JPH05249207A - 光センサ - Google Patents

光センサ

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JPH05249207A
JPH05249207A JP4326873A JP32687392A JPH05249207A JP H05249207 A JPH05249207 A JP H05249207A JP 4326873 A JP4326873 A JP 4326873A JP 32687392 A JP32687392 A JP 32687392A JP H05249207 A JPH05249207 A JP H05249207A
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    • G01R33/02Measuring direction or magnitude of magnetic fields or magnetic flux
    • G01R33/032Measuring direction or magnitude of magnetic fields or magnetic flux using magneto-optic devices, e.g. Faraday or Cotton-Mouton effect
    • G01R33/0322Measuring direction or magnitude of magnetic fields or magnetic flux using magneto-optic devices, e.g. Faraday or Cotton-Mouton effect using the Faraday or Voigt effect

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Abstract

(57)【要約】 【目的】低磁界における高い感度と良好な温度特性を有
する光センサを提供する。 【構成】本発明の光センサ10は、波長740〜890
nmの直線偏光を放出する手段11aと、前記直線偏光を
ファラデー回転させ、組成がY3-x Tbx Fe5
12(0.3≦x≦0.8)である磁気光学素子15と、
この磁気光学素子15でファラデー回転した光出力を検
知する手段18とを備える。また上記光センサ10に、
ポッケルス効果を有する電気光学素子を並列に配置する
ことにより、電流のみならず、電圧も同時に測定するこ
とができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、磁気光学効果(ファラ
デー効果)や電気光学効果(ポッケルス効果)を利用し
て磁界強度、電流または電圧を測定する光センサに係
り、特に低磁界における高い感度と良好な温度特性を有
する光センサに関する。
【0002】
【従来の技術】近年、ディジタル技術やコンピュータ技
術の発達とともに、これに光技術を組み合わせたLAN
(ローカル・エリア・ネットワーク)等の情報処理技術
の発展が著しい。これらの情報処理技術の進展ととも
に、電力分野においても電力系統の保護(ケーブルの地
落、短絡、断線等故障の発見)や制御のために、光を利
用して電圧・電流を計る各種光学センサの開発、中でも
ファラデー効果(磁気光学効果)を利用して電流測定を
行う磁気光学センサやポッケルス効果(電気光学効果)
を利用して電圧測定を行なう電気光学センサの開発が盛
んに行われている。磁気光学センサは、直接には磁界強
度を測定するものであるが、その磁界が電流により形成
されるときは、間接的に電流強度も測定することができ
る(ビオ−サバールの法則)。
【0003】一方、被測定電界中に設置された電気光学
素子(ポッケルス効果素子)に直線偏光を入射させる
と、直交する光の成分に対する屈折率が変化し各光の成
分間に位相差が与えられる。電気光学センサは、この位
相差を光強度の変化として測定し、印加電圧(V)を求
めるものである。
【0004】図6は、一般的な磁気光学センサの構成を
示すブロック図である。この磁気光学センサは直線状に
配置されたコリメータ3a,3b、偏光子4、ファラデ
ー素子(磁気光学素子)5および検光子6、ならびにコ
リメータ3a,3bとそれぞれ光ファイバ2a,2bを
介して接続する光源1および受光信号部7とからなる。
【0005】光源1から射出された所定波長の光は、光
ファイバ2aからなる伝送路を通ってコリメータ3aに
