JPH05252961A - ヒトカテプシンeの製造法 - Google Patents

ヒトカテプシンeの製造法

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JPH05252961A
JPH05252961A JP4229374A JP22937492A JPH05252961A JP H05252961 A JPH05252961 A JP H05252961A JP 4229374 A JP4229374 A JP 4229374A JP 22937492 A JP22937492 A JP 22937492A JP H05252961 A JPH05252961 A JP H05252961A
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JP
Japan
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hctse
host
promoter
cells
human cathepsin
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Application number
JP4229374A
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English (en)
Inventor
Hitoshi Hori
比斗志 堀
Tamami Takahashi
玉美 高橋
Takeshi Azuma
健 東
Takao Matsuba
隆雄 松葉
Masayuki Yamada
正幸 山田
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Tosoh Corp
Original Assignee
Tosoh Corp
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Abstract

(57)【要約】 【目的】ヒトカテプシンEの二量体又は単量体を遺伝子
工学的手法を使用して大量に製造する。 【構成】ヒトカテプシンEを暗号化するcDNA及びプ
ロモ−タ−を含むベクタ−を構築し、適当な宿主を形質
転換し、この形質転換宿主を培養することにより、上記
目的を達成する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、ヒトカテプシンE(以
下hCTSEという)の製造法に関するものであり、詳
しくは遺伝子工学的手法を用いたhCTSEの製造法に
関するものである。また本発明は、遺伝子工学的なhC
TSEの製造に使用する、発現ベクタ−又は形質転換宿
主に関するものである。
【0002】
【従来の技術】カテプシンE(CTSE)は、胃粘膜上
皮、骨髄、肺等の臓器を構成する細胞内部に局在する、
酸性プロテア−ゼ類に分類される蛋白質分解酵素であ
り、生理作用は解明されていないものの、臓器特異的な
局在様式や癌化した細胞での局在の変化等(T.Sakuら、
Gut 、31巻、p1250 、1990年)から、胃癌や膵臓癌を含
む癌や膵炎等の炎症のマ−カ−等として注目されてい
る。
【0003】CTSEのような、生体内含有量となんら
かの疾患が関連付けられ、これを測定することが疾患の
早期発見を可能にすると考えられる生理活性物質では、
高感度の生体内含有量測定系をまず開発して、その相関
等を詳細に研究する必要がある。生体内に存在する生理
活性物質を高感度に測定する方法として、抗体等の免疫
因子を利用した免疫測定法がある。
【0004】サンドイッチ免疫測定法に代表される酵素
免疫測定法(ELISA)では、例えば測定対象である
生理活性物質を認識する抗体を使用して当該対象を試料
から分離し、更に対象を認識する抗体であって、測定可
能な標識物質と結合した抗体を接触させて(抗体)−
(対象)−(抗体)(標識物質)からなる免疫複合体を
形成し、この標識物質を定量する。そして得られた結果
を、既知濃度の対象について同様の操作を行った場合の
結果から導かれる検量線等と比較することで、試料中の
対象の濃度を知るのである。
【0005】以上のような免疫測定法をCTSEの測定
系として構築するには、CTSEを認識する抗体及び検
量線を作成する必要がある。
【0006】ところで、hCTSEは生体から分子量約
8万の二量体として単離・精製される(Takeda Mら、J.
