JPH05212707A - 木型用母材とその製造方法 - Google Patents

木型用母材とその製造方法

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JPH05212707A
JPH05212707A JP4046067A JP4606792A JPH05212707A JP H05212707 A JPH05212707 A JP H05212707A JP 4046067 A JP4046067 A JP 4046067A JP 4606792 A JP4606792 A JP 4606792A JP H05212707 A JPH05212707 A JP H05212707A
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Abstract

(57)【要約】 【目的】木型用母材として、天然木のような方向性や発
泡熱可塑性樹脂のような切削加工時の熱によるねばりや
発泡部によるビビリを無くして木型加工時における切削
性を良くし、作製した木型の歪を防止でき、また木粉を
基材としていても50m/m 以上の厚物の成形が可能でメ
ッキ可能な木型用母材とその製造方法を提供する。 【構成】基材に50〜70重量%の80〜200メッシ
ュの木粉を用い、30〜50重量%の自硬性樹脂を形成
するための主剤の樹脂と硬化材と促進剤とを該木粉に混
練して常温で加圧成形し吸水率を3%以下/24hr. と
なるように調整して所定寸法に高密度に結合形成する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、自動車部品,機械部
品などの鋳物部品を作る際に使用する木型を作製するた
めの木型用母材とその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、鋳物部品の砂型による鋳型を作る
ための木製の模型すなわち木型には、姫小松,紅松,朴
などの天然木を長年月枯らしたものが用いられ、表面に
蝋,ワックスなどを塗って防湿を行っている。また、量
産用の鋳型の場合などには、アルミや黄銅などの金属や
樹脂による模型(鋳型の原型)が木型として用いられる
ようになっている。そして、機械加工や経済的見地から
これ等木型を作製するための木型用母材として、発泡A
BS,発泡ポリエチレン,発泡ポリプロピレンなどの熱
可塑性合成樹脂による発泡合成樹脂が多く用いられてお
り、エポキシ,フェノール,ポリウレタン等の発泡熱硬
化性合成樹脂も用いられている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】木型用母材として天然
木を使用した場合、天然木は長年月(10年以上)枯ら
して使用しても、木型を作製して6ケ月も経過すると吸
湿による膨張,収縮などのため歪を生じる。この場合、
天然木は木目のため方向性があり歪を生じ易いので木目
の方向を互違いに重ねてこれを防いでいるが、それでも
歪を生じることは避けられない。そして加工に際しても
木目と節(フシ)があり均質でないので切削しにくい欠
点がある。さらに、天然木では表面硬度に限界があり金
属に比べると低く、また耐圧縮力も低く木型を作製した
場合、耐久力に劣る欠点がある。
【0004】木型用母材としてアルミや黄銅などの金属
を用いた場合、加工性が良く歪や耐久力に優れた木型
(模型)を作製することができるが、コストがかかる欠
点がある。
【0005】また、木型用母材として用いられる上記発
泡ABS,発泡ポリエチレン,発泡ポリプロピレン,発
泡エポキシ,発泡フェノール,発泡ウレタンなど合成樹
脂を発泡したものは、発泡の理由として合成樹脂加工す
るに当って熱可塑性樹脂は切削の際刃物との摩擦熱で溶
けてねばる問題があり熱硬化性樹脂は硬過ぎてもろく何
れも切削しにくいことから、発泡により切削し易くした
ものである。しかし乍ら、該発泡合成樹脂では切削する
とき素材がビビル(微振動する)ため、高速で切削でき
ない問題がある。さらに、発泡した熱可塑性樹脂では、
母材を成形する場合、発泡しても溶かして成形すること
には変りはないので、熱溶融して押出機により押出し成
形型に充填し冷却固化させるが、このとき樹脂は必ず流
れの方向と逆方向に戻ろうとする内部応力が残存する。
このため、木型を作製するに当って母材を切断又は切削
