JPH0521735B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は、雄型と雌型よりなるクツシヨン体成
形型を用い、積層シートをほぼ箱型の容器形状に
加熱プレスしてクツシヨン体を成形するクツシヨ
ン体の成形方法に関する。

〔従来の技術〕

従来、クツシヨン体の成形方法に使用するク
ツシヨン体成形型としては、例えば特公昭57−
5697号公報、実公昭59−8595号公報に記載された
ものが知られている。

これらのクツシヨン体成形型は、なだらかな隆
起部および陥没部を有する平面視して箱形の雄型
と、この雄型の陥没部位置および外壁位置に配置
される加熱プレス刃を有する雌型との間に積層シ
ートを配置し、そののち雄型および雌型を押し合
わせることで、積層シートを起伏表面を有する箱
形形状に成形するものである。

なお、これらの雌型は、型基板に対し外周壁の
加熱プレス刃が垂直に配置されている。

また、真空成形法およびその装置としては、
例えば実開昭56−160820号公報、特開昭52−
12274号公報および特開昭51−54669号公報に記載
されたものが知られている。

〔発明が解決しようとする課題〕

ところで、前記したように、従来のクツシヨ
ン体の成形方法に使用するクツシヨン体成形型の
雌型は、型基板に対し全ての加熱プレス刃が垂直
に配置されていたため、表面の起伏形状は成形で
きるものの、型内側方向への折れ曲がり形状は成
形できなかつた。このため、例えば雄型に箱型の
外壁面が元部方向へ内傾斜するものを用いて、元
絞り形状（いわゆるアンダーカツト）のクツシヨ
ン体を成形する場合には、前記雄型、雌型を嵌合
して積層シートを一次成形したのち、この一次成
形された積層シートの外周部を雄型の外壁面形状
に合わせて内曲する二次成形を別装置で行わなけ
ればならず、しかもこの二次成形では、コーナー
部に弛みが発生して良好な元絞り形状のものが得
にくく、通常、寄せ縫いなどの技術で弛み部分を
絞り込んでおり、これにより不必要なしわが発生
し、クツシヨン体の外観を損ねていた。

また、前記に示すような真空成形法によるク
ツツシヨン体の成形方法では、連通気泡を有する
軟質ポリウレタンシートと、該シートの少なくと
も表面を被装する通気性を有する編布または織布
とからなる積層シートを成形することは不可能で
あり、非通気性の表面材を使用するかまたは通気
性を有する表面材を使用する場合には非通気性の
フイルムなどを積層させる必要があり、表面風合
いを損ねると同時に表面材の伸びが要求されコス
ト高の要因となるものである。

本発明は、このような従来の技術的課題を鑑み
てなされたもので、元絞り形状、すなわちアンダ
ーカツト部を有するクツシヨン体の成形が雄型と
雌型の一組の成形型のみで成形できるとともに、
しわのない良好な外観を有するクツシヨン体を成
形できるクツシヨン体の成形方法を提供すること
を目的とする。

〔課題を解決するための手段〕

本発明は、雄型と雌型よりなるクツシヨン体成
形型を用い、積層シートをほぼ箱型の容器形状に
加熱プレスしてクツシヨン体を成形するクツシヨ
ン体の成形方法において、前記積層シートとして
連通気泡を有する軟質ポリウレタンシートと、該
軟質ポリウレタンシートの少なくとも表面を被装
する通気性を有する編布または織布とからなる積
層シートを用いるとともに、前記クツシヨン体成
形型として少なくとも一辺が元部方向へ内傾斜す
る外壁を有し、かつ元部にフランジ部が周設され
た雄型と、該雄型のフランジ部に押し付けられる
外周刃を有し、かつ前記フランジ部と外周刃に挟
まれた前記積層シートを張架状態で前記雄型の内
傾斜する外壁面の元部に加熱プレスできる加熱摺
動刃を有する摺動加熱プレス手段が配設された雌
型とからなるクツシヨン体成形型を使用すること
を特徴とするクツシヨン体の成形方法を提供する
ものである。

〔作用〕

本発明のクツシヨン体の成形方法は、前記のよ
うな構成を採用することにより、雄型と雌型の間
に積層シートを配置して前記雄型と雌型を嵌合す
ると、雄型の外壁面に雌型の外周刃が押圧され、
これにより積層シートの外周部が雄型と雌型との
間で張架状態となり、そののち雌型の摺動加熱プ
レス手段の加熱摺動刃を雄型の内傾斜する外壁面
の元部方向へ摺動させ、前記積層シートの外周部
を前記外壁面の元部に所定時間押圧することによ
り、元絞り形状、すなわちアンダーカツタ部を有
するクツシヨン体の成形が雄型と雌型の一組の成
形型のみで成形できるとともに、しわのない良好
な外観を有するクツシヨン体を成形できる。

