JPH0521046B2 - - Google Patents

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JPH0521046B2
JPH0521046B2 JP20012885A JP20012885A JPH0521046B2 JP H0521046 B2 JPH0521046 B2 JP H0521046B2 JP 20012885 A JP20012885 A JP 20012885A JP 20012885 A JP20012885 A JP 20012885A JP H0521046 B2 JPH0521046 B2 JP H0521046B2
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mold
sleeve
thickness
heat capacity
quotient
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JP20012885A
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Shigeru Yamaguchi
Osamu Nozawa
Satoshi Bando
Koji Arakawa
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Kuraray Co Ltd
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Kuraray Co Ltd
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Publication of JPH0521046B2 publication Critical patent/JPH0521046B2/ja
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  • Moulds For Moulding Plastics Or The Like (AREA)
  • Casting Or Compression Moulding Of Plastics Or The Like (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
(産業上の利用分野) 本発明はプラスチツクス製品の注型成形方法に
関する。近年充填材を含有したメチルメタクリレ
ート(以下メチルメタクリレートをMMAと略記
する。)を主成分とする重合性単量体あるいは不
飽和ポリエステル樹脂(以下不飽和ポリエステル
樹脂をUPと略記する。)の成形品は人造大理石製
品としての用途を拡大しつつある。人造大理石製
品にはカウンタ−トツプ、流し台、洗面化粧台な
どのように平板状の基板に袖を有する形状のもの
が多い。本発明はMMAを主成分とする重合性単
量体あるいはUPを鋳型内で重合硬化させて、平
板状の基板に袖を有する形状の注型成形品を製造
する方法に関する。 (従来の技術) プラスチツクス製品の注型成形は、他の成形方
法に比べて大がかりな装置を必要とせず操作も簡
単であるために、広く行なわれている。注型成形
は製品形状からふたつに大別することができる。
ひとつはアクリルシートのキヤスト成形のよう
に、単純な平板を注型成形するものであり、他の
ひとつは複雑な形状のものの注型成形で、一般に
異形注型と呼ばれるものである。このような異形
注型の中でも特に、流し台や浴槽、袖を有する天
板などのように、平板状の基板からなりその周囲
の一部または全部に袖を有する注型成形品は、需
要が多く工業的に重要である。しかしこのような
ものを平板と同じように注型成形すると、袖およ
びその近辺に不均一な表面を呈するいわゆる“ひ
け”の現象が発生する。ひけは、注型成形品が重
合硬化の途中で鋳型表面から離型して鋳型表面の
転写が不充分であるので、そうでない部分と表面
性が異なつて光沢などの外観が不均一な欠陥とな