Biochem.100,p1269,1986年)が、人工的に単量体にされ
ても酵素活性を発現し得る酵素である。この事実は、生
体内で生理作用を担うhCTSEが二量体として存在す
るばかりでなく、単量体として存在する可能性を示して
いる。このためhCTSE測定系の構築にあたっては、
二量体はもちろん、単量体をも測定し得る測定系を構築
することが望まれる。
【0007】CTSEを認識する抗体は、CTSEを適
当な動物に免疫する等すれば調製できるが、特にモノク
ロ−ナル抗体等を効率良く取得しようとする場合には、
高純度に精製されたCTSEを使用する必要がある。ま
た検量線を作成するには高純度に精製されたCTSEを
使用することが必要である。
【0008】前記したように、二量体又は単量体のCT
SEに対する測定系を構築するに当たっては、二量体、
単量体又は前駆体を同様に認識し又は区別して認識でき
る抗体や、二量体、単量体又は前駆体hCTSEに関す
る検量線が必要になる。
【0009】
【従来技術の課題】二量体又は単量体hCTSEを認識
する抗体を調製し、それらの測定に必要な検量線を作成
するには、高純度の二量体又は単量体hCTSEを使用
する必要がある。
【0010】従来、hCTSEは生体から単離・精製さ
れているがその量は微量であり、抗体を調製し、又は検
量線を作成するには不足している。しかも、単離・精製
されたhCTSEは全て二量体であり、単量体のhCT
SEを認識する抗体を調製したり、それらに関する検量
線を作成することはできないという課題がある。単離・
精製された二量体hCTSEから人工的に単量体hCT
SEを製造することは可能であるが、この操作ではhC
TSEを変性させることが必要であり、生体内で自然に
製造された単量体hCTSEとの同一性に疑問が残る。
【0011】従来、hCTSEを暗号化するcDNA及
びそれから推測されるhCTSEの一次構造が知られて
いる(東ら、J.Biol.Chem.264,p16748,1989 年)。しか
しながら、このcDNAを用いてhCTSEを大量に製
造したとの報告はなく、またこのcDNAを用いること
で単量体hCTSEが製造できるか否かについても不明
である。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、免疫測定
法によりhCTSEを測定する測定系を構築する過程に
おいて、それを暗号化するcDNAを用いることで二量
体又は単量体hCTSEを製造できることを見出し、こ
れらを使用して二量体又は単量体hCTSEを区別して
認識するモノクロ−ナル抗体や、二量体及び単量体hC
TSEを認識できる抗体を製造できることを見出した。
【0013】本発明は、hCTSE又はその誘導体を暗
号化するDNA及びそれを発現するためのプロモ−タ−
を含む発現ベクタ−であり、この発現ベクタ−で形質転
換された宿主である。また本発明は、前記宿主を培養す
ることを特徴とする、hCTSEの製造法であり、更に
前記宿主を培養することを特徴とする、ヒトカテプシン
E単量体の製造法である。以下本発明を詳細に説明す
る。
【0014】hCTSEを暗号化するcDNAは、例え
ば推測されるhCTSEの一次構造(J.Biol.Chem.264,
p16748,1989 年)を参照してDNAプロ−ブを作製し、
例えばgastoric adenocarcinoma 等のヒト胃に由来する
細胞で製造されたmRNAからhCTSE暗号化するm
RNAを抽出し、これを鋳型として調製することができ
る。また例えば、cDNAの塩基配列(J.Biol.Chem.26
4,p16748,1989 年)を参照し、これをいくつかの部分に
分割して化学合成し、後に結合させる等して調製すれば
良い。なおhCTSEを暗号化するcDNAは、例えば
J.Biol.Chem.264,p16748,1989 年の記載と同一の塩基配
列である必要はなく、例えば暗号化するアミノ酸残基に
変化を与えない範囲でコドンが異なっていたり、又は塩
基の一部が削除されたり、本来存在しない塩基が挿入さ
れたものであっても、hCTSE活性を有するか、ある
いは免疫原として使用した場合にhCTSEを特異的に
認識する抗体を誘導でき、またはhCTSEに対する抗
体と免疫反応を生じる蛋白質を発現するものであれば制
限はない。
