JPH0524168Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本考案は、ある物体が傾斜したときその傾斜し
た状態を検出する傾斜センサに関するものであ
る。

（従来の技術） 本考案者等は、先に、中空ケース内に、表面に
磁性流体が被着した永久磁石を収容し、ケース外
部に磁気感応素子を配置して、ケースが傾いたと
き、内部の永久磁石がその自重で最も低い位置へ
移動するために磁気感応素子の感知する磁気が変
化することから、ケースが傾いたことを検出する
傾斜センサを提案した（例えば実願昭61−164055
号参照）。

第５図は、その一例の基本的構成を示したもの
で、１は非磁性体の、例えばアルミニウムのケー
スであり、中央部に位置する円形平面の第１の底
面２ａとその周囲に連続して延び第１の底面２ａ
に対し予め定められた角度θで傾斜した環状の第
２の底面２ｂからなる底部２と、この底部の回り
の周壁３で囲まれた中空部４を有する。なおこの
中空部４は実際には密閉される。５は略円板状の
永久磁石であり、その表面に磁性流体６が被着し
ている。７はケース１の底部の外側に第１の底面
２ａと略平行に配置された磁気感応素子としての
リードスイツチである。

このような構成において、第５図のようにケー
ス１が傾いていない状態にあるときは、リードス
イツチ７の両リード７ａ及び７ｂは永久磁石５か
ら同等の影響を受け、スイツチの中央部で同極と
なるので互いに反発し合い、従つてスイツチは開
いた状態となる。

次に第６図のようにケースが傾いて永久磁石５
が第２の底面へ移動したときは、片側のリード７
ｂのみが永久磁石の影響を受けるため、スイツチ
中央部での両リードの極性が異極となつて接続状
態となる。なお、磁気流体６は永久磁石５が移動
する際の潤滑油の作用をする。

つまり、ケース１がある角度以上傾くと永久磁
石５が第１の底面２ａから第２の底面２ｂまで所
定の距離だけ移動することからリードスイツチ７
が開から閉に切り換わり、これによつてケースが
ある所定の角度以上に傾いたことを検出すること
ができる。

（考案が解決しようとする問題点） ところが、ケースが傾いて永久磁石が移動する
際に、磁石に作用する力は単に磁石にかかる重力
のみではなく、他のフアクター、例えば磁性流体
の粘性や表面張力、磁石とリードスイツチのリー
ドとの間の磁気吸引力等があり、更にはセンサ構
成部品の特性のバラツキや取付寸法のバラツキ等
があつて、予め設定した傾斜角度でリードスイツ
チが確実に作動するという保証が得られないこと
になる。

本考案は、上記問題点を解消するもので、所定
の傾斜角度で磁気感応素子が確実に作動するよう
に調整することが可能な傾斜センサを提供するも
のである。

（問題点を解決するための手段） 上記目的を達成するために、磁気感応素子を底
部の中心から周辺方向に変位可能に構成したもの
である。

（作用） 第３図は、本考案の作用を定性的に説明するた
めの図である。まず、実線で示す永久磁石５とリ
ードスイツチ７があり、永久磁石５を図の左方へ
距離l₀だけ移動させるとリードスイツチ７が作動
するものとする。同様に、永久磁石５を図の右方
へ距離l₀だけ移動させるとリードスイツチ７が作
動する。Ａ及びＢは、リードスイツチ７の作動時
性を示す曲線（ここでは作動曲線という）で、横
軸は永久磁石５のリードスイツチ中心Ｏからの移
動距離、縦軸は永久磁石とリードスイツチとの距
離である。縦軸方向に両者が離れるに従つてリー
ドスイツチに及ぼす磁気的影響が小さくなり、従
つてリードスイツチを作動させるためには永久磁
石の横方向の移動距離を大きくする必要がある。

次に、リードスイツチを点線で示す７′の位置
に移動させると、その中心はＯからO′に移動し、
作動曲線はA′，B′に移動する。一方永久磁石は
リードスイツチとの間で磁気吸引力が作用するの
で、リードスイツチの移動とともに５′の位置へ
移動するが、ケース１の底部の湾曲部分に遮られ
てそれ以上O′側へは移動できない。そこで、ケ
ース１を矢印Ｄ方向に傾けると、永久磁石５′が
左方向へ距離l₁だけ移動したところでリードスイ
ツチが作動することになる。

つまり、リードスイツチを変位させる前では、
永久磁石がl₀だけ移動したときにリードスイツチ
が作動し、この移動のためにケースを、例えば15
度傾ける必要があるのに対し、リードスイツチを
変位させた状態では、永久磁石がl₀だけ移動した
ときにリードスイツチが作動する。そして、この
場合、l₀＞l₁であり、l₁だけ移動させるためにケ
ースを、例えば10度傾ければよいことになる。

