JPH05214283A - 香料インキ組成物 - Google Patents

香料インキ組成物

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JPH05214283A JP5415592A JP5415592A JPH05214283A JP H05214283 A JPH05214283 A JP H05214283A JP 5415592 A JP5415592 A JP 5415592A JP 5415592 A JP5415592 A JP 5415592A JP H05214283 A JPH05214283 A JP H05214283A
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 従来、香料印刷に使用されるマイクロカプセ
ルは、マイクロカプセルが水溶液に分散したサスペンジ
ョンに水溶性樹脂を配合したインキ、もしくは、カプセ
ル・サスペンジョンをスプレードライニング法により乾
燥させた、どんなに小さくとも、15〜20μの凝集カプセ
ルを油性インキに配合したものであった。このため印刷
方式は、シルクスクリーン印刷もしくはグラビア印刷で
行われていた。そこで本発明者らは、高速度で高効率の
印刷方式、例えばオフッセト印刷機などで香料内包マイ
クロカプセル印刷が可能な香料インキ組成物を開発検討
したのである。 【構成】 本発明は、平均粒径が10μ以下の香料を内包
したマイクロカプセルを単核一次粒子の粉体状に製造す
ることによって、工程中の耐圧壊性、印刷転移性を高め
た香料内包マイクロカプセルを配合したことを特徴とす
る香料インキ組成物である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、香料を内包するマイク
ロカプセルを配合した香料インキ組成物に関するもので
ある。詳しくは、印圧が高い印刷機、例えばローラーの
本数が多く印圧の高いオフセット印刷機などに使用して
も良好にマイクロカプセルが印刷物に転移し、かつ、イ
ンキ製造及び印刷の際にマイクロカプセルの壊れが少な
く、印刷加工された商品に転移したマイクロカプセル中
の香気を長期にわたって保持できる印刷物を提供するも
のである。
【0002】
【従来の技術】従来より、各種カード、パンフレット、
ダイレクトメール等の印刷物に、長時間にわたり香気の
揮散可能な印刷物を製造する方法として、次の3方法が
実施されている。 (1).無臭性の印刷インキ中に香料オイルを添加して
紙やプラスチックフイルム等の被印刷体に印刷して賦香
を行う方法。 (2).多孔材質に香料を吸収させこれを印刷インキ中
に混合して紙やプラスチックフイルム等の被印刷体に印
刷して賦香を行う方法。 (3).香料をマイクロカプセル化し、このマイクロカ
プセルを印刷インキ組成物中に混合して付香性印刷物を
製造する方法。 しかし、(1)や(2)の方法では、製造された付香性
印刷物は、香気の持続性が印刷直後に限られ、その効果
も短期間である。
【0003】このため近年は、香気の持続性が長期に可
能な(3)の香料マイクロカプセルを配合した印刷イン
キの利用が主流となっている。 (3)のマイクロカプセルの製造法として主なものは: a.ゼラチンの相分離法によるもの 例えば、香料を微小滴としてゼラチン水溶液に分散し、
アラビアゴムまたはそれに類するアニオン性高分子を添
加し、相分離を誘起して析出した濃厚ゼラチン相が香料
油滴表面に吸着し、香料油滴を被覆する方法。
【0004】b.アミノ・アルデヒド樹脂膜のIN SITU
重合法によるもの 例えば、アニオン性水溶性高分子中に香料を分散させ、
アミノ・アルデヒド樹脂のプリポリマーを水溶液中に添
加し、pH及び温度をコントロールすることにより、水
溶液中でアミノ・アルデヒド樹脂を重合させると同時に
