JPH05239148A - 熱可塑性ノルボルネン系樹脂、及びその製造方法 - Google Patents

熱可塑性ノルボルネン系樹脂、及びその製造方法

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JPH05239148A
JPH05239148A JP7862092A JP7862092A JPH05239148A JP H05239148 A JPH05239148 A JP H05239148A JP 7862092 A JP7862092 A JP 7862092A JP 7862092 A JP7862092 A JP 7862092A JP H05239148 A JPH05239148 A JP H05239148A
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JP
Japan
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substituent
carbon
hydrogen atom
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norbornene
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Application number
JP7862092A
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English (en)
Inventor
Teiji Obara
禎二 小原
Toshihide Murakami
俊秀 村上
Tsuyoshi Yamamoto
強 山本
Yoshio Natsuume
伊男 夏梅
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Zeon Corp
Original Assignee
Nippon Zeon Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【構成】 三環体ノルボルネン系モノマーを配位子を4
個有するパラジウム(II)塩と接触させて付加型重合
させることにより、クロロベンゼン中、30℃、濃度
0.5g/dlで測定した固有粘度(ηinh)が0.1
〜10dl/gである熱可塑性ノルボルネン系樹脂を得
る。 【効果】 耐熱性、強度、他の熱可塑性ノルボルネン系
樹脂との接着性に優れた熱可塑性ノルボルネン系樹脂が
得られる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、耐熱性に優れた熱可塑
性ノルボルネン系樹脂、及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】熱可塑性ノルボルネン系樹脂としては、
ノルボルネン系モノマーの開環重合体水素添加物や、α
−オレフィンとノルボルネン系モノマーの付加型共重合
体などが知られていた。
【0003】四環体以上のノルボルネン系モノマーから
なる付加型重合体については、特開昭61−11591
6号で知られている。
【0004】また、二環体であるノルボルネンを、〔P
d(CH3CN)4〕〔BF42を触媒として用いて付加
型重合することにより、固有粘度が1.01dl/kg
程度の高分子量の樹脂が得られることが知られている
(Makromol.Chem.,Rapid Com
mun.12,225−259(1991))。
【0005】さらに、三環体のノルボルネン系モノマー
からなる付加型重合体については、例えば、カチオン系
重合触媒を用いたトリシクロ〔4.3.0.12,5〕−
3,7−デカジエンの重合例が知られていた(Poly
mer Letters,,573(1970),P
olymer,10,393(1969))。しかし、
数平均分子量で最大5000程度のものしか知られてお
らず、樹脂として実用になるものを得ることはできなか
った。
【0006】三環体のノルボルネン系モノマー、特に複
数の二重結合を有するトリシクロ〔4.3.0.
2,5〕−3,7−デカジエンを〔Pd(CH3
N)4〕〔BF42を触媒として用いて付加型重合する