なお、ケースを逆の方向に傾ける場合は、永久
磁石をl₂（＞l₀）だけ移動させる必要があり、その
ためにはケースを15度よりさらに大きく傾けなけ
ればならない。

このように、リードスイツチをケースの底面に
対して略平行に適宜の位置に変位させることによ
り、リードスイツチが作動するケースの傾斜角
度、即ち応答角度を調整することができるもので
ある。

（実施例） 第１図は、本考案の一実施例を示したもので、
第２図は、その分解斜視図である。１１は非磁性
体のケースであり、周辺部が所定の傾斜角若しく
はなだらかな湾曲で立ち上がる底部１２と、底部
の周縁部につながる周壁１３と、蓋１４とから構
成され、密閉された中空部４を有する。中空部４
には表面に磁性流体６が被着した略円板状の永久
磁石５が収容されている。１５はセンサ取付台で
あり、ケース１１がその内部の上部に挿入され、
樹脂１６等で固定される。７はプリント基板１７
上に配置され、リード端子を半田付けされた磁気
感応素子としてのリードスイツチであり、プリン
ト基板からはリード線１８が引き出されている。
１９は裏カバーであり、対向する一対の辺部から
立ち上がつた爪１９ａを取付台１５の内部に形設
した凹部に係合させることにより固定される。

ここで、第４図に示したように、プリント基板
１７には複数のリードスイツチ取付孔２０が設け
られており、その取付孔２０を選択してリードス
イツチ７を取付けることによりケースの底部に対
するリードスイツチの位置を変え、応答角度を調
整する。また微調整を要する場合は、半田付時
に、リードスイツチの端部から取付孔までのリー
ド線の長さを適宜調節するようにしてもよい。な
お、リードスイツチ７は、プリント基板１７の対
角線に沿つて取付けられているが、これは、第１
図ａに示す矢印Ｐ及びＱ方向の傾斜を１本のリー
ドスイツチで検出しようとするためである。

以上のように構成された本実施例で、リードス
イツチの取付位置を適宜設定することにより、リ
ードスイツチ７が作動する応答角度が変化するこ
とは（作用）の項で説明した通りである。

このようにして、応答角度を任意に設定するこ
とができるから、センサ構成部品の取付位置等の
バラツキがあつても、設定した傾斜角度でリード
スイツチを確実に作動させることができる。

実施例では、プリント基板に設けた取付孔を適
宜選択してリードスイツチを取付け、リードスイ
ツチの位置を変えるようにしたが、予めリードス
イツチを取付けたプリント基板自体を外部から移
動させるような機構にしてもよい。また実施例で
は、リードスイツチをケースの底部の中心から周
辺方向に変位させたが、これに垂直方向の変位を
組合せてもよい。さらに磁気感応素子としてリー
ドスイツチを用いて説明したが、他の素子、例え
ばホール素子等を使用してもよいことは言うまで
もない。

（考案の効果） 以上説明したように、本考案によれば、磁気感
応素子が作動する傾斜角、即ち応答角度を調整す
ることができるので、所要の感度を設定できると
ともに、部品精度のバラツキや取付位置等のバラ
ツキがあつても、調整により応答特性を揃えるこ
とができ、検出精度の向上、製造歩留りの向上を
達成することができる。

【図面の簡単な説明】

第１図は、本考案の一実施例の構成図、第２図
は、同分解斜視図、第３図は、本考案の作用を示
す図、第４図は、本考案におけるリードスイツチ
の取付位置調整方法の一例を示す図、第５図及び
第６図は、従来例の基本的構成及び動作を示す図
である。 ４……中空部、５……永久磁石、６……磁性流
体、７……リードスイツチ、１１……ケース、１
２……底部、１３……周壁、１５……取付台、１
７……プリント基板、２０……取付孔。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 周辺部が所定の傾斜角若しくはなだらかな湾曲
   で立ち上がる底部、該底部の周縁部につながる周
   壁部及び天部からなり密閉された中空部を有する
   非磁性体ケースと、前記中空部に収容され表面に
   磁性流体が被着した永久磁石と、前記ケースの底
   部の外側に配置され、前記永久磁石の磁気を感知
   する磁気感応素子とを備え、前記磁気感応素子を
   前記底部の中心から周辺方向に変位可能にしたこ
   とを特徴とする傾斜センサ。 (2) 前記磁気感応素子は、前記底部に対して略平
   行に配置されたリードスイツチからなることを
   特徴とする実用新案登録請求の範囲第(1)項記載
   の傾斜センサ。 (3) 前記磁気感応素子は、プリント基板に取付け
   られ、プリント基板と共に移動されることを特
   徴とする実用新案登録請求の範囲第(1)項または
   第(2)項記載の傾斜センサ。 (4) 前記磁気感応素子は、複数の取付孔を有する
   プリント基板に取付けられ、前記取付孔が適宜
   選択されることにより前記底部に対する相対的
   位置が変えられることを特徴とする実用新案登
   録請求の範囲第(1)項または第(2)項記載の傾斜セ
   ンサ。