至り、ここで平行光線束に進路を調整された後、偏光子
(Po-larizer )4によって直線偏光になる。
【0006】この直線偏光は、磁界を測定すべき位置に
設置されたファラデー(Faraday) 素子5を透過するが、
その際その偏光面が磁界の強度に比例したファラデー回
転を受ける。そしてファラデー素子5の透過光は検光子
6を通って強度変調される。検光子6を通過した光は、
コリメータ3bで平行光線束にまとめられた後、光ファ
イバ2bを伝わって受光信号部7に入り、強度に対応し
た電気信号に変換される。そこで、この電気信号から磁
界強度を測定することができる。
【0007】ここで、ファラデー素子5の長さをL、磁
界の強度をHとすると、直線偏光のファラデー回転角
(ファラデー回転により回転する角度)θは、次式
(1)で表される。
【0008】
【数1】θ=V・H・L ……(1) ここにVはベルデ(Verdet)定数である。
【0009】また、このようにファラデー回転を受けた
後検光子6で強度変調された光の出力Pout は、下記の
式(2)で表される。
【0010】
【数2】Pout =K(1+ sin2θ) ……(2) よって、受光信号部7で変換された電気信号を測定すれ
ば、ファラデー素子5周囲の磁界、そしてそれが導体に
流れる電流によって発生している場合には、その電流の
強度を求めることができる(このときθが小さい範囲な
らば、θとPout には線形の関係が成立する)。
【0011】ところで、現在のところファラデー素子と
しては、反磁性体のZnSe(波長820nmの光に対し
てV=0.34×10-2deg/Oe・cm)、Bi12SiO20
(波長870nmの光に対してV=0.16×10-2deg/
Oe・cm)、Bi12GeO20(波長850nmの光に対して
V=0.31×10-2deg/Oe・cm)等が知られている。
【0012】そして、上述の式(1),(2)から、下
記(3)式が与えられる。
【0013】
【数3】 [Pout =K(1+ sin2VHL)]……(3) (3)式の関係より磁気光学センサの精度(光の出力P
out )は、ファラデー素子のベルデ定数の大きさに依存
していることが分かる。しかし、先に挙げたファラデー
素子はベルデ定数が小さいため、特に電力の分野におい
て上記の目的のために使用する場合は、高電流・高磁界
ならば適度な感度(光出力)が得られるものの、低電流
・低磁界の下では感度が不足し、高精度の測定は困難で
あった。
【0014】もし、どうしても、低電流・低磁界を測定
しようとすれば(すなわち光出力Pout を大きくしよう
とすれば)、上記式(3)によりファラデー素子の長さ
Lを大きくしなければならないが、素子長Lが大きくな
ると、今度は高磁界・高電流になったときに、逆にθが
大きくなりすぎ、光強度の変調度M[式(2)における
K sin2θに等しい]のθに対する直線性が悪くなり、
測定誤差が大きくなる。そして、素子長が大きくなるこ
とは、小型という磁気光学センサの一つの特徴を損なう
ことにもなる。
【0015】他方、強磁性体のY3 Fe5 12(いわゆ
るYIG結晶。波長1300nmの光に対してV=0.1
1deg/Oe・cm)に代表される希土類鉄ガーネットはベル
デ定数が大きく、低電流・低磁界の下でも高精度の測定
ができる。しかし、これら希土類鉄ガーネットのベルデ
定数は、温度による変化が大きく、例えば−20〜+8
0℃で−8〜+12%も変化する(つまり温度特性が悪
い)。したがって、電力分野での使用は野外で行われる
ため、ファラデー素子は天候や日射の影響によって大き
な温度変化に晒され、高精度の磁界測定ができず、実際
の使用は困難である。
【0016】一方、これら希土類鉄ガーネット結晶にお
けるベルデ定数の温度変化を改良したものとして、Tb
を加えたY3-x Tbx Fe5 12(0.3≦x≦0.
8)のファラデー素子があり、この素子にとって光透過
特性のよい波長は1.1〜2.0μmの領域であること
が分かっている。そして、この波長領域内で−20〜+
80℃における温度特性として、1.15μmの波長
で、ベルデ定数の変化が±1〜±6%以下という結果が
得られている。
【0017】
【発明が解決しようとする課題】しかし、実際に磁気光
学センサに用いる場合には、この波長1.15μmにお
けるベルデ定数の絶対的な値は0.12〜0.20deg/
Oe・cm程度にとどまるため、低電流・低磁界下でファラ
デー回転角を大きくして十分な光出力を得るには、式
