JP3585136B2 - 塗布装置及び塗布方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、1種類もしくは複数の種類の塗料を基材上に塗布して所定のストライプパターンの塗膜を形成する塗布装置及び塗布方法に関する。具体的には、液晶表示装置用カラーフィルタや積層セラミックチップコンデンサの電極パターンなど、電子部品分野で用いられるストライプパターンの塗膜を形成する塗布装置及び塗布方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
電子部品の製造にあたって、比較的柔らかい基材上に塗料(ここでは、ペイント、接着剤などを総称して、「塗布されるべき材料」という意味で使用する)をストライプ状に塗布する工程が要求される。
【0003】
例えば、液晶ディスプレイに用いられるカラーフィルタでは、基材となる透明ガラス上に、赤、青、緑からなる画素がストライプ状に設けられている。そのようなカラーフィルタの従来の製造方法としては、染色法、顔料分散法、印刷法、電着法等が知られている。しかし、いずれの方法も工程が複雑で、カラーフィルタの製造コストの低減を妨げる要因になっている。
【0004】
特開平5−11105号公報には、カラーフィルタの製造方法の一例が開示されている。それによれば、塗布されるべき塗料の色ごとに、別々のダイを用意する。それぞれのダイには複数のスリットが形成されていて、ある色(例えば赤)の塗料を複数のスリットのそれぞれから押し出して、ガラス上にストライプ状に塗布する。
【0005】
また、粘着剤などの塗料を基材へストライプ状に塗布する塗布装置は、例えば特開昭62−266157号公報に示されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
上記の特開平5−11105号公報には、ダイの構造や先端部の形状に関する特徴は明示されていない。そのため、例えば極細のストライプパターンを形成する際に、線幅のミクロンオーダでの変動をなくして各ストライプを確実に形成するために必要となるダイの好ましい構成は不明確である。
【0007】
また、特開昭62−266157号公報に開示されている塗布装置では、ノズルの先端部に複数のオリフィスを設けて、基材との間に接着剤ビードを形成させ、それによって接着剤をストライプ状に塗布する。しかし、複数のビードの大きさがお互いに均一になっていないと、形成される各ストライプの線幅が異なる。このように、上記の公報のいずれに開示されている手段によっても、塗布によって形成される各ストライプ状の塗膜の線幅を精度良く制御することが困難である。
【0008】
さらに、上記の公報のいずれに開示されている手段でも、ダイ等の塗布ヘッドから押し出された塗料は、押し出し時の圧力によって、基材と塗布ヘッドとの隙間で基材の幅方向に押し広げられる。発明者の検討によれば、例えば幅100μmのスリットが設けられたダイを用いて塗布を行う場合でも、塗料がスリットから押し出された後に基材の幅方向に押し広げられる結果、基材上に実際に形成されるストライプ状の塗膜の線幅は、典型的には110μm〜150μmの範囲に広がり、またそのばらつきも大きくなる。
【0009】
加えて、基材と塗布ヘッドとの隙間が常に一定に保たれていないと隙間における塗料圧力に変動が生じて、その結果として塗膜の線幅が変動することも発明者の検討によって判明した。
【0010】
上記のように、従来技術によって形成されたストライプ状塗膜の線幅は、数十μmオーダで変動することがある。そのような大きな線幅の変動を含む不正確なストライプパターンでは、カラーフィルタとしての使用に耐えず、製品性能にとって致命的な欠陥をもたらす可能性がある。
【0011】
また、従来技術では、塗膜の厚さを正確に制御してその変動を抑制することも、困難である。
【0012】
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、その目的は、塗料をストライプ状に塗布するにあたって、変動のない所望の線幅及び厚さを有する正確なストライプパターンの塗膜を形成できる塗布装置及び塗布方法を提供することである。
【0013】
【課題を解決するための手段】
本発明の塗布装置は、連続して走行する基材の表面にノズルから塗料を塗布して所定のパターンの塗膜を形成する塗布装置であって、該ノズルは、該基材の走行方向に関して上流側に位置していて、該走行する基材に対向する表面が所定の曲率半径を有する曲面であるフロントブロックと、該基材の走行方向に関して下流側に位置していて、該走行する基材に対向する表面がフラット面であるバックブロックと、を含んでいて、前記基材が、前記フロントブロックの前記曲面に沿って走行するようになっており、該フロントブロックは、該バックブロックの該フラット面が、該基材とは所定の間隔が形成されるように、該バックブロックよりも該基材に向けて突出していて、該バックブロックの該フラット面には該塗料を吐出する複数の吐出孔が設けられている。以上のことにより、上記目的が達成される。
【0014】
ある実施例では、前記フロントブロックの前記曲面に対して所定の間隔をあけて前記基材が走行されるようになっており、前記フロントブロックには該基材に対して第1の塗料を吐出するスリットを有していて、該スリットは前記基材の幅方向で連続しており、前記バックブロックの前記複数の吐出孔から吐出される前記塗料は、該第1の塗料の塗膜の上に塗布される第2の塗料である。
【0015】
他の実施例では、前記基材は、前記バックブロックの前記フラット面に対して±10度の角度範囲内で走行する。好ましくは、前記基材は前記バックブロックの前記フラット面と平行に走行する。
【0016】
さらに他の実施例では、前記フロントブロックの前記曲面の前記曲率半径は、3mm以上300mm以下の範囲内である。
【0017】
さらに他の実施例では、前記走行する基材と前記バックブロックの前記フラット面との間の距離は、1μm以上200μm以下の範囲内である。
【0018】
さらに他の実施例では、前記フロントブロックの前記バックブロックに近い端面から、前記複数の吐出孔のそれぞれの該フロントブロックの端面に近い端部までの距離X1が、0.005mm≦X1≦10mmの範囲内である。
【0019】
さらに他の実施例では、前記バックブロックの前記フロントブロックから遠い端面から、前記複数の吐出孔のそれぞれの該フロントブロックの端面から遠い端部までの距離X2が、0.1mm≦X2≦10mmの範囲内である。
【0020】
さらに他の実施例では、前記バックブロックはその内部に、マニホールドと、該マニホールドから前記フラット面に向けて設けられ前記基材の幅方向に連続しているスリットと、該スリットから該フラット面に貫通する複数の貫通孔と、を有していて、該複数の貫通孔の該フラット面における開口部のそれぞれが前記複数の吐出孔のそれぞれに相当する。
【0021】
さらに他の実施例では、前記バックブロックの前記フラット面に設けられた前記複数の吐出孔が、第1の塗料を吐出する第1の吐出孔と、第2の塗料を吐出する第2の吐出孔と、第3の塗料を吐出する第3の吐出孔と、を含んでいる。
【0022】
さらに他の実施例では、前記バックブロックが、複数のサブブロックを組み合わせて構成されている。
【0023】
また、本発明の塗布装置は、連続して走行する基材の表面にノズルから塗料を塗布して所定のパターンの塗膜を形成する塗布装置であって、該ノズルは、該基材の走行方向に関して上流側に位置していて、該走行する基材に対向する表面が所定の曲率半径を有する曲面であり、該曲面に該基板の幅方向連続する第1の塗料を吐出するスリットが設けられたフロントブロックと、該基材の走行方向に関して下流側に位置していて、該走行する基材に対向する表面が、該基材とは所定の間隔をあけて形成されたフラット面であり、該フラット面には第2の塗料を吐出する複数の吐出孔が設けられているバックブロックと、を含んでいて、該基材は、該フロントブロックの上方では該曲面に沿って、該基材と該曲面との間に所定の間隔を保ちながら浮上して走行し、該バックブロックの上方では、前記バックブロックの前記フラット面に対して±10度の角度範囲内で走行し、該バックブロックの該複数の吐出孔から吐出される該第2の塗料は、該第1の塗料による第1の塗膜の上に塗布されて第2の塗膜を形成する。以上のことにより、上記目的が達成される。
【0024】
好ましくは、前記基材は前記バックブロックの前記フラット面と平行に走行する。
【0025】
