JPH0523881B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 ［発明の目的］ （産業上の利用分野） 本発明は、冷却器に用いるパイプおよびその他
各種パイプの端末加工、例えばフレアー加工、パ
イプ端面削り加工、内周面取り加工、パイプ外形
切削加工等の数項目の加工を行なえるパイプ端末
加工用工具に関するものである。

（従来の技術） 例えば、冷蔵室用の冷却器のパイプとしては、
押し出し成形によるアルミニウム製のパイプ、特
に外周にヒレの付いたパイプが用いられており、
通常端末部等の不要部分のヒレは切除され、さら
に外周にアルマイト処理が施されて使用される。
また前記パイプは冷凍室冷却器のパイプ等と連結
するために、その端末部においては所謂フレアー
加工が行なわれ、このフレアー部に銅パイプ等の
ジヨイント部材が嵌め込まれてハンダ付け等の手
段により結合される。

しかして、上記アルマイト処理の際にパイプ内
部やジヨイント部材のハンダ結合部の腐蝕の原因
となる処理液の侵入を防止し、またゴミの侵入を
防止するために、第９図のようにパイプｐの端末
部にゴム製の保護キヤツプｃを被着することが行
なわれているが、外周に切除できないヒレ残り部
分ａがそのまま存在すると、第１０図のようにキ
ヤツプｃとパイプｐの間に隙間が生じるので、将
来は上記ヒレ切除後に手作業によるサンダー仕上
げを行ない、前記ヒレ残り部分を除去し外形を修
正していた。

また、上記パイプ端末部においては、他のパイ
プ等との連結使用のために、上記のフレアー加工
のほか、例えば面取り加工、さらには端面削りや
外形切削加工等をも行なう必要があり、従来はこ
れらの加工を各々別工程で行なつていた。

（発明が解決しようとする問題点） 上記従来のパイプ端末部の加工方式によると、 (1) 上記のヒレ残り分の除去修正を手作業で行な
つているために、その作業に時間がかかり工数
が増すばかりか、パイプ外形が真円を出せずに
変形することがあり、その場合、これに被着さ
れる保護キヤツプｃとパイプｐ外周とキヤツプ
ｃとの間に隙間が生じて（第１１図）、アルマ
イト処理液やゴミの侵入を完全に防止できない
ことになる。

(2) パイプ端部のフレアー加工によつて、内径と
ともに外径も拡径して外周に段差が生じ、キヤ
ツプの被着操作が行ない難くなる。

(3) 他の部材との連結使用等のための各加工がそ
れぞれの別工程で行なわれるため、端末加工の
作業工程が多くなり、工数が増し、生産性が悪
く、また多大な設備費を必要とする。

といつた欠点がある。

本発明は、上記に鑑み、パイプの端末加工、特
に冷蔵室用冷却器に用いられるパイプの端末加工
における上記の問題点を解消すべく、パイプ端末
部の心出し、フレアー加工、外形切削加工、内周
面取り加工および端面削り加工等の数項目の加工
を１工程で同時に行なえ、しかもパイプ外形を真
円形状に加工し得るパイプ端末加工用工具を提供
しようとするものである。

［構成］ （問題点を解決するための手段） 上記の問題点を解決する本発明のパイプ端末加
工用工具は、工具軸心部において加工対象のパイ
プの外径より径大のシヤンク部から突出しパイプ
端末部に嵌入し得るパイプ心出し用ガイド軸と、
このガイド軸の基部側端部においてパイプ端部を
押し拡げ得るように形成されたフレアー加工部
と、このフレアー加工部に内周面り刃を介して連
続して前記シヤンク部のガイド軸突出側の端部に
形成されたパイプ端面削り刃と、前記シヤンク部
の他端側よりガイド軸と反対方向に延出したチヤ
ツキング部と、前記ガイド軸外方を包囲するとと
もにガイド軸先端部が突出状をなすように前記シ
ヤンク部に外嵌して固定されかつ一部に切削粉排
出用の窓を有するホルダーと、このホルダーの先
端部内側にガイド軸と同心に固着されかつ軸心方
向の両端部にそれぞれパイプ外周を切削できる外
周削り刃を有する環状の外形加工部材とを備えて
なることを特徴とする。

（作用） 上記の構成を有する本発明のパイプ端末加工用
工具は、回転と進退運動を行なう装置にチヤツキ
ングし、加工対象のパイプ端末部を前記工具と相
対するようにセツトしておいて、回転駆動される
工具をパイプ端末部に対し進退させることによ
り、所定の端末加工を行なうことができる。