(1)によって、ファラデー素子の長さ(厚さ)Lを大
きくするしかない。
【0018】その結果、この材料によって実用のファラ
デー素子をつくるとなると、膜厚(ファラデー素子の厚
さ、長さに相当する。)が280μmから1mmを越える
ものとなるが、現在生産性がよいことで知られているL
PE(Liquid Phase Epita-xial;液相エピタキシャ
ル)法では、膜厚が250μmを越えると、高温下での
結晶のエピタキシャル成長時に膜の反り、割れ等が生ず
る。これは、成長基板として用いられるGGG(ガドリ
ニウム・ガリウム・ガーネット)の格子定数12.38
3Aと、Y3-x Tbx Fe5 12の格子定数(例えばx
=0.6であるY2.4 Tb0.6 Fe5 12の格子定数は
12.388A)の差が大きく、さらにGGG基板より
もY3-x Tbx Fe5 12の方が熱膨脹係数が大きいた
めである。
【0019】一方、フラックス法により製造する場合
は、バルク状になるため上述のLPE法における問題は
生じないが、結晶性が悪く、また膜状に成形する手間が
掛かって、量産性に劣ることになる。そして、このよう
な280μmから1mmを越える膜厚は、先に反磁性体フ
ァラデー素子について述べたように、磁気光学センサの
小型化への支障になり、磁界・電流が大きくなったとき
に、光強度の変調度Mのθに対する直線性の低下につな
がる。
【0020】また他の問題として、このY3-x Tbx
5 12(0.3≦x≦0.8)を用いたファラデー素
子は、低磁界・低電流の測定はできても、飽和磁界が1
400〜1800エルステッド程度であるため、100
00エルステッドを越える高磁界・高電流ではファラデ
ー回転角が飽和して測定ができない。したがって、この
点では上述の高磁界・高電流の測定しかできない反磁性
体製のファラデー素子と同様、広範囲の磁界・電流が発
生する可能性のある電力分野での使用には難点を伴う。
【0021】また上記のような電流を測定する磁気光学
センサと、電圧を測定する電気光学センサとは、使用す
る直線偏光の波長帯が異なり、各信号処理系を共用する
ことが不可能であるため、小型化ができず、上記2種類
のセンサは従来個別に独立して製造されていた。したが
って、1台の小型のセンサによって電流と電圧とを同時
に測定することは不可能であった。
【0022】
【課題を解決するための手段と作用】本発明は、上記事
情に鑑みてなされたもので、低磁界における高い感度と
良好な温度特性を有し、かつ小型で量産性に優れた磁気
光学センサと、低磁界から高磁界にかけての広い磁界範
囲で測定を行うことができる磁気光学センサを提供する
ことを目的とする。また電気光学素子を上記磁気光学素
子と並列に配置することにより、電流と電圧とを同時に
測定することが可能な光センサを提供することを他の目
的とする。
【0023】本発明は上記目的を達成するために、波長
740〜890nmの直線偏光を放出する手段と、前記直
線偏光をファラデー回転させ、組成がY3-x Tbx Fe
5 12(0.3≦x≦0.8)である磁気光学素子と、
この磁気光学素子でファラデー回転した光出力を検知す
る手段とを備える磁気光学センサを提供する。
【0024】本発明はまた、波長740〜890nmの直
線偏光を放出する手段と、前記直線偏光をファラデー回
転させ、高磁界用磁気光学素子(低磁界用より飽和磁界
が高い)および、組成がY3-x Tbx Fe5 12(0.
3≦x≦0.8)である低磁界用磁気光学素子と、これ
ら両磁気光学素子でファラデー回転した直線偏光を強度
変調しながらその光出力を検知する手段とを備える磁気
光学センサを提供する。
【0025】本発明はさらに、波長740〜890nmの
直線偏光を放出する手段と、この直線偏光をファラデー
回転させ、組成がY3-x Tbx Fe5 12(0.3≦x
≦0.8)である磁気光学素子と、この磁気光学素子と
並列に設置され、上記直線偏光に電界強度に応じた位相
差を与える電気光学素子(ポッケルス効果素子)と、上
記磁気光学素子でファラデー回転した直線偏光および上
記電気光学素子によって位相差を付与された直線偏光の
光出力を検知する手段とを備える光センサを提供する。
【0026】請求項1に係る光センサにおいては、磁気
光学素子として低磁界においても良好なファラデー効果
が得られている強磁性体のY3-x Tbx Fe5
12(0.3≦x≦0.8)結晶を用いるが、本発明者
は、このY3-x Tbx Fe5 12(0.3≦x≦0.
