JPH0523319Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】

〓産業上の利用分野〓 本考案は、プラスチツク成形用金型に関するも
ので、詳しくは、従来の金属缶における充填、シ
ール機による金属蓋の二重巻締めに耐える形状、
強度を有するプラスチツク容器を、熱成形によつ
て製造するために使用する金型に関する。 〓従来の技術〓 金属缶は種々の形態を有するものがあるが、缶
体の構造から３ピース缶と２ピース缶とに区分す
ることができる。３ピース缶はブリキハンダ缶と
も言われ、円筒缶胴とふた及び底を二重巻締めで
密封した構造であり、２ピース缶はブリキ打抜き
缶とも言われ、缶胴及び底部を一体成形したもの
にふたを二重巻締めする構造である。これら金属
缶は食品包装容器として各種食品缶詰、ジユー
ス、清涼飲料、ジヤム類、乾燥食品等の容器に使
用され、密封、保存機能が特に優れた剛性容器で
ある。しかしながら、金属缶には、下記のような
改善すべき点がある。即ち、 金属缶であるがために、軽量化に限界があ
る。 衝撃を受けた時、一度つぶれると復元性がな
く、変形してしまう。 プラスチツク製容器に比べて、その製造上の
エネルギーコストが高い。 容器外装のデイスプレイ効果が金属の場合、
自由に変えることができず、外装手段は印刷に
よるしかない。 内容物は開缶せずに確認できるような透明容
器をつくることは不可能である。 〓考案が解決しようとする問題点〓 上記のような従来の金属缶における欠点は、プ
ラスチツク缶を使用し、金属蓋を二重巻締めする
ことによつて解決することができる。プラスチツ
ク缶を安価に大量に生産するに一番適した方法
は、圧空又は、真空による熱成形方式である。熱
成形されたプラスチツク容器のフランジに金属蓋
を二重巻締めするには、フランジの厚みは0.5mm
程度に薄くしなければならない。 しかしながら、シートフオーミングにより熱成
形すると、フランジの厚みは、用いたシートの厚
みによつて定められる。プラスチツク缶は、金属
蓋を二重巻締めする際に、容器に押圧力がかかる
ので、充分な座屈強度を必要とする。そのような
強度を持たせるためには、成形に使用するプラス
チツクシートの厚みを厚くする必要があるが、厚
手のシートを用いると、必然的にフランジ厚みは
厚くなつてしまう。そこで、いかに成形品に強度
をもたせてフランジ厚みを薄くするかが問題とな
る。 本考案は、二重巻締め可能なフランジを有する
プラスチツク容器を熱成形によつて製造するため
の金型を提供することを目的とする。 〓問題点を解決するための手段〓 本考案は、二重巻締め可能なフランジを有する
プラスチツク容器を、補助プラグ法による熱成形
によつて製造するために使用する金型に関する。 本考案に金型は、キヤビテイ外周上端から上方
に向つて5°＜θ＜40°の角度をもつて延びるキヤ
ビテイ上縁部と、プラグの下降に先立つて、該キ
ヤビテイ上縁部に当接してプラスチツクシートを
挟持するクランプを、キヤビテイ外周上端からク
ランプ内周面までの距離が５mm＜＜20mmとな
るように設けてなるものである。 〓作用〓 本考案の金型は、プラグの下降に先立つて、キ
ヤビテイ上縁部に当接してプラスチツクシートを
挟持するクランプを設けたので、挟持後にプラグ
が下降してシートをキヤビテイ内に押込む際に、
シートは引伸ばされ、特にキヤビテイ外周上端と
クランプとの間のフランジ形成部分のシートが引
伸ばされて薄くなる。本考案の金型は、キヤビテ
イ上縁部の上方への傾斜角度と、キヤビテイ外周
上端からクランプ内周面までの距離を特定するこ
とによつて、金属蓋を二重巻締めするに適したフ
ランジ厚さとすることができる。 〓実施例〓 二重巻締め可能なフランジを有するプラスチツ
ク容器を補助プラグ法による熱成形で製造する工
程を第１図によつて説明する。 まず、加熱されたシート１に対してキヤビテ
イ外周上端２から上方に向つて延びるキヤビテ
イ上縁部３を有するキヤビテイ４が上昇すると
共にクランプ５が下降する。 クランプ５が下降してシート１をキヤビテイ
上縁部３との間で挟持する。次いでプラグ６が
下降してキヤビテイ４内に入り始める。 プラグ６がシート１をキヤビテイ４内に押し
下げ、圧空真空７でキヤビテイ４内にシート１
を吸着させる。この際、シート１の厚さｔに比
較して容器フランジを形成する部分８の厚さｄ
が薄くなる。 上記のように二重巻締めが可能なフランジを形
