JPH05215899A - 光学素子の冷却方法 - Google Patents
光学素子の冷却方法Info
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- JPH05215899A JPH05215899A JP4047587A JP4758792A JPH05215899A JP H05215899 A JPH05215899 A JP H05215899A JP 4047587 A JP4047587 A JP 4047587A JP 4758792 A JP4758792 A JP 4758792A JP H05215899 A JPH05215899 A JP H05215899A
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Landscapes
- Analysing Materials By The Use Of Radiation (AREA)
- Particle Accelerators (AREA)
- Measurement Of Radiation (AREA)
Abstract
(57)【要約】
【目的】光学素子冷却面における沸騰開始熱流束を向上
させ、光学素子により高い強度のX線を入射させて使用
する。 【構成】光学素子2を冷却する流路1に液体窒素を飽和
状態から過冷却状態にして流し、沸騰開始に要する管壁
の熱流束の値を高め、冷却流路1内で沸騰を起させない
でより高い入熱量に対応させる。
させ、光学素子により高い強度のX線を入射させて使用
する。 【構成】光学素子2を冷却する流路1に液体窒素を飽和
状態から過冷却状態にして流し、沸騰開始に要する管壁
の熱流束の値を高め、冷却流路1内で沸騰を起させない
でより高い入熱量に対応させる。
Description
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は寒剤として液化ガスを
使用してX線ビ−ムライン内に設置されたミラ−や結晶
等の光学素子を冷却する冷却方法、特にX線の強度の向
上に関するものである。
使用してX線ビ−ムライン内に設置されたミラ−や結晶
等の光学素子を冷却する冷却方法、特にX線の強度の向
上に関するものである。
【0002】
【従来の技術】X線ビ−ムラインにおいて使用されるミ
ラ−や結晶等の光学素子は、入射するX線を一部吸収し
て発熱する。この発熱により熱変形が生じると光学素子
の光学的性能が劣化する。この光学素子の光学的性能の
劣化を防ぐために、通常は水を冷却材として光学素子の
冷却を行なっている。
ラ−や結晶等の光学素子は、入射するX線を一部吸収し
て発熱する。この発熱により熱変形が生じると光学素子
の光学的性能が劣化する。この光学素子の光学的性能の
劣化を防ぐために、通常は水を冷却材として光学素子の
冷却を行なっている。
【0003】一般にX線ビ−ムラインの光学素子の材料
としては単結晶シリコンが用いられる。単結晶シリコン
は120K程度の温度において線膨張係数がほぼ零になる
性質を有する。この性質を利用すると光学素子の熱変形
を極めて小さくすることができる。現在、高強度のX線
を扱うビ−ムラインにおいては、図8に示すように単結
晶シリコン製の光学素子を上記の温度近くに保つための
低温冷却方法が試みられている(A.K.Freund & G.Maro
t,ESRF Newsletter No.8 April 91, P.4〜12)。
としては単結晶シリコンが用いられる。単結晶シリコン
は120K程度の温度において線膨張係数がほぼ零になる
性質を有する。この性質を利用すると光学素子の熱変形
を極めて小さくすることができる。現在、高強度のX線
を扱うビ−ムラインにおいては、図8に示すように単結
晶シリコン製の光学素子を上記の温度近くに保つための
低温冷却方法が試みられている(A.K.Freund & G.Maro
t,ESRF Newsletter No.8 April 91, P.4〜12)。
【0004】この冷却方法においては、冷却用の流路1
を有する光学素子2は入口側の管寄せ3aと出口側の管
