JPH05239607A - 良好な表面肌を持つ溶融亜鉛めっきステンレス鋼の製造方法 - Google Patents

良好な表面肌を持つ溶融亜鉛めっきステンレス鋼の製造方法

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JPH05239607A
JPH05239607A JP7602592A JP7602592A JPH05239607A JP H05239607 A JPH05239607 A JP H05239607A JP 7602592 A JP7602592 A JP 7602592A JP 7602592 A JP7602592 A JP 7602592A JP H05239607 A JPH05239607 A JP H05239607A
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stainless steel
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JP7602592A
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Wakahiro Harada
和加大 原田
Toshiro Adachi
俊郎 足立
Hideji Ohashi
秀次 大橋
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Nippon Steel Nisshin Co Ltd
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Nisshin Steel Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 ステンレス鋼表面にある不動態皮膜をフラッ
クス法で還元除去し、表面肌の良好な融亜鉛めっき層を
形成する。 【構成】 表面仕上げしたステンレス鋼に塩素イオン濃
度90g/l以上のフラックスを塗布し、150〜22
0℃の温度で加熱・乾燥させた後、溶融亜鉛めっき浴に
ステンレス鋼を導入する。表面仕上げとしては、たとえ
ば硝酸−フッ酸系の混酸を使用した酸洗が採用される。
また、溶融亜鉛めっき浴に対するステンレス鋼の浸漬時
間は、6秒以上に設定することが好ましい。 【効果】 不めっき,めっきはじき等の欠陥がなく、優
れた表面肌をもつ溶融亜鉛めっき層が形成される。得ら
れた溶融亜鉛めっきステンレス鋼は、耐食性に優れ、過
酷な使用環境においても十分な耐久性を呈する構造材料
として使用される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、平滑な表面肌をもつめ
っき層が形成された溶融亜鉛めっきステンレス鋼の製造
方法に関する。
【0002】
【従来の技術】普通鋼の鋼帯,鋼板等に亜鉛めっき層を
形成する方法は、電気めっきと溶融めっきに大別され
る。電気めっき法は、目付け量の調整が容易であり、比
較的薄目付けでめっき鋼帯等を製造するときに採用され
ている。他方、溶融亜鉛めっき浴に被めっき材を浸漬さ
せる溶融めっき法は、目付け量の精密な調整が困難であ
るが、短時間で厚目付けのめっき層を形成することがで
きる利点を持っている。用途によっては厚目付けのめっ
き鋼板が要求されることがあり、このような場合には溶
融めっき法が採用される。
【0003】溶融めっき法は、被めっき鋼材の表面にあ
る酸化皮膜を除去する手段に応じて酸化還元法とフラッ
クス法とに分類される。
【0004】酸化還元法は、溶融亜鉛めっき鋼帯の製造
方法として最も汎用的なものであり、被めっき鋼帯を水
素−窒素雰囲気中で加熱することにより、表面層にある
酸化皮膜を還元除去する。被めっき材が普通鋼であると
き、処理された表面層は活性な状態になり、その上に優
れた密着性でめっき層が形成される。
【0005】フラックス法においては、鋼材表面に塗布
したフラックスによって表面を活性化し、溶融亜鉛に対
する濡れ性を向上させる。フラックスとしては、塩化亜
鉛,塩化アンモニウム等を主成分とするものが使用され
る。また、フッ素化合物,表面活性剤等を副成分として
添加する場合もある。
【0006】ところで、本発明者等は、従来の普通鋼に
代えてステンレス鋼を被めっき鋼材として使用すると
き、優れた耐食性が発現されることを見い出し、特開平