成するには、シートの厚さｔ及び容器の側面、底
面に比較してフランジの厚さｄを薄くすることが
重要である。本考案においてはキヤビテイ上縁部
３の上方へ向つて傾斜する角度θと、キヤビテイ
外周上端２からクランプ５の内周面までの距離
を、特定の範囲で選択することによつてフランジ
厚さｄを二重巻締めに適した厚さとすることがで
きた。 本考案による金型の全体の構造を表す第１の実
施例を第２図に示す。本実施例においては、シー
トを挟持する個別クランプ１０５がまずシリンダ
ー１０９によつて駆動され、シートをキヤビテイ
上縁部１０３との間に挟持した後にプラグ１０６
が下降する。プラグは金型１１１と一体に構成さ
れ、１１０より圧空エアーが吹込まれ、１０７よ
り真空排気される。１０２はキヤビテイ１０４の
外周上端である。第２の実施例を示す第３図にお
いてはクランプ２０５は金型２１１の一部として
構成されている。金型２１１が閉じてシートをク
ランプ２０５とキヤビテイ上縁部２０３との間に
挟持した後にプラグ２０６がシリンダー２０９に
よつて駆動され、シートをキヤビテイ２０４に押
付ける。次いで圧空エアー２１０が吹込まれ、２
０７より真空排気される。第１、第２何れの実施
例であつてもシートを挟持後プラグが下降してシ
ートをキヤビテイ内に押込むものであればよい。 上記第１の実施例の金型を使用し、ｔ＝1.3mm
のポリプロピレンシートを用い、キヤビテイ上縁
部の傾きθ、キヤビテイ外周上端からクランプの
内周面までの距離、フランジ厚さｄの関係を調
べ、その結果を第４図に示した。二重巻き締めに
適するフランジ厚さｄは一般に0.4mm＜ｄ＜0.7mm
であり、第４図のグラフにおいてｄの好ましい範
囲Ｄに対応するの範囲Ｌは５mm＜＜20mm、θ
は5°＜θ＜40°であることがわかる。尚、グラフ
中の曲線Ａ〜Ｇは下記のθに設定したキヤビテイ
を用いて測定されたものである。

【表】 成形されたプラスチツク容器の形状は、深さＸ
と直径ＹとがＹ／Ｘ≒２程度のものであり、通常
二重巻締めに耐える強度を有する容器を形成する
ためにはｔは1.0〜1.6mm程度が好ましく、このよ
うな厚さのシートを使用し、上記θとの範囲の
金型を使用すれば、二重巻締めに適したフランジ
厚みｄが0.4＜ｄ＜0.7である容器を成型すること
ができる。 応用例 第２図に示した金型を使用し、厚さ1.3mmのポ
リプロピレンシートを用いてθ＝20°、＝10mm
で成形したところ、ｄ＝0.5mmのプラスチツク容
器が得られた。該容器のフランジに金属蓋２１１
を二重巻締めした。ミートソースを充填し、125
℃で30分間レトルト殺菌を行つたところ容器の形
状に変化がなく保存性良好なプラスチツク缶が得
られた。 〓考案の効果〓 本考案による金型を使用して、1.0〜1.6mmの厚
さのプラスチツクシートを熱成形すればフランジ
の厚さが0.4mmから0.7mm程度であつて金属蓋を二
重巻締めするのに適した容器を熱成型によつて簡
単に製造することができる。本考案による金型を
使用すれば、一つの金型を使用するのみでフラン
ジ部の厚さを薄くすることができ、プラスチツク
缶を安価に大量に生産することができる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案による金型を使用してプラスチ
ツク容器を成形する工程を示す説明図、第２図、
第３図は本考案金型の第１、第２の実施例を示す
縦断面図、第４図はフランジ厚さｄとキヤビテイ
外周上端からクランプ内周面までの距離との関
係を表すグラフである。 １……プラスチツクシート、２……キヤビテイ
外周上端、３……キヤビテイ上縁部、４……キヤ
ビテイ、５……クランプ、６……プラグ、ｔ……
シート厚さ、ｄ……フランジ厚さ、……キヤビ
テイ外周上端からクランプ内周面までの距離、θ
……キヤビテイ上縁部傾斜角度。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 補助プラグ法による熱成形用金型であつて、キ
   ヤビテイ外周上端から上方に向つて、5°＜θ＜
   40°の角度をもつて延びるキヤビテイ上縁部と、
   プラグの下降に先立つて該キヤビテイ上縁部に当
   接してプラスチツクシートを挟持するクランプ
   を、キヤビテイ外周上端からクランプ内周面まで
   の距離が５mm＜＜20mmとなるように設けたこ
   とを特徴とする二重巻締め可能なフランジを有す
   るプラスチツク成形用金型。