香料油滴を被覆する方法。 このようにして製造されるマイクロカプセルは、通常マ
イクロカプセルの水分散液に水溶性のバインダーを混合
して、これをインキ製造の際に使用する。このインキを
被印刷体にシルクスクーリンで印刷したり、コーターで
塗布している。この場合印刷面または塗布面は、オーブ
ン乾燥を必要としている。そして、芳香を所望するとき
に、香料インキ印刷面または塗布面を指先や鉛筆などで
軽く擦ってマイクロカプセルを破り、中の香料を発散さ
せている。
【0005】これら従来の香料入りマイクロカプセル
は、比較的印圧が小さなシルクスクリーンやグラビア印
刷機での印刷に限られている。しかし、近年普及が目ざ
ましいオフセット印刷機などでは、ローラーの本数が多
く印圧が高いことから、配合されるマイクロカプセルに
は印圧に耐える強度と、良好な転移が行われるための微
小粒径が要求されているが、従来のマイクロカプセルで
は、これらの条件を全く満たしていなかった。
【0006】
【本発明が解決しようとする課題】そこで本発明者ら
は、オフセット印刷機などのように印圧が大きな印刷機
を使用した印刷の際にも、マイクロカプセルが壊れず、
しかも、印刷後には軽い指圧程度の摩擦で、マイクロカ
プセルが容易に壊れ芳香を発生する印刷インキの開発検
討を試みたのである。
【0007】
【課題を解決するための手段】そこで本発明では、香料
を内包した平均粒径が10μ以下のマイクロカプセルを配
合したことを特徴とする香料インキ組成物を開発したの
である。特に、本発明でマイクロカプセルの壁膜材(皮
膜材)としてアミノ・アルデヒド樹脂を使用した香料イ
ンキ組成物は、オフセット印刷用として、最適である。
オフセット印刷機などのような印圧の高い印刷機に用い
られる香料インキ組成物に望まれる条件としては、被印
刷体への良好な転移の観点からマイクロカプセル粒径が
5μ以下であること。インキ練肉時または印刷時にマイ
クロカプセルが圧壊しないこと。油性のインキに配合す
るためにマイクロカプセルは単核一次粒子粉体状である
こと。インキに配合したときマイクロカプセル中の香料
が抽出されないこと。などの条件が必要である。
【0008】このため本発明では、アミノ・アルデヒド
樹脂を壁膜として用いて、上記条件を満たしたマイクロ
カプセルを製造し、そのマイクロカプセルを配合したオ
フセット印刷機など印圧の大きな印刷機に使用可能な香
料インキ組成物を完成したのである。本発明で使用する
マイクロカプセルに内包される香料としては、通常使用
されている油性の香料であれば良く、例えば、ブロムス
チロール、フエニルエチルアルコール、リナロール、ヘ
キシルシナミックアルデヒド、α−リモネン、ベンジル
アルデヒド、オイゲノール、ボルニルアルデヒド、シト
ロネラール、コロラール、テルピネオール、ゲラニオー
ル、メントール、ケイ皮酸等が挙げられる。そして、こ
れらの天然あるいは合成調合香料を、ベンジルベンゾエ
ートに類する無臭溶剤を加えて使用する。本発明の香料
インキに配合するマイクロカプセルの壁膜(皮膜)とし
て使用するアミノ・アルデヒド樹脂としては、尿素・ホ
ルムアルデヒド樹脂、メラミン・ホルムアルデヒド樹
脂、グアナミン・ホルムアルデヒド樹脂、スルホアミド
・アルデヒド樹脂、アニリン・ホルムアルデヒド樹脂等
が挙げられる。特にメラミン・ホルムアルデヒド樹脂
は、耐水性、耐薬品性、耐溶剤性、耐老化性が良好であ
り好ましい。
【0009】そして、この壁膜を用いるマイクロカプセ
ルでは、その粒径が著しく微小であるにも拘らず、その
製造過程において、マイクロカプセルの粒子間の凝集を
防止する有効な手段が組み込まれている。その製法の概
要は、乳化安定性をもつ水溶液中に油性香料を所望の微
小液滴に乳化分散し、その分散液にメラミン・ホルムア
ルデヒド樹脂の初期縮合物であるポリメチロール・メラ
ミン水溶液を添加して、その系のpHを適切なな酸性度