ことができるかどうか、また、分子量が十分に大きくで
きるかどうかは知られていなかった。さらに、得られる
重合体がどの程度の耐熱性を有しているかも知られてい
なかった。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明者らは、鋭意研
究の結果、特定の触媒を用いて三環体のノルボルネン系
モノマーを付加型重合することにより、耐熱性と強度を
有する熱可塑性ノルボルネン系樹脂が得られることを見
いだし、本発明を完成するに到った。
【0008】
【課題を解決するための手段】かくして本発明によれ
ば、一般式VII
【化7】 (式中、nは整数を表し、R1〜R6はそれぞれが水素原
子または置換基を表し、R7〜R12はそれぞれ水素原
子、置換基、または隣接位の炭素であってもよい。)、
一般式VIII
【化8】 (式中、nは整数を表し、R1〜R4はそれぞれが水素原
子または置換基を表し、R5〜R14はそれぞれが水素原
子、置換基、または隣接位の炭素であってもよい。)、
または一般式IX
【化9】 (式中、nは整数を表し、R1〜R4はそれぞれが水素原
子または置換基を表し、R5〜R16はそれぞれが水素原
子、置換基、または隣接位の炭素であってもよい。ただ
し、R5の結合している炭素はR6の結合している炭素以
外と、R6の結合している炭素はR5の結合している炭素
以外は、二重結合を形成しない。)で表され、クロロベ
ンゼン中、30℃、濃度0.5g/dlで測定した固有
粘度(ηinh)が0.1〜10dl/gである熱可塑性
ノルボルネン系樹脂、及びその製造方法が提供される。
【0009】(三環体ノルボルネン系モノマー)本発明
の三環体のノルボルネン系モノマーは、一般式X
【化10】 (式中、nは整数を表し、R1〜R6はそれぞれが水素原
子または置換基を表し、R7〜R12はそれぞれ水素原
子、置換基、または隣接位の炭素であってもよい。)、
一般式XI
【化11】 (式中、nは整数を表し、R1〜R4はそれぞれが水素原
子または置換基を表し、R5〜R14はそれぞれが水素原
子、置換基、または隣接位の炭素であってもよい。)、
または一般式XII
【化12】 (式中、nは整数を表し、R1〜R4はそれぞれが水素原
子または置換基を表し、R5〜R16はそれぞれが水素原
子、置換基、または隣接位の炭素であってもよい。ただ
し、R5の結合している炭素はR6の結合している炭素以
外と、R6の結合している炭素はR5の結合している炭素
以外は、二重結合を形成しない。)で表される。具体的
には、トリシクロ〔4.3.0.12,5〕−3,7−デ
カジエン、トリシクロ〔4.3.0.12,5〕−3−デ
セン、トリシクロ〔4.4.0.12,5〕−3−ウンデ
セン等、または、これらのアルキル、アルケニル、アル
キリデン、芳香族置換誘導体およびこれら置換または非
置換ノルボルネン誘導体のハロゲン、水酸基、アルコキ
シ基、シアノ基、アルキルオキシカルボニル基、アリー
ルオキシカルボニル基、アルキルカルボニルオキシ基、
アリールカルボニルオキシ基、アミノ基、アルキルアミ
ノ基、アミノカルボニル基、イミド基、シリル基等の極
性基置換体等が挙げられる。
【0010】これらのモノマーの2種以上を共重合して
もよい。また、これらのモノマーの外に、本発明の目的
を損なわない範囲であれば、共重合可能な他のモノマー
を99重量%以下、好ましくは90重量%以下、さらに
好ましくは80重量%以下、特に好ましくは50重量%
以下、併用することもできる。共重合可能なモノマーと
しては、例えば、ビシクロ〔2.2.1〕−2−ヘプテ
ン、テトラシクロ〔4.4.0.12,5.17,10〕−3
−ドデセン、テトラシクロ〔7.4.0.110, 13.0
3,7〕−4,11−テトラデカジエン、テトラシクロ
〔7.4.0.13,6 .02,7〕−4,11−テトラデカ
ジエン、これらのアルキル、アルケニル、アルキリデ
ン、芳香族置換誘導体およびこれら置換または非置換ノ
ルボルネン誘導体のハロゲン、水酸基、アルコキシ基、
シアノ基、アルキルオキシカルボニル基、アリールオキ
シカルボニル基、アルキルカルボニルオキシ基、アリー
ルカルボニルオキシ基、アミノ基、アルキルアミノ基、
アミノカルボニル基、イミド基、シリル基等の極性基置
換体等が挙げられる。
