JPH05215611A - 非接触式温度検出装置 - Google Patents

非接触式温度検出装置

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Publication number
JPH05215611A
JPH05215611A JP4020029A JP2002992A JPH05215611A JP H05215611 A JPH05215611 A JP H05215611A JP 4020029 A JP4020029 A JP 4020029A JP 2002992 A JP2002992 A JP 2002992A JP H05215611 A JPH05215611 A JP H05215611A
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JP
Japan
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distance
temperature
mirror
measured
reflection
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JP4020029A
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English (en)
Inventor
Yukimitsu Hirai
征光 平井
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Kobe Steel Ltd
Original Assignee
Kobe Steel Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【目的】本発明は、冷圧鋼板のごとき低放射率の板体の
温度測定に用いて好適な非接触式温度検出装置に関し、
測定対象物との間の距離変化や測定対象物の周期的なブ
レ等による測定誤差の発生を防止して、測定精度の向上
をはかることを目的とする。 【構成】そこで、測定対象物Sの表面に対して所定間隔
を隔てて対向配置される多重反射用凹面反射鏡4と、こ
の凹面反射鏡4の鏡面中心軸近傍に開口する小径窓24
Aを通して測定対象物Sの所定部位を視野に収める鏡面
中心軸に対し5〜20度傾斜させた放射温度検出器21
とを有し、所定部位を鏡面中心線近傍に配置してなるも
のにおいて、凹面反射鏡4と測定対象物Sとの距離を測
定する測距手段31と、この測距手段31の測定結果に
基づいて凹面反射鏡4と測定対象物Sとの間が常に一定
距離になるように装置本体の位置を調整する駆動制御手
段33とをそなえたことを特徴とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、冷圧鋼板のごとき低放
射率の板体の温度測定に用いて好適な非接触式温度検出
装置に関する。
【0002】
【従来の技術】この種の鋼板の表面温度の測定には、一
般に、放射温度計が使用されるが、走行する鋼板の放射
率の変動による測定誤差の発生を防止するために、鋼板
からの放射エネルギを多重反射させて、見掛けの放射率
を極力「1」に近づける手段が提案されている。そのよ
うな手段を利用したものとして、例えば、特開昭55−
141642号公報や特開昭60−86431号公報に
開示されたものがある。前者は、走行する鋼板とロール
との間の楔部に生じる多重反射を利用するものであり、
後者は、互いに逆向きに並走する鋼板間に生じる多重反
射を測定部位とするものである。
【0003】このような手段では、装置内で多重反射が
発生する部位を利用して温度測定するので、測定可能な
部位が限定されてしまうほか、測定対象物と反射物体と
の間に温度差があるとこの温度差が誤差要因となるな
ど、測定精度が優れているとは言い難い。
【0004】そこで、測定対象物の表面に対して所定間
隔を隔てて対向配置される多重反射用凹面反射鏡と、そ
の鏡面中心軸近傍に開口する小径窓を通して測定対象物