1−132792号公報として紹介した。ステンレス鋼
に溶融亜鉛めっきを施したものにあっては、従来の亜鉛
めっき鋼板にみられた亜鉛の犠牲溶解による犠牲防食作
用に加えて、亜鉛の腐食生成物の付着に起因した腐食抑
制作用によっても下地のステンレス鋼の防食が図られ
る。
【0007】すなわち、ステンレス鋼板の表面に付着し
たZnの腐食生成物は、腐食過程における陰極反応であ
る酸素還元反応を抑制すると共に、解離してpH緩衝作
用を呈する。この亜鉛の腐食生成物による腐食抑制作用
は、被めっき材としてステンレス鋼を使用した場合に観
察されるもので、普通鋼を下地とする亜鉛めっき層では
生じない。そして、亜鉛めっきステンレス鋼は、通常の
ステンレス鋼に腐食が発生する過酷な環境においても優
れた耐食性を備えた構造材料として使用することができ
る。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】ステンレス鋼を溶融亜
鉛めっきする際にも、めっき金属に対する濡れ性及びめ
っき層の密着性を向上させるため、被めっき材表面にあ
る酸化皮膜を除去することが必要である。しかし、ステ
ンレス鋼表面に形成されている酸化皮膜は、極めて強固
であり、従来の酸化還元法やフラックス法によっては除
去できない。
【0009】ステンレス鋼を水素−窒素雰囲気中で加熱
処理するとき、ステンレス鋼表面の不動態皮膜を還元除
去することができないばかりでなく、むしろ強固な酸化
皮膜が形成される。この表面状態のステンレス鋼を溶融
めっき浴に導入すると、鋼板表面でめっき金属が弾か
れ、不めっきやめっきはじき等の欠陥が発生する。ま
た、形成されためっき層も、密着不良で不均一なものと
なる。
【0010】これらの欠陥発生を抑制する手段として、
ステンレス鋼に対しFe,Ni等のプレめっきを施すこ
とが検討されている。プレめっき層は、不動態皮膜の影
響を抑え、表面が平滑で密着性に優れためっき層を形成
する上で有効である。しかし、プレめっきのために余分
な工程が増え、しかもプレめっき自体が操業コストの高
いものである。この点で、ステンレス鋼に対しFe,N
i等のプレめっきを施すことは、実用的な解決策にはな
らない。
【0011】他方、普通鋼の通板条件下でフラックス法
を適用しても、ステンレス鋼表面の不動態皮膜は完全に
除去されない。そのため、酸化還元法と同様な不めっ
き,めっきはじき等の欠陥が発生し、表面肌の良好なめ
っき層が形成されない。
【0012】本発明は、このような問題を解消すべく案
出されたものであり、フラックス法における条件設定に
工夫を加えることより、めっき欠陥がなく表面肌が良好
な溶融亜鉛めっき層をステンレス鋼表面に形成すること
を目的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】本発明の溶融亜鉛めっき
ステンレス鋼製造方法は、その目的を達成するため、表
面仕上げしたステンレス鋼に塩素イオン濃度90g/l
以上のフラックスを塗布し、150〜220℃の温度で
加熱・乾燥させた後、溶融亜鉛めっき浴に前記ステンレ
ス鋼を導入することを特徴とする。
【0014】表面仕上げとしては、たとえば硝酸−フッ
酸系の混酸を使用した酸洗を採用することができる。ま
た、溶融亜鉛めっき浴に対するステンレス鋼の浸漬時間
は、6秒以上に設定することが好ましい。
【0015】
【作 用】本発明者等は、不めっき,めっきはじき等の
めっき欠陥がなく、表面肌が平滑な溶融亜鉛めっき層を
形成させることに関し、種々のめっき条件について調査
・研究した。製造方法としては、めっき性に影響を与え
るフラックス濃度や乾燥温度等の要因を酸化還元法に比
較して容易に操作することができることからフラックス
法を採用した。そして、溶融亜鉛めっき層の均質性,密
着性等がステンレス鋼の表面仕上げやフラックス中の塩
素イオン濃度によって変わることを見い出した。
【0016】すなわち、フラックス法において、表面仕
上げしたステンレス鋼に塩化物系のフラックスを塗布
し、150〜220℃の温度で乾燥させるとき、表面肌
の良好な溶融亜鉛めっき層がステンレス鋼表面に形成さ
れる。ステンレス鋼の表面仕上げとしては硝酸−フッ酸
系の混酸を使用した酸洗仕上げが好ましく、フラックス
中の塩素イオン濃度は90g/l以上が好ましく、溶融
亜鉛めっき浴への浸漬時間を6秒以上に設定することが
好ましい。
【0017】硝酸−フッ酸系の混酸を使用して酸洗仕上