るものである。ひけを惹起する重合硬化途中の離
型は、重合収縮によつて生じるもので、重合収縮
率の大きいMMAを主成分とする重合性単量体や
UPの注型成形で発生し易く、重合収縮率が特に
大きいMMAを主成分とする重合性単量体の場合
に顕著で問題となつている。このようなひけを防
止する方法はいろいろと提案されており、平板な
どの単純な形状の場合は、例えば2枚のガラス板
の間に柔らかいガスケツトをはさみ込んだような
鋳型を用い、重合収縮に応じてガラス板が注型品
との接着力で、柔らかいガスケツトを押しつぶし
ながら互に接近して、重合収縮を吸収することで
行なつている。しかし前記の平板状の基板に袖を
有するような複雑な形状の注型成形品の場合は、
袖およびその近辺に発生するひけを防止すること
が難しく種々の工夫がなされている。その主なも
のとしては、鋳型のパーテイングラインにピス
トンとシリンダーの関係のような嵌合機構を設け
た特殊な鋳型を用いて硬化収縮を補償する方法
(Modern Plastics International、1979年(11
月)、20頁に記載)やひけを非使用面のみに集
中して使用面を活かす目的で、鋳型の使用面を構
成する部分のみを加熱して非使用面より早く硬化
させる方法(PLASTICS DESIGN&
PROCESSI NG、第15巻、1975年(11月)、19〜
21頁に記載)、非使用面を構成する鋳型の全面
に離型フイルムを貼つて常圧下または加圧下に硬
化させる方法(特開昭51−5383号明細書および特
開昭59−232813号明細書に記載)などをあげるこ
とができる。 (発明が解決しようとする問題点) しかしは嵌合機構を備えた特殊鋳型を必要と
すること、および鋳型の1方向の移動のみでは移
動方向に平行な面のひけを防止できないこと、
は片面のみを加熱する特殊な装置が必要なこと、
は加圧装置と加圧に耐える強固な鋳型を必要と
し、また、鋳型の片面全面にフイルムを貼る操作
は、複雑な形状の鋳型では繁雑で困難であるこ
と、などの欠点を有している。さらにこれらの方
法を用いてもひけを防止できない場合もあるので
ある。 本発明者らはこのような嵌合機構を備えた特殊
な鋳型や装置を必要とせず、簡単で安価な注型用
鋳型を用い、繁雑な作業を行なわなくても、平板
状の基板からなりその周囲の一部または全部に袖
を有する注型成形品のひけを確実に防止する方法
について検討し、前に袖部におけるMMAを主成
分とする重合性単量体またはUPの重合硬化を、
基板部における重合硬化よりも遅延させることに
より、ひけのない注型成形品が得られることを見
出し特許出願した。しかしそこでは袖部の重合硬
化を遅延させるために、袖部のみ注型原料の注入
時期を遅らせたり、袖部のみ重合開始剤の種類や
量を変えたりあるいは袖部のみ温度を変えたりし
なければならず、操作が繁雑になるという欠点が
あつた。 (問題点を解決するための手段) 本発明者らは、繁雑な操作を必要とせずに袖部
の重合硬化を遅延させる方法について鋭意検討
し、本発明をなすに至つた。すなわちMMAを主
成分とする重合性単量体またはUPを鋳型内で重
合硬化させて、平板状の基板からなりその周囲の
一部または全部に袖を有する注型成形品を製造す
るにあたり、鋳型の袖部の単位面積あたりの熱容
量が鋳型の基板部の単位面積あたりの熱容量より
大きいか、または鋳型の基板部における熱伝導率
を厚さで割つた商が鋳型の袖部における熱伝導率
を厚さで割つた商より大きいかの、少なくともい
ずれか一方の熱的性質を満足する鋳型を用いるこ
とにより、ひけのない注型成形品が得られること
を見出したのである。 本発明でいうMMAを主成分とする重合性単量
体とは、MMA単独あるいはその50重量%未満を
他の重合性単量体で置換したものとして定義され
る。他の重合性単量体の例としてはアクリル酸、
メタクリル酸、炭素数1〜18個の1価のアルコー
ルとアクリル酸とのエステル、炭素数2〜18個の
1価のアルコールとメタクリル酸とのエステル、
アクリロニトリルやメタクリロニトリルなどのオ
レフイン系ニトリル、スチレンやα−メチルスチ
