JPH05215595A - 原料秤量ホッパーの切出し量制御方法 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 原料秤量ホッパーからの毎回の原料切出し量
を、予め設定された設定切出し量に正確に制御する。 【構成】 原料を秤量する原料秤量ホッパー６、７を用
いて所定量の原料を切出す方法において、原料秤量ホッ
パー６、７への原料受入れ完了時点での秤量値と、原料
秤量ホッパー６、７からの原料切出し完了時点での秤量
値との差を切出し量とし、該切出し量と予め設定した設
定切出し量との偏差に基いて比例・積分演算を行って次
回の設定切出し量に対する補正量を求め、該補正量を設
定切出し量に加算して原料秤量ホッパー６、７の次回秤
量目標値とする。 【効果】 原料秤量ホッパーからの原料切出し量を、予
め設定した設定切出し量に正確に制御することができ、
高炉内のガス流れ等の制御に有効である。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】この発明は、高炉等に装入する鉱
石、コークス等の原料を秤量する原料秤量ホッパーにお
ける切出し量の制御方法に関する。

【０００２】

【従来の技術】高炉等に装入する鉱石、コークス等の原
料は、図５に示すとおり、並列に設置された複数の原料
貯槽３１の下部に設けた切出しフィーダ３２によって搬
送コンベア３３上に切り出される。搬送コンベア３３上
に切出された原料は、ロードセル式、衝桿式の秤量機３
４、３５を有する原料秤量ホッパー３６、３７まで搬送
され、切替えシュート３８を介して交互に空となってい
る原料秤量ホッパー３６または３７に装入される。上記
原料秤量ホッパー３６、３７には、予め設定された目標
秤量値から所定量を差引いた秤量値まで、切出しフィー
ダ３２、搬送コンベア３３を高速運転し、その後目標秤
量値までは低速運転し、目標秤量値まで原料が装入され
ると切替えシュート３８を切替えるか、あるいは切出し
フィーダ３２、搬送コンベア３３を停止する。目標秤量
値まで装入された原料は、必要に応じて秤量ホッパー３
６または３７の下部に設けたゲート３９または４０を開
放して切出し、装入コンベア４１を介して次の工程、例
えば高炉まで搬送装入される。上記運転を繰返すことに
よって、所定量の原料を必要に応じて供給するのであ
る。

【０００３】前記したような貯槽からの切出し量制御方
法としては、貯槽下部に設けた電動フィーダと、該電動
フィーダを電動駆動するモータと、目標切出し量を設定
する切出し量設定装置と、ＰＩＤ設定値を設定するＰＩ
Ｄ設定装置と、電動フィーダにより切出される粉粒体を
計量する計量装置と、該計量装置により検出された計量
信号と前記切出し量設定装置により設定された設定信号
との偏差を演算し、該偏差値をＰＩＤ設定装置のＰＩＤ
設定値にしたがってサンプリングＰＩＤ制御しフィード
バック信号として出力する演算装置と、該演算装置から
のフィードバック信号に従って前記電動フィーダ用モー
タの回転数を制御する可変電圧装置とを具備した装置
（特開平１−１７３１１５号公報）、貯槽内に収納され
た粒粉状の原料のゲートおよびフィーダを介しての切出
し量を、切出された原料の量と設定された切出し量との
偏差値をＰＩＤ調節器によりＰＩＤ処理してフィードバ
ック制御信号として前記フィーダの駆動源に入力する切
出し量制御装置において、前記原料の銘柄と貯槽番号と
から予め登録したＰＩＤ適性値を抽出してＰＩＤ基本設
定値とする影響信号と、起動時のプロセス同定結果によ
り前記ＰＩＤ基本設計値の補正演算をさせる探索信号
と、制御途中で偏差値が大きくなる制御不安定時に前記
探索信号による補正演算に代わって一時的に強制介入し
て該偏差値により前記ＰＩＤ基本設定値の補正演算をさ
せる偏差信号とを発して段階的な制御を行うＰＩＤ設定
値を成形し、該ＰＩＤ設定値を前記ＰＩＤ調節器に出力
するＰＩＤ設定演算装置を設けた装置（特開平１−３０
８３２０号公報）等が提案されている。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】上記原料秤量ホッパー
の受入れ量および切出し量の制御は、例えば、設定切出
し量がＡｋｇの場合、秤量機に対してＡｋｇの設定を行
い、前記した運転方法にしたがって原料を搬送してＡｋ
ｇになるまで秤量を行い、Ａｋｇになると原料受入れを
停止する。すなわち、設定切出し量と秤量目標値が同一
量となる。しかるのち、原料秤量ホッパーから原料をＡ
ｋｇ切出し、高炉等に装入するのである。しかし上記方
法は、原料秤量ホッパーへの原料の受入れにおいて、搬
送コンベア等の停止時の停止時間遅れによる原料の流れ
込み等があり、原料秤量ホッパー内に設定切出し量を正
確に供給することは困難である。また、原料秤量ホッパ
ーからの原料切出しにおいては、排出口での原料の詰り
や棚吊りなどによって、秤量済みの原料を全量切出しで
きない場合がある。しかも、秤量する原料の銘柄毎また
は原料秤量ホッパー毎に、搬送コンベア等の停止時の停
止時間遅れによる原料の流れ込み量や、排出口での原料
の詰りや棚吊りなどによる残存量の傾向が定性的に把握
できたとしても、原料の受入れや切出しのたびに異なる
ため、設定受入れ量を補正するための補正量を定量的に
求めることが極めて困難である。