8)結晶が、従来透過特性が劣るとして顧みられなかっ
た波長740〜890nmに対してベルデ定数が高くな
り、かつ膜厚が20〜250μmのときは、このベルデ
定数増大に伴うファラデー回転角増大の効果が光の吸収
による効果を上回って、光出力を検知する手段において
光出力の増大、つまり低磁界における高感度が達成され
ることを発見した。なお化学量論比からの多少のずれは
本発明の効果を得る範囲で許容するものである。
【0027】そして、この膜厚は250μm以下である
からLPE法による量産化が可能で、磁気光学センサ全
体の小型化も実現できる。なお、量産化の観点からは膜
厚は20〜250μmが好ましく、さらに好ましくは3
0〜180μm、最も好ましくは80〜150μmであ
る。
【0028】つぎに請求項5に係る光センサは、上記請
求項1の磁気光学素子を低磁界用磁気光学素子として用
い、さらにこの低磁界用磁気光学素子では磁気飽和によ
ってファラデー回転角が飽和してしまうか、またはファ
ラデー回転角の増大によって光出力との直線性がくずれ
るかして測定ができなくなってしまう高磁界・高電流に
備えて高磁界用磁気光学素子も併設する。
【0029】この高磁界用磁気光学素子は、高磁界の下
でも磁化の程度が弱くて先の低磁界用磁気光学素子ほど
ファラデー回転角が大きくなく、また磁気飽和を起こす
こともない、反磁性体(ZnSe,Bi12SiO20,B
12GeO20等)あるいは常磁性体(鉛ガラス等)が適
している。
【0030】この場合、また光出力を検知する手段は、
低磁界用磁気光学素子と高磁界用磁気光学素子のファラ
デー効果特性に基づいて、低磁界から高磁界までの磁界
範囲において所定の光出力を境界出力として定める。そ
の結果、境界出力以下においては低磁界用磁気光学素子
を通過した光の出力に基づいて、また境界出力以上にお
いては高磁界用磁気光学素子を通過した光の出力に基づ
いて、適度な感度、また良好な直線性の下に磁界強度を
測定できる。
【0031】また請求項8に係る光センサは、上記請求
項1に示す光センサの構成に加えて、波長740〜89
0nmの直線偏光に対してポッケルス効果を有する電気光
学素子を磁気光学素子と並列に配置し、直線偏光を放出
する手段および上記各素子からの光出力を検出する手段
を共用して構成される。
【0032】上記電気光学素子を構成する材料は、電気
光学係数(ポッケルス係数)が大きいほど光出力の検出
感度が高くなる。その代表的な例としてはLiNbO3
(ニオブ酸リチウム、ポッケルス係数γ22=5.2cm/
V、測定波長850nm)、Bi12GeO20(BGO、ポ
ッケルス係数γ41=3.1×10-10 cm/V、測定波長
850nm)、Bi12SiO20(BSO、ポッケルス係数
γ41=4.4 ×10-10cm/V、測定波長870nm)などが
ある。
【0033】上記電気光学素子に入射した直線偏光は、
外部電界の強さに応じて直交する光の成分に対する屈折
率が変化し、位相差Γが生じる。位相差Γを生じた光
は、光検出手段によって強度変調され、最終的に電気信
号に変換される。この電気信号の大小により電界強度お
よび印加電圧が測定される。
【0034】
【実施例】以下図1ないし図5を参照して本発明の実施
例を説明する。
【0035】<実施例1〜6および比較例1〜2>図1
は、本発明の実施例1−6に係る磁気光学センサ10の
構成図である。すなわち、光送信器11は光源11a
(レーザダイオード、LED等)を備える。そして、光
源11aから放射された光は、光ファイバ12aを通っ
て伝送され、コリメータ13aに至る。そして、このコ
リメータ13aで平行光線束に変えられた後、偏光子
(この場合は偏光プリズム)14に入射して直線偏光に
なり、かつ進行方向を90°変えられる。
【0036】直線偏光となった光は、ついで外部磁界の
影響下に置かれる組成Y2.5 Tb0.5 Fe5 12の磁性
ガーネットからなるファラデー素子15に入射し、ファ
ラデー回転θを受ける。ファラデー回転した光は、つぎ
に偏光子14に対して45°傾けた検光子16を通過す
るが、この際強度変調され、さらに反射プリズム17で
90°進行方向を変えられてコリメータ13bに入射す
る。そして平行光線束にされた後、光ファイバ12bを
伝わって受光信号部18に至る。受光信号部18は、受
光器18a(フォトダイオードなど)と信号処理器18
bを備え、受光器18aでは入射してきた光を出力に応
