JPH05222485A - プレス成形性及び樹脂との親和性に優れた熱延鋼板及びその製造方法 - Google Patents

プレス成形性及び樹脂との親和性に優れた熱延鋼板及びその製造方法

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JPH05222485A
JPH05222485A JP5757992A JP5757992A JPH05222485A JP H05222485 A JPH05222485 A JP H05222485A JP 5757992 A JP5757992 A JP 5757992A JP 5757992 A JP5757992 A JP 5757992A JP H05222485 A JPH05222485 A JP H05222485A
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星野矩之
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 プレス成形性及び樹脂との親和性に優れた熱
延高張力鋼板を得る。 【構成】 この熱延高張力鋼板は、C:0.001〜0.
30%、Si:0.30〜2.50%、Mn:0.20〜2.5
0%を含有する鋼であって、熱間圧延後に行う酸洗後の
表面粗度がRa1.7〜3.0μmであり、抗張力490N
/mm2以上でプレス成形性及び樹脂との親和性に優れて
いる。その製造方法は、上記化学成分の鋼につき、該ス
ラブを1100〜1270℃に加熱して熱間圧延を行
い、次いで酸洗し、酸洗後の表面粗度Ra1.7〜3.0
μmを得ることを特徴としている。自動車部材等に使用
される鋼板に適している。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は熱延鋼板の製造に関し、
より詳細には、自動車部材等に使用される鋼板に適し、
プレス成形性と樹脂との親和性に優れた熱延高張力鋼板
とその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】近年、
自動車用部材の形状の複雑化は、ボディ外板等の冷延鋼
板使用部材に止まらず、シャーシ等、熱延鋼板を使用す
る部材にまで及んでいる。また、自動車の燃費向上のた
めの車体重量軽減は、地球的課題である。このため、使
用される鋼板の強度レベルを増加させて、使用板厚を減
少させる要求が強くなっている。
【0003】しかし、このような熱延高張力鋼板の成形
性は、軟鋼板のそれに比して低下するため、プレス成形
すると、プレス金型と鋼板との間で焼付き(ゴーリング)
現象が発生し易くなる。その結果、プレス成形時に鋼板
に割れが発生し、部品の生産性を阻害するという欠点が
あった。また、プレス金型の焼付部の手入頻度が高くな
り、生産性を阻害するという問題もあった。
【0004】また、従来の熱延高張力鋼板は、多層のサ
ンドイッチ構造からなる振動吸収複合鋼板に使用した場
合、粘弾性均質との親和力が小さく、その性能が劣ると
い欠点があった。
【0005】本発明は、上記従来技術の欠点を解消し
て、プレス成形性に優れると共に粘弾性均質との親和性
に優れる熱延高張力鋼板とその製造方法を提供すること
を目的とするものである。
【0006】
【課題を解決しようとする手段】前述のとおり、自動車
の軽量化のため熱延高張力鋼板が要求されているが、そ
のプレス成形性を向上させ、プレス金型との焼付を改善
する必要がある。このためには、熱延高張力鋼板の成形
性そのものを改善させる手段もあるが、そのような手段
では、所定の高張力を有する熱延高張力鋼板の降伏点を
下げ、伸びを増大させることは、極めて困難である。
【0007】このような状況のもとで、本発明者は、こ
の問題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、プレス
成形時の熱延鋼板の表面粗さに着目するに至った。すな
わち、従来の熱延鋼板の酸洗後の表面粗さは、図1に示
す如くRa0.7〜1.5μmと小さい。しかし、表面粗さ
が大きいと、金型と鋼板の間の潤滑油の保持量が大きく
なり、プレス金型の焼付の発生を防止し得ることを知見
した。また、多層のサンドイッチ構造からなる振動吸収
複合鋼板に使用した場合、表面粗さが大きいと、粘弾性
均質との親和力が大きくなる。これらの知見に基づいて
更に詳細に実験研究を重ねて、ここに本発明を完成した
ものである。
【0008】すなわち、本発明は、C:0.001〜0.