げしたステンレス鋼は、めっき濡れ性に優れている。こ
の酸洗仕上げしたステンレス鋼表面に塩素イオン濃度9
0g/l以上のフラックスを塗布し150〜220℃で
乾燥させるとき、めっき金属に対するステンレス鋼の濡
れ性が向上し、不めっき等のめっき欠陥が抑制されるこ
とを見い出した。
【0018】フラックスとしては、通常の溶融亜鉛めっ
き鋼板製造用の塩化亜鉛及び塩化アンモニウムを主成分
とする液組成の塩化物系フラックスが使用される。ま
た、このフラックスに、副成分としてフッ素化合物,表
面活性剤等を添加することもできる。フラックスは、ス
テンレス鋼を溶融めっき浴に導入したとき、生成したH
Clでステンレス鋼表面を活性化する。HClによる活
性化作用は、フラックス中の塩素イオン濃度に応じて向
上し、ステンレス鋼表面に形成されている強固な不動態
皮膜でも溶解除去される。
【0019】フラックスの塩素イオン濃度は、被めっき
材であるステンレス鋼のCr含有量に応じて定めること
が好ましい。具体的には、Crを含有しない普通鋼であ
れば塩素イオン濃度は80g/lでもめっき可能であ
る。しかし、13Cr含有鋼では85g/l,16Cr
含有鋼では90g/l,18Cr含有鋼では92g/l
の塩素イオン濃度が必要である。
【0020】硝酸−フッ酸系の混酸で酸洗されたステン
レス鋼の表面には、フラックス処理によって溶解除去が
可能なCr酸化物からなる皮膜が形成されている。この
硝酸ーフッ酸系の混酸を使用した酸洗仕上げと塩素イオ
ン濃度90g/l以上のフラックス塗布とを組み合わせ
ることにより、めっき金属に対するステンレス鋼表面の
濡れ性が大幅に向上する。また、硝酸−フッ酸系の混酸
で酸洗仕上げしたステンレス鋼に硝酸電解酸洗を施した
ときにも、めっき金属に対する濡れ性の良好な表面状態
が得られる。
【0021】フラックスが塗布されたステンレス鋼は、
溶融亜鉛めっき浴への浸漬に先立って乾燥処理を受け
る。このとき、フラックスの主成分がステンレス鋼に対
して腐食性のある塩化物であることから、比較的低い温
度での乾燥処理が採用される。高温での乾燥は、塩化物
の腐食作用を強く発現させ、ステンレス鋼表面に赤色の
腐食生成物を発生させる原因となる。腐食生成物が発生
した部分は、溶融亜鉛めっき後のステンレス鋼表面に不
めっき等の欠陥として残る。
【0022】乾燥工程は、一般に大気雰囲気中で行われ
る。被めっき材がステンレス鋼であることから、乾燥温
度如何によってはステンレス鋼表面に酸化皮膜が更に形
成され、めっき金属に対する濡れ性を低下させることが
ある。そこで、ステンレス鋼に塗布したフラックスの乾
燥温度とめっき性との関係を調べたところ、150〜2
20℃の温度で乾燥するとき、不めっき等の欠陥がない
良好な溶融亜鉛めっき層が形成されることを解明した。
【0023】乾燥温度が220℃を超えるとき、ステン
レス鋼の酸化や塩化物による腐食等による影響が顕著に
なり、不めっき等の欠陥が発生し易くなる。他方、15
0℃未満の乾燥温度では、ステンレス鋼表面に水分が残
留し易い。残留水分は、ステンレス鋼を溶融亜鉛めっき
浴に導入したとき、激しく蒸発・反応し、不めっき等の
欠陥を発生させる原因となる。また、残留水分は、作業
的にも安全性の面から好ましくない。
【0024】硝酸−フッ酸系の混酸で表面仕上げしたス
テンレス鋼板に塩化物系フラックスを塗布し、150〜
220℃で乾燥処理することによって、連続溶融亜鉛め
っきラインにおいてステンレス鋼帯表面に不めっき等の
欠陥がない溶融亜鉛めっき層を形成することが可能とな
る。しかし、使用するフラックスの塩素イオン濃度を上
げていることから、溶融亜鉛めっき浴中でのステンレス
鋼の浸漬時間によっては、フラックスに含まれている塩
化物に起因するものと推察される凹凸状のめっきはじき
が発生する場合がある。
【0025】この欠陥を防止し、平滑な表面性状をもつ
溶融亜鉛めっき層を形成するためには、溶融亜鉛めっき
浴におけるステンレス鋼の浸漬時間を6秒以上に設定す
ることが有効であることを見い出した。浸漬時間を6秒
以上とすることによって、ステンレス鋼表面に塗布した
フラックスの全量が反応に消費され、未反応成分が溶融
亜鉛めっき層に残留することがない。その結果、形成さ
れた溶融亜鉛めっき層は、平滑性に優れた表面性状を持
つ。
【0026】浸漬時間が6秒より短いと、ステンレス鋼
表面に塗布したフラックスの全量が反応せず、未反応の
