JPH05212337A - 塗布方法及び装置 - Google Patents

塗布方法及び装置

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JPH05212337A
JPH05212337A JP4047746A JP4774692A JPH05212337A JP H05212337 A JPH05212337 A JP H05212337A JP 4047746 A JP4047746 A JP 4047746A JP 4774692 A JP4774692 A JP 4774692A JP H05212337 A JPH05212337 A JP H05212337A
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伸輔 高橋
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    • G11B5/84Processes or apparatus specially adapted for manufacturing record carriers
    • G11B5/848Coating a support with a magnetic layer by extrusion
    • BPERFORMING OPERATIONS; TRANSPORTING
    • B05SPRAYING OR ATOMISING IN GENERAL; APPLYING FLUENT MATERIALS TO SURFACES, IN GENERAL
    • B05CAPPARATUS FOR APPLYING FLUENT MATERIALS TO SURFACES, IN GENERAL
    • B05C5/00Apparatus in which liquid or other fluent material is projected, poured or allowed to flow on to the surface of the work
    • B05C5/02Apparatus in which liquid or other fluent material is projected, poured or allowed to flow on to the surface of the work the liquid or other fluent material being discharged through an outlet orifice by pressure, e.g. from an outlet device in contact or almost in contact, with the work
    • B05C5/0254Coating heads with slot-shaped outlet
    • BPERFORMING OPERATIONS; TRANSPORTING
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    • B05CAPPARATUS FOR APPLYING FLUENT MATERIALS TO SURFACES, IN GENERAL
    • B05C9/00Apparatus or plant for applying liquid or other fluent material to surfaces by means not covered by any preceding group, or in which the means of applying the liquid or other fluent material is not important
    • B05C9/06Apparatus or plant for applying liquid or other fluent material to surfaces by means not covered by any preceding group, or in which the means of applying the liquid or other fluent material is not important for applying two different liquids or other fluent materials, or the same liquid or other fluent material twice, to the same side of the work

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  • Application Of Or Painting With Fluid Materials (AREA)
