JPH0522098U

JPH0522098U - 散気管

Info

Publication number: JPH0522098U
Application number: JP094708U
Authority: JP
Inventors: 克廣内田
Original assignee: 上田一
Priority date: 1991-09-03
Filing date: 1991-09-03
Publication date: 1993-03-23

Abstract

(57)【要約】【目的】し尿処理場や下水処理場などの曝気槽や浄化槽
における汚水浄化のために、水中にて使用するための散
気管を提供する。【構成】その側面に送気口と多数の小穴を有する中空体
よりなる本体を設け、多数のスリットを有する非通気性
弾力性素材よりなるシートを形成するとともに、スリッ
ト巾と同一の内径を有する散気孔を多数設けたカバーを
形成し、本体上にシート、シート上にカバーを、小穴と
スリットおよび散気孔の各々の中心を一致させて固着し
たことを特徴とする。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

この考案は、主にし尿処理場や下水処理場における曝気槽や浄化槽の水中にて使用する散気管に関する。

【０００２】

【従来の技術】

従来より、し尿・下水・排水などの汚水の浄化法として種々の方式が用いられており、生物化学的処理法の一つとして活性汚泥法がある。これは汚泥中に空気を送り込み、活性汚泥に付着または吸着した有機物が加水分解を受けて活性菌に吸収される作用を利用したものである。この場合、汚泥および汚水中に空気を広範囲に細かく散気させることが処理効率にかかわってくるために散気管が使用される。この散気管には、多数の気泡を発生させるために多孔を有する管体や多孔性材質をその構成要素としているが、本案に示すように、各々異なる径の孔間に設けたスリットより空気を噴出させる散気管は現在のところ見当たらない。

【０００３】

【考案が解決しようとする課題】

従来の散気管は、合成樹脂、ガラス管などを使用し、角形または円筒形で中空部に空気を送って穴より噴出させるものであるが、停電や切り換え点検時には送風が止まるため、散気管内の圧力が低下し、水圧で水中の汚泥・紙・綿などが穴に詰まることとなる。そのため、再び送風すると穴から空気が出にくくなり、ブロアーの故障にもつながり、空気の水中への溶け込みができず、また水底部に堆積した汚泥の撹はんも出来なくなり、維持管理上の問題となっていた。この対策としては、散気管を水中から引き上げてその都度清掃する方法があるが、この作業は多くの時間を必要とするうえ危険度も高く、極めて不便であった。

【０００４】これらの課題を解決するために種々の方策が考えられているが、例えば実公平１−２５６７９号に示された散気管のように、筒形の本体に多数の噴出孔を設けて、その外周面に多数の切り込みを設けたゴムチューブをかぶせて両端を固定させたものがある。しかしながらこの例は、空気を送り込むとゴムチューブの切り込み部分が開いて噴出が行われるものであるが、長時間使用すると空気圧によるゴムチューブの伸縮のために切り込みが次第に広がって長くなる箇所が発生し、その部分から大粒の気泡が出るため均一な気泡が出なくなり、空気の水中への溶け込みも悪くなる。またこれは、本体とゴムチューブ間に空気が入ってチューブが膨らんだ状態にて散気するため、長時間使用するとゴムの弾力性が劣化して送風停止時にゴムチューブが緩む欠点があり、汚水や汚泥がゴムチューブと本体間に入り込むという問題点を有している。。

【０００５】また、散気管の目的としては、空気を水中に溶かし込む以外に水底部に沈澱した汚泥の撹はんがある。前述の例は、今まで記した問題点の他に汚泥撹はん能力に課題を有している。すなわち、散気された空気は水中に気泡となって噴出するが、この気泡はその浮力のために水面に向かって上昇する。ゴムチューブ全周に切り込みを有する前例では、全周から気泡が発生するため、上面から出た気泡はその噴出速度と相まって急速に上昇するので水中での滞留時間が短くなり、従って空気の溶け込みも低下する。また下面にのみ噴出孔を有する場合に比べ、下方に位置する汚泥に対する噴出が弱くなって撹はん能力も小さくなる。本考案は、以上記した従来からの散気管にかかわる課題を解決するために考案されたもので、送風停止時における散気孔の詰まりを防止するとともに、気泡の水中への溶け込みと沈澱汚泥の撹はんにも有効なる散気管を提供することを目的として開発されたものである。

【０００６】

【課題を解決するための手段】

本考案は以上の課題を解決するための手段として、その側面に送気口と多数の小穴を有する中空体よりなる本体を設け、多数のスリットを有する非通気性弾力性素材よりなるシートを形成するとともに、スリット巾と同一の内径を有する散気孔を多数設けたカバーを形成し、本体上にシート、シート上にカバーを、小穴とスリットおよび散気孔の各々の中心を一致させて固着したことを特徴とするものである。