の所定部位を視野に収める鏡面中心軸に対し5〜20度
傾斜させた放射温度検出器とをそなえ、前記所定部位を
鏡面中心線近傍に配置してなる温度計も提案されてい
る。
【0005】このような温度計による測定例を図5に示
す。この測定例は、放射温度検出器として短波長1.5
μm,長波長1.65μmの2色温度計を用いたもので
あるが、この場合、図5に示すように、多重反射により
見掛けの放射率が無反射の場合の約2倍になり、且つ、
2色温度計の差異が小さくなり、放射率比も測温範囲域
でほぼ一定となっている。
【0006】ところで、冷延鋼板の焼鈍過程では、焼鈍
炉各帯毎に冷延鋼板の表面温度を設定し、最適温度に燃
焼をコントロールしている。これは、冷延鋼板の諸性状
が炉内での焼鈍温度に強く依存するためである。
【0007】通常、焼鈍炉の鋼板表面温度は、上述のご
とく放射温度計で測定しているが、冷延鋼板は、グレー
ドや表面状況によって放射率に大きな差異がある。放射
温度計は、原理上、測定対象物の放射率に依存するの
で、放射率設定が一定ならば冷延鋼板の放射率変化によ
り測定温度は著しく影響を受け、温度誤差は大きい。
【0008】そこで、温度と放射率を測定して、真温度
を算出する必要が有り、従来、温度と放射率を同時に測
定する手段も種々提案され実用化されている。例えば、
1台の放射温度検出器をそなえ、鋼板からの直接入射光
と、鋼板と鏡の反射光または黒体炉やヒータの放射光を
鋼板で反射させて検出器に入射させた間接入射光との比
較演算により、温度と放射率を同時測定する手段があ
る。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、前者の
多重反射式の温度検出装置では、多重反射用凹面反射鏡
と測定対象物(鋼板)との距離が変化すると、散乱光の影
響により図6に示すような誤差を生じてしまう。測定対
象物がロール近傍でリフトオフ減少を生じない場合は問
題ないが、鋼板の上下変動がある部位ではその測定誤差
を無視できなくなる。
【0010】また、後者の温度および放射率の同時測定
手段では、検出器と鏡,黒体炉またはヒータとの幾何学
的配置が一定であるため、測定鋼板の周期的なブレによ
り検出器の入射光が増減して温度誤差の要因となってい
る。また、検出器が1台であるため、直接入射光と間接
入射光との交互切換を行なって測定しているが、鋼板は
高速で移動しているので、直接入射光と間接入射光との
鋼板上位置が異なり、鋼板表面性状のバラツキにより温
度誤差を生じるなどの課題もあった。
【0011】本発明は、このような課題を解決しようと
するもので、測定対象物との間の距離変化や測定対象物
の周期的なブレ等による測定誤差の発生を防止して、測
定精度の向上をはかった非接触式温度検出装置を提供す
ることを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、第1の発明の非接触式温度検出装置(請求項1)は、
測定対象物の表面に対して所定間隔を隔てて対向配置さ
れる多重反射用凹面反射鏡と、該凹面反射鏡の鏡面中心
軸近傍に開口する小径窓を通して前記測定対象物の所定
部位を視野に収める鏡面中心軸に対し5〜20度傾斜さ
せた放射温度検出器とを有し、前記所定部位を鏡面中心
線近傍に配置してなるものにおいて、前記測定対象物と
の距離を測定する測距手段と、該測距手段の測定結果に
基づいて前記の放射温度検出器と測定対象物との間が常
に一定距離になるように装置本体の位置を調整する駆動
制御手段とをそなえたことを特徴としている。
【0013】また、第2の発明の非接触式温度検出装置
(請求項2)は、測定対象物の表面に対して所定間隔を隔
てて対向配置される多重反射用凹面反射鏡と、該凹面反
射鏡の鏡面中心軸近傍に開口する小径窓を通して前記測
定対象物の所定部位を視野に収める鏡面中心軸に対し5
〜20度傾斜させた放射温度検出器とを有し、前記所定
部位を鏡面中心線近傍に配置してなる多重反射式放射温
度計をそなえるとともに、前記測定対象物の無反射放射
温度を測定する背光ノイズ防止機能付き無反射放射温度
計を、前記多重反射式放射温度計に隣接し且つ前記測定
