JPH0523794A - 砂中子の造型方法およびその装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 砂中子の端部の造型不良を効果的に防止し得
る砂中子の造型方法およびその装置を提供する。 【構成】 造型キャビティ５のうちのブロー通路９のブ
ロー口よりも中央部側部分内に予めエア通路形成部材１
２を挿入配設し、このエア通路形成部材１２の多数の小
径のエア孔１２ａから造型キャビティ５の端部側へ向け
て加圧エアを供給しつつブロー通路９から造型キャビテ
ィ５内にコーティングサンドをブローする。砂ブローを
開始してから所定時間経過した後に、エア通路形成部材
１２への加圧エアの供給を停止し、エア通路形成部材１
２の複数のエア孔１２ａから造型キャビティ５内の空気
を排出する。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は砂中子の造型方法および
その装置に関する。

【０００２】

【従来の技術】一般に、鋳造品の中空部分を造型するた
めに用いられる砂中子の造型技術として、上型と下型と
で形成される砂中子造型用の造型キャビティ内に、上型
と下型の少なくもと一方に形成されたブロー通路を介し
てコーテッドサンドなどの砂をブローにて充填し、その
後造型キャビティ内に充填された砂を加熱溶着させて砂
中子を造型する技術が広く採用されている。通常、上記
上型と下型の少なくとも一方には砂ブロー用の加圧エア
を造型キャビティ外へ排出するための複数のベントホー
ルが形成されているが、比較的複雑な形状の砂中子を造
型する場合には、このベントホールを造型キャビティの
端部付近に開口させ、ブロー通路からベントホールへの
加圧エア流に乗って送られる砂でもって、端部付近に十
分な砂が充填されるように構成してある。一方、砂中子
の硬化を促進させる技術として、特開平１−２８９５４
０号公報には、造型キャビティ内に予め中空パイプ状の
マンドレルを挿入配設し、このマンドレルの外周部に形
成された複数の孔から造型キャビティ内に充填された砂
に対して硬化用ガスを供給するようにした砂中子の造型
方法が記載されている。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】前記のようにベントホ
ールを造型キャビティの端部付近に開口させた場合で
も、ブロー通路からベントホールに至るまでに加圧エア
流の方向が大きく切換わる場合には、造型キャビティの
端部まで加圧エア流に乗ってスムーズに砂が運ばれず、
造型キャビティの端部における砂の充填量が不足して砂
中子の端部に造型不良が発生することがある。

【０００４】本発明の目的は、砂中子の端部の造型不良
を効果的に防止し得る砂中子の造型方法およびその装置
を提供することである。

【０００５】

【課題を解決するための手段】請求項１に係る砂中子の
造型方法は、上型と下型の少なくとも一方に形成された
ブロー通路を介して、上型と下型により形成される造型
キャビティ内に砂をブローして砂中子を造型する造型方
法において、前記造型キャビティのうちのブロー通路の
ブロー口よりも中央部側部分内に予めエア通路形成部材
を挿入配設し、このエア通路形成部材の複数のエア孔か
ら造型キャビティの端部側へ向けて加圧エアを供給しつ
つブロー通路から造型キャビティ内に砂をブローするも
のである。

【０００６】請求項２に係る砂中子の造型方法は、請求
項１に記載の砂中子の造型方法において、前記砂ブロー
の停止前に加圧エアの供給を停止するものである。

【０００７】請求項３に係る砂中子の造型方法は、請求
項２に記載の砂中子の造型方法において、前記砂ブロー
の後期において、エア通路形成部材への加圧エアの供給
を停止し、エア通路形成部材の複数のエア孔から造型キ
ャビティ内の空気を排出するものである。

【０００８】請求項４に係る砂中子の造型装置は、砂中
子の造型キャビティを形成する上型及び下型と、上型と
下型の少なくとも一方に形成されたブロー通路を介して
造型キャビティ内に砂をブローする砂ブロー装置とを備
えた砂中子の造型装置において、前記造型キャビティの
うちのブロー通路のブロー口よりも中央部側部分内に、
造型キャビティの端部側へ向けて開口する複数のエア孔
を有するエア通路形成部材を設け、前記エア通路形成部
材に加圧エアを供給する加圧エア供給手段を設けたもの
である。

【０００９】請求項５に係る砂中子の造型装置は、請求
項４に記載の砂中子の造型装置において、前記エア通路
形成部材がその外周部に小径の複数のエア孔を有する金
属製の中空パイプで構成されているものである。

