JPH05221955A - スルホン誘導体の製造方法 - Google Patents

スルホン誘導体の製造方法

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JPH05221955A
JPH05221955A JP2932792A JP2932792A JPH05221955A JP H05221955 A JPH05221955 A JP H05221955A JP 2932792 A JP2932792 A JP 2932792A JP 2932792 A JP2932792 A JP 2932792A JP H05221955 A JPH05221955 A JP H05221955A
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Yoji Tachibana
陽二 橘
Shinji Yokoyama
信二 横山
Takeshi Tejima
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 次の式(I)または(II) 【化1】 で示されるフェニルスルホン誘導体の新規な製造方法を
提供する。 【構成】 次の式(III)または(IV) 【化2】 の化合物を脱水反応に付して次の式(V)または(VI) 【化3】 の化合物とし、次いで水素添加を行うか、次の式(VII)
または(VIII) 【化4】 をトシルクロライドと処理して式(VII)または(VIII)の
化合物のトシレートとし、この化合物のトシルオキシ基
をフェニルチオ基に変換し、得られた化合物を酸化剤で
処理してフェニルチオ基をフェニルスルホニル基に変換
することからなる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は植物ホルモンであるブラ
シノライド、あるいは医薬品であるビタミンDおよび活
性型ビタミンD誘導体の合成中間体の製造方法に関す
る。
【0002】
【従来の技術】式(I)または(II)で示されるスルホン誘
導体はブラシノライド類の側鎖合成(K. Mori, Tetrahe
dron, 38, 2099(1982), スキームI参照)やビタミンD
の側鎖合成(P.J. Kocienski, J. Chem. Soc., Perkin
1, 1978, 834, スキームII参照)に用いられている。ま
た、P. Ferrabochi らはS−(−)−3−メチル−γ−ブ
チロラクトンより(I)を合成しており(Synth. Commu
n., 13, 1199(1984), スキームIII参照)、Y. Gooni ら
はスルホレン誘導体を用いて本発明の中間体((V)およ
び(VI))(ラセミ体)を得ている(J. Org. Chem., 50, 2
493(1985),スキームIV参照)。また、DeLuca らはキラ
ルなスルフィネートエステルを用いる(I)および(II)の
誘導体の合成を報告している(J. Chem. Soc., Chem. C
ommun., 1989, 1113)。
【0003】
【化7】
【0004】しかしいずれの合成法も特殊な試薬を用い
ており、かつ立体選択性および収率上必ずしも満足でき
るものではない。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明は式(I)または
(II)で示されるスルホン誘導体の簡便な合成法を提供す
ることを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者らは鋭意研究を
重ねた結果、次の式(I)または(II)
【化8】 で示されるフェニルスルホン誘導体が以下に記載する方
法によって容易に製造できることを見出した。
【0007】すなわち、 (1) (R)−または(S)−3−ヒドロキシ−メチルプ
ロピオネートより数工程で得られる式(III)または(IV)
で示される(R)−または(S)−2,3−ジメチル−4−
フェニルスルホニル−2−ブタノール(Y. Tachibana,