【0015】また特に、より認識部位が明確な抗体を製
造するうえでは、例えば部分的なhCTSEを使用する
ことが望ましい。
【0016】本発明のベクタ−は、前記のhCTSEを
暗号化するcDNAの他に、少なくともこのcDNAを
発現させるためのプロモ−タ−を有するベクタ−であ
る。プロモ−タ−は、選択する宿主との関係において適
宜決定すれば良いが、一例を述べれば、大腸菌を宿主と
する場合には乳糖(lac)プロモ−タ−、トリプトフ
ァン(trp)プロモ−タ−、タック(tac)プロモ
−タ−が好ましいプロモ−タ−として例示でき、CHO
又はCOS細胞等の動物細胞を宿主として使用する場合
には、SV40プロモ−タ−、アデノウイルスプロモ−
タ−、メタチオネインプロモ−タ−が好ましいプロモ−
タ−として例示できる。
【0017】本発明のベクタ−は、更に自己増殖のため
の複製開始点、形質転換細胞の選択を簡単にするための
薬剤耐性遺伝子、宿主細胞のHis合成遺伝子の変異を
相補するHis4遺伝子、遺伝子数増幅のためのdhf
r遺伝子、hCTSEのmRNAへのポリアデニレ−シ
ョンシグナル配列、hCTSEcDNAの転写をタ−ミ
ネ−トするためのタ−ミネ−タ−等の塩基配列を有して
いることが好ましい。ここで好適な宿主であるCHO又
はCOS細胞等の動物細胞を使用する場合のベクタ−に
ついて述べれば、プロモ−タ−としてSV40プロモ−
タ−を有し、宿主染色体に組み込まれたhCTSE遺伝
子のコピ−数を増幅するためのdhfr遺伝子を有し、
複製開始点としてSV40複製開始点を有するものを例
示することができる。また、特にhCTSEの分泌発現
について好適な宿主であるピキア酵母を使用する場合の
ベクタ−については、プロモ−タ−としてアルコ−ルオ
キシダ−ゼプロモ−タ−を有し、薬剤耐性遺伝子、宿主
細胞のHis合成遺伝子の変異を相補するHis4遺伝
子、複製開始点を有するものを例示できる。なお本発明
のベクタ−はプラスミドであることが、その大腸菌内で
の増殖等の面において好ましい。
【0018】宿主として使用する細胞に特別の制限はな
いが、立体構造を有し、体内で自然に製造されたhCT
SEと同様の糖鎖が付加されたhCTSEを製造するた
めには、CHO細胞やCOS細胞等の動物細胞を使用す
ると良い。またhCTSEの分泌発現を目的とする場合
には、ピキア酵母等の酵母を宿主として使用することが
好ましい。なお、製造したhCTSEを細胞内部に蓄積
したり、活性を発現し得ない立体構造に折り畳まれた形
で発現するような宿主を使用した場合には、例えば特開
昭59−161321号に記載されたようなリフォ−ル
ディング操作を行えば良い。
【0019】hCTSEを暗号化するcDNAを含むベ
クタ−で宿主を形質転換する操作及び形質転換された宿
主を培養する操作は、通常の方法に従って行えば良い。
宿主としては前述の通り、例えばK−12等の大腸菌、
枯草菌、酵母等を使用すれば良いが、製造されたhCT
SEの回収等を簡単にする目的では、特にピキア酵母等
の酵母を使用することが好ましい。特にピキア酵母を使
用した場合には、通常は細胞質内に留まって細胞外に分
泌されない(Samloff I.M.ら、Gastroenterology、93
巻、p77 、1987年)hCTSEを細胞外に分泌発現させ
ることができる。従ってピキア酵母でhCTSEを製造
した場合には、その培養上清から簡単にhCTSEを精
製できる。そして、hCDNAを暗号化するcDNAを
発現させる操作は、ベクタ−に含まれるプロモ−タ−を
活性化することにより、適宜行えば良い。即ち、タック
プロモ−タ−等の、誘導物質が存在した場合に構造遺伝
子を発現させる性質を有するプロモ−タ−を使用した場
合には当該誘導物質を培養液に添加してやれば良く、ま
た例えばSV40プロモ−タ−等の、動物細胞に導入し
た場合に構造遺伝子を発現させる性質を有するプロモ−
タ−を使用した場合には、前記したような宿主動物細胞
に導入するだけで良い。
【0020】上記のように、hCTSEを暗号化するc
DNAを含むベクタ−で形質転換した宿主細胞を培養
し、ベクタ−中のプロモ−タ−を発現させることによ
り、二量体又は単量体hCTSEを製造することができ
る。主として二量体hCTSEを製造する場合には、プ
ロモ−タ−を発現させた後、適当期間してからhCTS
