JP3465335B2 - ノルボルネン系重合体およびその製造方法 - Google Patents
ノルボルネン系重合体およびその製造方法Info
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Description
ノルボルネン系重合体に関する。
てはメタセシス開環重合と付加重合の2種が知られてい
るがずれの方法も一長ー短が有った。即ちメタセシス開
環重合の場合には、極性基を有するノルボルネン系モノ
マーでも良好に重合するが、得られたポリマーが不飽和
結合を有しているために耐熱性を向上させるためには不
飽和結合を水素添加により飽和結合にする必要がある
(特開平1ー132626号公報)。一方付加重合に場
合には、極性基を有するノルボルネン系モノマーの場合
には、重合により不飽和結合が解消されるため、前者の
ように水素添加する必要性が無いが、極性基を含有する
モノマーの場合には、その極性基により触媒が失活しや
すいために重合体が得られにくい(特開平5ー1325
90)。また、極性基を有するノルボルネン系モノマー
の付加重合についてはこれまで種々検討されてきたが、
高分子量のポリマーは得られずオリゴマー程度の重合体
しか得られず、樹脂として実用に共せられるものはまで
には至らなかった。
討の結果、特定の重合触媒を用いることにより、特定の
ノルボルネン系モノマーを付加重合することにより、耐
熱性と強度を有する熱可塑性のノルボルネン系重合体が
得られることを見いだし、本発明を完成するに至った。
記一般式iで表される構造単位からなる固有粘度[ηin
h]が0.1〜10dl/gであるノルボルネン系重合
体(以下、「本発明重合体」という)をおよびノルボル
ネン系重合体の製造方法を提供するものである。
炭化水素基、XおよびYは水素原子、炭素数1〜10の
炭化水素基、ハロゲン原子、炭素数1〜10の炭化水素
基、ハロゲン原子、ハロゲン原子で置換された炭素数1
〜10の炭化水素基、−(CH2)nCOOR1、−(C
H2)nCN、−(CH2)nCONR1R2、−(CH2)n
COOZ、−(CH2)nOZ、−(CH2)nWまたはX
とYから構成された(−CO)2O、(−CO)2NR4
を示し、XおよびYの少なくとも1つは水素原子および
炭化水素基から選ばれる基以外の基、mは0または1で
ある。なお、R1、R2、R3、R4は炭素数1〜20の炭
化水素基、Zは炭化水素基またはハロゲンで置換された
炭化水素基、WはSiR5 pD3-p(R5は炭素数1〜10
の炭化水素基、Dはハロゲン原子−OCOR5または−
OR5、pは0〜3の整数を示す)、nは0〜10の整
数を示す。)
明の重合体は、下記一般式iiで表される化合物をパラ
ジウム触媒、具体的には4個の配位子を有する2価のパ
ラジウム塩の存在下に重合することにより得られる。本
発明の重合体の固有粘度[ηinh]は0.1〜10dl
/gであり、好ましくは0.1〜5dl/gである。
である)
るテトラシクロデセン誘導体の具体例としては、8−カ
ルボキシメチルテトラシクロ[4.4.0.12,5.1
7,10]−3−ドデセン、8−カルボキシエチルテトラシ
クロ[4.4.0.17,10]−3−ドデセン、8−カル
ボキシn−プロピルテトラシクロ[4.4.0.
12,5.17,10]−3−ドデセン、8−カルボキシイソ
プロピルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]
−3−ドデセン、8−カルボキシn−ブチルテトラシク
ロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、8
−メチル−8−カルボキシメチルテトラシクロ[4.
4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、8−メチル
−8−カルボキシエチルテトラシクロ[4.4.0.1
2,5.17,10]−3−ドデセン、8−メチル−8−カル
ボキシn−プロピルテトラシクロ[4.4.0.
12,5.17,10]−3−ドデセン、8−メチル−8−カ
ルボキシイソプロピルテトラシクロ[4.4.0.1
2,5.17,10]−3−ドデセン、8−メチル−8−カル
ボキシn−ブチルテトラシクロ[4.4.0.12,5.
