JPH05230094A - マイシナマイシン誘導体 - Google Patents

マイシナマイシン誘導体

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JPH05230094A
JPH05230094A JP3944492A JP3944492A JPH05230094A JP H05230094 A JPH05230094 A JP H05230094A JP 3944492 A JP3944492 A JP 3944492A JP 3944492 A JP3944492 A JP 3944492A JP H05230094 A JPH05230094 A JP H05230094A
Authority
JP
Japan
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group
compound
reaction
hydroxyl group
chloroform
Prior art date
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Withdrawn
Application number
JP3944492A
Other languages
English (en)
Inventor
Tatsuro Fujiwara
達郎 藤原
Kenji Takenuki
健二 竹貫
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Asahi Chemical Industry Co Ltd
Original Assignee
Asahi Chemical Industry Co Ltd
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Publication date
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Publication of JPH05230094A publication Critical patent/JPH05230094A/ja
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Abstract

(57)【要約】 【構成】 【化1】 (式中、Aは単結合または酸素原子を示し、Meはメチ
ル基を示す)で表されるマイシナマイシン誘導体または
その塩およびその製造中間体。 【効果】この新規マイシナマイシン誘導体は元の抗生物
質マイシナマイシン類と同等の抗菌作用を有し、ラクト
ン環の2,3位に存在する二重結合を修飾した公知の誘
導体より抗菌作用が著しく優れており、抗菌剤として有
用である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は抗菌剤として有用な新規
マイシナマイシン誘導体またはその塩およびその製造中
間体に関する。
【0002】
【従来の技術】これまで、一般式
【0003】
【化3】
【0004】(式中、Aは単結合または酸素原子を示
し、Meはメチル基を示す)で表される抗生物質マイシ
ナマイシン(Mycinamicin)類(Aが酸素原
子を示す物質をマイシナマイシンI、Aが単結合を示す
物質をマイシナマイシンIVと称する)はミクロモノス
ポラ・グリゼオルビダ(Micromonospora
griseorubida)A11725(微工研条寄
第705号)により生産される抗生物質であって、グラ
ム陽性菌、嫌気性菌およびマイコプラズマなどに対し強
力な抗菌活性を有することが知られており(特開昭54
−148701号)、体内動態も優れた物質であるが、
ラクトン環の2,3位に存在する二重結合を修飾した誘
導体は、該二重結合を還元したヘキサヒドロマイシナミ
シン(特開昭57−18693号)以外は知られていな
い。
【0005】
【発明が解決しようとする問題点】しかしながら、ヘキ
サヒドロマイシナミシンは抗菌活性が元のマイシナマイ
シンIVより劣っており、より優れた活性を有する物質
が求められていた。
【0006】
【課題を解決するための手段】マクロライド抗生物質の
誘導体研究は非常に多数報告されているが、マイシナマ
イシンのごとくラクトン環の2,3位に二重結合を有す
る物質では該二重結合の反応性が乏しく、また他の部位
にも反応性官能基を有するため、該二重結合に水酸基を
選択的に導入することは極めて困難であり、このような
研究は今日まで知られていなかった。
【0007】本発明者らは、前記課題を解決するため、
マイシナマイシン誘導体について鋭意研究を行った結
果、かかる複雑な構造を有する物質の反応性官能基を殆
ど保護することなく、短工程でラクトン環の3位に水酸
基を導入することに成功し、これにより優れた抗菌活性
を有する新規誘導体を見出し、本発明を完成した。すな
わち、本発明は、一般式〔1〕
【0008】
【化4】
【0009】(式中、Aは単結合または酸素原子を示
し、Meはメチル基を示す)で表されるマイシナマイシ
ン誘導体またはその塩を提供するものである。また、本
発明は、前記目的化合物〔1〕の製造中間体として有用
な一般式〔10〕
【0010】
【化5】
【0011】(式中、RおよびQは一方が−SiR1
2 3 または水酸基を、他方が水素原子を示すか、ある
いは一緒にて酸素原子を示し、R1 およびR2 は各々低
級アルキル基を示し、R3 は低級アルコキシ基または置
換基を有していてもよいフェニル基を示し、R4 および
5 は一方が水酸基または保護された水酸基を、他方が
水素原子を示すか、あるいは一緒にて酸素原子を示し、
6 およびR7 は水素原子または水酸基の保護基を示
し、Meはメチル基を示す)で表される化合物またはそ
の塩も提供するものである。
【0012】本発明化合物〔1〕は、例えば、次の方法
により製造することができる。すなわち、マイシナマイ
シンIVの9位カルボニル基を水素化ホウ素アルカリで
還元して得られる一般式〔2〕
【0013】
【化6】
【0014】で表される9−ジヒドロマイシナミシンI
V(特開昭57−18694号)に一般式 (R1 2 3 Si)2 CuLi (式中、R1 およびR2 は各々低級アルキル基、R3
低級アルコキシ基または置換基を有していてもよいフェ
ニル基を示す)で表される化合物を反応させて一般式
〔3〕
【0015】
【化7】
【0016】(式中、R’は−SiR1 2 3 基を示
し、R1 、R2 、R3 およびMeは前記と同じ意味を有
する)で表される化合物を得、該化合物〔3〕の9位の
水酸基を酸化して、一般式〔4〕
【0017】
【化8】
【0018】(式中、R’およびMeは前記と同じ意味
を有する)で表される化合物を得、次いで該化合物
〔4〕の3位のシリル基をフッ素イオンの存在下、酸化
的に脱離せしめることにより、一般式[1a]
【0019】
【化9】
【0020】(式中、Meは前記と同じ意味を有する)
で表される目的化合物として得られる。上記の目的化合
物〔1a〕は3位の水酸基が(S)で表される立体配置
を有しており、以下、このジアステレオマーをS体と称
し、また後記で述べる3位の水酸基が逆の立体配置であ
る化合物〔1b〕をR体と称する。
【0021】原料の9−ジヒドロマイシナミシンIV
は、特開昭57−18694号において公知の化合物で
あり、これに記載の方法によって容易に製造される。化
合物〔3〕の合成は,例えば、J.Chem.Soc.