寄せ3b及びフィ−ドスル−4を有するフランジ5上に
組み込まれて、X線のビ−ムライン6の途中に設置され
た真空容器7内に固定されている。この光学素子2の流
路1内にデュワ−8から液体窒素を流して冷却してい
る。流路1内に液体窒素を流すときに、デュワ−8内に
貯蔵された液体窒素をボンベ9の窒素ガスによって流送
に必要な圧力損失に見合うだけ加圧し、出口側の管寄せ
3b出口に設けられた弁10をリモ−トコントロ−ラ1
1で遠隔操作して流量を調整している。この弁10を流
出した液体窒素は真空断熱を施したタンク12に回収さ
れる。
を有する光学素子2は入口側の管寄せ3aと出口側の管
寄せ3b及びフィ−ドスル−4を有するフランジ5上に
組み込まれて、X線のビ−ムライン6の途中に設置され
た真空容器7内に固定されている。この光学素子2の流
路1内にデュワ−8から液体窒素を流して冷却してい
る。流路1内に液体窒素を流すときに、デュワ−8内に
貯蔵された液体窒素をボンベ9の窒素ガスによって流送
に必要な圧力損失に見合うだけ加圧し、出口側の管寄せ
3b出口に設けられた弁10をリモ−トコントロ−ラ1
1で遠隔操作して流量を調整している。この弁10を流
出した液体窒素は真空断熱を施したタンク12に回収さ
れる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】上記のように従来は光
学素子2の冷却を窒素ガスによって若干加圧されるもの
の、圧力約0.1MPa,温度約77.4Kの飽和状態に近い
液体窒素で行なっているが、光学素子2に入射するX線
の強度を制限せざるを得ない原因の一つに、光学素子2
を冷却するための流路1内における冷却材の沸騰の発生
が挙げられる。光学素子2の冷却中に流路1内で沸騰が
発生すると、流路壁面上における気泡の周期的な成長離
脱により光学素子2の機械的な振動が発生する。これに
伴って光学素子2からの回折光が変動を受け、光学素子
2よりも下流側のX線の強度等について光学素子2が所
期の性能を維持できなくなる。最悪の場合には、光学素
子2の焼損に至ることも考えられる。流路1内の沸騰は
X線による光学素子2に対する過剰な熱負荷によって発
生するため、光学素子2に入射するX線の強度を一定レ
ベル以下に制限することが必要である。
学素子2の冷却を窒素ガスによって若干加圧されるもの
の、圧力約0.1MPa,温度約77.4Kの飽和状態に近い
液体窒素で行なっているが、光学素子2に入射するX線
の強度を制限せざるを得ない原因の一つに、光学素子2
を冷却するための流路1内における冷却材の沸騰の発生
が挙げられる。光学素子2の冷却中に流路1内で沸騰が
発生すると、流路壁面上における気泡の周期的な成長離
脱により光学素子2の機械的な振動が発生する。これに
伴って光学素子2からの回折光が変動を受け、光学素子
2よりも下流側のX線の強度等について光学素子2が所
期の性能を維持できなくなる。最悪の場合には、光学素
子2の焼損に至ることも考えられる。流路1内の沸騰は
X線による光学素子2に対する過剰な熱負荷によって発
生するため、光学素子2に入射するX線の強度を一定レ
ベル以下に制限することが必要である。
【0006】一方、現在ではより高い強度のX線ビ−ム
ラインが建設されていく傾向にあり、従来のように飽和
状態に近い液体窒素で冷却していると、ある強度以上の
X線の入射に対して冷却が不可能になることが予測され
る。このため現行よりも高い強度のX線ビ−ムラインに
対応して行くには冷却能力の向上、特に沸騰開始熱流束
の向上が要望されている。
ラインが建設されていく傾向にあり、従来のように飽和
状態に近い液体窒素で冷却していると、ある強度以上の
X線の入射に対して冷却が不可能になることが予測され
る。このため現行よりも高い強度のX線ビ−ムラインに
対応して行くには冷却能力の向上、特に沸騰開始熱流束
の向上が要望されている。
【0007】この発明はかかる要望に対処するためにな
されたものであり、光学素子冷却面における沸騰開始熱
流束を向上させて、高い強度のX線の入射に耐えられる
ことができる光学素子の冷却方法を得ることを目的とす
るものである。
されたものであり、光学素子冷却面における沸騰開始熱