対象物の表面に近接して設置し、前記の多重反射式放射
温度計および無反射放射温度計による測定結果に基づい
て前記測定対象物の真温度を演算する演算手段をそなえ
たことを特徴としている。
【0014】そして、上記第2の発明において、前記測
定対象物との距離を測定する測距手段と、該測距手段の
測定結果に基づいて前記の各温度計と測定対象物との間
が常に一定距離になるように装置本体の位置を調整する
駆動制御手段とをそなえて構成してもよいし(請求項
3)、上記の第1または第2の発明において、前記凹面
反射鏡を冷却する冷却手段をそなえ、この該冷却手段に
よる冷却部に前記測距手段を設けるように構成してもよ
い(請求項4)。
【0015】
【作用】上述した第1の発明の非接触式温度検出装置で
は、測距手段の測定結果に基づいて、駆動制御手段によ
り、放射温度検出器と測定対象物との間が常に一定距離
になるように装置本体の位置が調整されるため、測定対
象物との間の距離変化による測定誤差の発生を防止でき
る。
【0016】また、第2の発明の非接触式温度検出装置
では、多重反射式放射温度計および無反射放射温度計に
よる測定結果に基づいて、演算手段により測定対象物の
真温度が演算されるため、測定対象物の周期的なブレに
よる測定誤差の発生を防止できるほか、直接入射光と間
接入射光との交互切換が不要で測定対象物の速度変化や
表面性状に関わらない測定を行なえる。このような装置
に、第1の発明と同様の測距手段および駆動制御手段を
そなえることで、測定対象物との間の距離変化による測
定誤差の発生をも防止できる。
【0017】さらに、冷却手段により凹面反射鏡を冷却
することで、測定対象物に対し十分に低い温度にするこ
とができ、凹面反射鏡と測定対象物との温度差に起因す
る誤差を無視できるほか、その冷却手段による冷却部に
測距手段を設けることで、測距手段の温度による誤差発
生も防止できる。
【0018】
【実施例】以下、図面により本発明の実施例について説
明すると、図1,図2は本発明の第1実施例としての非
接触式温度検出装置を示すもので、図1はその縦断面
図、図2はその多重反射のシミュレーション結果を示す
図である。
【0019】図1,図2において、Sは焼鈍炉内を走行
する鋼板(測定対象物)、1はステンレス製の本体ブロッ
クで、この本体ブロック1は、上方に開口する所定深さ
の凹所2を有し、底壁ブロック部3の下部には多重反射
用凹面反射鏡4が形成され、この底壁ブロック部3の周
部には環状の冷却ユニット(冷却手段)5が設けられてい
る。
【0020】この冷却ユニット5は、外側冷却帯6,中
間冷却帯7および内側冷却帯8からなり、冷却水供給管
9からの冷却水を、順次、内側冷却帯8,中間冷却帯
7,外側冷却帯6を環状に通過させた後、冷却水排水管
10から排出させるようになっている。
【0021】また、11は冷却ユニット5の外周を取り
巻くように配設される外壁部材で、その下端は、底壁ブ
ロック部3の凹面反射鏡4の周囲に形成されたフランジ
部12の上面にシールリング13を介在して載置され、
ボルト14により締付固定されている。15は環状の蓋
部材で、外壁部材11の上端面,外側冷却帯6の上端面
および温帯ブロック1の周壁1Aの上端面に亘って面接
し、外壁部材11の上端面および周壁1Aの上端面との
間にそれぞれシールリング16,17を介在させてボル
ト18,19により締付固定されている。
【0022】20は凹所2と同軸的に蓋部材15上に立
設された保護筒、21は光ファイバー式の放射温度検出
器であって、光ファイバー22が保護筒20内を貫通し
て図示しない測定装置まで伸びている。また、凹所2の
底部から凹面反射鏡4には孔24が貫設されている。こ
の孔24は、上端を凹所2の底に開口するとともに他端
を凹面反射鏡4に小径窓24Aとして開口し、角度α
(鏡面中心Oを通る軸線Yに対して5〜20度)で傾斜し
ている。そして、この孔24内に、保護筒20から伸び
るプローブ(光ファイバー測温部)23が所定深さまで挿
入され、ナット25により固定されている。
【0023】なお、プローブ23は、エアパージ用配管