  • Manufacturing Of Magnetic Record Carriers (AREA)
  • Coating Apparatus (AREA)

Abstract

(57)【要約】 チキソトロピックな流体における薄層の多層塗布におけ
る問題点を解決すべく、多層同時塗布において色むらや
縦すじ等の発生を効果的に抑え、かつ配向性低下を抑え
良好な磁気記録媒体を安定して製造する。 【構成】 連続的に走行する非磁性支持体20上に、微粒
子を分散した非ニユートン流体である複数の有機溶剤系
の塗布液をエクストルージョン型の塗布ヘッド1を用い
て三層以上重ね合わせるように同時重層塗布する塗布方
法並びに装置である。複数のスリット10、11、12からそ
れぞれ前記塗布液21、22、23を吐出させると共に、少な
くとも最下層の前記塗布液を非磁性液とし、該各スリッ
トの下流側に位置するドクターエッジにて各層を順次層
設するときに、各スリットの開口部上流端から下流側の
ドクターエッジに引いた接線を越えるエッジ面がない塗
布ヘッドを用い、且つ上流にて塗布された塗布液に対し
て合流する下流側の塗布液の合流角度を一定値以下にて
合流させて順次前記塗布液を塗布する方法及び装置。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は磁気記録媒体の製造方法
に関し、特に、連続的に走行する非磁性支持体上に複数
の有機溶剤系の非磁性体塗布液や磁性塗布液を重ね合わ
せるように同時に重層塗布する塗布方法及び装置に関す
るものである。
【0002】
【従来技術】近年、磁気記録媒体の高密度化や薄層化が
進み、それに伴って従来非磁性支持体上に塗布される磁
性層は単層であったものが、多層化に移行しつつある。
これは、多層の磁性層を有する磁気記録媒体は、単層の
磁性層を有する磁気記録媒体と比較すると磁気データ保
存容量の増加等の磁気記録特性を大幅に向上させること
ができるためであり、層構成としては、2層〜数層と、
多層化が必要となってきている。
【0003】一方、上記多層化を達成するためには例え
ば特公昭54-43362号,同58-43816号,特開昭51-119204
号,同52-51908号及び同53-16604号公報等に開示されて
いる様に、前記支持体上に一層ずつ前記塗布液を塗布・
乾燥することにより多層の前記塗布層を形成する方法が
従来行われていた。
【0004】しかしながら、この方法では、塗布、乾燥
等の工程を繰り返すため生産性が悪く、又、装置( 設
備) も大型化し設備費も高くなる。又、前記塗布層の層
間の内部界面において磁気記録要素の不整が生じる場合
もあり、好ましくないテープ変調ノイズ等が発生し易か
ったり、層間での密着が不充分になったりするだけでな
く、最も大きな要因は、このような加工工程では各層の
同じ形成工程を層数分だけ繰り返すことなどから容易に
推察できるように生産性を高めることが困難であった。
【0005】一方、写真感光材料や感熱紙等の生産にお
いて多層の塗布方法が使用されている。写真感光材料に
おける塗布液は温度調節によるゼラチンのゾルとゲルと
の変換現象を利用しているので、塗布時に最適なゾル状
態と乾燥時に好適なゲル状態とに粘度を容易に設定でき
る。また、感熱紙のように支持体が紙であると、塗布時
においては粘度が低くされていても塗布した液の水分が
紙に吸収されることにより、塗布された液の粘度が高め
られその後の塗布層の不必要な乱れが防止できる。この
ように感熱紙や写真感光材料の塗布液の如きほぼニュー
トン流体においては、その物性は静止粘度 (処方により
容易に決定出来る) により大きく左右でき、上述のよう
に粘度調整も比較的容易であるので、多層の同時塗布が
出来た。しかしながら、磁気記録媒体の磁性塗布液は、
非ニュートン流体であり、粘度が一定でなく種々の条件
によって変化するものであるために、この粘度に起因す
る液物性のコントロールは極めて困難であり、どのよう
な条件による粘度の調整を行えば上述の問題を解決でき
るのかは殆ど経験的な領域であった。このような状況下
においては、従来以上に安定した品質で且つさらに高い
生産性を得ることは極めて難しかった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】このような状況下にお
いて、一回の塗布あるいは連続塗布により多層の塗布層
を形成させる方法が提案され、実施されている。しかし
ながら、複数の磁性層を同時に重層塗布する方法として
例えば特開昭62-124631 号公報等に開示されている塗布
方法では、有機溶剤系の非磁性塗布液と磁性塗布液、も
しくは磁性塗布液同士を同時に重層塗布した場合、順次