Eを回収すれば良く、主として単量体hCTSEを製造
する場合にはプロモ−タ−を発現させた後、短期間のう
ちにhCTSEを回収すれば良い。
【0021】培養液等からhCTSEを回収する操作
は、例えば製造されたhCTSEが細胞内部に蓄積され
た場合には、細胞を破砕した後に通常の精製操作等を行
えば良く、またこのとき発現されたhCTSEが活性を
発現し得ない立体構造に折り畳まれていた場合には、前
記したようなリフォ−ルディング操作を行って活性を発
現し得る立体構造のhCTSEを取得すれば良い。CO
S細胞やCHO細胞では、活性を発現し得るhCTSE
が製造されるから、単にこれを回収するだけで良い。特
にピキア酵母のように、細胞内又は培養液中に製造され
たhCTSEを放出するものであれば、通常の、例えば
高速液体クロマトグラフィ−等の手法を用いて培養上清
から回収、精製するだけで良い。
【0022】
【実施例】以下に本発明を更に詳細に説明するために実
施例を記載するが、本発明はこれら実施例に限定される
ものではない。
【0023】実施例1 CHO細胞でのhCTSE製造
用プラスミドの調製 CHO細胞を宿主としてhCTSEを製造する目的で、
CHO細胞用発現プラスミド(phCTSE−dhf
r)を調製した。まず全長hCTSEを暗号化するcD
NAを含むファ−ジベクタ−を、東ら(J.Biol.Chem.26
4,p16748,1989 年)に従って調製した。
【0024】このファ−ジベクタ−をEcoRIにて切
り出し、市販のプラスミド(Bluescript I
I SK+ 、ストラタジ−ン社製)のEcoRI部位に
挿入した。続いてこのプラスミドをSmaI及びEco
RVにて切断し、hCTSEを暗号化するcDNA部分
及びPoly(A)付加シグナルを含む、1.8kbの
フラグメントを得た。
【0025】以上のようにして得た1.8kbのフラグ
メントを、動物細胞用発現ベクタ−であり、dhfr遺
伝子発現ユニットを含むプラスミド(pECEdhf
r、特願平1−271865号)のSmaI部位にhC
TSEが発現されるように組み込み方向を揃えて挿入
し、phCTSE−dhfrを得た。
【0026】以上の工程を図1に示す。
【0027】実施例2 hCTSEを産生するCHO細
胞株の樹立 実施例1のようにして調製したphCTSE−dhfr
を、Chenらの方法(Mol.Cell.Biol.7,p2745,1987
年)に従って、dhfr遺伝子欠損CHO細胞DXB−
11(G.Urlandら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA.,77,p421
6,1980 年)に導入し、メソトレキセ−トを含有するD
ME培地(ギブコ社製)で培養して形質転換細胞株を選
択した。
【0028】生体より精製されたhCTSEをウサギに
免疫して調製した抗hCTSEウサギ血清を使用して、
前記のようにして選択された細胞株から、hCTSEを
産生する細胞株を取得し、これをhCEd4とした。
【0029】実施例3 hCTSEの製造 実施例2のようにして調製されたhCEd4を、10%
の透析済ウシ胎児血清を含むDME選択培地(L−グル
タミン、非必須アミノ酸混液、ペニシリン、ストレプト
マイシンを含む)にて25cm2 の培養フラスコに限界
密度まで増殖させた後、細胞をトリプシン処理して遊離
させ、回収した。この細胞に0.5%の界面活剤ノニデ
ットP−40を含む生理食塩含有リン酸緩衝液(pH
7.4、以下、PBSという)を100μl加えてボル
テックスミキサ−で攪拌し、細胞を可溶化させて遠心分
離に供し、その上清を採集してhCTSE溶液とした。
【0030】実施例4 製造されたhCTSEの解析 実施例3で得たhCTSE溶液を、10%のSDS−ポ
リアクリルアミドゲルを用いた電気泳動にて展開した
後、ウエスタンブロット法により蛋白質をゲルからニト
ロセルロ−スフィルタ−に移行、吸着させた。
【0031】実施例2で使用した抗hCTSEウサギ血
清と上記ニトロセルロ−スフィルタ−を接触させ、更に
ペルオキシダ−ゼと結合した抗ウサギIgG抗体(Bi
o−Rad社製)を添加した。フィルタ−を洗浄後、ペ
ルオキシダ−ゼの基質である4−クロロ−1ナフト−ル
を添加した。
【0032】10分後、前記基質のペルオキシダ−ゼに