26からのパージ用流体が流れる構造となっている。ま
た、放射温度検出器21の視野中心(視線)は、鋼板S上
の、上記鏡面中心Oの直下近傍にある。凹面反射鏡4の
鏡面30は、鏡面深さの浅い切欠き球面(例えば、半径
R=80mmの球面の切欠き球面であって、切欠き面半径
R1=50mm)であって、金メッキを施して形成されて
いる。このように構成される本実施例の装置は、鋼板S
と鏡面中心Oとの間の距離が該鏡面30を含む球面の半
径Rよりも小さい間隔となるように、焼鈍炉の所定箇所
に取り付けられている。図2は、本実施例の装置を、測
定対象物である鋼板Sに対して、例えば、間隔50mmを
隔てるように、焼鈍炉の壁に取り付けた場合の多重反射
のシミュレーション結果を示している。
【0024】そして、本実施例の装置では、図1に示す
ように、渦流式距離計(測距手段)31,窓部材32,駆
動制御手段33がそなえられている。渦流式距離計31
は、冷却ユニット5の外側冷却帯6内に設置され、鋼板
Sとの距離を測定する公知のもので、鋼板Sと対向する
検出面は窓部材32により覆われている。この窓部材3
2として窒化珪素系セラミックス(例えばSi34)を用
いることにより、耐熱性に優れ、且つ、電気磁気学的に
無害なために距離計31からの磁束を減衰させることが
ないという特性をもたせている。
【0025】また、駆動制御手段33は、渦流式距離計
31による測定結果に基づいて、プローブ23(放射温
度検出器21)と測定対象物Sとの間が常に一定距離に
なるように装置本体の位置を公知の機構により調整する
ものである。その装置本体(プローブ)の定位置制御機構
としては、例えば、距離計31の検出出力と設定器によ
り予め設定された所定距離との偏差信号に基づいて、サ
ーボモータ系で駆動するようなものを用いる。
【0026】上述の構成により、本実施例では、鋼板S
と鏡面30との間で、多重反射が生じるが、鏡面30が
鏡面深さの浅いものであるため、多重反射線が鏡面30
の外に出ることが無いので効率が良く、また、鏡面間反
射も生じにくく、外乱光を遮蔽し、他方、放射温度検出
器21は狭視野の温度計であるので、外乱光の影響を受
けにくいので、これらが相まって、高い測定精度を得る
ことができる。
【0027】また、本実施例では、冷却ユニット5の水
冷機能により、凹面反射鏡4の鏡面30の温度を鋼板S
に比べて、十分に低くすることができるので、鋼板Sの
見掛けの放射率εeffは、ε/{1−γ1(1−ε)}で与え
られる。ここで、εは鋼板Sの放射率、γ1は鏡面30
の反射率である。
【0028】焼鈍炉内の鋼板Sの反射率εは、通常、
0.3〜0.5程度であるから、金メッキを施した鏡面
30の反射率が0.95であるとすると、ε=0.3,
0.4,0.5それぞれに対して、εeff=0.90,
0.93,0.95となり、「1」に近い値を得ること
ができ、また変動幅も小さくなる。
【0029】また、本実施例の装置は、自らが反射物体
である鏡面30を有しているので、その設置場所を、多
重反射が発生する部位に限定されることはなく、取付場
所の汎用性が大きいほか、凹面反射鏡4が水冷ユニット
5により水冷されるので、鏡面30を鋼板Sの温度に対
して十分に低温とすることができるので、鏡面30と鋼
板Sとの温度差に起因する誤差を無視することができ
る。
【0030】さらに、本実施例では、渦流式距離計31
の測定結果に基づいて、駆動制御手段33により、プロ
ーブ23と鋼板Sとの間が常に一定距離になるように装
置本体の位置が調整されるため、測定対象物との間の距
離変化による測定誤差の発生を防止でき、鋼板Sの温度
を極めて精度よく測定できるのである。このとき、冷却
ユニット5により渦流式距離計31が水冷されているの
で、この距離計31において温度による誤差が発生する
のも防止でき、測定精度向上に寄与している。
【0031】次に、図3,図4により本発明の第2実施
例としての非接触式温度検出装置について説明すると、
図3はその模式的な縦断面図、図4は本実施例の装置に
よる放射率と温度との同時測定時の精度特性図である。
【0032】図3に示すように、本実施例では、図1,