また、本発明の塗布装置は、連続して走行する基材の表面に塗料を塗布して所定のパターンの塗膜を形成する塗布装置であって、該装置は、該塗料を吐出する複数の吐出孔が設けられたフラット面を有するノズルと、該フラット面に平行に配置されて、該走行する基材を該フラット面に対して所定の間隔をあけて支持する第2のフラット面を有するバックアップ部材と、を備えていて、該ノズルの該フラット面の基材走行領域の長さX3及び該バックアップ部材の該第2のフラット面の基材走行領域の長さX4がX4≧X3を満たしている。以上のことにより、上記目的が達成される。
【0026】
また、本発明の塗布方法は、連続して走行する基材の表面にノズルから塗料を塗布して所定のパターンの塗膜を形成する塗布方法であって、該ノズルは、該基材の走行方向に関して上流側に位置していて、該走行する基材に対向する表面が所定の曲率半径を有する曲面であるフロントブロックと、該基材の走行方向に関して下流側に位置していて、該走行する基材に対向する表面がフラット面であるバックブロックと、を含んでいて、該フロントブロックは、該バックブロックの該フラット面が、該基材とは所定の間隔が形成されるように、該バックブロックよりも該基材に向けて突出していて、該バックブロックの該フラット面には該塗料を吐出する複数の吐出孔が設けられていて、該方法は、該基材を該フロントブロックの該曲面に沿って走行させる工程と、該基材を該バックブロックの該フラット面に対して±10度の角度範囲内で走行させる工程と、該複数の吐出孔から該塗料を吐出させ、該バックブロックのフロント面に接触させずに該基材上に該塗料を塗布する塗布工程と、を包含しており、そのことにより上記目的が達成される。
【0027】
ある実施例では、前記フロントブロックの前記曲面に該曲面とは間隔をあけて走行される基材に対して第1の塗料を吐出するスリットが設けられており、該スリットから第1の塗料を吐出して第1の塗膜を形成する工程をさらに包含し、前記塗布工程では該第1の塗膜の上に第2の塗膜を形成する。
【0028】
他の実施例では、前記基材は前記バックブロックの前記フラット面と平行に走行する。
【0029】
さらに他の実施例では、前記塗布工程は、前記バックブロックの前記フラット面に設けられた前記複数の吐出孔のうち、第1の吐出孔から第1の塗料を吐出し、第2の吐出孔から第2の塗料を吐出し、第3の吐出孔から第3の塗料を吐出し、これによって該第1〜第3の塗料の塗膜を前記基材の表面に形成する。
【0030】
また、本発明の塗布方法は、連続して走行する基材の表面にノズルから塗料を塗布して所定のパターンの塗膜を形成する塗布方法であって、該ノズルは、該基材の走行方向に関して上流側に位置していて、該走行する基材に対向する表面が所定の曲率半径を有する曲面であり、該表面に該基板の幅方向連続して第1の塗料を吐出するスリットが設けられたフロントブロックと、該基材の走行方向に関して下流側に位置していて、該走行する基材に対向する表面が、該基材とは所定の間隔をあけて形成されたフラット面であり、該フラット面には第2の塗料を吐出する複数の吐出孔が設けられているバックブロックと、を含んでいて、該方法は、該基材を該フロントブロックの該曲面に沿って、該基材と該曲面との間に所定の間隔を保ちながら浮上させて走行させながら、該フロントブロックに設けた該スリットから該第1の塗料を吐出して第1の塗膜を形成する工程と、該基材を該バックブロックの該フラット面に対して±10度の角度範囲内で走行させる工程と、該複数の吐出孔から該第2の塗料を吐出させ、該第1の塗膜の上に第2の塗膜を形成する工程と、を包含し、そのことにより上記目的が達成される。
【0031】
ある実施例では、前記基材は前記バックブロックの前記フラット面と平行に走行する。
【0032】
以下、作用について説明する。
【0033】
本発明の塗布装置では、塗料を吐出させるためのノズルが、基材の走行方向の上流側に位置するフロントブロックと、基材の走行方向の下流側に位置するバックブロックと、を含んでいる。ノズルのフロントブロックは、バックブロックに対して基材側に突出している。このようなノズルの表面に沿って基材を走行させると、基材はまず、フロントブロックの曲面に沿って走行する。それに続いて基材は、塗料の吐出孔が設けられているノズルのバックブロックの上方を走行する。これによって、吐出孔から吐出された塗料に対して、基材から面圧力がかからない。このため、複数の吐出孔からストライプ状に吐出された塗料が面圧力によって幅方向に押し広げられることがなく、吐出孔の幅方向寸法と同一の線幅を有していて幅の変動がないストライプ状の塗膜が、安定して基材表面に塗布形成される。特に、バックブロックのフラット面に対して基材を実質的に平行に、あるいは±10度以内の角度で走行させることによって、上記の作用がより顕著に得られる。
【0034】
また、フロントブロックの曲面にそって基材を走行させることによって、基材表面のシワが取り除かれて、その表面が平坦になる。このような平坦な基材表面に塗料を塗布することによって、形成されるストライプ状の塗膜の線幅や厚さを所定の値に制御できる。
【0035】
さらに、フロントブロックにもスリットを設けた構成とすることによって、フロントブロックのスリットからまず第1の塗料を吐出させて下地層となる第1の塗膜を形成し、次に、バックブロックの吐出孔から第2の塗料を吐出させて、ストライプ状の第2の塗膜を第1の塗膜の上に形成することができる。これによって、多層の塗膜を容易かつ効率的に形成することができる。また、この場合でも、ストライプ状の第2の塗膜は、吐出孔の幅方向寸法と同一の線幅を有していて幅の変動がない安定したパターンに形成される。
【0036】
さらに、フロントブロックの曲面の曲率半径、バックブロックのフラット面と走行する基材との間の距離、あるいはバックブロックのフラット面の上の吐出孔の位置を適切な範囲に設定することによって、形成されるストライプ状の塗膜の線幅の安定性がさらに向上される。
【0037】
特に、フロントブロックのバックブロックに近い端面から、複数の吐出孔のそれぞれのフロントブロックの端面に近い端部までの距離X1を、0.005mm≦X1≦10mmという関係を満たすように設定すれば、吐出された塗料がフロントブロックの端面に接触して、その部分で塗料が塗れ広がって線幅が拡大することがなくなる。同時に、フロントブロックの曲面によるシワの除去にともなう基材の平坦化効果が維持された状態で、吐出された塗料が基材の上に塗布される。これは、形成されるストライプ状の塗膜の線幅の安定性の向上に貢献する。
【0038】
また、複数の塗料に対応して複数の塗出孔を配置すれば、それぞれの塗出孔から異なった塗膜をそれぞれ吐出させて、それぞれがストライプ状の各塗膜がお互いに並んで配置された塗膜のストライプパターンを、実質的に一つの工程で形成することができる。
【0039】
一方、フロントブロックにもスリットが設けられた構成において、フロントブロックを基材に向けて突出させる代わりに、基材を、フロントブロックの上方では曲面に沿って基材と曲面との間に所定の間隔を保ちながら浮上して走行させ、バックブロックの上方ではフラット面に対して±10度の範囲内で或いは実質的に平行に走行させるような構成にすることができる。この構成では、まずフロントブロックのスリットから第1の塗料を吐出させて、下地層となる第1の塗膜を基材の表面に形成する。次に、バックブロックの吐出孔から第2の塗料を吐出させると、ストライプ状の第2の塗膜を、第1の塗膜に埋没するようなかたちで形成することができる。この場合にも、多層の塗膜を容易かつ効率的に形成することができるとともに、ストライプ状の第2の塗膜は、吐出孔の幅方向寸法と同一の線幅を有していて幅の変動がない安定したパターンに形成される。さらに、フロントブロックの曲面と基材とは直接接触しないので、それらの間の摩擦抵抗によって基材の走行速度が変動することがなく、ストライプパターンがより安定して形成される。
【0040】
さらに、ノズルのフラット面に対向する位置に、フラット面と実質的に平行になるようにバックアップ部材を配置して、走行する基材をこのバックアップ部材によって支持する構成とすれば、塗料の吐出孔が設けられているノズルのフラット面と走行する基材との間のギャップを、一定に保つことができる。これによって、孔から吐出された塗料に対して基材から面圧力が印加されることがなく、基材とフラット面との間隙を塗料が線状に流れる際に、塗料の流れに乱れが発生しない。これによって、塗料の幅が変動せず、形成される塗膜の幅の変動が抑制されて、安定したストライプパターンの塗膜が形成される。
【0041】
【発明の実施の形態】
(第1の実施形態)
図1〜8を参照して、本発明の第1の実施形態を説明する。
【0042】
図1は、本発明の第1の実施形態における塗布装置100の斜視図である。また、図2は、図1の線2’−2’における断面図である。図1及び図2で、塗布対象である基材(不図示)は矢印Dの方向に走行し、その走行にともなって基材表面に塗料が塗布される。
