JPH05208977A - N−(2−クロロ−5−チアゾリルメチル)フタルイミドの製造方法、その中間体の製造方法及び新規な中間体 - Google Patents

N−(2−クロロ−5−チアゾリルメチル)フタルイミドの製造方法、その中間体の製造方法及び新規な中間体

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JPH05208977A
JPH05208977A JP4161610A JP16161092A JPH05208977A JP H05208977 A JPH05208977 A JP H05208977A JP 4161610 A JP4161610 A JP 4161610A JP 16161092 A JP16161092 A JP 16161092A JP H05208977 A JPH05208977 A JP H05208977A
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salt
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JP4161610A
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English (en)
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Hideki Uneme
英樹 采女
Noriko Higuchi
典子 樋口
Isao Minamida
勲 南田
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Takeda Pharmaceutical Co Ltd
Original Assignee
Takeda Chemical Industries Ltd
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【目的】 殺虫剤5−(アミノメチル)−2−クロロチ
アゾールの中間体として有用N−(2−クロロ−5−チ
アゾリルメチル)フタルイミドの製造方法及びそれに用
いる原料化合物の提供。 【構成】 式A又はB中間体をクロル化することによ
る、N−(2−クロロ−5−チアゾリルメチル)フタル
イミドの製造方法、式A又はB中間体及び該中間体を
製造する方法、上記の中間体の製造に用いられる出発
原料としての、式〔I〕、式〔II〕、式〔III〕で表わ
される化合物。 〔X,Xはハロゲン原子、Y,Y,Yはハロ
ゲン原子、低級アルコキシ基または低級アルキルチオ基
を表わし、BはO,SまたはNHである〕

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、殺虫剤の中間体として
有用な化合物N−(2−クロロ−5−チアゾリルメチ
ル)フタルイミドの製造方法、その中間体の製造方法及
び新規な中間体に関する。
【0002】
【従来の技術】式
【化16】 の5−(アミノメチル)−2−クロロチアゾール(以下
単に化合物〔X〕と称することがある)又はその塩が殺
虫剤の中間体として有用である事はすでに日本国公開特
許公報平2−171号、ヨーロッパ公開特許376,2
79号等に開示されている。
【0003】化合物〔X〕の製造法の一つとして、N−
(2−クロロ−5−チアゾリルメチル)フタルイミド
〔VIII〕(以下単に化合物〔VIII〕と称するこ
とがある)を経由する方法が上記公開特許公報平2−1
71号に記載されている。この公開特許公報では2−ク
ロロ−5−(クロロメチル)チアゾールとフタルイミド
カリウムとを反応させて、化合物〔VIII〕を製造し
ている。
【0004】また、原料の2−クロロ−5−(クロロメ
チル)チアゾールの製造法としては、これまでわずか一
例日本国公開特許公報昭63−83079号が知られて
いるだけである。
【0005】
【化17】 この方法は、イソチオシアン酸アリルを塩素化して、2
−クロロ−5−(クロロメチル)チアゾールを得るもの
