JPH05242871A - 無電極放電ランプ - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 （修正有） 【目的】石英ガラスの組成を変化劣化させず、ハロゲン
の遊離に起因する放電開始特性の低下を防止する。 【構成】透光性のバルブ内に発光物質が封入された発光
管１と、これを取り巻く高周波励起コイル３とを有し、
励起コイル３で生じ電磁波により発光管１内でプラズマ
放電を発生させる無電極放電ランプであって、発光物質
はネオン、アルゴン、クリプトン、キセノンの内、少な
くとも一種以上とする。 【効果】高周波励起コイルにより高エネルギー励起され
てもこの主の希ガスイオンは安定で他の物質と化合物を
生成することがなく、発光管材料内にめり込むことがな
いため、石英ガラスの組成を変化劣化させることがな
く、さらに、ハロゲン化物を発光金属として用いていな
いため、ハロゲンの遊離に起因する放電開始特性の劣化
も生じない。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、例えばソレノイド等の
高周波励起コイルにより、発光管内に封入した発光物質
を励起する無電極放電ランプに関する。

【０００２】

【従来の技術】近年、例えば特開平２−３００５４号公
報に記載されているように、ソレノイド等の高周波励起
コイルにより、発光管内に封入した発光物質を励起する
無電極放電ランプは、電極の飛散に起因した発光管の黒
化現象がなく、ランプ寿命が格段に伸長することから、
開発が進められている。

【０００３】この無電極放電ランプは、発光金属として
例えば沃化ナトリウム等の金属ハロゲン化物が用いら
れ、また、緩衝ガスとしてクリプトンやアルゴン等の不
活性ガスが封入されている。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記の
ように発光金属としてハロゲン化金属を用いるものにあ
っては、発光効率は良好なものの、励起された金属イオ
ンが励起電磁界により高エネルギーに加速されるため、
発光管を構成する例えば石英ガラス等の材料内にめり込
み、その結果石英ガラスの組成を変化劣化させると共
に、その金属と結合していたハロゲンが遊離して放電開
始を妨げる等の支障を生じていた。

【０００５】また、ハロゲン化金属を使用しているた
め、その金属が所望の蒸気圧になるまでに時間を要し、
点灯始動時の明るさの変動が大きいという不具合があっ
た。

【０００６】本発明はこのような事情にもとづいてなさ
れたもので、その目的とするところは、高周波励起コイ
ルにより発光金属に高エネルギーを印加しても、石英ガ
ラスの組成を変化劣化させないと共に、ハロゲンの遊離
に起因する放電開始特性の低下を防止できる無電極放電
ランプを提供しようとするものである。

【０００７】［発明の構成］

【０００８】

【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
に、本請求項記載の無電極放電ランプは、透光性のバル
ブ内に発光物質が封入された発光管と、この発光管を取
り巻くように配置された高周波励起コイルとを有し、励
起コイルで生じさせた電磁波により発光管内でプラズマ
放電を発生させる無電極放電ランプであって、発光物質
はネオン、アルゴン、クリプトン、キセノンの内、少な
くとも一種以上であることを特徴とするものである。

【０００９】

【作用】本請求項記載の発明によれば、ネオン、アルゴ
ン、クリプトン、キセノンの内、少なくとも一種以上を
発光物質としているため、高周波励起コイルにより高エ
ネルギー励起されてもこの主の希ガスイオンは安定で他
の物質と化合物を生成することがなく、発光管材料内に
めり込むことがないため、したがって石英ガラスの組成
を変化劣化させることがない。

【００１０】さらに、ハロゲン化物を発光金属として用
いていないため、ハロゲンの遊離に起因する放電開始特
性の劣化も生じない。

【００１１】

【実施例】以下、本発明について、図面を用いて詳細に
説明する。

【００１２】図１は、本件発明に係る無電極放電ランプ
の一実施例を示す概略図であり、同図に図示するよう
に、例えば合成石英等の透光性高融点ガラスからなる直
径約２５mm程度の略球状の発光管１内には、発光物質と
してキセノンガスが３００mmHg封入されている。