Bull. Chem. Soc. Jpn., 62, 3132(1989))
【化9】 を塩基の存在下メタンスルホニルクロライドと反応させ
て式(V)または(VI)
【化10】 で示される化合物とし、ついでこの式(V)または(VI)の
化合物に水素添加を行うか、または
【0008】(2) 次の式(VII)または(VIII)
【化11】 で示される(R)−または(S)−2,3−ジメチルブタノ
ールを塩基の存在下にトシルクロライドと処理して次の
式(IX)または(X)
【化12】 で示される化合物とし、次いでこの化合物をカリウムt
−ブトキシドの存在下にチオフェノールと反応させて式
(XI)または(XII)
【化13】 で示される化合物とし、次いでこの化合物を酸化剤で処
理して酸化することによって式(I)または(II)で示され
る化合物が容易にかつ高収率で得られることを見出して
本発明を完成した。
【0009】上記した(1)の方法による式(III)または
式(IV)の化合物の脱水処理としては、直接例えば硫酸の
ような脱水剤と反応させても良いが、一旦水酸基を例え
ばオキシ塩化リンのようなオキシハロゲン化リン、チオ
ニルクロライドのようなチオニルハライド等のハロゲン
化剤でハロゲンに変換するか、あるいはメタンスルホニ
ルクロライド、p−トルエンスルホニルクロライドのよ
うな置換スルホニルハライドで活性エステル化した後に
塩基と反応させることによって脱水することも出来る。
通常、塩基の存在下にハロゲン化剤或いはエステル化剤
を反応させ一工程で実施することが好ましい。式(III)
または式(IV)の化合物とメタンスルホニルクロライドと
の反応は、有機溶媒中塩基としてのピリジン、トリエチ
ルアミンなどの存在下で行うことができる。また、これ
らの塩基を溶媒として用いても良い。メタンスルホニル
クロライドは式(III)または(IV)の化合物に対して1〜
10倍当量を用いることができる。反応は0°〜室温で
容易に進行する。この反応におけるメタンスルホニルク
ロライドの代わりにオキシ塩化リン、チオニルクロライ
ドを用いることもできる。
【0010】次に式(V)または(VI)の化合物に水素添加
を行い目的化合物である式(I)および(II)で示されるス
ルホン誘導体を得ることができる。水素添加はパラジウ
ム−炭素、酸化白金等慣用の触媒を式(V)または(VI)の
化合物に対して0.5〜15%(重量比)用いて行うこ
とができる。水素圧は1〜10気圧で反応は進行し、反
応温度は0°〜室温で行うことができる。
【0011】化合物(III)および(IV)をメタンスルホニ
ルクロライドと処理した場合5〜10%の式(XIII)
【化14】 で示されるオレフィンが副生する。しかし式(XIII)の
化合物は反応混合物より選択的に結晶として除くことが
できるし、さらに上記の水素還元条件下では全く還元さ
れないことがわかった。従って式(I)または(II)の化合
物に式(V)および(VI)または(XIII)の化合物が混入して
も水素還元後、反応混合物をm−クロロ過安息香酸(m
−CPBA)等の酸化剤またはオゾンと処理すれば式
(V)および(VI)または(XIII)の化合物はエポキシ化合物
或いはケトン化合物に変換することができる。生成した
エポキシ化合物、ケトン化合物は式(I)または(II)の化
合物と容易に例えばクロマトグラフィー等により分離す
ることができる。すなわち式(I)または(II)の化合物と
式(V)および(VI)または(XIII)の化合物との分離は容易
に達成することができる。
【0012】上記した(1)の反応工程による方法を具体
的な反応試薬を用いる反応によって例示すると次のスキ
ームVで示される。
【0013】
【化15】
【0014】また上記した(2)の方法による式(I)また
は式(II)で示される目的化合物の合成については、例え
ばエルゴステロールのオゾン酸化、還元によって生成す
る式(VIII)(K. Tsuda, J. Amer. Chem. Soc., 82, 339
6(1960))
【化16】 で示される(R)−2,3−ジメチルブタノールをピリジ