したとき、内部応力のバランスをくずして歪が生じる問
題が発生する。
【0006】一方、熱硬化性合成樹脂をバインダーとし
た木粉が基材である加熱加圧型の木質系素材を木型用母
材に使用するには、次のような問題点がある。すなわ
ち、第1の問題点として、木粉の存在のため、熱伝導度
が悪く表面から最大25m/m 位迄しか硬化しない。その
ため成形厚の限界は50m/m でこれ以上厚いと表面から
25m/m 以上の内部は粉末状のまま残って終い固化しな
い。 (これは、木質を30%以上含有すると熱伝導率が
悪くなり内部まで必要な熱が及ばないからである。)こ
れを硬化させようとして更に高周波乾燥炉で加熱する
と、内部の木粉から水分が蒸発し、これが既に固化した
外側の樹脂を通さないので丸く膨れて変形する問題が起
る。第2の問題点として、加熱時外部から昇温するので
樹脂が表面に集り、素材と成形金型との接触面の樹脂密
度が高くなり、素材外部と内部の均質が損われる。これ
等2つの理由から熱硬化性合成樹脂をバインダーとして
使用した木質系素材は、均質でなく木型用母材としては
不適当である。
【0007】本発明は、上記の点に鑑みてなされたもの
であって、木型用母材として基材に木粉を使用して天然
木同様に切削しやすい長所を温存するとともに、方向性
が無く、切削表面が平滑で熱変形が無く、切削時ビビル
ことが無く切削速度を上げることができ、均質で50m/
m 以上の厚物の成形が可能で、木型に加工時内部応力に
より歪を生じることが無く、更にメッキが可能で作製し
た木型の耐用度を上げることが出来、木型のコストダウ
ンと木型製作時間の短縮に資することの出来る木型用母
材とその製造方法を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、本発明の木型用母材は、その基材に少くとも80メ
ッシュパスの微細な木粉が使用され、これが常温で硬化
する自硬性の熱硬化性樹脂で所定寸法の大きさに高密度
に結合して形成されたもので、その吸水率が3%以下/
24hr. となっているものである。
【0009】このような木型用母材を製造する方法とし
て、本発明においては、50〜70重量%の80〜20
0メッシュの木粉と、これを結合する30〜50重量%
の加熱しないで硬化する自硬性樹脂を形成するために主
剤としての樹脂と、硬化用の硬化材と、硬化速度を促進
する促進剤とを用い、これ等を混練して常温で加圧成形
して、吸水率を3%以下/24hr. になるように調整す
る方法をとっている。
【0010】木型用母材の製造の際、木粉に対し自硬性
樹脂を混練するに当っては、主剤にはフェノール樹脂組
成物を、硬化材にはポリイソシアネート組成物を、促進
剤にはピリジン誘導体組成物を用いて、これら三成分か
らウレタン反応により常温で硬化せしめるようにするこ
とが効果的である。
【0011】
【作用】上記のごとく構成された木型用母材では、微細
な木粉が自硬性の熱硬化性樹脂で結合されているため、
天然木のように木目などによる方向性がなく、また、発
泡熱可塑性樹脂の母材のように切削時刃物との摩擦熱で
ねばることは無いので、木型加工の際の切削性を良く
し、さらに、切削表面の平滑化をもたらし、ペーパーに
よる手仕上げの必要性を少くする。また、木粉が相互に
からみ合い膨張・収縮を阻止するので作製した木型の熱
変形を少くする。さらに、発泡していないので切削時の
ビビリを防止し切削速度を上げることができる。また、
材質が均等緻密で作製した木型の歪を生じることが無く
耐磨耗性に富み、木型としての保存性を良くし、常温で
硬化する自硬性樹脂を使用していることから加熱により
母材内部まで熱を及ぼす必要が無いので50m/m 以上の
厚物の母材も容易に得ることができる。
【0012】さらに、本母材では作製した木型表面に点
在するミクロンオーダーの凹所にメッキが着根しこれを
基盤としてメッキ層を形成することが出来るのととも
に、該木型は吸水率が24時間で3%以下と低いため、
メッキ加工をする時メッキ液中で木型が含水により割れ
て使用出来なくなることを防止し、支障なく良好にメッ
キを行うことができる。この際、銅メッキが最も容易な
のでCu→Ni→Crと重ねることにより表面を硬質クローム
メッキで仕上げることが出来る。また、このようなメッ
キにより木型の表面硬度が上るため鋳物砂との接触に対
し耐用度を上げることができる。
【0013】また、メッキをすることにより本母材で作