レンなどの芳香族オレフイン、酢酸ビニルや安息
香酸ビニルなどのビニルエステル、アクリルアミ
ドやメタクリルアミドなどのビニルアミドのよう
な一官能性単量体およびエチレングリコールジ
(メタ)アクリレートやポリエチレングリコール
ジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコ
ールジ(メタ)アクリレート、1,3−ブチレン
グリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチ
ルグリコールジ(メタ)アクリレート、1,6−
ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、トリ
メチロールエタントリ(メタ)アクリレート、ト
リメチロールプロパントリ(メタ)アクリレー
ト、テトラメチロールメタンテトラ(メタ)アク
リレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)ア
クリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メ
タ)アクリレート、ジビニルベンゼンのような多
官能性単量体をあげることができるが、これらに
限定されるものではない。これらMMA以外の重
合性単量体は2種以上混合して用いられていても
差し支えない。なおMMAを主成分とする重合性
単量体は、その一部をそれに可溶なポリマーで置
換してあつてもかまわない。すなわちMMAを主
成分とする重合性単量体にポリマーが溶解したシ
ラツプであつても差し支えないのである。そのよ
うなシラツプはMMAを主成分とする重合性単量
体にポリマーを溶解したり、あるいはMMAを主
成分とする重合性単量体を部分重合して作ること
ができる。 本発明でいうUPとは、一般的に言われている
ように無水マレイン酸やマレイン酸、フマル酸な
どの不飽和ジカルボン酸を含むカルボン酸成分が
ジオールやトリオールなどのアルコール成分と反
応した形の不飽和アルキツドをスチレンやMMA
などの架橋モノマーに溶解したもので、特に制限
はなく普通の市販品を使うことができる。 本発明のMMAを主成分とする重合性単量体お
よびUPは、充填材を含むことも可能である。充
填材を含有した注型成形品は、充填材を含まない
ものに比べ大理石調の美しい外観を有し、また非
使用面のひけなどの欠陥が透けて見えることがな
いなどの利点を有している。充填材の充填率につ
いては特に制限はないが、通常MMAを主成分と
する重合性単量体またはUPと充填材との混合物
の総量を基準にして10〜85重量%の範囲である。
充填率が10重量%未満であると充填効果が乏し
く、85重量%を越えるとスラリーの流動性が失わ
れて注型作業が困難になる。充填材の材質には特
に制限はないが、屈折率がそれを充填した重合硬
化樹脂の屈折率に近いものが、注型成形品が半透
明性を有して高級感を与えるので好ましい。充填
材の例としては一般に充填材として使用されてい
る水酸化アルミニウム、酸化アルミニウム、炭酸
カルシウム、珪酸カルシウム、アルミン酸カルシ
ウム、硫酸カルシウム、水酸化マグネシウム、シ
リカ、雲母、タルク、クレー、ヒドロキシアパタ
イト、木材などの粉末をあげることができるが、
これらに限定されるものではない。また充填材は
2種以上併用されていてもかまわない。充填材の
他に本発明のMMAを主成分とする重合性単量体
およびUPには必要に応じて、染顔料、補強材、
改質剤、安定剤、離型剤、重合開始剤、重合促進
剤、重合調節剤などを加えることも可能である。 本発明の注型成形品は、平板状の基板らなりそ
の周囲の一部または全部に袖を有するものであ
る。ここで言う袖とは基板の一部を非使用面側に
折り曲げたような構造の部分をいうのである。折
り曲げ角度については特に制限はないが通常30〜
120度であつて、90度近辺が最も普通である。折
り曲げ部の曲率半径については特に制限はない
が、製品の使い易さという点から使用面、非使用
面共に0〜30mmが適当である。またこの袖は必ず
