JPH0522388U - 植物の鮮度保持梱包箱 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 生鮮切り花や生鮮切り葉花の輸送に際し、こ
れの生鮮状態を維持しかつ植物を傷めないで輸送出来る
ようにするために、これらの植物を詰めた容器内に適度
な湿度状態を保持しながら植物を傷める要素を出来るだ
け少なくして鮮度を保つ荷姿を与えることができる梱包
箱の構成を提供する。 【構成】 箱容器の内部に充填された植物を包み込みで
きるように、この箱容器の中に敷かれる柔軟な不透水性
シートと、この箱容器の概ね底部全体に渡り該不透水性
シートの上に重ねて敷かれ、不透水性シートとの間で水
分を保持する隙間を保ちながらそれ自体平面形状を保持
できる性質をもった上シートとを備えていて、この上シ
ートに植物の茎を貫通させることで、複数の植物を互い
に接触することなく保持しながら輸送に適した荷姿を与
える。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

本考案は、生鮮切り花や切り葉を輸送する際に使用される植物の鮮度保持梱包 箱に関する。

【０００２】

【従来技術】

従来から、生鮮切り花や切り葉（以下「切り花等」と総称する）を国内で輸送 する場合や外国との間で輸出入する際には、梱包箱に詰めて輸送することが行な われている。そしてこの梱包箱による輸送の場合、対象物が傷む易い切り花等で あることから、その形の保持や湿度の保持のために細長い紙クズの多数をランダ ムにまとめた充填物を箱内部に同時に詰めるのが普通である。つまり、この紙ク ズ充填物の中に花が埋没するように適当に詰めて、その上から霧吹きを行なって 十分に水分を含ませるか、あるいは水分保持が特に必要である場合には所謂ウォ ータキャップを茎の先端に被せていた。

【０００３】

【考案が解決しようとする課題】

しかしながら、上記のような従来の梱包方式にはいくつかの欠点が指摘ある。 例えば、紙クズ充填物の中に埋没させて花を詰めるために、花が紙クズに押され て変形するという不具合があり、また花の折れ傷やすれ傷が生じ易いことや、取 り出した花に紙クズが付くという欠点があった。また上記の紙クズ充填物は緩衝 材としての作用もなすが湿度保持のために水を十分に与えるとその充填物自体の 保水のために梱包体の重量が重くなって特に取り扱い性が悪くなり、また箱容器 の強度を強くしなければならないという欠点を招くことになっていた。

【０００４】 更に、輸送の途中や輸送先で内容物を確認するためには紙クズ充填物を一部取 り去らないと花を見ることができず、このような作業を行なうことで花を傷める 虞れがあった。特にこの問題は、外国からの花の輸入のような場合には、植物検 疫の関係で税関での検査が必要であるために大きな問題となっている。

【０００５】 そこで本考案者は、生鮮切り花や生鮮切り葉の輸送に際し、これの生鮮状態を 維持しかつ植物を傷めないで輸送出来るようにするために、これらの植物を詰め た容器内に適度な湿度状態を保持しながら植物を傷める要素を出来るだけ少なく した荷姿を与えることができる梱包箱の構成を提供することを目的として検討を 重ね本考案を完成した。

【０００６】

【課題を解決するための手段及び作用】

本考案の植物の鮮度保持梱包箱の特徴は、直方体形状をなして上面が開閉可能 な紙製又は木製の箱容器と、この箱容器の内部に充填された植物を包み込みでき るようにこの箱容器の中に敷かれる柔軟な種々のプラスチックフィルム等の不透 水性シートと、上記箱容器の概ね底部全体に渡り該不透水性シートの上に重ねら れて、この不透水性シートとの間で水分を保持する隙間を保つことができかつシ ワが生じにくい程度の平面形状の保持性を有する上シートとを備えていて、この 上シートは、茎を有する植物の該茎を、該上シートの上面側から下面側の上記隙 間部分に貫通させる穴が予め又は貫通時に設けられるという構成をなすところに ある。

【０００７】 上記の上シートは、特にその材質を限定されるものではないが、上シートが無 架橋高発泡ポリエチレンシート、軟質塩化ビニルシート、ポリエチレンフィルム 、発泡スチロール等を例示することができる。なおこの上シートは植物の茎を挿 して貫通させるように使用するものであることから以下においては挿し込みシー トと称する。

【０００８】 このような植物の鮮度保持梱包箱によれば、平面状態を保持できる挿し込みシ ートの穴を貫通して植物の茎を保持するので、輸送中に花が動くことがなく、し かも花を適当な間隔で詰め込むことで間に紙クズのような充填物を入れることな く花を輸送できる。

【０００９】 なお植物を貫通させる上シートに設ける穴は、梱包する植物の個数よりも多数 穿設しておいて、花の大きさ等に応じ適宜の間隔で穴を選択して挿通するように 使用することもできる。

【００１０】

【実施例】

本考案の実施例を図面に基づいて説明すると、１はダンボール製の箱容器の本 体を示し、上方開口型の直方体形状をなしていて、その開口は蓋２を被せること によって閉じられるようになっている。３は柔軟な不透水性シート（包装用シー ト）であり、箱容器本体１の底部に敷いた中央部から両側を折り返すことで中に 詰めた花を包み込みことができる広さをもっている。

【００１１】 そしてこの不透水性シートの中央部分（箱容器の底部の部分）に水滴が出来る 程度に水を散布し、その上に挿し込みシート４を敷く。この挿し込みシート４は 例えば無架橋高発泡ポリエチレンシートが使用される。またこの挿し込みシート ４は、輸送中に箱内部での移動が生じないように該箱容器の底部の全体に渡る大 きさに裁断されていることがよく、さらに必要によっては、両面接着テープによ る貼着や鋲止め等で不透水性シートあるいは箱容器自体に固定してもよい。

