JPH05231684A - パーソナルクリーンブース - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【構成】 ＨＥＰＡフィルターを介したクリーンエアー
の供給部と、このクリーンエアーの頭上もしくはその近
傍から足元下の流出部への一方向流路を有し、帯電防止
シートによってその内部域を陽圧に保持してなることを
特徴とする。また、クリーンエアー供給部には、昇降自
在な吹出し部を形成する。 【効果】 極めて優れたクリーン度において、アレルギ
ー疾患の原因となる空気中エアロゾルの影響を効果的に
取りのぞく。また、一般家庭用設備として、簡便、か
つ、安価である。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】この発明は、パーソナルクリーン
ブースに関するものである。さらに詳しくは、この発明
は、就寝中等において、花粉、タバコの煙、埃、ダニ等
の空気中のエアロゾルによるアレルギー反応を効果的に
抑えることのできる、組立自在な家庭用等のクリーンブ
ースに関するものである。

【０００２】

【従来の技術とその課題】近年、花粉、タバコの煙、ダ
ニ、埃等の空気中のエアロゾルによるアレルギー反応に
よって体調を崩し、健康な生活を損なわれているアレル
ギー患者の増大が社会的に大きな問題となっている。こ
のように空気中エアロゾルによるアレルギー疾患は、特
に幼児、老人、さらには他の疾患をこうむっている患者
にとっては深刻な影響を及ぼし、また、通常の成人にお
いてもこれらのアレルギー疾患は、日常生活に大きな支
障をもたらしている。鼻、眼のかゆみや痛み、せき、食
欲不振、不眠、自律神経の失調、うつ病質状態など様々
な病状としてアレルギー反応にる影響があらわれてい
る。

【０００３】このような状況において、薬剤の投与によ
る治療や、免疫増進効果をねらった様々な治療法が試み
られてきているが、決定的に有効とされる手段はいまだ
に見出されていないのが実情である。また、このような
治療とは別に、空気中のエアロゾルへの接触を抑えるた
めのマスク、メガネ等の使用や、さらには家庭内への空
気清浄器の設置などの方策も検討され、それらの防塵具
や装置が各種市販されてもいる。

【０００４】しかし、これらの従来の方策においては、
その空気中のエアロゾルの接触抑制効果は充分でなく、
たとえば就寝中などにおいて、エアロゾル防御をより効
果的に、しかも使用時の抵抗感も少なく、やさしく快適
に使用することのできるものは依然として実現されてい
ない。一方、当然にも、エアロゾルによる影響を排除す
るためには、室内空気のクリーン度を高め、いわるクリ
ーンルーム的に環境を維持することが考えられる。しか
しながら、このようなクリーンルーム化には多額の費用
がかかり、家庭等において使用するのは現実的ではな
い。たとえばこれまでにも病院設備としては無菌ＩＣＵ
ユニット等として周囲と区分したクリーン域を設け、こ
の区域にのみクリーンエアーを供給することが行われて
いる。しかし、この設備は、無菌状態の形成のためのも
ので、病院設備として大がかりで、かつ、極めて高価な
ものである。このため、家庭等において気軽に使用でき
るものではない。

【０００５】実際、これまでは、このようなクリーンル
ームの汎用化は実現されていない。その着想、そしてそ
の具体化すら試みられてきていない。この発明は、以上
の通りの事情に鑑みてなされたものであり、従来の方
法、設備等の課題を解決し、空気中のエアロゾルによる
アレルギー反応を抑え、多くの患者に健康とやすらぎを
与えることができ、家庭において安価に、かつ簡便に使
用することのできる新規なクリーンエアー手段を提供す
ることを目的としている。

【０００６】

【課題を解決するための手段】この発明は、上記の通り
の課題を解決するものとして、フィルターを介したクリ
ーンエアーの供給部と、このクリーンエアーの頭上もし
くはその近傍から足元下の流出部への一方向流路を有
し、帯電防止シートによってその内部域を陽圧に保持し
てなることを特徴とするパーソナルクリーンブースを提
供する。

【０００７】また、この発明は、このようなクリーンブ
ースをベッドの周囲に設けることや、クリーンエア供給
部を、シートによる伸縮可能な吹流し等の配設によって
昇降自在とすること、さらには、軽量組立框体等によっ
て帯電防止シート支持してなることをその態様としても
いる。特に、アレルギーの発作は、就寝初期と、早朝の
目ざめ前に激しいことから、ベッド周囲へのこの発明の
クリーンブースの設置や、頭上へのクリーンエアーの吹
出しを誘導する昇降自在なクリーンエアー供給部の配設
は重要なものである。

