JPH05217829A - 半導体基体及びその作製方法 - Google Patents

半導体基体及びその作製方法

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JPH05217829A
JPH05217829A JP4046305A JP4630592A JPH05217829A JP H05217829 A JPH05217829 A JP H05217829A JP 4046305 A JP4046305 A JP 4046305A JP 4630592 A JP4630592 A JP 4630592A JP H05217829 A JPH05217829 A JP H05217829A
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 本発明は、高価な小面積の化合物半導体基体
の代替足り得る光透過性基体上の化合物半導体基体の極
めて、現実的かつ、高生産性、高均一性、高制御性なる
作製方法及び半導体基体を提供することを目的とする。 【構成】 本半導体基体の作製方法は、第1のSi基体
の表面層を多孔質化する工程、多孔質Siの孔の内壁を
酸化する工程、その上に単結晶化合物半導体を形成する
工程、該単結晶化合物半導体層の表面と別の光透過性基
体とを、絶縁層を介しあるいは直接貼り合わせ、まず、
第1のSi基体を多孔質Siをエッチストップ層として
選択的にエッチングし、次に、多孔質Siを単結晶Si
層をエッチストップ層として多孔質Siを除去し、光透
過性基体上に単結晶構造を有する化合物半導体層を均一
に形成することを特徴とする。オプトエレクトロニクス
に応用可能な高品質な光透過性化合物半導体基体を提供
することが可能となる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、半導体基体及びその作
製方法に関し、更に詳しくは、誘電体分離あるいは、光
透過性基体上の単結晶半導体層に作成される電子デバイ
ス、集積回路に適する半導体基体及びその作製方法に関
するものである。
【0002】
【従来の技術】絶縁物上の単結晶Si半導体層の形成
は、シリコン オン インシュレーター(SOI)技術
として広く知られ、通常のSi集積回路を作製するバル
クSi基板では到達しえない数々の優位点をSOI技術
を利用したデバイスが有することから多くの研究が成さ
れてきた。すなわち、SOI技術を利用することで、 1.誘電体分離が容易で高集積化が可能、 2.対放射線耐性に優れている、 3.浮遊容量が低減され高速化が可能、 4.ウエル工程が省略できる、 5.ラッチアップを防止できる、 6.薄膜化による完全空乏型電界効果トランジスタが可
能、 等の優位点が得られる。
【0003】上記したようなデバイス特性上の多くの利
点を実現するために、ここ数十年にわたり、SOI構造
の形成方法について研究されてきている。この内容は、
例えば以下の文献にまとめられている。
【0004】Special Issue: "Single-crystal silicon
on non-single-crystal insulators"; edited by G.W.
Cullen, Journal of Crystal Growth, volume 63, no
3, pp429〜590 (1983).また、古くは、単結晶サファイ
ア基板上に、SiをCVD(化学気相法)で、ヘテロエ
ピタキシ−させて形成するSOS(シリコン オン サ
ファイア)が知られており、最も成熟したSOI技術と
して一応の成功を収めはしたが、Si層と下地サファイ
ア基板界面の格子不整合により大量の結晶欠陥、サファ
イア基板からのアルミニュ−ムのSi層への混入、そし
て何よりも基板の高価格と大面積化への遅れにより、そ
の応用の広がりが妨げられている。比較的近年には、サ
ファイア基板を使用せずにSOI構造を実現しようとい
う試みが行なわれている。この試みは、次の二つに大別
される。
【0005】1.Si単結晶基板を表面酸化後に、窓を
開けてSi基板を部分的に表出させ、その部分をシ−ド
として横方向へエピタキシャル成長させ、SiO2上へ
Si単結晶層を形成する。(この場合には、SiO2
にSi層の堆積をともなう。) 2.Si単結晶基板そ
のものを活性層として使用し、その下部にSiO2を形
成する。(この方法は、Si層の堆積をともなわな
い。)また、化合物半導体上のデバイスはSiでは得ら
れない高い性能、たとえば、高速、発光など、を持って
いる。現在は、これらのデバイスはほとんどGaAs等
の化合物半導体基板上にエピタキシャル成長をしてその
中に作り込まれている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】上記1を実現する手段
として、CVDにより、直接、単結晶層Siを横方向エ
ピタキシャル成長させる方法、非晶質Siを堆積して、
熱処理により固相横方向エピタキシャル成長させる方
法、非晶質あるいは、多結晶Si層に電子線、レ−ザ−
光等のエネルギ−ビ−ムを収束して照射し、溶融再結晶
により単結晶層をSiO2上に成長させる方法、そし
て、棒状ヒ−タ−により帯状に溶融領域を走査する方法
(Zone Melting Recrystallization) が知られている。
これらの方法にはそれぞれ一長一短があるが、その制御
性、生産性、均一性、品質に多大の問題を残しており、
いまだに、工業的に実用化したものはない。たとえば、
CVD法は平坦薄膜化するには、犠牲酸化が必要とな
り、固相成長法ではその結晶性が悪い。また、ビ−ムア
ニ−ル法では、収束ビ−ム走査による処理時間と、ビ−
ムの重なり具合、焦点調整などの制御性に問題がある。
このうち、Zone Melting Recrystallization法がもっと
も成熟しており、比較的大規模な集積回路も試作されて
はいるが、依然として、亜粒界等の結晶欠陥は、多数残
留しており、少数キャリヤ−デバイスを作成するにいた