流束を向上させて、高い強度のX線の入射に耐えられる
ことができる光学素子の冷却方法を得ることを目的とす
るものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】この発明に係る光学素子
の冷却方法は、液化ガスの温度をそのときの液の圧力に
おける飽和温度以下で凝固点温度以上に冷却して光学素
子内またはそれに熱的に接触したヒ−トシンク内の冷却
チャンネルに流すことを特徴とする。
の冷却方法は、液化ガスの温度をそのときの液の圧力に
おける飽和温度以下で凝固点温度以上に冷却して光学素
子内またはそれに熱的に接触したヒ−トシンク内の冷却
チャンネルに流すことを特徴とする。
【0009】また、液化ガスの圧力をそのときの液の温
度における飽和圧力以上に昇圧して光学素子内またはそ
れに熱的に接触したヒ−トシンク内の冷却チャンネルに
流したり、液化ガスの圧力をそのときの液の温度におけ
る飽和圧力以上に昇圧するとともに、そのときの液の圧
力における飽和温度以下で凝固点温度以上に冷却して光
学素子内またはそれに熱的に接触したヒ−トシンク内の
冷却チャンネルに流すようにしても良い。
度における飽和圧力以上に昇圧して光学素子内またはそ
れに熱的に接触したヒ−トシンク内の冷却チャンネルに
流したり、液化ガスの圧力をそのときの液の温度におけ
る飽和圧力以上に昇圧するとともに、そのときの液の圧
力における飽和温度以下で凝固点温度以上に冷却して光
学素子内またはそれに熱的に接触したヒ−トシンク内の
冷却チャンネルに流すようにしても良い。
【0010】
【作用】一般的に管内を流れる液体が管壁を通じて加熱
を受ける場合を考えると、流速が高いほど、また液体の
過冷却度が高いほど管壁での沸騰開始に要する管壁の熱
流束の値は増加する。換言すれば、液体を沸騰させない
で液体によって管壁から除熱できる最大の熱流束が増大
する。
を受ける場合を考えると、流速が高いほど、また液体の
過冷却度が高いほど管壁での沸騰開始に要する管壁の熱
流束の値は増加する。換言すれば、液体を沸騰させない
で液体によって管壁から除熱できる最大の熱流束が増大
する。
【0011】そこで光学素子内またはそれに熱的に接触
したヒ−トシンク内の冷却チャンネルに流入する冷却用
の液化ガスを飽和状態より加圧するか、予め冷凍機ある
いは素子冷却用の液化ガスよりも温度の低い液化ガス等
で冷却することにより、素子冷却用の液化ガスを飽和状
態から過冷却状態にして、流速を一定とした条件の下で
光学素子内またはそれに熱的に接触したヒ−トシンク内
を流れる素子冷却用の液化ガスの沸騰開始に要する管壁
の熱流束の値を高める。
したヒ−トシンク内の冷却チャンネルに流入する冷却用
の液化ガスを飽和状態より加圧するか、予め冷凍機ある
いは素子冷却用の液化ガスよりも温度の低い液化ガス等
で冷却することにより、素子冷却用の液化ガスを飽和状
態から過冷却状態にして、流速を一定とした条件の下で
光学素子内またはそれに熱的に接触したヒ−トシンク内
を流れる素子冷却用の液化ガスの沸騰開始に要する管壁
の熱流束の値を高める。
【0012】
【実施例】図1はこの発明の一実施例を示す構成図であ
る。図に示すように、単結晶シリコンからなる光学素子
2の冷却装置は光学素子2内に設けられた冷却材用の流
路1と大気解放されたデュワ−8と低温ポンプ13とヘ
リウム冷凍器冷凍ユニット14と熱交換器15とを有す
る。
る。図に示すように、単結晶シリコンからなる光学素子
2の冷却装置は光学素子2内に設けられた冷却材用の流
路1と大気解放されたデュワ−8と低温ポンプ13とヘ
リウム冷凍器冷凍ユニット14と熱交換器15とを有す
る。
【0013】光学素子2は入口側の管寄せ3aと出口側
の管寄せ3b及びフィ−ドスル−4を有するフランジ5
上に組み込まれて、X線のビ−ムライン6の途中に設置
された真空容器7内に固定されている。光学素子2に設
けられた流路1は、図2の一部を裁断した斜視図に示す
ように、管寄せ3a,3bに連結された複数のフィン1
aを有する。デュワ−8には液体窒素が圧力0.1MP
a,温度77.4Kの飽和状態で貯蔵されている。ヘリウム