図2に示した第1実施例とほぼ同様構成の多重反射式放
射温度計27がそなえられるとともに(ただし渦流式距
離計31,窓部材32,駆動制御手段33はそなえてい
ない)、無反射放射温度計28が、多重反射式放射温度
計27のに隣接し、且つ、鋼板Sの表面に近接して設置
されている。なお、図3中、既述の符号と同一の符号は
同一部分を示しているので、その説明は省略する。
【0033】無反射放射温度計28は、鋼板Sの表面に
直交する孔36aを有する導光管36と、この導光管3
6の下端部にフランジ状に形成された背光ノイズ遮蔽円
板(半径100〜250mm)37と、孔36aの上端側に
嵌め込まれて設けられ孔36aを通じて鋼板Sの無反射
放射温度を測定する放射温度検出器38とから構成され
ている。なお、この放射温度検出器38による検出信号
はリード線38aにより外部へ導かれるほか、導光管3
6の外周には、多重反射式放射温度計27と同様の冷却
ユニット41がそなえられ、この冷却ユニット41に冷
却水供給管39からの冷却水が供給され、冷却ユニット
41を通過した冷却水は冷却水排水管40から排出され
るようになっている。
【0034】上述のような多重反射式放射温度計27お
よび無反射放射温度計28は、例えば、取付板35に取
り付けられ、炉壁天井34に形成された開口部34aか
ら炉内へ挿入され、高速で移動する鋼板Sの表面に近接
するように(鋼板S上50mm程度)配置される。
【0035】また、多重反射式放射温度計27および無
反射放射温度計28による検出信号は、それぞれ光ファ
イバー22,リード線38aを介して演算器(演算手段)
42に入力されるようになっている。この演算器42
は、多重反射式放射温度計27,無反射放射温度計28
による測定結果と、設定器45により設定される鏡面3
0の反射率および鋼板グレードによる表面反射率とに基
づいて、鋼板Sの真温度および放射率を後述するごとく
演算するものであり、その演算結果は、それぞれ鋼板温
度表示器43および放射率表示器44に表示されるよう
になっている。
【0036】上述のごとく構成された本発明の第2実施
例では、多重反射式放射温度計27により、第1実施例
と同様に、鋼板Sの放射エネルギが鏡面30と鋼板Sと
の間で6〜8回の多重反射により増大され、実効放射率
ε0が「1」に近づけられ、放射温度検出器21に入射
する放射エネルギは、鋼板温度Tと同温度の黒体放射エ
ネルギに近くなる。
【0037】一方、本実施例で新たに設けられた無反射
放射温度計28では、背光ノイズ遮蔽板37により鋼板
Sの放射エネルギ以外の放射ノイズが導光管36に入射
しないため、放射温度検出器38に入射する放射エネル
ギは、鋼板Sの放射率に依存する。
【0038】そして、これらの多重反射式放射温度計2
7および無反射放射温度計28による検出信号を受ける
演算器42は、次式により鋼板Sの真温度Tと放射率ε
とを演算し、それぞれ表示器43,44に表示してい
る。多重反射式放射温度計27において、鏡面30と鋼
板Sとの間で多重反射した放射エネルギは、放射温度検
出器21により、下式で表わされる出力Em(T)として
検出される。
【0039】
【数1】
【0040】ただし、Eb(T)は温度Tの黒体放射エネ
ルギ、nは鋼板Sの反射回数、εは鋼板Sの放射率、ε
0は実効放射率、pは鋼板Sの反射係数、rは鏡面30
の反射率で、反射係数p,反射率rは、設定器45によ
り予め設定されている。
【0041】また、無反射放射温度計28において、放
射温度計38に入射したエネルギは、下式で表わされる
出力Ek(T)として検出される。
【0042】Ek(T)=εEb(T) これらの2つの式から、鋼板Sの放射率εは、 ε=(1−A)/(Apr)+1 〔ただしA=Em
(T)/Ek(T)〕となり、鋼板温度Tと等しい温度の黒
体放射エネルギEb(T)は、 Eb(T)=Ek(T)/ε となって、このEb(T)から鋼板Sの真温度Tを求める
ことができる。
【0043】ここで、図4は第2実施例の装置による放
射率と温度との同時測定時の精度特性図であり、この精
度特性は、鋼板温度300℃,鏡面30の反射率0.