【0011】(重合触媒)本発明で用いる重合触媒は配
位子を4個有するパラジウム(II)塩、好ましくは、
テトラキスハイドロカルビルニトリルパラジウム(I
I)塩、〔Pd(R−CN)4〕X(Rは炭素数1〜8
の一価の炭化水素残基、Xは2個の1価の陰イオンまた
は1個の2価の陰イオンを表す)、より好ましくはテト
ラキスアセトニトリルパラジウム(II)塩である。ま
た、塩を構成する陰イオンとしては、例えば、BF4
オン、ハロゲンイオン、硝酸イオン、アルキルスルホス
酸イオン、アリールスルホン酸イオン、PF6イオンか
ら選ばれる2個のイオン、硫酸イオン等があり、特にB
4イオンが好ましい。配位子を4個有するパラジウム
(II)塩の具体例としては、〔Pd(CH3CN)4
〔BF42、〔Pd(CH3CH2CN)4〕〔B
42、〔Pd(CH3CH2CH2CN)4〕〔B
42、〔Pd(C65CN)4〕〔BF42、〔Pd
(CH3CN)4〕〔BF42、〔Pd(CH3CN)4
〔NO32、〔Pd(CH3CN)4〕F2、〔Pd(C
3CN)4〕Cl2、〔Pd(CH3CN)4〕Br2
〔Pd(CH3CN)4〕SO4、〔Pd(CH3
N)4〕〔(p−CH3)C64SO32などが挙げら
れ、中でも〔Pd(CH3CN)4〕〔BF42であるテ
トラキスアセトニトリルパラジウムジテトラフルオロボ
レートが好ましい。
【0012】例えば、〔Pd(CH3CN)4〕〔B
42は、パラジウムとNOBF4をアセトニトリルの
存在下に酸化することにより得られる(R.F.Sch
rammら、J.Chem.Soc.,Chem.Co
mmun.898(1968))。
【0013】(重合条件)本発明において、空気中の水
分、酸素や温度に感受性のある化合物を用いる場合は乾
燥した不活性気体に置換した環境下で重合することが好
ましく、通常、乾燥窒素で置換した環境下で重合する。
【0014】本発明においては、不活性有機溶媒中で重
合することが好ましい。不活性有機溶媒としては、例え
ば、ベンゼン、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水
素、−ペンタン、ヘキサン、ヘプタンなどの脂肪族炭化
水素、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、デカリ
ンなどの脂環族炭化水素、、ジクロロメタン、ジクロロ
エタン、ジクロロエチレン、テトラクロロエタン、クロ
ロベンゼン、ジクロロベンゼン、トリクロロベンゼンな
どのハロゲン化炭化水素、ニトロメタン、ニトロベンゼ
ン、ニトロトルエンなどのニトロ化炭化水素などが挙げ
られ、これらの二種以上を混合して使用してもよい。
【0015】ノルボルネン系モノマー100重量部に対
して、溶剤100〜1000重量部を加えて溶液とし、
重合触媒を0.01〜10重量部混合すれば、重合が開
始される。この重合反応は発熱反応であるので、必要に
応じて冷却しながら反応することが好ましい。一般に
は、−20〜100℃の任意の温度に保ちながら反応さ
せる。
【0016】重合圧力は特に限定されないが、通常、0
〜50kg/cm2の任意の圧力にすることが好まし
い。
【0017】反応開始後、モノマーの消費に応じて、モ
ノマーを追加してもよく、特に、高分子量の樹脂を得る
ためには、モノマーを追加することが好ましい。
【0018】(重合停止)適当な分子量まで重合した任
意の時点で、重合反応を停止させる。重合反応を停止さ
せる方法は特に限定されない。例えば、反応溶液を多量
の溶媒で希釈したり、水、アンモニア、アミンなどの触
媒失活成分を添加したり、遠心分離、濾過等により触媒
を除去したりすることにより重合を停止する。
【0019】樹脂の回収方法は、特に限定されない。一
般には、重合触媒残渣を除去した重合溶液を、樹脂の貧
溶媒、例えばイソプロピルアルコール、アセトンなどと
混合して重合体を凝固させる。
【0020】(水素添加)複数の二重結合を有するトリ
シクロ〔4.3.0.12,5〕−3,7−デカジエンを
モノマーとして用いた場合、また、8−エチリデン−テ
トラシクロ〔4.4.0.12,5.17,10〕−3−ドデ
セン、テトラシクロ〔7.4.0.110,13 .03,7〕−
4,11−テトラデカジエン、テトラシクロ〔7.4.