【０００５】また、特開平１−１７３１１５号公報、特
開平１−３０８３２０号公報に開示の装置は、いずれも
フィーダによる貯槽内からの単位時間当りの原料切出し
量を一定に保つものであって、原料秤量ホッパーへの原
料受入れ量を原料秤量ホッパーからの設定切出し量に保
持するものではない。

【０００６】この発明の目的は、設定された切出し量を
正確に原料秤量ホッパーから切出すことができる原料秤
量ホッパーにおける切出し量の制御方法を提供すること
にある。

【０００７】

【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記目的
を達成すべく鋭意検討を重ねた。その結果、原料秤量ホ
ッパーへの原料受入れ完了時点の秤量値と、原料秤量ホ
ッパーからの原料切出し完了時点の秤量値の差から実際
に切出された原料の実績切出し量を求め、実績切出し量
と予め設定した設定切出し量との偏差に基き、比例・積
分演算によって設定切出し量に対する補正量を求め、こ
の補正量を設定切出し量に加算して原料秤量ホッパーの
原料受入れ秤量目標値とすることによって、設定切出し
量を精度よく正確に切出すことができることを究明し、
この発明に到達した。

【０００８】すなわちこの発明は、原料を秤量する原料
秤量ホッパーを用いて所定量の原料を切出す方法におい
て、原料秤量ホッパーへの原料受入れ完了時点での秤量
値と、原料秤量ホッパーからの原料切出し完了時点での
秤量値との差を実績切出し量とし、該実績切出し量と予
め設定した設定切出し量との偏差に基いて比例・積分演
算を行い、次回の設定切出し量に対する補正量を求め、
該補正量を設定切出し量に加算して原料秤量ホッパーの
秤量目標値とするのである。

【０００９】

【作用】この発明においては、原料秤量ホッパーからの
実績切出し量が予め設定された設定切出し量と等しくな
るように、原料秤量ホッパーへの原料受入れ完了時点で
の秤量値と、原料秤量ホッパーからの原料切出し完了時
点での秤量値との差を実績切出し量とし、該実績切出し
量と予め設定した設定切出し量との偏差に基いて比例・
積分演算を行い、次回の設定切出し量に対する補正量を
求め、該補正量を設定切出し量に加算して原料秤量ホッ
パーの秤量目標値を補正するから、設定切出し量を高精
度で切出すことができる。

【００１０】この発明における原料秤量ホッパーの秤量
目標値は、例えば、原料秤量ホッパーからの実績切出し
量が設定切出し量より多い場合、すなわち搬送コンベア
停止時の停止時間遅れによる流れ込み等があるときは、
秤量目標値を設定切出し量より小さく設定する。また、
逆に実績切出し量が設定切出し量より少ない場合、すな
わち原料秤量ホッパー排出口での原料の詰り、棚吊り等
により全量切出せないときは、秤量目標値を設定切出し
量より大きく設定する。秤量目標値の設定は、次式に示
すとおり、予め設定された設定切出し量に対して補正量
を加算することにより設定する。この補正量の求め方
は、設定切出し量をＳＶ、実績切出し量をＰＶ、秤量目
標値をＭＶとして、比例・積分演算を行うことにより求
める。具体的には、切出し誤差（１回毎のＳＶとＰＶの
差）：△Ｗｋ △Ｗｋ（ｉ）＝ＳＶ（ｉ）−ＰＶ（ｉ） 累積誤差（過去ｎ回前までの切出し誤差△Ｗｋ（ｉ）の
和）：△Ｗｒ

