JPH0523292B2 - - Google Patents

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JPH0523292B2
JPH0523292B2 JP61006059A JP605986A JPH0523292B2 JP H0523292 B2 JPH0523292 B2 JP H0523292B2 JP 61006059 A JP61006059 A JP 61006059A JP 605986 A JP605986 A JP 605986A JP H0523292 B2 JPH0523292 B2 JP H0523292B2
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JP
Japan
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polyaniline
film
water
solution
electrochromic
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JP61006059A
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JPS62164730A (ja
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Katsuaki Okabayashi
Katsuji Abe
Aogu Yoshida
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Toyota Central R&D Labs Inc
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Toyota Central R&D Labs Inc
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  • Electrochromic Elements, Electrophoresis, Or Variable Reflection Or Absorption Elements (AREA)
  • Manufacture Of Macromolecular Shaped Articles (AREA)
  • Polymers With Sulfur, Phosphorus Or Metals In The Main Chain (AREA)
  • Macromolecular Compounds Obtained By Forming Nitrogen-Containing Linkages In General (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
〔産業上の利用分野〕 本発明は、優れた機械的強度を有し、かつ、非
水電解質溶液中でも電気化学的に活性なエレクト
ロクロミツク素子用ポリアニリン膜の製造方法に
関するものである。 〔従来技術〕 外部からの電圧印加によつて、その素子中に電
気化学的反応が誘起され、その色や吸光率が可逆
的に変化するエレクトロクロミツク素子(ECD)
は、固体発光素子(LED)や液晶素子(LCD)
にない多くの特徴を備えていることから、エレク
トロニクス産業を始めとする各種産業分野におい
て実用化が進められている。 上記エレクトロクロミツク素子を構成する材料
には大別して無機材料と有機材料とがあり、前者
は各種遷移金属酸化物が、また後者はポリアニリ
ン、ポリピロール、ポリチオフエン等の導電性高
分子やビオロゲン誘導体等がその代表例であり、
近年これらの材料を用いた各種のエレクトロクロ
ミツク素子が開発されている。 上記導電性高分子の中でもポリアニリンは、安
定であり、しかも着消色時の吸光度変化(△O.
D.(オプテイカル・デンシテイ))が大きく、良
好なエレクトロクロミツク特性を有することが報
告されている(ジヤーナル・オブ・エレクトロ・
アナリテイカル・ケミストリー、177(1984)、
281)。 ポリアニリンは、酸性水溶液にアニリンモノマ