塗布・乾燥工程を繰り返す方法に比べて低速塗布でも色
むらや縦すじが発生し易くなり、電磁変換特性或いは外
観上からも品質の低下が目立つようになり、前記塗布液
の液処方による組み合わせによっては、上層の塗布液が
均一に塗布できず二層が形成されなかったり、上層の塗
布液が下層の塗布液上に全く塗布できないといった問題
があった。この現象は塗布液量が少なくなる程(薄層塗
布になる程)顕著に生じる。また、同時重層塗布に関し
ては、例えば特開昭58-109162 号、同63-88080号公報等
に開示されている。
【0007】前記特開昭63-88080号公報に示された塗布
装置によると、各層間の液乱れが少なくなり、液物性が
かなり相違しても同時重層塗布の際の液選択の自由度範
囲を広げることができるようになってきた。しかしなが
ら、近年の磁気記録材料の高密度記録化に伴い三層以上
の重層と共に、特に上層の薄層化が例えば1.0 μm 程度
以下と極めて薄くなることにより、薄層の安定形成、例
えば塗布液のハジキ等の現象により該薄層が形成出来な
いなどの問題が生じてきた。そこで、本発明者らは、磁
気記録媒体としての記録層を薄層化を可能にする塗布方
法として、塗布時の塗布液の実質的厚みを大きくし且つ
製品としての記録層の厚みを小さくする手段としてダミ
ー層を使うことを考え出した。これは前記磁性層の下層
に非磁性層であるダミー層を使用して、実質的に該ダミ
ー層上に磁性層を乗せた状態で重層塗布する塗布方法で
ある。
【0008】しかしながら、ダミー層を使用した塗布方
法においては、新たな問題が生じてきた。すなわち、ダ
ミー層と非ダミー層はともにチキソトロピックな性質を
有しているだけでなく、両層間においてそのチキソトロ
ッピック性特有の物性の相違があることにより、ほぼ同
じような条件下においてもその液ごとの特有の物性(見
かけ粘度など)が大きく異なるために、非ダミー層を塗
設する液合流領域における液合流の速度成分により液挙
動が変化し塗布スジや塗布ムラあるいはハジキといった
状態が非常に発生し易いことが明らかになった。また一
方では、前記特開昭58-109162 号公報においては、多層
重層塗布装置としてその第6図に三層重層塗布装置が示
されている。しかし、ここに示された装置は、各ドクタ
ーエッジ面の長さ( 支持体走行支持体走行方向の長さ)
が比較的長いために、ドクターエッジ面が長すぎると液
に加わる剪断履歴により塗布液の物性が変化して液挙動
が不安定化するものと推察される。この結果、ドクター
エッジ面の長さには、塗布液並びにその塗布条件によっ
て異なるものの最適長さが存在することが経験的に知ら
れている。特に、塗布液の薄層化に伴って、支持体走行
方向のドクターエッジ面長さを小さくすることが要求さ
れる。
【0009】しかし、前記特開昭58-109162 号公報に示
したように、各スリットが平行であると、ドクターエッ
ジ面の長さを小さくしようとした場合に、スリット間に
位置する中間ブロック(スリットを構成する中間ブロッ
ク)が薄くなり、該中間ブロックが塗布時の液圧などの
外力により撓みやすくなる。このために、塗布ムラが発
生しやすくなる問題がある。そこで、このような塗布ム
ラを解消するために前記スリットを塗布ヘッド先端にむ
けて集めるように傾斜させることにより、ドクターエッ
ジ面の長さを小さくすると共に前記中間ブロックの機械
的強度を高める構造が採用されてきている。しかしなが
ら、前記スリットの傾斜角度を大きくすると、その傾向
として支持体走行方向に対して各層を形成する塗布液の
合流角度が大きくなることによって、塗布液合流部分に
おいて液挙動に重大な変化が発生し、薄層塗布ができな
くなる問題があった。また、この合流角度にくわえて、
上述のごとく前記各塗布液がチキソトロピックな物性を
有し、かつ各層が極めて薄層である等の条件が加わり、
従来の塗布方法では考えられない程の困難性があった。
したがって、従来のように前述の合流角度を単に経験的
に設定した構成の塗布ヘッドを使用した塗布方法では、
薄層重層塗布を工業的に利用価値のある生産ラインにの
せることが極めて難しい状況下にあった。
【0010】また他の問題として、塗布液を極めて薄く
塗布すると、上述のような問題があるだけでなく、特に
磁性層のように塗布後に配向処理を行う場合において
は、磁性層が乾燥する際に溶媒が蒸発する時間が極めて
短時間になり、この結果、塗布された磁性層を配向する
以前にある程度の乾燥が進んでしまって配向がし難くな
ったり、逆に配向が進みすぎて磁気特性上悪影響がでる
などといった磁性配向性が低下する問題もあった。この
ように極めて薄い塗布液の重層塗布の場合においては、
上述のように塗布ヘッドの中間ブロックの撓みに起因し
た塗布面の色ムラやハジキ等の問題、さらには重層塗布
がある程度できても、配向性の低下といった問題が残さ