0.13,&.02,7〕−4,11−テトラデカジエン、ペ
ンタシクロ〔6.5.1.13,6.02,7.09,13〕−
4,10−ペンタデカジエン、ヘプタシクロ〔8.7.
0.12 ,9.14,7.111,17.03,8.012,16〕−5,
13−エイコサジエンなどのように複数の不飽和結合を
有するコモノマーを使用した場合は、本発明の熱可塑性
ノルボルネン系樹脂は耐候性等を向上させるために、水
素添加することが好ましい。水素添加することにより、
例えばトリシクロ〔4.3.0.12,5〕−3,7−デ
カジエンの付加型重合体は、実質的にトリシクロ〔4.
3.0.12,5〕−3−デセンの付加型重合体と同一の
構造にすることができ、熱可塑性飽和ノルボルネン系樹
脂となる。このような水素添加した樹脂も本発明の熱可
塑性ノルボルネン系樹脂である。
【0021】水素添加する方法は、特に限定されず、一
般的に用いられる方法でよい。 一般に、不活性溶剤中
で水素添加触媒を添加して、1〜200気圧の水素圧
下、0〜280℃で行う。不活性溶剤としては、例え
ば、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、デカリン
などの飽和炭化水素、テトラヒドロフラン、ジオキサ
ン、ジブチルエーテルなどの飽和エーテルなどが挙げら
れる。また、水素添加触媒としてはニッケル、パラジウ
ム、白金やこれらの金属をカーボン、シリカ、ケイソウ
土、アルミナ、酸化チタンなどの単体に担持させた不均
一系触媒、例えば、ニッケル/シリカ、ニッケル/アル
ミナ、ニッケル/ケイソウ土、ニッケル/アルミナ・マ
グネシア、ニッケル/アルミナ・シリカ、パラジウム/
カーボン、パラジウム/シリカ、パラジウム/アルミ
ナ、パラジウム/ケイソウ土、パラジウム/アルミナ・
マグネシア、パラジウム/シリカ・マグネシアなど、ま
たは周期律表第VIII族の金属を基体とする均一系触
媒、例えば、ナフテル酸ニッケル/トリエチルアルミニ
ウム、オクテン酸コバルト/n−ブチルリチウム、ニッ
ケルアセチルアセトネート/トリエチルアルミニウムな
どのNi、Co化合物と周期律表第I〜III族金属の
有機化合物からなるものなどが挙げられる。
【0022】水素添加においては、反応時間、反応温
度、触媒量などを変えることによって水素添加率を任意
に調節することができる。耐候性、耐光性を向上させる
という観点からは、90%以上、特に99%以上水素添
加することが好ましい。
【0023】水素添加の停止方法は特に限定されない。
一般には、水素圧を低下させる。
【0024】水素添加物の回収方法も特に限定されな
い。一般には、水素添加触媒を濾過、遠心分離等により
除去した反応液にそれと同体積以上、通常2〜3倍量の
ケトンまたはアルコールと接触させて、水素添加物を析
出させるか、触媒を除去した反応液から揮発成分を蒸発
させて水素添加物を単離する。
【0025】(熱可塑性ノルボルネン系樹脂)本発明の
熱可塑性ノルボルネン系樹脂は、前記の一般式VII、
一般式VIII、または一般式IXで表され、クロロベ
ンゼン中、30℃、濃度0.5g/dlで測定した固有
粘度(ηinh)は0.1〜10dl/g、好ましくは