ーを溶解させた電析液より電解重合法によつて基
板電極上に析出させて得られる導電性高分子であ
り、その電析液の酸濃度及びアニリン濃度はそれ
ぞれ2規定、及び1mol/程度のものが使用さ
れている。 白金、金等の金属電極上にポリアニリンを電析
させる場合は、上記電析液濃度において良好な膜
が得られる。しかしながら、ポリアニリンをITO
膜(インジウム・スズ・酸化物膜)、またはSnO2
膜被覆ガラスに電析させた場合、上記濃度の電析
液では、電解中にITO膜やSnO2膜の溶解反応が
起こり、ポリアニリンが電極から剥離し、析出が
困難となる。 ITO膜やSnO2膜の溶解を防ぐためには、電析
液の酸濃度を低くする必要があるが、この場合は
ポリアニリンが電極上で微粉化し、膜状のポリマ
ーを得ることが困難となる。 また、上記の問題点を考慮して、電析液の酸濃
度及びアニリンモノマー濃度を調整し、膜状ポリ
アニリンを合成した場合でも、得られたポリアニ
リンの機械的強度が弱く、基板電極への付着性も
悪い。従つて、これらのポリアニリン膜をエレク
トロクロミツク素子として作動させた場合、素子
の耐久性に問題があつた。 〔発明の目的〕 本発明は、上記のような問題点を解決すること
であり、白金、金等の金属電極を用いた場合はも
ちろんのこと、ITO膜、SnO2膜を被覆したもの
を電析用の基板電極とした場合においても機械的
強度に優れ、均一で付着性の良好なポリアニリン
膜を製造する方法を提供することである。本発明
者等は該目的を達成するべく鋭意努力した結果、
電解液に水溶性ポリアニオンを添加すると強度を
有するポリアニリン膜を合成し得ることを見出し
た。しかし、該膜は水溶液中では良好な電気化学
的活性を示し、水溶液電解質系のエレクトロクロ
ミツク素子には使えるが、非水電解質溶液中では
電気化学的活性が劣つており、非水電解質系のエ
レクトロクロミツク素子には使えなかつた。本発
明のもう一つの目的は優れた機械的強度を有し、
かつ、水溶液系のみならず非水電解質溶液中でも
電気化学的活性を有するエレクトロクロミツク素
子用ポリアニリン膜を製造する方法を提供しよう
とするものである。 〔問題点を解決するための手段〕 本第1発明(特許請求の範囲第1項記載の発
明)は、アニリンモノマーと水溶性ポリアニオン
塩と溶解させた酸性水溶液を用いて電解重合する
ことを特徴とするエレクトロクロミツク素子用の
ポリアニリン膜の製造方法に関するものである。 本第1発明において、アニリンモノマーと水溶
性ポリアニオン塩とを溶解させた酸性水溶液は、
ポリアニリン膜を電解重合により合成するための
電析液である。上記の水溶性ポリアニオン塩の水
溶性ポリアニオンは、ポリアニリン膜が電解重合
により合成される際に膜内に捕捉される。 この水溶性ポリアニオンは、ポリアニリン膜内
に捕捉される際に、ポリアニリンの主鎖と絡み合
うので、強度が向上し、良好な成膜性を有するポ
リアニリン膜を形成することができる。 該水溶性ポリアニオン塩は、スルホン酸基、カ
ルボキシル基、フエノール基等の電離した際にア
ニオンとなる官能基を含有する水溶性の高分子電
解質であり、ポリビニル硫酸カリウム、ポリビニ
ル硫酸ナトリウム、ポリスチレンスルホン酸ナト
リウム、ポリスチレンスルホン酸カリウム等が挙
げられ、これらのうちの1種または2種以上を使
用する。 従つて、例えば水溶性ポリアニオン塩としてポ
リビニル硫酸カリウムを使用した場合、ポリビニ
ル硫酸イオンが水溶性ポリアニオンとなる。 また、水溶性ポリアニオン塩の濃度としては、
0.001〜0.2mol/の範囲内が望ましい。該水溶
性ポリアニオン塩の濃度が0.001mol/より薄
い場合には、ポリアニリン膜は微粉化し、良好な
膜を得ることが困難であり、0.2mol/より濃
い場合には、ECDセルとして作動させた場合の
ポリアニリン膜の寿命が短く、色変化にムラがで
きる。 また、上記アニリンモノマーとしては、アニリ
ン、塩酸アニリン、硫酸アニリン等が挙げられ、
これらのうちの1種または2種以上を使用する。
該アニリンモノマーの濃度としては、0.1〜
1.0mol/の範囲内となるのが望ましい。アリ
ニンモノマーの濃度が0.1mol/より薄い場合
は、ポリアニリンの良好な析出が困難であり、
1.0mol/より濃い場合には、アニリンモノマ