れていたために、例えば前記塗布液が磁性分散液のとき
に、この種の製造方法により造られた磁気テープを例え
ばビデオテープ等に使用した際には、ビデオ特性のノイ
ズが高くなったり解像度が低下したりするといった問題
が生じる。
【0011】本発明の目的は上記したチキソトロピック
な流体における薄層の多層塗布における問題点を解決す
べく、多層同時塗布において色むらや縦すじ等の発生を
効果的に抑えることができ、かつ配向性低下を抑えるこ
とができ、良好な磁気記録媒体を高速かつ薄層で安定し
て製造することができる塗布方法及び装置を提供するこ
とにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明の上記目的は、連
続的に走行する非磁性支持体上に、微粒子を分散した非
ニユートン流体である複数の有機溶剤系の塗布液をエク
ストルージョン型の塗布ヘッドを用いて三層以上重ね合
わせるように同時重層塗布する塗布方法において、複数
のスリットからそれぞれ前記塗布液を吐出させると共
に、少なくとも最下層の前記塗布液を非磁性液とし、該
各スリットの下流側に位置するドクターエッジにて各層
を順次層設するときに、各スリットの開口部上流端から
下流側のドクターエッジに引いた接線を越えるエッジ面
がない塗布ヘッドを用い、且つ上流にて塗布された塗布
液に対して合流する下流側の塗布液の合流角度を165
°以下にて合流させて順次前記塗布液を塗布することを
特徴とする塗布方法により達成することができる。
【0013】本発明の上記同様の目的は、連続的に走行
する非磁性支持体上に、微粒子を分散した非ニユートン
流体である複数の有機溶剤系の塗布液をエクストルージ
ョン型の塗布ヘッドを用いて三層以上重ね合わせるよう
に同時重層塗布する塗布装置において、前記塗布液を別
々に吐出する各スリット下流側にそれぞれドクターエッ
ジを具備しており、前記各ドクターエッジの上流側のス
リットの開口部上流端から下流側のドクターエッジに引
いた接線とそれぞれのスリットの延びる方向の延長線と
の合流角度が165°以下に構成され、且つ隣合うスリ
ットの中心線のなす角度が10°以上に構成されたこと
を特徴とする塗布装置によって達成される。
【0014】
【実施態様】以下、添付図1〜図4に示す本発明の一実
施態様を説明する。なお、図1〜図3は有機溶剤系の塗
布液並びに磁性分散液を塗布する塗布装置を示すもので
あり、図4は本実施態様にて製造する磁気記録媒体の拡
大断面図である。先ず、塗布ヘッドの横断面の全体を示
す図1において、この塗布ヘッド1はポリエチレンテレ
フタレート等の可撓性の支持体20上に三つの塗布液2
1、22、23を同時に塗布する同時重層塗布装置であ
る。前記塗布ヘッド1は第一ブロック2、第二ブロック
3、第三ブロック4および第四ブロック5の計4つのブ
ロックによって構成されている。そして、前記各ブロッ
ク間の間隙によりスリット10、11、12が構成さ
れ、又、前記各スリットはそれぞれの液溜め6、7、8
が対応している。
【0015】この種の塗布液の粘度は一般に速度勾配依
存性があり、特に、磁性体の如き剛体棒状の微粒子では
その流動によって該粒子が配向して液の流動特性が変化
したり、さらに微粒子自体の凝集力、特に磁性体粉末に
おいてはその磁気的引力による凝集性等があるために、
高剪断の領域(ドクターエッジ面により支持体側に押圧
されている領域)においては見掛け粘度が低くなって塗
布に適した流動性を造りだすことができるが、逆にこの
状態を長く維持すると(ドクターエッジ面が長いと)、
塗布液の挙動が激しくなる。このことは、塗布液の流動
性を高めることは薄層可能な状態を造りだすことに繋が
るものの、その反面、液挙動の変化によって薄層塗布性
を疎外する要因が生じてくるものと推定される。特に重
なり合う液組成の相違に基づいた物性の相違が薄層重層
塗布においては、上記の如き液挙動の変化により塗布液
合流部分にて該塗布液の層間の混じりの発生のみなら
ず、塗布層全体の挙動の不安定化を引き起こすことにな
る。この結果、塗布ムラや最上層のハジキといった問題
が発生することになる。このようなことから、各液物性
が相違することに加えて、前記ドクターエッジ面の長さ
や合流角度が、その塗布液の挙動に極めて重大な影響を
及ぼすものであり、この点について種々検討を重ねた。
【0016】また、前記各スリット間の傾斜角度は、上
記観点とはことなった方向から考察して、ある種の限界
が存在する。すなわち、前記ドクターエッジ面のうち中
間ブロックにより構成される第一、第二ドクターエッジ
面の長さの範囲に伴った強度構造として前記相互傾斜角
度の構造がクローズアップされてきた。そこで、種々検
討を重ねた結果、前記スリット10は前記スリット11
に対する傾斜角度θ1が10°以上に構成され、また、