【0043】
塗布装置100は、フロントブロック7とバックブロック8と2つのサイドブロック5R及び5Lとから構成されるノズル1を含んでいる。図3(a)〜(d)は、各ブロック7、8、5R及び5Lの構成を示す分解斜視図である。各ブロック7、8、5R及び5Lは、互いにネジ(図示せず)で連結されている。また、一方のサイドブロック5Rには、塗料を供給する配管6が接続されている。
【0044】
フロントブロック7の先端部は、走行する基材に向けて突き出たような形状になっている。さらにその端面は、所定の曲率半径を有するR面4に加工されている。一方、バックブロック8の先端部はフラット面3に加工されている。
【0045】
図2に示すように、バックブロック8の内部は、フロントブロック7と組み合わされることによってマニホールド10が形成されるような形状に加工されている。マニホールド10の上方には、塗布幅方向Wに連続したスリット9が設けられている。さらに、スリット9の先端からフラット面3に貫通する複数の孔2が、所定の間隔で設けられている。この孔2は、塗料を吐出する吐出孔2として機能するものであり、図1に示すように、矢印Wで示す塗布幅方向に沿って、フラット面3の上に所定の間隔で配置される。
【0046】
図4は、ノズル1の先端近傍を拡大して示す斜視図である。ノズル1の上方から見た吐出孔2の形状は、図1〜図4などに示されているような長方形に限られるものではない。例えば、正方形であってもよい。あるいは、図5(a)〜(c)に例示的に示すように円形、長円形、半長円形などであってもよく、特定の形状に限定されるものではない。
【0047】
図6は、以上の構成を有する本発明の塗布装置100によって、塗料15が基材14の表面に塗布されて塗膜17が形成される様子を模式的に示す断面図である。
【0048】
具体的には、定量ポンプ等の供給手段(図示せず)によって、塗料15は、図1に示した塗料供給配管6からマニホールド10に供給される。その後、供給時の圧力によって、塗料15はマニホールド10からスリット9へ押しされ、さらに孔2から吐出されて、矢印Dで示される方向に走行している基材14の表面に塗布される。これによって、基材14の表面に、所定のストライプパターンで塗膜17が形成される。
【0049】
基材14の走行速度は、典型的には1m/min〜100m/min、さらに好ましくは5m/min〜30m/minに設定する。また、塗料15の供給量は、典型的には0.1cc/min〜10cc/min、さらに好ましくは0.5cc/min〜3cc/minに設定する。ただし、これらの値は、使用される塗料の種類やその物性値(例えば粘度や固形分率)、形成する塗膜の厚さ等に応じて、適宜最適な値に設定すればよい。
【0050】
上記の構成を有する本発明の塗布装置100では、以下の効果を得ることができる。
【0051】
第1に、吐出孔2の幅方向Wの寸法と塗布されたストライプ状の塗膜17の線幅とを、等しくすることができる。
【0052】
塗布装置100では、図6に示すように基材14は、まずフロントブロック7の先端のR面4に沿って走行した後に、ロール16によって支持されることによって、バックブロック8のフラット面3の上方を通過する。ロール16は、例えば回転ロールとすることができるが、必ずしもそれには限られない。固定されたバーであってもよい。
【0053】
このとき、ノズル1に対するロール16の位置を適切に設定することによって、基材14を、フラット面3と実質的に平行に走行させることができる。これによって、孔2から吐出された塗料15に対して基材14から面圧力が印加されず、塗料15が塗布幅方向Wに広がることが防がれる。この結果、得られる塗膜17の線幅を吐出孔2の塗布幅方向寸法と等しくすることができ、ストライプパターンにおいて所望の線幅を確実に得ることができる。
【0054】
ここで、基材14とフラット面3とは、厳密に平行である必要はない。フラット面3に対して、基材14が±10度の角度範囲内にあればよい。
【0055】
さらに、基材14とフラット面3との隙間において塗料15に圧力が印加されないようにするためには、基材14とフラット面3との距離、すなわち図2及び図6における距離Zを、1μm以上に設定することが望ましい。Zが1μmよりも小さいと、基材14とフラット面3とが実質的に同一平面上に配置されたのと同様になる。このため、孔2から吐出された塗料15に基材14からの面圧力が印加され、形成されるストライプ状の塗膜17の線幅が、孔2の幅方向寸法よりも大きくなる。
【0056】
一方、吐出された塗料15を基材14の上に確実に塗布・付着するためには、Zの値を200μm以下にすることが望ましい。
【0057】
具体的なZの値は、塗料の物性値(例えば粘度や固形分率)や形成する塗膜17の厚さ等に応じて適宜選択すればよい。好ましくは、ウェット状態の塗膜17の厚みの約2倍に設定する。例えば、最終的な厚さがドライ状態で2μmである塗膜を形成する場合には、Zの値は、典型的には約20μmに設定される。
【0058】
次に、第2の効果として、塗布装置100では、形成されるストライプ状の塗膜17の線幅や厚みを均一にすることが可能である。
【0059】
図6に示すように、基材14は、まずフロントブロック7の上面のR面4に沿って走行する。これによって、基材14の幅方向に生じているシワが伸ばされて、吐出孔2の上を走行する基材14はきわめて平坦な状態になる。
【0060】
吐出された塗料15が基材14の表面に付着するときに基材14の表面にシワが存在していると、その影響で、形成される塗膜17の幅や厚さが所望の値より変動する。これに対して、本発明の塗布装置100では、上記のようにシワの存在しない基材14の表面に塗料15が塗布されるので、孔2から吐出されたときの幅方向寸法が維持されたままでストライプ状の塗膜17が形成される。この結果、各ストライプについて、線幅の変動は無く、かつその厚みを均一とすることが可能となる。
【0061】
上記の効果をより顕著に得るためには、R面4の曲率半径Rの大きさを適切に設定することが重要である。好ましくは、曲率半径Rは3〜300mmの範囲に設定される。
【0062】
基材14をR面4に沿わせながら走行させるので、R面4の曲率半径Rが3mmよりも小さいと、テンションにより基材14がR面4に押し付けられる。そのために、R面4から基材14に与えられる面圧力が大きくなりすぎて、摩擦抵抗の影響で基材14がR面4の上を滑らかに滑らなくなり、基材14の走行速度に変動が生じる。その結果、塗料の安定した塗布が困難になる。
【0063】
一方、曲率半径が300mmよりも大きいと、基材14をR面4で支持するために必要な面圧力が不足する。その結果、基材14の幅方向に生じているシワを伸ばす効果が喪失して、上述した効果が得られなくなる。
【0064】
R面4による基材14のシワ伸ばし効果は、基材14の厚さや材料の相違にかかわらず得ることができる。特に、厚みが十数μmと薄くシワが顕著に生じ易い材料でできた基材、例えばポリエステル系フイルムなどにおいて、顕著な効果が得られる。
【0065】
吐出孔2がバックブロック8のフラット面3に設けてあることは、上述の第1及び第2の効果の双方にとって重要である。さらに、発明者の検討によれば、ミクロンオーダで均一な線幅を有する塗膜17を形成するためには、フラット面3における吐出孔2の位置の特定が特に重要である。
【0066】
具体的には、図2に示す距離X1及びX2を、以下に説明する所定の範囲内に設定することが望ましい。
【0067】
第1に、フロントブロック7の端面から吐出孔2の端部までの距離X1は、0.005mm以上で10mm以下の範囲に設定されることが好ましい。
【0068】
X1を0.005mm以上とすることで、孔2から吐出した塗料15とフロントブロック7の側面との間に、図6に示すような空間Pが形成される。これによって、孔2から吐出した塗料15がフロントブロック7の側面に付着しなくなり、孔2の幅方向寸法と形成されるストライプパターンの塗膜17の線幅とを等しくすることが可能となる。
【0069】
X1が0.005mmよりも小さいと、空間Pが形成されずに、塗料15がフロントブロック7に付着する。この結果、フロントブロック7の側面で塗料15が濡れ広がり、所望の線幅で塗膜17を形成することができなくなる。
【0070】
一方、X1が10mm以下であれば、R面4で基材14のシワを伸ばした後に、基材14が平坦のままで吐出孔2の上を通過させることができる。これによって、先に述べたように、形成されるストライプ状の塗膜17の線幅を均一にすることができる。
【0071】
しかし、X1が10mmよりも大きいと、吐出孔2に達するまでに基材14の表面に再びシワが生じてしまって、上述の効果が損なわれる。