9,鋼板反射係数0.6における精度を示しており、こ
の図4から明らかなように、鋼板放射率0.2〜0.6
の範囲内で、10℃以内の精度が維持される。
【0044】このように、本発明の第2実施例によれ
ば、2台の多重反射式放射温度計27および無反射放射
温度計28により、鋼板S上の略同位置における放射エ
ネルギが検出され、その検出結果を用いて鋼板Sの温度
Tと放射率εとが同時測定されることになるため、鋼板
Sの周期的なブレによる測定誤差の発生を防止できるほ
か、従来のように直接入射光と間接入射光との交互切換
が不要で鋼板Sの速度変化や表面性状に関わらず極めて
精度の高い温度測定を行なえ、温度に依存する冷延鋼板
および表面処理鋼板の諸性状を規定値に制御でき、製品
の品質を大幅に向上させることができる。
【0045】なお、上記実施例では、凹面反射鏡4の鏡
面30を切欠き球面とした場合について説明したが、本
発明は、これに限定されるものではなく、円錐の頂角の
補角が温度計の視線と測定対象物の面の垂線とでなす角
度の2〜4倍である凹状円錐反射鏡面、あるいは、底面
部が球面の一部をなし周囲が上記円錐面である鏡面、そ
の他、円錐曲線の回転体の凹面等を鏡面30としてもよ
く、いずれの場合も上記実施例と同様の作用効果が得ら
れる。また、放射温度計21として、2色温度計を用い
れば、単色温度計を使用する場合に比し、鋼板Sの放射
率の変動による影響を少なくすることができる。
【0046】また、上述した第2実施例では、無反射放
射温度計28を、多重反射式放射温度計27の図3中右
側(鋼板Sの移動方向に対して下流側)に配置している
が、その位置は逆にしてもよいし、鋼板Sの幅方向に対
して、これらの2台の温度計27,28を配置してもよ
い。また、鋼板Sと凹面反射鏡4および背光ノイズ遮蔽
板37との離隔距離により、凹面反射鏡4の形状を変え
て反射回数を維持する。
【0047】
【発明の効果】以上詳述したように、本発明の非接触式
温度検出装置(請求項1)によれば、測距手段の測定結果
に基づいて、駆動制御手段により、放射温度検出器と測
定対象物との間を常に一定距離になるように装置本体の
位置を調整する構成としたので、測定対象物との間の距
離変化による測定誤差の発生を防止でき、鋼板温度を極
めて精度よく測定できる。
【0048】また、請求項2の非接触式温度検出装置で
は、多重反射式放射温度計および無反射放射温度計によ
る測定結果に基づいて、演算手段により測定対象物の真
温度を演算できるので、測定対象物の周期的なブレによ
る測定誤差の発生を防止できるほか、直接入射光と間接
入射光との交互切換が不要で測定対象物の速度変化や表
面性状に関わらない測定を行なえ、温度に依存する冷延
鋼板および表面処理鋼板の諸性状を規定値に制御でき、
製品品質を大幅に向上できる効果もある。
【0049】さらに、冷却手段により凹面反射鏡を冷却
することで、測定対象物に対し十分に低い温度にするこ
とができ、凹面反射鏡と測定対象物との温度差に起因す
る誤差を無視できさらに測定精度の向上を実現できるほ
か、その冷却手段による冷却部に測距手段を設けること
で、測距手段の温度による誤差発生も防止できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施例としての非接触式温度検出
装置を示縦断面図である。
【図2】第1実施例における多重反射のシミュレーショ
ン結果を示す図である。
【図3】本発明の第2実施例としての非接触式温度検出
装置を模式的に示す縦断面図である。