Perkin Trans.I,1805(1984)
に記載の方法により調製した一般式 (R1 2 3 Si)2 CuLi (式中、R1 、R2 およびR3 は前記と同じ意味を有す
る)で表される化合物を、9−ジヒドロマイシナミシン
IVに対して4〜10当量、好ましくは5〜7当量用
い、無水の不活性有機溶媒、例えばテトラヒドロフラン
(THF)中−80〜0℃、好ましくは−80〜60℃
で反応させることにより行われる。
【0022】上記一般式中、R1 およびR2 として示さ
れる低級アルキル基としては炭素数1〜2の低級アルキ
ル基が好ましく、その具体例としてはメチルおよびエチ
ル基が挙げられるが、メチル基が特に好ましい。また、
3 として示される低級アルコキシ基としては、炭素数
1〜2の低級アルコキシ基が好ましく、その例としては
メトキシおよびエトキシ基が挙げられる。
【0023】さらに、R3 として示される置換基を有し
ていてもよいフェニル基としては、フェニル基または炭
素数1〜2の低級アルコキシ基、ハロゲン原子またはニ
トロ基などで置換されていてもよいフェニル基が挙げら
れる。その例としては、フェニル、4−メトキシフェニ
ル、4−フロロフェニル、4−クロロフェニル、4−ニ
トロフェニル基などが挙げられるが、フェニル基が特に
好ましい。
【0024】上記反応は薄層クロマトグラフィー(TL
C)、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)などの
手段により追跡できるので、化合物〔3〕の収量が最大
になる時点で適宜反応を終了すればよいが、通常は1〜
3時間程度で終了する。この反応においてシリル基は9
−ジヒドロマイシナミシンIVの3位に位置および立体
選択的に導入される。
【0025】化合物〔3〕を反応液から採取するには、
希塩酸などの酸で反応液を中和後、濃縮し、例えば、ク
ロロホルム、ジクロロメタンなどの非親水性有機溶媒で
抽出することにより行われる。このようにして得られた
化合物〔3〕は、更に精製を必要とする場合には、公知
のマクロライド系抗生物質を分離、精製する手段、例え
ば、シリカゲル、活性アルミナ、吸着樹脂などの吸着剤
を用いるカラムクロマトグラフィーまたは分取HPLC
などの手段により行うことが出来る。
【0026】次に、化合物〔3〕の9位の水酸基のカル
ボニル基への酸化は、例えばクロム酸・ピリジン複合体
などの酸化剤を用い、9位アリル水酸基を選択的に酸化
することにより行われる。好ましい酸化剤としては、ピ
リジニウムクロロクロメート(PCC)、ピリジニウム
ジクロメート(PDC)などが挙げられる。通常、該反
応は例えば、含水していてもよいピリジンまたはクロロ
ホルム、ジクロロメタン、ジクロロエタンなどの不活性
有機溶媒中で行われるが、これら溶媒中でクロム酸とピ
リジンより用時調製してもよい。
【0027】上記反応は−10〜50℃、好ましくは0
〜30℃で充分進行する。反応の過程はTLC、HPL
Cなどの手段により追跡できるので、化合物〔4〕の収
量が最大になる時点で適宜反応を終了すればよい。通常
は0.5〜2時間程度で終了する。化合物〔4〕を反応
液から採取するには、反応液を水に注ぎ、例えば、クロ
ロホルム、ジクロロメタンなどの非親水性有機溶媒で抽
出することにより行われる。このようにして得られた化
合物〔4〕は、更に精製を必要とする場合には、前記と
同様に公知のマクロライド系抗生物質を分離、精製する
手段により行うことが出来る。
【0028】次に、化合物〔4〕のシリル基を酸化的に
脱離せしめ、目的とする化合物〔1a〕に変換する反応
は、例えば、下記の連続した3工程により行われる。す
なわち、第一の工程は化合物〔4〕を例えば、HBF4
・(C2 5 2 O、BF3 ・2CH3 COOHまたは
トリフロロ酢酸の存在下KHF2 と親水性有機溶媒中で
反応させるか、または酢酸中、酢酸水銀の存在下KHF
2 と反応させることにより行われるが、酢酸中、2〜5
当量の酢酸水銀の存在下4〜10当量のKHF2 と反応
させる方法が好ましい。
【0029】上記反応は0〜50℃、好ましくは10〜
30℃で充分進行する。反応の過程はTLC、HPLC
などの手段により追跡できるので、目的化合物の収量が
最大になる時点で適宜反応を終了すればよい。通常は6
〜48時間程度で終了する。このようにして得られる化
合物は単離、精製することなく次の工程に供する。第二
工程は、上記反応液をアルカリで中和し、例えばクロロ
ホルム、ジクロロメタンなどの非親水性有機溶媒で抽出
した有機層を乾燥、濃縮し、例えばTHF、メタノール
などの親水性有機溶媒中、例えば炭酸水素カリウムなど
の炭酸水素アルカリおよびフッ化アルカリ、好ましくは
フッ化カリウムなどの存在下、例えばm−クロロ過安息
香酸などの有機過酸または過酸化水素などの酸化剤で処
理することにより行われる。
【0030】上記工程においては、炭酸水素アルカリ及
びフッ化アルカリを各々4〜10当量、酸化剤は2〜4
当量用いるのが好ましい。反応温度は通常0〜30℃で
充分に進行する。反応の過程はTLC、HPLCなどの
手段により追跡できるので、目的化合物の収量が最大に
なる時点で適宜反応を終了すればよい。通常は1〜4時
間程度で終了する。
【0031】このようにして得られる化合物は、反応液
から前記と同様の方法で抽出し、単離、精製することな
く次の工程に供する。上記反応では目的とする化合物
〔1a〕がN−オキシドの形で得られるので、次の第三
工程によりN−オキシドを還元して化合物〔1a〕を得
る。すなわち、第二工程で得られた化合物を、例えばク
ロロホルム、ジクロロメタン、ジクロロエタン、ベンゼ
ン、トルエンなどの有機溶媒中で亜リン酸トリエステ
ル、例えば亜リン酸トリメチル、亜リン酸トリエチル、
亜リン酸トリフェニルなどで還元するか、または前記反
応が終了後、亜硫酸ナトリウムなどで過剰の酸化剤を分