前記スリット12は前記スリット11に対する傾斜角度
θ2も10°以上に構成されていれば、中間ブロックで
ある第二第三ブロック3、4はその機械的強度が保た
れ、塗布に際して悪影響を及ぼすような撓みを回避する
ことができた。なお、前記塗布ヘッド1の材質はタング
ステンカーバイト等の超硬合金からなり、その幅方向の
寸法は500mm、前記スリット10の長さは80m
m,前記スリット11の長さは80mm,前記スリット
12の長さは80mmであり、又、前記各液溜め6、
7、8の断面径は15mmである。また、前記塗布ヘッ
ド1に対する前記支持体20の対面状態は、図示しない
搬送ロール間に走行自在に支持された前記支持体20に
対して、中央の前記スリット11が略直角になるように
対向させて押しつけるような状態で塗布工程を実施し
た。
【0017】また、前記塗布ヘッド1のドクターエッジ
面は、最下層を形成する第一の塗布液を塗布する第一ド
クターエッジ面13、第二の塗布液を塗布する第二ドク
タエッジ面14、第三の塗布液を塗布する第三ドクター
エッジ面15から構成されている。図2に拡大して示す
ように、前記各ドクターエッジ面13、14、15は適
宜湾曲した面に構成されており、その曲率半径R1、R
2,R3は0.5 〜10mmの範囲に設定でき、又、該エッジ
面の長さ、即ち前記支持体の走行方向の各幅α、β、γ
は0.3mm〜5mmに構成されている。このような曲
率並びに長さのドクター面により、前記各ドクターエッ
ジ面による必要以上の液押圧を回避して塗布に必要な適
当な塗布液圧を得ることができる。
【0018】又、図3に示すように、前記各スリットの
開口部上流端2a,3a,4aから下流側の各ドクター
エッジ面13、14、15に引いた接線A,B,Cとそ
れぞれの前記スリット10、11、12の中心線X,
Y,Zとの合流角度Θ1、Θ2、Θ3に関しては、種々
検討を重ねた結果、下記のような結論に達することがで
きた。前記Θ1に関しては、前記スリット10の中心線
Xと前記接線Aとの合流角度であって、該接線Aは前記
スリット10に対して前記支持体20が走行する実質的
な方向であり、一般的にほぼ90°を越えない程度にす
ることにより、従来の塗布と同様に第一の前記塗布液2
1の安定した塗着が可能である。
【0019】前記Θ2に関しては、前記スリット11の
中心線Yと前記接線Bとの合流角度であって、該接線B
は前記スリット11に対して前記支持体20上に塗布さ
れた前記塗布液21が走行する実質的な方向であり、そ
の角度Θ2は約90°〜165°程度範囲に設定すると
良いことができることが判った。この最大角度は経験上
から推測できる角度よりもかなり大きい結果となったの
は、前記スリット11から吐出される前記塗布液22の
量が従来に比べて極めて少ない(極めて薄層である)こ
とからして、塗布液の合流部における衝突エネルギーが
極端小さくなるためにこのような大きな角度でも塗布が
できるものと推定される。前記Θ3に関しては、前記ス
リット12の中心線Zと前記接線Cとの合流角度であっ
て、該接線Cは前記スリット12に対して前記支持体2
0上に塗布された第二の前記塗布液22が走行する実質
的な方向であり、その角度Θ3は約120°〜165°
程度範囲に設定すると良いことができることが判った。
この最大角度についても、上記角度Θ2の場合と同様
に、経験上から推測できる角度よりもかなり大きいの
は、前記スリット12から吐出される前記塗布液23の
量が極めて少ないために、塗布液の合流部における衝突
エネルギーが極端小さく大きな角度でも塗布ができるも
のと推定される。このようになことから、前記Θ2及び
Θ3に関しては共にほぼ165°以下であれば良好な塗
布ができる。
【0020】前記支持体20上には、微粒子を分散した
非ニユートン流体である複数の有機溶剤系の塗布液を塗
布して、例えば図4に示すように三層構造の磁気記録媒
体30を製造する。前記磁気記録媒体30は、前記支持
体20の上に前記塗布液21、22、23を順次塗布し
たものである。そして、最上層の前記塗布液23は強磁
性金属微粉末を含有した磁性層であり、高周波信号の記
録に適した層として構成でき、また、例えば磁気テープ
等の場合においては、強磁性金属微粉末の含有量を比較
的低くすることにより、テープ走行性を高める機能を持
たせることができる。前記塗布液22は前記塗布液23
に如く表面に形成する層ではないので、走行性を考慮す
ることなく、磁性体の充填度を高くして記録再生特性の
観点にのみ重点をいくことができる層としての機能を持
たせることができる。また、最下層の前記塗布液21
は、例えば酸化チタンなどで平均粒径0.05μm程度の無
機粉末を含有している。この層は、非磁性層を形成する
ものであり、上述の如く極めて薄い磁性層を形成するに
あたり、該磁性層が薄層であるが故に塗布特性や配向特