ってない。
【0007】上記2の方法であるSi基板をエピタキシ
ャル成長の種子として用いない方法に於ては、次の4種
類の方法が挙げられる。
【0008】1.V型の溝が表面に異方性エッチングさ
れたSi単結晶基板に酸化膜を形成し、該酸化膜上に多
結晶Si層をSi基板と同じ程厚く堆積した後、Si基
板の裏面から研磨によって、厚い多結晶Si層上にV溝
に囲まれて誘電分離されたSi単結晶領域を形成する。
この手法に於ては、結晶性は、良好であるが、多結晶S
iを数百ミクロンも厚く堆積する工程、単結晶Si基板
を裏面より研磨して分離したSi活性層のみを残す工程
に、制御性、と生産性の点から問題がある。
【0009】2.サイモックス(SIMOX:Seperati
on by ion implanted oxygen) と称されるSi単結晶基
板中に酸素のイオン注入によりSiO2層を形成する方
法であり、Siプロセスと整合性が良いため現在もっと
も成熟した手法である。しかしながら、SiO2層形成
をするためには、酸素イオンを1018ions/cm2以上も注
入する必要があるが、その注入時間は長大であり、生産
性は高いとはいえず、また、ウエハ−コストは高い。更
に、結晶欠陥は多く残存し、工業的に見て、少数キャリ
ヤ−デバイスを作製できる充分な品質に至っていない。
【0010】3.多孔質Siの酸化による誘電体分離に
よりSOI構造を形成する方法。この方法は、P型Si
単結晶基板表面にN型Si層をプロトンイオン注入、
(イマイ他, J.Crystal Growth,vol 63, 547(1983) ),
もしくは、エピタキシャル成長とパタ−ニングによって
島状に形成し、表面よりSi島を囲むようにHF溶液中
の陽極化成法によりP型Si基板のみを多孔質化したの
ち、増速酸化によりN型Si島を誘電体分離する方法で
ある。本方法では、分離されているSi領域は、デバイ
ス工程のまえに決定されており、デバイス設計の自由度
を制限する場合があるという問題点がある。
【0011】また、上記のような従来のSOIの形成方
法とは別に、近年、Si単結晶基板を、熱酸化した別の
Si単結晶基板に、熱処理又は接着剤を用いて貼り合わ
せ、SOI構造を形成する方法が注目を浴びている。こ
の方法は、デバイスのための活性層を均一に薄膜化する
必要がある。すなわち、数百ミクロンもの厚さのSi単
結晶基板をミクロンオ−ダ−かそれ以下に薄膜化する必
要がある。この薄膜化には以下のように2種類の方法が
ある。
【0012】1.研磨による薄膜化 2.選択エッチングによる薄膜化 1の研磨では均一に薄膜化することが困難である。特に
サブミクロンの薄膜化は、ばらつきが数十%にもなって
しまい、この均一化は大きな問題となっている。さらに
ウエハの大口径化が進めばその困難度は増すばかりであ
る。
【0013】また、2のエッチングは均一な薄膜化に有
効とされているが、 ・せいぜい102と選択比が十分でない ・エッチング後の表面性が悪い ・イオン注入、高濃度BドープSi層上のエピタキシャ
ル成長あるいはヘテロエピタキシャル成長を用いている
ためSOI層の結晶性が悪い等の問題点がある (C.Harendt,et.al.,J.Elect.Mater.Vol.20,267(199
1)、H.Baumgart,et.al.,Extended Abstract of ECS 1st
International Symposium of Wafer Bonding,pp-733(1
991)、C.E.Hunt,Extended Abstract of ECS 1st Intern
ational Symposium of Wafer Bonding,pp-696(199
1))。
【0014】したがって、貼り合わせによるSOIにお
いては、現状の方法では、その制御性、均一性に多くの
問題点が存在する。
【0015】上で述べたように、化合物半導体のデバイ
ス作製には化合物半導体の基板が必要不可欠となってい
る。しかし、化合物半導体の基板は高価で、しかも、大
面積化が非常に困難である。
【0016】さらに、Si基板上にGaAs等の化合物
半導体をエピタキシャル成長させることが試みられてい
るが、格子定数や熱膨張係数の違いにより、その成長膜
は結晶性が悪く、デバイスに応用することは非常に困難
となっている。
【0017】また、格子のミスフィットを緩和するため
多孔質Si上に化合物半導体をエピタキシャル成長させ
ることが試みられているが、多孔質Siの熱安定性の低
さ、経時変化等によりデバイスを作製中あるいは、作製
した後の基板としての安定性、信頼性に欠ける。
【0018】また、ガラスに代表される光透過性基板上
には、一般には、その結晶構造の無秩序性から、堆積し
た薄膜Si層は、基板の無秩序性を反映して、非晶質
か、良くて多結晶層にしかならず、高性能なデバイスは
作製できない。それは、基板の結晶構造が非晶質である
ことによっており、単に、Si層を堆積しても、良質な
単結晶層は得られない。
【0019】ところで、光透過性基板は、光受光素子で
あるコンタクトセンサ−や、投影型液晶画像表示装置を
構成するうえにおいて重要である。そして、センサ−や
表示装置の画素(絵素)をより一層、高密度化、高解像
度化、高精細化するには、高性能な駆動素子が必要とな
る。その結果、光透過性基板上に設けられている素子と
しても優れた結晶性を有する単結晶層を用いて作製され
ることが必要となる。したがって、非晶質Siや多結晶
Siでは、その欠陥の多い結晶構造ゆえに要求されるあ
るいは今後要求されるに十分な性能を持った駆動素子を
作製することが難しい。
【0020】本発明は、透明基体(光透過性基体)上に
結晶性が単結晶ウエハ−並に優れたSi結晶層を得るう
えで、生産性、均一性、制御性、コストの面において卓
越した半導体基体の作製方法を提案することを目的とす
る。
【0021】更に、本発明は、従来のSOIデバイスの
利点を実現し、応用可能な半導体基体の作製方法を提案
することも目的とする。
【0022】