製した木型の圧縮強度が上り、且つ滑りが良くなるので
低圧のプレス金型としての使用を可能とし、さらに熱伝
導が良くなることからアルミ金型に代えて低価格で迅速
に試作金型要求に対応させることができる。
【0014】この木型用母材を製造する場合、木粉を結
合するために該木粉に自硬性樹脂を形成する主剤樹脂と
硬化剤と促進剤とを混練するとき、主剤樹脂と硬化剤と
の混練による樹脂の硬化は適量の促進剤により促進され
て硬化速度は早められ、加圧成形することにより高密度
に結合成形することが出来る。この際、木粉と自硬性樹
脂との比率に関係なく密度が下るとともに吸水率が増え
例えば比重が0.8 で吸水率が3%/24hr. の場合はメ
ッキをすると割れを生じ使用できず、同材質でも密度が
高くなる程吸水率が下がり、比重が1.0 以上のときは木
工業者による手加工を自由にするとともに、吸水率が下
るため割れを生ぜず良好にメッキが出来る。さらに比重
が1.05以上となると機械加工時ビビリを解消し強度も上
るとともにメッキ液につけた時浮上る心配がなくメッキ
が容易である。また、木粉の粒度(メッシュ) を細かく
する程加工面の仕上りは良くなる。
【0015】そして、木粉に自硬性樹脂を混練する場
合、主剤としてフェノール樹脂組成物を、硬化剤として
ポリイソシアネート組成物を、また促進剤としてピリジ
ン誘導体組成物を用い、これら三成分を混練することに
よりウレタン反応が起りその際の常温での硬化速度が早
められる。(なお、このフェノール・ウレタン自硬性の
樹脂は米国アシュランド・オイル・インコーポレーテッ
ド社出願にかかる速硬性のものである。関連特許:特公
昭47−50873号,特公昭48−25431号,特
公昭49−17141号。)
【0016】
【実施例】以下、本発明の実施例を木型用母材寸法が幅
550m/m×長さ1200m/m ×厚さ100m/mの場合について説明
する。なお、本発明は何等該実施例に制限されるもので
ない。
【0017】上記木型用母材の製造に当って原料の混合
を複数個分宛バッチ処理して行うが、次にその配合例を
示す。 配合例 100メッシュ木粉 55.8kg 200メッシュ木粉 55.8kg フェノール樹脂組成物(主剤) 29.925kg ポリイソシアネート組成物(硬化剤) 31.5kg ピリジン誘導体組成物(促進剤) 1.575kg トリエチルホスヘート(難燃剤粉末) 5.4kg (なお、トリエチルホスヘートに代え臭化アンモニウ
ム,ヘキサブロムベンゼン,トリブロム・フェノール等
を使用することができる。
【0018】上記2種類のメッシュの木粉を、それぞれ
貯溜したタンクから秤量機で秤量して、二重壁のジャケ
ット内のスチームで加熱状態にあり底部に攪拌翼を備え
たミキサー(内容量1000リットル) に投入し攪拌,乾燥
を行い、木粉の水分10〜14%を3%位まで落し組織
水のみとし樹脂を強固に硬化せしめるようにする。そし
て、ジャケット内の循環水により冷却状態にあり底部に
攪拌翼を備えたクーリングミキサー(内容量1000リット
ル) に、上記混合した木粉を落して冷却し室温(30℃
以下)に温度を下げる。一方、貯溜タンクから秤量機で
液体レジンである主剤のフェノール樹脂組成物を秤量
し、これに同じく秤量した促進剤のピリジン誘導体組成
物を添加して、秤量した硬化剤のポリイソシアネート組
成物との液体三成分とともに別個に秤量した難燃剤粉末
を上記クーリングミキサーに投入し上記木粉と攪拌す
る。次に攪拌し混練された混合材料を貯蔵タンクに移し
て秤量機で母材1本当り69.3kg±1%に秤量してプレス
型に充填して60kg/cm2 で20〜30分加圧し固化成形
させる。
【0019】この成形に当っては、上記原料混合ライン
で混合秤量した原料69.3kgを内容量巾550m/m×長さ1200
m/m ×深さ300m/mの下型に入れ、これを上型で1/3 に圧
縮し550m/m×1200m/m ×100m/mの製品に固化させる。こ
の際自硬に要する時間は30分である。硬化が終了した
ら上型を上昇せしめ下型に設けられた突出ピンで製品を
突き上げ取出す。上記の配合例は、木型用母材の原料を
30分の硬化時間に対応して排出するようにクーリング
ミキサーでロス2kgを含め210kg 宛逐次バッチ処理して
3面の金型に供給成形する場合の一例を示すものであ
る。
【0020】このようにして製造された木型用母材から
は、表1に示すごとく手加工が容易な強度で吸水率が2.