0.3〜2dl/gである。軟化温度は250℃以上で
ある。
【0026】本発明の熱可塑性ノルボルネン系樹脂に
は、所望により、フェノール系やリン系などの老化防止
剤;ベンゾフェノン系などの紫外線安定剤;耐光安定
剤;アミン系などの耐電防止剤;脂肪族アルコールのエ
ステル、アミドなどの滑剤;多価アルコールの部分エー
テルなどの改質剤などの各種添加剤を添加してもよい。
また、本発明の目的を損なわない範囲で、他の樹脂、例
えば、ノルボルネン系開環重合体水素添加物、ノルボル
ネン系モノマーとα−オレフィンとの付加型共重合体、
ポリスチレン、ポリカーボネート、ゴム、石油樹脂、水
添石油樹脂などを配合して用いることもできる。さら
に、透明性を必要としない場合であれば、強度などを改
良するため、繊維、フィラー、顔料、染料、非相溶性樹
脂などを配合することもできる。
【0027】(成形)本発明の熱可塑性ノルボルネン系
樹脂を成形する方法は特に限定されない。目的に応じ
て、溶液流延法、熱プレス、ブロー成形、射出成形など
が可能である。
【0028】(用途)本発明の熱可塑性ノルボルネン系
樹脂は耐熱性、透明性等に優れており、位相差フィルム
や偏光フィルムなどの光学フィルム、受光素子用カバ
ー、液晶表示素子材などに用いる光学材料として最適で
ある。さらに本発明の熱可塑性ノルボルネン系樹脂は耐
湿性にも優れ、吸湿しにくいことから、電線被覆材、絶
縁フィルム、電子機器部品などの電気絶縁材料、回路基
板、スピーカー振動素子、スピーカーコーン材、半導体
封止材、発光ダイオード封止材、防湿フィルム、防湿塗
料などにも使用できる。また、表面硬度が大きく、ポリ
オレフィンに対する密着性が大きいことから、ポリオレ
フィン用のハードコート剤として使用できる。
【0029】
【実施例】以下に実施例、比較例、参考例を挙げて本発
明をさらに具体的に説明する。部は、特に断りのない限
り重量基準である。
【0030】なお、碁盤目剥離試験は、成形した板に形
成されたアルミニウム膜や塗膜膜の上から、カッターに
より1mm間隔でタテ、ヨコ各11本の切れ目を入れて
1mm四方の碁盤目を100個作り、セロハン粘着テー
プ(積水化学社製)を貼り、該粘着テープを90°方向
に剥した。試験結果は、剥離しなかった目の数を%で表
して示す。
【0031】実施例1 窒素で置換した内容量500mlの反応器に〔Pd(C
3CN)4〕〔BF421.1部およびニトロメタン5
0部を仕込んだ。温度を60℃に保ち、攪拌しながら、
トリシクロ〔4.3.0.12,5〕−3,7−デカジエ
ン(純度99.5%以上)84部をニトロメタン150
部に溶解した溶液を加えたところ、5分以内にポリマー
が析出し始めた。1時間反応させた後、150部のメタ
ノールを加え、析出した樹脂を濾過して回収した。メタ
ノール150部と濃塩酸20部の混合溶液で洗浄した
後、メタノール150部で2回洗浄した。その後、温度
100℃、圧力0.1torrで24時間乾燥し、樹脂
33部を得た。
【0032】得られた樹脂の30℃、クロロベンゼン
中、濃度0.5g/dlで測定した固有粘度(ηinh)
は0.31dl/gであった。樹脂の赤外吸収スペクト
ルには735cm-1にトリシクロ〔4.3.0.