【００１０】

【作用】請求項１に係る砂中子の造型方法においては、
造型キャビティのうちのブロー通路のブロー口よりも中
央部側部分内に予めエア通路形成部材を挿入配設し、こ
のエア通路形成部材の複数のエア孔から造型キャビティ
の端部側へ向けて加圧エアを供給しつつブロー通路から
造型キャビティ内に砂をブローするので、エア通路形成
部材からの加圧エアで、造型キャビティ内にブローされ
た砂が、造型キャビティの端部側へ吹き飛ばされ、造型
キャビティの端部にも砂を十分に充填することができ、
砂中子の端部の造型不良を効果的に防止出来る。

【００１１】請求項２に係る砂中子の造型方法において
は、請求項１と同様の作用が得られる。加えて、砂ブロ
ーの停止前に加圧エアの供給を停止するので、エア通路
形成部材付近に充填された砂が加圧エアで吹き飛ばされ
ることを防止出来、砂中子の中央部付近の造型不良を効
果的に防止出来る。

【００１２】請求項３に係る砂中子の造型方法において
は、請求項２と同様の作用が得られる。加えて、砂ブロ
ーの後期において、エア通路形成部材への加圧エアの供
給を停止し、エア通路形成部材の複数のエア孔から造型
キャビティ内の空気を排出するので、エア通路形成部材
側への空気流により、エア通路形成部材の周辺部分に対
しても砂を十分に充填することができ、砂中子の中央部
付近の造型不良を更に効果的に防止出来る。

【００１３】請求項４に係る砂中子の造型装置において
は、造型キャビティのうちのブロー通路のブロー口より
も中央部側部分内に設けられたエア通路形成部材に、加
圧エア供給手段から加圧エアが供給され、この加圧エア
がエア通路形成部材の複数のエア孔から造型キャビティ
の端部側へ向けて供給されることにより、砂ブロー装置
によりブロー通路を介して造型キャビティ内にブローさ
れた砂が、エア通路形成部材からの加圧エアでもって造
型キャビティの端部側へ吹き飛ばされ、造型キャビティ
の端部にも砂が十分に充填されるので、砂中子の端部の
造型不良を効果的に防止出来る。

【００１４】請求項５に係る砂中子の造型装置において
は、請求項４と同様の作用が得られる。加えて、エア通
路形成部材がその外周部に小径の複数のエア孔を有する
金属製の中空パイプで構成されているので、安価に製作
可能なエア通路形成部材でもって、砂中子の造型不良を
防止出来る。

【００１５】

【発明の効果】前記作用の項で説明したように次のよう
な効果が得られる。請求項１に係る砂中子の造型方法に
よれば、エア通路形成部材の複数のエア孔から造型キャ
ビティの端部側へ向けて加圧エアを供給しつつブロー通
路から造型キャビティ内に砂をブローするので、砂中子
の端部への砂の充填を促進して造型不良を効果的に防止
出来る。

【００１６】請求項２に係る砂中子の造型方法によれ
ば、請求項１と同様の効果が得られる。加えて、砂ブロ
ーの停止前に加圧エアの供給を停止するので、砂中子の
中央部付近の造型不良も効果的に防止出来る。

【００１７】請求項３に係る砂中子の造型方法によれ
ば、請求項２と同様の効果が得られる。加えて、砂ブロ
ーの後期において、エア通路形成部材の複数のエア孔か
ら造型キャビティ内の空気を排出するので、砂中子の中
央部付近への砂の充填を促進できる。

【００１８】請求項４に係る砂中子の造型装置によれ
ば、エア通路形成部材と加圧エア供給手段とを設けると
いう簡単な構成で、造型キャビティの端部にも砂を十分
に充填出来、砂中子の端部の造型不良を効果的に防止出
来る。

【００１９】請求項５に係る砂中子の造型装置によれ
ば、請求項４と同様の効果が得られる。加えて、金属製
の中空パイプに複数の小径のエア孔を形成してなる簡単
な構造のエア通路形成部材でもって、砂中子の造型不良
を防止出来る。

【００２０】

【実施例】以下、本発明の実施例を図面に基づいて説明
する。本実施例は、砂中子の造型方法及びその装置に本
発明を適用した場合のものである。先ず、砂中子の造型
装置について、図１を参照しながら説明する。この造型
装置は、上型１及び下型２と、上型１及び下型２を夫々
保持するための上下１対の取付盤３・４と、上型１と下
型２とで形成される造型キャビティ５内へコーテッドサ
ンドＳ（図２参照）を充填するための砂ブロー装置６と
を備えている。前記上型１及び下型２は上下に組合わさ
れて略気密状に結合され、型１・２及び取付盤３・４は
砂ブロー装置６の下方に固定された固定台７上に位置決
め固定され、取付盤３・４には上型１及び下型２を加熱
するための複数のヒータエレメント８が夫々内装されて
いる。