解したのち、同反応液に亜リン酸トリエステルを加えて
還元を行うことにより目的化合物〔1a〕を得ることが
できる。
【0032】上記工程においては、亜リン酸トリエステ
ルを1〜2当量用いるのが好ましい。反応温度は、通常
室温から反応溶媒の沸点の範囲の温度で充分に進行す
る。反応の過程はTLC、HPLCなどの手段により追
跡できるので、目的化合物〔1a〕の収量が最大になる
時点で適宜反応を終了すればよい。通常は1〜6時間程
度で終了する。
【0033】このようにして得られる目的化合物〔1
a〕は、反応液から前記と同様の方法で抽出、単離、精
製することができる。上記目的化合物〔1a〕は3位の
水酸基の立体配置が(S)である化合物、すなわちS体
として得られるが、3位の水酸基の立体配置が逆のR体
は、例えば、以下に記載する方法により製造することが
できる。
【0034】すなわち、化合物〔1a〕の2’位および
4”位の水酸基を低級アルカノイル基で保護した、一般
式〔5〕
【0035】
【化10】
【0036】(式中、R6 およびR7 は各々水酸基の保
護基を示し、Meはメチル基を示す)で表される化合物
の9位のカルボニル基をセリウム族またはアルカリ土類
金属の塩の存在下、水素化ホウ素アルカリで立体選択的
に還元して一般式〔6〕
【0037】
【化11】
【0038】(式中、R6 、R7 およびMeは前記と同
じ意味を有する)で表される化合物を得、該化合物
〔6〕の9位の水酸基を水酸基の保護基で選択的に保護
して一般式〔7〕
【0039】
【化12】
【0040】(式中、R8 は水酸基の保護基を示し、R
6 、R7 およびMeは前記と同じ意味を有する)で表さ
れる化合物〔7〕を得、該化合物〔7〕の3位の水酸基
を酸化して、一般式〔8〕
【0041】
【化13】
【0042】(式中、R6 、R7 、R8 およびMeは前
記と同じ意味を有する)で表される化合物〔8〕を得、
該化合物〔8〕を水素化ホウ素アルカリで還元した後、
水酸基の保護基を脱離せしめて一般式
〔9〕
【0043】
【化14】
【0044】(式中、Meは前記と同じ意味を有する)
で表される化合物
〔9〕を得、該化合物
〔9〕の9位の
水酸基のみを選択的に酸化して、S体の前記目的化合物
〔1a〕およびR体の一般式〔1b〕
【0045】
【化15】
【0046】で表される目的化合物〔1b〕の混合物が
得られ、該混合物を分離、精製して目的化合物〔1b〕
を得ることができる。以下順に、各工程を説明する。化
合物〔1a〕の2’位および4”位の水酸基の保護は、
次のようにして行われる。すなわち、化合物〔1a〕
を、例えばアセトン、アセトニトリル、ジクロロメタン
などの不活性有機溶媒中、0.1〜0.2当量の4−ジ
メチルアミノピリジン(DMAP)の存在下、2〜10
当量の炭素数2〜3の低級脂肪酸無水物、例えば無水酢
酸などと、0〜50℃で1〜24時間程度反応させるこ
とにより行われる。反応の過程はTLC、HPLCなど
の手段により追跡できるので、目的化合物の収量が最大
になる時点で適宜反応を終了すればよい。
【0047】このようにして得られる化合物〔5〕は、
反応液から前記と同様の方法により単離、精製すること
ができる。化合物〔5〕の9位のカルボニル基を立体選
択的に還元するには、メタノール中、1〜2当量のセリ
ウム族またはアルカリ土類金属の塩、例えば、CeCl
3またはCaCl2 などの存在下、1〜2当量の水素化
ホウ素アルカリ、例えば水素化ホウ素ナトリウムと反応
させることにより行われる。
【0048】上記反応は−40℃から室温で充分進行
し、0.5〜2時間程度で完結するが、反応の過程はT
LC、HPLCなどの手段により追跡できるので、目的
とする化合物〔6〕の収量が最大になる時点で適宜反応
を終了すればよい。このようにして得られる化合物
〔6〕は、反応液から前記と同様の方法により単離、精
製することができる。上記反応で得られた化合物〔6〕
の9位の水酸基は(S)で表される立体配置を有する。
化合物〔6〕の9位の水酸基の保護は次の方法により行
われる。すなわち、化合物〔6〕を例えば,N,N−ジ
メチルホルムアミド(DMF)中、1〜2当量のt−ブ
チルジメチルシリル(TBDMS)クロリドと反応させ
ることにより、9位の水酸基が選択的に保護された化合
物〔7〕を得ることができる。
【0049】上記反応は好ましくは、0℃から室温で、
1〜4時間程度行われるが、反応の過程はTLC、HP
LCなどの手段により追跡できるので、目的とする化合
物〔7〕の収量が最大になる時点で適宜反応を終了すれ
ばよい。このようにして得られる化合物〔7〕は、反応
液から前記と同様の方法単離、精製することができる。
【0050】化合物〔7〕の3位の水酸基の酸化は、水
酸基を酸化する公知の方法により行われるが、例えばピ
リジン・トリフロロ酢酸を触媒としN,N’−ジシクロ
ヘキシルカルボジイミド(DCC)、ジメチルスルホキ
シド(DMSO)を用いるMoffatt酸化が特に好
ましい。上記反応は不活性有機溶媒中、好ましくは、0
℃から室温で、1〜4時間程度行われる。好ましい不活
性有機溶媒としては、例えばベンゼン、トルエン、ジク
ロロメタン、ジクロロエタンなどが挙げられる。反応の
過程はTLC、HPLCなどの手段により追跡できるの
で、目的とする化合物〔8〕の収量が最大になる時点で
適宜反応を終了すればよい。
【0051】このようにして得られる化合物〔8〕は、
反応液から前記と同様の方法により単離、精製すること
ができる。上記で得られた化合物〔8〕を水素化ホウ素
アルカリで還元した後、水酸基の保護基を脱離せしめ、
化合物
〔9〕を得る工程は下記のごとく行われる。すな
わち、化合物〔8〕を例えば、メタノール、エタノー
ル、2−プロパノール、t−ブタノールなどの低級アル
コール、THFまたはこれらの混合溶媒中、1〜2当量
の水素化ホウ素アルカリ、例えば水素化ホウ素ナトリウ
