JPH0523565B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は自動車用ゴムブツシユ等の金属筒付き
ゴム製品の製造方法に関する。

〔従来の技術〕

ゴムブツシユ等の加硫成形に用いる金型は上型
と下型若しくは中型とからなり、これらの内部に
成形に要するキヤビテイを形成してあると共に、
これらが互いに当接しあつて圧力を受け且つ内部
を加熱できるようになつている。

また、自動車用ゴムブツシユ等の製品によつて
は、１つ又は２つ以上の金属製の円筒を一体的に
具えたものがあり、かゝる金属筒付きゴム製品の
加硫成形には、上型及び下型と、中型としての割
型を具えた成形用金型を使用することも行なわれ
ている。この場合、下型に設けたセンターピンや
環状溝等の支持部に必要個数の金属筒を一つずつ
セツトし、これらの金属筒を取り囲む中割型及び
上型を下型上に重ね合せることにより、内部に形
成したキヤビテイ内に金属筒を保持できるように
なつている。そして、得られた成形品の取り出し
は、金型を分解して下型又は中型若しくは中割型
を外部に搬送してから、人手又はオートハンド等
で行なう。

このように従来の金属筒付きゴム製品の製造方
法では、下型への金属筒のセツトは作業者により
１つ１つ手作業で行われ、しかも面倒な作業のた
め時間がかかり、作業能率が極めて悪かつた。ま
た、この金属筒のセツトばかりでなく、成形品の
取り出しにも多くの時間がかかり、従つてこれら
の作業の間は加硫成形ができず、プレス稼働率が
非常に悪かつた。

しかも、従来の成形用金型は、キヤビテイを有
し且つこゝに成形品を保持する成形部分と、成形
部分を支持して圧力を受け且つ成形部分を加熱す
る加圧加熱部分とが、一体不可分となつている。
従つて、成形品を取り出すためには、加圧加熱部
分でもある大型の下型又は中型若しくは中割型を
外部に分解搬送することになるのである。

その為、成形品の取り出し及び金属筒のセツト
に要する相当時間の間は加硫プレスが稼動でき
ず、またこの間に金型が冷えるので熱エネルギー
の損失が大きい等の欠点があつた。しかも、能率
向上のために一つの成形用金型で複数個の製品を
加硫成形することが多く、この場合には成形品の
取り出し及び金属筒のセツトに要する時間は一層
長くなつていた。

〔発明が解決しようとする問題点〕

本発明は、かゝる従来の事情に鑑み、金属筒の
セツトを含む金型の組み立て及び金属筒付きゴム
製品の取り出し等に要する時間を短縮することが
でき、加硫プレスの稼動率を向上させ、熱エネル
ギーの損失を低減させることができる金属筒付き
ゴム製品の製造方法を提供することを目的とす
る。

〔問題点を解決するための手段〕

本発明の金属筒付きゴム製品の製造方法におい
ては、金属筒の内径にほぼ等しい外径を有する金
属筒支持用のピンを備えた嵌め込み基台を用い、
一方金型の下型内に嵌め込み基台を嵌め外しでき
る凹部を設け、この金型１組に嵌着可能な数以上
の嵌め込み基台を用意し、金型外で嵌め込み基台
のピンに金属筒を装着して予めセツトし、この嵌
め込み基台を金型内に嵌着して金属筒付きゴム製
品の加硫成形を行つた後、金属筒付きゴム製品を
嵌め込み基台上に載せたまま金型から取り出し、
凹部が空になつた金型内に金属筒を予めセツトし
た別の嵌め込み基台を嵌着することにより、順次
加硫成形を繰り返すことを特徴とする。

〔実施例〕

金属筒付きゴム成形品を加硫成形するための成
形用金型の一具体例を図面により説明する。

この金型は第１図に示すように、上型１と下型
２、及び下型２の凹部内に嵌着する１つの嵌め込
み割型（２分割可能）３と１つの嵌め込み基台４
からなる。嵌め込み割型３と嵌め込み基台４とで
嵌め込みブロツクが構成され、その内部に内筒５
及び外筒６を有するゴム製品二個のキヤビテイを
有し、キヤビテイの一部は通常の如く上型１に形
成してある。

上型１には中央長手方向に上入子型７をボルト
止めしてあり、上入子型７に内筒５の上端を挿入
して支持する上センターピン８と、外筒６の上端
を当接して保持する溝９とを具えている。嵌め込
み割型３は長手方向に沿い縦に二つに分割でき、
合せたときに外筒６の外周を取り囲むようになつ
ている。又、第２図に示すように嵌め込み基台４
は細長い板状で、上面１０には上型１と同様に内
筒５の下端を保持する下センターピン１４と外筒
６の下端を保持する円環状の溝１５とが設けられ
ている。

嵌め込み基台４の長手方向に沿つた側面１２は
下面１１の面積が上面１０の面積より小さくなる
ように傾斜した傾斜面１２となつており、従つて
端面１３の断面は逆台形状になつている。この端
面が逆台形状となる形状は前記した嵌め込み割型
３についても同様であるが、嵌め込み割型３は嵌
め込み基台４よりも傾斜側面方向の長さが長く幅
広になつている。下型２は第１図に示すように、
嵌め込み基台４が嵌着する下側凹部１６と、嵌め
込み割型３が嵌着する上側凹部１７とを具えてい
る。この下側凹部１６と上側凹部１７は共に長手
方向に下型２を貫通していて、嵌め込み基台４及
び嵌め込み割型３の各端面１３が下型２から若干
突出するようになつている。

次に、上記の金型を用いた金属筒付きゴム製品
の製造方法を説明する。

一組の上型１、下型２及び嵌め込み割型３に対
して多数の嵌め込み基台４を用意し、各嵌め込み
基台４の下センターピン１４と溝１５に夫々内筒
５及び外筒６を予めセツトしておく。