【0072】
一方、吐出孔2の端部とバックブロック8の端部との距離X2は、0.1mm以上で10mm以下とすることが好ましい。
【0073】
X2を10mm以下とすれば、孔2から吐出されて基材14とフラット面3との隙間を流れる塗料15の流体力学的抵抗を、形成されるストライプの塗膜17のそれぞれについて均一にすることができる。それによって、各ストライプ状塗膜17の線幅を、均一にすることが可能となる。
【0074】
X2が10mmよりも大きいと流体力学的抵抗のばらつきが生じて、各ストライプの線幅にバラツキが生じる。
【0075】
一方、X2の下限値に関しては、X2は0.1mm以上にすることが望ましい。これは、X2が0.1mmよりも小さいと、エッジがシャープになってしまうために、孔2から吐出された塗料が掻き落とされてしまうことがある。
【0076】
さらに、形成されるストライプ状の塗膜17の線幅及び厚さの均一化を実現するにあたって、各ブロック7、8、5R及び5Lを組み合わせることによってノズル1が構成される本発明の塗布装置100の構成は、以下の点で効果的である。
【0077】
一つのバルク材料からノズルを形成する場合とは違って、塗布装置100では、塗布される塗料15の通過経路となるマニホールド10及びスリット9を、バックブロック8の表面の平面研削によって精度良く加工することができる。特に、スリット9の内面の平面度を数ミクロンオーダで仕上げることが可能となる。スリット9の平面度の精度が高ければ、スリット9の幅をそれだけ高精度で一定にすることができる。
【0078】
スリット9の幅が一定であれば、マニホールド10からスリット9へ押し出された塗料15がスリット9の内部を移動する際に、塗料15の内部での圧力が塗布幅方向Wで均一になる。このような圧力の均一化を整流作用と呼ぶ。この結果、複数の孔2からの塗料の吐出量が均一になり、形成される各ストライプ状の塗膜17の線幅や厚みが均一になる。
【0079】
整流効果による圧力の均一化の実現のためには、スリット9の長さ、すなわちマニホールド10から吐出孔2までの距離を10〜100mmの範囲に設定することが好ましい。具体的には、使用する塗料の材料や供給時の圧力、供給量などに応じて、最適な値に設定する。
【0080】
なお、各ブロック7、8、5R及び5Lの加工にあたっては、スリット9からの塗料15の漏れを抑制するためには、図4に示すバックブロック8とフロントブロック7との合わせ面13を平面にする必要がある。
【0081】
上記の説明では、バックブロック8は一つの部材である。あるいは、図7に示すように、バックブロック8を第1のバックブロック11及び第2のバックブロック12を組み合わせて構成しても、同様の効果を得ることができる。このとき、マニホールド10及びスリット9は、第1のバックブロック11と第2のバックブロック12との当接面に形成すればよい。図7において、図1と同じ構成要素には同じ参照番号を付しており、その説明はここでは省略する。
【0082】
各ブロック7、8、5R及び5Lの材料は、典型的にはステンレス鋼である。あるいは、ダイス鋼、ハイス鋼、超硬合金などを使用することができる。また、塗布される塗料15や塗布対象となる基材14の材料は、特定のものに限られるものではない。
【0083】
塗布装置100によって基材14の上に形成された塗膜17のパターンの具体的な一例を、図8に模式的に示す。具体的には、矢印Dで示す方向に走行する基材14の表面に、矢印Wの方向に並んで配置されたストライプ状の塗膜17を形成する。
【0084】
ここでは、フロントブロック7のR面4の曲率半径がR=30mm、図2を参照して説明した寸法がX1=1mm及びX2=2mmであり、上から見たときの形状が長方形である吐出孔2が計500個形成された塗布装置100を用いている。それぞれの吐出孔2は、塗布幅方向の寸法が200μm、基材走行方向の寸法が150μmである。基材14は、厚さ15μm、幅10mmのポリエチレンテレフタレートフイルムである。
【0085】
その結果として得られた図8に示すストライプ状の塗膜17は、平均線幅が200μmであって、各ストライプの線幅のバラツキが±2μmの範囲内である。さらに、各ストライプの平均厚さは1μmであって、厚さのバラツキは±0.02μmである。
【0086】
このように、本発明の塗布装置100によれば、線幅及び厚さの均一性が非常に高い良好なストライプ状の塗膜の形成が可能である。
【0087】
(第2の実施形態)
図9〜12を参照して、本発明の第2の実施形態における塗布装置200を説明する。
【0088】
図9は、塗布装置200の斜視図であり、図10は、図9の線10’−10’における断面図である。また、図11は、塗布装置200によって基材14の表面に塗料が塗布される様子を模式的に示す断面図である。塗布装置200において、先に説明した塗布装置100と同じ構成要素には同じ参照番号を付しており、その説明はここでは省略する。
【0089】
塗布装置200が第1の実施形態の塗布装置100から異なる点は、ノズル34に含まれるバックブロック8の構成である。具体的には、バックブロック8は、第1〜第3のバックブロック18〜20の組み合わせによって構成されている。
【0090】
図10に示されるように、第1のバックブロック18には、第1のマニホールド27、第1のスリット24及び第1の吐出孔21が形成されている。同様に、第2のバックブロック19には、第2のマニホールド28、第2のスリット25及び第2の吐出孔22が形成されていて、第3のバックブロック20には、第3のマニホールド29、第3のスリット26及び第3の吐出孔23が形成されている。上記の構成を得るための各バックブロックの加工は、塗布装置100のバックブロック8に関して説明したものと同様に行えばよい。
【0091】
第1〜第3のバックブロック18〜20の上面は同一平面に置かれて、フラット面3を構成している。このフラット面3は、塗布装置100のバックブロック8のフラット面3と同様に機能する。
【0092】
第1〜第3の吐出孔21〜23は、このフラット面3において、基材走行方向Dに3列に並べられている。さらに、各列において、吐出孔21〜23は塗布幅方向Wに等ピッチで配列されている。第1列にある第1の吐出孔21、第2列にある第2の吐出孔22、及び第3列にある第3の吐出孔23は、それぞれ異なる塗料を吐出してそれぞれの塗膜をストライプ状に形成するために使用される。そのため第1〜第3の吐出孔21〜23は、形成されるそれぞれのストライプ状の塗膜が相互に重なり合わないように配置されている。これによって、異なる3種類の塗料を、相互に重なり合うことなく且つ正確なパターンで、基材14の表面上に同時にストライプ状に塗布することができる。
【0093】
図11に示されるように、塗布装置200では、第1の塗料47は、定量ポンプ等の供給手段(図示せず)によって、第1の塗料供給配管31から第1のマニホールド27に供給される。その後、供給時の圧力によって、第1の塗料47は第1のマニホールド27から第1のスリット24へ押し出され、さらに第1の吐出孔21から吐出されて、走行している基材14の表面に塗布される。これによって、基材14の表面に、所定のストライプパターンで第1の塗膜52が形成される。
【0094】
同様に、第2の塗料48は、定量ポンプ等の供給手段によって第2の塗料供給配管32から第2のマニホールド28に供給され、さらに第2のスリット25及び第2の吐出孔22を介して基材14の表面に塗布されて、所定のストライプパターンで第2の塗膜53が形成される。同様に、第3の塗料49は、定量ポンプ等の供給手段によって第3の塗料供給配管33から第3のマニホールド29に供給され、さらに第3のスリット26及び第3の吐出孔23を介して基材14の表面に塗布されて、所定のストライプパターンで第3の塗膜54が形成される。
【0095】
このようにして、塗布装置200では、異なる種類の塗料47〜49が第1〜第3の吐出孔21〜23からそれぞれ吐出されて、基材14の上に第1〜第3の塗膜52〜54が並んで形成される。
【0096】
塗布装置200によって基材14の上に形成された第1〜第3の塗膜52〜54のパターンの具体的な一例を、図12に模式的に示す。具体的には、矢印Dで示す方向に走行する基材14の表面に、矢印Wの方向に並んで順に配置されたストライプ状の第1〜第3の塗膜52〜54を形成する。
【0097】
使用した塗布装置200では、上から見たときの形状がそれぞれ長方形である第1〜第3の吐出孔21〜23が、各500個ずつ形成されている。第1〜第3の吐出孔21〜23のそれぞれは、塗布幅方向の寸法が100μm、基材走行方向の寸法が75μmである。また、幅方向Wの配列ピッチはいずれも300μmである。基材14は、厚さ15μm、幅180mmのポリエチレンテレフタレートフイルムである。また、第1〜第3の塗料47〜49は、樹脂及び溶剤にそれぞれ赤、青、緑の顔料を分散して得られたものである。
