JPH05215238A - ピストンリング - Google Patents

ピストンリング

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Publication number
JPH05215238A
JPH05215238A JP23136592A JP23136592A JPH05215238A JP H05215238 A JPH05215238 A JP H05215238A JP 23136592 A JP23136592 A JP 23136592A JP 23136592 A JP23136592 A JP 23136592A JP H05215238 A JPH05215238 A JP H05215238A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
layer
piston ring
tin
plating layer
cobalt alloy
Prior art date
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Pending
Application number
JP23136592A
Other languages
English (en)
Inventor
Manabu Shinada
学 品田
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Riken Corp
Original Assignee
Riken Corp
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Filing date
Publication date
Application filed by Riken Corp filed Critical Riken Corp
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Publication of JPH05215238A publication Critical patent/JPH05215238A/ja
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 高温、高負荷の条件でも初期なじみ性が良
く、スカッフィングも発生せず、また、ほとんどなじみ
運転を必要とせず、しかも耐摩耗性の優れたピストンリ
ングを提供する。 【構成】 少なくともその外周摺動面に、第1層として
硬質クロムめっき層2が、第2層として錫−コバルト合
金めっき層3が順に形成されてなる二重構造の層を有す
るピストンリング。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、シリンダとの初期なじ
み性が良く、かつ耐摩耗性に優れたピストンリングに関
する。
【0002】
【従来の技術】近年、エンジンの小型軽量化、高出力化
などの高性能化に伴い、ピストンリングに要求される条
件はますます過酷なものとなり、耐摩耗性はもちろんの
こと、耐焼付性、耐折損性などさまざまな観点から改良
が加えられている。
【0003】ところで、一般に組み立て直後のエンジン
においては、部品製作の精度上の制約からピストンリン
グとシリンダの接触状態が不確実になることは避けられ
ず、両者間に隙間が生じる。この隙間が存在したままの
状態でエンジンを運転すると、燃焼室の気密が不十分な
状態となり、クランク室へのガスの吹き抜け(圧縮洩
れ)が起こる。そしてこのガスの吹き抜けはシリンダ内
面を一様に覆っている潤滑油膜を破るために、ピストン
リングとシリンダ間に異常摩耗を引き起こし、スカッフ
ィングを発生させたりする。また同時に、この隙間を通
して潤滑オイルが燃焼室に入り込み、オイル消費量も多
くなる。
【0004】従って、なじみ運転と呼ばれるエンジン組
み立て直後の初期運転では、ピストンリングとシリンダ
の共摺りを行うことにより短期間のうちに両者の隙間を
無くし、早く両者をなじませる必要がある。
【0005】一般に耐摩耗性に優れたピストンリングは
高い硬度の摺動面を有することになるので、このなじみ
運転の期間が長くなる傾向がある。このため短期間にピ
ストンリングとシリンダをなじませる工夫として、ピス
トンリングの外周摺動面上に錫めっきなどの軟質皮膜層
を設ける方法や、リングの断面をテーパ状に加工したり
する方法が採られている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、この錫
めっきを施す方法は、高温、高負荷の条件では錫めっき
層が軟らかすぎるために始動初期の段階で簡単に摩滅し
てしまい、なじみの効果がほとんどなくなる。またリン
グの外周摺動面にテーパをつける方法は、テーパの角度
が燃焼室の気密性、及びシリンダ内周面の保油性に影響
を与えるという問題がある。
【0007】そこで、最近、クロムめっき層を設け、そ
の上に錫めっきより硬い銅めっきや銅−錫合金めっきを
施す方法が採られている。しかし、安定した酸化物で覆
われているクロムめっき層表面との密着性を向上させる
ため、これらの銅めっきや銅−錫合金めっきにはシアン