じた電気信号に変換し、信号処理器18bでは増幅や式
(2)にならって直線性の補正を行う。
【0037】この磁気光学センサ10により、ファラデ
ー素子15の磁性ガーネットY2.5 Tb0.5 Fe5 12
の膜厚(素子長)について10〜253μmの範囲で種
々のものを用い、さらに光源11aは、波長740,7
50,770,850,880および890nmの光を放
射できるものをそれぞれ用いて(それぞれ実施例1,
2,3,4,5および6とする)光出力を測定した。ま
た比較例1,2としてそれぞれ波長720および900
nmの光を放射する光源を用いた磁気光学センサによって
も光出力を測定した(ファラデー素子は各実施例と同じ
ものを用いた)。
【0038】なお本実施例で用いられるファラデー素子
15は、材質としては、先に述べた低磁界・低電流で高
感度を示す希土類鉄ガーネットY3-x Tbx Fe5 12
(0.3≦x≦0.8)において、x=0.5としたも
のに相当する。そこで、別の磁気光学センサとして材質
が同じY2.5 Tb0.5 Fe5 12で、膜厚が220μm
のファラデー素子を備え、さらに波長を前述した1.1
〜2.0μmの範囲内の1.3μm(1300nm)に定
めた従来通りの磁気光学センサを用意する(他の構成部
材は同一とする)。そして、この磁気光学センサ(以下
「基準磁気光学センサ」という)における光出力を基準
として、本実施例で得られた光出力を規格化した。結果
を図2に示す。
【0039】図2から分かるように、実施例1,2,
3,4,5および6は、膜厚が10〜253μmの範囲
においていずれも、物性的な光透過特性としては実施例
の各波長を上回る1300μmの波長の光を用いた基準
磁気光学センサと同等以上の高い光出力を示した。つま
り、このY3-x Tbx Fe5 12(0.3≦x≦0.
8)YIG結晶は、実施例の波長のときは波長1300
μmのときよりベルデ定数が大きくなり、かつ実施例の
膜厚下ではベルデ定数増大に伴うファラデー回転角増大
の効果が、光透過量減少の効果を上回って光出力の増大
に貢献する。
【0040】そしてこの中では、実施例3に係る光セン
サがすべての膜厚において最も大きな光出力を示し、膜
厚97μmのときに最大330%の相対出力が得られ
た。また、他の実施例1,2,4,5および6について
も、それぞれ最大で142%(膜厚63nmのとき)22
7〜228%(膜厚62〜85μmのとき)、208%
(膜厚85μmのとき)、165%(膜厚63μmのと
き)および126%(膜厚63nmのとき)の相対出力が
得られた。
【0041】しかし、比較例1および比較例2における
光出力は、すべての膜厚において相対出力が100%を
下回った。
【0042】そして、驚くことに各磁気光学素子のベル
デ定数の変化率に相当する光出力の温度特性も、すべて
の実施例において−20〜+80℃の範囲で±1%と良
好であった。
【0043】したがって、本実施例によれば、良好な温
度特性を保持しながら、素子長が短くて、小型化および
LPE法による量産化の可能なファラデー素子を備え、
かつ低磁界において高い感度を示す磁気光学センサが得
られる。
【0044】<実施例7>図3は本発明の実施例7に係
る磁気光学センサの構成図である。
【0045】すなわち、本実施例の光センサ20は、低
磁界用と高磁界用の2つのファラデー素子を備え、低磁
界用のファラデー素子としては、前実施例1〜6の光セ
ンサ10におけるファラデー素子15(ここでは膜厚8
0μm、組成がY2.5 Tb0.5 Fe5 12の磁性ガーネ
ット)を用い、さらに高磁界用のファラデー素子21
(先に述べた反磁性体ZnSeで、膜厚は5mmとした)
をこれと並列に設ける。そして、偏光子22a,低磁界
用ファラデー素子15および検光子23aを直線状に、
また偏光子22b,高磁界用ファラデー素子21および
検光子23bも直線状にして互いに隣合わせに設置す
る。検光子23a,23bは偏光子22a,22bとは
45°傾けて配置される。
【0046】偏光子22a,22bはそれぞれ、順にコ
リメータ24a,24bと光ファイバ25a,25bを
介して光送信器26に接続する。また検光子23a,2
3bはそれぞれ順にコリメータ24c,24dと光ファ
イバ25c,25dを介して受光信号部27に接続す
る。光送信器26は、波長850nmの光を放射する光源
30(レーザダイオード、LED等)と、光源30から