性の問題点を補うためのダミー層としての機能がある。
なお、本実施態様においては、最下層の前記塗布液21
に無機粉末等を含有させたことにより、乾燥後において
も該層は形成されているが、該層は乾燥することにより
ほとんど層形成されない組成であってもよいものであ
る。
【0021】このように、最下層の前記塗布液21はそ
の上に塗布される前記塗布液22及び前記塗布液23の
薄層塗布を可能にする所謂ダミー層として作用を有して
いるものである。これは、前述のように1.0 μm 以下と
極めて薄い磁性塗布液を塗布することができるのは、前
記支持体20の表面性がさほどよくない場合でも、前記
塗布液23が塗布されたことにより、該支持体20の表
面性を実質的に高めた効果を発揮することができる。ま
た、第二層である前記塗布液22が塗着されるときの合
流領域において、液封効果(空気巻き込みを防止する効
果)と合わせて、塗布液全体の実質的厚みを大きくする
ことにより、塗布領域における塗布液全体の挙動の安定
化を図り、さらに前記支持体20と該塗布液22との合
流衝撃の緩衝効果を生じさせることができる。又、最下
層の前記塗布液21により、前記塗布液22、23の配
向特性の低下を防止することができる。これは、前記塗
布液21により磁性塗布液である前記塗布液22、23
の実質的な固化を遅らせる効果がある。すなわち、前記
塗布液22、23は極めて薄い層であるために乾燥固化
が急激に進行するが、下層の前記塗布液21による湿潤
効果だけでなく、下層の該塗布液21は上層の層よりも
乾燥が後になることから、上層がある程度の乾燥化が進
行してもその保持基盤である下層が比較的流動性を保持
しているので、配向時の磁力により上層の磁性層内の磁
性粒子の配向に影響を与えることができる。一方、上述
のように極めて薄い磁性層においては、磁性層の流動性
が高い状態においては配向処理により配向が進みすぎる
こともあり、このようなことは磁気記録媒体の記録再生
特性上望ましくなく、その配向を適当に遅延させる必要
もある。しかし、前記塗布液21を設けることにより、
該塗布液21に配向遅延効果を持たせることができる。
以上のことから明らかなように、前記塗布液21は極め
て薄層の磁性層の配向を効果的に行うための配向制御層
としての作用を有する。
【0022】このように塗布時の流動性を良くしつつ塗
布液の挙動の安定化を図ることにより、液界面( 層界
面) の液挙動の安定を確実に保つことが出来るととも
に、薄層の磁性層でありながら配向を制御しやすくする
ことにより、塗布された後の上層の磁性層の流動性が低
下しても配向特性の低下が回避でき、また、支持体の走
行振動や乾燥風の風圧等の悪影響を受け難くすることが
できるので、色むらや縦すじ等がなく、従来では成し得
なかった塗布速度の向上も容易に達成することができ、
表面性が良い磁気記録特性の良好な多層(3層以上も含
む)の磁気記録媒体を安定して供給することができる。
【0023】
【発明の効果】以上述べたように、本発明は、連続的に
走行する非磁性支持体上に、微粒子を分散した非ニユー
トン流体である有機溶剤系の非磁性の塗布液をエクスト
ルージョン型の塗布ヘッドを用いて三層以上重ね合わせ
るように同時重層塗布する塗布方法において、薄層を形
成する塗布液を連続塗布するときに、最下層の塗布液を
ダミー層としその上に薄層を形成するようにするので、
上層が1.0 μm 以下と極めて薄い塗布液を塗布する場合
においても、前記支持体の表面性がさほどよくない場合
でも、最下層が塗布されたことにより、該支持体の表面
性を実質的に高めた効果を発揮することができ、また、
前記上層が塗着されるときの合流領域において、液封効
果と合わせて、塗布液全体の実質的厚みを大きくするこ
とにより、塗布領域における塗布液全体の挙動の安定化
を図り、さらに前記支持体と前記上層側の塗布液との合
流衝撃の緩衝効果を生じさせて従来では達し得なかった
極薄の薄層高速塗布ができるようになった。又、本発明
によれば、前記塗布液を吐出させる各スリットの開口部
上流端から下流側のドクターエッジに引いた接線を越え
るエッジ面がない塗布ヘッドを用い、且つ上流にて塗布
された塗布層に合流する下流側の塗布液の合流角度を特
定角度以下ならば良好な塗布が可能であるという、塗布
工程における塗布基準値を目安にできるので、塗布装置
の製作等において極めて好都合である。又、本発明によ
れば、上層が磁性塗布液の場合において、最下層の前記
塗布液の流動性等の作用により、該磁性塗布液の配向特
性を所望に制御することができので、前記磁性塗布液が
極めて薄い層であるために乾燥固化が急激に進行すると
きの乾燥固化の遅延、さらには、配向処理により配向が
進みすぎるときには、配向を適当に遅延させて、所望の
特性を得るべく配向処理をおこなうことが出来、高性能
の磁性記録媒体をうることができる。以下、実施例によ