ーが電析液に溶けにくい。 また、水溶性ポリアニオン塩とアニリンモノマ
ーとの濃度割合は、合成されるポリアニリンのア
ニリン単位100個に対し、1〜20個のアニオン基
の割合になるような範囲内が望ましい。アニオン
基の割合が1個未満では機械的強度に優れたポリ
アニリン膜が得られず、また、10個より多くなる
と粘性が高くなり、成膜性の良好な膜が得られに
くい。 酸性水溶液とするための酸としては、過塩素
酸、四フツ化ホウ素酸、塩酸、硫酸、硝酸等の無
機酸が挙げられ、これらのうちの1種または2種
以上を使用する。該酸の水溶液中での濃度として
は、0.1〜1.0規定の範囲が望ましい。濃度が、0.1
規定より薄い場合は、ポリアニリンを良好に析出
させることが困難であり、1.0規定より濃い場合
には、白金、金等の金属を電極とした場合は問題
ないが、ITO膜やSnO2膜を被覆したものを基板
電極として用いた場合ITO膜やSnO2膜が溶解す
るおそれがある。 上記アニリンモノマーと水溶性ポリアニオン塩
とを溶解した酸性水溶液中に一対の基板電極を浸
漬し、その後一対の基板電極間に直流電圧を印加
することにより、正極の基板電極上にポリアニリ
ン膜が析出する。この印加する電圧は、正極単位
面積当たり10〜500μA/cm2の電流密度が流れるよ
うにするのが望ましい。 電流密度が10μA/cm2より小さい場合には、合
成の所要時間が多くかかつてしまい、500μA/cm2
より大きい場合には、均一な膜の合成が困難とな
る。更に良好なポリアニリン膜は、電流密度が、
30〜100μA/cm2のときに得られる。 上記析出させるポリアニリン膜の膜厚として
は、500Å〜2μmの範囲内が望ましい。該膜厚が
500Åより薄い場合は、エレクトロクロミツク素
子として使用した場合に着消色の色変化が小さ
く、2μmより厚い場合は、消色が困難となる。
更に良好なエレクトロクロミツク特性は、膜厚
が、1000Å〜5000Åのときに得られる。 また、上記のポリアニリン膜が析出する正極の
基板電極としては、ITO膜、SnO2膜を被覆した
ガラスあるいは透明プラスチツクフイルム等の透
明な導電性材料、ステンレススチール、白金、
金、ニツケル等の金属が挙げられる。また、対向
電極(負極)としては、上記正極の基板電極と同
様なものの他カーボン、グラフアイトも使用する
ことができる。 上記の電解重合の工程により正極の基板電極上
に析出したポリアニリン膜を過塩素酸または四フ
ツ化ホウ素酸等の酸性水溶液で十分に洗浄するの
が望ましい。この洗浄によりポリアニリン膜中に
含まれる電解重合用電析液成分を除去して、
ECDセルの寿命を伸ばすことができる。上記酸
性水溶液の酸の濃度としては、0.001〜1mol/
の範囲内がよい。 本第2発明(特許請求の範囲第3項記載の発
明)は、非水電解質溶液中でも良好な電気化学的
活性を示すエレクトロクロミツク素子用ポリアニ
リン膜の製造方法であつて、アニリンモノマーと
水溶性ポリアニオン塩とを溶解させた酸性水溶液
を用いて電解重合によりポリアニリン膜を合成す
る第1工程と、極性有機溶媒中に支持電解質を含
有する非水電解質溶液を上記ポリアニリン膜に含
浸せしめる第2工程と、該ポリアニリン膜を乾燥
する第3工程とから成る。 本第2発明の第1工程は第1発明と同様の方法
で機械的強度に優れたポリアニリン膜を合成する
工程である。該工程における水溶性ポリアニオン
塩とアニリンモノマーの濃度割合は非水電解質溶
液中で電気化学的に活性な膜を得るために合成さ
れるポリアニリンのアリニン単位10個に対し1個
以下のアニオン基になるような範囲内が望まし
い。 アニオン基の割合が上記の値を越えると、ポリ
アニリン膜が極性有機溶媒中で良好なエレクトロ
クロミツク反応を示さないおそれがあるためであ
る。これは、以下の様に説明される。 ポリアニリンが非水電解質溶液中でエレクトロ
クロミツク反応を呈するのは、ポリアニリンの4
級アンモニウムイオンが形成することが必要であ
るが、上記水溶性ポリアニオンをドープしたポリ
アニリンは、非水電解質溶液中では安定な4級ア
ンモニウムイオンを形成しにくいからである。こ
れは、上記水溶性ポリアニオン塩が非水電解質溶
液に不溶であることに起因する。従つて、合成時