ン等の塩基の存在下にトシルクロライドと反応させて式
(IX)
【化17】 で示される化合物とし、これをt−BuOKの存在下に
チオフェノールと反応させて式(XI)および(XII)
【化18】 で示される化合物とし、これを常法に従って酸化剤で酸
化することによって得ることができる。ここで用いられ
る酸化剤としては、過酸化水素、過酸例えば過酢酸、過
安息香酸など、重クロム酸アルカリ例えば重クロム酸カ
リウム、過マンガン酸アルカリ例えば過マンガン酸カリ
ウムその他が挙げられる。
【0015】上記した(2)の反応工程による方法を具体
的な反応試薬を用いる反応によって例示すると次のスキ
ームVIで示される。
【0016】
【化19】
【0017】上記した本発明の方法で得られた式(I)
および(II)で示される化合物はブラシノライド類、ビタ
ミンD類(ビタミンD4、ビタミンD7)および活性型ビ
タミンD類の側鎖部合成のための中間体として極めて有
用な化合物である。
【0018】以下、実施例によって本発明を具体的に記
述することにするが、これらの実施例は本発明を例示す
る目的で記述するものであって、本発明はこれらに限定
されるものではない。
【0019】実施例1 (S)−2,3−ジメチル−1−フェニルスルホニルブタ
ン(I)の製造 (S)−2,3−ジメチル−4−フェニルスルホニル−2
−ブタノール(III)(4.8g)をピリジン(45ml)に
溶かしジメチルアミノピリジン0.3gおよびメタンス
ルホニルクロライド(4.0g)を加え、室温で20時
間撹拌した。反応液を氷水中に注ぎ酢酸エチルで抽出
し、10%塩酸次いでブラインで洗浄し、乾燥後濃縮し
た。残留物をシリカゲルクロマトグラフィーで精製し
(S)−2,3−ジメチル−4−フェニルスルホニル−2
−ブテン(V)と2,3−ジメチル−1−フェニルスル
ホニル−2−ブテン(XIII)の混合物3.3gを得た。
この混合物をヘキサン−IPEに溶解し冷却すると0.
3gの化合物(XIII)が針状結晶として得られた。母液
からは化合物(V)が3.0g得られた。
【0020】化合物V:1H NMR(CDCl3):δ 1.20(3H,
d, J=6.8Hz)、 1.62(3H, s)、 2.77(1H, m)、 3.05(1H, d
d, J=14.2Hzおよび7.9Hz)、 3.23(1H, dd, J=14.2Hzおよ
び4.9Hz)、 4.70(1H, s)、 4.71(1H, s)、 7.53-7.93(5H,
m)。
【0021】化合物XIII:融点97〜98℃;1H NMR(C
DCl3):δ 1.28(3H, s)、 1.63(3H,s)、 1.78(3H, s)、 3.
87(3H, s)、 7.52-7.90(5H, m)。
【0022】化合物(V)(3.0g)をエタノール(1
50ml)に溶かしパラジウム−炭素0.3gを加え常圧
で接触水素添加を18時間行った。触媒を濾過して除き
エタノールを留去し、残留物(2.7g)を塩化メチレ
ン(30ml)に溶解し、m−CPBA(1.0g)を加
え室温で24時間反応させた。炭酸カリウム水溶液に次
いでブラインで洗浄した後溶媒を留去した。残留物をシ
リカゲルクロマトグラフィーで精製し化合物(I)を2.
3g得た。
【0023】〔α〕20 D +19.1°(c=1.0,クロ
ロホルム)1 H NMR(CDCl3):δ 0.77(3H, d, J=6.8Hz)、 0.82(3H,
d, J=6.8Hz)、 1.02(3H,d, J=7.3Hz)、 1.68(1H, m)、 2.0
3(1H, m)、 2.88(1H, dd, J=14.2Hzおよび8.8Hz)、 3.09
(1H, dd, J=13.7Hzおよび2.9Hz)、 7.56-7.93(5H, m)。
【0024】実施例2 (R)−2,3−ジメチル−1−フェニルスルホニルブタ
ン(II)の製造 (R)−2,3−ジメチル−4−フェニルスルホニル−2
−ブタノール(IV)(5.0g)をピリジン(50ml)に
溶かし、氷冷下オキシ塩化リン(2.0ml)を加え、0
〜5℃で6時間撹拌した。10%塩酸を加え酸性にした