しも平面である必要はなく曲面であつてもかまわ
ない。従つて平板状の基板の端部が一定または変
化する曲率で、非使用面側に曲がり込んでいるよ
うなもの、あるいは非使用面側に曲がり込んだ部
分が波状に屈曲しているものも、ここでいう袖に
含まれるのである。また基板から袖への折れ線は
直線である必要はなく、曲線であつてもかまわな
い。従つて周囲に折り下げを有する円テーブルの
折り下げのようなものあるいは洗面化粧台のシン
ク部のようなものもこの範疇に含まれる。なお袖
は基板と同じ厚みである必要はなく、また袖自体
も部分により厚みを異にしてもかまわない。ここ
でいう平板状の基板とは略々平板状の板状部をい
うのであり、補強などの目的でリブ、排水などの
目的で溝のようなものあるいはボスなどがあつて
もかまわないし、また袖の取り付け部に水溜めの
ためのリブを設けてあつてもかまわない。このよ
うな水溜めのリブの大きさ、形状についても特に
制限はなく、使用目的に応じていろいろのものが
あるが、高さは2〜15mm、幅は5〜15mmで各面の
交わりは曲率半径0.5〜10mmに丸められているも
のが使用に便利である。また基板は全面にわたつ
て平板状である必要はなく、例えば洗面化粧台の
上面の平坦部や浴槽の周囲の平坦部のように、中
心を欠いたドーナツ状のものであつてもかまわな
い。要するに袖の取り付け部分が略々平板状にな
つていればよいのである。本発明は注型成形品全
体が平板状の基板と袖からなるものは勿論、注型
成形品の一部に平板状の基板と袖からなる部分が
あれば、その部分についても適用されるのであ
る。 本発明はすでに説明したように、ひけのない注
型成形品を得るために袖部の重合硬化を遅らせる
にあたり、繁雑な操作をしないですむように鋳型
の袖部の単位面積あたりの熱容量が、鋳型の基板
部の単位面積あたりの熱容量より大きいか、また
は鋳型の基板部における熱伝導率を厚さで割つた
商が、鋳型の袖部における熱伝導率を厚さで割つ
た商より大きいかの、少なくてもいずれか一方の
熱的性質を満足する鋳型を用いるものである。こ
こでいう鋳型の袖部および基板部の単位面積あた
りの熱容量とは、鋳型の袖部および基板部の熱容
量をそれぞれの鋳型の外表面の面積で割つた商と
して定義される。鋳型の外表面に補強その他の目
的でリブやボスなどがあれば、鋳型の外表面から
連続して幅または太さ3mm以上の部分について
は、その熱容量は鋳型の熱容量の一部と看做す
が、そうでない部分については鋳型の熱容量から
除外するものとする。鋳型の外表面の面積はリブ
やボスなどを除去して考えるものとする。また本
発明でいう熱伝導率を厚さで割つた商は一種の伝
熱係数を意味する。従つて鋳型が均質な材料では
なく、熱的に異質の材料を積層した構造の場合の
鋳型の熱伝導率を厚さで割つた商は、熱的に均質
な各々の部分についての熱伝導率を厚さで割つた
商の逆数の総和の逆数として与えられる。なおこ
こでの厚さは、リブやボスなどがあればそれを除
外した熱的に均質な部分の平均の厚さをいうもの
とする。 ラジカル重合開始剤の存在下または不存在下に
加熱重合を行なうと、加熱されて温度の高くなつ
た部分から重合硬化が始まる。従つて鋳型の熱容
量が大きいと鋳型に奪われる熱量が大きいため
に、温度の上昇が遅れて重合硬化が遅れるのであ
り、鋳型の熱伝導率を厚さで割つた商が小さい
と、熱エネルギーの伝達量が少なく、従つて温度
の上昇が遅れて重合硬化が遅れるのである。また
MMAを主成分とする重合性単量体やUPの重合
は発熱反応であるので、重合が進むにつれて温度
が上昇して重合が加速されるのであるが、鋳型の
熱容量が大きいと鋳型に熱を奪われて温度上昇速
度が小さくなるので、それだけ重合が遅れるので
ある。従つて本発明は特に鋳型の外側からの加熱
操作を伴なう重合硬化方法を採用する場合や、外
部加熱を行なわずレドツクス重合開始剤を用いて
重合硬化を行なう場合に、その効果が著しく発揮
されるのである。 このような観点から、鋳型の袖部の単位面積
あたりの熱容量が鋳型の基板部の単位面積あたり
の熱容量より、鋳型の外表面1cm2について0.3〜