【課題を解決するための手段】本発明の半導体基体の作
製方法は、第1のSi基体の少なくとも主面側の表面層
を多孔質化する工程、該多孔質Si層の孔の内壁を酸化
する工程、該多孔質Si層上に単結晶化合物半導体層を
形成する工程、該単結晶化合物半導体層表面と第1のS
i基体とは別の光透過性基体の主面とを絶縁層を介し
て、あるいは絶縁層を界さずに、貼り合わせる工程、該
貼り合わせ基体の光透過性基体側にエッチング耐性マス
クを形成した後、第1のSi基体を選択的にエッチング
して除去する第1エッチング工程、表面に露出した多孔
質Si層を、該化合物半導体に対してSiのエッチング
速度の速いエッチング液を用いて、多孔質Siのみを選
択的に化学エッチングすることにより除去する第2エッ
チング工程、を少なくとも有することを特徴とする。
【0023】本発明の半導体基体の作製方法は、第1の
Si基体の少なくとも主面側の表面層を多孔質化する工
程、該多孔質Si層の孔の内壁を酸化する工程、該多孔
質Si層上に単結晶化合物半導体層を形成する工程、該
単結晶化合物半導体層表面と第1のSi基体とは光透過
性基体の主面とを絶縁層を介して、あるいは絶縁層を界
さずに、貼り合わせる工程、該第1のSi基体を多孔質
Si層が露出する直前まで、あるいは一部露出するまで
研磨、研削により除去する工程、該貼り合わせ基体の光
透過性基体側にエッチング耐性マスクを形成した後、該
第1のSi基体の残りを選択的にエッチングして除去す
る第1エッチング工程、表面に露出した多孔質Si層
を、該化合物半導体に対してSiのエッチング速度の速
いエッチング液を用いて、多孔質Siのみを選択的に化
学エッチングすることにより除去する第2エッチング工
程、を少なくとも有することを特徴とする。
【0024】本発明の半導体基体の作製方法は、第1の
Si基体の少なくとも主面側の表面層を多孔質化する工
程、該多孔質Si層の孔の内壁を酸化する工程、該多孔
質Si層上に単結晶の化合物半導体層を形成する工程、
該単結晶化合物半導体層表面と第1のSi基体とは別の
光透過性基体の主面とを絶縁層を介して貼り合わせる工
程、該第1のSi基体を多孔質Si層が表出する直前ま
で、あるいは一部表出するまで研磨、研削により除去す
る工程、該貼り合わせ基体の光透過性基体側にエッチン
グ耐性マスクを形成した後、該第1のSi基体の残りを
選択的にエッチングして除去する第1エッチング工程、
表面に露出した多孔質Si層を、該化合物半導体に対し
てSiのエッチング速度の速いエッチング液を用いて、
多孔質Siのみを選択的に化学エッチングすることによ
り除去する第2エッチング工程、を少なくとも有するこ
とを特徴とする。
【0025】本発明の半導体基体の作製方法は、第1の
Si基体の少なくとも主面側の表面層を多孔質化する工
程、該多孔質Si層の孔の内壁を酸化する工程、該多孔
質Si層上に単結晶の化合物半導体層を形成する工程、
該単結晶化合物半導体層表面と第1のSi基体とは別の
光透過性基体の主面とを貼り合わせる工程、該第1のS
i基体を多孔質Si層が表出する直前まで、あるいは一
部表出するまで研磨、研削により除去する工程、該貼り
合わせ基体の光透過性基体側にエッチング耐性マスクを
形成した後、該第1のSi基体の残りを選択的にエッチ
ングして除去する第1エッチング工程、表面に露出した
多孔質Si層を、該化合物半導体に対してSiのエッチ
ング速度の速いエッチング液を用いて、多孔質Siのみ
を選択的に化学エッチングすることにより除去する第2
エッチング工程、を少なくとも有することを特徴とす
る。
【0026】
【作用】本発明によれば、良好な結晶性をもつ化合物半
導体層を光透過性基体上に大面積に形成することができ
る。
【0027】本発明の半導体基体の作製方法によれば、
二段階選択エッチングを行うことにより、大面積にわた
り均一平坦な、極めて優れた結晶性を有する化合物半導
体単結晶を光透過性基体上に得ることができる。
【0028】多孔質Siの内壁の酸化は、熱工程による
多孔質Siの構造変化を抑制する効果があることはよく
知られているが、本発明では、それだけでなく、1段目
のエッチングの選択比を向上させる、という効果もあ
る。1段目のバルクSiの選択エッチングは、多孔質S
iの内部表面は酸化膜で覆われているため、SiO2
りSiのエッチング速度が高いエッチング液を用いるこ
とにより、多孔質Si層が十分なエッチストップ層とな
る。
【0029】本発明においては、多孔質Siの厚さの不
均一性や1段目のエッチングむら等により、多孔質Si
層が初めに露出した領域は、他の領域のバルクSiのエ
ッチング完了を待っているため、多孔質Siが薄くなる
が、2段目のエッチングの選択比が抜群に優れており、
多孔質Siの残り厚さのむらは十分に補うことが可能と
なる。
【0030】本発明においては、大面積にわたり均一平
坦な、極めて優れた結晶性を有するSi単結晶基体を用
いて、表面に形成した化合物半導体活性層を残して、そ
の片面から該活性層までを除去して、光透過性基体上に
欠陥の著しく少ない単結晶化合物半導体層を経済的に得
ることができる。
【0031】本発明によれば、多孔質Si層上に結晶性
の良い単結晶化合物半導体層を形成し、さらにこの半導
体層を、経済的に、大面積の光透過性基体上に移し代え
ることが可能であり、上記問題点である格子定数、熱膨
張係数の差を十分に抑制し、良好な結晶性を有する化合
物半導体層を光透過性基体上に形成することができる。
【0032】
【実施態様例】
[実施態様例1]本発明において、Si基体の表面は、
例えば、HF溶液を用いた陽極化成法によって多孔質化
させることができる。この多孔質Si層は、単結晶Si
の密度2.33g/cm3に比べて、HF溶液濃度を50〜
20%に変化させることでその密度を1.1〜0.6g/c
m3の範囲に変化させることができる。この多孔質層は、
下記の理由により、N型Si層には形成されず、P型S
i基体のみに形成される。この多孔質Si層は、透過電
子顕微鏡による観察によれば、平均約600オングスト
