JPH0610192A - ピストンリング - Google Patents

ピストンリング

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JPH0610192A
JPH0610192A JP34797691A JP34797691A JPH0610192A JP H0610192 A JPH0610192 A JP H0610192A JP 34797691 A JP34797691 A JP 34797691A JP 34797691 A JP34797691 A JP 34797691A JP H0610192 A JPH0610192 A JP H0610192A
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JP
Japan
Prior art keywords
plating layer
layer
piston ring
silicon nitride
cobalt
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JP34797691A
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English (en)
Inventor
Manabu Shinada
学 品田
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Riken Corp
Original Assignee
Riken Corp
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【目的】 高温、高負荷の条件でも初期馴じみ性が良
く、スカッフィングも発生せず、また、ほとんど馴じみ
運転を必要とせず、しかも耐摩耗性に優れたピストンリ
ングを提供する。 【構成】 少なくともその外周摺動面に、硬質クロムめ
っき層2と、前記硬質クロムめっき層の上に形成された
複合分散めっき層3とからなる二重構造の層を有するピ
ストンリングにおいて、前記複合分散めっき層が燐2〜
10重量%とニッケル10〜43重量%とコバルト55〜88重量
%とからなるコバルト−ニッケル−燐合金の基地中に、
平均粒径0.3 〜10μmの窒化珪素粒子を5〜30容量%分
散してなるピストンリング。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、硬質クロムめっき層と
複合分散めっき層との二重構造を摺動面に有する内燃機
関用ピストンリングに関し、特にシリンダとの初期馴じ
み性が良く、かつ耐摩耗性に優れたピストンリングに関
する。
【0002】
【従来の技術】近年、エンジンの小型軽量化、高出力化
などの高性能化に伴い、ピストンリングに要求される条
件はますます過酷なものとなり、耐摩耗性はもちろんの
こと、耐焼付性、耐折損性など様々な観点から改良が加
えられている。
【0003】ところで、一般に組み立て直後のエンジン
においては、部品製作の精度上の制約からピストンリン
グとシリンダの接触状態が不確実になることは避けられ
ず、両者間に隙間が生じる。この隙間が存在したままの
状態でエンジンを運転すると、燃焼室の気密が不十分な
状態となり、クランク室へのガスの吹き抜け(圧縮洩
れ)が起こる。そしてこのガスの吹き抜けはシリンダ内
面を一様に覆っている潤滑油膜を破るために、ピストン
リングとシリンダ間に異常摩耗を引き起こし、スカッフ
ィングを発生させたりする。また同時に、この隙間を通
して潤滑オイルが燃焼室に入り込み、オイル消費量も多
くなる。
【0004】従って、馴じみ運転と呼ばれるエンジン組
み立て直後の初期運転では、ピストンリングとシリンダ
の共摺りを行うことにより短期間のうちに両者の隙間を
無くし、早く両者を馴じませる必要がある。
【0005】一般に耐摩耗性に優れたピストンリングは
高い硬度の摺動面を有することになるので、この馴じみ
運転の期間が長くなる傾向がある。このため短期間にピ
ストンリングとシリンダを馴じませる工夫として、ピス
トンリングの外周摺動面上に錫めっきなどの軟質皮膜層
を設ける方法や、リングの断面をテーパ状に加工したり
する方法が採られている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、この錫
めっきを施す方法は、高温、高負荷の条件では錫めっき
層が軟らかすぎるために始動初期の段階で簡単に摩滅し