よる分解物を測定した。その結果、前記したようにして
得られた蛋白質(SDS−PAGEにおいて、二本のバ
ンドを示す)は、hCTSEウサギ血清と特異的反応す
る、hCTSE二量体又はhCTSE単量体であること
が示された。
【0033】本実施例における、SDS−PAGEの結
果を図2に示す。これらの結果からは、実施例3で製造
されたhCTSE溶液中には、抗hCTSEウサギ血清
と特異的に反応する蛋白質、即ち純度の高いhCTSE
が大量に含まれていたことが分かる。
【0034】実施例5 単量体hCTSEの製造 実施例3で得たhCTSE溶液を、酸性プロテア−ゼ阻
害剤であるペプスタチンをリガンドとするアフィニティ
クロマトグラフィ−で処理し、その吸着画分のうち、h
CTSE酵素活性を有する低分子の画分を回収した。こ
の画分をコンナカバリンAカラムクロマトグラフィ−で
処理したところ、吸着画分にhCTSE活性が確認され
た。以上の結果は、実施例3で製造されたhCTSEが
糖鎖を有する糖蛋白質であることを示している。
【0035】以上のようにして得た低分子hCTSE画
分を、10%のSDS−ポリアクリルアミドゲルを用い
た電気泳動にて展開した。この結果、分子量約4万の蛋
白質のみが示された。
【0036】実施例6 ピキア酵母でのhCTSE製造
用プラスミドの調製 ピキア酵母を宿主としてhCTSEを製造するための発
現プラスミド(pHIL−D1 CTSE)を調製し
た。まず全長hCTSEを暗号化するcDNAを含むフ
ァ−ジベクタ−を、東ら(J.Biol.Chem.264,p16748,198
9 年)に従って調製した.このファージベクターをEc
oRIにて切り出し、市販のプラスミド(Bluescript I
I SK+ 、ストラタージン社製)のEcoRI部位に挿入
した。続いてこのプラスミドをSmaI及びEcoRV
にて切断し、hCTSEを暗号化するcDNA部分及び
Poly(A)付加シグナルを含む、1.8kbのフラ
グメントを得た。
【0037】以上のようにして得た1.8kbのフラグ
メントを、ピキア酵母用発現ベクタ−であるpHIL−
D1に導入した。まずpHIL−D1のEcoRI部位
を切断後平滑末端にし、その部位に1.8kbのフラグ
メントを挿入し、pHIL−D1 CTSEを得た。以
上の操作を図3に示す。
【0038】実施例7 形質転換体の作成 Pichia pastoris GTS115株から、Cregg J.M.らの方法
(Molc.Cell.Biol. 、5巻、p3376 、1985年)及び特開
平2-104290号に記載の方法に従ってスフェロプラストを
調製し、BglIIによって線状化したpHIL−D1
CTSEで形質転換した。この形質転換菌を最小栄養
培地で培養し、ヒスチジン要求性を失った形質転換菌を
選別した。それらの中で、メタノール培地上での成育が
殆ど見られないクローンを選択した。この菌において
は、hCTSEを暗号化するcDNA部分及びPoly
(A)付加シグナルが、宿主のAOX遺伝子に置き換わ
っている。以下、pHIL−D1 CTSEによる形質
転換株をmut- 株とする。
【0039】なお、比較のためBglIIによって線状
化したpHIL−D1にて形質転換したGTS115株も培養
し、以下実施例9及び10で使用した。
【0040】実施例8 hCTSEの製造 実施例7で得られたmut- 株を100mlの1%グリ
セロール含有培地でOD600 =11〜20となるまで3
0℃で振盪培養した後、菌体を0.8%メタノール含有
培地に移し、メタノールの濃度を0.2〜0.8%に保
ちながら144時間(6日間)培養した。培養物を遠心
操作により培養上清と菌体に分画し、上清をセントリコ
ン30(アミコン社)で40倍〜60倍に濃縮した。菌
体についてはガラスビーズで破砕した後遠心分離してそ
の上清を集めた。
【0041】実施例 9 製造されたhCTSEの解析 実施例8で得られた菌の培養上清濃縮液及び菌体破砕上
清を7.5%のSDS−ポリアクリルアミドゲル電気泳
動で展開した後、ウエスタンブロッティング法により蛋
白質を膜(zeta−probe 膜、BioRad社製)に移行し吸着
させた。
【0042】抗hCTSEウサギ血清と前記膜を接触さ
せ、更にビオチンと結合した抗ウサギIgG抗体を添加