ローム程度の径の孔が形成される。
【0033】多孔質Siは、Uhlir等によって19
56年に半導体の電解研磨の研究過程において発見され
た(A.Uhlir, Bell Syst.Tech.J., vol.35, 333(195
6))。
【0034】また、ウナガミ等は陽極化成におけるSi
の溶解反応を研究し、HF溶液中のSiの陽極反応には
正孔が必要であり、その反応は、次のようであると報告
している(T.ウナカ゛ミ、J.Electrochem.Soc., vol.127, 476
(1980))。
【0035】Si+2HF+(2−n)e+ → Si
2+2H++ne- SiF2+2HF → SiF4+H2 SiF4+2HF → H2SiF6 または、 Si+4HF+(4−λ)e+ → SiF4+4H+
λe- SiF4+2HF → H2SiF6 ここで、e+およびe-はそれぞれ正孔と電子を表してい
る。また、nおよびλはそれぞれSi1原子が溶解する
ために必要な正孔の数であり、n>2またはλ>4なる
条件が満たされた場合に多孔質Siが形成されるとして
いる。
【0036】以上のことから、正孔の存在するP型Si
は多孔質化されるが、N型Siは多孔質化されない。こ
の多孔質化における選択性は長野等および今井によって
実証されている(長野、中島、安野、大中、梶原、 電
子通信学会技術研究報告、vol.79, SSD79-9549(197
9))、(K.Imai,Solid-State Electronics, vol.24,159
(1981))。
【0037】しかし、高濃度N型Siであれば多孔質化
されるとの報告もあり(R.P.Holmstrom and J.Y.Chi, A
ppl.Phys.Lett., vol.42, 386(1983))、P型、N型の
別にこだわらず、多孔質化を実現できる基体を選ぶこと
が重要である。
【0038】多孔質Si層には、透過電子顕微鏡による
観察によれば、平均約600オングストローム程度の径
の孔が形成されており、その密度は単結晶Siに比べる
と、半分以下になるにもかかわらず、単結晶性は維持さ
れており、多孔質層の上部へ単結晶Si層をエピタキシ
ャル成長させることも可能である。ただし、1000℃
以上では、内部の孔の再配列が起こり、増速エッチング
の特性が損なわれる。このため、Si層のエピタキシャ
ル成長には、分子線エピタキシャル成長、プラズマCV
D、減圧CVD法、光CVD、バイアス・スパッタ−
法、液相成長法等の低温成長が好適とされている。ま
た、化合物半導体層のエピタキシャル成長も行われてい
る。多孔質Siが格子のミスフィットを緩和することが
報告されており、多孔質Si上にエピタキシャル成長さ
せた化合物半導体は良好な結晶性をもつことが期待され
ている。
【0039】また、多孔質層はその内部に大量の空隙が
形成されている為に、密度が半分以下に減少する。その
結果、体積に比べて表面積が飛躍的に増大するため、そ
の化学エッチング速度は、通常の単結晶層のエッチング
速度に比べて、著しく増速される。
【0040】図1(a)に示すように、まず第1のSi
単結晶基板11を用意して、その表面層を多孔質化12
し、多孔質Si層の孔の内壁に酸化膜を形成する。さら
に、多孔質Si上に単結晶化合物半導体層13を形成す
る(図1(b))。
【0041】図1(c)に示すように、光透過性支持基
板14と単結晶化合物半導体層13とを絶縁層15を介
して室温で密着させた後、陽極接合、加圧、あるいは熱
処理、あるいはこれらの組み合わせにより貼り合わせ
る。これにより、光透過性支持基板14と単結晶層13
とは絶縁層15を介して強固に結合する。絶縁層15は
単結晶化合物半導体層上、光透過性支持基板14上の少
なくとも一方に形成する。
【0042】次に、貼り合わせ基体の光透過性支持基板
側のみをエッチング耐性のあるマスク16で覆い(図1
(d))、多孔質Si層12をエッチストップ層とし
て、Si単結晶基板11をエッチングにより除去する
(図1(e))。この第1選択エッチングは、例えば、 弗硝酸系 エチレンジアミン+ピロカテコール+水 KOH系 等のSiO2に比較してSiのエッチング速度の速いエ
ッチング液を用いることにより達成される。
【0043】さらに、化合物半導体に対してSiのエッ
チング速度の速いエッチング液を用いて、多孔質Si1
2のみを化学エッチングして光透過性基板15+14上
に薄膜化した単結晶化合物半導体層13を残存させ形成
する。
【0044】図1(f)には、エッチング耐性マスクを
除去した後の本発明で得られる半導体基板が示される。
光透過性基板15+14上に単結晶化合物半導体層13
が平坦に、しかも均一に薄層化されて、ウエハ全域に、
大面積に形成される。貼り合わせ強度が不十分の場合に
は、前記貼り合わせ工程と同様の方法にて強度を増強す
る。こうして得られた半導体基板は、化合物半導体基板
として、さらには絶縁分離された電子素子作製という点
から見ても好適に使用することができる。
【0045】本実施態様例で絶縁層15のない場合の工
程図を図2に示す。
【0046】[実施態様例2]図3(a)に示すよう
に、まずSi単結晶基板31を用意して、その表面層を
多孔質化32し、多孔質Si層の孔の内壁に酸化膜を形
成する。さらに、多孔質Si上に単結晶化合物半導体層
33を形成する(図3(b))。図3(c)に示すよう
に、光透過性支持基板34と単結晶化合物半導体層33
とを絶縁層35を介して室温で密着させた後、陽極接
合、加圧、あるいは熱処理、あるいはこれらの組み合わ
せにより貼り合わせる。これにより、光透過性支持基板
34と単結晶層33とは絶縁層35を介して強固に結合
する。絶縁層35は単結晶化合物半導体層上、光透過性
支持基板34上の少なくとも一方に形成する。
【0047】次に、該Si単結晶基板31を多孔質Si
層が露出する直前まで研磨、研削により除去し(図3
(d))、貼り合わせ基体の光透過性支持基板側のみを
エッチング耐性のあるマスク36で覆った後(図3