後酢酸エチルで抽出した。NaHCO水溶液に次いで
ブラインで洗浄した後濃縮した。残留物をシリカゲルク
ロマトグラフィーを行い、化合物(VI)(約7%の化合物
(XIII)を含む)を3.7g得た。
【0025】化合物(VI)(3.7g)をエタノール(2
00ml)に溶かし、パラジウム−炭素(0.3g)を加
え常圧で接触水素添加を20時間行った。触媒を濾過し
て除き触媒を留去し、残留物(3.4g)を塩化メチレ
ン(50ml)に溶かし、m−CPBA(1.0g)を加
え室温で20時間撹拌した。炭酸カリウム水溶液に次い
でブラインで洗浄した後溶媒を留去し、残留物をシリカ
ゲルクロマトグラフィーで精製し化合物(II)を2.5g
得た。
【0026】〔α〕20 D −19.6°(c=1,クロロ
ホルム)1 H NMR(CDCl3):δ 0.77(3H, d, J=6.8Hz)、 0.82(3H,
d, J=6.8Hz)、 1.02(3H,d, J=7.1Hz)、 1.67(1H, m)、 2.0
3(1H, m)、 2.91(1H, dd, J=14.2Hzおよび8.8Hz)、 3.10
(1H, dd, J=13.8Hzおよび3.0Hz)、 7.55-8.00(5H, m)。
【0027】実施例3 (R)−2,3−ジメチル−1−フェニルスルホニルブタ
ン(II)の製造 化合物(VIII)(12.0g)をピリジン(40ml)に溶
解し、トシルクロライド(27.0g)を加え、氷冷下
2時間反応させた。反応混合物を10%塩酸を加え酢酸
エチルで抽出した。NaHCO水溶液次いでブライン
で洗浄した後乾燥、濃縮し(R)−2,3−ジメチルブチ
ルp−トルエンスルホナート(X)を33.0g得た。
【0028】化合物(X):1H NMR(CDCl3):δ 0.76(3H,
d, J=6.3Hz)、 0.82(3H, d, J=4.9Hz)、 0.84(3H, d, J=
4.9Hz)、 1.66(1H, m)、 2.45(3H, s)、 3.85(1H, dd, J=
9.3Hzおよび6.3Hz)、 3.94(1H, dd, J=9.5Hzおよび5.6H
z)、 7.30-7.91(4H, m)。
【0029】カリウムt−ブトキシド(14.0g)を
含むDMF(50ml)溶液にチオフェノール(12ml)
を冷却しながら滴下した。次いで化合物(X)(33.0
g)のDMF溶液(15ml)を滴下しそのまま室温で終
夜撹拌した。
【0030】一方、WO3(0.2g)に水(60ml)を
加え、次いで水酸化ナトリウム(1.5g)、さらに酢
酸(2.5ml)を加えて調製した溶液を80℃に加温
し、上記DMF溶液に加えた。次いで同温度で30%過
酸化水素(75ml)を1時間かけて滴下した。冷却後、
酢酸エチルで抽出し、Na22水溶液、次いでブラ
インで洗浄した後濃縮した。残留物をシリカゲルクロマ
トグラフィー(ヘキサン/酢酸エチル=9/1)で精製
し、化合物(II)を23.5g得た。

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 次の式(I)または(II) 【化1】 で示されるフェニルスルホン誘導体を製造するにあた
    り、(1) 次の式(III)または(IV) 【化2】 で示されるフェニルスルホニルアルコール誘導体を脱水
    して次の式(V)または(VI) 【化3】 で示される化合物とし次いで水素添加を行うか、または
    (2) 次の式(VII)または(VIII) 【化4】 で示される(R)−または(S)−2,3−ジメチルブタノ
    ールを塩基の存在下にトシルクロライドと処理して次の
    式(IX)または(X) 【化5】 で示される化合物とし、次いでこの化合物をカリウムt
    −ブトキシドの存在下にチオフェノールと反応させて式
    (XI)または(XII) 【化6】 で示される化合物とし、次いでこの化合物を酸化剤で処
    理して酸化することによる上記化合物(I)および(II)の
    製造方法。
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