30%、Si:0.30〜2.50%、Mn:0.20〜2.5
0%を含有する鋼であって、熱間圧延後に行う酸洗後の
表面粗度がRa1.7〜3.0μmであることを特徴とする
抗張力490N/mm2以上でプレス成形性及び樹脂との
親和性に優れた熱延鋼板を要旨とするものである。
【0009】また、その製造方法は、C:0.001〜
0.30%、Si:0.30〜2.50%、Mn:0.20〜
2.50%を含有する鋼につき、該スラブを1100〜
1270℃に加熱して熱間圧延を行い、次いで酸洗し、
酸洗後の表面粗度Ra1.7〜3.0μmを得ることを特徴
とする抗張力490N/mm2以上でプレス成形性及び樹
脂との親和性に優れた熱延鋼板の製造方法を要旨とする
ものである。
【0010】以下に本発明を更に詳細に説明する。
【0011】
【作用】
【0012】Siを0.30%以上含む鋼のスラブを熱延
加熱炉で1100〜1270℃に加熱すると、ファイア
ライト(2FeO・SiO2)が生成する。このスケールは、
加熱中にスラブの地金に食い込み、アンカー効果と呼ば
れる如く、スラブから除去することは困難である。この
ため、しばしば、赤スケールと呼ばれる表面不良を発生
させる。したがって、従来はこのファイアライトを除去
する方法が問題であつた。
【0013】一方、本発明では、Siを0.30%以上含
む鋼のスラブの加熱温度を1100〜1270℃として
ファイアライトを生成させ、かつ、デスケラーを弱噴射
する等により、板面全面にファイアライトを残存させ、
酸洗後の熱延鋼板の表面粗さを図2に示す如くRa1.7
〜3.0μmにするのである。
【0014】まず、本発明における鋼の化学成分の限定
理由について説明する。
【0015】C:Cは高張力鋼板を製造するために必要
な成分であり、そのためには最低0.001%が必要で
ある。しかし、0.30%を超えると熱延高張力鋼板の
延性が極端に低下するため好ましくない。よって、C量
は0.001〜0.30%の範囲とする。
【0016】Si:Siはスラブ加熱中に適度なファイア
ライトを発生させるために必要な成分であり、そのため
には、Si量は0.30%以上にする必要がある。しか
し、高張力鋼板を製造するためには2.5%までで充分
である。よって、Si量は0.30〜2.50%の範囲と
する。
【0017】Mn:Mnは高張力鋼板を製造するために最
低0.20%が必要である。しかし、2.50%を超える
と熱延高張力鋼板の延性が極端に低下するため好ましく
ない。よって、Mn量は0.20〜2.50%の範囲とす
る。
【0018】なお、本発明においては、上記の各成分を
所定量含む限り、他の合金元素、例えば、Ti、Nb、
V、Cr等を必要に応じて添加することができる。
【0019】次に本発明の製造条件について説明する。
【0020】スラブ加熱温度:上記化学成分の鋼は常法
により溶製、鋳造しスラブを得る。スラブを加熱する場
合、1100℃未満ではファイアライトの発生が抑制さ
れる。また、1270℃を超えると生成したファイアラ
イトが半溶融状態となっており、熱間圧延前の水圧デス
ケラーで容易に除去されてしまう。このため、熱間圧延
後、酸洗した時の熱延鋼板の表面粗さは、図1に示す如
く、通常の熱延鋼板のものと同様にRa0.7〜1.5μm
と小さい。一方、スラブ加熱温度を1100〜1270
℃とした場合には、生成したファイアライトは容易に除
去できず、熱間圧延後、酸洗した時の熱延鋼板の表面粗
さはRa1.7〜3.0μmが得られる。よって、スラブ加
熱温度は1100〜1270℃の範囲とする。
【0021】スラブを上記温度に加熱した後、熱間圧延
し、酸洗を行うが、熱間圧延及び酸洗条件は特に制限さ
れるものではない。
【0022】但し、酸洗後の熱延鋼板の表面粗さはRa
1.7〜3.0μmの範囲である必要がある。表面粗さが
Ra1.7μmより小さいと、熱延鋼板とダイスの間で焼
付きが発生し易く、プレス成形性向上の効果が小さい。
また、サンドイッチ型の制振鋼板に使用した場合に粘弾
性物質との親和力が小さく、制振性能が劣る。一方、表
面粗さがRa3.0μmより大きくなると、プレス成形し
た製品を塗装した際に、鋼板の表面粗度の凹凸が浮き出
て、商品価値を損うので好ましくない。なお、平均表面
粗さではRa1.9〜2.6μmの範囲が好ましい。
【0023】酸洗後の表面粗さRa1.7〜3.0μmを得
る方法としては、生成したファイアライトを残存できる
方法であれば適当な手段を採用すればよい。例えば、熱
間圧延前の水圧デスケラーを弱噴射してファイアライト
を残存させる方法が挙げられるが、酸洗後調質圧延機の
ロールの表面粗度を調整し、圧延することによるロール