(e))、多孔質Si層32をエッチストップ層とし
て、残りのSi単結晶基板31をエッチングして除去す
る(図3(f))。この第1選択エッチングは、例え
ば、 弗硝酸系 エチレンジアミン+ピロカテコール+水 KOH系 等のSiO2に比較してSiのエッチング速度の速いエ
ッチング液を用いることにより達成される。
【0048】さらに、化合物半導体に対してSiのエッ
チング速度の速いエッチング液を用いて、多孔質Si3
2のみを化学エッチングして光透過性基板35+34上
に薄膜化した単結晶化合物半導体層33を残存させ形成
する。
【0049】図3(f)には、エッチング耐性マスクを
除去した後の本発明で得られる半導体基板が示される。
光透過性基板35+34上に単結晶化合物半導体層33
が平坦に、しかも均一に薄層化されて、ウエハ全域に、
大面積に形成される。貼り合わせ強度が不十分の場合に
は、前記貼り合わせ工程と同様の方法にて強度を増強す
る。こうして得られた半導体基板は、化合物半導体基板
として、さらには絶縁分離された電子素子作製という点
から見ても好適に使用することができる。
【0050】本実施態様例で絶縁層35のない場合の工
程図を図4に示す。
【0051】[実施態様例3]図5(a)に示すよう
に、まずSi単結晶基板51を用意して、その表面層を
多孔質化52し、多孔質Si層の孔の内壁に酸化膜を形
成する。さらに、多孔質Si上に単結晶化合物半導体層
53を形成する(図5(b))。図5(c)に示すよう
に、光透過性支持基板54と単結晶化合物半導体層53
とを絶縁層55を介して室温で密着させた後、陽極接
合、加圧、あるいは熱処理、あるいはこれらの組み合わ
せにより貼り合わせる。これにより、光透過性支持基板
54と単結晶層53とは絶縁層55を介して強固に密着
する。絶縁層55は単結晶化合物半導体層上、光透過性
支持基板54上の少なくとも一方に形成する。
【0052】次に、該Si単結晶基板51を、多孔質S
i層52が一部露出するまで研磨、研削により除去し
(図5(d))、貼り合わせ基体の光透過性支持基板側
のみをエッチング耐性のあるマスク56で覆った後(図
5(e))、多孔質Si層52をエッチストップ層とし
て、残りのSi単結晶基板51をエッチングして除去す
る(図5(f))。この第1選択エッチングは、例え
ば、 弗硝酸系 エチレンジアミン+ピロカテコール+水 KOH系 等のSiO2に比較してSiのエッチング速度の速いエ
ッチング液を用いることにより達成される。
【0053】さらに、化合物半導体に対してSiのエッ
チング速度の速いエッチング液を用いて、多孔質Si5
2のみを化学エッチングして光透過性基板55+54上
に薄膜化した単結晶化合物半導体層53を残存させ形成
する。
【0054】図5(g)には、エッチング耐性マスクを
除去した後の本発明で得られる半導体基板が示される。
光透過性基板55+54上に単結晶化合物半導体層53
が平坦に、しかも均一に薄層化されて、ウエハ全域に、
大面積に形成される。貼り合わせ強度が不十分の場合に
は、前記貼り合わせ工程と同様の方法にて強度を増強す
る。こうして得られた半導体基板は、化合物半導体基板
として、さらには絶縁分離された電子素子作製という点
から見ても好適に使用することができる。
【0055】本実施態様例で絶縁層55のない場合の工
程図を図6に示す。
【0056】
【実施例】
(実施例1)625μmの厚みを持った比抵抗0.01
Ω・cmのP型あるいはN型の6インチ径の第1の(1
00)単結晶Si基板を、HF溶液中において陽極化成
を行った。
【0057】陽極化成条件は以下のとおりであった。 電流密度: 5(mA・cm-2) 陽極化成溶液:HF:H2O:C2H5OH=1:1:1 時間: 12(分) 多孔質Siの厚み: 10(μm) Porosity: 45(%) この基板を酸素雰囲気中400℃で1時間酸化した。こ
の酸化により多孔質Siの孔の内壁は熱酸化膜で覆われ
た。多孔質Si上にMOCVD(Metal OrganicChemical
Vapor Deposition)法により単結晶GaAsを1μmエ
ピタキシャル成長した。成長条件は以下の通りである。 ソ−スガス: TMG/AsH3/H2 ガス圧力: 80 Torr 温度: 700 ℃ 該GaAs層表面と別に用意した溶融石英基板の表面と
を重ね合わせ、接触させた後、400℃×2時間の熱処
理をし、貼り合わせを行った。
【0058】次に、貼り合わせ基板の溶融石英基板側の
みをSi34で被覆し、66HNO3+34HF溶液で
第1のSi基板を10μm残してエッチングし、その
後、 1HF+20HNO3+20CH3COOH で、孔の内壁を酸化した多孔質Si層をエッチストップ
層として10μmの単結晶Si基板を選択的にエッチン
グした。10分後には、第1のSi基板はすべてエッチ
ングされ、多孔質Si層が露出した。
【0059】その後、多孔質Si層の内壁の酸化膜を弗
酸で除去した後、多孔質Siを エチレンジアミン+ピロカテコール+水(17ml:3g:8mlの
比率) 110℃ でエッチングした。1分後には、単結晶GaAsはエッ
チングされずに残り、単結晶GaAsをエッチ・ストッ
プの材料として、多孔質Si基板は選択エッチングさ
れ、完全に除去された。
【0060】単結晶GaAsの該エッチング液にたいす
るエッチング速度は、極めて低く、実用上無視できる膜
厚減少である。
【0061】裏面のエッチングマスクを除去した後、9
00℃×30分の熱処理を施し、貼り合わせ強度を増強
した。
【0062】すなわち、溶融石英基板上に1μmの厚み
を持った単結晶GaAs層が形成できた。多孔質Siの
選択エッチングによっても単結晶GaAs層には何ら変
化はなかった。
【0063】透過電子顕微鏡による断面観察の結果、G
aAs層には新たな結晶欠陥は導入されておらず、良好
な結晶性が維持されていることが確認された。
【0064】(実施例2)625μmの厚みを持った比
抵抗0.01Ω・cmのP型あるいはN型の5インチ径の