ムと反応させる。反応は好ましくは、−20℃から室温
で、1〜24時間程度行われるが、反応の過程はTL
C、HPLCなどの手段により追跡できるので、目的と
する生成物の収量が最大になる時点で適宜反応を終了す
ればよい。
【0052】このようにして得られた生成物は特に単
離、精製することなく、次の工程に供することができ
る。すなわち、上記生成物をメタノールなどの低級アル
コール、特に好ましくはメタノール中で、室温から溶媒
の沸点の範囲の温度に加熱して、2’位の水酸基の保護
基を脱離せしめた後、反応液に塩基を加え、0〜50℃
で4”位の水酸基の保護基を脱離する。好ましい塩基と
しては、例えばトリエチルアミンなどの有機塩基や炭酸
カリウムなどの無機塩基が挙げられる。
【0053】上記反応は6〜48時間程度で完結する
が、各反応の過程はTLC、HPLCなどの手段により
追跡できるので、目的とする化合物
〔9〕の収量が最大
になる時点で適宜反応を終了すればよい。このようにし
て得られた生成物は必要に応じて前記と同様の方法によ
り単離、精製することができる。
【0054】上記で得られた生成物の9位の水酸基の保
護基を脱離する工程は、次のように行われる。すなわ
ち、アセトニトリル、THFなどの親水性有機溶媒中、
例えば塩酸などの無機酸やトリフロロ酢酸などの有機酸
と反応させることにより行われるが、酸は2〜10当量
用いるのが好ましい。
【0055】上記反応は0℃から室温で、1〜6時間程
度行われるが、反応の終了の確認および目的化合物の単
離、精製は前記と同様に行うことができる。このように
して得られた生成物は、化合物〔3〕から化合物〔4〕
を得る工程と同様にクロム酸・ピリジンを用いて9位の
水酸基のみを選択的に酸化し、R体の目的化合物〔1
b〕をS体〔1a〕との混合物として得ることができ
る。
【0056】このようにして得られたR体及びS体の混
合物から目的化合物〔1b〕を分離、精製するには、分
取HPLC、カラムクロマトグラフィーなどのマクロラ
イド系抗生物質を分離、精製する公知の手段により行う
ことができる。また、一般式〔1〕においてAが酸素原
子である化合物は、Aが単結合である化合物すなわち化
合物〔1a〕または〔1b〕を、有機過酸で酸化し、前
記と同様にN−オキシドを還元することにより、各々一
般式〔1c〕
【0057】
【化16】
【0058】(式中、Meはメチル基を示す)で表され
る目的化合物および一般式〔1d〕
【0059】
【化17】
【0060】(式中、Meはメチル基を示す)で表され
る目的化合物を得ることができる。上記反応は、例えば
ジクロロメタン、ジクロロエタン、クロロホルムなどの
不活性有機溶媒中、例えばm−クロロ過安息香酸などの
有機過酸と処理することにより行われるが、有機過酸は
2〜4当量用い、室温から溶媒の沸点の範囲で反応させ
るのが好ましい。反応は6〜24時間程度で完了する
が、反応の過程はHPLC等の分析手段により追跡でき
るので、目的とする目的化合物の収量が最大になる時点
で適宜反応を終了すればよい。
【0061】上記反応液は、ハイドロサルファイトなど
の還元剤で処理するか、亜硫酸ナトリウムなどで過剰の
有機過酸を分解した後、前記化合物〔4〕から目的化合
物〔1a〕を得る工程と同様に、亜リン酸トリエステル
と処理し、前記と同様の手段で分離、精製することによ
り目的化合物〔1c〕および〔1d〕を得ることができ
る。
【0062】本発明化合物〔1〕、すなわち化合物〔1
a〕、〔1b〕、〔1c〕および〔1d〕の塩として
は、医薬上許容できる塩であれば良く、このような塩と
しては例えば、塩酸、硫酸、リン酸などの無機酸との
塩、酢酸、プロピオン酸、酒石酸、クエン酸、コハク
酸、リンゴ酸、アスパラギン酸、グルタミン酸、p−ト
ルエンスルホン酸などの有機酸との塩が挙げられる。
【0063】
【発明の効果】次に、本発明化合物〔1〕の各種細菌
(約106 個/ml)に対する抗菌作用を、最小発育阻
止濃度(MIC,μg/ml)で測定した。その結果を
表1に示す。なお、表中の本発明化合物の薬剤名は、後
記実施例番号で示した。
【0064】
【表1】
【0065】上記のとおり、本目的化合物〔1〕は強力
な抗菌活性を有し、抗菌剤として有用である。また、本
発明化合物〔10〕、すなわち、化合物〔3〕、
〔4〕、〔5〕、〔6〕、〔7〕、〔8〕および化合物
〔9〕は、本目的化合物〔1〕を誘導する製造中間体と
して有用である。
【0066】
【実施例】以下、実施例を挙げて本発明をさらに詳細に
説明するが、これにより本発明を限定されるものではな
い。
【0067】
【参考例】
9−デオキソ−9−ヒドロキシマイシナマイシンIV:
マイシナマイシンIV(37.4g,53.7mmo
l)をメタノール(400ml)に溶解し、CeCl3
・7H2 O(20g,53.7mmol)を加え、氷冷
下、水素化ホウ素ナトリウム(2g,53.7mmo
l)を徐々に加え、氷冷下2時間攪拌した。反応液に1
N塩酸を加え、pHを5〜6に調整した後、反応液を約
100mlに濃縮し、クロロホルム300mlと水30
0mlを加え、分液した。水層をクロロホルム300m
lで更に2回抽出した。抽出液を無水硫酸ナトリウムで
乾燥し、減圧濃縮した後、シリカゲル(300g,Me
rckArt.9385)を用いるカラムクロマトグラ
フィー(クロロホルム:メタノ−ル=50:1で溶出)
により精製し、9−デオキソ−9−ヒドロキシマイシナ
マイシンIV(32.2g,86%)を泡状物質として
得た。
【0068】UV;λmax(エタノール)215,2
33(sh)nm FAB−Mass;m/z 698(MH+ ) NMR(CDCl3 );δ 0.94(t,3H)、
1.01(d,3H),1.02(d,3H)、1.1
9(d,3H)、1.25(d,3H)、1.26
(d,3H)、2.33(s,6H,N(C
3 2 )、3.05(dd,1H,2”−H)、3.