フラックスに含まれている塩化物が溶融亜鉛めっき層に
混入する。混入した塩化物は、凹突状のめっき欠陥を発
生させる原因となる。
【0027】6秒以上の浸漬時間を確保するため、通板
速度の上限が制約され、厚目付けで溶融亜鉛めっき層を
形成することが困難になる場合がある。しかし、厚目付
けの溶融亜鉛めっき層が要求されるとき、1回目の通板
を本発明に従った条件下で行い、2回目に通板速度を速
めて目付け量を確保することが可能である。2回目の通
板では、ステンレス鋼表面に溶融亜鉛めっき層が形成さ
れているので、フラックスの塩素イオン濃度をたとえば
通常の普通鋼めっきと同じ程度まで下げることができ
る。この方式によって、厚目付けで且つ平滑な表面肌を
もつめっき層が形成された溶融亜鉛めっきステンレス鋼
板を製造することが可能となる。
【0028】溶融亜鉛めっき浴には、通常の普通鋼を対
象として開発された組成を持つものを使用することがで
きる。たとえば、アルミニウムを0.13〜0.19重
量%の割合で亜鉛に添加した浴を始めとして、4〜5重
量%或いは55重量%のアルミニウムを添加した浴等が
ある。また、溶融亜鉛めっきされるステンレス鋼として
は、目的に応じオーステナイト系ステンレス鋼,フェラ
イト系ステンレス鋼,二相ステンレス鋼等が使用され
る。
【0029】
【実施例】
実施例1:表面仕上げが異なる板厚0.4mmのステン
レス鋼板SUS430を浸漬脱脂した後、15%塩酸で
酸洗した。酸洗後のステンレス鋼表面に塩素イオン濃度
が異なるフラックスを塗布し、200℃で乾燥させた。
次いで、0.18重量%のアルミニウムを添加した浴温
460℃の溶融亜鉛めっき浴に浸漬することにより、ス
テンレス鋼板に溶融亜鉛めっきを施した。
【0030】溶融亜鉛めっきしたステンレス鋼板の表面
状態を観察し、めっき金属に対する濡れ性を不めっき率
で調べた。不めっき率は、ステンレス鋼板から切り出し
た100mm×100mmの試験片に5mm×5mmの
格子を当て、不めっきが存在する格子の数をカウント
し、格子全体に対する百分率で表した。なお、ここでい
う不めっきとは、ピンホール状の局部的なめっき欠陥で
ある。
【0031】不めっき率をフラックスの塩素イオン濃度
との関係で調べたところ、図1に示す関係が両者の間に
成立していることが判明した。すなわち、硝酸−フッ酸
系の混酸で酸洗仕上げするとき、塩素イオン濃度の上昇
に伴って不めっき率が減少している。そして、塩素イオ
ン濃度90g/l以上で、濡れ性の良好な状態にステン
レス鋼表面が調整され、不めっきのない高品質の溶融亜
鉛めっき層が形成されていることが判る。
【0032】実施例2:実施例1で使用した硝酸−フッ
酸系の混酸で酸洗仕上げしたステンレス鋼SUS430
に塩素イオン濃度90g/l以上のフラックスを塗布し
た後、乾燥温度を変えて乾燥させた。実施例1と同じ方
法で乾燥後のステンレス鋼に溶融亜鉛めっきを施し、形
成された溶融亜鉛めっき層の表面状態を観察した。
【0033】濡れ性を表す不めっき率とフラックスの乾
燥温度との関係を調査したところ、両者の間に図2に示
す関係が成立していることが判明した。すなわち、フラ
ックスを150〜220℃の温度範囲に加熱して乾燥さ
せるとき、不めっきの発生が検出されず、濡れ性の良好
な表面状態にステンレス鋼が調整されていることが判
る。乾燥温度が220℃よりも高いと、ステンレス鋼表
面の酸化に起因するものと推察される不めっきの発生及
び不めっき率の上昇がみられた。他方、150℃未満の
温度でフラックスを乾燥させたものにあっては、乾燥後
のステンレス鋼表面に残留する水分が観察され、この残
留水分に起因する不めっきが生じた。
【0034】実施例3:硝酸−フッ酸系の混酸で酸洗仕
上げしたステンレス鋼SUS430に各種塩素イオン濃
度のフラックスを塗布し、200℃で乾燥させた後、溶
融亜鉛めっきを施した。溶融亜鉛めっき浴に対するステ
ンレス鋼の浸漬時間を変化させ、フラックスに含まれて
いる塩化物の反応に及ぼす浸漬時間の影響を調べた。塩
化物の反応は、形成された溶融亜鉛めっき層に残存する
塩素の有無によって判定した。
【0035】塩化物の反応と浸漬時間との関係を表す図
3から明らかなように、塩素イオン濃度90g/l以上
のフラックスを塗布し且つ浸漬時間を6秒以上に設定し
たとき、フラックス中の塩化物が完全に反応し、形成さ
れた溶融亜鉛めっき層に塩素イオンが検出されなかっ
た。そのため、溶融亜鉛めっき層は、凹凸状の欠陥がな
