JPH0523070Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本考案は、家具等の引出しのスライド装置の改
良に係わり、更に詳しくは引出しのスライド機構
を簡略化するとともに、家具の奥行幅に応じて各
種奥行寸法に設定した引出しに適用し得る引出し
のスライド装置に関する。

〔従来の技術〕 従来、家具等の両側板の内側面と引出しの両側
板の外側面の何れか一方に案内レールを設け、他
方にローラ又はスライダーを設けると共に、前記
案内レールの適宜位置にストツパーを形成してな
る引出しのスライド装置は各種提供されている。
例えば、昭和54年実用新案出願公告第43948号に
て開示される如く、家具等の本体両側板の各内側
面に、それぞれ前後方向の軌条を設け、該軌条を
引出しの両側面の外側面にそれぞれ設けた凹溝内
にスライド可能に嵌合し、また該凹溝内の後部に
設けたスライダーを前記軌条の前部に形成した段
部に当止可能となしたものが提供されるが、この
種の軌条又は案内レールにあつては、その奥行長
さは引出しの奥行寸法よりも長く設定されるのが
通常であり、その為軌条又は案内レールの長さよ
り奥行幅の大きな家具等の引出しに適用すること
ができず、それぞれの引出しの奥行幅に応じた長
さのものを作成しなければならず、大量生産によ
るコスト低減を目的として同一規格で製造するこ
とができず、更に軌条又は案内レールの後端は家
具の引出し収容空間の内奥に位置するので、該軌
条又は案内レール及びスライダー又はローラ等の
取付作業が頗る困難であるといつた問題を有して
いた。

〔考案が解決しようとする問題点〕

本考案が前述の状況に鑑み、解決しようとする
ところは、構造が簡単で部品点数が少なくしかも
家具等の両側板の内面にきわめて容易に取付ける
ことができるとともに、同一規格の軌条で奥行寸
法が異なる各種の引出しに適用でき、更に通常に
前方へ引き出した場合には抜け止めができるとと
もに、引出しを容易に取り外すことができる引出
しのスライド装置を提供する点にある。

〔問題点を解決する為の手段〕

本考案は、前述の問題解決の為に、家具等の両
側板の前方寄り各内側面の前後方向に、前後端部
の上面を滑動面となすとともに、前方滑動面の後
端から後方にかけて下方への上部傾斜を形成し、
また下部前縁から後方へかけて前記上部傾斜と略
平行な下部傾斜を形成するとともに、前記上部傾
斜の前端より後方でしかも後端よりも前方に位置
する該下部傾斜の終端から上方へ連続した当止面
を有する段部を形成し、該段部から後方の下面を
前記両滑動面と略平行に形成してなる軌条を取付
けてなり、当該軌条を引出し両側板の外側面に形
成した前後方向の凹溝内にスライド可能に嵌合す
るとともに、該凹溝内の後端部下方に前記軌条の
段部に当止し且つ該軌条の下面にスライド可能に
当接し得る突部を形成してなる引出しのスライド
装置を構成した。

〔作用〕

以上の如き内容からなる本考案の引出しのスラ
イド装置は、家具等の両側板の前方寄り各内側面
の前後方向に、引出しの奥行寸法より短軌条を取
付け、該軌条を引出しの両側板の外側面に形成し
た前後方向の凹溝内に位置させて、該軌条の前後
端部上面の滑動面を前記凹溝内上部に当接させて
スライド可能となし、また該軌条の下部に形成し
た当止面を有する段部に、前記引出しの凹溝内の
後端部下方に形成した突部を当止して該引出しの
抜け止めを行うとともに、該引出しを前方へ引き
出した場合に起こる下方傾動を該突部が前記軌条
の段部より後方の下面に当接させて防止し、更に
該引出しを最大限引き出した状態で、引出しの前
部を上方に持ち上げて、引出し後端部の凹溝内上
方を軌条の上部傾斜と、また凹溝内下方を軌条の
下部傾斜と略平行となして、前記段部と突部との
係合関係を解除して該引出しを前方へ取り外しで
きるようにしたものである。