であるが、大過剰の塩素化剤を必要とすること、非常に
激しい反応となること、複数個の副生物が多量に生成し
て目的物との分離がやっかいとなること、その結果目的
物の単離収率が極めて悪くなることなど欠点が多く、工
業的には実施困難な製造法である。従って、化合物〔V
III〕の別途の製造法が望まれている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的はこのよ
うな現状において、従来知られている方法とは全く違っ
た工業的に実施可能な化合物〔VIII〕の製造法、そ
の中間体の製造方法及び新規な中間体を提供することに
ある。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者は、上記目的を
達成するため、鋭意、化合物〔VIII〕の製造ルート
を種々検討した。その結果、式
【0008】
【化18】 (式中Pは、
【化19】 で、Xはハロゲン原子を、Yはハロゲン原子、低級
アルコキシ基または低級アルキルチオ基を、Xはハロ
ゲン原子を、Y及びYは同一または相異なり、それ
ぞれハロゲン原子、低級アルコキシ基または低級アルキ
ルチオ基を示す。)で表わされるフタルイミド誘導体
と、式
【化20】 (式中Aは酸素または硫黄原子を、Mはアルカリ金属
またはアンモニウムを示す。)で表わされるカルバミン
酸誘導体(以下単に化合物〔IV〕と称することがあ
る。)または式
【化21】 (式中Mは金属またはアンモニウムを示し、nはM
で示される金属またはアンモニウムの原子価を示す。)
で表わされるチオシアン酸塩(以下単に化合物〔VI〕
と称することがある。)またはチオ尿素とを反応させる
ことにより、式
【化22】 (式中Bは、酸素、硫黄原子またはNHを示す。)で表
わされるフタルイミド誘導体またはその塩が意外にも好
収率で製造できることを見出し、更にこのフタルイミド
誘導体またはその塩が意外にも収率よく化合物〔VII
I〕に導けることを発見し、これらに基づいて本発明を
完成した。
【0009】すなわち本発明は、 (1) 式
【化23】 (式中Pは、
【化24】 で、Xはハロゲン原子を、Yはハロゲン原子、低級
アルコキシ基または低級アルキルチオ基を、Xはハロ
ゲン原子を、Y及びYは同一または相異なり、それ
ぞれハロゲン原子、低級アルコキシ基または低級アルキ
ルチオ基を示す。)で表わされるフタルイミド誘導体
と、化合物〔IV〕または化合物〔VI〕またはチオ尿
素とを反応させることを特徴とする式
【化25】 (式中Bは、酸素、硫黄原子またはNHを示す。)で表
わされるフタルイミド誘導体またはその塩の製造方法、
【0010】(2) 式
【化26】 (式中Pは、
【化27】 で、Xはハロゲン原子を、Yはハロゲン原子、低級
アルコキシ基または低級アルキルチオ基を、Xはハロ
ゲン原子を、Y及びYは同一または相異なり、それ
ぞれハロゲン原子、低級アルコキシ基または低級アルキ
ルチオ基を示す。)で表わされるフタルイミド誘導体
と、化合物〔VI〕とを反応させることを特徴とする式
【化28】 3−フタルイミド−2−チオシアナトプロパナール(以
下単に化合物〔VII〕と称することがある。)または
その塩の製造方法、
【0011】(3) 化合物〔VII〕を環化させるこ
とを特徴とする式
【化29】 のN−(2−チアゾロン−5−イルメチル)フタルイミ
ド(以下単に化合物〔V〕と称することがある。)ま
たはその塩の製造方法、
【0012】(4) 式
【化30】 (式中Bは、酸素、硫黄原子またはNHを示す。)で表
わされるフタルイミド誘導体またはその塩をクロル化す
ることを特徴とする化合物〔VIII〕またはその塩の
製造方法、及び
【0013】(5) 式
【化31】 (式中Qは、
【化32】 で、Xはハロゲン原子を、Yはハロゲン原子、低級
アルコキシ基または低級アルキルチオ基を、Xはハロ
ゲン原子を、Y及びYは同一または相異なり、それ
ぞれハロゲン原子、低級アルコキシ基または低級アルキ
ルチオ基を、Bは、酸素、硫黄原子またはNHを示