り本発明の効果を明確にすることができる。
【0024】
【実施例】以下、本発明の一実施例により詳細に説明す
る。塗布液については、表1に示す組成成分をボールミ
ルに入れて十分混合分散させたのち、ポリイソシアネー
トを3重量部加えた後、酢酸ブチル40重量部加え、1
μmの平均孔径のフィルタで濾過したものを塗布液A
(中間層)とした。
【0025】
【表1】
【0026】表2に示す組成成分をボールミルに入れて
十分混合分散させたのち、ポリイソシアネートを3重量
部加えた後、酢酸ブチル40重量部加え、1μmの平均
孔径のフィルタで濾過したものを塗布液B(最上層)と
した。
【0027】
【表2】
【0028】表3に示す組成成分をボールミルに入れて
十分混合分散させたのち、ポリイソシアネートを3重量
部加えた後、酢酸ブチル40重量部加え、1μmの平均
孔径のフィルタで濾過したものを塗布液C(最下層)と
した。
【0029】
【表3】
【0030】塗布装置および塗布条件は下記に示すも条
件にて塗布を実施した。 支持体 :厚さ15μmのポリエチレンテレフタ
レート 塗布ヘッド :図1〜図3に示す塗布ヘッドを使用
し、Θ1、Θ2、Θ3及びθ1、θ2並びに各ドクター
エッジ面の長さを変化させた。 塗布速度 :200m/分 テンション :20kgf/m 塗布厚み :三層合計の乾燥厚みが3μm 塗布幅 :500mm 塗布後の乾燥条件は支持体の上方側に位置した幅5mm の
スリットより乾燥風を支持体に対して略直角に吹きつけ
て乾燥する方法であり、風速は5 〜10m/s の範囲にて塗
布速度に対応させて任意に設定した。又、乾燥温度条件
は40℃〜110 ℃の間で任意とした。
【0031】評価方法は、塗布を実施したのちに、各層
が乾燥固化する以前に従来技術による配向を行い、その
後に乾燥を行ってサンプルを作成し、このサンプルの層
形成状態を通常及び拡大した状態での目視により評価し
た。上記の基本的条件を基に、更に個々の条件を設定し
た場合の各実施例について以下説明する。
【0032】(実施例−1)各スリット間における隣合
うスリット相互の角度θ1、θ2が塗布に及ぼす影響を
調べた。実施条件は、各層の膜厚(乾燥膜厚):最下層
1.5 μm 、中間層0.8 μm 、最上層0.7 μm 、ドクター
エッジ面の刃先半径はR1が5.0mm 、R2が4.0mm 、R3が6.
0mm であり、刃先の厚み( ドクターエッジ面の長さの近
似) はαが1.0mm 、βが1.0mm 、γが2.0mm である。こ
の結果を表4に示す。このようにスリットの挟み角度θ
1、θ2の異なる組み合わせにより塗布を繰り返し行い
サンプルを作成した結果、表4に示すような結果を得る
ことができた。表から判ることは、挟み角度が略10°
以上に設定した場合には、スリットを構成しているブロ
ックの剛性が良好に維持されて、塗布面への悪影響が回
避され、良好な塗布が可能であった。
【0033】
【表4】
【0034】(実施例−2)本実施例においては、各ス
リットの合流角度Θ1、Θ2、Θ3が塗布に及ぼす影響
を調べた。実施条件は、サンプルのAグループの場合、
各層の膜厚(乾燥膜厚)が最下層1.5 μm 、中間層0.8
μm 、最上層0.7 μm 、ドクターエッジ面の刃先半径は
R1が5.0mm 、R2が4.0mm 、R3が6.0mm であり、刃先の厚
み( ドクターエッジ面の長さの近似) はαが1.0mm 、β
が1.0mm 、γが2.0mm である。またサンプルのBグルー
プの場合は、各層の膜厚(乾燥膜厚)が最下層2.4 μm
、中間層0.4 μm 、最上層0.2 μm であり、その他は
サンプルAグループと同じ条件である。またサンプルの
Cグループの場合は、各層の膜厚(乾燥膜厚)が最下層
2.0μm 、中間層0.4μm 、最上層0.7μm であ
り、その他はサンプルAグループと同じ条件である。こ
の結果を表5に示す。
【0035】
【表5】
【0036】表5から判るように、合流角度Θ2及びΘ
3は165°以下に設定した場合において、極薄層であ
っても良好な塗布が可能であった。
【0037】(実施例−4)前記実施例−1の条件にお
いて、両スリット角度θ1、2を30°としたときのサ
ンプルを使用した。比較例としては、実施例−1におい
て最下層を塗布しない条件で、他の条件は全く同じ条件
でサンプルを作成した。上記二つのサンプルについて配
向状態を顕微鏡にて観察したところ、本発明の実施例に
おいては配向状態が良好であるのに対して、ダミー層で
ある最下層を塗布しないものは配向状態が極めて悪かっ
た。これは、最上層、中間層がごく薄い層であるために
乾燥が極めて早く進行し、配向を妨げていると考えられ
る。
【0038】(実施例−5)本実施例においては、各ド
クターエッジの厚み(ドクターエッジ面の長さの近似)