すなわち、工具の進出作用により、まずパイプ
心出し用ガイド軸がパイプ端末部に嵌入して心出
しされ、パイプ軸心が工具軸心と一致した状態に
保持され、この状態で工具が進出するのに伴い、
ホルダーの先端部内側に固着された外形加工部材
の先端部に有する外周削り刃によつてパイプ端末
部の外周が心出しされたパイプ内径と同心円で例
えばヒレ残り分を含めて切削される。こうして外
周を切削しながらさらに工具が進出し、ガイド軸
の基部側端部に形成されたフレアー加工部がパイ
プ端部に達すると、パイプ端部がフレアー加工部
の押入によつて押し拡げられ、パイプ端部のフレ
アー加工が行なわれる。前記のフレアー加工部が
パイプ内に完全に押入されると、前記フレアー加
工に続いて、フレアー加工部とシヤンク部端部の
端面削り刃との間に有する内周面取り刃によりパ
イプ端の内周が面取り加工が行なわれ同時にパイ
プ端面が端面削り刃により切断される。その後、
前記とは逆に工具が後退すると、フレアー加工に
より拡径したフレアー部の外周部分が外形加工部
材の後端部に有する外周削り刃により切削され
る。なお端面削り刃および後退時用の外形削り刃
等による切削粉はホルダーの中間部に有する切削
粉排出用の窓から外部に排出される。

このように本発明の工具を用いることにより、
パイプ端末に対する工具の１回の進退作用による
上記の加工工程によつて、パイプ端末部における
所定の加工、すなわち外形切削加工、フレアー加
工、内周面取り加工および端面削り加工等の数項
目の加工を行なうことができる。しかも心出し状
態で外形切削加工およびフレアー加工等を行なえ
るので、外形円およびフレアー部をパイプ軸心と
同心でかつ真円に加工できる。またフレアー加工
により拡径したフレアー部外周を切削できるの
で、フレアー加工されているにも拘らず、外周に
段差のない加工が行なえる。

（実施例） 以下、本発明の１実施例を図面に基いて説明す
る。

第１図は本発明に係る工具Ａ全体の縦断面図第
２図は同工具の横断面図を示す。図における１は
加工対象のパイプｐの端末部に嵌入し得るパイプ
心出し用ガイド軸であつて、工具軸心部において
パイプｐの外径より径大のシヤンク部２から突出
しており、その先端部が先細に形成されるととも
に、該先細部分に連続した部分がパイプｐ内周に
摺接するガイド部３として形成されている。４は
前記ガイド軸１の嵌入作用によつてパイプ端部を
押し拡げ得るようにガイド軸１の基部側端部にお
いてガイド部３等の他部分より拡径形成されたフ
レアー加工部である。５は前記シヤンク部２のガ
イド軸突出側の端部に形成されたパイプ端面削り
刃であり、このパイプ端面削り刃５と前記フレア
ー加工部４との連続部分には内周面取り刃６が形
成されている。７は前記シヤンク部２の他端側よ
りガイド軸１と反対方向に延出したチヤツキング
部であり、このチヤツキング部７とガイド軸１と
は同一軸心をなしている。前記の各構成部分は工
具主体として一体物で形成される。

８は前記ガイド軸１の外方を包囲するように前
記シヤンク部２に外嵌してビス止め９その他の手
段により固定されたホルダーであつて、特に前記
ガイド軸２の先端部がホルダー８よりも突出状を
なすように設けられている。このホルダー８はシ
ヤンク部２に外嵌する部分と先端部との間の数個
所に切削粉排出用の窓１０を有する筒状体よりな
る。１１は前記ホルダー８の先端部内側にビス止
め１２その他の手段によりガイド軸２と同心に固
着された環状のパイプ外形加工部材であつて、こ
の外形加工部材１１の軸心方向の先端部には進出
時用の外周削り刃１３が、また他端部つまり後端
部には後退時用の外周削り刃１４がそれぞれ形成
されており、従つてパイプ端末部に対する工具Ａ
の進退作用によりパイプ外周を切削加工できるよ
うになつている。そのため前記外形加工部材１１
の内径は加工対象のパイプの肉厚と切込み深さ等
によつて決定される。

なお、ガイド軸１のガイド部３は図のようにガ
イド軸１の先端部近傍だけに設けるほか、フレア
ー加工部４にまで連続して設けておくことができ
る。

上記の構成を有する本発明のパイプ端末加工用
工具Ａは、例えばフレアー加工において用いられ
ているセルフイーダー等の回転と進退作用を行な
う装置のチヤツク１５にてチヤツキングして使用
するもので、冷蔵室用冷却器に用いるパイプｐの
端末加工を行なうには、加工すべきパイプｐの端
末部を第１図鎖線で示すように前記工具Ａと相対
向するようにセツトしておき、回転する工具Ａを
パイプ端末部に対して進退させて加工する。

第３図〜第７図はその加工の状態を示してお
り、これを説明すると、第３図のように回転する
工具Ａがその軸心方向に進出すると、まずパイプ
心出し用ガイド軸１の先端部がパイプｐ内に嵌入
してガイド部３により心出しされて、パイプｐの
軸心が工具軸心と一致した状態に保持され、この
状態のままさらに工具ａが進出する。この進出作
用に伴つて、ホルダー８により保持された外形加
工部材１１の先端部に有する外周削り刃１３が心
出しさたパイプｐの外周を切削し、例えば第４図
のようにパイプｐの外周にヒレ残り部分ａを有す
る場合はそのヒレ残り部分ａを含めて内径と同心
円でかつ真円に切削する。