【００１１】

【数１】

【００１２】とすると、補正量△Ｗ（ｉ）は、 △Ｗ（ｉ）＝δ×△Ｗｋ（ｉ）＋ε×△Ｗｒ（ｉ） ただし、δ：比例定数、ε：積分定数に相当する。とし
て得ることができる。秤量目標値の補正は、次式により
求めることができる。 次回秤量目標値＝次回切出し設定値＋補正量（△Ｗ
（ｉ））

【００１３】

【実施例】

実施例１ 以下にこの発明の詳細を実施の一例を示す図１ないし図
３に基いて説明する。図１は制御方法の実施の一例を示
すブロック図、図２は演算装置での原料受入制御流れ
図、図３は演算装置での次回秤量目標値演算の制御流れ
図である。図１において、１は並列に設置された複数の
原料貯槽、２は原料貯槽１の下部に設けた切出しフィー
ダで、原料は切出しフィーダ２によって搬送コンベア３
上に切り出される。搬送コンベア３上に切出された原料
は、ロードセル式、衝桿式等の秤量機４、５を有する原
料秤量ホッパー６、７上まで搬送され、切替えシュート
８を介して交互に空となっている原料秤量ホッパー６ま
たは７に装入される。上記原料秤量ホッパー６、７に
は、予め設定された秤量目標値から所定量を差引いた秤
量値まで、切出しフィーダ２、搬送コンベア３を高速運
転し、その後秤量目標値までは低速運転し、秤量目標値
まで原料が装入されると切替えシュート８を切替える
か、あるいは切出しフィーダ２、搬送コンベア３を停止
する。原料秤量ホッパー６または７に秤量目標値まで装
入された原料は、必要に応じて秤量ホッパー６または７
の下部に設けたゲート９または１０を開放して切出し、
装入コンベア１１を介して次の工程、例えば高炉まで搬
送装入される。

【００１４】上記秤量機４、５の秤量値は、内蔵したＡ
／Ｄ変換器を介して数値データに変換されて演算装置１
２に入力される。演算装置１２は、図２に示すとおり、
秤量機４、５からＡ／Ｄ変換器を介して入力される秤量
値と、設定器１３から入力された原料秤量ホッパー６ま
たは７の設定切出し量に相当する秤量目標値を常に比較
演算し、秤量機４または５の秤量値が秤量目標値に到達
すると切替えシュート８の制御部１４に切替信号を出力
するか、または切出しフィーダ２、搬送コンベア３の制
御部１５に停止信号を出力して原料の受入を停止するよ
う構成する。また、演算装置１２は、図３に示すとお
り、原料秤量ホッパー６、７のゲート９または１０およ
び装入コンベア１１の制御部１６に切出し開始を出力
し、原料秤量ホッパー６または７のゲート９または１０
を開放し、装入コンベア１１を起動して次工程への原料
の切出しを開始し、全量を切出す。そして原料秤量ホッ
パー６または７への原料切出し完了時点で秤量機４また
は５から入力される秤量値と、原料秤量ホッパー６また
は７からの原料受入完了時点での秤量機４または５から
の秤量値から実績切出し量ＰＶを演算し、予め設定器１
３から設定されている設定切出し量ＳＶとの偏差△Ｗｋ
（ｉ）、累積偏差△Ｗｒ（ｉ）に基き、比例・積分演算
を行い、次回の秤量目標値に対する補正量△Ｗ（ｉ）を
求め、該補正量△Ｗ（ｉ）を次回の設定切出し量に加算
して次回の原料秤量ホッパー６または７の秤量目標値と
するよう構成されている。

【００１５】上記のとおり構成したから、演算装置１２
においては、設定器１３から予め設定された設定切出し
量をＳＶ、実績切出し量をＰＶ、秤量目標値をＭＶとし
て、比例・積分演算を行うことにより次回の秤量目標値
に対する補正量を求めることができる。具体的には、切
出し誤差（１回毎のＳＶとＰＶの差）：△Ｗｋ △Ｗｋ（ｉ）＝ＳＶ（ｉ）−ＰＶ（ｉ） 累積誤差（過去ｎ回前までの切出し誤差△Ｗｋ（ｉ）の
和）：△Ｗｒ

【００１６】

【数１】

【００１７】とすると、補正量△Ｗ（ｉ）は、 △Ｗ（ｉ）＝δ×△Ｗｋ（ｉ）＋ε×△Ｗｒ（ｉ） ただし、δ：比例定数、ε：積分定数に相当する。とし
て得ることができる。秤量目標値の補正は、次式により
求めることができる。 次回秤量目標値＝次回設定切出し値＋補正量（△Ｗ
（ｉ）） この操作を繰返すことによって、実績切出し量と設定切
出し量の偏差を小さくすることが可能となり、実績切出
し量を高精度で設定切出し量に正確に制御することがで
きる。