【００２１】前記造型キャビティ５は、その略円柱状の
大容量の本体部造型部５ａと、本体部造型部５ａの略中
段部から外方へ延びる略円板状の幅狭の薄肉部造型部５
ｂと、薄肉部造型部５ｂの外端部から外方へ延びる略環
状の比較的幅広の厚肉部造型部５ｃとから構成されてい
る。前記上型１及び取付盤３には、造型キャビティ５内
へコーテッドサンドＳを加圧エアとともに送り込むため
のブロー通路９が例えば円周４等分位置に夫々形成され
るとともに、造型キャビティ５内へ送り込まれた加圧エ
アを造型キャビティ５外へ排出するするためのベント通
路１０が例えば円周６等分位置に夫々形成され、４つの
ブロー通路９は本体部造型部５ａの外縁近傍上部に夫々
開口され、６つのベント通路８は上型１内において３つ
の分岐ベント通路１０ａに夫々分岐され、内側１対の分
岐ベント通路１０ａは薄肉部造型部５ｂに開口され、残
り１つの分岐ベント通路１０ａは厚肉部造型部５ｃに開
口され、各分岐ベント通路１０ａの下端部にはコーテッ
ドサンドＳが加圧エアとともに造型キャビティ５外へ排
出されることを阻止するためのフィルター１１が装着さ
れている。

【００２２】前記本体部造型部５ａの略中央部には金属
製パイプからなるのエア通路形成部材１２が上下方向向
きに挿通配設され、エア通路形成部材１２の外周部には
コーテッドサンドＳよりも小径の多数のエア孔１２ａが
形成され、エア通路形成部材１２は取付盤４を貫通して
下方へ延長され、エア通路形成部材１２の下端近傍部は
取付盤４に固定され、エア通路形成部材１２の内部空間
は電磁３方切換弁１３を介してエアポンプ１４（コンプ
レッサー）に接続され、電磁３方切換弁１３はコントロ
ールユニット１５によりエア通路形成部材１２へ加圧エ
アを供給可能な加圧エア供給位置と、造型キャビティ５
内の空気をエア通路形成部材１２を介して造型キャビテ
ィ５外へ排出可能な大気解放位置とに位置切換えされ
る。尚、前記エア通路形成部材１２は、金属製や耐熱合
成樹脂製の網状部材や、セラミックス製の多孔質の部材
で構成してもよい。

【００２３】前記砂ブロー装置６は、図１に示すよう
に、コーテッドサンドＳを貯留可能なブローボックス１
６と、ブローボックス１６内に加圧エアを供給するエア
ポンプ１７と、ブロー通路９に気密状に接続可能な４つ
のブロー導入路１８を有するブローヘッド１９と、ブロ
ー導入路１８を開閉する４つのシャッタ弁装置２０など
を備えた一般的な構成のものである。尚、前記４つのブ
ロー導入路１９は、図２に示すように、砂ブロー装置６
が図示外の昇降装置により下降位置に移動されることに
より、４つのブロー通路９に略気密状に夫々接続され
る。

【００２４】次に、前記砂中子の造型方法について説明
する。先ず、下型２にエア通路形成部材１２をセットし
て上型１及び下型２を略気密状に組合わせ、上型１及び
下型２を取付盤３・４に夫々取付けてこれらを固定台７
に位置決め固定した後、砂ブロー装置６を下降位置に移
動させてブロー導入路１８をブロー通路９に気密状に接
続する。次に、図２・図４に示すように、電磁３方切換
弁１３を加圧エア供給位置に切換えるとともにエアポン
プ１４を駆動してエア通路形成部材１２に加圧エアを供
給しつつ、シャッタ弁装置２０を開駆動するとともにエ
アポンプ１７を駆動して砂ブローを開始し、コーテッド
サンドＳを加圧エアとともに造型キャビティ５内にブロ
ーする。このとき、造型キャビティ５内では、エア通路
形成部材１２から供給された加圧エアにより、本体部造
型部５ａ内にブローされたコーテッドサンドＳが薄肉部
造型部５ｂ側へ吹き飛ばされ、吹き飛ばされたコーテッ
ドサンドＳが本体造型部５ａから分岐ベント通路１０ａ
を通って外部へ排出される空気流に乗って薄肉部造型部
５ｂ及び厚肉部造型部５ｃに充填される。こうして、砂
ブロー開始から所定時間Ｔ経過するまでの砂ブロー前中
期において、コーテッドサンドＳが薄肉部造型部５ｂ及
び厚肉部造型部５ｃに十分に充填される。