第1の(100)単結晶Si基板を、HF溶液中におい
て陽極化成を行った。
【0065】陽極化成条件は以下のとおりであった。 電流密度: 10(mA・cm-2) 陽極化成溶液:HF:H2O:C2H5OH=1:1:1 時間: 24(分) 多孔質Siの厚み: 20(μm) Porosity: 47(%) この基板を酸素雰囲気中400℃で2時間酸化した。こ
の酸化により多孔質Siの孔の内壁は熱酸化膜で覆われ
た。多孔質Si上にMBE(Molecular Beam Epitaxy)法
により単結晶AlGaAsを0.5μmエピタキシャル
成長した。
【0066】該AlGaAs層表面と別に用意した80
0℃付近に軟化点のあるガラス基板表面とを重ね合わ
せ、接触させた後、300℃×2時間の熱処理をし、貼
り合わせを行った。
【0067】次に、貼り合わせ基板のガラス基板側のみ
をSi34で被覆し、 エチレンジアミン+ピロカテコール+水(17ml:3g:8ml
の比率) 110℃ で第1のSi基板を10μm残してエッチングし、その
後、 1HF+40HNO3+40CH3COOH で、孔の内壁を酸化した多孔質Si層をエッチストップ
層として10μmの単結晶Si基板を選択的にエッチン
グした。20分後には、第1のSi基板はすべてエッチ
ングされ、多孔質Si層が露出した。
【0068】その後、多孔質Siを弗酸溶液でエッチン
グした。2分後には、単結晶AlGaAsはエッチング
されずに残り、単結晶AlGaAsをエッチ・ストップ
の材料として、多孔質Siは選択エッチングされ、完全
に除去された。
【0069】単結晶AlGaAsの該エッチング液にた
いするエッチング速度は、極めて低く、実用上無視でき
る膜厚減少である。
【0070】裏面のエッチングマスクを除去した後、9
00℃×30分の熱処理を施し、貼り合わせ強度を増強
した。
【0071】すなわち、ガラス基板上に1μmの厚みを
持った単結晶AlGaAs層が形成できた。多孔質Si
の選択エッチングによっても単結晶AlGaAs層には
何ら変化はなかった。
【0072】透過電子顕微鏡による断面観察の結果、A
lGaAs層には新たな結晶欠陥は導入されておらず、
良好な結晶性が維持されていることが確認された。
【0073】(実施例3)625μmの厚みを持った比
抵抗0.01Ω・cmのP型あるいはN型の6インチ径の
第1の(100)単結晶Si基板を、HF溶液中におい
て陽極化成を行った。
【0074】陽極化成条件は以下のとおりであった。 電流密度: 5(mA・cm-2) 陽極化成溶液:HF:H2O:C2H5OH=1:1:1 時間: 24(分) 多孔質Siの厚み: 20(μm) Porosity: 45(%) この基板を酸素雰囲気中400℃で2時間酸化した。こ
の酸化により多孔質Siの孔の内壁は熱酸化膜で覆われ
た。多孔質Si上に液相成長法により単結晶GaPを2
μmエピタキシャル成長した。
【0075】該GaP層表面と表面にSiO2/Si34
を形成した500℃付近に軟化点のあるガラス基板のS
iO2表面とを重ね合わせ、接触させた後、陽極接合法
により室温で強固に密着させ、その後200℃×2時間
の熱処理をし、貼り合わせを行った。
【0076】次に、貼り合わせ基板のガラス基板側のみ
をSi34で被覆し、66HNO3+34HF溶液で第
1のSi基板を10μm残してエッチングし、その後、
6MKOHで、孔の内壁を酸化した多孔質Si層をエッ
チストップ層として10μmの単結晶Si基板を選択的
にエッチングした。10分後には、第1のSi基板はす
べてエッチングされ、多孔質Si層が露出した。
【0077】その後、多孔質Si層の内壁の酸化膜を弗
酸で除去した後、多孔質Siを エチレンジアミン+ピロカテコール+水(17ml:3g:8mlの
比率) 110℃ でエッチングした。2分後には、単結晶GaPはエッチ
ングされずに残り、単結晶GaPをエッチ・ストップの
材料として、多孔質Si基板は選択エッチングされ、完
全に除去された。
【0078】単結晶GaPの該エッチング液にたいする
エッチング速度は、極めて低く、実用上無視できる膜厚
減少である。
【0079】裏面のエッチングマスクを除去した後、7
00℃×30分の熱処理を施し、貼り合わせ強度を増強
した。
【0080】すなわち、ガラス基板上に2μmの厚みを
持った単結晶GaP層が形成できた。多孔質Siの選択
エッチングによっても単結晶GaP層には何ら変化はな
かった。
【0081】透過電子顕微鏡による断面観察の結果、G
aP層には新たな結晶欠陥は導入されておらず、良好な
結晶性が維持されていることが確認された。
【0082】(実施例4)525μmの厚みを持った比
抵抗0.01Ω・cmのP型あるいはN型の4インチ径の
第1の(100)単結晶Si基板を、HF溶液中におい
て陽極化成を行った。
【0083】陽極化成条件は以下のとおりであった。 電流密度: 5(mA・cm-2) 陽極化成溶液:HF:H2O:C2H5OH=1:1:1 時間: 24(分) 多孔質Siの厚み: 20(μm) Porosity: 45(%) この基板を酸素雰囲気中400℃で2時間酸化した。こ
の酸化により多孔質Siの孔の内壁は熱酸化膜で覆われ
た。多孔質Si上にMOCVD法により単結晶GaAs
を1μmエピタキシャル成長した。
【0084】該GaAs層表面と溶融石英基板表面とを
重ね合わせ、接触させた後、400℃で陽極接合を行
い、貼り合わせを行った。
【0085】次に、研磨、研削により第1のSi基板を
10μm残して除去し、貼り合わせ基板の溶融石英基板
側のみをSi34で被覆した後、 エチレンジアミン+ピロカテコール+水(17ml:3g:8mlの
比率) 110℃ で、孔の内壁を酸化した多孔質Si層をエッチストップ
層として10μmの単結晶Si基板を選択的にエッチン
グした。15分後には、第1のSi基板はすべてエッチ
ングされ、多孔質Si層が露出した。
【0086】その後、多孔質Si層の内壁の酸化膜を弗
酸で除去した後、多孔質Siを エチレンジアミン+ピロカテコール+水(17ml:3g:8mlの