に調節し、また系の温度を適度に上げることによって生
成するメラミン・ホルムアルデヒドの網状ポリマーを、
香料油滴表面に吸着させて、マイクロカプセルの一次皮
膜の着膜を得る。この一次樹脂皮膜が着膜したマイクロ
カプセルは分散媒中に懸濁している状態(以後、マイク
ロカプセル・スラリーと称する)となっている。
【0010】次に、このマイクロカプセル・スラリーを
室温まで徐冷してpHを調整し、再度ポリメチロール・
メラミン水溶液を添加して、マイクロカプセル・スラリ
ー系の温度と、攪拌スピードを調整することによって、
スラリー液中に針状のメラミン樹脂小片が濃厚ポリマー
相として析出する。更に、攪拌スピードを調節すること
によって、針状メラミン樹脂微小片を含む析出重合ポリ
マー相をマイクロカプセル一次皮膜表面に吸着させて、
二次皮膜を得る。この二次着膜されたマイクロカプセル
の表面は針状微小突起片によって、その各粒子はからま
り合う(Interlock)状態で堆積するので、各粒子表面
間が直接接触する面積が小さくなる結果、マイクロカプ
セルをスラリーより補集し、脱水し、乾燥する効率が著
しく改善され、且つ、乾燥後は二次粒子凝集のない単
核、一次粒子のマイクロカプセル・パウダーが得られ
る。
【0011】以上の通り、本発明で使用する香料を内包
したマイクロカプセルは、洗浄、脱水、乾燥工程を経て
二次凝集のないマイクロカプセルパウダーが容易に製造
される。上記の香料を内包したマイクロカプセルのパウ
ダーは、通常使用の印刷インキ組成物中に三本ロールミ
ル、デイゾルバー等を使用する方法で、マイクロカプセ
ルの崩壊もなく容易に混合できる。この様にして製造さ
れる本発明の香料インキ組成物は、印圧が高いオフセッ
ト印刷機に使用した場合にも、カプセルの壊れもなく順
調な印刷が可能である。又、本発明の香料インキ組成物
を使用した印刷物は、その印刷面を指圧程度で軽く擦る
と、さかんに芳香性が発散する。次に実施例及び比較例
を述べる。
【0012】
【実施例】
実施例1 本発明で使用する香料を内包したマイクロカプセルのパ
ウダーの標準的な製法は、次に述べる通りで、エチレン
−無水マレイン酸共重合体(モンサントケミカルズ社製
商品:EMA−31)を加熱加水分解し、5%水溶液としたも
のでpHを4.5に調整する。この水溶液100g中に内包物
となる油性香料100mlを2〜3μmの油滴としてホモジナ
イザーを用い乳化分散する、この乳化分散液を攪拌しな
がらメチロール・メラミン樹脂水溶液(住友化学工業製
商品:スミレーズレジン613)を17%の濃度に調整した
水溶液50gを加え、更に系の温度を55℃で2時間攪拌を
持続する。これにより系中に析出するメチロール・メラ
ミン樹脂重合相を油性香料の油滴表面に吸着させてマイ
クロカプセル一次皮膜を形成する。つぎに一次皮膜が着
膜したマイクロカプセルが懸濁している系の温度をを室
温までまで冷却し、攪拌を続けながらマイクロカプセル
スラリーのpHを3.5に下げ、前記のメチロール・メラ
ミン樹脂の水溶液を25%の濃度に調整した水溶液80gを
添加し、系の温度を50〜60℃に昇温する。
【0013】昇温後約1時間攪拌を続けて、系中に析出
するメチロール・メラミン樹脂の針状微片を含んだ濃厚
重合液をマイクロカプセル一次皮膜の表面に吸着させて
二次皮膜を着膜する。この系の温度を室温にもどし400
gの水を加える。水の添加によって二次皮膜は完全に硬
化する。このマイクロカプセル分散液(スラリー)をブ
フナーロート及び濾紙を用いて真空脱水し、この脱水ケ
ーキをトレー上に拡げて乾燥したところ、トレー上のカ
プセル凝集塊は軽い振動によって簡単にほぐれ、粒径が
3〜5μの単核一次粒子の香料マイクロカプセル・パウダ
ーが得られる。実施例1では、上記の方法で香料フイト
ン−α(電気堂社製商品)を内包する2〜3μの香料内包