19(dd,1H,4”−H)、3.31(dd,1
H)、3.38(dd,1H)、3.52(s,3H,
2”−OCH3 )、3.62(s,3H,3”−OCH
3 )、3.75(t,1H,3”−H)、3.92
(m,1H,9−H)、4.00(dd,1H)、4.
29(d,1H,1’−H)、4.56(d,1H,
1”−H)、4.92(dt,1H,15−H)、5.
55(dd,1H,13−H)、5.74(d,1H,
2−H)、5.75(dd,1H,10−H)、6.0
0(dd,1H,12−H)、6.17(dd,1H,
11−H)、6.75(dd,1H,3−H)
【0069】
【実施例1】 3(S)−2,3−ジヒドロ−3−ヒドロキシマイシナ
マイシンIV: (1)クロロジメチルフェニルシラン(43ml,25
0mmol)を乾燥テトラヒドロフラン(THF)35
0mlに溶解し、これにリチウム(5.5g,786m
mol)切片を加え、室温で2昼夜攪拌した。反応液を
カニューレを用いて−40℃に冷却したヨウ化銅(5
g,26mmol)に滴下し、4時間攪拌した。反応液
を−78℃に冷却し、9−デオキソ−9−ヒドロキシマ
イシナマイシンIV(16.8g,24mmol)の乾
燥THF溶液100mlを滴下した。2時間30分攪拌
した後、1N塩酸を反応液に加え弱酸性とし、次いで2
Nアンモニア水を加えアルカリ性とした。クロロホルム
500mlと水500mlを加え分液し、水層をクロロ
ホルム300mlで更に2回抽出した。抽出液を無水硫
酸ナトリウムで乾燥し、減圧濃縮した後シリカゲル(2
00g,MerckArt.9385)を用いるカラム
クロマトグラフィー(クロロホルム:メタノ−ル=5
0:1で溶出)により精製し、9−デオキソ−2,3−
ジヒドロ−3−ジメチルフェニルシリル−9−ヒドロキ
シマイシナマイシンIV(16.8g,84%)を泡状
物質として得た。
【0070】UV;λmax(エタノール)222,2
30(sh)nm FAB−Mass;m/z 834(MH+ ) NMR(CDCl3 );δ 0.36(s,3H,Si
−CH3 )、0.40(s,3H,Si−CH3 )、
0.89(d,3H)、0.89(t,3H)、0.9
3(d,3H)、0.97(d,3H),1.20
(d,3H)、1.26(d,3H)、2.27(s,
6H,N(CH3 2 )、3.04(dd,1H,2”
−H)、3.51(s,3H,2”−OCH3 )、3.
61(s,3H,3”−OCH3 )、3.75(t,1
H,3”−H)、3.92(dd,1H)、4.15
(m,1H)、4.54(d,1H,1”−H)、4.
92(dt,1H,15−H)、5.66(dd,1
H,13−H)、5.75(dd,1H,10−H)、
5.95(dd,1H,12−H)、6.15(dd,
1H,11−H)、7.35(m,3H)、7.53
(m,2H)
【0071】(2)三酸化クロム(6g,60mmo
l)を水6mlに溶解し、氷冷下ピリジン(24ml)に滴下
した。上記で得た9−デオキソ−2,3−ジヒドロ−3
−ジメチルフェニルシリル−9−ヒドロキシマイシナマ
イシンIV(4.5g,5.4mmol)のピリジン溶
液(10ml)を反応液に加え、室温で1時間30分攪
拌した。クロロホルム300ml、水300mlを加え
分液し、クロロホルム層を酢酸酸性水、亜硫酸ナトリウ
ム水溶液で洗浄した。クロロホルム層を無水硫酸ナトリ
ウムで乾燥し、減圧濃縮した後、シリカゲル(100
g,MerckArt.9385)を用いるカラムクロ
マトグラフィー(クロロホルム:メタノ−ル=50:1
で溶出)により精製し2,3−ジヒドロ−3−ジメチル
フェニルシリルマイシナマイシンIV(3.2g,71
%)を飴状物質として得た。
【0072】UV;λmax(エタノール)274,2
15(sh)nm FAB−Mass;m/z 832(MH+ ) NMR(CDCl3 );δ 0.33(s,3H,Si
−CH3 )、0.37(s,3H,Si−CH3 )、
0.91(t,3H)、0.96(d,3H)、1.0
2(d,3H)、1.07(d,3H)、1.21
(d,3H)、1.26(d,3H)、2.27(s,
6H,N(CH3 2 )、3.04(dd,1H,)、
3.19(dd,1H)、3.49(s,3H,2”−
OCH3 )、3.61(s,3H,3”−OCH3 )、
3.75(t,1H,3”−H)、3.96(dd,1
H)、4.54(d,1H,1”−H)、4.88(d
t,1H)、5.88(dd,1H)、6.03(d
d,1H)、6.09(d,1H,10−H)、6.9
3(dd,1H,11−H)、7.35(m,3H)、
7.49(m,2H) (3)2,3−ジヒドロ−3−ジメチルフェニルシリル