17,10]−3−ドデセン、ノルボルネン、ジメタノオク
タヒドロナフタレン、エチルテトラシクロドデセン、ト
リメタノオクタヒドロナフタレン等が挙げられる。これ
らの化合物はそれぞれ単独で使用することができる。こ
れらのうち、好ましい例としては、8−メチル−8−カ
ルボキシメチルテトラシクロ[4.4.0.12,5.1
7,10]−3−ドデセンなどを挙げることができる。
て、極性置換基としては、得られる重合体が高いガラス
転移温度と低い吸水率を有することとなる点でカルボン
酸エステル基が好ましい。また、カルボン酸エステル基
はテトラシクロドデセン誘導体1分子あたり1個である
ことが、得られる重合体の吸水性が低くなる点で好まし
い。また、(CH2)nCOORで示される基のうち、n
の値が小さい物ほど、得られる重合体のガラス転移温度
が高くなるので好ましい。さらに、通常、式(CH2)n
COORにおいてはn=0であることが、モノマーを合
成する上で、また、得られる重合体に良好な特性が得ら
れる上で好ましい。R1は炭素数1〜20の炭化水素で
あるが、炭素数が多くなり程重合体の吸湿性が小さくな
るので好ましい。しかし、得られる重合体のガラス転移
温度とのバランスの点から、炭素数1〜4の鎖状炭化水
素基、または炭素数5以上の(多)環状炭化水素基が好
ましい。さらにカルボン酸エステル基が結合した炭素原
子に炭素数1〜10の炭化水素基が置換されているもの
が、得られる重合体のガラス転移温度を低下させずに吸
湿性を低下させるので好ましく、特にメチル基が置換さ
れたものは、原料の単量体を合成するのが容易な点で好
ましい。本発明においては一般式ii以外の化合物を共
重合させることも可能であるが、共重合する場合、共重
合体中に含有される一般式iiで表される化合物の割合
は60重量%以上である。
るテトラシクロドデセン誘導体は、環状オレフィン化合
物と付加重合して共重合体を形成することも可能であ
る。かかる環状オレフィン化合物の具体例としては、シ
クロペンテン、シクロオクテン、1、5ーシクロオクタ
ジエン、1、5、9ーシクロドデカトリエンなどのアル
ケン類を挙げることができる。上記環状オレフィン化合
物は共重合体の吸湿性を低下させ、かつ共重合体のガラ
ス転移温度をコントロールするのに有用である。さら
に、本発明においては前記一般式iiで表される化合物
には、8−フルオロタトラシクロ[4.4.0.
12,5.17,10.]−3−ドデセン、8,8,9−トリ
フルオロテトラシクロ[4.4.0.12,5.
17,10.]−3−ドデセン、ビシクロ[2.2.1]ヘ
プト−2−エン、テトラシクロ[4.4.0.12,5.
17,10.]−3−ドデセンなどの共重合可能な他の単量
体を共重合させることができる。これらの共重合可能な
他の単量体の使用量は単量体全体の50モル%未満、好
ましくは40重量%未満である。
子を4個有するパラジウム(II)塩、好ましくはテト
ラキスハイドロカルビルニトリルパラジウム(II)
塩、[Pd(R−CN)4]X(Rは炭素数1〜8の1
価の炭化水素基、Xは2個の1価の陰イオンまたは1個
の2価の陰イオンを表す)、より好ましくはテトラキス
アセトニトリルパラジウム(II)塩である。また、こ
の塩を構成する陰イオンとしては、例えば、BF4イオ
ン、ハロゲンイオン、硝酸イオン、アルキルスルホン酸
イオン、アリールスルホン酸イオン、PF6イオンから
選ばれる2個のイオン、硫酸イオン等があり、特にBF
4イオンが好ましい。配位子を4個有するパラジウム
(II)塩の具体例としては、[Pd(CH3CN)
4(BF4)2]、[Pd(CH3CH2CN)4(B
F4)2]、[Pd(CH3CH2CH2CN)4(B
F4)2]、[Pd(C6H5CN)4(BF4)2]、[P
d(CH3CN)4(PF6)2]、[Pd(CH3CN)4
(NO3)2]、[Pd(CH3CN)4F2]、[Pd
(CH3CN)4Cl2]、[Pd(CH3CN)4B
r2]、[Pd(CH3CN)4SO4]、[Pd(CH3
CN)4(p−CH3ーC6H4SO3)2]などが挙げら
れ、中でも[Pd(CH3CN)4(BF4)2]であるテ
トラキスアセトニトリルパラジウムジテトラフルオロボ
レートが好ましい。例えば、[Pd(CH3CN)4(B
F4)2]は、パラジウムとNOBF4をアセトニトリル