3cal/℃大きいものが好ましい。鋳型の外表面1
cm2についての熱容量の差が0.3cal/℃未満である
とひけ発生の確率が高く、反対に3cal/℃より大
きくなつてもより以上のひけ発生の確率の低下は
望めず、重合硬化時間が長くなつたり、袖部が硬
化不良になることが多くなる。同様に鋳型の基板
部における熱伝導率を厚さで割つた商が、鋳型の
袖部における熱伝導率を厚さで割つた商よりも
0.1cal/cm2・sec・℃以上大きいことが好ましい。
熱伝導率を厚さで割つた商の差が0.1cal/cm2
sec・℃未満であるとひけ発生の確率が高くなる。 鋳型はその外表面にリブやボスなどがあるとひ
けが発生し易く、特にそれらが一部分に偏在する
とこの傾向は顕著になるので、偏在したリブやボ
スなどのない、できればリブやボスなどのない均
質なものが好ましい。鋳型の形式としては、本発
明の注型成形品は板状の形状なので、使用面を構
成する鋳型(通常は下型)と非使用面を構成する
鋳型(通常は上型)を柔らかいガスケツトを介し
て向き合わせ、クランプで固定したようなもの
が、鋳型の製作が容易でかつ操作が容易なので便
利である。なおこの場合ひけ発生を防ぐうえで、
クランプやガスケツトは注型物の重合収縮につれ
て上下の鋳型が注型物にひつぱられて相互に接近
するのを妨害しないことが重要である。そのよう
なガスケツトの例としては、ポリエチレン発泡
体、軟質塩化ビニル製チユーブ、各種軟質ゴムな
どをあげることができる。鋳型の材質としては特
に制限はなく、材質の例として一般に使用されて
いるガラス、金属、樹脂、石膏、木材などをあげ
ることができるがこれらに限定されるものではな
い。鋳型の基板部と袖部に前述の熱的性質を付与
する方法には特に制限はなく、基板部と袖部で材
質を変えたり、厚さを変えたり、2種またはそれ
以上の異なる材質を積層したりあるいはジヤケツ
トを設けて液体や気体を満たすなど種々の方法を
採用することができるが、これらに限定されるも
のではない。なお鋳型の厚さ、熱容量、熱伝導率
は一般に温度によつて変わるものであるが、本発
明では鋳型の使用温度が常温からたかだか100℃
までの範囲なので、50℃における性質で代表させ
ることも可能である。 本発明による注型成形を実施するにあたり、離
型性調整のために鋳型表面の全面または一部に離
型剤を塗布したり、離型フイルムを貼つたりして
もかまわない。また注型成形品の重合率が低い場
合は、鋳型内に保持したままあるいは鋳型から取
り出してポストキユアーを行なうことも一向に差
し支えない。なお本発明は、鋳型の袖部の熱的性
質が鋳型の基板部の熱的性質に対して、特定の条
件を満足する鋳型を用うるものであるが、必ずし
も袖部全てが特定条件を満足する必要はなく、必
要に応じて袖の一部のみが特定条件を満足する鋳
型を用いることも可能である。従つて袖部を構成
する上下両方の鋳型のうち一方だけが、本発明の
熱的性質を満足することも可能であるが、その場
合は使用面を構成する型において満たされている
方が使用面のひけが少なくなるので好ましい。 (発明の効果) 本発明の製造方法によれば、注型成形用の鋳型
として鋳型の袖部の単位面積あたりの熱容量が鋳
型の基板部の単位面積あたりの熱容量より大きい
か、または鋳型の基板部における熱伝導率を厚さ
で割つた商が鋳型の袖部における熱伝導率を厚さ
で割つた商より大きいかの、少なくともいずれか
一方の熱的性質を満足する鋳型を用いるので、袖
部の重合硬化が基板部の重合硬化に比べて必然的
に遅くなり、特殊な装置を用いたり特別の操作を
施したりしなくても、袖およびその近辺にひけの
ない注型成形品を得ることができるのである。 従つて、従来知られているようにパーテイング
ラインに沿つて嵌合機構を有する特殊な鋳型や使
用面を構成する鋳型部分のみを加熱する特殊な加
熱装置あるいは非使用面を構成する鋳型全面に離
型フイルムを貼つたり、袖部の重合硬化を遅らせ
るために袖部への注入時期を遅らせたり重合開始
剤の種類や量を変えるなどの一切の特別な操作を
必要とせず、ただ単に上述の熱的性質を満足する