【0098】
その結果として得られた図12に示すストライプ状の第1〜第3の塗膜52〜54は、平均線幅が100μmであって、各ストライプの線幅のバラツキが±2μmの範囲内である。さらに、各ストライプの平均厚さは1μmであって、厚さのバラツキは±0.02μmである。また、各塗膜が幅方向に相互に重なり合うことがない。
【0099】
このように、本発明の塗布装置200によれば、複数の塗料の塗膜が幅方向に重なり合うことなく正確に塗布されたストライプパターンを、各ストライプの線幅及び厚さの均一性が非常に高い状態で形成することができる。
【0100】
本実施形態を赤、青、緑の各色からなるカラーフィルタの製造に適用すると、フィルタ表面が平坦で、且つ隣り合う色の部分が相互に密着しながらも重なり合うことがない状態で、カラーフィルタを形成できる。従来のカラーフィルタの製造方法である印刷法では、得られるカラーフィルタの赤、青、緑の各画素に相当する印刷膜が、凸形の断面形状を有する。そのため、画素の中央部と端部とでは、色濃度の差が顕著に発生する。これに対して本実施形態によるカラーフィルタでは、各画素に相当する塗膜が均一な厚さで形成されるので、その中央部と両端部とでの色濃度の差がきわめて小さい。これによって、カラーフィルタの製品性能が格段に向上する。
【0101】
従来のカラーフィルタでは、得られる塗布膜の凸形の断面形状に起因する上述の問題点を克服するために、製造されたカラーフィルタの表面の平滑処理等の後工程が必要である。これに対して本実施形態で得られるカラーフィルタでは、そのような後工程は必要無い。さらに、本実施形態によれば、従来の製造方法とは違って、単一のノズルによって3色のストライプを同時に形成することができるので、設備費用の低減や製造工程の簡略化が実現できる。このように、本実施形態をカラーフィルタの製造に適用することによって、カラーフィルタのコスト削減が可能となる。
【0102】
上記の説明では、3種類の異なった塗料を塗布する装置として、本実施形態を説明している。しかし、本実施形態はそれに限られるものではない。2種類の異なった塗料あるいは4種類以上の異なった種類の塗料を基材上に塗布して各塗膜のストライプパターンを形成する目的で、上記説明における塗布装置200を改良することは当業者には容易であろう。
【0103】
本実施形態の塗布装置200でも、第1の実施形態の塗布装置100においてと同様に、Z、X1、X2及びRの値を先述の範囲内に設定することによって、同様な効果を得ることができる。
【0104】
(第3の実施形態)
図13〜16を参照して、本発明の第3の実施形態における塗布装置300を説明する。
【0105】
図13は、塗布装置300の斜視図であり、図14は、図13の線14’−14’における断面図である。また、図15は、塗布装置300によって基材14の表面に塗料が塗布される様子を模式的に示す断面図である。塗布装置300において、先に説明した塗布装置100と同じ構成要素には同じ参照番号を付しており、その説明はここでは省略する。
【0106】
塗布装置300が第1の実施形態の塗布装置100から異なる点は、フロントブロック7の構成である。
【0107】
具体的には、図14に示されるように、第1のフロントブロック35及び第2のフロントブロック36を組み合わせることによって、フロントブロック7が構成されている。さらに、第1のフロントブロック35及び第2のフロントブロック36の当接面は、組み合わせることによって第1のマニホールド38及び第1のスリット37が形成されるような形状に加工されている。
【0108】
第1のスリット37は、第1のマニホールド38の上端からフロントブロック7の上端のR面4まで貫通しており、R面4に開口している。図13に示されているように、第1のスリット37は塗布幅方向に連続しており、R面4におけるその開口部も塗布幅方向Wに連続している。さらに、第1のマニホールド38には、第1の塗料43を外部から供給するための第1の配管41が接続されている。
【0109】
一方、バックブロック8の内部は、第1の実施形態における塗布装置100と同様に、マニホールド40、スリット39、及び吐出孔2が設けられている。これらマニホールド40、スリット39、及び吐出孔2の構成や製造方法は塗布装置100と場合と同様であるので、その説明は省略する。ただし、本実施形態では、マニホールド40及びスリット39については、フロントブロック7に設けられる第1のマニホールド38及び第1のスリット37と区別するために、便宜上それぞれ第2のマニホールド40及び第2のスリット39と称する。第2のマニホールド40には、第2の塗料44を外部から供給するための第2の配管42が接続されている。
【0110】
塗布装置300を使用することによって、異なった種類の塗料を、多層に積層して基材14の表面上に塗布することができる。
【0111】
図15において、塗布装置300では、第1の塗料43は、定量ポンプ等の供給手段(図示せず)によって、第1の塗料供給管41から第1のマニホールド38に供給される。その後、供給時の圧力によって、第1の塗料43は第1のマニホールド38から第1のスリット37へ押し出されて吐出され、走行している基材14の表面に塗布される。これによって、基材14の表面に、所定のストライプパターンで第1の塗膜45が形成される。
【0112】
塗布装置300では、基材14を、フロントブロック7のR面4に直接接触しないように走行させる。第1の塗料43は、第1のスリット37から塗布幅方向Wに均一に吐出される。これにより、第1の塗膜45は、基材14のほぼ前面にわたって、幅方向Wで均一に且つ均一な厚さで形成される。
【0113】
塗布装置300では、基材14はR面4に対して、第1の塗料43によって浮上させられながら走行することになる。基材14がR面4に摺動しながら走行すると、摩擦抵抗によって基材14の走行速度が変動することがあるが、塗布装置300ではそのような原因による走行速度の変動が無いので、形成される塗膜の線幅の変動を皆無とすることが可能である。これによって、基材14の走行が滑らかになると同時に、基材14の塗布幅方向のシワを無くすことができる。
【0114】
このようにして、基材14の表面に、下層として機能する第1の塗料43を幅方向に均一に塗布した直後に、さらに第2の塗料44を上層として塗布する。第2の塗料44は、定量ポンプ等の供給手段(図示せず)によって、第2の塗料供給配管42から第2のマニホールド40に供給される。その後、供給時の圧力によって、第2の塗料44は第2のマニホールド40から第2のスリット39へ押し出され、さらに吐出孔2から吐出されて、第1の塗膜45の表面に塗布される。これによって、第1の塗膜45及び第2の塗膜46が積層されたストライプパターンが、基材14の表面に形成される。
【0115】
本実施形態を電子部品の製造、例えば積層セラミックチップコンデンサ(以下、チップコンデンサと略す)の製造に適用すれば、その製造工程を簡略化することができる。これによって、製品コストが大幅に削減される。同時に、製造されるチップコンデンサの容量を、大幅に向上することができる。
【0116】
従来のチップコンデンサの製造方法では、基材の上にまずチタン酸バリウム等からなる誘電体層を形成し、次に、その上に導電ペーストを内部電極としてパターン印刷する。その後に、得られた誘電体層と導電ペースト層との積層構造を、基材から剥離する。このようにして得られた積層構造をさらに複数枚重ね合わせることによって、チップコンデンサが製造される。
【0117】
それに対して本実施形態をチップコンデンサの製造に適用すれば、基材の上に、誘電体層と導電ペースト層とを順次ほぼ同時に塗布することができる。これにより、従来技術では二つの工程が必要であったところを一つの工程で生産でき、生産性が格段に向上する。
【0118】
さらに、従来の方法では、印刷によって導電ペースト層を所定パターンに形成して内部電極とするので、内部電極の厚さのバラツキが、厚さ1μmに対して±0.2μmと大きくなる。このため、積層数の上限は100層前後になる。それに対して本実施形態によれば、内部電極となる導電ペースト層の厚さのばらつきは、厚さ1μmに対して±0.02μmに抑えられる。この結果、積層ズレなどの問題が発生せず、200層前後まで積層することが可能になる。
【0119】
本実施形態によれば、チップコンデンサ内部における積層数をこのように増やすことができるので、大きな容量を有するチップコンデンサを製造することができる。
【0120】