の存在下に酸化することにより得られる(R.F.Sc
hrammら.J.Chem.Soc.,Chem.C
omm.898(1968))。これらの配位子を4個
有するパラジウム(II)塩の使用割合は、一般式ii
で表される化合物100重量部に対して、通常、0.0
1〜10重量部である。
度に感受性のある化合物を用いる場合は乾燥した不活性
気体に置換した環境下で重合することが好ましく、通
常、乾燥窒素で置換した環境下で重合する。本発明にお
いては、一般式iiで表される化合物を不活性有機溶媒
中で重合することが好ましい。不活性有機溶媒として
は、例えば、ベンゼン、トルエン、キシレンなどの芳香
族炭化水素、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン等の脂肪族
炭化水素、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、デ
カリン、などの脂環族炭化水素、ジクロロメタン、ジク
ロロエタン、ジクロロエチレン、テトラクロロエタン、
クロロベンゼン、ジクロロベンゼン、トリクロロベンゼ
ン、などのハロゲン化炭化水素、ニトロメタン、ニトロ
ベンゼン、ニトロトルエン、などのニトロ化炭化水素な
どが挙げられ、これらの2種以上を混合して使用しても
良い。
で表される化合物100重量部に対して、通常、100
〜1000重量部である。本発明の重合体を得るための
重合反応は発熱反応であるので、必要に応じて冷却しな
がら反応することが好ましい。一般には、−20〜10
0℃の任意の温度に保ちながら反応させる。また、重合
時の圧力は特に限定されないが、通常、0〜50Kg/
cm2の任意の圧力にすることが好ましい。反応開始
後、一般式iiで表される化合物の消費に応じて、さら
に一般式iiで表される化合物を追加してもよく、特
に、高分子量の重合体を得るためには、一般式iiで表
される化合物を重合中に追加することが好ましい。
た任意の時点で、重合反応を停止させる。重合反応を停
止させる方法は特に限定されない。たとえば、反応溶液
を多量の溶媒で希釈したり、水、アンモニア、アミンな
どの触媒失活成分を添加したり、遠心分離、濾過などに
より触媒を除去したりすることにより重合を停止する。
本発明の重合体の回収方法は、特に限定されない。一般
には、重合触媒残さを除去した重合溶液を、重合体の貧
溶媒、例えばイソプロピルアルコール、アセトンなどと
混合して重合体を凝固させる。
ル系やリン系などの老化防止剤:ベンゾフェノン系など
の紫外線安定剤:耐光安定剤:アミン系などの帯電防止
剤:脂肪族アルコールのエステル、アミドなどの滑剤:
多価アルコールの部分エーテルなどの改質剤などの各種
添加剤を添加しても良い。また、本発明の目的を損なわ
ない範囲で、他の樹脂、例えば、ノルボルネン系開環重
合体水素添加物、ノルボルネン系一般式iiで表される
化合物とα−オレフィンとの付加型共重合体、ポリスチ
レン、ポリカーボネート、ゴム、石油樹脂、水添石油樹
脂等を配合して用いることもできる。さらに、透明性を
必要としない場合であれば、強度などを改良するため、
繊維、フィラー、顔料、染料、非相溶性樹脂などを配合
することもできる。
されない。目的に応じて溶液流延法、熱プレス、ブロー
成形、射出成形、などが可能である。本発明の重合体は
耐熱性、透明性などに優れており、位相差フィルムや偏
光フィルムなどの光学フィルム、受光素子用カバー、液
晶表示素子材などに用いる光学材料として最適である。
さらに本発明の熱可塑性ノルボルネン系重合体は耐湿性
にも優れ、吸湿しにくいことから、電線被覆材、絶縁フ
ィルム、電子機器部品などの電機絶縁材料、回路基板、
スピーカー振動素子、スピーカーコーン材、半導体封止
材、発光ダイオード封止材、防湿フィルム、防湿塗料な
どにも使用できる。また、表面硬度が大きく、ポリオレ
フィンに対する密着性が大きいことから、ポリオレフィ
ン用のハードコート材として使用できる。
発明はこれらに限定されるものではない。 実施例1 窒素で置換した内容量1000mlの反応器にPd(C
H3CN)4(BF4)21.5gをニトロメタン100m
lに溶かした溶液を仕込、これを室温下で攪拌しなが
ら、8−カルボキシメチルテトラシクロ[4.4.0.