冷凍器冷凍ユニット14のコ−ルドヘッド16は真空容
器7内に設けられ、コ−ルドヘッド16には、図3に示
すようにコイル15aを巻回した熱交換器15が取り付
けられている。このコイル15aの入口側は低温ポンプ
13を介してデュワ−8内に接続され、出口側は光学素
子2の流路1の入口側管寄せ3aに接続されている。ま
た、光学素子2の流路1の出口側管寄せ3bは直接デュ
ワ−8内に接続されている。
の管寄せ3b及びフィ−ドスル−4を有するフランジ5
上に組み込まれて、X線のビ−ムライン6の途中に設置
された真空容器7内に固定されている。光学素子2に設
けられた流路1は、図2の一部を裁断した斜視図に示す
ように、管寄せ3a,3bに連結された複数のフィン1
aを有する。デュワ−8には液体窒素が圧力0.1MP
a,温度77.4Kの飽和状態で貯蔵されている。ヘリウム
冷凍器冷凍ユニット14のコ−ルドヘッド16は真空容
器7内に設けられ、コ−ルドヘッド16には、図3に示
すようにコイル15aを巻回した熱交換器15が取り付
けられている。このコイル15aの入口側は低温ポンプ
13を介してデュワ−8内に接続され、出口側は光学素
子2の流路1の入口側管寄せ3aに接続されている。ま
た、光学素子2の流路1の出口側管寄せ3bは直接デュ
ワ−8内に接続されている。
【0014】上記のように構成された冷却装置によりX
線のビ−ムが照射されている光学素子2を冷却するとき
には、低温ポンプ13の回転数を制御して流量を調整し
ながら、大気解放されたデュワ−8内の液体窒素を低温
ポンプ13により熱交換器15と光学素子2の流路1を
通して循環する。この循環するときに、デュワ−8を出
た液体窒素の圧力は低温ポンプ13により実際は管路内
を流れるときの圧力損失分の昇圧が生じるが、その値は
大気圧に比べて無視できるので、液体窒素はほぼ圧力0.
1MPa,温度77.4Kの飽和状態で熱交換器15に達す
る。一方、熱交換器15はヘリウム冷凍器冷凍ユニット
14のコ−ルドヘッド16により65Kまで冷却されてい
る。そこで熱交換器15に送られた温度77.4Kの液体窒
素は熱交換器15により例えば67.4Kまで過冷却されて
光学素子2の流路1に送られてフィン1a間を流れX線
ビ−ムの熱を吸収した光学素子2を冷却する。
線のビ−ムが照射されている光学素子2を冷却するとき
には、低温ポンプ13の回転数を制御して流量を調整し
ながら、大気解放されたデュワ−8内の液体窒素を低温
ポンプ13により熱交換器15と光学素子2の流路1を
通して循環する。この循環するときに、デュワ−8を出
た液体窒素の圧力は低温ポンプ13により実際は管路内
を流れるときの圧力損失分の昇圧が生じるが、その値は
大気圧に比べて無視できるので、液体窒素はほぼ圧力0.
1MPa,温度77.4Kの飽和状態で熱交換器15に達す
る。一方、熱交換器15はヘリウム冷凍器冷凍ユニット
14のコ−ルドヘッド16により65Kまで冷却されてい
る。そこで熱交換器15に送られた温度77.4Kの液体窒
素は熱交換器15により例えば67.4Kまで過冷却されて
光学素子2の流路1に送られてフィン1a間を流れX線
ビ−ムの熱を吸収した光学素子2を冷却する。
【0015】この光学素子2を冷却するときに、液体窒
素は飽和温度より低い温度に冷却されているから、液体
窒素の沸騰開始熱流束の値を増加することができ、液体
窒素が沸騰しない範囲で光学素子2から除熱できる熱量
を増大させることができる。したがって光学素子2に照
射するX線ビ−ムの強度を高くすることができる。
素は飽和温度より低い温度に冷却されているから、液体
窒素の沸騰開始熱流束の値を増加することができ、液体
窒素が沸騰しない範囲で光学素子2から除熱できる熱量
を増大させることができる。したがって光学素子2に照
射するX線ビ−ムの強度を高くすることができる。
【0016】また、光学素子2の流路1に送られる液体
窒素は飽和温度77.4Kより十分に低い温度67.4Kである
から、流路1のフィン1aの側壁で気泡が発生しても主
流中で直ちに凝縮するから、沸騰が生じることを抑制す
ることができる。このため光学素子2に機械的な振動が
発生することを抑制することができ、良好なX線ビ−ム