のマイクロカプセルを製造する。次いで、オフセットイ
ンキ・メジウムに対し5重量%の割合でマイクロカプセ
ル・パウダーを添加し、三本ロールで練り込み、本発明
の香料インキ組成物を製造する。
【0014】実施例2 実施例1の方法により、薔薇の香りの香料(高砂香料工
業社製商品:ROSE B-1333)を内包する2〜3μの香料マ
イクロカプセル・パウダーを製造する。次いで、オフセ
ットメジウムに対し、5%の割合で上記マイクロカプセ
ル・パウダーを添加し、オフセット黄インキに三本ロー
ルで練り込んで、本発明の香料インキ組成物を製造す
る。
【0015】実施例3 実施例1の方法により香料フイトン−α(電気堂社製商
品)を内包する2〜3μの香料マイクロカプセルパウダー
を得る。次いで、オフセット黄インキに対し3%の割合
で上記マイクロカプセル・パウダーを添加し、三本ロー
ルで練り込み本発明の香料インキ組成物を製造する。
【0016】比較例1 香料フイトン−α(電気堂社製商品)をゼラチン−アラ
ビアゴムの組合せによる相分離法でのマイクロカプセル
化、スプレードライニング法による乾燥、粉体化により
10〜20μ香料マイクロカプセル・パウダーを得る。次い
で、オフセット・メジウムに対し5%の割合で上記のマ
イクロカプセル・パウダーを添加し、三本ロールで練り
込み、香料インキを製造する。
【0017】比較例2 香料フイトン−α(電気堂社製商品)をゼラチン−アラ
ビアゴムの組合せによる相分離法でのマイクロカプセル
化、スプレードライニング法による乾燥、粉体化により
10〜20μ香料マイクロカプセルパウダーを得る。次い
で、オフセット黄インキに対し3%の割合で上記のマイ
クロカプセル・パウダーを添加し、三本ロールで練り込
み、香料インキを製造する。
【0018】以上、実施例1〜3で得られた本発明の印
刷インキ組成物と、比較例1〜2で得られた香料入りイ
ンキ組成物について、枚葉印刷機(小森コーポレイショ
ン社製:リスロン40)を使用し、印刷して得られた印刷
物について、印刷時の香気及びオフセット印刷物の香気
を測定し、その結果を
【表1】 に示す。
【0019】
【発明の効果】本発明の香料インキ組成物は、芳香物質
を内包したマイクロカプセルの壁膜にアミノ・アルデヒ
ド樹脂を用いて二重の壁膜をつくり、その二次皮膜を微
小突起樹脂片を含む析出重合相によって形成して、その
二重壁膜着膜後のマイクロカプセル各粒子間の直接接触
面を少なくすることによって二次凝集を防ぎ、単核、一
次粒子の乾燥粉体をとして回収される、粒径が非常に小
さなマイクロカプセルである。この香料を内包したマイ
クロカプセルを配合した、本発明の香料インキ組成物
は、従来使用が不可能とされていたオフセット印刷機な
どの比較的印圧が大きくマイクロカプセルの転移が難し
い印刷機で印刷しても、印刷時のマイクロカプセルの壊
れが少なく、印刷後には、指圧程度の軽い摩擦で容易に
芳香が発散する芳香性印刷物が得られるものである。
【0020】このように本発明の香料インキ組成物は、
オフセット印刷にも可能となり、従来行われていたシル
クスクリーンによる印刷やグラビア印刷に比較し、オフ
セット印刷は製版が容易で、高速度かつ高効率であるた
め印刷コストの低減に大いに寄与するものである。

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 香料を内包した平均粒径が10μ以下のマ
    イクロカプセルを配合したことを特徴とする香料インキ
    組成物。
  2. 【請求項2】 マイクロカプセルの壁膜材がアミノ・ア
    ルデヒド樹脂である請求項1記載のの香料インキ組成
    物。
  3. 【請求項3】 オフセット印刷用である請求項1記載の
    香料インキ組成物。
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