す。)で表わされるフタルイミド誘導体に関する。
【0014】また、本発明は、より詳しく説明すると、
(a) 式
【化33】 (式中Xはハロゲン原子を示す。)で表わされる2−
ハロゲノ−3−フタルイミドプロパナール(以下単に化
合物〔I〕と称することがある。)、式
【化34】 (式中Yはハロゲン原子、低級アルコキシ基または低
級アルキルチオ基を示す。)で表わされるN−(2,3
−エポキシプロピル)フタルイミド誘導体(以下単に化
合物〔II〕と称することがある。)及び式
【化35】 (式中Xはハロゲン原子を、Y及びYは同一また
は相異なり、それぞれハロゲン原子、低級アルコキシ基
または低級アルキルチオ基を示す。)で表わされるN−
プロピルフタルイミド誘導体(以下単に化合物〔II
I〕と称することがある。)の三種のうちから選ばれる
一種のフタルイミド誘導体と、化合物〔IV〕とを反応
させることを特徴とする式
【化36】 (式中Aは前記と同意義を示す。)で表わされるフタル
イミド誘導体(以下単に化合物〔V〕と称することがあ
る。)またはその塩の製造方法、
【0015】(b) 化合物〔I〕、化合物〔II〕及
び化合物〔III〕の三種のうちから選ばれる一種のフ
タルイミド誘導体と、化合物〔VI〕とを反応させるこ
とを特徴とする化合物〔VII〕またはその塩の製造方
法、(c) 化合物〔VII〕を環化させることを特徴
とする化合物〔V〕またはその塩の製造方法、(d)
化合物〔I〕、化合物〔II〕及び化合物〔III〕
の三種のうちから選ばれる一種のフタルイミド誘導体
と、化合物〔VI〕とを反応させ、中間生成物として化
合物〔VII〕を経由するかあるいは経由しないでチア
ゾロン環を形成せしめることを特徴とする化合物
〔V〕またはその塩の製造方法、
【0016】(e) 化合物〔V〕またはその塩をクロ
ル化することを特徴とする化合物〔VIII〕またはそ
の塩の製造方法、(f) 化合物〔I〕、化合物〔I
I〕及び化合物〔III〕の三種のうちから選ばれる一
種のフタルイミド誘導体と、チオ尿素とを反応させるこ
とを特徴とする式
【化37】 のN−(2−アミノ−5−チアゾリルメチル)フタルイ
ミド(以下単に化合物〔IX〕と称することがある。)
またはその塩の製造方法、(g) 化合物〔IX〕また
はその塩をジアゾ化した後、塩化銅もしくは金属銅を反
応させることを特徴とする化合物〔VIII〕またはそ
の塩の製造方法、
【0017】(h) 式
【化38】 (式中Yはハロゲン原子、低級アルコキシ基または低
級アルキルチオ基を示す。)で表わされるN−(2,3
−エポキシプロピル)フタルイミド誘導体(化合物〔I
I〕)またはその塩、(i) 式
【化39】 (式中Xはハロゲン原子を、Y及びYは同一また
は相異なり、それぞれハロゲン原子、低級アルコキシ基
または低級アルキルチオ基を示す。)で表わされるN−
プロピルフタルイミド誘導体(化合物〔III〕)また
はその塩、(j) 式
【化40】 (式中Aは酸素または硫黄原子を示す。)で表わされる
フタルイミド誘導体(化合物〔V〕)またはその塩、及
び(k) 式
【化41】 のN−(2−アミノ−5−チアゾリルメチル)フタルイ
ミド(化合物〔IX〕)またはその塩を提供するもので
ある。
【0018】上記式中、X、X、Y、Y及びY
で定義されるハロゲン原子としては、例えば、フッ
素、塩素、臭素、ヨウ素等が挙げられる。
【0019】Y、Y及びYで定義される低級アル
コキシ基としては、例えば、メトキシ、エトキシ、プロ
ポキシ、イソプロポキシ、ブトキシ、イソブトキシ、s
−ブトキシ、t−ブトキシ等の炭素数1〜4のアルコキ
シ基が挙げられる。また、低級アルキルチオ基として
は、例えば、メチルチオ、エチルチオ、プロピルチオ、
イソプロピルチオ、ブチルチオ、イソブチルチオ、s−
ブチルチオ、t−ブチルチオ等の炭素数1〜4のアルキ
ルチオ基が挙げられる。
【0020】Mとしては、例えば、リチウム、ナトリ
ウム、カリウム、セシウム等のアルカリ金属またはアン
モニウムが挙げられる。Mとしては、チオシアン酸塩
を形成する種々の金属やアンモニウムが挙げられる。特