マイシナマイシンIV(7.5g,9.0mmol)を
酢酸75mlに溶解し、酢酸水銀(8.6g,27mm
ol)とKHF2 (3.5g,45mmol)を加え、
室温で16時間攪拌した。クロロホルム100ml、水
100mlを加え、水層のpHを1N水酸化ナトリウム
および炭酸水素ナトリウム水溶液で9〜10に調整した
後、分液し、水層をクロロホルム100mlで更に2回
抽出した。クロロホルム層を無水硫酸ナトリウムで乾燥
し減圧濃縮した後、メタノ−ル50ml、THF50m
lの混合溶媒に溶解し、炭酸水素カリウム(4.5g,
45mmol)、フッ化カリウム(2.1g,36mm
ol)および30%過酸化水素水(3ml,26mmo
l)を加えて室温で2時間攪拌した。
【0073】反応液に亜硫酸ナトリウム(2.5g,2
0mmol)を加えて30分間攪拌したのちクロロホル
ム100ml、水100mlを加え分液した。水層をク
ロロホルム100mlで更に2回抽出し、クロロホルム
層を無水硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧濃縮した。得ら
れた生成物をジクロロメタン50mlに溶解し、亜リン
酸トリフェニル(3ml,11.4mmol)を加え室
温で2時間攪拌した。反応液を減圧濃縮し、シリカゲル
(100g,Merck Art.9385)を用いる
カラムクロマトグラフィー(クロロホルム:メタノ−ル
=50:1で溶出)により精製して目的の3(S)−
2,3−ジヒドロ−3−ヒドロキシマイシナマイシンI
V(2.1g,33%)を泡わ状物質として得た。
【0074】UV;λmax(エタノール)274nm FAB−Mass;m/z 714(MH+ ) HRFAB−Mass;C376412N(714.44
45) Found714.4438 NMR(CDCl3 );δ 0.92(t,3H,16
−CH3 )、1.01(d,3H,6−CH3 )、1.
04(d,3H,4−CH3 )、1.16(d,3H,
8−CH3 )、1.24(d,3H,5’−CH3 )、
1.26(d,3H,5”−CH3 )、1.44(m,
1H,6−H)、2.29(s,6H,N(C
3 2 )、2.43(m,2−H)、2.61(m,
1H,14−H)、2.68(m,1H,8−H)、
3.03(dd,1H,2”−H)、3.18(dd,
1H,4”−H)、3.23(dd,1H,2’−
H)、3.49(s,3H,2”−OCH3 )、3.6
1(s,3H,3”−OCH3 )、3.68(dd,1
H,5−H)、3.75(t,1H,3”−H)、3.
78(m,3−H)、3.98(dd,1H)、4.2
2(d,1H,J=7.3Hz,1’−H)、 4.5
5(d,1H,J=7.6Hz,1”−H)、4.98
(dt,1H,15−H)、6.05(dd,1H,J
=15,9.6Hz,13−H)、6.20(dd,1
H,J=15,10.6Hz,12−H)、6.38
(d,1H,J=15.5Hz,10−H)、7.12
(dd,1H,J=15.5,10.6Hz,11−
H)13 C NMR(CDCl3 );δ 38.8(t,C−
2)、42.3(d,C−4)、69.2(d,C−
3)、83.7(d,C−5) HPLC;5.8分(Merck,LiChroCAR
T 125−4,ODS−5,0.02M NaH2
4 :メタノール=35:65,0.8ml/分,35
℃)
【0075】
【実施例2】 3(R)−2,3−ジヒドロ−3−ヒドロキシマイシナ
マイシンIV: (1)実施例1で得た3(S)−2,3−ジヒドロ−3
−ヒドロキシマイシナマイシンIV(1.6g,2.2
4mmol)をジクロロメタン20mlに溶解し、これ
に無水酢酸(1.06ml,11.2mmol)および
DMAP(55mg,0.45mmol)を加え、室温
で1時間攪拌した。反応液に7%アンモニア水を加えて
過剰の無水酢酸を分解した後、分液した。有機層を希塩
酸,希アンモニア,飽和食塩水の順で洗浄した後、無水
硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧濃縮して3(S)−
2’,4”−ジ−O−アセチル−2,3−ジヒドロ−3
−ヒドロキシマイシナマイシンIV(1.73g,97
%)を泡状物質として得た。
【0076】UV;λmax(エタノール)274nm FAB−Mass;m/z 798(MH+ ) NMR(CDCl3 );δ 2.09(s,3H,2’
−OCOCH3 )、2.11(s,3H,4”−OCO
CH3 )、2.26(s,6H,N(CH3 2 )、
3.49(s,3H,2”−OCH3 )、3.53
(s,3H,3”−OCH3 )、4.27(d,1H,
1’−H)、4.45(dd,1H,4”−H)、4.