に成膜性の点から必要であつた上記ポリアニオン
は、エレクトロクロミツク素子として作動させる
場合、本来は不必要である。しかし、ポリアニリ
ン膜から上記ポリアニオンを除く事は、実際には
非常に困難である。これは、ポリアニリン主鎖
と、ポリアニオン主鎖が、三次元的に複雑に絡み
合つているためと考えられる。従つて、ポリアニ
リンの良好な成膜性を得られる範囲でポリアニオ
ンのポリアニリン膜内の濃度はできるだけ低い方
が良い。 該ポリアニリン膜に、極性有機溶媒中に支持電
解質を含有する非水電解質溶液を含浸せしめる工
程は、以下の様にポリアニリン膜中の溶液交換を
行うものである。 すなわち、膜中に含まれた水溶性ポリアニオン
と静電的相互作用を持つポリアニリンの部分は、
ECDの非水電解質溶液中では電気化学的に不活
性となり、色変化のムラを生じる原因となり得
る。そこで、極性有機溶媒中に支持電解質を含有
する非水電解質溶液を、ポリアニリン膜に含浸せ
しめると、ポリアニリン膜中に含まれる溶液が水
溶液から非水溶液に変換される遷移過程が生じ
る。この過程によりポリアニリン主鎖と水溶性ポ
リアニオンとの静電的相互作用は、ポリアニリン
と上記非水電解質溶液中の支持電解質のアニオン
との相互作用にスムーズに置換される。すなわ
ち、ポリアニリンと水溶性ポリアニオンとの結び
つきは静電的なもの(静電的相互作用)であるた
め非常に弱く、周辺に非水電解質溶液の支持電解
質アニオンが近づくと、ポリアニリンはこの支持
電解質アニオンとも静電的相互作用を持つように
なる。つまり、非水電解質溶液の支持電解質アニ
オンにより水溶性ポリアニオンは部分的にポリア
ニリンとの静電的相互作用を奪われた状態とな
る。 一方、非水電解質溶液中では、支持電解質アニ
オンは溶解性であるのに対し、水溶性ポリアニオ
ンは不溶性であるため、本工程の水溶液から非水
溶液への溶媒交換の遷移過程において、水溶性ポ
リアニオンの不溶性雰囲気が次第に作りだされて
いく。このため、上記のように、非水電解質溶液
の支持電解質アニオンによりポリアニリンとの静
電的相互作用を奪われた水溶性ポリアニオンは、
支持電解質カチオンと結びつき不溶性塩となる。 この過程が順次進行することにより、ポリアニ
リン中でポリアニリンと静電的相互作用をもつて
いた水溶性ポリアニオンのほとんどが非水電解質
溶液の支持電解質アニオンに交換される。これに
より、ポリアニリン主鎖は、支持電解質のアニオ
ンと静電的相互作用を持ち水溶液中のみならず
ECDの非水電解質溶液中でも電気化学的に活性
なポリアニリン膜となる。従つて、ポリアニリン
膜は、成膜性及び機械的強度が強く、かつ非水電
解質溶液中で良好なエレクトロクロミツク特性を
示し、耐久性にも優れたものになる。 本工程での極性有機溶媒としては、プロピレン
カーボネイト、アセトニトリル、スルホラン、ニ
トロメタン、ベンゾニトリル等が挙げられ、これ
らのうちの1種または2種以上を使用する。ま
た、支持電解質としては、過塩素酸リチウム、四
フツ化ホウ酸リチウム、過塩素酸四メチルアンモ
ニウム、四フツ化ホウ酸四メチルアンモニウム等
が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上
を使用する。上記支持電解質の非水電解質溶液で
の濃度としては、0.01〜2mol/の範囲内が望
ましい。該濃度が0.01mol/より薄い場合に
は、色変化のムラを生じ易くなり、2mol/よ
り濃い場合には、支持電解質が溶媒に完全には溶
解しないおそれがある。 上記非水電解質溶液をポリアニリン膜に含浸さ
せる方法としては、非水電解質溶液中にポリアニ
リン膜を浸漬する方法がある。この含浸させて保
持する保持時間は1〜60分間がよい。 第3工程である上記ポリアニリン膜を乾燥する
工程は、ポリアニリン膜中に含まれる水分を除く
ものである。ポリアニリン膜中に水分が含まれる
とECDセルの寿命が短くなつてしまう。この乾
燥処理は、真空乾燥で行うのが、ポリアニリン膜
中の水分を十分に除くことができ、望ましい。ま
た乾燥条件としては、温度20〜80℃、時間30分〜
24時間が望ましい。 なお、本発明において、電解重合によつて合成
され、正極の基板電極上に析出したポリアニリン
膜は、該基板電極上に析出した状態で溶液交換工