を出力することができる。
窒素は飽和温度77.4Kより十分に低い温度67.4Kである
から、流路1のフィン1aの側壁で気泡が発生しても主
流中で直ちに凝縮するから、沸騰が生じることを抑制す
ることができる。このため光学素子2に機械的な振動が
発生することを抑制することができ、良好なX線ビ−ム
を出力することができる。
【0017】また、液体窒素を冷却して過冷却度を高め
ているから、沸騰を防止する手段としての液体窒素の圧
力上昇は必要なく、現在通常使用されている剛性が小さ
い光学素子2であっても、光学素子2の液体窒素の圧力
による弾性変形を最小限に抑えることができる。
ているから、沸騰を防止する手段としての液体窒素の圧
力上昇は必要なく、現在通常使用されている剛性が小さ
い光学素子2であっても、光学素子2の液体窒素の圧力
による弾性変形を最小限に抑えることができる。
【0018】次ぎに、この実施例で過冷却度を高めた液
体窒素が沸騰を生じないで光学素子2を冷却する場合に
可能な最大除熱量と、従来例による最大除熱量を評価し
た結果を示す。光学素子2の流路1に液体窒素を流しな
がら、光学素子2に入射するX線ビ−ムの強度を高めて
行き、フィン1aの表面温度と液体窒素の温度の差があ
る一定値(以下、沸騰開始の温度差と呼ぶ)に達すると
初期沸騰が生じる。大気圧で圧力0.1MPa,温度77.4
Kの飽和状態にある液体窒素においては、流路1内の液
体窒素の流速を例えば10m/sとすると、沸騰開始の温
度差をDITTUS−BOELTERによる対流の熱伝達係数を求め
るための実験式(Dittu,F.W. and Boelter,L.M.K Uni
v. Calif. Publs. Eng.,2(1930),443)と佐藤らの強制流
動における沸騰開始条件式(佐藤,松村,機械学会論文
集,29−204(1963),1367)との交点から求めると0.94K
となる。この液体窒素を温度77.4Kから温度67.7Kまで
10K冷却して過冷却度を高めると、沸騰開始の温度差は
約10.94Kに上昇する。
体窒素が沸騰を生じないで光学素子2を冷却する場合に
可能な最大除熱量と、従来例による最大除熱量を評価し
た結果を示す。光学素子2の流路1に液体窒素を流しな
がら、光学素子2に入射するX線ビ−ムの強度を高めて
行き、フィン1aの表面温度と液体窒素の温度の差があ
る一定値(以下、沸騰開始の温度差と呼ぶ)に達すると
初期沸騰が生じる。大気圧で圧力0.1MPa,温度77.4
Kの飽和状態にある液体窒素においては、流路1内の液
体窒素の流速を例えば10m/sとすると、沸騰開始の温
度差をDITTUS−BOELTERによる対流の熱伝達係数を求め
るための実験式(Dittu,F.W. and Boelter,L.M.K Uni
v. Calif. Publs. Eng.,2(1930),443)と佐藤らの強制流
動における沸騰開始条件式(佐藤,松村,機械学会論文
集,29−204(1963),1367)との交点から求めると0.94K
となる。この液体窒素を温度77.4Kから温度67.7Kまで
10K冷却して過冷却度を高めると、沸騰開始の温度差は
約10.94Kに上昇する。
【0019】図4は、横軸に流路1のフィン1a表面の
温度と冷却材である液体窒素の温度差(K)を、縦軸に
光学素子2への入熱量(W)をとり、液体窒素の流速を
10m/sとしたときの両者の関係を示したものであ
る。図中の直線Aは入熱量をQ、温度差をΔT、フィン
冷却面の総面積をAf、DITTUS−BOELTERの式で求められ
た強制対流の熱伝達係数をαとしたとき、Q=αΔTA
fで表わされる関係を示す。図4に示すように光学素子
2への入熱量が増加すると温度差も増加する。図4から
明らかなように従来例の場合には最大42.8Wまで除熱可
能であるが、この実施例による場合には最大497.8Wま
で除熱可能であり、光学素子2へ入射するX線ビ−ムの
強度を沸騰を起さない状態で約11.6倍に増加させること
ができる。
温度と冷却材である液体窒素の温度差(K)を、縦軸に
光学素子2への入熱量(W)をとり、液体窒素の流速を
10m/sとしたときの両者の関係を示したものであ