【００１８】シミュレーション例 実操業時に発生した秤量異常を例に従来法と本発明法の
シミュレーションを実施した。この場合は、設定切出し
量を８．０Ｔｏｎに設定し、原料の搬送コンベアーの応
答遅れによって停止時期が若干遅れたために、原料が多
く装入されている。そのため、従来法では原料の実績切
出し量も多くなっている例である。図４に実操業におい
て、上記状況が発生した時の各回の設定切出し量と実績
切出し量を示す。また、併せて本制御を適用した場合の
シミュレーション結果（秤量機への設定目標値と推定実
績切出し量）を示す。なお、このシミュレーションで
は、原料秤量ホッパー内の原料は全量切出されるものと
している。また、搬送コンベアの応答遅れを模擬するた
め、設定切出し量に対して実績秤量値が０．０５Ｔｏｎ
多くなるようにしている。

【００１９】図４に示すとおり、従来法では、設定切出
し量８．０Ｔｏｎに対し、実績推定切出し量Ａが８．０
５Ｔｏｎである。これに対しこの発明法の制御を実施し
た場合は、秤量目標値Ｂが順次７．９５Ｔｏｎに低下し
て安定し、実績推定切出し量Ｃが順次８．０Ｔｏｎに低
下して安定している。

【００２０】実施例２ この発明法による制御方法を、現場のコークス秤量ホッ
パーの秤量に適用した。毎回の設定切出し量は１６．０
Ｔｏｎに固定し、約１ケ月間操業した。その場合の設定
切出し量と実績切出し量の絶対値差の平均値と標準偏差
を求めた。その結果を従来法と比較し表１に示す。な
お、この場合の比例定数δは０．４、積分定数εは０．
２であった。

【００２１】

【表１】

【００２２】表１に示すとおり、本発明法は、従来法に
比較し、設定切出し量と実績切出し量の絶対値差の平均
値と標準偏差共に１／３以下に大きく低下しており、原
料秤量ホッパーからの切出し量制御の精度向上を図るこ
とができる。また、今回の実施例では毎回の設定切出し
量が全て等しい場合を示したが、特に毎回の設定切出し
量を変更することにより、高炉への装入原料の装入量を
制御し、高炉内のガス流れ等を制御する場合には、特に
有効である。なお、本実施例では、高炉へ装入する原料
の切出し制御について説明したが、同様の形式で秤量を
行うプロセスであれば、高炉に限定されるものではな
く、他のプラントにも適用できることは言うまでもな
い。また、本明細書の制御では、原料の水分補正等につ
いて触れていないが、いうまでもなく設定切出し量、実
績切出し量および秤量目標値等は、全て水分補正後の値
をとるものとする。なお、本発明法は、いかなる水分補
正を行っても有効にその作用、効果を発揮することがで
きる。

【００２３】

【発明の効果】以上述べたとおり、この発明方法によれ
ば、原料秤量ホッパーからの原料の実績切出し量を、設
定切出し量に精度よく制御することができるから、毎回
の設定切出し量を変更することにより、高炉への装入物
の装入量を調整し、炉内のガス流れ等を制御する場合に
は有効である。

【図面の簡単な説明】

【図１】この発明の制御方法の実施の一例を示すブロッ
ク図である。

【図２】演算装置での原料受入の制御流れ図である。

【図３】演算装置での次回秤量目標値演算の制御流れ図
である。

【図４】この発明の効果をシミュレーションにより確認
した切出し回数と設定切出し量と推定切出し量との関係
を示すグラフである。

【図５】一般的な原料処理設備の系統図である。

【符号の説明】

１，３１ 原料貯槽 ２，３２ 切出しフィーダ ３，３３ 搬送コンベア ４，５，３４，３５ 秤量機 ６，７，３６，３７ 原料秤量ホッパー ８，３８ 切替えシュート ９，１０，３９，４０ ゲート １１，４１ 装入コンベア １２ 演算装置 １３ 設定器 １４，１５，１６ 制御部

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 原料を秤量する原料秤量ホッパーを用い
   て所定量の原料を切出す方法において、原料秤量ホッパ
   ーへの原料受入れ完了時点での秤量値と、原料秤量ホッ
   パーからの原料切出し完了時点での秤量値との差を切出
   し量とし、該切出し量と予め設定した設定切出し量との
   偏差に基いて比例・積分演算を行い、次回の設定切出し
   量に対する補正量を求め、該補正量を設定切出し量に加
   算して原料秤量ホッパーの次回秤量目標値とすることを
   特徴とする原料秤量ホッパーの切出し量制御方法。