α、β、γが塗布に及ぼす影響を調べた。実施条件は、
各層の膜厚(乾燥膜厚):最下層1.5μm、中間層
0.8μm、最上層0.7μm、スリットの挟み角度θ
1、2をそれぞれ30°、各スリットの合流角度Θ1を
60°、Θ2を95°、Θ3を130°とし、ドクター
エッジの刃先半径R1、R2、R3と刃先の厚みα、
β、γをそれぞれ変えて塗布を行なった。この結果を表
6に示す。
【0039】
【表6】
【0040】
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の塗布方法の一実施例の塗布工程におけ
る三層塗布を行う塗布ヘッド及び塗布状態の概略側面で
ある。
【図2】図1に示した塗布ヘッドのヘッド先端部分の拡
大図である。
【図3】図2に示した塗布ヘッドのヘッド先端部分を更
に拡大した拡大図である。
【図4】多層同時塗布により形成された層および支持体
の厚み方向の断面図である。
【符号の説明】
1 塗布ヘッド 2 第一ブロック 2a 第一スリットの開口部上流端 3 第二ブロック 3a 第二スリットの開口部上流端 4 第三ブロック 4a 第三スリットの開口部上流端 5 第四ブロック 6、7、8 液溜め 10、11、12 スリット 20 支持体 21 最下層 22 中間層 23 最上層 30 磁気記録媒体 Θ1、Θ2、Θ3 スリットの合流角度 θ1、θ2 スリット間の角度
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成4年3月11日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0025
【補正方法】変更
【補正内容】
【0025】
【表1】
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0027
【補正方法】変更
【補正内容】
【0027】
【表2】
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0029
【補正方法】変更
【補正内容】
【0029】
【表3】
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0033
【補正方法】変更
【補正内容】
【0033】
【表4】
【手続補正5】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0035
【補正方法】変更
【補正内容】
【0035】
【表5】
【手続補正6】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0039
【補正方法】変更
【補正内容】
【0039】
【表6】

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 連続的に走行する非磁性支持体上に、微
    粒子を分散した非ニユートン流体である複数の有機溶剤
    系の塗布液をエクストルージョン型の塗布ヘッドを用い
    て三層以上重ね合わせるように同時重層塗布する塗布方
    法において、複数のスリットからそれぞれ前記塗布液を
    吐出させると共に、少なくとも最下層の前記塗布液を非
    磁性液とし、該各スリットの下流側に位置するドクター
    エッジにて各層を順次層設するときに、各スリットの開
    口部上流端から下流側のドクターエッジに引いた接線を
    越えるエッジ面がない塗布ヘッドを用い、且つ上流にて
    塗布された塗布液に対して合流する下流側の塗布液の合
    流角度を165°以下にて合流させて順次前記塗布液を
    塗布することを特徴とする塗布方法。
  2. 【請求項2】 連続的に走行する非磁性支持体上に、微
    粒子を分散した非ニユートン流体である複数の有機溶剤
    系の塗布液をエクストルージョン型の塗布ヘッドを用い
    て三層以上重ね合わせるように同時重層塗布する塗布装
    置において、前記塗布液を別々に吐出する各スリット下
    流側にそれぞれドクターエッジを具備しており、前記各
    ドクターエッジの上流側のスリットの開口部上流端から
    下流側のドクターエッジに引いた接線とそれぞれのスリ
    ットの延びる方向の延長線との合流角度が165°以下
    に構成され、且つ隣合うスリットの中心線のなす角度が
    10°以上に構成されたことを特徴とする塗布装置。
  3. 【請求項3】 請求項2の塗布装置において、前記各ド
    クターエッジは前記非磁性体支持体の走行方向の幅がと
    もに0.3mm〜5mmに構成されたことを特徴とする
    塗布装置。
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