【００１２】 次に、挿し込みシート４に、梱包する植物の茎の太さと同等ないし若干大きい 程度の穴５を、梱包数と等しい数だけ所定の間隔（隣接する植物が重ならずある いは接触しない程度の間隔）を開けて設ける。なおこれは、予め該穴５を開けた 状態の挿し込みシート４を準備しておいてこれを敷き込むようにしてもよい。

【００１３】 このようにそれぞれのシート（３、４）を敷いて準備された箱容器内に、挿し 込みシート４の一つの穴５に一つの植物（例えばアンソリウム）の茎６を貫通さ せるように順次挿し込み、さらに花７の表面に水滴が出来る程度の水を噴霧する 。なお上記の挿し込みシートの固定の作業はこの時点で行なってもよい。

【００１４】 最後に、不透水性シート３を左右閉じ合せて花を包み込み、内部の気密がある 程度保たれて輸送中の適度の湿度状態が維持されるようにし、蓋２を被せてテー ピング等し、梱包を終了する。

【００１５】 なお本考案は以上の実施例に限定されるものではなく、輸送後にこの梱包箱を そのまま商品展示の陳列用に利用するために不透水性シートに透明シートを用い るとか、挿し込みシートに、花部分が嵌り込む例えば発泡スチロールで作られた おわん型の受けを固定する（あるいは発泡スチロール製の挿し込みシートでは一 体に成形する）ことで、花と茎の傷みを防止することもでき、特に高価な花等に は適用される場合がある。

【００１６】

【考案の効果】

本考案によれば、従来の紙クズ等の他の充填物がないため、花の形が変形され る虞れが少ないと共に、自然な状態で花の輸送が行なわれる効果や花の折れ傷す れ傷が極めて少ないし、また取り出した時に花にその充填物の紙の切れ端等が付 着するような欠点もないという効果がある。

【００１７】 また花の部分と茎の部分にそれぞれ適した適度の水分を与えることができるの で、従来のウォータキャップを組みつけることなく輸送中の鮮度保持が達成でき るので、必要な輸送備品の削減や装着作業の省略によって低コストな梱包状態を 作ることができるという効果もある。

【００１８】 さらにまた、上記のような紙クズ等の充填物を使用すると、それ自体が水に濡 れて重くなるため輸送時の取り扱いの面倒さを増したり、箱容器の強度を強くす る必要があるのに対し、本考案の構成によれば、植物に適度な湿度を維持するた めに必要な水分は、それ自体は水分吸収性のないシートを使用することで箱容器 内に与える水分量を少なく出来、軽量な荷姿を作ることができるという効果もあ る。

【００１９】 そして特に強調される本考案の効果は次のことにある。すなわち、本考案の梱 包は、外箱の箱容器を除けば上述の如くプラスチック製シートのみから与えられ るため、不透水性シートが透明であれば蓋を開けてそのまま、あるいは不透水性 シートが不透明であってもこのシートをめくれば直ちに花を見ることができるか ら、国内外に渡る輸出入の取引のような流通過程での内部の品物の確認が求めら れる場合、特に通関時の植物検疫が必須であるような場合に、従来のように充填 物を一々取り出して品物を確認した後再び充填物を詰め込む作業が必要であった ことに比べれば、本考案は、蓋を開けるかあるいはシートをめくる程度の取り扱 いで品物を確認できるため、その作業が極めて簡単となり、品物を傷める虞れも 大幅に緩和されるという効果がある。

【図面の簡単な説明】

【図１】梱包箱を開いて、箱容器内部に植物を充填した
状態を示した図。

【図２】図１の縦断側面図。

【図３】梱包箱の斜視図。

【符号の説明】

１・・・箱容器本体、２・・・蓋、３・・・不透水性シ
ート、４・・・挿し込みシート、５・・・穴、６・・・
茎、７・・・花。

─────────────────────────────────────────────────────

【手続補正書】

【提出日】平成３年１２月２５日

【手続補正１】

【補正対象書類名】図面

【補正対象項目名】図２

【補正方法】変更

【補正内容】

【図２】

【手続補正書】

【提出日】平成４年２月１０日

【手続補正１】

【補正対象書類名】図面

【補正対象項目名】図２

【補正方法】変更

【補正内容】

【図２】

Claims (3)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 直方体形状をなして上面が開閉可能な紙
   製又は木製の箱容器と、この箱容器の内部に充填された
   植物を包み込みできるようにこの箱容器の中に敷かれる
   柔軟な不透水性シートと、上記箱容器の概ね底部全体に
   渡り該不透水性シートの上に重ねられてこの不透水性シ
   ートとの間で水分を保持する隙間を保つことができかつ
   シワが生じにくい程度の平面形状の保持性を有する上シ
   ートとを備えていて、この上シートは、茎を有する植物
   の該茎を、該上シートの上面側から下面側の上記隙間部
   分に貫通させる穴が予め又は貫通時に設けられることを
   特徴とする植物の鮮度保持梱包箱。
2. 【請求項２】 請求項１において、上シートが無架橋高
   発泡ポリエチレンシート、軟質塩化ビニルシート、ポリ
   エチレンフィルム、発泡スチロールのいずれかであるこ
   とを特徴とする植物の鮮度保持梱包箱。
3. 【請求項３】 請求項１又は２において、上シートに設
   けられる貫通穴が、箱容器の長尺方向に略一定の間隔を
   開けて複数設けられていることを特徴とする植物の鮮度
   保持梱包箱。