程、乾燥工程を行つた方がよい。これは、ポリア
ニリン膜が基板電極から分離しにくいためであ
る。 以上の様に製造されたポリアニリン膜は、非水
電解質溶液を電解質として用いたエレクトロクロ
ミツク素子用として使用できる。すなわち、一対
の電極と電解質溶液とから成るエレクトロクロミ
ツク素子において、上記電解質溶液が、極性有機
溶媒中に支持電解質を含有する非水電解質溶液か
ら成る素子に利用することができる。上記極性有
機溶媒としては、プロピレンカーボネイト、アセ
トニトリル、スルホラン、ニトロメタン、ベンゾ
ニトリル等が挙げられ、支持電解質としては、過
塩素酸リチウム、四フツ化ホウ酸リチウム、過塩
素酸四メチルアンモニウム、四フツ化ホウ酸四メ
チルアンモニウム等が挙げられる。また、支持電
解質の濃度としては、0.01〜2mol/の範囲が
望ましい。0.01mol/以下では、エレクトロク
ロミツク特性が低下してしまい、2mol/以上
では、支持電解質が溶媒に完全には溶解しないお
それがある。 本発明により製造されたポリアニリン膜は、エ
レクトロクロミツク反応により色変化を呈する極
として、導電性基材に密着した状態で使用され
る。該ECDの導電性基材としては、本発明の電
解重合の工程において正極の基板電極として使用
したものを使用できる。特に該導電性基材を介し
てエレクトロクロミツク作用を表示する場合に
は、上記導電性基材は、ITO膜、SnO2膜被覆ガ
ラスのような透明材料にする。 上記ポリアニリン膜は、電圧の印加により着
色、消色の色変化を呈するものである。例えば、
該ポリアニリン膜を使用している電極に+1.5V、
−1.5Vの電圧を印加するとそれぞれの電圧に対
し、紺色、淡黄色が得られる。また、上記電圧範
囲の中間の電圧を印加するとそれぞれの中間色を
得ることができる。なお、上記淡黄色は、視覚的
に透明に見える。 〔発明の効果〕 本第1発明によれば、機械的強度に極めて優れ
たエレクトロクロミツク用のポリアニリン膜を製
造できる。また、該膜は基板電極との付着性にも
優れ、電極表面に均一に形成される。また、水溶
性電解質溶液中で電気化学的に良好な活性を示
す。このように機械的強度に優れたポリアニリン
膜を合成できるのは以下の理由によると考えられ
る。 本第1発明において、ポリアニリンを電解重合
により合成する際に、ポリアニリンは酸性水溶液
中の酸アニオン(例えば、塩酸イオン、硫酸イオ
ン、過塩素酸イオン等)と共に添加した水溶性ポ
リアニオンをドーピングして中にとり入れる。従
つて、電析用の基板電極上に電析したポリアニリ
ン膜は、その主鎖と水溶性ポリアニオンの主鎖が
互いに絡まり合い、ポリマーの三次元構造化が進
み、膜の強度が飛躍的に向上している。しかも該
ポリアニリン膜は、均一でしかも安定性・耐久性
にも優れている。 また、本第1発明によれば、電析用の基板電極
としてITO膜、SnO2膜を被覆したものを使用し
た場合においても、付着性の良好なポリアニリン
膜を製造することができる。 また本第2発明において、上記電解重合後、極
性有機溶媒に支持電解質を含有してなる非水電解
質溶液をポリアニリン膜に含浸させる処理によ
り、膜中に含まれ、ポリアニリンを電気化学的に
不活性にしている水溶性ポリアニオンをポリアニ
リン膜と静電的相互作用がないようにする。すな
わち、上記水溶性ポリアニオンは、非水電解質溶
液中の支持電解質のカチオンと反応し、一方、ポ
リアニリン主鎖は、支持電解質のアニオンと静電
的相互作用をもち、電気化学的に活性となる。従
つて、本第2発明によれば水溶性電解質中のみな
ざず、非水電解質溶液中で良好な色変化を呈する
ポリアニリン膜が得られる。 〔実施例〕 以下、本発明の実施例を説明する。 実施例 1 本実施例では、ポリアニリン膜の電解重合時に
おける水溶性ポリアニオン塩の添加による成膜特
性の影響を示す。 第1表に示すような10種類の電析液を準備し、
該電析液中に基板電極としてのITO膜被覆ガラス
(5×5cm、シート抵抗10Ω/□)と対極として
のカーボン板とを浸漬し、基板電極を正電極とし
て、正電極単位面積当たり50μA/cm2の電流密度
の電流が流れるように直流電圧を印加した。印加
時間を20分間として、各電析液からポリアニリン