てしまい、馴じみの効果がほとんどなくなる。またリン
グの外周摺動面にテーパをつける方法は、テーパの角度
が燃焼室の気密性、及びシリンダ内周面の保油性に影響
を与えるという問題がある。
【0007】そこで、最近、クロムめっき層を摺動面に
設け、その上にクロムより柔らかい合金のめっきを施す
方法等が採られている。例えば、特開平2−150574号
は、クロムめっき層上に窒化珪素粒子分散コバルト−ニ
ッケル−燐合金複合めっき層を形成したピストンリング
を開示している。このピストンリングにおいては、シリ
ンダとの初期馴じみ性、耐摩耗性等が改善されている。
しかしながら、本発明者の研究によれば、任意の組成比
を有するコバルト−ニッケル−燐合金を用いても、高
温、高負荷の条件での初期馴じみ性、耐摩耗性等が必ず
しも十分ではないことがわかった。
【0008】従って、本発明の目的は、高温、高負荷の
条件でも初期馴じみ性が良く、スカッフィングも発生せ
ず、また、ほとんど馴じみ運転を必要とせず、しかも耐
摩耗性に優れたピストンリングを提供することである。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明者は、上記目的を
達成すべく、耐摩耗性に優れた硬質クロムめっき層上
に、適度の硬度を有するコバルト−ニッケル−燐合金複
合分散めっき層を形成したピストンリングについて鋭意
検討を重ねた結果、前記合金の組成比を特定すれば、良
好な初期馴じみ性を有し、かつ耐摩耗性にも優れたピス
トンリングを提供できることを発見し、本発明を完成し
た。
【0010】すなわち、本発明のピストンリングは、少
なくともその外周摺動面に、第1層として硬質クロムめ
っき層が、第2層として複合分散めっき層が順に形成さ
れてなる二重構造の層を有するピストンリングにおい
て、前記複合分散めっき層が燐2〜10重量%とニッケル
10〜43重量%とコバルト55〜88重量%とからなるコバル
ト−ニッケル−燐合金の基地中に、平均粒径0.3 〜10μ
mの窒化珪素粒子を5〜30容量%分散してなることを特
徴とする。
【0011】
【作用】本発明のピストンリングの二重構造の皮膜にお
いては、上層(第2層)のコバルト−ニッケル−燐合金
複合分散めっき層は、下層(第1層)の硬質クロムめっ
き層より幾分軟らかい材質であるので、エンジンの始動
初期におけるシリンダとの馴じみが良好である。上層
(第2層)の複合分散めっき層は、このように初期にお
けるシリンダへの馴じみ性が形成されて馴じんだ段階
で、エンジンの温度上昇に伴い皮膜の硬化が徐々に進
み、耐摩耗性が大きい皮膜層に変化するため、急速に摩
耗することがない。また下層(第1層)の硬質クロムめ
っき層は高い硬度を有しているので、長期間(上層の摩
耗後でも)良好な耐摩耗性を維持することができる。
【0012】
【実施例】本発明を以下の実施例により添付図面を参照
にして詳細に説明する。図1は、本発明の一実施例によ
る内燃機関用ピストンリングの断面図である。本実施例
においては、ピストンリング1の外周摺動面に、硬質ク
ロムめっき層2と窒化珪素粒子分散コバルト−ニッケル
−燐合金複合めっき層3とが二重構造となるように形成
されている。
【0013】第1層の硬質クロムめっき層は、クロム酸
を主体としためっき浴を用いて電気めっきによって得る
ことができる。このようなめっき浴にはサージェント浴
やフッ化物浴の一種であるケイフッ化浴等を使用するこ
とができる。硬質クロムめっき層は硬度が高く、耐摩耗
性に富む。従って、硬質クロムめっき層の厚さは80〜20
0μmであればよい。
【0014】硬質クロムめっき層は硬度が高く、初期馴
じみ性に劣るので、この欠点を補うために、第2層とし
て窒化珪素粒子分散コバルト−ニッケル−燐合金複合め
っき皮膜を第1層上に形成する。
【0015】複合めっき合金基地中に含まれるコバルト
は基地の耐熱性、耐食性を改善するとともに皮膜の圧壊
疲労強度も向上させる。またディーゼル機関のようなピ
ストンリング温度が300 ℃を超えるような使用条件下で
は、表面のコバルトが酸化され四酸化三コバルトが形成
される。この四酸化三コバルトからなる酸化物層は低摩
擦係数を有するため、好適な摺動摩擦が得られる。この
複合めっき皮膜の合金基地中のコバルトの量が55重量%
未満では上記の効果が顕著に得られず、また88重量%を
超えてもその効果に著しい変化はないので、55〜88重量
%とする。好ましいコバルトの含有量は60〜80重量%で
ある。
【0016】また、合金基地中にニッケルを含有させる