粗度の板への転写などの他の手段でも可能である。
【0024】本発明により得られる熱延鋼板は、490
N/mm2以上の高抗張力の高張力鋼板である必要があ
る。これより強度が低いと、自動車用部材等に使用した
場合に板厚減少による重量軽減効果が得られない。
【0025】以下に本発明の実施例を示す。
【0026】
【実施例】供試鋼として、
【表1】 に示す化学成分の鋼を常法により溶製、鋳造し、スラブ
とした。次いで
【表2】 に示す条件で、スラブを加熱した後、熱間圧延、酸洗を
行った。得られた熱延鋼板(板厚2.3mm)について、表
面粗さを測定すると共に、プレス成形性並びに制振性能
を調べた。それらの結果を
【表3】に示す。表面粗さを図1〜図4に示す。
【0027】プレス成形試験は、図5に示す要領にてプ
レス成形して図6に示す形状の部品を作製し、焼付きま
でのプレス回数にて評価した。プレス成形試験では防錆
油としてメタルガード816を2000mg/m2塗油し
た。
【0028】制振性能試験では、2枚の熱延鋼板(板厚
1.2mm)の間に粘弾性物質としてポリエステル系樹脂を
挾み込んで圧着し、T剥離試験及び剪断引張試験に供し
た。
【0029】表3及び図1、図3に示すように、従来鋼
では、平均表面粗さがRa1.1μmと小さいため、潤滑
剤の保持量やプレス成形時の潤滑剤の持ち込み量が少な
いため、熱延鋼板とダイスの間で焼付が発生し易く、焼
付きまでのプレス回数が少ない。
【0030】これに対し、本発明鋼では、表3及び図
2、図4に示すように平均表面粗さがRa2.3μmと大
きいため、潤滑剤の保持量やプレス成形時の潤滑剤の持
ち込み量が大きくなり、焼付きまでのプレス回数が大き
く、焼付に対して大幅に改善されている。
【0031】また、制振性能については、
【表4】に示すように、本発明鋼は前述の如く表面粗さ
が粗く、凹凸が大きいため、サンドイツチ型の制振鋼板
に使用した場合に粘弾性物質との親和力が大きくなり、
剥離強度、剪断引張強度が高く、制振鋼板の性能が大幅
に向上している。一方、従来鋼は、表面粗さが小さいた
め、剥離強度、剪断引張強度が低く、制振性能が劣って
いる。
【0032】
【発明の効果】以上詳述したように、本発明によれば、
熱延鋼板の表面粗さが粗く、凹凸が大きいため、プレス
成形等において金型との焼付が改善されると共に、サン
ドイッチ型の制振鋼板に使用した場合、粘弾性物質との
親和性が大きくなり、制振性能が大幅に向上する。
【図面の簡単な説明】
【図1】熱延鋼板の酸洗後の表面粗さ分布を示す図で、
従来鋼の場合である。
【図2】熱延鋼板の酸洗後の表面粗さ分布を示す図で、
本発明鋼の場合である。
【図3】熱延鋼板の酸洗後の表面粗さを示す図で、従来
鋼の場合である。
【図4】熱延鋼板の酸洗後の表面粗さを示す図で、本発
明鋼の場合である。
【図5】プレス成形試験の要領並びにプレス成形時の焼
付現象の発生状況を示す図である。
【図6】プレス成形試験で得られたプレス成形部品並び
に焼付現象が発生する部位を説明する図である。
【表3】
【表3】
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.5 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C22C 38/04

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 重量%で(以下、同じ)、C:0.001〜
    0.30%、Si:0.30〜2.50%、Mn:0.20〜
    2.50%を含有する鋼であって、熱間圧延後に行う酸
    洗後の表面粗度がRa1.7〜3.0μmであることを特徴
    とする抗張力490N/mm2以上でプレス成形性及び樹
    脂との親和性に優れた熱延鋼板。
  2. 【請求項2】 C:0.001〜0.30%、Si:0.30
    〜2.50%、Mn:0.20〜2.50%を含有する鋼に
    つき、該スラブを1100〜1270℃に加熱して熱間
    圧延を行い、次いで酸洗し、酸洗後の表面粗度Ra1.7
    〜3.0μmを得ることを特徴とする抗張力490N/mm
    2以上でプレス成形性及び樹脂との親和性に優れた熱延
    鋼板の製造方法。
JP4057579A 1992-02-10 1992-02-10 プレス成形性及び樹脂との親和性に優れた熱延鋼板の製造方法 Expired - Fee Related JPH07122091B2 (ja)

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