出た光を2方向に分岐するビームスプリッタ31、およ
びビームスプリッタ31から分岐した1方向の光の進路
を変える反射プリズム32を備える。また、受光信号部
27は光を電気信号に変換する受光器33a,33b
(フォトダイオードなど)とこれに接続して電気信号の
増幅等を行う信号処理部34を備える。
【0047】さて、光源30から放射された光は、まず
光送信器26内でビームスプリッタ31に入射し、光フ
ァイバ25aに向かうものと反射プリズム32に向かう
ものに分けられる。反射プリズム32に入射した光は、
光ファイバ25bに向かうように進路を変えられる。し
たがって、光源30から放射した光は、2つに別れて同
時に光ファイバ25a,25bに入射し、光ファイバ2
5a,25b内を進行する。そして、それぞれコリメー
タ24a,24bで平行光線束にされた後、偏光子22
a,22bに入射して直線偏光にされる。
【0048】直線偏光となった2つの光は、ついで外部
磁界の影響下に置かれるファラデー素子15と21に入
射して、それぞれ異なるファラデー回転θ1 ,θ2 を受
ける。ファラデー回転した光は、つぎに検光子23a,
23bを通過し、この際強度変調されてコリメータ24
c、24dに入射する。そして平行光線束にされた後、
それぞれ光ファイバ25c、25dを伝わって受光信号
部27の受光器33a,33bに入射する。受光器33
a,33bではそれぞれ入射してきた光を電気信号に変
換し、信号処理部34に送るが、信号処理部34では一
定の増幅の後、式(2)に準じた光出力の直線性の補正
を行う。
【0049】本実施例7の磁気光学センサ20により得
られた、種々の磁界強度下での光出力の測定結果を図4
に示す。すなわち、本実施例によれば、ほとんど0に近
い低磁界から約10000エルステッドの高磁界まで広
い磁界範囲において磁界強度と光出力のよい直線性が保
たれることが分かった。
【0050】これは、一方では磁界強度が50〜100
エルステッドの低磁界でも、低磁界用ファラデー素子1
5の方で0.27〜0.53°の十分なファラデー回転
角が得られることから、受光器33bではこの回転角に
基づいて必要な光出力を得ることができ、他方磁界強度
が1500〜10000エルステッドの高磁界でも、高
磁界用ファラデー素子21の方で2.55〜17°の大
きすぎない適度なファラデー回転角が得られることか
ら、受光器33aでこの回転角に基づいて直線性のよい
光出力を得ることができるためである。
【0051】信号処理部34は、受光器33aと33b
からそれぞれ異なる出力の電気信号を受けるが、本実施
例7の磁気光学センサ20においては、低磁界用ファラ
デー素子15と高磁界用ファラデー素子21のファラデ
ー効果特性に基づいて、低磁界から高磁界までの磁界範
囲において所定出力の電気信号を境界とし、境界出力以
下においては受光器33a(低磁界用ファラデー素子1
5に対応する)からの電気信号により、また境界出力以
上においては受光器33b(高磁界用ファラデー素子2
1に対応する)からの電気信号により光出力、そして磁
界強度を定めることとする。
【0052】なお、高磁界用ファラデー素子21として
は、他に同じ反磁性体のBi12SiO20,Bi12GeO
20や常磁性体の鉛ガラスなどを用いることができる。
【0053】〈実施例8〉図5は本発明に係る光センサ
の他の実施例を示す構成図である。本実施例に係る光セ
ンサ60は、実施例7(図3)に示す電流測定用の磁気
光学センサ20に、電気光学素子61を含む電圧測定用
電気光学センサ62を並列に付加して構成される。
【0054】上記電圧測定用電気光学センサ62は、波
長850nmの光を放出し、光送信器64内に配置された
光源63と、光源63から光ファイバ65を経て伝送さ
れた光線束を平行光線に変換するコリメータ66と、コ
リメータ66からの平行光線を直線偏光に変換する偏光
子67と、偏光子67からの直線偏光成分に対し位相差
を付与する電気光学素子61と、位相差を有する偏光に
光学バイアスを付与する1/4波長板68と、光学バイ
アスを付与された偏光を強度変調する検光子69と、検
光子69からコリメータ70および光ファイバ71を経
て伝送された偏光を受光し、電気信号に変換する受光器
72と、上記電気信号を処理して電圧値または電界強度
を出力する信号処理器73とから構成される。
【0055】電流測定用センサ20には、組成がY2.5