〔実施例〕

以下、本発明の実施例を図面に基づいて説明す
る。

第１図は本実施例に使用するクツシヨン体成形
型の雄型を示す斜視図、第２図は本実施例に使用
するクツシヨン体成形型の雌型を示す斜視図、第
３図は雄型と雌型の嵌合状態を示す一部断面図、
第４図および第５図は本実施例によるクツシヨン
体の成形方法を示す図で、第４図はクツシヨン体
成形型を構成する雄型と雌型の単純な嵌合状態を
示す要部断面図、第５図は摺動加熱プレス装置の
使用状態を示す要部断面図、第６図は本実施例に
よるクツシヨン体の成形方法で成形されたクツシ
ヨン体の斜視図、第７図は第６図のクツシヨン体
のＸ−Ｘ断面図である。

まず、本発明の実施例に使用されるクツシヨン
体成形型について説明する。

なお、本実施例では、自動車用座席に使用され
るクツシヨン体成形型Ａを例にとる。

すなわち、本実施例に使用するクツシヨン体成
形型Ａは、第１〜３図に示すように、主に雄型１
０と雌型２０とから構成されている。

前記雄型１０は、プレス成形機Ｐの下熱板Ｐ１
上に配置される伝熱素材製の凸型で、互いに若干
形状の異なるコツペパン形の３つの隆起部１１を
箱形に並列配置して、凸型部１２を形成し、この
凸型部１２の各隆起部１１間に溝部１３を形成す
るとともに、この凸型部１２の元部周囲にフラン
ジ部１４を周設して形成されている。

なお、凸型部１２の一組の対向する外壁面１２
１は、元部方向へ内傾斜する内傾斜面１２１ａと
なされている。

また、この雄型１０の素材には、熱伝導率が高
いアルミニウム、鉄、真鍮などが使用される。

一方、前記雌型２０は、プレス成形機Ｐの上熱
板Ｐ２上に設置される伝熱素材製の凹型で、雄型
１０の凸型部１２により形成された溝部１３に押
しつけられるパターン押し刃２１と、凸型部１２
の外壁面１２１に沿つてフランジ部１４に押しつ
けられる外周押し刃２２により形成されている。

また、この外周押し刃２２の前記雄型１０の一
組の内傾斜面１２１ａに相対する一組の相対刃壁
２２１には、各々内傾斜面１２１ａの元部１２１
a′に後記する積層シート４０を押しつけて加熱プ
レスできる加熱摺動刃３１を有する摺動加熱プレ
ス装置３０が配設されている。

この摺動加熱プレス装置３０は、前記加熱手動
刃３１と油圧シリンダ３２とから構成され、前記
相対刃壁２２１の元部付近の外面に油圧シリンダ
３２の本体３２ａが設置され、ロツド３２ｂの先
端部が相対刃壁２２１に形成する加熱摺動刃３１
の収納部である摺動刃収納口２２１ａを挿通して
雌型２０内部に突出され、このロツド３２ｂの先
端に相対刃壁２２１の横幅より若干短い横長の前
記加熱摺動刃３１が取りつけられている。

なお、油圧シリンダ３２は、各相対刃壁２２１
に所定間隔で２個設置されているものであり、加
熱摺動刃３１は相対刃壁２２１の摺動刃収納口２
２１ａに嵌合収納されている。

また、この雌型２０の素材には、熱伝導率が高
く、かつ押圧に対して耐久性のある鉄などが使用
される。

前記積層シート４０は、表面シート４１、軟質
ポリウレタンシート４２、および裏面シート４３
とから構成され、例えば接着や加熱溶融の手段に
より、軟質ポリウレタンシート４２を表面シート
４１と裏面シート４３とでラミネート成形された
り、プレス成形直前に図示しないロールコータや
スプレーなどにより接着剤を軟質ポリウレタンシ
ート４２の両面に塗布し、残りの表面シート４１
と裏面シート４３とを順次積層させて成形される
ものである。この表面シート４１は、通気性を有
するものであれば、所望する性能、意匠性、成形
条件などを考慮して、編布または織布などより適
宜選択でき、また軟質ポリウレタンシート４２
は、連通気泡を有する厚さ１〜20mmの軟質ポリウ
レタンフオームを使用している。