型開きした下型２の下側凹部１６に内筒５と外
筒６をセツトした嵌め込み基台４を嵌着し、次に
嵌め込み割型３を上側凹部１７に嵌着する。この
下型２に上型１を圧接することによりキヤビテイ
全体が形成されると同時に、その内部に内筒５と
外筒６が確実に保持される。そこで、通常の如く
射出ノズルから原料ゴムをキヤビテイ内に注入
し、加硫成形を行なうのである。

加硫成形後に上型１と下型２とを分離し、更に
下型２から突出した両端面１３を把持しながら嵌
め込み割型３と嵌め込み基台４を下型２から分離
する。次に嵌め込み割型３を割つてゴム製品を嵌
め込み基台４ごと外部に取り出す。空になつた下
型２の下側凹部１６には、予め内筒５と外筒６を
セツトした別の嵌め込み基台４を嵌着し、次に上
側凹部１７に嵌め込み割型３を嵌挿する。その後
前記と同様の操作を繰返すことによつて順次ゴム
製品の加硫成形を実施する。尚、嵌め込み割型３
も多数用意しておき、嵌め込み基台４と同様に順
次交換して使用しても良い。

〔作用〕

本発明方法では、従来金型に直接セツトしてい
た金属筒を、金型の加圧加熱部分と分離した小型
の嵌め込み基台のピンに装着して支持し、嵌め込
み基台ごとに金属筒を金型に組み込むようにして
ある。

従つて、金属筒は嵌め込み基台のピンに装着さ
れるので簡単且つ確実に支持でき、そのまま嵌め
込み基台と共に搬送して下型の凹部に組み込むこ
とができる。又、得られる金属筒付きゴム製品は
嵌め込み基台上にピンに支持された状態で載つて
いるので、嵌め込み基台ごとに金型から簡単に取
り出し、回収することができる。このように嵌め
込み基台により、金属筒及び成形品が簡単且つ確
実に、しかも定められた位置に正確に保持でき、
従つて全工程の自動化も可能となる。

又、金属筒をセツトした嵌め込み基台の少なく
とも１つを用いて加硫成形を行つている間に、他
の嵌め込み基台に金型外で金属筒をセツトするこ
とができ、一方得られた金属筒付きゴム製品を嵌
め込み基台に載せて取り出し回収する間に、予め
金属筒を支持した別の嵌め込み基台を金型内に嵌
着することができる。このため、面倒な金属筒の
セツト及び成形品の回収を、加硫プレスを常に稼
働させながら行うことが可能である。

更に、嵌め込み基台は金型全体に比べると極め
て小さく、しかも金型の他の大部分は停止するこ
となく常に稼働しているので、金型が冷えること
がなくなり、金属筒を金型に直接セツトしていた
従来の方法に比べ熱エネルギーの損失が極めて少
なくなる。

〔発明の効果〕

本発明によれば、下型に嵌め外しできる嵌め込
み基台を用い、しかも嵌め込み基台のピンにより
金属筒並びに金属筒付きゴム製品を簡単且つ確実
に支持できるので、金属筒のセツト並びに製品の
回収が金型外ででき、しかもその自動化も可能と
なる。

又、上記嵌め込み基台を多数用意することによ
つて、成形品の取り出しばかりか、それ以上に面
倒な金属筒のセツトを加硫成形プロセスと関係な
く行なうことができ、成形品の取り出しと同時に
金属筒を予めセツトした別の嵌め込み基台を下型
に簡単に嵌着できるので、従来の如く成形用金型
が型開きした状態で長時間停止していることがな
く、加硫プレスの稼動率を飛躍的に向上させ、ま
た金型外に取り出す嵌め込み基台が極めて小さ
く、しかも金型の他の部分は停止時間なく常に稼
働していて冷却されないので、熱エネルギー損失
を大幅に低減させることができる。

又、嵌め込み基台は金型の他の部分に比べて極
めて小さいから、金属筒のセツトや成形品の回収
のため金型から外部に取り出す操作や搬送等の取
り扱いが従来よりも遥かに容易になる。

更に、金属筒の寸法や形状等が多少異なる類似
品種を加硫成形する場合には、嵌め込み基台のみ
を品種毎に交換すれば良く、大きな下型及び上型
を共用することが可能となり、能率的にもコスト
的にも有利である。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明の成形用金型の一具体例を示す
断面図であり、第２図は嵌め込み基台の概略の斜
視図である。 １……上型、２……下型、３……嵌め込み割
型、４……嵌め込み基台、５……内筒、６……外
筒、８……上センターピン、９，１５……溝、１
４……下センターピン、１６……下側凹部、１７
……上側凹部。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ 内部に金属筒をセツトした金型を用いてゴム
   を加硫成形する金属筒付きゴム製品の製造方法に
   おいて、金属筒の内径にほぼ等しい外径を有する
   金属筒支持用のピンを備えた嵌め込み基台を用
   い、一方金型の下型内に嵌め込み基台を嵌め外し
   できる凹部を設け、この金型１組に嵌着可能な数
   以上の嵌め込み基台を用意し、金型外で嵌め込み
   基台のピンに金属筒を装着して予めセツトし、こ
   の嵌め込み基台を金型内に嵌着して金属筒付きゴ
   ム製品の加硫成形を行つた後、金属筒付きゴム製
   品を嵌め込み基台上に載せたまま金型から取り出
   し、凹部が空になつた金型内に金属筒を予めセツ
   トした別の嵌め込み基台を嵌着することにより、
   順次加硫成形を繰り返すことを特徴とする金属筒
   付きゴム製品の製造方法。