塗布装置300によって基材14の上に形成された第1の塗膜45及び第2の塗膜46のパターンの具体的な一例を、図16に模式的に示す。具体的には、矢印Dで示す方向に走行する基材14の表面に、まず下地としての第1の塗膜45を形成し、その上にさらに、矢印Wの方向に並んで配置されたストライプ状の第2の塗膜46を形成する。
【0121】
ここでは、フロントブロック7のR面4の曲率半径がR=30mm、図2を参照して説明した寸法がX1=1mm及びX2=2mmであり、上から見たときの形状が長方形である吐出孔2が計50個形成された塗布装置300を用いている。それぞれの吐出孔2は、塗布幅方向の寸法が1mm、基材走行方向の寸法が200μmである。基材14は、厚さ50μm、幅120mmのポリエチレンテレフタレートフイルムである。また、第1の塗料43としてセラミックスラリを、第2の塗料44として導電性ペーストを、それぞれ塗布する。
【0122】
その結果として得られた図16に示すストライプ状の第2の塗膜46は、平均線幅が1mmであって、各ストライプの線幅のバラツキが±10μmの範囲内である。さらに、各ストライプの平均厚さは1μmであって、厚さのバラツキは±0.02μmである。
【0123】
このように、本発明の塗布装置300によれば、下層である第1の塗膜45の上に、上層としての第2の塗膜46を、線幅及び厚さの均一性が非常に高い良好なストライプパターンとして形成できる。
【0124】
本実施形態をチップコンデンサの製造に適用すると、200層程度までの多層積層構造を形成することができて、大容量のチップコンデンサを容易に製造することができる。
【0125】
本実施形態の塗布装置300でも、第1の実施形態の塗布装置100においてと同様に、Z、X1、X2及びRの値を先述の範囲内に設定することによって、同様な効果を得ることができる。ただし、本実施形態では、Zの値は図15に示されているように、第1の塗膜45の表面からバックブロック8のフラット面4までの間隔として設定される。
【0126】
(第4の実施形態)
図17及び図18を参照して、本発明の第4の実施形態における塗布装置400を説明する。
【0127】
図17は、塗布装置400の断面図である。また、図18は、塗布装置400によって基材14の表面に塗料が塗布される様子を模式的に示す断面図である。塗布装置400において、先に説明した塗布装置300と同じ構成要素には同じ参照番号を付しており、その説明はここでは省略する。
【0128】
塗布装置300に対して塗布装置400では、フロントブロック7の上面のR面4の端部と、バックブロック7の上面のフラット面3との間に、段差が設けられていない。これによって、下層である第1の塗膜45に埋没した状態で、第2の塗膜46を形成することができる。
【0129】
第2の塗膜46を所定の幅及び深さを有するように形成するには、第2の塗料44を塗布幅方向に広げず、かつ第1の塗膜45の中に所定の深さで埋没させる必要がある。そのためには、基材14と第1の塗膜45とからの面圧力を、吐出孔2から吐出した第2の塗料44に印加させないようにする必要がある。したがって、すでに述べたように、基材14をフラット面3と実質的に平行に走行させることが極めて重要である。
【0130】
本実施形態をチップコンデンサの製造に適用すれば、製造されるチップコンデンサの容量をさらに大幅に向上させることができる。すなわち、本実施形態によれば、第1の塗膜45として形成される誘電体層の表面と、第2の塗膜46としてストライプ状に形成される内部電極層の表面との間に段差が生じないため、積層数を300層前後にまで増加させることができる。これによって、製造されるチップコンデンサの容量がさらに増加する。
【0131】
塗布装置400によって基材14の上に形成された第1の塗膜45及び第2の塗膜46のパターンの具体的な一例を、図18に模式的に示す。具体的には、矢印Dで示す方向に走行する基材14の表面に、まず下地としての第1の塗膜45を形成し、そこにさらに、矢印Wの方向に並んで配置されたストライプ状の第2の塗膜46を形成する。
【0132】
ここでは、フロントブロック7のR面4の曲率半径がR=30mm、図2を参照して説明した寸法がX1=1mm及びX2=2mmであり、上から見たときの形状が長方形である吐出孔2が計50個形成された塗布装置400を用いている。それぞれの吐出孔2は、塗布幅方向の寸法が1mm、基材走行方向の寸法が200μmである。基材14は、厚さ50μm、幅120mmのポリエチレンテレフタレートフイルムである。また、第1の塗料43としてセラミックスラリを、第2の塗料44として導電性ペーストを、それぞれ塗布する。
【0133】
その結果として得られた図18に示すストライプ状の第2の塗膜46は、平均線幅が1mmであって、各ストライプの線幅のバラツキが±10μmの範囲内である。さらに、各ストライプの平均厚さは1μmであって、厚さのバラツキは±0.02μmである。
【0134】
このように、本発明の塗布装置400によれば、下層である第1の塗膜45の上に、上層としての第2の塗膜46を、線幅及び厚さの均一性が非常に高い良好なストライプパターンとして形成が可能である。
【0135】
本実施形態をチップコンデンサの製造に適用すると、300層程度までの多層積層構造を形成することができて、大容量のチップコンデンサを容易に製造することができる。
【0136】
(第5の実施形態)
図19及び図20を参照して、本発明の第5の実施形態における塗布装置500を説明する。
【0137】
図19は、塗布装置500の斜視図である。また、図20は、塗布装置500によって基材14の表面に塗料が塗布される様子を模式的に示す断面図である。塗布装置500において、第2の実施形態に関連して説明した塗布装置200に対応して同様な機能を発揮する構成要素には、同じ参照番号を付している。なお、塗布装置200と500とでは基材14の走行方向がお互いに逆向きになるように描かれているが、本発明の特徴に本質的な影響をもたらすものではない。
【0138】
本実施形態の塗布装置500に含まれるノズル80は、中央ブロック81と2つのサイドブロック5R及び5Lとから構成されている。各ブロック81、5R及び5Lは、互いにネジ(図示せず)で連結されている。また、一方のサイドブロック5Rには、塗料を供給する配管31〜33が接続されている。
【0139】
中央ブロック81の先端部は基材側に突き出た形状になっており、さらにその上面はフラット面50に加工されている。フラット面50は、図20に示す基材走行方向Dに沿った寸法X3の範囲内でミクロンオーダの平面度を有するように、加工される。
【0140】
さらに、中央ブロック81の内部には、第1〜第3のマニホールド27〜29が形成されている。それぞれのマニホールド27〜29の上方には、塗布幅方向Wに連続した第1〜第3のスリット24〜26が設けられている。さらに、それぞれのスリット24〜26の先端から、フラット面50に貫通する第1〜第3の孔21〜23が、所定の間隔でそれぞれ複数個ずつ設けられている。これら第1〜第3の孔21〜23は塗料を吐出する吐出孔として機能するものであり、図19に示すように、矢印Wで示す塗布幅方向に沿って、フラット面50の上に所定のパターンで開口される。
【0141】
具体的には、第1〜第3の吐出孔21〜23は、フラット面50において、基材走行方向Dに3列に並べられている。さらに、各列において、吐出孔21〜23は塗布幅方向Wに等ピッチで配列されている。第1列にある第1の吐出孔21、第2列にある第2の吐出孔22、及び第3列にある第3の吐出孔23は、それぞれ異なる塗料を吐出してそれぞれの塗膜をストライプ状に形成するために使用される。そのため第1〜第3の吐出孔21〜23は、形成されるそれぞれのストライプ状の塗膜が相互に重なり合わないように配置されている。これによって、異なる3種類の塗料を、相互に重なり合うことなく且つ正確なパターンで、基材14の表面上に同時にストライプ状に塗布することができる。
【0142】
塗布装置500では、第1の塗料47は、定量ポンプ等の供給手段(図示せず)によって、第1の塗料供給配管31から第1のマニホールド27に供給される。その後、供給時の圧力によって、第1の塗料47は第1のマニホールド27から第1のスリット24へ押し出され、さらに第1の吐出孔21から吐出されて、走行している基材14の表面に塗布される。これによって、基材14の表面に、所定のストライプパターンで第1の塗膜52が形成される。
【0143】
同様に、第2の塗料48は、定量ポンプ等の供給手段によって第2の塗料供給配管32から第2のマニホールド28に供給され、さらに第2のスリット25及び第2の吐出孔22を介して基材14の表面に塗布されて、所定のストライプパターンで第2の塗膜が形成される。同様に、第3の塗料49は、定量ポンプ等の供給手段によって第3の塗料供給配管33から第3のマニホールド29に供給され、さらに第3のスリット26及び第3の吐出孔23を介して基材14の表面に塗布されて、所定のストライプパターンで第3の塗膜が形成される。