【０００８】以下、その具体的構成について実施例とし
て説明する。

【０００９】

【実施例】添付した図面の図１は、ベッド（１）の周囲
をクリーンブース域としたこの発明の態様を例示したも
のである。そして図２はその使用状態を例示したもので
ある。たとえばこの図１および図２に例示したように、
この発明のクリーンブースは、ベッド（１）を囲むよう
に、帯電防止シート（２）によって外部と区分されたク
リーン域（３）を形成しているこの帯電防止シート
（２）は、使用者の心理的抵抗感をやわらげるためにも
その質感がソフトで、透明、あるいは着色したものと
し、組立および解体自在な軽量パイプ（４）による框体
によって支持させることができる。そして、この図１の
ように、出入口部を開閉用チャック（５）によって構成
してもよいし、横移動、あるいは上下移動のカーテン方
式によって構成してもよい。

【００１０】このクリーン域（３）の内部空間には、た
とえば軽量パイプ（４）の框体によって支持固定したＨ
ＥＰＡフィルター装置（６）を介して、外部のダーティ
ーエアーを清浄化した後に供給するようにしている。Ｈ
ＥＰＡフィルター装置（６）には、適宜な場所に設置し
たファン（７）によって送風することができる。帯電防
止シート（２）については、その素材に特段の限定はな
く、いわゆる帯電防止処理をした、塩ビシート、ポリオ
レフィンシート、ナイロンシート、ポリエステルシー
ト、その他各種のものが使用できる。

【００１１】ＨＥＰＡフィルター装置（６）としては、
ＵＬＴＲＡ ＨＥＰＡ等も含み、この発明においては、
0.3μｍエアロゾル99.97 ％除去の能力を持ったもの以
上を好ましく使用することができる。この能力によっ
て、クリーン域（３）外部のダーティーエアー（たとえ
ば約100万個／ft³ 、0.5μｍ）を、このＨＥＰＡフィル
ター装置（６）を通すことによってクリーンエアー（約
100個／ft³ 、0.5μｍ）として、クリーン域（３）に供
給する。

【００１２】ベッド（１）の使用状態を示した図２から
明らかなように、この発明のクリーンブースにおいて
は、上記のＨＥＰＡフィルター装置（６）からのクリー
ンエアーを、頭上もしはその近傍から足元下の流出口
（８）への一方向流れとして流通させる。この一方向流
れはこの発明において欠かせない要件であり、クリーン
エアによるブース形成にとって必須である。しかも、ブ
ース内の気圧を陽圧ともする。

【００１３】クリーンエアーの風速は、たとえば就寝中
では0.1ｍ／sec以下程度とし、ブース内の圧力は、0.1
〜0.5mmＨ₂Ｏ程度とすることができる。この条件によっ
て、クリーン域（３）への外部のダーティーエアーの逆
流を防ぎ、内部のクリーン状態を維持することができ
る。このような風速、そして圧力条件については、自動
的に、あるいは手動によって随時モード変更できる制御
機構を設けることもできる。たとえば、一般モード約３
０分で睡眠前にクリーン化し、おやすみモードで睡眠中
にクリーン状態を保つ。空調機能によってコントロール
することもできる。

【００１４】また、ベッドに使用するカバー（９）を、
発塵を抑えるものとすることにより、さらにブース内の
クリーン度は良好に保たれる。使用者の心理的抵抗感を
緩和するために、シート（２）とともに、カーテンを取
付け、外部の視界を遮断することもできる。たとえば以
上のようなクリーンブースは、どこの家庭においても10
0Ｖの電源さえあれば使用でき、一般家庭用の空気洗浄
器の１０〜100倍のクリーン度を保ち、しかも極めて安
価なものとして提供することができる。

【００１５】もちろん、上記の例のように、ベッド
（１）に限定されることはなく、その他の家具、たとえ
ば勉強机、テーブル等の周囲にこの発明のクリーンブー
スを設置してもよい。そして、照明、その他の機能を高
度化することにより、家庭用として、随時組立設置可能
な、快適な空間として用いることができる。家庭の他、
学校、その他の公共施設等にも随時セットできるように
してもよい。