鋳型に充填して硬化させるだけで、ひけのない注
型成形品を得ることができるのである。 以下実施例において本発明をさらに詳しく説明
するが、本発明はこれら実施例によつて何ら制限
されるものではない。 (実施例) 実施例 1〜7 一辺約370mmの正方形の平板からなり、垂直に
立ち上げた高さ約50mmの水かえしを一辺に有し、
垂直に折り下げた高さ約70mmの袖を対辺に有する
形状で、厚さ約15mmの台所用カウンターを作るた
めに、長方形の両端を互に反対方向に90度折り曲
げた形状の不銹鋼製の鋳型を2枚ずつ用意し、内
面側にクロムメツキを施した。なお天板および立
ち上げ部の不銹鋼の厚さは3mmとしたが、袖部は
平板部との単位外表面積あたりの熱容量の差が、
第1表に示す所定の値になるように厚さを厚くし
た。発泡ポリエチレンシートより切り出したガス
ケツトを介して2枚の鋳型を互に向き合わせ、離
反しないようにクランプで固定して鋳型を組み立
てた。鋳型は天板を水平にした時に袖が天板の上
方にあるようにし、さらに袖を少し持ち上げて天
板を水平に対して15度傾けて設置するようにし
た。なお袖部最上辺のガスケツトは注入のために
取りはずし、また非使用面を構成する上型の袖部
と天板部に、離型のためにビニロンフイルムを貼
つた。 ポリメチルメタクリレート(パラビーズHR、
協和ガス化学工業(株)製)20重量%、MMA75重量
%およびトリメチロールプロパントリメタクリレ
ート5重量%からなるシラツプ40重量部にステア
リン酸0.02重量部を溶解し、水酸化アルミニウム
粉末(ハイジライトH−310、昭和軽金属(株)製)
60重量部を混合してスラリーを得た。このスラリ
ー100重量部に2,2′−アゾビス(4−メトキシ
−2,4−ジメチルバレロニトリル)0.02重量部
を溶解し、各々の鋳型へ袖部最上辺より注入し
た。各々の鋳型をそのまま50℃の熱風炉へ移して
150分間加熱して重合硬化し、台所用カウンター
を離型した。ついでこれを120℃の熱風炉中で2
時間ポストキユアーした。各々の鋳型について同
じ操作を10回行ない、使用面にひけのない製品が
得られた割合を第1表に示した。なお実施例7で
はひけは発生していないが、重合時間が短かいた
めに袖部が硬化不良になりポストキユアーで白化
した。これから、鋳型の袖部の単位面積あたりの
熱容量が、基板部の単位面積あたりの熱容量より
大きい鋳型、好ましくは鋳型の外表面1cm2につい
て0.3〜3cal/℃大きい鋳型を用いると、ひけの
ない異形注型品が効率よく得られることがわか
る。
【表】 比較例 1 袖部、天板部および水かえし部の鋳型の厚さが
全て3mmであること以外は、実施例1〜7と同じ
操作によつて台所用カウンターを注型成形した
が、10個とも全て使用面にひけが発生していた。 実施例 8〜11 実施例1〜7と同じ形状の台所用カウンターを
作るために、実施例1〜7と同じ形状の鋳型を用
意した。ただし袖部はクロムメツキを施した厚さ
0.1mmの不銹鋼板とし、熱の伝導量の低減と補強
のためにその外側に厚さ10mmのベニヤ合板を貼り
つけた。また平板部および水かえし部は、内面に
クロムメツキを施した不銹鋼板としたが、袖部と
その他の部分とで熱伝導率を厚さで割つた商の差
が第2表の所定の値になるよう厚さを調節した。
なお非使用面を構成する上型の袖部と平板部に離
型のためにビニロンフイルムを貼り、鋳型は実施
例1〜7と同様に組み立てて設置した。 MMAを部分重合して得られたシラツプ(25℃
における粘度は3ポイズ)38重量部にエチレング
リコールジメタクリレート2重量部およびステア
リン酸0.02重量部を溶解し、ついで水酸化アルミ
ニウム粉末(ハイジライトH−310、昭和軽金属
(株)製)15重量部およびシリカ粉末(クリスタライ
トAA(株)龍森製)45重量部を混合し、さらに2,
2′−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチル
バレロニトリル)0.025重量部を溶解して、上記
鋳型に袖部最上辺より注入した。鋳型をそのまま