る。図中の直線Aは入熱量をQ、温度差をΔT、フィン
冷却面の総面積をAf、DITTUS−BOELTERの式で求められ
た強制対流の熱伝達係数をαとしたとき、Q=αΔTA
fで表わされる関係を示す。図4に示すように光学素子
2への入熱量が増加すると温度差も増加する。図4から
明らかなように従来例の場合には最大42.8Wまで除熱可
能であるが、この実施例による場合には最大497.8Wま
で除熱可能であり、光学素子2へ入射するX線ビ−ムの
強度を沸騰を起さない状態で約11.6倍に増加させること
ができる。
【0020】このようにより高い強度のX線を使用する
ことができるから、極微量分析や蛍光X線分析におい
て、例えば1/108eVとより高い単色度や、1μmと
より細いビ−ム径で、かつ1012〜1014photons/mm2/sと
より高い光子数をもつX線ビ−ムが使用できる可能性が
でてき、より高分解能の分析測定が可能にすることがで
きる。
ことができるから、極微量分析や蛍光X線分析におい
て、例えば1/108eVとより高い単色度や、1μmと
より細いビ−ム径で、かつ1012〜1014photons/mm2/sと
より高い光子数をもつX線ビ−ムが使用できる可能性が
でてき、より高分解能の分析測定が可能にすることがで
きる。
【0021】また、X線ビ−ムの安定性が向上するか
ら、X線ホログラフィによる原子配列の3次元解析の実
現可能性が高まる。
ら、X線ホログラフィによる原子配列の3次元解析の実
現可能性が高まる。
【0022】さらに、X線リソグラフィ−によるサブミ
クロンの加工において、1012〜1014photons/mm2/sとよ
りエネルギ−密度の高いX線を使用する可能性があり、
加工時間を短縮することができるとともに、加工中のビ
−ム位置の安定性が増してより精密な加工を行なうこと
ができる。
クロンの加工において、1012〜1014photons/mm2/sとよ
りエネルギ−密度の高いX線を使用する可能性があり、
加工時間を短縮することができるとともに、加工中のビ
−ム位置の安定性が増してより精密な加工を行なうこと
ができる。
【0023】また、より高エネルギ−のX線を使用する
ことにより、X線顕微鏡における時間,空間分解能の向
上を図ることもできる。
ことにより、X線顕微鏡における時間,空間分解能の向
上を図ることもできる。
【0024】なお、上記実施例は光学素子2の流路1に
流す液体窒素を熱交換器15で飽和温度より低温に冷却
して過冷却度を高めた場合について説明したが、光学素
子2の構造が十分に剛性を有するものであれば、液体窒
素の圧力を飽和圧力以上に高くして過冷却度を高めても
良い。
流す液体窒素を熱交換器15で飽和温度より低温に冷却
して過冷却度を高めた場合について説明したが、光学素
子2の構造が十分に剛性を有するものであれば、液体窒
素の圧力を飽和圧力以上に高くして過冷却度を高めても
良い。
【0025】図5は液体窒素の圧力を飽和圧力以上に高
くして過冷却度を高めた場合の実施例の構成を示す。図
5に示すように、光学素子2の流路1の入口側管寄せ3
aと低温ポンプ13を直接接続し、出口側管寄せ3bと
デュワ−8間に弁10を設ける。そして低温ポンプ13
の回転数と弁10の開度とを制御しながら流路1に流れ
る液体窒素の流量と圧力を調整して、圧力0.1MPa,
温度77.4Kの飽和状態にある液体窒素の圧力を例えば0.
2MPaまで昇圧する。このように昇圧して過冷却度を
高めた液体窒素を流路1に流すことにより、液体窒素が
沸騰しない範囲で光学素子2から除熱できる熱量を増大
することができる。この昇圧された液体窒素は弁10を
流出したときに、減圧に伴う自己蒸発により飽和状態と
なりデュワ−8に戻る。
くして過冷却度を高めた場合の実施例の構成を示す。図
5に示すように、光学素子2の流路1の入口側管寄せ3
aと低温ポンプ13を直接接続し、出口側管寄せ3bと
デュワ−8間に弁10を設ける。そして低温ポンプ13
の回転数と弁10の開度とを制御しながら流路1に流れ
る液体窒素の流量と圧力を調整して、圧力0.1MPa,
温度77.4Kの飽和状態にある液体窒素の圧力を例えば0.