に、Mとしては、アンモニウムが好ましく、Mとし
ては、Mとして示したアルカリ金属(n=1)、マグ
ネシウム、カルシウム、バリウムのようなアルカリ土類
金属(n=2)、亜鉛(n=2)または銅(n=1また
は2)等が好ましい。
【0021】N−(2−アミノ−5−チアゾリルメチ
ル)フタルイミド(化合物〔IX〕)の塩としては、例
えば、塩酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、リン酸、硫
酸、過塩素酸等の無機酸との塩、または、例えば、ギ
酸、酢酸、酒石酸、リンゴ酸、クエン酸、シュウ酸、コ
ハク酸、安息香酸、ピクリン酸、メタンスルホン酸、p
−トルエンスルホン酸等の有機酸との塩が挙げられる。
また化合物〔V〕〔VII〕〔VIII〕等も、塩を形
成してよく、その塩としては例えば、塩酸、臭化水素
酸、ヨウ化水素酸、リン酸、硫酸、過塩素酸等の無機酸
との塩、または、例えば、ギ酸、酢酸、酒石酸、リンゴ
酸、クエン酸、シュウ酸、コハク酸、安息香酸、ピクリ
ン酸、メタンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸等の
有機酸との塩が挙げられる。
【0022】本発明の製造方法は例えば下記記載の反応
条件に従って実施することができる。 (A)化合物〔I〕、化合物〔II〕及び化合物〔II
I〕の三種のフタルイミド誘導体から選ばれる一種と化
合物〔IV〕とを反応させて化合物〔V〕が製造でき
る。
【0023】
【化42】
【0024】この場合、フタルイミド誘導体としては、
特に化合物〔I〕及び化合物〔II〕が好ましい。化合
物〔I〕、〔II〕または化合物〔III〕に対し化合
物〔IV〕は、0.8〜2当量用いるのが好ましいが、
場合によっては0.8〜20当量用いてもよい。
【0025】反応は、通常、適当な溶媒中で行われる。
このような溶媒としては、例えば、水、例えば、メタノ
ール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール等
のアルコール類、例えば、ベンゼン、トルエン、キシレ
ン等の芳香族炭化水素類、例えば、ジクロロメタン、ク
ロロホルム、四塩化炭素等のハロゲン化炭化水素類、例
えば、ヘキサン、ヘプタン、シクロヘキサン等の飽和炭
化水素類、例えば、ジエチルエーテル、テトラヒドロフ
ラン(以下THFと略称する。)、ジオキサン等のエー
テル類、例えば、アセトン、メチルエチルケトン等のケ
トン類、例えば、アセトニトリル、プロピオニトリル等
のニトリル類、例えば、ジメチルスルホキシド(以下、
DMSOと略称する。)等のスルホキシド類、例えば、
N,N−ジメチルホルムアミド(以下、DMFと略称す
る。)、N,N−ジメチルアセトアミド等の酸アミド
類、例えば、酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル類等
が挙げられる。
【0026】これらの溶媒は単独で用いることもできる
し、また必要に応じて二種またはそれ以上の多種類を適
当な割合、例えば、1:1〜1:10の割合で混合して
用いてもよい。
【0027】反応混合物が均一でない場合には、例え
ば、トリエチルベンジルアンモニウムクロリド、トリn
−オクチルメチルアンモニウムクロリド、トリメチルデ
シルアンモニウムクロリド、テトラメチルアンモニウム
プロミド等の四級アンモニウム塩やクラウンエーテル類
等の相間移動触媒の存在下に反応を行ってもよい。特に
好ましい溶媒としては、上記したアルコール類、ニトリ
ル類、酸アミド類等が用いられる。
【0028】本反応は、通常、式
【化43】 のヒドロキシチアゾリジノン誘導体(以下単に化合物
〔XI〕と称することがある。)を経由すると考えられ
る。
【0029】反応は、0〜200℃で進行する。反応時
間は、通常30分〜50時間程度である。特に化合物
〔I〕を用いた場合は、0〜60℃、1〜10時間の範
囲が好ましい。化合物〔II〕を用いた場合、低温かつ
短時間の反応では化合物〔XI〕が生成することが多い