2,5〕−3,7−デカジエンの五員環内の二重結合に
由来する吸収が認められ、付加型重合体であることが判
った。また、軟化温度は250℃以上であった。
【0033】この樹脂の濃度25%のクロロベンゼン溶
液を用いてキャスト法により作製した厚さ50μmのフ
ィルムは無色透明であり、700nmの波長の光線透過
率は92%であった。また、表面硬度は2Hであった。
【0034】また、この樹脂をクロロベンゼンと石油エ
ーテルの等量混合溶媒に20を溶解し、熱可塑性飽和ノ
ルボルネン系樹脂(日本ゼオン製、ZEONEX 28
0)製の光学ディスク基板にスピンコート(5000r
pm、60秒)処理し、70℃で1時間ベーキングし、
厚さ5μmにコートした。このコート層に碁盤目剥離試
験にかけたところ、100%の接着性を示した。
【0035】実施例2 〔Pd(CH3CN)4〕〔BF42を0.5部とする以
外は実施例1と同様にして、樹脂10部を得た。
【0036】得られた樹脂の30℃、クロロベンゼン
中、濃度0.5g/dlで測定した固有粘度(ηinh)
は0.41dl/gであった。また、赤外吸収スペクト
ルには735cm-1の吸収が認められた。また、軟化温
度は250℃以上であった。
【0037】実施例1と同様に作成したフィルムは無色
透明であり、700nmの波長の光線透過率は92%で
あった。また、表面硬度は2Hであった。また、実施例
1と同様にコートしたところ、碁盤目剥離試験におい
て、100%の接着性を示した。
【0038】実施例3 実施例1で得た樹脂10部をデカリン200部に溶解
し、パラジウム/カーボン触媒(Pd量担持量5%)1
部を加え、水素圧力70kg/cm2、温度140℃で
3時間、水素添加反応を行った。反応溶液にクロロベン
ゼン200部を加えて希釈し、濾過して水素添加触媒を
除去した後、イソプロピルアルコール1000部中に注
いで樹脂を凝固させた。樹脂を濾過して回収し、温度1
00℃、圧力0.1torrで24時間乾燥し、水素添
加物8部を得た。
【0039】得られた水素添加物の30℃、クロロベン
ゼン中、濃度0.5g/dlで測定した固有粘度(ηin
h)は0.32dl/gであった。また、赤外吸収スペ
クトルには735cm-1の吸収が認められず、トリシク
ロ〔4.3.0.12,5〕−3,7−デカジエンの五員
環内の二重結合が飽和されたことが判った。また、軟化
温度は250℃以上であった。DSC分析によるガラス
転移温度は195℃であった。
【0040】実施例1と同様に作製したフィルムは無色
透明であり、700nmの波長の光線透過率は93%で
あった。また、表面硬度は2Hであった。また、実施例
1と同様にコートしたところ、碁盤目剥離試験におい
て、100%の接着性を示した。
【0041】実施例4 トリシクロ〔4.3.0.12,5〕−3,7−デカジエ
ン84部に代えて、トリシクロ〔4.3.0.12,5
−3,7−デカジエン42部とビシクロ〔2.2.1〕
−2−ヘプテン30部の混合物を使用するほかは、実施
例1と同様にして、樹脂28部を得た。
【0042】得られた樹脂の30℃、クロロベンゼン
中、濃度0.5g/dlで測定した固有粘度(ηinh)
は0.44dl/gであった。また、赤外吸収スペクト
ルには735cm-1の吸収が認められたが、吸収光度は
実施例1の樹脂の約40%であった。軟化温度は250
℃以上であった。
【0043】この樹脂の濃度25%のクロロベンゼン溶
液を用いてキャスト法により、厚さ50μmのフィルム
を作製した。実施例1と同様に作成したフィルムは無色
透明であり、700nmの波長の光線透過率は93%で
あった。また、表面硬度は2Hであった。また、実施例
1と同様にコートしたところ、碁盤目剥離試験におい
て、100%の接着性を示した。
【0044】実施例1と同様にして作製したフィルムは
無色透明であり、700nmの波長の光線透過率は93
%であった。また、表面硬度は2Hであった。また、実
施例1と同様にコートしたところ、碁盤目剥離試験にお
いて、100%の接着性を示した。
【0045】比較例1 窒素で置換した内容量500mlの反応器にトリシクロ
〔4.3.0.12,5〕−3,7−デカジエン84部、
塩化メチレン100部を仕込んだ。温度を−20℃に保
ち、攪拌しながら濃度1MのBF3・Et20のジエチル
エーテル溶液10部を加え、1時間反応させた。反応溶