【図4】第2実施例の装置による放射率と温度との同時
測定時の精度特性図である。
【図5】放射温度検出器として2色温度計を用いた場合
に、鋼板温度と放射率との関係を、無反射,多重反射そ
れぞれについて比較して示すグラフである。
【図6】温度計−鋼板間距離と放射温度計指示値との関
係を示すグラフである。
【符号の説明】
1 本体ブロック 2 凹所 3 底壁ブロック部 4 多重反射用凹面反射鏡 5 冷却ユニット(冷却手段) 6 外側冷却帯 7 中間冷却帯 8 内側冷却帯 9 冷却水供給管 10 冷却水排水管 11 外壁部材 12 フランジ部 15 蓋部材 21 放射温度検出器 22 光ファイバー 23 プローブ 24 孔 24A 小径窓 26 エアパージ用配管 27 多重反射式放射温度計 28 無反射放射温度計 30 鏡面 31 渦流式距離計(測距手段) 32 窓部材 33 駆動制御手段 36 導光管 36a 孔 37 背光ノイズ遮蔽円板 38 放射温度検出器 39 冷却水供給管 40 冷却水排水管 41 冷却ユニット(冷却手段) 42 演算器(演算手段) S 鋼板(測定)

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 測定対象物の表面に対して所定間隔を隔
    てて対向配置される多重反射用凹面反射鏡と、該凹面反
    射鏡の鏡面中心軸近傍に開口する小径窓を通して前記測
    定対象物の所定部位を視野に収める鏡面中心軸に対し5
    〜20度傾斜させた放射温度検出器とを有し、前記所定
    部位を鏡面中心線近傍に配置してなる非接触式温度検出
    装置において、 前記測定対象物との距離を測定する測距手段と、該測距
    手段の測定結果に基づいて前記の放射温度検出器と測定
    対象物との間が常に一定距離になるように装置本体の位
    置を調整する駆動制御手段とがそなえられたことを特徴
    とする非接触式温度検出装置。
  2. 【請求項2】 測定対象物の表面に対して所定間隔を隔
    てて対向配置される多重反射用凹面反射鏡と、該凹面反
    射鏡の鏡面中心軸近傍に開口する小径窓を通して前記測
    定対象物の所定部位を視野に収める鏡面中心軸に対し5
    〜20度傾斜させた放射温度検出器とを有し、前記所定
    部位を鏡面中心線近傍に配置してなる多重反射式放射温
    度計がそなえられるとともに、 前記測定対象物の無反射放射温度を測定する背光ノイズ
    防止機能付き無反射放射温度計が、前記多重反射式放射
    温度計に隣接し且つ前記測定対象物の表面に近接して設
    置され、 前記の多重反射式放射温度計および無反射放射温度計に
    よる測定結果に基づいて前記測定対象物の真温度を演算
    する演算手段がそなえられたことを特徴とする非接触式
    温度検出装置。
  3. 【請求項3】 前記測定対象物との距離を測定する測距
    手段と、該測距手段の測定結果に基づいて前記の各温度
    計と測定対象物との間が常に一定距離になるように装置
    本体の位置を調整する駆動制御手段とがそなえられたこ
    とを特徴とする請求項2記載の非接触式温度検出装置。
  4. 【請求項4】 前記凹面反射鏡を冷却する冷却手段を有
    し、該冷却手段による冷却部に前記測距手段が設けられ
    ていることを特徴とする請求項1または3記載の非接触
    式温度検出装置。
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