した。膜を洗浄後、アルカリフォスファターゼが結合し
たアビジンを添加し、膜を洗浄後アルカリフォスファタ
ーゼの基質であるニトロブルーテトラゾリウムを添加し
て発色させ、数分後基質の分解物を測定した。その結
果、培養上清には抗hCTSEウサギ血清と特異的に反
応する蛋白、即ちhCTSE二量体とhCTSE単量体
に由来する二本のバンドが確認されたが、pHIL−D
1にて形質転換したGTS115株については、このようなバ
ンドは観察されなかった。
【0043】実施例10 製造されたhCTSEの解析 実施例8で得られた培養上清濃縮液及び菌体破砕上清を
8%のポリアクリルアミドゲル電気泳動で展開した後、
泳動後のゲルを0.1 N 塩酸酸性条件下で0.67%ヘモグロ
ビン溶液に浸し20分間インキュベートした。ヘモグロビ
ン溶液を除去した後、0.1 N 塩酸溶液中で更に30分間イ
ンキュベートし、CBB溶液でゲルを染色し、その後脱
色した。その結果、実施例8で得られた培養上清に分泌
している蛋白質はhCTSEの酸性プロテアーゼ活性を
有することが示されたが、菌体破砕上清、pHIL−D
1にて形質転換したGTS115株の培養上清濃縮液及び菌体
破砕上清については、このようなhCTSEのプロテア
−ゼ活性は観察されなかった。本実施例における結果を
図4に示す。
【0044】
【発明の効果】本発明により、二量体又は単量体hCT
SEの遺伝子工学的製造法が提供される。これにより、
生体からは微量にしか分離・精製し得なかったhCTS
Eを、二量体の形態は勿論、単量体の形態においても大
量に取得できる。
【0045】このように本発明によれば、その局在様式
から重要な生理活性、生理作用を有すると推測されるも
のの、いまだに詳細は知られていないhCTSEの研究
に有効な免疫測定法を実施するための材料を提供するも
のである。
【0046】本発明で製造される二量体又は単量体hC
TSEは、アミノ酸一次構造に代表される免疫化学的性
質が生体内に存在するhCTSEと同一である。従っ
て、生体より分離・精製され、更には人工的に単量体に
変性されたhCTSEを使用して抗体等を調製すること
に比較して、より正確で高感度の免疫測定法を実施する
ための材料となり得る。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は本発明の実施例1で製造した、hCTS
EをCHO細胞で製造するための発現ベクタ−phCT
SE412の構築の工程を示す図である。図中、pAG
412、pECE−dhfr又はphCTSE−dhf
rは製造したベクタ−を示す。polyAはアデニレ−
ションシグナル配列を、oriは複製開始点を、Amp
Rはアンピシリン耐性遺伝子を、PLはSV40後期プ
ロモ−タ−を、PEはSV40初期プロモ−タ−を、d
hfrはジヒドロ葉酸還元酵素遺伝子をそれぞれ示す。
また、その他の記号は通常の遺伝子工学で使用されるの
と同様の意味で使用されている。
【図2】図2は本発明の実施例4における、SDS−P
AGEの結果を示すものである。図中、左側の数字は分
子量マ−カ−を同様の条件下で展開して得られた結果を
示し、その数字はkDaを示している。図中、1の矢印
は低分子体hCTSEのバンド、即ち単量体hCTSE
を、2の矢印は高分子体hCTSEのバンド、即ち二量
体hCTSEのバンドを示す。
【図3】図3は本実施例6の作業を示し、ピキア酵母発
現用プラスミドpHIL−D1CTSEの構築過程を示
す図である。図中pAG−412、pHIL−D1CT
SEは製造されたベクタ−を示している。polyAは
アデニレ−ションシグナル配列を、Oriは複製開始点
を、Apはアンピシリン耐性遺伝子を、5´AOXはA
OXプロモ−タ−領域を、3´AOXはAOXタ−ミネ
−タ−領域をHIS4はGTS115株に欠損している
ヒスチジン合成遺伝子を示す。またその他の記号は通常
の遺伝子工学で使用されるのと同様の意味を示す。
【図4】図4は本発明の実施例9におけるポリアクリル
アミドゲル電気泳動後のプロテア−ゼ活性測定結果を示
す。レーン1と2はそれぞれpHIL−D1で形質転換
された菌の破砕上清と培養上清を、レ−ン3と4はそれ
ぞれpHIL−D1 CTSEで形質転換された菌の菌
体破砕上清と培養上清の結果を示す。1の矢印は低分子
体hCTSEすなわち単量体hCTSEの活性の存在