〔実施例〕

次に添付図面に示した実施例に基づき更に本考
案の詳細を説明する。

第１図及び第２図は本考案の代表的実施例を示
したもので、図中１は机やたんす等の家具、２は
前記家具１に取付けられるスライド引き出し可能
な引出し、３は前記引出し２を前後方向へスライ
ド案内する為の軌条をそれぞれ示している。

前記引出し２は、両側に側板４，４を有する通
常のもので、該両側板４，４の各外側面には前後
方向に断面略コ字形の凹溝５，５を形成し、該凹
溝５の前端は前板６の背面で閉止しているが、後
端は開放している。前記軌条３は、第１図及び第
３図に示すように前記引出し２の凹溝５内にスラ
イド可能に嵌合し得る上下幅を有し、該凹溝５の
長さよりも短く設定して滑動性のよい合成樹脂で
一体成形したもので、上面の前後端部には前記凹
溝５内の上方に当接し得る前方滑動面７と後方滑
動面８を形成し、該前方滑動面７の後端の頂部９
から後方略中部にかけて下方へ傾斜した上部傾斜
１０を形成するとともに、該上部傾斜１０の後端
の谷部１１から前記後方滑動面８の前端に連続さ
せた傾斜を形成し、また下部前縁から後方へかけ
て前記上部傾斜１０と略平行な傾斜を有する下部
傾斜１２を形成するとともに、前記上部傾斜１０
の前端の頂部９より後方でしかも後端の谷部１１
よりも前方に位置する該下部傾斜１２の後端から
上方に連続した当止面を有する段部１３を形成
し、更に該段部１３から後方を前記両滑動面７，
８と略平行な下面１４となし、後端部下方には切
欠１５を形成してあり、また前後の側面には取付
孔１６，１６を穿設して構成している。ここで、
本実施例では該軌条３を合成樹脂製としたが、勿
論、金属製又は木製とすることも可能である。

前記軌条３は、家具１の両側板１７，１７の前
方寄り各内側面の前後方向に、前記取付孔１６，
１６に挿通した図示しないネジにより取付け、前
記引出し２の凹溝５，５をスライド可能に嵌合す
るが、該引出し２を前方へ引き出した場合の抜け
止め用及び該引出し２の前部の下方傾動防止用を
兼用した突部１８を、引出し２の両側板４，４の
凹溝５，５内の後端部下方にそれぞれ固定してい
る。該突部１８は、その上方への突出高さを前記
段部１３の高さに略一致させ、即ち前記凹溝５内
の下縁と前記軌条３の下面１４との間に形成され
る間隙よりも僅かに低く設定したもので、前記軌
条３と同様に滑動性のよい合成樹脂で形成すれ
ば、引出し２のスムースな支持案内をすることが
できる。

しかして、前記引出し２の凹溝５，５内に軌条
３，３を嵌合した状態では、第１図に示すよう
に、該軌条３の上面に形成した前方滑動面７と後
方滑動面８で前記凹溝５内の上縁をスライド可能
に支持されており、引出し２を収容した状態では
前記軌条３の先端部が前板６の背面に当接して該
引出し２の後方移動が規制され、この状態で引出
し２の重心位置を後方滑動面８の後端より前方に
なるように該軌条３の長さを設定すれば安定な支
持が可能であり、また引出し２を前方へ引き出す
につれてその重心位置が前方に移動し、その重心
位置が前記前方滑動面７の前端を超える以前に、
前記突部１８の上面が軌条３の下面１４に当接す
るように設定すれば、該引出し２の前部の下方傾
動を防止することができる。また、該引出し２を
前方へ引き出せば、前記突部１８の前端が前記軌
条３の段部１３に当止して前方への抜け止め規制
されるが、該引出し２を取り外す場合には、第４
図に示すように、この該引出し２の前部を上方へ
持ち上げれば、前記軌条３の頂部９を支点として
該引出し２の後部は下方へ回転して下がり、前記
凹溝５内の上縁後端部が該軌条３の谷部１１に接
近して、該凹溝５内の上縁が前記上部傾斜１０と
また下縁が前記下部傾斜１２と略平行になつて、
前記引出し２の突部１８と前記軌条３の段部１３
との係合状態が解除され、この状態で該引出し２
を図中矢印の斜め上方へ引き出せば、前記突部１
８の上面が前記下部傾斜１２の下面に沿つて移動
して、該引出し２を家具１からきわめて容易に取
り外すことができるものである。そして、前記操
作を逆に行えば該引出し２を家具１にスライド可
能にやはりきわめて容易に取付けることができ
る。