【００１６】また、さらに、この発明のパーソナルクリ
ーンブースについては、ファン（７）等の工夫により、
ブース内での騒音も超低レベルに抑えることもできる。
図３は、この発明のさらに別の態様を例示したものであ
り、ベッド（１）を囲むように帯電防止シート（２）に
よって外部と区分されたクリーン域（３）に、ＨＥＰＡ
フィルター装置（６）を有するクリーンエア供給部とし
て、たとえば透明樹脂等からなるシートによって形成し
た伸縮もしくは昇降自在としたクリーンエアー吹出し用
の吹流し（１０）を配設した例を示している。

【００１７】この吹流し（１０）によって、クリーンエ
アーを頭上部もしくはその近傍に優先的に誘導すること
ができる。このため、たとえば就寝時の布団の持ち上
げ、その落下によって発生する発塵をより効率的に消去
して清浄化することができる。たとえば以上の通りのこ
の発明のクリーンブースについてさらにその清浄化効果
をより具体的に説明すると、たとえば図１〜２に示した
通りのベッド周囲に設けたクリーンブースにおいては、
人が布団に出入する場合、図４に示したように、５μｍ
の粒子は、布団に入る時（Ａ）には塵埃濃度（布団のそ
で口を３０cm持ち上げ落下させた場合の頭部での濃度）
は急激に増加するが、クリーンエアーの供給吹出し速度
を0.293 ｍ／ｓとする場合は約６分間で、また、0.233
ｍ／ｓとする場合には約９分間でクラス1000の清浄度ま
でクリーンにすることができる。一方、この発明のクリ
ーンブースを用いない場合には、クラス10,000の水準を
超えて清浄化されることはほとんどない。

【００１８】また、同様の条件において、図３に示した
ように、吹流し（１０）を設ける場合には、頭上測定点
（ａ）と、吹流し（１０）出口端部（ｂ）との距離
（Ｈ）を450mm とし、風速0.293 ｍ／ｓとすると、図５
に示したように５μｍ粒子の塵埃濃度は、わずか１０〜
１５秒でクラス1000の水準にまで清浄化される。このよ
うに、この発明のクリーンブースは極めて優れた清浄化
効果を実現する。

【００１９】いずれにしても、この発明は、その細部に
ついては様々な態様が可能であることはいうまでもな
い。

【００２０】

【発明の効果】この発明により、以上詳しく説明した通
り、極めて優れたクリーン度において空気中のエアロゾ
ルの影響を取りのぞき、かつ、簡易かつ安価なパーソナ
ルの設備としてこの発明のクリーンブースが実現され
る。

【図面の簡単な説明】

【図１】この発明のクリーンブスの一例を示した斜視図
である。

【図２】この発明のクリーンブースについてその作用状
態を例示した断面図である

【図３】この発明の吹流し付きのクリーンブースを例示
した断面図である。

【図４】５μｍ粒子の清浄化度を示した測定図である。

【図５】吹流しを付けた場合の５μｍ粒子の清浄化度の
測定図である。

【符号の説明】

１ ベッド ２ 帯電防止シート ３ クリーン域 ４ 軽量パイプ ５ 開閉用チャック ６ ＨＥＰＡフィルター装置 ７ ファン ８ 流出口 ９ ベッドカバー １０ 吹流し

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 篠原 克明 東京都東久留米市幸町３−６−39 (72)発明者 青山 滋之 東京都港区港南４−２−10−402

Claims (8)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 フィルターを介したクリーンエアーの供
   給部と、このクリーンエアーの頭上もしくはその近傍か
   ら足元下の流出部への一方向流路を有し、帯電防止シー
   トによってその内部域を陽圧に保持してなることを特徴
   とするパーソナルクリーンブース。
2. 【請求項２】 軽量組立框体により帯電防止シートを支
   持してなる請求項１のパーソナルクリーンブース。
3. 【請求項３】 ベッド周囲をブースとしてなる請求項１
   または２のパーソナルクリーンブース。
4. 【請求項４】 防塵性専用ベッドカバーを備えてなる請
   求項３のパーソナルクリーンブース。
5. 【請求項５】 シートとともにカーテル取付してなる請
   求項１，２，３または４のパーソナルクリーンブース。
6. 【請求項６】 クリーンエアー供給部の吹出し部を昇降
   自在としてなる請求項１，２，３，４または５のパーソ
   ナルクリーンブース。
7. 【請求項７】 吹出し部をシートによる伸縮によって昇
   降自在としてなる請求項６のパーソナルクリーンブー
   ス。
8. 【請求項８】 空調機構および／または風量モードの手
   動もしくは自動切替え機構を装着してなる請求項１，
   ２，３，４，５，６または７のパーソナルクリーンブー
   ス。