【０００７】

【作用】

本案を使用するには、まずフランジを上方に散気孔を下方にして送気管に接続する。次に送風を開始すると内圧が高まり、空気は下穴を通過してスリットを押し広げるとともに水中に気泡となって噴出する。噴出した気泡はその噴出による運動エネルギーのため下向きに進行し、水底に沈澱している汚泥にぶつかってこの汚泥を撹はんし、このときにその運動エネルギーが失われて気泡の有する浮力により水面に向かって上昇する。この気泡は略Ｕ字形に移動するので、水中での滞留時間が長くなり、空気の溶け込みも良くなる。本案では、スリット上面にスリット巾と同一内径の散気孔が存在しているため、前例のような長時間使用によるスリット巾の広がりを防止できるとともに、空気出口以外のゴムの膨らみを押さえて、送風停止時にはスリットが素早く復帰するため、汚水等の逆流による本体内部への侵入を防ぎ、かつ噴出部分の目詰まりもない。また、下穴とスリットおよび散気孔が同一位置にあるので内圧により開いたスリットから直接噴出するため強い撹はんができ、かつ小粒の気泡を安定して得ることができる。

【０００８】

【実施例】

以下、本考案の実施例について説明する。（イ）合成樹脂製の中空筒体において、その軸芯より上方の側面適所に多数の貫通する下穴（２）を設け、下方中央に送気口（３）およびフランジ（４）を設けるとともに、筒体両端近傍から送気口に連なる補強リブ（５）を形成し、以上の構成よりなる本体（１）を設ける。（ロ）塩化ビニールゴムよりなるシート（６）に多数の切り込みを設けてスリット（７）を形成し、スリット中心を下穴中心に一致させてシートを本体上に固着する。（ハ）本体外周形状に合致する円弧形のカバー（８）を形成し、カバー面にスリット巾と同一の内径を有する散気孔（９）を設け、このスリットが散気孔中心に位置するように、シート上にカバーを固着する。（ニ）下穴は送気口に対向する本体中央上面を除いて設け、シートおよびカバーは左右に各々一組みづつ固着する。（ホ）シートの本体への固着は、散気孔内径領域を除く噴出領域の全面とする。以上が本案の一実施例である。

【０００９】本例は上方側面に噴出部分を設け、使用時はこの噴出部分を下向きに設置して送気するため、従来の散気管に比べて同一の送風量でも下向きに大量の空気を出すことができ、汚泥の撹はんを十分に行うことができる。また本体を筒形に形成しているので、噴出された気泡は汚泥撹はん後は筒形の下面に沿ってスムースに上昇することができる。さらに、送気口より送り込まれた空気は、下穴のない中央内面にまず当たってから両端に向かうため、内圧の分散化が行われて均一に噴出させることができる。本例の本体は合成樹脂にて成型されているため、腐食その他の劣化が少なく、またシート材質の塩化ビニールゴムは耐久性に富み、通常のゴムのような経年使用による劣化が少ないので、長期間にわたって安定した機能を発揮することができる。

【００１０】

【考案の効果】

本案は下記の効果を有する。（ａ）下穴上に設けたスリット上に散気孔を設け、かつスリット巾と散気孔内径を同一にしているので、長時間使用によるスリット巾の増大を防ぎ、小粒な気泡を安定して得ることができる。（ｂ）スリット周囲は散気孔にて押さえられているため、スリット復帰のレスポンスが速く、送風停止など内圧低下時における汚水等の内部への侵入を防止できる。（ｃ）散気部分を下方に向けて設置することにより、噴出気泡の滞留時間が長くなり、水中への空気の溶け込み効果を増大させ、またスリット直下に下穴が位置しているため噴出力が大きくなり、沈澱汚泥を十分に撹はんできるとともに、発生臭気を極小にすることができる。以上のごとく、本案使用により、浄化作用および汚泥撹はん作用において有効なる機器を得ることができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本案の正面図

【図２】本案の内部構造説明図

【図３】本案の非送気時におけるスリットおよび散気孔
を示す拡大平面図

【図４】本案の非送気時におけるスリットおよび散気孔
を示す部分拡大断面図

【図５】本案の送気時におけるスリットおよび散気孔を
示す拡大平面図

【図６】本案の送気時におけるスリットおよび散気孔を
示す部分拡大断面図

【図７】本案の設置使用状態説明図

【図８】従来例の構造説明図

【符号の説明】

１本体２下穴３送気口４フランジ５補強リブ６シート７スリット８カバー９散気孔１０中空部１１送気管１２汚泥２１本体２２噴出孔２３送気口２４ゴムチューブ２５切り込み２６中空部２７チューブ固定部

Claims

【実用新案登録請求の範囲】

【請求項１】その側面に送気口と多数の小穴を有する中
空体よりなる本体を設け、多数のスリットを有する非通
気性弾力性素材よりなるシートを形成するとともに、ス
リット巾と同一の内径を有する散気孔を多数設けたカバ
ーを形成し、本体上にシート、シート上にカバーを、小
穴とスリットおよび散気孔の各々の中心を一致させて固
着したことを特徴とする散気管。
【請求項２】本体を中空筒体とした請求項１記載の散気
管。
【請求項３】シートを塩化ビニールゴムにて形成した請
求項１または２記載の散気管。
【請求項４】下穴を本体側面の一部に設け、送気口をこ
の下穴と対向する位置に設けた請求項１〜３のいずれか
の項に記載の散気管。