Tb0.5 Fe5 12で膜厚が80μmの磁性ガーネット
で形成した低磁界用磁気光学素子15と、組成がZnS
eで膜厚が5mmの反磁性体で形成した高磁界用磁気光学
素子21を配置した。
【0056】一方、電圧測定用電気光学センサ62に
は、組成がBi12GeO20で膜厚が8mm、ポッケルス係
数γ41=3.1×10-10 cm/V、屈折率n0 =2.4
1の電気光学素子(ポッケルス効果素子)61を配置し
た。
【0057】上記構成の光センサ60において、光送信
器64内に設置された光源63から放出された波長85
0nmの光は、光ファイバ65を通りコリメータ66に送
られ、コリメータ66によって平行光線束に変換され
る。しかる後に平行光線束は偏光子67に入射して直線
偏光となる。電場を印加した電気光学素子61に直線偏
光が入射すると、直線偏光の直交する光の成分に対する
屈折率が変化しているため、両成分間に位相差Γが生じ
る。位相差Γを生じた光は1/4波長板68を通過する
ことにより光学バイアスを与えられ、しかる後に検光子
69に伝送される。光学バイアスを付与された光は、偏
光子67に対して90°傾けた検光子69を通過する際
に強度変調される。強度変調された光は、コリメータ7
0で平行光線束にまとめられた後、光ファイバ71を伝
わって受光信号部74の受光器72に受光され、受光器
72は入射してきた光を出力に応じた電気信号に変換
し、信号処理器73は電気信号の補正を行なって、電界
値または電圧値を算出する。
【0058】一方、光伝送器64内に配設された光源3
0から放出された波長850nmの光は、光ファイバ25
aを通りコリメータ24aに伝送され、ここで平行光線
束に変換された後に、偏光子22aに入射し直線偏光と
なる。この直線偏光は、低磁界用磁気光学素子15に印
加された外部磁界の強度に応じたファラデー回転角θ2
だけ回転する。回転した光は、偏光子22aに対して4
5°傾けた検光子23aを通過する際に強度変調され、
さらにコリメータ24cおよび光ファイバ25cを経て
受光信号部74の受光器33aに入射する。受光器33
aは入射した光出力に応じた電気信号に変換し、信号処
理器73は電気信号から外部磁界の強度または電流を算
出する。ここで電流測定用光源30から放出する光の波
長と、電圧測定用光源63から放出する光の波長とを同
一に設定しているため、電流測定用センサ20および電
圧測定用センサ62でそれぞれ検出した光出力は共用す
る1台の信号処理器73によって処理される。
【0059】また、光送信機64内の光源30から放出
された波長850nmの光は、その一部がビームスプリッ
タ31により分岐され、分岐された光は反射プリズム3
2によって反射され、光ファイバ25bを通りコリメー
タ24bに伝送され、ここで平行光線束に変換された後
に、偏光子22bに入射し直線偏光となる。この直線偏
光は、高磁界用磁気光学素子21に印加された外部磁界
の強度に応じたファラデー回転角θ3 だけ回転する。回
転した光は、偏光子22bに対して45°傾けた検光子
23bを通過する際に強度変調され、さらにコリメータ
24dおよび光ファイバ25dを経て受光信号部74の
受光器33bに入射する。受光器33bは入射した光出
力に応じた電気信号に変換し、信号処理器73は電気信
号から外部磁界の強度または電流を算出する。
【0060】実施例8に係る光センサ60によれば、磁
気光学素子15,21の光源波長と電気光学素子61の
光源波長とを850nmに一致させているため、1台の受
光信号系を共用することが可能となる。したがって、従
来個別に受光信号系を設置した光センサと比較して、小
型で信頼性が高く、電流値および電圧値を共に計測でき
る光センサを低コストで提供することが可能となる。
【0061】
【発明の効果】以上説明したように、請求項1に係る光
センサによれば、低磁界用磁気光学素子の働きにより低
磁界においても高感度が達成され、かつこの低磁界用磁
気光学素子は膜厚が薄くて、温度特性も良好である。よ
って、この磁気光学センサは、野外でも電力分野に係る
電流測定ができ、また量産化、小型化という長所も発揮
できる。そして請求項5に係る光センサによれば、低磁
界から高磁界までの広い磁界範囲で正確な磁界強度測定
を行うことができる。さらに請求項8に係る光センサに
よれば、磁気光学素子と並列に電気光学素子を配設して
いるため、電流のみならず電圧も同時に測定することが
できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例に係る磁気光学センサの構成
を示すブロック図。
【図2】図1に示す磁気光学センサにおけるファラデー
素子の膜厚と光出力の関係を示すグラフ。
【図3】本発明の他の実施例に係る磁気光学センサの構
成図。
【図4】図3に示す磁気光学センサにおける磁界強度と
光出力の関係を示すグラフ。
【図5】本発明のその他の実施例に係る光センサの構成
を示すブロック図。
【図6】従来の磁気光学センサの構成図。
【符号の説明】
1 光源 2a,2b 光ファイバ 3a,3b コリメータ 4 偏光子 5 ファラデー素子(磁気光学素子) 6 検光子 7 受光信号部 10 磁気光学センサ(光センサ) 11 光送信器 11a 光源 12a,12b 光ファイバ 13a,13b コリメータ 14 偏光子 15 ファラデー素子(低磁界用) 16 検光子 17 反射プリズム 18 受光信号部 18a 受光器 18b 信号処理器 20 光センサ 21 ファラデー素子(高磁界用) 22a,22b 偏光子 23a,23b 検光子 24a,24b,24c,24d コリメータ 25a,25b,25c,25d 光ファイバ 26 光送信器 27 受光信号部 30 光源(電流測定用) 31 ビームスプリッタ 32 反射プリズム 33a,33b 受光器 34 信号処理部 60 光センサ 61 電気光学素子 62 電気光学センサ 63 光源(電圧測定用) 64 光送信器 65 光ファイバ 66 コリメータ 67 偏光子 68 1/4波長板 69 検光子 70 コリメータ 71 光ファイバ 72 受光器 73 信号処理器 74 受光信号部

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 波長740〜890nmの直線偏光を放出
    する手段と、前記直線偏光をファラデー回転させ、組成
    がY3-x Tbx Fe5 12(0.3≦x≦0.8)であ
    る磁気光学素子と、この磁気光学素子でファラデー回転
    した直線偏光を強度変調してその光出力を検知する手段
    とを備える光センサ。
  2. 【請求項2】 磁気光学素子の膜厚が20〜250μm
    であることを特徴とする請求項1記載の光センサ。
  3. 【請求項3】 直線偏光の波長が750〜880nmであ
    ることを特徴とする請求項1記載の光センサ。
  4. 【請求項4】 磁気光学素子のベルデ定数の変化率が−
    20℃から+80℃の温度範囲において±2%以下であ
    ることを特徴とする請求項1記載の光センサ。
  5. 【請求項5】 低磁界から高磁界までの広い磁界範囲に
    おいて、その磁界強度または電流値を測定する光センサ
    において、波長740〜890nmの直線偏光を放出する
    手段と、組成がY3-x Tbx Fe5 12(0.3≦x≦
    0.8)である低磁界用磁気光学素子および前記直線偏
    光をファラデー回転させ、飽和磁界が低磁界用磁気光学
    系より大きい高磁界用磁気光学素子とを並列に設置し、
    これら両磁気光学素子でファラデー回転した各々の光出
    力を検知する手段とを備える光センサ。
  6. 【請求項6】 低磁界用磁気光学素子の膜厚が20〜2
    50μmであることを特徴とする請求項5記載の光セン
    サ。
  7. 【請求項7】 磁気光学素子のベルデ定数の変化率が−
    20℃から+80℃の温度範囲において±2%以下であ
    ることを特徴とする請求項5記載の光センサ。
  8. 【請求項8】 波長740〜890nmの直線偏光を放出
    する手段と、この直線偏光をファラデー回転させ、組成
    がY3-x Tbx Fe5 12(0.3≦x≦0.8)であ
    る磁気光学素子と、この磁気光学素子と並列に設置さ
    れ、上記直線偏光に電界強度に応じた位相差を与える電
    気光学素子(ポッケルス効果素子)と、上記磁気光学素
    子でファラデー回転した直線偏光および上記電気光学素
    子によって位相差を付与された直線偏光の光出力を検知
    する手段とを備えることを特徴とする光センサ。
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