【0144】
このようにして、塗布装置500では、異なる種類の塗料47〜49が第1〜第3の吐出孔21〜23からそれぞれ吐出されて、基材14の上に第1〜第3の塗膜が並んで形成される。
【0145】
さらに、塗布装置500では、ノズル80の先端のフラット面50に対向する位置にバックアップ板51を配置する。バックアップ板51は、ノズル80のフラット面50に対向している面51aに沿って、基材14を走行させるためのものである。図20に示す基材走行方向Dの寸法X4の範囲(この範囲を、「バックアップ板51の基材走行領域」と称する)では、バックアップ板51の表面51aは、ミクロンオーダの平面度を有するフラット面51bに加工されている。一方、そのフラット面51bの両端では、基材を支持しながら走行させられるように、適切な曲率半径を有する曲面51c及び51dが形成されている。
【0146】
ノズル80のフラット面50とバックアップ板51のフラット面51bとは、お互いに実質的に平行に配置される。また、中央ブロック81の基材走行方向Dに沿った幅X3(「フラット面50の基材走行領域」とも称する)を、X4≧X3という関係式が満たされるように設定する。このとき、基材14とフラット面50との間のギャップGは、ウェット状態にある塗膜の厚さの約2倍になるように設定する。
【0147】
以上の構成を有する塗布装置500では、バックアップ板51の表面51aによって支持されながら走行する基材14の表面に、第1〜第3の吐出孔21〜23から吐出された3種類の塗料がストライプ状に塗布される。その際に、基材14はバックアップ板51によって支持されているので、中央ブロック81のフラット面50と基材14との間のギャップGを一定に保つことができる。そのため、基材14とフラット面50の隙間を塗料が線状に流れる際に、乱れが発生しない。これによって、ストライプ状の塗膜を安定して形成することができる。
【0148】
塗布装置500は、液晶表示装置用のカラーフィルタの製造に適用することができる。例えば、上から見たときの形状がそれぞれ長方形である第1〜第3の吐出孔21〜23が各500個ずつ形成されている塗布装置500を使用して、カラーフィルタを製造することができる。このとき、第1〜第3の吐出孔21〜23のそれぞれは、塗布幅方向の寸法を100μm、基材走行方向の寸法を75μmとすればよい。また、幅方向Wの配列ピッチはいずれも300μmとする。基材14は、典型的には、厚さ15μm、幅180mmのポリエチレンテレフタレートフイルムである。また、第1〜第3の塗料47〜49は、典型的には、樹脂及び溶剤にそれぞれ赤、青、緑の顔料を分散したものが使用される。
【0149】
その結果、ストライプ状の各塗膜の平均線幅が100μmであって、各ストライプの線幅のバラツキが±2μmの範囲内であるパターンを形成することができる。さらに、各ストライプの平均厚さは1μmであって、厚さのバラツキは±0.02μmである。また、各塗膜が幅方向に相互に重なり合うことがない。
【0150】
このように、本実施形態の塗布装置500によれば、複数の塗料の塗膜が幅方向に重なり合うことなく正確に塗布されたストライプパターンを、各ストライプの線幅及び厚さの均一性が非常に高い状態で形成することができる。
【0151】
本実施形態を赤、青、緑の各色からなるカラーフィルタの製造に適用すると、フィルタ表面が平坦で、且つ隣り合う色の部分が相互に密着しながらも重なり合うことがない状態で、カラーフィルタを形成できる。従来のカラーフィルタの製造方法である印刷法では、得られるカラーフィルタの赤、青、緑の各画素に相当する印刷膜が、凸形の断面形状を有する。そのため、画素の中央部と端部とでは、色濃度の差が顕著に発生する。これに対して本実施形態によるカラーフィルタでは、各画素に相当する塗膜が均一な厚さで形成されるので、その中央部と両端部とでの色濃度の差がきわめて小さい。これによって、カラーフィルタの製品性能が格段に向上する。
【0152】
従来のカラーフィルタでは、得られる塗布膜の断面形状に起因する上述の問題点を克服するために、製造されたカラーフィルタの表面の平滑処理等の後工程が必要である。これに対して本実施形態で得られるカラーフィルタでは、そのような後工程は必要無い。さらに、本実施形態によれば、従来の製造方法とは違って、単一のノズルによって3色のストライプを同時に形成することができるので、設備費用の低減や製造工程の簡略化が実現できる。このように、本実施形態をカラーフィルタの製造に適用することによって、カラーフィルタのコスト削減が可能となる。
【0153】
上記の説明では、3種類の異なった塗料を塗布する装置として、本実施形態を説明している。しかし、本実施形態はそれに限られるものではない。2種類の異なった塗料あるいは4種類以上の異なった種類の塗料を基材上に塗布して各塗膜のストライプパターンを形成する目的で、上記説明における塗布装置500を改良することは当業者には容易であろう。
【0154】
また、以上の第5の実施形態の説明では、中央ブロック81と2つのサイドブロック5R及び5Lとによって、ノズル80が構成されている。あるいは、第2の実施形態における塗布装置200のバックブロック8を第1〜第3のバックブロック18〜20の組み合わせによって構成したように、中央ブロック81を複数のブロックの組み合わせによって構成してもよい。その場合には、これまでの実施形態の場合と同様に、中央ブロック81の内部のマニホールドやスリットを平面研削によって精度良く形成することができる。
【0155】
【発明の効果】
以上のように、本発明の塗布装置及び塗布方法によれば、所望の幅を有するストライプ状の塗膜のパターンを、正確に形成することができる。また、線幅の変動も抑制される。さらに、塗膜の厚さも、所定の値に制御良く設定することができる。
【0156】
従って、例えば液晶表示装置用カラーフィルタの形成や積層セラミックチップコンデンサの電極パターンの形成など、電子部品に関係するパターン形成などにおいて、製品性能及び品質の向上、ならびに製品コストの大幅な低減が実現される。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施形態における塗布装置の斜視図である。
【図2】図1の線2’−2’における断面図である。
【図3】図1の塗布装置のノズルを構成する各ブロックの斜視図であって、(a)は一方のサイドブロック、(b)はバックブロック、(c)はフロントブロック、ならびに(d)はもう一方のサイドブロックを示す。
【図4】図1の塗布装置のノズル先端近傍の拡大斜視図である。
【図5】(a)〜(c)は、本発明の塗布装置における吐出孔の形状の変形例をそれぞれ示す図である。
【図6】図1の塗布装置による塗膜の形成を模式的に示す断面図である。
【図7】図1の塗布装置のノズルのある変形例の断面図である。
【図8】図1の塗布装置により形成されたストライプ状の塗膜を模式的に示す図である。
【図9】本発明の第2の実施形態における塗布装置の斜視図である。
【図10】図9の線10’−10’における断面図である。
【図11】図9の塗布装置による塗膜の形成を模式的に示す断面図である。
【図12】図9の塗布装置により形成されたストライプ状の塗膜を模式的に示す図である。
【図13】本発明の第3の実施形態における塗布装置の斜視図である。
【図14】図13の線14’−14’における断面図である。
【図15】図13の塗布装置による塗膜の形成を模式的に示す断面図である。
【図16】図13の塗布装置により形成されたストライプ状の塗膜を模式的に示す図である。
【図17】本発明の第4の実施形態における塗布装置の断面図であり、同装置による塗膜の形成を模式的に示す。
【図18】図17の塗布装置により形成されたストライプ状の塗膜を模式的に示す図である。
【図19】本発明の第5の実施形態における塗布装置の斜視図である。
【図20】図19の線20’−20’における断面図である。
【符号の説明】
1、34、80 ノズル
2 吐出孔
3 フラット面
4 R面
5R、5L サイドブロック
6 塗料供給配管
7 フロントブロック
8 バックブロック
9 スリット
10 マニホールド
13 合わせ面
14 基材
15 塗料
16 ロール
17 塗膜
18、11 第1のバックブロック
19、12 第2のバックブロック
20 第3のバックブロック
21 第1の吐出孔
22 第2の吐出孔
23 第3の吐出孔
24、37 第1のスリット
25、39 第2のスリット
26 第3のスリット
27、38 第1のマニホールド