2MPaまで昇圧する。このように昇圧して過冷却度を
高めた液体窒素を流路1に流すことにより、液体窒素が
沸騰しない範囲で光学素子2から除熱できる熱量を増大
することができる。この昇圧された液体窒素は弁10を
流出したときに、減圧に伴う自己蒸発により飽和状態と
なりデュワ−8に戻る。
【0026】さらに、図6に示すように、大気開放され
たデュワ−8に貯蔵した飽和状態の液体窒素を低温ポン
プ13の回転数と弁10の開度とを制御しながら液体窒
素の流量と圧力を調整して液体窒素の圧力を飽和圧力以
上、例えば0.2MPaまで昇圧し、昇圧した液体窒素を
ヘリウム冷凍器冷凍ユニット14のコ−ルドヘッド16
に取り付けた熱交換器15で温度67.4Kまで過冷却して
から光学素子2の流路1に流すようにしたり、図7に示
すように、高圧の液体窒素容器17内に貯蔵された,例
えば圧力0.2MPa,温度84Kの飽和状態の液体窒素
を、大気開放のデュワ−8内の液体窒素に浸漬された冷
却コイル19に送り、デュワ−8内の圧力0.1MPa,
温度77.4Kの液体窒素で温度79Kまで過冷却し、圧力0.
2MPa,温度79Kの液体窒素として光学素子2の流路
1に流すようにしても、上記各実施例と同様な作用を奏
することができる。
たデュワ−8に貯蔵した飽和状態の液体窒素を低温ポン
プ13の回転数と弁10の開度とを制御しながら液体窒
素の流量と圧力を調整して液体窒素の圧力を飽和圧力以
上、例えば0.2MPaまで昇圧し、昇圧した液体窒素を
ヘリウム冷凍器冷凍ユニット14のコ−ルドヘッド16
に取り付けた熱交換器15で温度67.4Kまで過冷却して
から光学素子2の流路1に流すようにしたり、図7に示
すように、高圧の液体窒素容器17内に貯蔵された,例
えば圧力0.2MPa,温度84Kの飽和状態の液体窒素
を、大気開放のデュワ−8内の液体窒素に浸漬された冷
却コイル19に送り、デュワ−8内の圧力0.1MPa,
温度77.4Kの液体窒素で温度79Kまで過冷却し、圧力0.
2MPa,温度79Kの液体窒素として光学素子2の流路
1に流すようにしても、上記各実施例と同様な作用を奏
することができる。
【0027】なお、図7の実施例では液体窒素の流量を
流路1の出口側管寄せ3bの下流に設けられている弁1
0をリモ−トコントロ−ラ11で遠隔操作することによ
り調整すれば良い。そして弁10を流出した液体窒素を
デュワ−8に戻し、液体窒素容器17から送られる高圧
液体窒素の予冷に再利用する。
流路1の出口側管寄せ3bの下流に設けられている弁1
0をリモ−トコントロ−ラ11で遠隔操作することによ
り調整すれば良い。そして弁10を流出した液体窒素を
デュワ−8に戻し、液体窒素容器17から送られる高圧
液体窒素の予冷に再利用する。
【0028】また、上記各実施例は光学素子2内に冷却
チャンネルを設けた場合について説明したが、光学素子
2に熱的に接触したヒ−トシンク内に冷却チャンネルを
設けた場合にも同様な作用を奏することができる。
チャンネルを設けた場合について説明したが、光学素子
2に熱的に接触したヒ−トシンク内に冷却チャンネルを
設けた場合にも同様な作用を奏することができる。
【0029】
【発明の効果】この発明は以上説明したように、光学素
子内またはそれに熱的に接触したヒ−トシンク内の冷却
チャンネルに流入する冷却用の液化ガスを飽和状態より
加圧するか、予め冷凍機あるいは素子冷却用の液化ガス
よりも温度の低い液化ガスで冷却することにより、素子
冷却用の液化ガスを飽和状態から過冷却状態にして、光
学素子内またはそれに熱的に接触したヒ−トシンク内を
流れる素子冷却用の液化ガスの沸騰開始に要する管壁の
熱流束の値を高めるようにしたから、冷却流路内で沸騰
を起させないで、より高い入熱量に対応することがで
き、光学素子により高い強度のX線を入射させて使用す
ることができる。
子内またはそれに熱的に接触したヒ−トシンク内の冷却
チャンネルに流入する冷却用の液化ガスを飽和状態より
加圧するか、予め冷凍機あるいは素子冷却用の液化ガス
よりも温度の低い液化ガスで冷却することにより、素子
冷却用の液化ガスを飽和状態から過冷却状態にして、光
学素子内またはそれに熱的に接触したヒ−トシンク内を
流れる素子冷却用の液化ガスの沸騰開始に要する管壁の
熱流束の値を高めるようにしたから、冷却流路内で沸騰
を起させないで、より高い入熱量に対応することがで
き、光学素子により高い強度のX線を入射させて使用す
ることができる。
【0030】また、液化ガスを冷却して飽和状態から圧
力を上げずに過冷却にすることにより、光学素子の剛性
が小さい場合にも液化ガスの内圧による光学素子の変形
を少なくすることができ、良好なX線ビ−ムを出力する
ことができる。
力を上げずに過冷却にすることにより、光学素子の剛性
が小さい場合にも液化ガスの内圧による光学素子の変形
を少なくすることができ、良好なX線ビ−ムを出力する
ことができる。