12,5.17,10]−3−ドデセン150gをニトロメタ
ン150mlに溶解した溶液を加えたところ、約10分
でポリマーが析出しはじめた。さらに1時間反応させた
後、500mlのメタノールを加え、析出した樹脂を濾
過して回収した。得られたポリマーをメタノル300m
lと濃塩酸40mlの混合溶液で洗浄した後、さらにメ
タノール200mlで2回洗浄した、このポリマーを6
0℃で12時間真空乾燥し73gのポリマーを得た。こ
のものの赤外線吸収スペクトルを図−1に示す。このス
プクトルから付加型重合体であることが判った。またこ
のものをクロロベンゼンに溶解(0.5g/dl)した
ときの30℃での固有粘度(ηinh)は0.2dl/gで
あった。
H3CN)4(BF4)21.5gをニトロメタン100m
lに溶かした溶液を仕込、これを室温下で攪拌しなが
ら、8−カルボキシn−ブチルテトラシクロ[4.4.
0.12,5.17,1 0]−3−ドデセン120gをニトロ
ベンゼン100mlに溶解した溶液を加えたところ、約
10分でポリマーが析出しはじめた。さらに1時間反応
させた後、500mlのメタノールを加え、析出した樹
脂を濾過して回収した。得られたポリマーをメタノル3
00mlと濃塩酸40mlの混合溶液で洗浄した後、さ
らにメタノール200mlで2回洗浄した、このポリマ
ーを60℃で12時間真空乾燥し48gのポリマーを得
た。このものをクロロベンゼンに溶解(0.5g/d
l)したときの30℃での固有粘度(ηinh)は0.1
8dl/gであった。
6H5CN)4(BF4)22.1gをニトロメタン100
mlに溶かした溶液を仕込、これを室温下で攪拌しなが
ら、8−カルボキシメチルテトラシクロ[4.4.0.
12,5.17,10]−3−ドデセン100gをニトロメタ
ン150mlに溶解した溶液を加えたところ、約10分
でポリマーが析出しはじめた。さらに1時間反応させた
後、500mlのメタノールを加え、析出した樹脂を濾
過して回収した。得られたポリマーをメタノル300m
lと濃塩酸40mlの混合溶液で洗浄した後、さらにメ
タノール200mlで2回洗浄した、このポリマーを6
0℃で12時間真空乾燥し35gのポリマーを得た。こ
のものをクロロベンゼンに溶解(0.5g/dl)した
ときの30℃での固有粘度(ηinh)は0.25dl/g
であった。
の構造を有する重合体であるため、優れた透明性、耐熱
性および機械的強度を有し、かつ十分な耐湿性を有し、
さらに良好な成形性を示す。また、製造においては付加
型重合であるため合成が容易である。
赤外線吸収スペクトルを示す図である。
Claims (2)
- 【請求項1】下記一般式iで表される構造単位からなる
固有粘度[ηinh]が0.1〜10dl/gであるノル
ボルネン系重合体。 【化1】 (式中、AおよびBは水素原子または炭素数1〜10の
炭化水素基、XおよびYは水素原子、炭素数1〜10の
炭化水素基、ハロゲン原子、炭素数1〜10の炭化水素
基、ハロゲン原子、ハロゲン原子で置換された炭素数1
〜10の炭化水素基、−(CH2)nCOOR1、−(C
H2)nCN、−(CH2)nCONR1R2、−(CH2)n
COOZ、−(CH2)nOZ、−(CH2)nWまたはX
とYから構成された(−CO)2O、(−CO)2NR4
を示し、XおよびYの少なくとも1つは水素原子および
炭化水素基から選ばれる基以外の基、mは0または1で
ある。なお、R1、R2、R3、R4は炭素数1〜20の炭
化水素基、Zは炭化水素基またはハロゲンで置換された
炭化水素基、WはSiR5 pD3-p(R5は炭素数1〜10
の炭化水素基、Dはハロゲン原子−OCOR5または−
OR5、pは0〜3の整数を示す)、nは0〜10の整
数を示す。) - 【請求項2】 下記一般式iiで表される化合物または
一般式iiで表される化合物およびと共重合可能な他の
単量体との混合物をパラジウム触媒の存在下で付加重合
することを特徴とするノルボルネン系重合体の製造方
法。 【化2】 (式中、A、B、XおよびYは前記一般式iと同様であ
る)
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Publication Number | Publication Date |
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JPH07196736A JPH07196736A (ja) | 1995-08-01 |
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---|---|---|---|
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