〔考案の効果〕

以上にしてなる本考案の引出しのスライド装置
によれば、家具等の両側板の前方寄り各内側面の
前後方向に、前後端部の上面を滑動面となすとと
もに、前方滑動面の後端から後方略中央部にかけ
て下方への上部傾斜を形成し、また下部前縁から
後方へかけて前記上部傾斜と略平行な下部傾斜を
形成するとともに、前記上部傾斜の前端より後方
でしかも後端よりも前方に位置する該下部傾斜の
後端から上方へ連続した当止面を有する段部を形
成し、該段部から後方の下面を前記両滑動面と略
平行に形成してなる軌条を取付けてなり、当該軌
条を引出し両側板の外側面に形成した前後方向の
凹溝内にスライド可能に嵌合するとともに、該凹
溝内の後端部下方に前記軌条の段部に当止し且つ
該軌条の下面にスライド可能に当接し得る突部を
形成してなるので、引出しを前後の滑動面で安定
に支持してスライドさせることができるのみなら
ず、引出し凹溝内の突部と軌条の段部との係合に
より引出しの抜け止めをすることができ、しかも
引出しの取付け及び取り外しを該引出しの前部を
持ち上げるだけで容易に行うことができ、また前
記軌条の長さを引出しの奥行寸法より短く設定で
き、その為家具の両側板への取付けも内側面の前
方寄り位置でよく作業を容易に行うことができ、
しかも各種の奥行寸法の家具の引出し又は一つの
家具で奥行寸法を違えた引出しにも同一規格の軌
条を適用することができて、部品点数が少なくコ
スト面及び部品管理面において非常に経済的であ
り、また引出しにおいても両側板の前後方向に凹
溝を形成し、該凹溝内の後端部下縁に突部を固定
するだけの簡単な構造なので安価に製造すること
ができる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の引出しのスライド装置を示す
縦断面図、第２図は第１図のＡ−Ａ断面図、第３
図は軌条の拡大斜視図、第４図は引出しを前方へ
引き出した状態の縦断面図である。 １……家具、２……引出し、３……軌条、４…
…側板、５……凹溝、６……前板、７……前方滑
動面、８……後方滑動面、９……頂部、１０……
上部傾斜、１１……谷部、１２……下部傾斜、１
３……段部、１４……下面、１５……切欠、１６
……取付孔、１７……側板、１８……突部。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 家具等の両側板の前方寄り各内側面の前後方向
   に、前後端部の上面を滑動面となすとともに、前
   方滑動面の後端から後方にかけて下方への上部傾
   斜を形成し、また下部前縁から後方へかけて前記
   上部傾斜と略平行な下部傾斜を形成するととも
   に、前記上部傾斜の前端より後方でしかも後端よ
   りも前方に位置する該下部傾斜の終端から上方へ
   連続した当止面を有する段部を形成し、該段部か
   ら後方の下面を前記両滑動面と略平行に形成して
   なる軌条を取付けてなり、当該軌条を引出し両側
   板の外側面に形成した前後方向の凹溝内にスライ
   ド可能に嵌合するとともに、該凹溝内の後端部下
   方に前記軌条の段部に当止し且つ該軌条の下面に
   スライド可能に当接し得る突部を形成してなるこ
   とを特徴とする引出しのスライド装置。