28、40 第2のマニホールド
29 第3のマニホールド
31、41 第1の塗料供給配管
32、42 第2の塗料供給配管
33 第3の塗料供給配管
35 第1のフロントブロック
36 第2のフロントブロック
47、43 第1の塗料
48、44 第2の塗料
49 第3の塗料
50 フラット面
51 バックアップ板
52、45 第1の塗膜
53、46 第2の塗膜
54 第3の塗膜
81 中央ブロック
100、200、300、400、500 塗布装置

Claims (20)

  1. 連続して走行する基材の表面にノズルから塗料を塗布して所定のパターンの塗膜を形成する塗布装置であって、該ノズルは、
    該基材の走行方向に関して上流側に位置していて、該走行する基材に対向する表面が所定の曲率半径を有する曲面であるフロントブロックと、
    該基材の走行方向に関して下流側に位置していて、該走行する基材に対向する表面がフラット面であるバックブロックと、
    を含んでいて、
    前記基材が、前記フロントブロックの前記曲面に沿って走行するようになっており、該フロントブロックは、該バックブロックの該フラット面が、該基材とは所定の間隔が形成されるように、該バックブロックよりも該基材に向けて突出していて、該バックブロックの該フラット面には該塗料を吐出する複数の吐出孔が設けられている塗布装置。
  2. 前記フロントブロックの前記曲面に対して所定の間隔をあけて前記基材が走行されるようになっており、前記フロントブロックには該基材に対して第1の塗料を吐出するスリットを有していて、該スリットは前記基材の幅方向で連続しており、
    前記バックブロックの前記複数の吐出孔から吐出される前記塗料は、該第1の塗料の塗膜の上に塗布される第2の塗料である請求項1の塗布装置。
  3. 前記基材は、前記バックブロックの前記フラット面に対して±10度の角度範囲内で走行する請求項1に記載の塗布装置。
  4. 前記基材は前記バックブロックの前記フラット面と平行に走行する請求項3に記載の塗布装置。
  5. 前記フロントブロックの前記曲面の前記曲率半径は、3mm以上300mm以下の範囲内である請求項1に記載の塗布装置。
  6. 前記走行する基材と前記バックブロックの前記フラット面との間の距離は、1μm以上200μm以下の範囲内である請求項1に記載の塗布装置。
  7. 前記フロントブロックの前記バックブロックに近い端面から、前記複数の吐出孔のそれぞれの該フロントブロックの端面に近い端部までの距離X1が、0.005mm≦X1≦10mmの範囲内である請求項1に記載の塗布装置。
  8. 前記バックブロックの前記フロントブロックから遠い端面から、前記複数の吐出孔のそれぞれの該フロントブロックの端面から遠い端部までの距離X2が、0.1mm≦X2≦10mmの範囲内である請求項1に記載の塗布装置。
  9. 前記バックブロックはその内部に、マニホールドと、該マニホールドから前記フラット面に向けて設けられ前記基材の幅方向に連続しているスリットと、該スリットから該フラット面に貫通する複数の貫通孔と、を有していて、該複数の貫通孔の該フラット面における開口部のそれぞれが前記複数の吐出孔のそれぞれに相当する請求項1に記載の塗布装置。
  10. 前記バックブロックの前記フラット面に設けられた前記複数の吐出孔が、第1の塗料を吐出する第1の吐出孔と、第2の塗料を吐出する第2の吐出孔と、第3の塗料を吐出する第3の吐出孔と、を含んでいる請求項1に記載の塗布装置。
  11. 前記バックブロックが、複数のサブブロックを組み合わせて構成されている請求項1に記載の塗布装置。
  12. 連続して走行する基材の表面にノズルから塗料を塗布して所定のパターンの塗膜を形成する塗布装置であって、該ノズルは、
    該基材の走行方向に関して上流側に位置していて、該走行する基材に対向する表面が所定の曲率半径を有する曲面であり、該曲面に該基板の幅方向連続する第1の塗料を吐出するスリットが設けられたフロントブロックと、
    該基材の走行方向に関して下流側に位置していて、該走行する基材に対向する表面が、該基材とは所定の間隔をあけて形成されたフラット面であり、該フラット面には第2の塗料を吐出する複数の吐出孔が設けられているバックブロックと、
    を含んでいて、
    該基材は、該フロントブロックの上方では該曲面に沿って、該基材と該曲面との間に所定の間隔を保ちながら浮上して走行し、該バックブロックの上方では、前記バックブロックの前記フラット面に対して±10度の角度範囲内で走行し、
    該バックブロックの該複数の吐出孔から吐出される該第2の塗料は、該第1の塗料による第1の塗膜の上に塗布されて第2の塗膜を形成する塗布装置。
  13. 前記基材は前記バックブロックの前記フラット面と平行に走行する請求項12に記載の塗布装置。
  14. 連続して走行する基材の表面に塗料を塗布して所定のパターンの塗膜を形成する塗布装置であって、該装置は、
    該塗料を吐出する複数の吐出孔が設けられたフラット面を有するノズルと、
    該フラット面に平行に配置されて、該走行する基材を該フラット面に対して所定の間隔をあけて支持する第2のフラット面を有するバックアップ部材と、
    を備えていて、
    該ノズルの該フラット面の基材走行領域の長さX3及び該バックアップ部材の該第2のフラット面の基材走行領域の長さX4がX4≧X3を満たす塗布装置。
  15. 連続して走行する基材の表面にノズルから塗料を塗布して所定のパターンの塗膜を形成する塗布方法であって、
    該ノズルは、該基材の走行方向に関して上流側に位置していて、該走行する基材に対向する表面が所定の曲率半径を有する曲面であるフロントブロックと、該基材の走行方向に関して下流側に位置していて、該走行する基材に対向する表面がフラット面であるバックブロックと、を含んでいて、
    該フロントブロックは、該バックブロックの該フラット面が、該基材とは所定の間隔が形成されるように、該バックブロックよりも該基材に向けて突出していて、該バックブロックの該フラット面には該塗料を吐出する複数の吐出孔が設けられていて、
    該方法は、
    該基材を該フロントブロックの該曲面に沿って走行させる工程と、
    該基材を該バックブロックの該フラット面に対して±10度の角度範囲内で走行させる工程と、
    該複数の吐出孔から該塗料を吐出させ、該バックブロックのフロント面に接触させずに該基材上に該塗料を塗布する塗布工程と、
    を包含する塗布方法。
  16. 前記フロントブロックの前記曲面に該曲面とは間隔をあけて走行される基材に対して第1の塗料を吐出するスリットが設けられており、該スリットから第1の塗料を吐出して第1の塗膜を形成する工程をさらに包含し、
    前記塗布工程では該第1の塗膜の上に第2の塗膜を形成する請求項15に記載の塗布方法。
  17. 前記基材は前記バックブロックの前記フラット面と平行に走行する請求項15に記載の塗布方法。
  18. 前記塗布工程は、前記バックブロックの前記フラット面に設けられた前記複数の吐出孔のうち、第1の吐出孔から第1の塗料を吐出し、第2の吐出孔から第2の塗料を吐出し、第3の吐出孔から第3の塗料を吐出し、これによって該第1〜第3の塗料の塗膜を前記基材の表面に形成する請求項15に記載の塗布方法。
  19. 連続して走行する基材の表面にノズルから塗料を塗布して所定のパターンの塗膜を形成する塗布方法であって、
    該ノズルは、該基材の走行方向に関して上流側に位置していて、該走行する基材に対向する表面が所定の曲率半径を有する曲面であり、該表面に該基板の幅方向連続して第1の塗料を吐出するスリットが設けられたフロントブロックと、該基材の走行方向に関して下流側に位置していて、該走行する基材に対向する表面が、該基材とは所定の間隔をあけて形成されたフラット面であり、該フラット面には第2の塗料を吐出する複数の吐出孔が設けられているバックブロックと、を含んでいて、
    該方法は、
    該基材を該フロントブロックの該曲面に沿って、該基材と該曲面との間に所定の間隔を保ちながら浮上させて走行させながら、該フロントブロックに設けた該スリットから該第1の塗料を吐出して第1の塗膜を形成する工程と、
    該基材を該バックブロックの該フラット面に対して±10度の角度範囲内で走行させる工程と、
    該複数の吐出孔から該第2の塗料を吐出させ、該第1の塗膜の上に第2の塗膜を形成する工程と、
    を包含する塗布方法。
  20. 前記基材は前記バックブロックの前記フラット面と平行に走行する請求項19に記載の塗布方法。
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