【図1】この発明の実施例を示す構成図である。
【図2】光学素子の流路を示す一部裁断斜視図である。
【図3】熱交換器を示す正面図である。
【図4】光学素子の入熱量とフィン表面と液体窒素の温
度差との特性図である。
度差との特性図である。
【図5】この発明の第2の実施例を示す構成図である。
【図6】この発明の第3の実施例を示す構成図である。
【図7】この発明の第4の実施例を示す構成図である。
【図8】従来例を示す構成図である。
1 流路 2 光学素子 6 ビ−ムライン 7 真空容器 8 デュワ− 13 低温ポンプ 14 ヘリウム冷凍器冷凍ユニット 15 熱交換器
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 佐野 佳洋 東京都千代田区丸の内一丁目1番2号 日 本鋼管株式会社内
Claims (3)
- 【請求項1】 光学素子を液化ガスにより除熱する冷却
方法において、液化ガスの温度をそのときの液の圧力に
おける飽和温度以下で凝固点温度以上に冷却して光学素
子内またはそれに熱的に接触したヒ−トシンク内の冷却
液流路に流すことを特徴とする光学素子の冷却方法。 - 【請求項2】 光学素子を液化ガスにより除熱する冷却
方法において、液化ガスの圧力をそのときの液の温度に
おける飽和圧力以上に昇圧して光学素子内またはそれに
熱的に接触したヒ−トシンク内の冷却液流路に流すこと
を特徴とする光学素子の冷却方法。 - 【請求項3】 光学素子を液化ガスにより除熱する冷却
方法において、液化ガスの圧力をそのときの液の温度に
おける飽和圧力以上に昇圧するとともに、そのときの液
の圧力における飽和温度以下で凝固点温度以上に冷却し
て光学素子内またはそれに熱的に接触したヒ−トシンク
内の冷却液流路に流すことを特徴とする光学素子の冷却
方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP4047587A JP2845012B2 (ja) | 1992-02-04 | 1992-02-04 | 光学素子の冷却方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP4047587A JP2845012B2 (ja) | 1992-02-04 | 1992-02-04 | 光学素子の冷却方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH05215899A true JPH05215899A (ja) | 1993-08-27 |
JP2845012B2 JP2845012B2 (ja) | 1999-01-13 |
Family
ID=12779392
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP4047587A Expired - Fee Related JP2845012B2 (ja) | 1992-02-04 | 1992-02-04 | 光学素子の冷却方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2845012B2 (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPH08278400A (ja) * | 1995-04-07 | 1996-10-22 | Rigaku Corp | 冷却装置 |
Families Citing this family (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN110261885B (zh) * | 2019-07-02 | 2021-06-15 | 江苏赛诺格兰医疗科技有限公司 | 一种用于pet系统的液冷探测器 |
-
1992
- 1992-02-04 JP JP4047587A patent/JP2845012B2/ja not_active Expired - Fee Related
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPH08278400A (ja) * | 1995-04-07 | 1996-10-22 | Rigaku Corp | 冷却装置 |
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JP2845012B2 (ja) | 1999-01-13 |
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Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
LAPS | Cancellation because of no payment of annual fees |