浴を使用することが多いため、環境汚染を招くという問
題がある。従って、環境汚染をもたらさないような代替
金属を含む合金めっきが望まれている。
【0008】従って、本発明の目的は、高温、高負荷の
条件でも初期なじみ性が良く、スカッフィングも発生せ
ず、また、ほとんどなじみ運転を必要とせず、しかも耐
摩耗性の優れたピストンリングを提供することである。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明者は、上記目的を
達成すべく鋭意検討を重ねた結果、耐摩耗性に優れた硬
質クロムめっき層上に適度の硬度を有する合金めっき層
を形成することにより、良好な初期なじみ性を有し、か
つ耐摩耗性にも優れたピストンリングを提供できること
を発見し、本発明を完成した。
【0010】すなわち、本発明の内燃機関用ピストンリ
ングは、少なくともその外周摺動面に、第1層として硬
質クロムめっき層が、第2層として錫−コバルト合金め
っき層が順に形成されてなる二重構造の層を有すること
を特徴とする。
【0011】
【作用】本発明のピストンリングの二重構造の皮膜にお
いては、上層(第2層)の錫−コバルト合金めっき皮膜
は、下層(第1層)の硬質クロムめっき層より幾分軟ら
かい材質であるので、エンジンの始動初期におけるシリ
ンダとのなじみが良好であると同時に、急速に摩耗する
ことがない。また下層(第1層)の硬質クロムめっき層
は高い硬度を有しているので、長期間(上層の摩耗後で
も)良好な耐摩耗性を維持することができる。
【0012】
【実施例】本発明を以下の実施例により添付図面を参照
にして詳細に説明する。第1図は、本発明の一実施例に
よる内燃機関用ピストンリングの部分断面図である。本
実施例においては、ピストンリング1の外周摺動面に、
硬質クロムめっき層2と錫−コバルト合金めっき層3と
が二重構造となるように形成されている。
【0013】第1層の硬質クロムめっき層は、クロム酸
を主体としためっき浴を用いて電気めっきによって得る
ことができる。このようなめっき浴にはサージェント浴
やフッ化物浴の一種であるケイフッ化浴等を使用するこ
とができる。硬質クロムめっき層は硬度が高く、耐摩耗
性に富む。従って、硬質クロムめっき層の厚さは80〜20
0μmであればよい。
【0014】硬質クロムめっき層は硬度が高く初期なじ
み性に劣るので、この欠点を補うために、第2層として
錫−コバルト合金めっき皮膜を第1層上に形成する。こ
の錫−コバルト合金皮膜中に含まれるコバルトは、皮膜
の耐食性を高め、また皮膜の硬度を高めるのに有効であ
る。錫のみでは軟らか過ぎて初期摺動で消滅してしまう
が、錫−コバルト合金皮膜ではマイクロビッカース硬度
がHMVが400〜500 程度となり、良好な初期なじみ性を
得るのに適した硬度になる。この錫−コバルト合金中の
コバルトの量が20重量%未満では上記の効果が顕著に得
られず、また40重量%を超えてもその効果に著しい変化
はないので、20〜40重量%とするのが好ましい。より好
ましいコバルトの含有量は25〜40重量%である。
【0015】また合金のマトリックスとなる錫は、金属
との濡れ性が低いため凝着を起こさず、また摩擦係数が
小さいので、耐焼付性、耐スカッフ性の改善に寄与す
る。好ましい錫の含有量は60〜80重量%である。
【0016】なお、錫−コバルト合金めっき皮膜の厚さ
は、3〜30μmとするのが好ましく、より好ましくは5
〜25μmとする。
【0017】合金めっき皮膜の形成には、上記所望の組
成となるようにコバルト化合物、錫化合物を溶解させた
めっき浴を使用する。
【0018】得られた錫−コバルト合金皮膜は水洗、乾
燥後、必要に応じて熱処理を行う。熱処理温度は 100〜
200℃程度で、時間は30〜60分である。熱処理により合
金皮膜の基地が硬化し、良好な初期なじみ性を得るのに
適した硬度の複合皮膜が得られる。
【0019】本発明を以下の実施例によりさらに詳細に
説明する。実施例1 ピストンリングの外周摺動面に第1層として硬質クロム
めっき層を形成する第1の工程と、第2層として第1層
上に錫−コバルト合金めっき層を形成する第2の工程
と、得られた二重構造の層に熱処理を施こす第3の工程
により、皮膜を形成した。
【0020】まず第1の工程では、呼び径×幅×厚さが
100mm ×3mm ×4.5 mmのSKD-61材のピストンリングを複
数本まとめて母材とし、表1に示す浴組成のめっき浴を
用い、表2に示す条件で硬質クロムめっきを行った。
【0021】 表1 無水クロム酸 250 g/ リットル 硫酸 2.5g/ リットル
【0022】
【0023】この第1の工程により得られた硬質クロム
めっき層の厚さは100 μmであった。第2の工程とし
て、上記第1の工程によって得られた硬質クロムめっき
層を表面に有するピストンリングを表3に示す組成を有
するめっき浴中に浸漬し、めっき浴温度70℃、pH2.5 、
電流密度3A/dm2 で10分間電流を流して、電気めっきを
行った。
【0024】 表3 浴組成 塩化第1スズ 100g/リットル 塩化コバルト 200g/リットル フッカ水素アンモニウム 60g/リットル アンモニア水 pH 2.5に調整
【0025】この第2工程により得られた第2層の錫−