比率) 110℃ でエッチングした。2分後には、単結晶GaAsはエッ
チングされずに残り、単結晶GaAsをエッチ・ストッ
プの材料として、多孔質Si基板は選択エッチングさ
れ、完全に除去された。
【0087】単結晶GaAsの該エッチング液にたいす
るエッチング速度は、極めて低く、実用上無視できる膜
厚減少である。
【0088】裏面のエッチングマスクを除去した後、8
00℃-30分の熱処理を施し、貼り合わせ強度を増強
した。
【0089】すなわち、溶融石英基板上に1μmの厚み
を持った単結晶GaAs層が形成できた。多孔質Siの
選択エッチングによっても単結晶GaAs層には何ら変
化はなかった。
【0090】透過電子顕微鏡による断面観察の結果、G
aAs層には新たな結晶欠陥は導入されておらず、良好
な結晶性が維持されていることが確認された。
【0091】(実施例5)625μmの厚みを持った比
抵抗0.01Ω・cmのP型あるいはN型の5インチ径の
第1の(100)単結晶Si基板を、HF溶液中におい
て陽極化成を行った。
【0092】陽極化成条件は以下のとおりであった。 電流密度: 5(mA・cm-2) 陽極化成溶液:HF:H2O:C2H5OH=1:1:1 時間: 12(分) 多孔質Siの厚み: 10(μm) Porosity: 45(%) この基板を酸素雰囲気中400℃で1時間酸化した。こ
の酸化により多孔質Siの孔の内壁は熱酸化膜で覆われ
た。多孔質Si上にMBE法により単結晶GaAsを
0.3μmエピタキシャル成長した。
【0093】さらに、このエピタキシャルSi層表面に
CVD法により500nmのSiO2層を形成した。
【0094】該SiO2層表面と溶融石英基板表面とを
重ね合わせ、接触させた後、300℃の陽極接合により
貼り合わせを行った。これにより両基板は強固に貼り合
わされた。
【0095】次に、研磨、研削により第1のSi基板を
5μm残して除去し、貼り合わせ基板の溶融石英基板側
のみをSi34で被覆した後、 1HF+10HNO3+10CH3COOH で、孔の内壁を酸化した多孔質Si層をエッチストップ
層として10μmの単結晶Si基板を選択的にエッチン
グした。5分後には、第1のSi基板はすべてエッチン
グされ、多孔質Si層が露出した。
【0096】その後、多孔質Si層の内壁の酸化膜を弗
酸で除去した後、多孔質Siを エチレンジアミン+ピラジン+水(7.5ml:2.4g:2.4mlの
比率) 115℃ でエッチングした。1分後には、単結晶GaAsはエッ
チングされずに残り、単結晶GaAsをエッチ・ストッ
プの材料として、多孔質Si基板は選択エッチングさ
れ、完全に除去された。
【0097】単結晶GaAsの該エッチング液にたいす
るエッチング速度は、極めて低く、実用上無視できる膜
厚減少である。
【0098】裏面のエッチングマスクを除去した後、9
00℃×30分の熱処理を施し、貼り合わせ強度を増強
した。
【0099】すなわち、裏面のSi34層を除去した後
には、溶融石英基板上に1μmの厚みを持った単結晶G
aAs層が形成できた。多孔質Siの選択エッチングに
よっても単結晶GaAs層には何ら変化はなかった。
【0100】透過電子顕微鏡による断面観察の結果、G
aAs層には新たな結晶欠陥は導入されておらず、良好
な結晶性が維持されていることが確認された。
【0101】本発明は、上記実施例に制限されることな
く、あらゆる化合物半導体、さらにそれら化合物半導体
に対してSiのエッチング速度が十分に速いエッチング
液に対して、適応できる。
【0102】
【発明の効果】本発明によれば、光透過性基体上に結晶
性の良い化合物半導体層を得るうえで、生産性、均一
性、制御性、経済性の面において卓越した方法を提供す
ることができ、オプトエレクトロニクスに応用できる。
【0103】さらに、本発明によれば、従来のSOIデ
バイスの利点を実現し、応用可能な半導体基体及びその
作製方法を提供することができる。
【0104】本発明によれば、元々良質な単結晶Si基
体出発材料として、単結晶層を表面にのみ残して下部の
Si基体化学的に除去して光透過性基体に移設させるも
のであり、実施例にも詳細に記述したように、多数処理
を短時間に行うことが可能となり、その生産性と経済性
に多大の進歩がある。
【0105】本発明によれば、2段目の選択比が抜群に
優れている二段階選択エッチングを行うことにより、大
面積にわたり均一平坦な、極めて優れた結晶性を有する
化合物半導体単結晶を得ることができる。
【0106】本発明によれば、多孔質Si上に結晶性の
良い単結晶化合物半導体層を形成し、さらにこの半導体
層大面積の絶縁性基体に移し代えることにより、従来の
技術が有していた、格子定数、熱膨張係数の差を十分に
抑制し、良好な結晶性を有する化合物半導体層を光透過
性基体上に形成することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の行程を説明するための模式的断面図で
ある。
【図2】本発明の行程を説明するための模式的断面図で
ある。
【図3】本発明の行程を説明するための模式的断面図で
ある。
【図4】本発明の行程を説明するための模式的断面図で
ある。
【図5】本発明の行程を説明するための模式的断面図で
ある。
【図6】本発明の行程を説明するための模式的断面図で
ある。
【符号の説明】
11・・・Si基板 12・・・孔の内壁に酸化膜を形成した多孔質Si 13・・・単結晶化合物半導体層 14・・・光透過性基板 15・・・絶縁層 16・・・エッチング耐性マスク 21・・・Si基板 22・・・孔の内壁に酸化膜を形成した多孔質Si 23・・・単結晶化合物半導体層 24・・・光透過性基板 25・・・エッチング耐性マスク 31・・・Si基板 32・・・孔の内壁に酸化膜を形成した多孔質Si 33・・・単結晶化合物半導体層 34・・・光透過性基板 35・・・絶縁層 36・・・エッチング耐性マスク 41・・・Si基板 42・・・孔の内壁に酸化膜を形成した多孔質Si 43・・・単結晶化合物半導体層 44・・・光透過性基板 45・・・エッチング耐性マスク 51・・・Si基板 52・・・孔の内壁に酸化膜を形成した多孔質Si 53・・・単結晶化合物半導体層 54・・・光透過性基板 55・・・絶縁層 56・・・エッチング耐性マスク 61・・・Si基板 62・・・孔の内壁に酸化膜を形成した多孔質Si 63・・・単結晶化合物半導体層 64・・・光透過性基板 65・・・エッチング耐性マスク