液をメタノール500部中に注ぎ、樹脂を凝固した。樹
脂を濾過して回収し、温度100℃、圧力0.1tor
rで24時間乾燥し、樹脂27部を得た。
【0046】得られた樹脂の30℃、クロロベンゼン
中、濃度0.5g/dlで測定した固有粘度(ηinh)
は0.05dl/gであった。この樹脂をトルエンに溶
解しHLCで分析した結果、ポリスチレン換算で、数平
均分子量は4300、重量平均分子量は7300であっ
た。赤外吸収スペクトルで、実施例1とほぼ同じ大きさ
の735cm-1の吸収が認められた。軟化温度は250
℃以上であった。
【0047】この樹脂の濃度25%のクロロベンゼン溶
液を用いてキャスト法により、厚さ50μmのフィルム
を作製を試みたが、非常に脆く、フィルム作製過程で破
れてしまった。また、実施例1と同様にコートしたとこ
ろ、碁盤目剥離試験において、70%の接着性を示し
た。
【0048】
【発明の効果】本発明の樹脂は、軟化温度が高いため耐
熱性に優れ、さらに他の熱可塑性ノルボルネン系樹脂と
の接着性、強度に優れた熱可塑性ノルボルネン系樹脂が
得られる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 夏梅 伊男 神奈川県川崎市川崎区夜光1−2−1 日 本ゼオン株式会社研究開発センター内

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 一般式I 【化1】 (式中、nは整数を表し、R1〜R6はそれぞれが水素原
    子または置換基を表し、R7〜R12はそれぞれ水素原
    子、置換基、または隣接位の炭素であってもよい。)、
    一般式II 【化2】 (式中、nは整数を表し、R1〜R4はそれぞれが水素原
    子または置換基を表し、R5〜R14はそれぞれが水素原
    子、置換基、または隣接位の炭素であってもよい。)、
    または一般式III 【化3】 (式中、nは整数を表し、R1〜R4はそれぞれが水素原
    子または置換基を表し、R5〜R16はそれぞれが水素原
    子、置換基、または隣接位の炭素であってもよい。ただ
    し、R5の結合している炭素はR6の結合している炭素以
    外と、R6の結合している炭素はR5の結合している炭素
    以外は、二重結合を形成しない。)で表され、クロロベ
    ンゼン中、30℃、濃度0.5g/dlで測定した固有
    粘度(ηinh)が0.1〜10dl/gである熱可塑性
    ノルボルネン系樹脂。
  2. 【請求項2】 一般式IV 【化4】 (式中、nは整数を表し、R1〜R6はそれぞれが水素原
    子または置換基を表し、R7〜R12はそれぞれ水素原
    子、置換基、または隣接位の炭素であってもよい。)、
    一般式V 【化5】 (式中、nは整数を表し、R1〜R4はそれぞれが水素原
    子または置換基を表し、R5〜R14はそれぞれが水素原
    子、置換基、または隣接位の炭素であってもよい。)、
    または一般式VI 【化6】 (式中、nは整数を表し、R1〜R4はそれぞれが水素原
    子または置換基を表し、R5〜R16はそれぞれが水素原
    子、置換基、または隣接位の炭素であってもよい。ただ
    し、R5の結合している炭素はR6の結合している炭素以
    外と、R6の結合している炭素はR5の結合している炭素
    以外は、二重結合を形成しない。)で表される三環体ノ
    ルボルネン系モノマーを配位子を4個有するパラジウム
    (II)塩と接触させて付加型重合させる請求項1記載
    の熱可塑性ノルボルネン系樹脂の製造方法。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2003099887A1 (fr) * 2002-05-29 2003-12-04 Jsr Corporation Copolymere d'addition de cycloolefine et materiau optique transparent
KR100475546B1 (ko) * 2001-01-05 2005-03-10 삼성전자주식회사 노르보넨계 수지의 제조방법

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