0 のメッキ可能な物性が得られた。
【表1】 なお、表1中の標準値は、複数本の木型用母材の平均計
測値を示している。
【0021】上記実施例では、巾550m/m×長さ1200m/m
×厚さ100m/mの直方体で比重が1.05の木型用母材につい
て説明したが、プレス金型を変えて丸棒や半丸棒或は特
殊な断面を有する長尺物の木型用母材を成形することも
可能で、さらに、木粉と自硬性樹脂との比率を変え樹脂
の比率を上げることにより機械的強度を上げまた比重を
1.2 とし硬度を上げることも可能であり、この場合は機
械加工の際切削し易く、且つ強度も上りメッキし易くな
る。また木粉のメッシュの調整により切削表面の平滑度
も変えることが可能など、用途に応じ任意の母材を提供
することができる。
【0022】
【発明の効果】請求項1記載の本発明の木型用母材によ
れば、天然木母材のような方向性や発泡熱可塑性樹脂母
材のような切削加工時の摩擦熱によるねばりや発泡部に
よるビビリがなく、木型加工時の切削性が良く切削速度
を上げることが出来る。また、均質で密度が高く、耐磨
耗性に富み木型切削時に内部応力に基因する歪を生ずる
こともなく、作製した木型が経時変化により歪を生ずる
ことも無いので木型の保存性を良くし、且つメッキが可
能であり、メッキによりアルミ型に代替させることが出
来、更に表面硬化も可能である。そして製造に際しても
50m/m 以上の厚目のものや丸形など自在な形状のものを
得ることが出来る。従って、その材質による特徴から、
木型加工の全自動化が、例えば5軸のマシニングセンタ
を利用して図面データのインプットと本母材を所定大き
さに接着したものの取付け等により可能となり、熟練工
を不要として木型生産を迅速化することができる。ま
た、メッキ可能なことから、簡易金型生産を迅速化せし
め、金型モデル作製に1ケ月要したものでも3〜4日に
短縮することが出来、試作が迅速化され新商品開発に絶
大な効果をもたらすことが出来る。さらにアルミ金型を
不要ならしめ、金型作製期間の短縮可能なことから、金
型等のコストダウンによる金銭的メリットに資する処が
大きい。
【0023】請求項2記載の発明によれば、所定分量・
所定メッシュの木粉と、主剤樹脂と、硬化材と、促進剤
とからなる所定分量の自硬性樹脂とを混練して所定の吸
水率に調整することにより、均質で密度の高いメッキ可
能な木型用母材を製造することが出来る。
【0024】請求項3記載の発明によれば、自硬性樹脂
を形成する主剤樹脂と硬化材と促進剤とを特定したこと
により、ウレタン反応を利用した常温での硬化の速度を
早め上記木型用母材の製造時間を短縮せしめることがで
きる。

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】基材である少くとも80メッシュパスの微
    細な木粉が、常温で硬化する自硬性の熱硬化性樹脂で所
    定寸法の大きさに高密度に結合形成され、吸水率が3%
    以下/24hr. であることを特徴とする木型用母材。
  2. 【請求項2】50〜70の重量%の80〜200メッシ
    ュの木粉と、30〜50重量%の自硬性樹脂を形成する
    ための主剤の樹脂と硬化剤と促進剤とを混練して常温で
    加圧成形し、吸水率を3%以下/24hr. なるごとく調
    整することを特徴とする木型用母材の製造方法。
  3. 【請求項3】上記木粉に対する自硬性樹脂の混練は、主
    剤であるフェノール樹脂組成物と、硬化材であるポリイ
    ソシアネート組成物と、促進剤であるピリジン誘導体組
    成物とから行い、ウレタン反応により常温で硬化せしめ
    ることを特徴とする請求項2記載の木型用母材の製造方
    法。
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