Claims (11)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 第1のSi基体の少なくとも主面側の表
    面層を多孔質化する工程、該多孔質Si層の孔の内壁を
    酸化する工程、該多孔質Si層上に単結晶の化合物半導
    体層を形成する工程、該単結晶化合物半導体層表面と第
    1のSi基体とは別の光透過性基体の主面とを絶縁層を
    介して貼り合わせる工程、該貼り合わせ基体の光透過性
    基体側にエッチング耐性マスクを形成した後、第1のS
    i基体を選択的にエッチングして除去する第1エッチン
    グ工程、表面に露出した多孔質Si層を該化合物半導体
    に対してSiのエッチング速度の速いエッチング液を用
    いて、多孔質Siのみを選択的に化学エッチングするこ
    とにより除去する第2エッチング工程、を少なくとも有
    することを特徴とする半導体基体の作製方法。
  2. 【請求項2】 第1のSi基体の少なくとも主面側の表
    面層を多孔質化する工程、該多孔質Si層の孔の内壁を
    酸化する工程、該多孔質Si層上に単結晶の化合物半導
    体層を形成する工程、該単結晶化合物半導体層表面と第
    1のSi基体とは別の光透過性基体の主面とを貼り合わ
    せる工程、該貼り合わせ基体の光透過性基体側にエッチ
    ング耐性マスクを形成した後、第1のSi基体を選択的
    にエッチングして除去する第1エッチング工程、表面に
    露出した多孔質Si層を該化合物半導体に対してSiの
    エッチング速度の速いエッチング液を用いて、多孔質S
    iのみを選択的に化学エッチングすることにより除去す
    る第2エッチング工程、、を少なくとも有することを特
    徴とする半導体基体の作製方法。
  3. 【請求項3】 第1のSi基体の少なくとも主面側の表
    面層を多孔質化する工程、該多孔質Si層の孔の内壁を
    酸化する工程、該多孔質Si層上に単結晶の化合物半導
    体層を形成する工程、該単結晶化合物半導体層表面と第
    1のSi基体とは別の光透過性基体の主面とを絶縁層を
    介して貼り合わせる工程、該第1のSi基体を多孔質S
    i層が表出する直前まで、あるいは一部表出するまで研
    磨、研削により除去する工程、該貼り合わせ基体の光透
    過性基体側にエッチング耐性マスクを形成した後、該第
    1のSi基体の残りを選択的にエッチングして除去する
    第1エッチング工程、表面に露出した多孔質Si層を、
    該化合物半導体に対してSiのエッチング速度の速いエ
    ッチング液を用いて、多孔質Siのみを選択的に化学エ
    ッチングすることにより除去する第2エッチング工程、
    を少なくとも有することを特徴とする半導体基体の作製
    方法。
  4. 【請求項4】 第1のSi基体の少なくとも主面側の表
    面層を多孔質化する工程、該多孔質Si層の孔の内壁を
    酸化する工程、該多孔質Si層上に単結晶の化合物半導
    体層を形成する工程、該単結晶化合物半導体層表面と第
    1のSi基体とは別の光透過性基体の主面とを貼り合わ
    せる工程、該第1のSi基体を多孔質Si層が表出する
    直前まで、あるいは一部表出するまで研磨、研削により
    除去する工程、該貼り合わせ基体の光透過性基体側にエ
    ッチング耐性マスクを形成した後、該第1のSi基体の
    残りを選択的にエッチングして除去する第1エッチング
    工程、表面に露出した多孔質Si層を、該化合物半導体
    に対してSiのエッチング速度の速いエッチング液を用
    いて、多孔質Siのみを選択的に化学エッチングするこ
    とにより除去する第2エッチング工程、を少なくとも有
    することを特徴とする半導体基体の作製方法。
  5. 【請求項5】 前記絶縁物層は、単結晶化合物半導体層
    上、第2のSi基体の主面上の少なくとも一方に形成す
    る請求項1乃至3のいずれか1項に記載の半導体基体の
    作製方法。
  6. 【請求項6】 前記単結晶化合物半導体層上、光透過性
    基体の主面上の少なくとも一方に形成する絶縁物層は、
    熱酸化膜、堆積SiO2膜、堆積Si34膜、あるいは
    これらの多層膜の中から選ばれる請求項5に記載の半導
    体基体の作製方法。
  7. 【請求項7】 前記貼り合わせ工程は、陽極接合、加
    圧、熱処理、あるいはこれらの組み合わせの中から選ば
    れた方法により行われる請求項1乃至4のいずれか1項
    に記載の半導体基体の作製方法。
  8. 【請求項8】 前記多孔質化する工程は陽極化成である
    請求項1乃至4のいずれか1項に記載の半導体基体の作
    製方法。
  9. 【請求項9】 前記陽極化成はHF溶液中で行われる請
    求項8に記載の半導体基体の作製方法。
  10. 【請求項10】 前記多孔質Si層の酸化工程は、熱酸
    化、あるいは大気中での自然酸化、あるいはRCA等の
    洗浄工程中での酸化、あるいはこれらの組み合わせによ
    り行われる請求項1乃至4のいずれか1項に記載の半導
    体基体の作製方法。
  11. 【請求項11】 請求項1乃至10のいずれか1項に記
    載の作製方法で作製された半導体基体。
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