さらに、裏面シート４３は、通気性を有する編
布または織布を使用している。

次に、本発明によるクツシヨン体の成形方法を
第４〜５図も併せ参照しつつ説明すると、あらか
じめ雄型１０を140〜200℃、雌型２０を120〜180
℃に加熱しておき、これらの雄型１０と雌型２０
の間に積層シート４０を配置して型嵌合すると、
雄型１０の溝部１３に雌型２０のパターン押し刃
２１が押しつけられて積層シート４０の表面部に
所定形状の起伏模様ができ、これと同時に雄型１
０の外壁面１２１に雌型２０の外周刃２２が押圧
して積層シート４０の外周部が雄型１０と雌型２
０の間で張架状態となる。そののち、雌型２０に
配置した摺動加熱プレス装置３０の油圧シリンダ
３２を作動して加熱摺動刃３１を雄型１０の内傾
斜面１２１ａの元部１２１a′へ摺動し、積層シー
ト４０の外周部をこの内傾斜面１２１ａの元部１
２１a′に所定時間押圧することにより、第６〜７
図に具示される元絞り形状、すなわちアンダーカ
ツト部を有するクツシヨン体Ｂが成形される。

これにより、第６〜７図に示したように、元絞
り形状のクツシヨン体Ｂの成形が雄型と雌型の一
組の成形型のみで成形できるとともに、しわのな
い良好な外観を有するクツシヨン体Ｂを成形でき
る。

また、本実施例に使用するクツシヨン体成形型
では、収納時の加熱摺動刃３１は雌型２０の相対
刃壁２２１の摺動刃収納口２２１ａに嵌合収納さ
れるので、雄型１０と雌型２０の嵌合時に加熱摺
動刃３１が雄型１０に接触して嵌合を妨げること
がない。

なお、本実施例では、雄型１０の内傾斜面１２
１ａは、凸型部１２の一組の対向する外壁面１２
１に形成させたが、少なくとも凸型部１２の一辺
の外壁面１２１に形成させればよいとともに、摺
動加熱プレス装置３０の配置数もこの内傾斜面１
２１ａの形成数と同一になるものである。

また、本実施例では、摺動加熱プレス手段とし
て油圧シリンダ３２を有する手段を示したが、例
えばエアシリンダなどのアクチユエータや手動操
作位置を有する手段とすることもできる。

さらに、加熱刃３１は、前記形状に限定される
ものではなく、このクツシヨン体の成形方法の用
途も自動車クツシヨン用座席のクツシヨン体に限
定されず、家具用、寝具用などのクツシヨン体の
製造に用いることができる。

また、積層シート４０は、少なくとも表面を被
装するシート材として表面シート４１が積層され
ていればよく、裏面を被装する裏面シート４３
は、必ずしも必要ではない。

〔発明の効果〕

本発明によれば、軟質ポリウレタンシートの本
来有するソフト感を損なわずに表面凹凸意匠を自
由に表現でき、しかも従来なし得なかつた元絞り
形状、すなわちアンダーカツト部を有するクツシ
ヨン体の成形が、雄型と雌型の一組の成形型のみ
で成形できるとともに、しわのない良好な外観を
有するクツシヨン体が得られる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明の実施例に使用するクツシヨン
体成形型の雄型を示す斜視図、第２図は前記クツ
シヨン体成形型の雌型を示す斜視図、第３図は前
記クツシヨン体成形型を構成する雄型と雌型の嵌
合状態を示す一部断面図、第４図および第５図は
本発明によるクツシヨン体の成形方法の実施例を
示す図で、第４図は雄型と雌型の単純な嵌合状態
を示す要部断面図、第５図は摺動加熱プレス装置
の使用状態を示す要部断面図、第６図は本実施例
によるクツシヨン体の成形方法で成形されたクツ
シヨン体の斜視図、第７図は第６図のクツシヨン
体の−断面図である。 Ａ；クツシヨン体成形型、１０；雄型、１２
１；外壁面、１２１ａ；内傾斜面、１２１a′；元
部、２０；雌型、２２；外周刃、２２１；相対刃
壁、３０；摺動加熱プレス装置、３１；加熱摺動
刃、４０；積層シート、４１；表面シート、４
２；軟質ポリウレタンシート、４３；裏面シー
ト、Ｂ；クツシヨン体。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ 雄型と雌型よりなるクツシヨン体成形型を用
   い、積層シートをほぼ箱型の容器形状に加熱プレ
   スしてクツシヨン体を成形するクツシヨン体の成
   形方法において、前記積層シートとして連通気泡
   を有する軟質ポリウレタンシートと、該軟質ポリ
   ウレタンシートの少なくとも表面を被装する通気
   性を有する編布または織布とからなる積層シート
   を用いるとともに、前記クツシヨン体成形型とし
   て少なくとも一辺が元部方向へ内傾斜する外壁を
   有し、かつ元部にフランジ部が周設された雄型
   と、該雄型のフランジ部に押し付けられる外周刃
   を有し、かつ前記フランジ部と外周刃に挟まれた
   前記積層シートを張架状態で前記雄型の内傾斜す
   る外壁面の元部に加熱プレスできる加熱摺動刃を
   有する摺動加熱プレス手段が配設された雌型とか
   らなるクツシヨン体成形型を使用することを特徴
   とするクツシヨン体の成形方法。