を、2の矢印は高分子体hCTSEすなわち二量体hC
TSEの活性の存在を示す。なおそれぞれの非染色領域
は、hCTSEの酸性プロテア−ゼ活性によってヘモグ
ロビンが分解された結果、CBBで染色されなかったこ
とを示している。
フロントページの続き (51)Int.Cl.5 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C12N 9/64 Z 7823−4B //(C12N 1/19 C12R 1:84) (C12N 5/10 C12R 1:91) (C12N 9/64 C12R 1:84) (C12N 9/64 C12R 1:91)

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】ヒトカテプシンEを暗号化するDNA及び
    それを発現するためのプロモ−タ−を含む発現ベクタ
    −。
  2. 【請求項2】請求項1項に記載の発現ベクタ−で形質転
    換された宿主。
  3. 【請求項3】請求項2に記載の宿主を培養することを特
    徴とする、ヒトカテプシンEの製造法。
  4. 【請求項4】請求項2に記載の宿主を培養することを特
    徴とする、ヒトカテプシンE単量体の製造法。
  5. 【請求項5】宿主が動物細胞である請求項3又は4に記
    載のヒトカテプシンEの製造法。
  6. 【請求項6】宿主がピキア酵母である請求項3又は4に
    記載のヒトカテプシンEの製造法。
JP4229374A 1991-08-06 1992-08-06 ヒトカテプシンeの製造法 Pending JPH05252961A (ja)

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Application Number Priority Date Filing Date Title
JP3-219324 1991-08-06
JP21932491 1991-08-06

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Publication Number Publication Date
JPH05252961A true JPH05252961A (ja) 1993-10-05

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ID=16733687

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JP4229374A Pending JPH05252961A (ja) 1991-08-06 1992-08-06 ヒトカテプシンeの製造法

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JP (1) JPH05252961A (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
EP2027871A4 (en) * 2006-02-17 2011-01-26 Univ Kyushu Nat Univ Corp NEW CATHEPSIN PREPARATION AGAINST CANCER AND THIS USING CANCER FOR COMBINATION THERAPY AGAINST CANCER

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* Cited by examiner, † Cited by third party
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EP2027871A4 (en) * 2006-02-17 2011-01-26 Univ Kyushu Nat Univ Corp NEW CATHEPSIN PREPARATION AGAINST CANCER AND THIS USING CANCER FOR COMBINATION THERAPY AGAINST CANCER

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