ことにより、基地の耐熱性、耐食性及び靭性が改善さ
れ、さらに強度も向上する。ニッケルの量が10重量%未
満では上記の効果が顕著に得られず、また43重量%を超
えてもその効果に著しい変化はない。従って、ニッケル
の量は10〜43重量%とするのがよい。好ましいニッケル
の含有量は20〜40重量%である。
【0017】さらに、合金基地中に燐を含有すると、基
地の硬度が高くなり、耐摩耗性に優れた効果を示す。燐
の量は2〜10重量%とする。好ましい燐の含有量は3〜
8重量%である。燐の量が2重量%未満では硬度が高く
ならず、耐摩耗性を向上させる効果は少ない。また10重
量%を超えると硬度は増すが、めっき層はかえって脆く
なって衝撃強度が弱くなり、めっき層の密着性も悪くな
る。また、後述するベーキング処理を施さない場合であ
っても、始動初期に摺動面が適度に摩耗し、初期におけ
る馴じみ性が形成された後、エンジンの温度が上昇し定
常化に至る経時変化に伴い燐も合金化して硬度が上昇
し、馴じんだ段階で皮膜の耐摩耗性がより向上すること
になる。
【0018】窒化珪素粒子は燐とともに皮膜の耐摩耗性
の向上に優れた効果を示す。また窒化珪素は金属との濡
れ性が低いので、耐スカッフ性の改善にも寄与する。窒
化珪素の量は5〜30容量%で、その平均粒径は0.3 〜5
μmとする。容量が5%未満あるいは粒径が0.3 μm未
満では基地表面に占める窒化珪素の面積が少なく、耐摩
耗性、耐スカッフ性の向上効果が少ない。また容量が30
%を超えるか粒径が5μmを超えると相手材の摩耗を大
きくすることとなり、さらに複合皮膜の強度も低下す
る。好ましくは、窒化珪素粒子の平均粒径は0.5 〜1.2
μmで、含有量は15〜25容量%である。なお、窒化珪素
粒子の容量%は基地表面の面積比から求めることができ
る。
【0019】複合めっき皮膜の形成には、上記所望の組
成となるようにコバルト化合物、ニッケル化合物及び燐
化合物を溶解させためっき浴中に窒化珪素粒子を分散さ
せたものを使用する。コバルト化合物及びニッケル化合
物としては硫酸塩、スルファミン酸塩等を用い、燐化合
物としては次亜燐酸塩、亜燐酸塩等を用いる。
【0020】得られた複合めっき皮膜は水洗、乾燥後、
必要に応じてベーキング処理を行う。ベーキング処理温
度は 200〜 300℃程度で、時間は30〜60分である。この
ベーキング処理により複合めっき皮膜、クロムめっき皮
膜及び母材中に吸蔵された水素が放出され、良好な初期
馴じみ性を得るのに適した硬度の複合めっき皮膜が得ら
れる。
【0021】第2層の複合めっき皮膜の厚さが3μm未
満では皮膜が薄いため、馴じまない状態で下層のクロム
めっき層が露出してしまい、馴じみ性の効果が十分に発
揮されない。また、30μmを超えても早期に合口隙間が
増大する。従って、第2層の複合めっき皮膜の厚さは、
3〜30μmとするのが好ましい。
【0022】本発明を以下の実施例によりさらに詳細に
説明する。実施例1 ピストンリングの外周摺動面に第1層として硬質クロム
めっき層を形成する第1の工程と、第2層として第1層
上に複合分散めっき層を形成する第2の工程と、得られ
た二重構造の層にベーキング処理を施こす第3の工程に
より、皮膜を形成した。
【0023】まず第1の工程では、呼び径×幅×厚さが
95mm×2.0mm ×3.1 mmのSKD-61材のピストンリングを複
数本まとめて母材とし、表1に示す浴組成のめっき浴を
用い、表2に示す条件で硬質クロムめっきを行った。
【0024】表1 無水クロム酸 250 g/ リットル 硫酸 2.5g/ リットル
【0025】表2 浴温 55℃ 陰極電流密度 55A/dm2 電解時間 5時間
【0026】この第1の工程により得られた硬質クロム
めっき層の厚さは100 μmであった。第2の工程とし
て、上記第1の工程によって得られた硬質クロムめっき
層を表面に有するピストンリングを表3に示す組成を有
するめっき浴中に浸漬し、めっき浴温度60℃、pH4、電
流密度10A/dm2 で5分間電流を流して、電気めっきを行
った。
【0027】表3浴組成 硫酸コバルト 200g/リットル 硫酸ニッケル 30g/リットル 塩化ニッケル 30g/リットル 次亜燐酸ナトリウム 2g/リットル 窒化珪素粒子 60g/リットル (平均粒径1.0 μm、最大粒径8μm)
【0028】この第2工程により得られた第2層の複合
めっき皮膜の厚さは8μmであり、その組成は、コバル
トが70重量%、燐が3重量%で、窒化珪素が20容積%で
あった。
【0029】次に第3工程として、得られた二重構造の