膜の成膜性を調べた。その結果を第2表に示す。
【表】
【表】 第2表より明らかなように、水溶性ポリアニオ
ン塩を添加することにより剥離や微粉化等のない
機械的強度に優れた成膜性の良好なポリアニリン
膜が得られることがわかる。 実施例 2 本実施例では、製造したポリアニリン膜をエレ
クトロクロミツク素子として使用した際の色変化
のムラの有無を示す。 まず、過塩素酸0.2mol/とアニリン
0.1mol/とポリビニル硫酸カリウム(濃度は
第3表に示す)とを溶解した水溶液を電析液とし
て、実施例1と同様な条件でポリアニリン膜を電
解重合した。すべての電析液について、基板電極
上に膜厚約4000Åのポリアニリン膜が析出した。 上記基板電極上に析出した状態のポリアニリン
膜を0.1mol/の過塩素酸水溶液で洗浄し、次
に1mol/の過塩素酸リチウム/プロピレンカ
ーボネイト溶液に約5分間浸漬した後、25℃で12
時間真空乾燥した。 この基板電極上に析出した状態のポリアニリン
膜を電極としてエレクトロクロミツクセルに組み
込み、エレクトロクロミツク反応を行わせたとき
の電極のムラを観測した。セルの対極にはカーボ
ン板、電解液には1mol/の過塩素酸リチウ
ム/プロピレンカーボネート溶液を用い、セルに
は±1.5Vの電圧を印加した。その結果を第4表
に示す。 なお、比較例として第3表の試料No.9〜14の電
析液から上記電解重合条件にて合計し、蒸留水で
洗浄した後、1mol/の過塩素酸リチウム/プ
ロピレンカーボネイト溶液に浸漬する処理を行わ
ずに、25℃で12時間真空乾燥したポリアニリン膜
の特性も調べた(第4表の試料No.C9〜C14)。
【表】
【表】 第4表より明らかなように、特に0.2mol/
以下のポリアニオン塩濃度の電析液から合成し、
しかも1mol/の過塩素酸リチウム/プロピレ
ンカーボネイト溶液に約5分間浸漬したポリアニ
リン膜は電気化学的に活性なムラのない均一な色
変化を示すことが明らかになつた。 実施例 3 本実施例では、製造したポリアニリン膜をエレ
クトロクロミツク素子として使用した際の着色効
率を示す。 まず、第5表に示すような4種類の電析液を用
い、電解重合の合成時間を15分間とした以外は、
実施例1と同様な条件でポリアニリン膜を電解重
合した。これにより、すべての電析液について、
基板電極上に膜厚約3000Åのポリアニリン膜が析
出した。 上記基板電極上に析出した状態のポリアニリン
膜を0.1mol/の過塩素酸水溶液で洗浄し、次
に1mol/の過塩素酸リチウム/プロピレンカ
ーボネイト溶液を約5分間浸漬した後、25℃で12
時間真空乾燥した。 この基板電極上に析出した状態のポリアニリン
膜を電極として実施例2と同様のエレクトロクロ
ミツクセルに組み込み、エレクトロクロミツク反
応を行わせたときのセルに注入される電気量と△
O.D.との関係を調べた。なお、セルは±1.5Vの
電圧を0.5〜10秒の範囲で印加した。 得られた結果を第1図に示した。なお、比較の
ため、無機系のエレクトロクロミツク素子の代表
的なものとして知られている酸化タングステンの
着色効率も併せて記した。 第1図に見られるように本発明の製造方法によ
るポリアニリン膜は酸化タングステン以上の良好
な着色効率を示した。
【表】 実施例 4 本実施例では、製造したポリアニリン膜をエレ
クトロクロミツク素子として使用した際のサイク
ル寿命特性を示す。 まず、第6表に示すような3種類の電析液を用
いた以外は、実施例1と同様な条件でポリアニリ
ン膜を電解重合した。これにより、すべての電析
液について、基板電極上に膜厚約4000Åのポリア
ニリン膜が析出した。 上記基板電極上に析出した状態のポリアニリン
膜を0.1mol/の過塩素酸水溶液で洗浄し、次
に1mol/の過塩素酸リチウム/プロピレンカ
ーボネイト溶液に約5分間浸漬した後、25℃で12
時間真空乾燥した。 この基板電極上に析出した状態のポリアニリン
膜を電極として実施例2と同様のエレクトロクロ
ミツクセルに組み込み、エレクトロクロミツク反
応を行わせたときのサイクル寿命特性を調べた。
なお、セルには±1.5Vの電圧を1秒間ずつ印加
した。また、各セルの初期の△O.D.はそれぞれ
約0.3程度であつた。そのサイクルに伴う△O.D.