【００２５】次に、図３・図４に示すように、砂ブロー
開始から所定時間Ｔ経過後の砂ブロー後期において、電
磁３方切換弁１３を大気解放位置に切換え、造型キャビ
ティ５内に導入された砂ブローのための加圧エアをエア
通路形成部材１２から造型キャビティ５外へ排出する。
このとき、コーテッドサンドＳが薄肉部造型部５ｂ及び
厚肉部造型部５ｃに十分に充填されている関係上、加圧
エアの大部分はエア通路形成部材１２から造型キャビテ
ィ５外へ排出され、このエア通路形成部材１２へ向けて
流れる空気流に乗ってエア通路形成部材１２の周辺部分
にもコーテッドサンドＳが十分に充填される。こうし
て、造型キャビティ５内にコーテッドサンドＳが十分に
充填された後、シャッタ弁装置２０を閉駆動するととも
にエアポンプ１４・１７を停止し、ヒータエレメント８
を通電して充填されたコーテッドサンドＳを所定時間加
熱溶融させ、その後ヒータエレメント８への通電を停止
してコーテッドサンドＳを所定時間冷却し、溶着された
コーテッドサンドＳを脱型して砂中子を得る。

【００２６】以上のように、砂ブローを開始してから所
定時間Ｔ経過するまでの砂ブロー前中期においては、エ
ア通路形成部材１２から薄肉部造型部５ｂ側へ向けて加
圧エアを供給して、コーテッドサンドＳを薄肉部造型部
５ｂ及び厚肉部造型部５ｃに十分に充填することが出
来、また所定時間Ｔ経過後の砂ブロー後期においては、
エア通路形成部材１２から砂ブローのための加圧エアを
造型キャビティ５外へ排出して、エア通路形成部材１２
の周辺部分にもコーテッドサンドＳを十分に充填するこ
とが出来るので、コーテッドサンドＳの充填不足による
砂中子の造型不良を効果的に防止出来る。

【００２７】尚、本実施例では、ヒータエレメント８で
造型キャビティ５内に充填されたコーテッドサンドＳを
加熱溶融させるようにしたが、ブロー通路９やエア通路
形成部材１２から高温の空気を導入して加熱溶融させる
ようにしてもよい。

【図面の簡単な説明】

【図１】上型及び下型付近の縦断面図である。

【図２】所定時間経過までの砂ブロー前中期における図
１相当図である。

【図３】所定時間経過後の砂ブロー後期における図１相
当図である。

【図４】電磁３方切換弁の切換えタイミングなどを示す
タイムチャートである。

【符号の説明】

Ｓ コーテッドサンド １ 上型 ２ 下型 ５ 造型キャビティ ６ 砂ブロー装置 ９ ブロー通路 １２ エア通路形成部材 １２ａ エア孔 １４ エアポンプ

Claims (5)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 上型と下型の少なくとも一方に形成され
   たブロー通路を介して、上型と下型により形成される造
   型キャビティ内に砂をブローして砂中子を造型する造型
   方法において、 前記造型キャビティのうちのブロー通路のブロー口より
   も中央部側部分内に予めエア通路形成部材を挿入配設
   し、このエア通路形成部材の複数のエア孔から造型キャ
   ビティの端部側へ向けて加圧エアを供給しつつブロー通
   路から造型キャビティ内に砂をブローすることを特徴と
   する砂中子の造型方法。
2. 【請求項２】 前記砂ブローの停止前に加圧エアの供給
   を停止することを特徴とする請求項１に記載の砂中子の
   造型方法。
3. 【請求項３】 前記砂ブローの後期において、エア通路
   形成部材への加圧エアの供給を停止し、エア通路形成部
   材の複数のエア孔から造型キャビティ内の空気を排出す
   ることを特徴とする請求項２に記載の砂中子の造型方
   法。
4. 【請求項４】 砂中子の造型キャビティを形成する上型
   及び下型と、上型と下型の少なくとも一方に形成された
   ブロー通路を介して造型キャビティ内に砂をブローする
   砂ブロー装置とを備えた砂中子の造型装置において、 前記造型キャビティのうちのブロー通路のブロー口より
   も中央部側部分内に、造型キャビティの端部側へ向けて
   開口する複数のエア孔を有するエア通路形成部材を設
   け、 前記エア通路形成部材に加圧エアを供給する加圧エア供
   給手段を設けたことを特徴とする砂中子の造型装置。
5. 【請求項５】 前記エア通路形成部材がその外周部に小
   径の複数のエア孔を有する金属製の中空パイプで構成さ
   れていることを特徴とする請求項４に記載の砂中子の造
   型装置。