皮膜に200 ℃で1時間のベーキング処理を施した。この
ときの硬度は、第1層である硬質クロムめっき層はマイ
クロビッカース硬度(HMV)が970 であり、第2層の複
合めっき皮膜層はマイクロビッカース(HMV)が450 で
あった。
【0030】実機試験 4サイクル水冷4気筒2600ccエンジン用の鋳鉄(FC-25)
製エンジンシリンダに、上記ピストンリングを組み込
み、6500rpm 全負荷で100 時間のベンチテストを行い、
オイル消費量を測定した。試験結果を図2に示す。
【0031】比較例1 実施例1と同様のピストンリングの外周摺動面に硬質ク
ロムめっき層のみを形成したピストンリングを用いて実
施例1と同様に実機試験を行い、オイル消費量を測定し
た。試験結果を第2図に示す。
【0032】比較例2 さらに実施例1と同様の方法で、ピストンリングの外周
摺動面に硬質クロムめっき層を形成した。得られた硬質
クロムめっき層を表面に有するピストンリングを表4に
示す組成を有するめっき浴中に浸漬し、実施例1と同様
の条件で電気めっきを行った。
【0033】表4浴組成 硫酸コバルト 50g/リットル 硫酸ニッケル 80g/リットル 塩化ニッケル 60g/リットル 次亜燐酸ナトリウム 2g/リットル 窒化珪素粒子 60g/リットル (平均粒径1.0 μm、最大粒径8μm)
【0034】得られた第2層の複合めっき皮膜 (ニッケ
ル−コバルト−燐合金めっき皮膜)の厚さは8μmであ
り、その組成は、コバルトが30重量%、燐が3重量%
で、窒化珪素が20容積%であった。
【0035】次に、得られた二重構造の皮膜を200 ℃で
1時間のベーキング処理を施し、母材や皮膜に吸蔵され
た水素を放出させた。このときの硬度は、第1層である
硬質クロムめっき層はマイクロビッカース硬度(HMV
が980 であり、第2層の複合めっき皮膜層はマイクロビ
ッカース(HMV)が420 であった。このように形成した
ピストンリングを用いて実施例1と同様に実機試験を行
い、オイル消費量を測定した。試験結果を図2に示す。
【0036】図2から明らかなように本発明のピストン
リングは、硬質クロムめっき層のみを摺動面に有するピ
ストンリング(比較例1)、硬質クロムめっき層を有
し、かつ、実施例1と異なる合金組成比を有するニッケ
ル−コバルト−燐合金めっき皮膜(比較例2)に比べ
て、初期の時点からオイルの消費量が少なくなっている
ことがわかる。これはピストンリングとシリンダとの隙
間が短時間で消失していくためで、初期馴じみ性が良い
ことを示している。また実施例1では、スカッフィング
も全く認められなかった。
【0037】
【発明の効果】以上詳述した通り、硬質クロムめっき層
と窒化珪素粒子分散コバルト−ニッケル−燐合金複合め
っき層とを外周摺動面に有する本発明のピストンリング
は、複合分散めっき皮膜により初期馴じみ性、耐スカッ
フ性に優れ、また硬質クロムめっき層により長期耐摩耗
性に優れている。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例によるピストンリングの断面
図である。
【図2】実施例1、比較例1及び2のピストンリングを
用いた実機試験において、試験時間とオイル消費量との
関係を示すグラフである。
【符号の説明】
1・・・ピストンリング母材 2・・・硬質クロムめっき層 3・・・窒化珪素粒子分散コバルト−ニッケル−燐合金
複合めっき層

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 少なくともその外周摺動面に、硬質クロ
    ムめっき層と、前記硬質クロムめっき層の上に形成され
    た複合分散めっき層とからなる二重構造の層を有するピ
    ストンリングにおいて、前記複合分散めっき層が燐2〜
    10重量%とニッケル10〜43重量%とコバルト55〜88重量
    %とからなるコバルト−ニッケル−燐合金の基地中に、
    平均粒径0.3 〜10μmの窒化珪素粒子を5〜30容量%分
    散してなることを特徴とするピストンリング。
  2. 【請求項2】 請求項1に記載のピストンリングにおい
    て、前記複合分散めっき層の厚さが3〜30μmであるこ
    とを特徴とするピストンリング。
JP34797691A 1991-12-03 1991-12-03 ピストンリング Pending JPH0610192A (ja)

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