50℃の熱風炉へ移して150分間加熱して重合硬化
させ、台所用カウンターを離型した。ついでこれ
を130℃の熱風炉中で2時間ポストキユアーした。
同じ操作を10回行ない、使用面にひけのない製品
が得られた割合を第2表に示した。これから鋳型
の基板部における熱伝導率を厚さで割つた商が、
鋳型の袖部における熱伝導率を厚さで割つた商よ
り大きい鋳型、好ましくは0.1cal/cm2・sec・℃
以上大きい鋳型を用いると、ひけのない異形注型
品が収率よく得られることがわかる。
【表】 実施例 12 無水マレイン酸6モル、無水フタル酸4モル、
ジエチレングリコール3モルおよびエチレングリ
コール7.03モルの割合からなる混合物より、常法
に従つて不飽和アルキツドを合成し、この不飽和
アルキツド40重量部をスチレン60重量部に溶解し
てUPを得た。このUP40重量部にナフテン酸コバ
ルト(Co6%)0.2重量部、メチルエチルケトンパ
ーオキサイド(55%)0.2重量部および水酸化ア
ルミニウム粉末(ハイジライトH−310、昭和軽
金属(株)製)60重量部を混合し、実施例5と同じ鋳
型へ注入して25℃の室内に静置して硬化させた。
得られた台所用カウンター10個の使用面にはひけ
はみられなかつた。 比較例 2 比較例1と同じ鋳型を用いること以外は実施例
12と同じ操作によつて台所用カウンターを得た
が、10個とも全て使用面にひけが発生していた。 実施例 13 600mm×450mmの長方形の平板の中央にシンク、
四周に高さ70mmの袖を有する厚さ15mmの洗面化粧
台を注型成形した。平板部とシンクの使用面およ
び袖の外周面を構成する下型と、平板部とシンク
部と袖の裏面を構成する上型を、袖の端部に配置
した発泡ポリエチレン製のガスケツトを介して互
に向き合わせ、離反しないようにクランプで固定
した。鋳型は内面にクロムメツキを施した銅製と
し、上型のシンクの中央部に注入口を設け、上型
の袖部およびそれに続く平板部の100mmまでに離
型のためにビニロンフイルムを貼つた。また鋳型
の厚さは平板部は5mmで、その他の部分は17mmに
なるようにした。これにより鋳型の袖部の熱容量
は、他の部分よりも1cm2あたり約1cal/℃大きい
ことになる。 実施例1〜7と同じスラリーに同じ量の重合開
始剤を加え、注入口より鋳型内全体へ注入し、50
℃の熱風炉中で3時間加熱硬化させて洗面化粧台
を得た。得られた洗面化粧台の使用面にはひけは
発生していなかつた。 比較例 3 鋳型の各部の厚さが5mmであること以外は、実
施例13と同じ操作によつて洗面化粧台を注型成形
したが、使用面の一部にひけがみられた。

Claims (1)

  1. 【特許請求の範囲】 1 メチルメタクリレートを主成分とする重合性
    単量体または不飽和ポリエステル樹脂を鋳型内で
    重合硬化させて、平板状の基板からなりその周囲
    の一部または全部に袖を有する注型成形品を製造
    するにあたり、鋳型の袖部の単位面積あたりの熱
    容量が鋳型の基板部の単位面積あたりの熱容量よ
    り大きいか、または鋳型の基板部における熱伝導
    率を厚さで割つた商が鋳型の袖部における熱伝導
    率を厚さで割つた商より大きいかの、少なくとも
    いずれか一方の熱的性質を満足する鋳型を用いる
    ことを特徴とする注型成形品の製造方法。 2 メチルメタクリレートを主成分とする重合性
    単量体または不飽和ポリエステル樹脂が充填材を
    含有する特許請求の範囲第1項記載の方法。 3 鋳型の袖部の単位面積あたりの熱容量が、鋳
    型の基板部の単位面積あたりの熱容量より1cm2
    つき0.3〜3cal/℃大きい特許請求の範囲第1項
    記載の方法。 4 鋳型の基板部における熱伝導率を厚さで割つ
    た商が、鋳型の袖部における熱伝導率を厚さで割
    つた商より0.1cal/cm2・sec・℃以上大きい特許
    請求の範囲第1項記載の方法。
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