63(d,1H,1”−H)、4.78(dd,1H,
2’−H)(2)上記で得た3(S)−2’,4”−ジ
−O−アセチル−2,3−ジヒドロ−3−ヒドロキシマ
イシナマイシンIV(1.73g,2.17mmol)
をメタノール20mlに溶解し、これにCeCl3 ・7
2 O(0.81g,2.17mmol)を加えた。反
応液を−40℃に冷却下、水素化ホウ素ナトリウム(1
64mg,4.34mmol)を徐々に加え−40℃で
30分間攪拌した。反応液に1N塩酸を加え、pHを5
〜6に調整した後反応液にクロロホルム20mlと水2
0mlを加え分液した。水層をクロロホルム20mlで
更に2回抽出した。抽出液を無水硫酸ナトリウムで乾燥
し、減圧濃縮した後、シリカゲル(40g,Merck
Art.9385)を用いるカラムクロマトグラフィ
ー(トルエン:アセトン=10:1〜8:1で溶出)に
より精製し3(S),9(S)−2’,4”−ジ−O−
アセチル−9−デオキソ−2,3−ジヒドロ−3,9−
ジヒドロキシマイシナマイシンIV(1.35g,78
%)を泡状物質として得た。
【0077】UV;λmax(エタノール)231nm FAB−Mass;m/z 800(MH+ ) (3)3(S),9(S)−2’,4”−ジ−O−アセ
チル−9−デオキソ−2,3−ジヒドロ−3,9−ジヒ
ドロキシマイシナマイシンIV(1.0g,1.25m
mol)をDMF10mlに溶解し、これにイミダゾ−
ル(255mg,3.75mmol)およびt−ブチル
ジメチルシリルクロリド(TBDMSCl)(470m
g,3.1mmol)を加えて室温で45分間攪拌し
た。反応液を水20mlに注ぎ、クロロホルム50ml
で抽出した。水層をクロロホルム20mlで更に2回抽
出し、有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥し,減圧濃縮
した後、シリカゲル(20g,Merck Art.9
385)を用いるカラムクロマトグラフィー(トルエ
ン:アセトン=15:1〜10:1で溶出)により精製
し3(S),9(S)−2’,4”−ジ−O−アセチル
−9−t−ブチルジメチルシリルオキシ−9−デオキソ
−2,3−ジヒドロ−3−ヒドロキシマイシナマイシン
IV(988mg,85%)を泡状物質として得た。
【0078】UV;λmax(エタノール)232nm FAB−Mass;m/z 914(MH+ ) NMR(CDCl3 );δ −0.04(s,3H,S
i−CH3 )、0.02(s,3H,Si−CH3 )、
0.80(d,3H)、0.90(s,9H,Si−C
(CH3 3 )、0.90(t,3H)、0.92
(d,3H)、0.97(d,3H)、1.18(d,
3H)、1.24(d,3H)、2.05(s,3H,
2’−OCOCH3 )、2.11(s,3H,4”−O
COCH3 )、2.28(s,6H,N(C
3 2 )、3.50(s,3H,2”−OCH 3 )、
3.53(s,3H,3”−OCOCH3 )、3.76
(m,1H,9−H)、4.32(d,1H,1’−
H)、4.44(dd,1H,4”−H)、4.59
(d,1H,1”−H)、4.84(dd,1H,2’
−H)、4.98(dt,1H)、5.57(dd,1
H)、5.86(dd,1H)、6.08(dd,1
H)、6.29(dd,1H)
【0079】(4)上記で得た3(S),9(S)−
2’,4”−ジ−O−アセチル−9−t−ブチルジメチ
ルシリルオキシ−9−デオキソ−2,3−ジヒドロ−3
−ヒドロキシマイシナマイシンIV(980mg,1.
07mmol)を乾燥ベンゼン10mlに溶解し、これ
にDMSO(0.75ml,10.6mmol)、DC
C(435mg,2.1mmol)およびピリジニュウ
ム トリフルオロアセテート(225mg,1.16m
mol)を加えて室温で2時間攪拌した。析出物を濾過
し、濾液にクロロホルム20mlおよび希アンモニア水
を加え分液した。水層をクロロホルム20mlで更に2
回抽出し、有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧
濃縮した後、シリカゲル(20g,Merck Ar
t.9385)を用いるカラムクロマトグラフィー(ト
ルエン:アセトン=15:1〜10:1で溶出)により
精製し9(S)−2’,4”−ジ−O−アセチル−9−
t−ブチルジメチルシリルオキシ−9−デオキソ−2,
3−ジヒドロ−3−オキソマイシナマイシンIV(76
0mg,78%)を泡状物質として得た。
【0080】UV;λmax(エタノール)232nm FAB−Mass;m/z 912(MH+ ) (5)9(S)−2’,4”−ジ−O−アセチル−9−
tブチルジメチルシリルオキシ−9−デオキソ−2,3
−ジヒドロ−3−オキソマイシナマイシンIV(760
mg,0.83mmol)をメタノ−ル7.6mlに溶
解し、これに水素化ホウ素ナトリウム(63mg,1.
67mmol)を徐々に加え、0〜5℃で30分間攪拌
した。
【0081】反応液にクロロホルム20mlと水20m
lを加え分液した。水層をクロロホルム20mlで更に
2回抽出した。有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥し、
減圧濃縮した後、メタノ−ル15mlに溶解し、55℃
で16時間攪拌した。反応液を冷却し、10%炭酸カリ
ウム水溶液1.5mlを加えて室温で1時間攪拌した。
反応液にクロロホルム20mlと水20mlを加え分液
した。水層をクロロホルム20mlで更に2回抽出し
た。
【0082】有機層を飽和食塩水で洗浄した後、無水硫
酸ナトリウムで乾燥し、減圧濃縮した。得られた生成物
をアセトニトリル15ml、水10mlの混合溶媒に溶
解し、トリフロロ酢酸(0.64ml,8.3mmo
l)を加えて室温で1.5時間攪拌した。反応液を希ア
ンモニア水に注ぎ、クロロホルム50mlで抽出した。
水層をクロロホルム20mlで更に2回抽出し、有機層
を飽和食塩水で洗浄した後、無水硫酸ナトリウムで乾燥
し、減圧濃縮して、9−デオキソ−2,3−ジヒドロ−
3,9−ジヒドロキシマイシナマイシンIV(377m
g,63%)をジアステレオマ−混合物として得た。
【0083】FAB−Mass;m/z 716(MH
+ ) (6)三酸化クロム(0.6g,6mmol)を水6m
lに溶解し、これを氷冷下ピリジン2.4mlに滴下し
た。上記で得た9−デオキソ−2,3−ジヒドロ−3,
9−ジヒドロキシマイシナマイシンIV(375mg,
0.52mmol)のピリジン溶液(1ml)を上記の
反応液に加え、室温で1時間30分攪拌した。クロロホ
ルム30ml、水30mlを加え分液し、クロロホルム
層を酢酸酸性水、亜硫酸ナトリウム水溶液で洗浄した。
クロロホルム層を無水硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧濃
縮した後、シリカゲル(10g,Merck Art.