【００１３】また、この発光管１を気密に収納する外管
２は、発光管１と同じく例えば合成石英等の高融点ガラ
スによって形成されている。

【００１４】この外管２を取り巻くように配置された高
周波励起コイル３は、両端が高周波電源部に接続されて
おり、この高周波電源から供給される高周波電流から生
じる交番電磁界により、発光管内に封入された発光物質
を励起するように構成されている。

【００１５】ここで、この高周波励起コイル３は、高純
度のアルミニウム、銅、または銀などの導電性に優れた
金属よりなり、螺旋帯状に２ターン巻回された形状を成
している。

【００１６】尚、放熱フィンが形成された器具本体４内
部に収容されている高周波電源部（図示せず）は、例え
ば高周波発生増幅回路とインピーダンスマッチング回路
とにより構成されており、その動作周波数は例えば１
３．５６メガヘルツで、３００Ｗの高周波電力を供給す
るように設定されている。

【００１７】上記のように構成された無電極放電ランプ
において、高周波励起コイル３に高周波電圧を印加する
と、励起コイル３の巻回中心軸方向に沿って交番電磁界
が発生し、これにより、発光管１内に封入されたキセノ
ンガスが電離励起されて、リング状の放電が生じ、可視
光領域の光放射が得られ、このときのランプ効率は約３
０ルーメン／ワットであった。

【００１８】このような無電極放電ランプによれば、発
光物質としてキセノンを封入しているため、高周波励起
コイルにより高エネルギー励起されてもキセノンガスイ
オンは安定で他の物質と化合物を生成することがなく、
発光管材料内にめり込むことがない。

【００１９】つまり、従来の発光金属として沃化ナトリ
ウム等の金属ハロゲン化物を用いていた無電極放電ラン
プは、発光管材料の変質により２万時間程度の定格寿命
であったのに対し、上記実施例による無電極放電ランプ
の定格寿命は、約１０万時間であることを強制寿命試験
により確認している。

【００２０】また、上記実施例によれば、発光物質とし
てキセノンガスを用いているため、高周波発生増幅回路
の出力電圧を調整することにより、放射光の光束値を１
００％から１０％程度まで調光ができるという利点があ
る。

【００２１】さらにまた、発光物質として、金属ハロゲ
ン化物を用いていないため、点灯初期における光束の立
上特性が極めて優れ、初期点灯時の光変動がないもので
ある。

【００２２】尚、以上の実施例においては、発光管材料
として合成石英ガラスを用いたものについて説明してい
るが、例えば透光性セラミック等の透光性耐熱材料等を
適用しても良い。

【００２３】さらにまた、上記実施例においては、発光
物質としてキセノンガスを適用したものについて詳述し
ているが、ネオン、アルゴンやクリプトンを発光物質と
して封入しても良く、これら希ガスを混合して封入して
も良い。

【００２４】

【発明の効果】以上の説明のように、本発明によれば、
ネオン、アルゴン、クリプトン、キセノンの内、少なく
とも一種以上を発光物質としているため、高周波励起コ
イルにより高エネルギー励起されてもこの主の希ガスイ
オンは安定で他の物質と化合物を生成することがなく、
発光管材料内にめり込むことがないため、したがって石
英ガラスの組成を変化劣化させることがなく、さらに、
ハロゲン化物を発光金属として用いていないため、ハロ
ゲンの遊離に起因する放電開始特性の劣化も生じない無
電極放電ランプが提供できる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明に係る無電極放電ランプの一実施例を示
す概略図。

【符号の説明】

１・・・発光管 ２・・・外管 ３・・・高周波励起コイル ４・・・器具本体

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】透光性のバルブ内に発光物質が封入された
   発光管と、前記発光管を取り巻くように配置された高周
   波励起コイルとを有し、前記励起コイルで生じさせた電
   磁波により発光管内でプラズマ放電を発生させる無電極
   放電ランプであって、前記発光物質はネオン、アルゴ
   ン、クリプトン、キセノンの内、少なくとも一種以上で
   あることを特徴とする無電極放電ランプ。