材組
成物を、厚さ3mmのポリカ−ボネ−ト樹脂板(GE社
製、商品名:レキサンLS−II)に、硬化後の塗膜が4
μmになるようにスプレ−塗装した。加熱により有機溶
剤分を揮発させた後、空気中で高圧水銀ランプを用い、
波長340nm〜380nm紫外線を、積算光量が30
00mJ/cm2のエネルギ−になるように照射し、硬
化塗膜を得た。得られた塗膜の評価結果を表1に示し
た。
【0039】
【表1】
【0040】なお、表1中の化合物の記号は次の通りで
ある。 DPHA:ジペンタエリスリト−ルペンタアクリレ−ト EHA :2−エチルヘキシルアクリレ−ト TBMA:タ−シャリ−ブチルメタクリレ−ト MA :メチルアクリレ−ト BA :ベンジルアクリレ−ト LA :ラウリルアクリレ−ト HDA :ヘキサンジオ−ルジアクリレ−ト BIP :ベンゾインイソプロピルエ−テル BPN :ベンゾフェノン MPG :メチルフェニルグリオキシレ−ト HBPB:2−(2−ヒドロキシ−5−tert−ブチ
ルフェニル)ベンゾトリアゾ−ル HOBP:2−ヒドロキシ−4−オクトキシベンゾフェ
ノン DHBP:2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン
【0041】
【発明の効果】以上説明したように、本発明の被覆材組
成物は、紫外線などの活性エネルギ−線を照射すると言
う簡単な手段により、耐摩耗性、耐熱性、耐侯性、耐薬
品性に優れた合成樹脂硬化被覆成形体を得ることができ
る。したがって、ポリメチルメタクリル樹脂、ポリカ−
ボネ−ト樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリメタクリルイミ
ド樹脂等の透明性に優れ、且つ耐摩耗性等の改良が要求
される成形品の被覆材として極めて有用である。しか
も、本発明の被覆材組成物は、有機溶剤を含まないため
環境保護に有効である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.5 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C09D 5/00 // C08F 220/36 MMW 7242−4J 299/02 MRS 7442−4J (72)発明者 竹本 脩 愛知県名古屋市東区砂田橋四丁目1番60号 三菱レイヨン株式会社商品開発研究所内

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】(A)1分子内に少なくとも3個以上のア
    クリロイルオキシ基及び/又はメタクリロイルオキシ基
    を有する多官能単量体で次の一般式(I)で示されるモ
    ノ又はポリペンタエリスリト−ルのポリ(メタ)アクリ
    レ−トから選ばれた少なくとも1種の単量体:30〜7
    0重量部、 【化1】 (式中、X11、X12、X13、X22、X23…Xn2、Xn3
    及びX14、の中の少なくとも3個はCH2=CR1−CO
    O−基で、残りは−OH基である。また、nは1〜5の
    整数であり、R1は水素またはメチル基を示す。) (B)一般式(II)で示される、1分子内に1個のアク
    リロイルオキシ基及び/又はメタクリロイルオキシ基を
    有する単官能単量体の少なくとも1種:30〜70重量
    部、 【化2】 (式中、R2は水素またはメチル基を、R3は炭素数3〜
    10の脂肪族炭化水素残基を示す。) (C)一般式(III)または(IV)で示されるポリ
    〔(メタ)アクリロイルオキシアルキル〕(イソ)シア
    ヌレ−ト:5〜50重量部 【化3】 【化4】 (式中、X1、X2及びX3はアクリロイル基、メタクリ
    ロイル基、水素原子またはアルキル基を示し、これらの
    うちの少なくとも2個は(メタ)アクリロイル基であ
    り、R1、R2及びR3は炭素数1〜4のオキシアルキレ
    ン基を示す。) (D)紫外線吸収剤:2〜30重量部、 (E)光重合開始剤:0.1〜10重量部、からなる
    (ただし、A、B、C、D及びEの合計量は100重量
    部である)ことを特徴とする被覆材組成物。
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