の変化を第2図に示した。 第2図より明らかなように、本発明の製造方法
によるポリアニリン膜は良好なサイクル特性を示
し、特に試料No.20のものは最も長寿命であつた。
【表】 実施例 5 本実施例では、実施例4で使用したエレクトロ
クロミツクセルの電解液を四フツ化ホウ酸リチウ
ム/プロピレンカーボネイト溶液を用いた場合の
サイクル寿命特性を示す。 実施例4と同様にして、電解重合したポリアニ
リン膜(第6表の試料No.19、20、C15)を
0.1mol/の四フツ化ホウ素酸水溶液で洗浄し、
次に1mol/の四フツ化ホウ素リチウム/プロ
ピレンカーボネイト溶液に約5分間浸漬した後、
25℃で12時間真空乾燥した。 この基板電極上に析出した状態のポリアニリン
膜を電極とし、電解液として1mol/の四フツ
化ホウ素酸リチウム/プロピレンカーボネイト溶
液を用いた以外は、実施例4と同様にして、エレ
クトロクロミツクセルを形成し、エレクトロクロ
ミツク反応を行わせたときのサイクル寿命特性を
調べた。なお、各セルの初期の△O.D.はそれぞ
れ約0.3程度であつた。そのサイクルに伴う△O.
D.の変化を第3図に示す。 第3図より明らかなように、本発明の製造方法
によるポリアニリン膜は良好なサイクル特性を示
し、特に試料No.20のものは最も長寿命であつた。
【図面の簡単な説明】
第1図は実施例3において製造したポリアニリ
ン膜を使用したエレクトロクロミツクセルの着色
効率を示す図、第2図は実施例4において製造し
たポリアニリン膜を使用したエレクトロクロミツ
クセルのサイクル寿命特性を示す図、第3図は実
施例5において製造したポリアニリン膜を使用し
たエレクトロクロミツクセルのサイクル寿命特性
を示す図である。

Claims (1)

  1. 【特許請求の範囲】 1 アニリンモノマーと水溶性ポリアニオン塩と
    を溶解させた酸性水溶液を用いて電解重合するこ
    とを特徴とするエレクトロクロミツク素子用ポリ
    アニリン膜の製造方法。 2 水溶性ポリアニオン塩は、ポリビニル硫酸カ
    リウム、ポリビニル硫酸ナトリウム、ポリスチレ
    ンスルホン酸ナトリウム、ポリスチレンスルホン
    酸カリウムのうちの1種または2種以上である特
    許請求の範囲第1項記載のエレクトロクロミツク
    素子用ポリアニリン膜の製造方法。 3 アニリンモノマーと水溶性ポリアニオン塩と
    を溶解させた酸性水溶液を用いて電解重合により
    ポリアニリン膜を合成する工程と、極性有機溶媒
    中に支持電解質を含有する非水電解質溶液を上記
    ポリアニリン膜に含浸せしめる工程と、該ポリア
    ニリン膜を乾燥する工程とから成ることを特徴と
    するエレクトロクロミツク素子用ポリアニリン膜
    の製造方法。 4 水溶性ポリアニオン塩は、ポリビニル硫酸カ
    リウム、ポリビニル硫酸ナトリウム、ポリスチレ
    ンスルホン酸ナトリウム、ポリスチレンスルホン
    酸カリウムのうちの1種または2種以上である特
    許請求の範囲第3項記載のエレクトロクロミツク
    素子用ポリアニリン膜の製造方法。
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