く、平滑な表面肌をもっていた。
【0036】フラックス中の塩素イオン濃度を低下させ
るとき、浸漬時間を短くしてもフラックスは十分に反応
し、溶融亜鉛めっき層に塩素を残留させることがない。
しかし、塩素イオン濃度が不足していることから、ステ
ンレス鋼表面にある不動態皮膜を還元除去することがで
きず、その結果が不めっき発生として現れる。このこと
から、不めっき等の欠陥がなく、平滑な表面肌をもつ溶
融亜鉛めっき層をステンレス鋼表面に形成させるために
は、フラックス中の塩素イオン濃度を90g/l以上と
し、且つ溶融亜鉛めっき浴に対する浸漬時間を6秒以上
に設定することが有効であることが判る。
【0037】
【発明の効果】以上に説明したように、本発明において
は、塩素イオン濃度90g/l以上のフラックスをステ
ンレス鋼に塗布した後、150〜220℃の温度範囲で
加熱乾燥させることによって、ステンレス鋼表面の不動
態皮膜を還元除去し、めっき金属に対する濡れ性を向上
させている。これにより、不めっき等の欠陥がない良好
な表面肌をもつ溶融亜鉛めっき層が形成される。
【0038】また、溶融亜鉛めっき浴に対するステンレ
ス鋼の浸漬時間を6秒以上に設定することによって、フ
ラックスに含まれている塩化物全量をステンレス鋼の表
面調整に使用し、形成された溶融亜鉛めっき層に塩化物
系残渣が残留することを抑えている。その結果、溶融亜
鉛めっき層は、凹凸状の欠陥がない優れた表面肌をもつ
ものとなる。
【0039】得られた溶融亜鉛めっきされたステンレス
鋼は、当初のステンレス鋼に比較して格段に優れた耐食
性を呈し、過酷な使用環境においても十分な耐久性を示
す構造材料として使用される。また、Cr,Ni等の含
有量が比較的少ないステンレス鋼であっても、溶融亜鉛
めっきによって高価な高級ステンレス鋼に匹敵する特性
を示すものとなる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 フラックス中の塩素イオン濃度と不めっき率
との関係を示したグラフ
【図2】 フラックスの乾燥温度と不めっき率との関係
を示したグラフ
【図3】 フラックスの塩素イオン濃度及び浸漬時間が
溶融亜鉛めっき層に残存する塩化物系残渣の有無に与え
る影響を表したグラフ

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 表面仕上げしたステンレス鋼に塩素イオ
    ン濃度90g/l以上のフラックスを塗布し、150〜
    220℃の温度で加熱・乾燥させた後、溶融亜鉛めっき
    浴に前記ステンレス鋼を導入することを特徴とする溶融
    亜鉛めっきステンレス鋼の製造方法。
  2. 【請求項2】 請求項1記載の表面仕上げは、硝酸−フ
    ッ酸系の混酸を使用した酸洗により行われることを特徴
    とする溶融亜鉛めっきステンレス鋼の製造方法。
  3. 【請求項3】 表面仕上げしたステンレス鋼に塩素イオ
    ン濃度90g/l以上のフラックスを塗布し、150〜
    220℃の温度で加熱・乾燥させた後、前記ステンレス
    鋼を浸漬時間6秒以上で溶融亜鉛めっき浴に浸漬するこ
    とを特徴とする溶融亜鉛めっきステンレス鋼の製造方
    法。
JP7602592A 1992-02-27 1992-02-27 良好な表面肌を持つ溶融亜鉛めっきステンレス鋼の製造方法 Withdrawn JPH05239607A (ja)

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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN114411077A (zh) * 2022-01-18 2022-04-29 辽宁石源科技有限公司 一种镀锌铝或锌铝镁合金的高耐蚀不锈钢及热镀工艺

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Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN114411077A (zh) * 2022-01-18 2022-04-29 辽宁石源科技有限公司 一种镀锌铝或锌铝镁合金的高耐蚀不锈钢及热镀工艺

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