そしてさらに工具ａが進出して、ガイド軸１の
基部側端部に有するフレアー加工部４がパイプｐ
の端部に達すると、第５図のようにパイプ端部の
フレアー加工部４がパイプｐ内に押入することに
よつてパイプｐを押し拡げて拡径させ、所定のフ
レアー加工を行なう。このフレアー加工に続い
て、第６図のようにフレアー加工部４とシヤンク
部２端部の端面削り刃５との間に有する内周面取
り刃６によりパイプ端の内周が面取り加工され、
同時に端面削り刃５がパイプ端面に当節して端面
削りが行なわれる。

上記の工具進出による加工が完了した後、工具
ａが後退すると、この後退作用に伴つて、第７図
のように前記フレアー加工によつて拡径したフレ
アー部p′の外周部分が外形加工部材１１の後端部
に有する外周削り刃１４により切削される。なお
端面削り刃５および外周削り刃１４等による切削
粉はホルダー８に有する切削粉排出用の窓１０か
ら外部に排出される。こうして工具ａが第１図の
状態に戻り、１工程の加工が完了する。この後パ
イプを取り換えて同様の加工を行なうことによ
り、パイプ端末を加工処理できる。

このように本発明の工具の用いれば、パイプ端
末部に対する工具の１回の進退作用による加工工
程によつて、パイプ端末部における所定の加工、
すなわち外形切削加工、フレアー加工、内周面取
り加工および端面削り加工等の数項目の加工を同
時に能率よく行なうことができる。しかもこうし
て加工されたパイプ端末部は、その外形円がパイ
プ軸心と同心でかつ真円をなし、またフレアー部
の外周部分も切削されて他部分と同径になる。

なお上記の実施例は、加工対象となるパイプが
冷蔵室用の冷却器に用いるアルミニウム製パイプ
の端末加工に使用する場合を示したが、これに限
らず他の用途および材質のパイプにおける上記と
同様の端末加工にも使用できる。

［発明の効果］ 上記のように本発明のパイプ端末加工用工具に
よれば、パイプ端末部に対する工具の１回の進退
作用による加工工程によつて、パイプ端末部にお
ける外形切削加工、フレアー加工、内周面取り加
工および端面削り加工等の数項目の加工を同時に
行なえるので、作業性および生産性が著しく向上
し、この種パイプ端末加工の自動化および省力化
に寄与でき、またその設備を簡略化でき、設備費
用の削減を図ることができる。

またパイプ端末部外周を真円加工できるので、
仮に冷蔵室用の冷却器に用いるアルミニウム製パ
イプであつて、ゴム製の保護キヤツプが被着され
た場合にも、該キヤツプとパイプとの間に隙間が
生じず、完全にシールでき、アルマイト処理の際
に処理液が侵入したり、ゴミが侵入するのを防止
でき、延いては腐蝕不良等の発生を防止できる。
もちろん真円度の修正作業も不要となる。

しかもフレアー加工により拡径した部分の外周
をも切削でき、外周に従来のような段差を有さな
いため、保護キヤツプの装着操作を容易に行な
え、作業性が向上する。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明の実施例を示す縦断面図、第２
図は前図−線における横断面図、第３図〜第
７図は加工状態を示す縦断面図、第８図は加工後
のパイプ端末部に保護キヤツプを被着した状態の
断面図、第９図および第１０図はヒレ残り部分を
有するパイプ端末部に保護キヤツプを被着した状
態の縦断面図および横断面図、第１１図はヒレ残
り部分をサンダー仕上げにより除去したパイプ端
末部に保護キヤツプを被着した状態の横断面図で
ある。 （符号の説明）、Ａ……工具、１……芯出し用
ガイド軸、２……シヤンク部、３……ガイド部、
４……フレアー加工部、５……端面削り刃、６…
…内周面取り刃、７……チヤツキング部、８……
ホルダー、１０……切削粉排出用の窓、１１……
外形加工部材、１３，１４……外周削り刃。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ 工具軸芯部において加工対象のパイプの外径
   より径大のシヤンク部から突出しパイプ端末部に
   嵌入し得るパイプ心出し用ガイド軸と、このガイ
   ド軸の基部側端部においてパイプ端部を押し拡げ
   得るように形成されたフレアー加工部と、このフ
   レアー加工部に内周面取り刃を介して連続して前
   記シヤンク部のガイド軸突出側の端部に形成され
   たパイプ端面削り刃と、前記シヤンク部の他端部
   よりガイド軸と反対方向に延出したチヤツキング
   部と、前記ガイド軸外方を包囲するとともにガイ
   ド軸先端部が突出状をなすように前記シヤンク部
   に外嵌して固定されかつ一部に切削粉排出用の窓
   を有するホルダーと、このホルダーの先端部内側
   にガイド軸と同心に固着されかつ軸心方向の両端
   部にそれぞれパイプ外周を切削できる外周削り刃
   を有する環状の外形加工部材を備えてなることを
   特徴とするパイプ端末加工用工具。