コバルト合金めっき皮膜の厚さは10μmであり、その組
成は、錫65重量%−コバルト35重量%であった。次に第
3工程として、得られた二重構造の皮膜に150 ℃で1時
間の熱処理を施し、皮膜を硬化させた。このときの硬度
は、第1層である硬質クロムめっき層はマイクロビッカ
ース硬度(HMV)が980 であり、第2層の錫−コバルト
合金めっき皮膜層はマイクロビッカース(HMV)が450
であった。
【0026】実機試験 4サイクル水冷6気筒2500ccエンジン用の鋳鉄(FC-25)
製エンジンシリンダに、上記ピストンリングを組み込
み、5000rpm 全負荷で100 時間のベンチテストを行い、
オイル消費量を測定した。試験結果を図2に示す。
【0027】比較例1 ピストンリングの外周摺動面に硬質クロムめっき層のみ
を形成したピストンリングを用いて実施例1と同様に実
機試験を行い、オイル消費量を測定した。試験結果を図
2に示す。
【0028】比較例2 さらに比較のために、実施例1と同様の方法で、ピスト
ンリングの外周摺動面に硬質クロムめっき層を形成し、
さらに錫めっき皮膜を10μm形成させた。このように形
成したピストンリングを用いて実施例1と同様に実機試
験を行い、オイル消費量を測定した。試験結果を図2に
示す。
【0029】図2から明らかなように本発明のピストン
リングは、硬質クロムめっき層のみを摺動面に有するピ
ストンリング(比較例1)、硬質クロムめっき層+錫め
っき皮膜を有するピストンリング(比較例2)に比べ
て、初期の時点からオイルの消費量が少なくなっている
ことがわかる。これはピストンリングとシリンダとの隙
間が短時間で消失していくためで、すなわち初期なじみ
性が良いことを示している。また実施例1では、スカッ
フィングも全く認められなかった。
【0030】
【発明の効果】以上詳述した通り、硬質クロムめっき層
と錫−コバルト合金めっき層とを外周摺動面に有する本
発明のピストンリングは、その合金めっき皮膜により初
期なじみ性、耐スカッフ性に優れ、また硬質クロムめっ
き層により長期耐摩耗性に優れている。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例によるピストンリングの部分
断面図である。
【図2】実施例1、比較例1及び2のピストンリングを
用いた実機試験において、試験時間とオイル消費量との
関係を示すグラフである。
【符号の説明】
1 ピストンリング母材 2 硬質クロムめっき層 3 錫−コバルト合金めっき皮膜

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 少なくともその外周摺動面に、硬質クロ
    ムめっき層と、前記硬質クロムめっき層の上に形成され
    た錫−コバルト合金めっき層とからなる二重構造の層を
    有することを特徴とする内燃機関用ピストンリング。
JP23136592A 1991-10-30 1992-08-06 ピストンリング Pending JPH05215238A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP23136592A JPH05215238A (ja) 1991-10-30 1992-08-06 ピストンリング

Applications Claiming Priority (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP3-311822 1991-10-30
JP31182291 1991-10-30
JP23136592A JPH05215238A (ja) 1991-10-30 1992-08-06 ピストンリング

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JPH05215238A true JPH05215238A (ja) 1993-08-24

Family

ID=26529824

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP23136592A Pending JPH05215238A (ja) 1991-10-30 1992-08-06 ピストンリング

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JP (1) JPH05215238A (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2003512552A (ja) * 1998-12-14 2003-04-02 マーレ ゲゼルシヤフト ミツト ベシユレンクテル ハフツング 内燃機関のピストン用のピストンリング

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2003512552A (ja) * 1998-12-14 2003-04-02 マーレ ゲゼルシヤフト ミツト ベシユレンクテル ハフツング 内燃機関のピストン用のピストンリング

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