9385)を用いるカラムクロマトグラフィー(クロロ
ホルム:メタノ−ル=50:1で溶出)により精製し3
(R)−2,3−ジヒドロ−3−ヒドロキシマイシナマ
イシンIVを含む画分を濃縮乾固した。得られた生成物
(207mg)は分取HPLC(Merck,Lich
rosorb ODS−5,500mm×20mm
i.d.,0.02M NaH2 PO4 :メタノール=
35:65)で精製し、目的とする3(R)−2,3−
ジヒドロ−3−ヒドロキシマイシナマイシンIV(83
mg)を得た。
【0084】UV;λmax(エタノール)282nm FAB−Mass;m/z 714(MH+ ) NMR(CDCl3 );δ 0.92(t,3H,16
−CH3 )、1.06(d,3H,6−CH3 )、1.
12(d,3H,4−CH3 )、1.14(d,3H,
8−CH3 )、1.23(d,3H,5’−CH3 )、
1.26(d,3H,5”−CH3 )、2.08(d
d,1H,2−Hb)、2.27(s,6H,N(CH
3 2 )、2.58(dd,2−Ha)、3.03(d
d,1H,2”−H)、3.18(dd,1H,4”−
H)、3.22(dd,1H,2’−H)、3.50
(s,3H,2”−OCH3 )、3.62(s,3H,
3”−OCH3 )、3.75(t,1H,3”−H)、
3.83(d,3−H)、4.01(dd,1H)、
4.25(d,1H,J=7.3Hz,1’−H)、
4.56(d,1H,J=7.9Hz,1”−H)、
4.93(dt,1H,15−H)、6.10(m,2
H,12−H,13−H)、6.27(d,1H,J=
15.2Hz,10−H)、7.32(dd,1H,1
1−H) HPLC;4.6分(Merck,LiChroCAR
T 125−4,ODS−5,0.02M NaH2
4 :メタノール=35:65,0.8ml/分,35
℃)
【0085】
【実施例3】 3(S)−2,3−ジヒドロ−3−ヒドロキシマイシナ
マイシンI:実施例1で得た3(S)−2,3−ジヒド
ロ−3−ヒドロキシマイシナマイシンIV(71mg,
0.1mmol)をジクロロメタン2mlに溶解し、こ
れにm−クロロ過安息香酸(100mg,0.6mmo
l)を加えて室温で16時間攪拌した。反応液に亜硫酸
ナトリウム(76mg,0.6mmol)を加えて30
分間攪拌したのちクロロホルム10ml、水10mlを
加え分液し、水層をクロロホルム10mlで更に2回抽
出した。クロロホルム層を無水硫酸ナトリウムで乾燥
し、減圧濃縮して得られた生成物をジクロロメタン5m
lに溶解し、亜リン酸トリフェニル(0.033ml,
0.13mmol)を加え室温で2時間攪拌した。
【0086】反応液を減圧濃縮し、シリカゲル(5g,
Merck Art.9385)を用いるカラムクロマ
トグラフィー(クロロホルム:メタノ−ル=50:1で
溶出)により精製して目的の3(S)−2,3−ジヒド
ロ−3−ヒドロキシマイシナマイシンI(20mg,2
8%)を飴状物質として得た。 UV;λmax(エタノール)239nm FAB−Mass;m/z 720(MH+
【0087】
【実施例4】 3(R)−2,3−ジヒドロ−3−ヒドロキシマイシナ
マイシンI:実施例2で得た3(R)−2,3−ジヒド
ロ−3−ヒドロキシマイシナマイシンIV(71mg,
0.1mmol)を用い、実施例3に記載の方法と同様
にして目的の3(R)−2,3−ジヒドロ−3−ヒドロ
キシマイシナマイシンI(22mg,31%)を得た。
【0088】UV;λmax(エタノール)240nm FAB−Mass;m/z 720(MH+

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 一般式〔1〕 【化1】 (式中、Aは単結合または酸素原子を示し、Meはメチ
    ル基を示す)で表されるマイシナマイシン誘導体または
    その塩。
  2. 【請求項2】 Αが単結合である請求項1記載のマイ
    シナマイシン誘導体またはその塩。
  3. 【請求項3】 マイシナマイシン誘導体が2,3−ジ
    ヒドロ−3−ヒドロキシマイシナマイシンIVである請
    求項2記載のマイシナマイシン誘導体またはその塩。
  4. 【請求項4】 Aが酸素原子である請求項1記載のマ
    イシナマイシン誘導体またはその塩。
  5. 【請求項5】 マイシナマイシン誘導体が、2,3−
    ジヒドロ−3−ヒドロキシマイシナマイシンIである請
    求項4記載のマイシナマイシン誘導体またはその塩。
  6. 【請求項6】 一般式〔10〕 【化2】 (式中、RおよびQは一方が−SiR1 2 3 または
    水酸基を、他方が水素原子を示すか、あるいは一緒にて
    酸素原子を示し、R1 およびR2 は各々低級アルキル基
    を示し、R3 は低級アルコキシ基または置換基を有して
    いてもよいフェニル基を示し、R4 およびR5 は一方が
    水酸基または保護された水酸基を、他方が水素原子を示
    すか、あるいは一緒にて酸素原子を示し、R6 およびR
    7 は水素原子または水酸基の保護基を示し、Meはメチ
    ル基を示す)で表される化合物またはその塩。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2000066602A1 (en) * 1999-05-03 2000-11-09 PLIVA, farmaceutska industrija, dioničko društvo 3-deoxy-desmycosin derivatives and process for their preparation

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WO2000066602A1 (en) * 1999-05-03 2000-11-09 PLIVA, farmaceutska industrija, dioničko društvo 3-deoxy-desmycosin derivatives and process for their preparation

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