ので、60〜150℃で2〜20時間反応させるのが好
ましい。もちろん60〜80℃以下で化合物〔XI〕を
生成させたのち、単離するか又は単離することなく、加
熱するか、場合によっては、脱水反応により化合物
〔V〕に導いてもよい。
【0030】(B) 化合物〔I〕、化合物〔II〕及
び化合物〔III〕の三種のフタルイミド誘導体から選
ばれる一種と化合物〔VI〕とを反応させて化合物〔V
II〕が製造できる。
【0031】
【化44】
【0032】この場合フタルイミド誘導体のうち、特に
化合物〔II〕が好ましい。化合物〔I〕、〔II〕ま
たは化合物〔III〕に対し化合物〔VI〕は、0.8
〜2当量用いるのが好ましいが、場合によっては0.8
〜20当量用いてもよい。反応は、通常、例えば方法
(A)で述べたような溶媒中で行われる。反応混合物が
均一相でない場合は、方法(A)で述べたような相間移
動触媒を用いてもよい。反応温度は0〜50℃、反応時
間は30分から5時間である。
【0033】(C) 化合物〔VII〕を環化させるこ
とにより、化合物〔V〕が製造できる。
【0034】
【化45】
【0035】酸性、アルカリ性または、場合によって
は、中性条件下で環化させることができるが、通常酸性
での環化が最も好ましい。反応は通常例えば方法(A)
で述べたような溶媒中で行われる。反応混合物が均一相
でない場合は、方法(A)で述べたような相間移動触媒
を用いてもよい。
【0036】酸性物質としては、例えば、塩酸、臭化水
素酸、ヨウ化水素酸、リン酸、硫酸、過塩素酸等の無機
酸、例えば、ギ酸、酢酸、ピクリン酸、メタンスルホン
酸、p−トルエンスルホン酸等の有機酸、例えば、塩化
水素、臭化水素等の酸性ガス、例えば、無水塩化アルミ
ニウム、三ふっ化ほう素等のルイス酸、例えばナフィオ
ンH等の酸性樹脂及びシリカゲル等が用いられる。特に
塩酸等が好ましい。
【0037】酸性物質は、化合物〔VII〕に対して通
常0.01〜10当量用いられる。液体の酸性物質が用
いられる場合は、それ自体を溶媒として用いてもよい。
方法(A)同様、化合物〔XI〕が生成する場合もある
が、本反応では通常反応条件下で化合物〔V〕へと変
化する。もちろん、化合物〔XI〕を単離した後、化合
物〔V〕へと導いてもよい。反応温度は−20〜20
0℃、反応時間は10分〜50時間の範囲であるが、0
〜80℃、30分〜50時間が好ましい。なお反応は方
法(B)より連続して行うこともできる。
【0038】
【化46】
【0039】すなわち、方法(B)に従って製造した化
合物〔VII〕を単離精製することなく、場合によって
は同じ反応系中で環化させ、化合物〔V〕を製造する
ことができる。
【0040】(D) 化合物〔III〕と化合物〔V
I〕とを反応させることにより、化合物〔VII〕を経
由することなく、直接化合物〔V〕を製造できること
もある。
【化47】
【0041】反応は通常、例えば方法(A)で述べたよ
うな溶媒中で行われる。反応混合物が均一相でない場合
は、方法(A)で述ベたような相間移動触媒を用いても
よい。本反応は、特に水もしくは、水と上記したアルコ
ール類、ニトリル類、酸アミド類等との混合溶媒を用い
るのが好ましい。化合物〔III〕に対し化合物〔V
I〕は1〜5当量用いるのが好ましいが、場合によって
は0.8〜20当量用いてもよい。反応温度は60〜2
00℃、反応時間は2〜10時間の範囲である。
【0042】(E) 化合物〔V〕をクロル化すること
により、化合物〔VIII〕が製造できる。
【化48】
【0043】クロル化剤としては、化合物〔V〕のAが
酸素(化合物〔V〕)の場合、例えば三塩化リン、五
塩化リン、オキシ塩化リン、ジクロロトリフェニルホス
ホラン、塩化チオニル、ホスゲン等及びこれら二種以上
の組み合わせが、化合物〔V〕に対して1〜50当量用
いられる。
【0044】反応は無溶媒または、例えば方法(A)で
述べたような溶媒のうち、使用するクロル化剤と反応し
ない溶媒、すなわち芳香族炭化水素類、ハロゲン化炭化
水素類、飽和炭化水素類、エーテル類、ケトン類、ニト
リル類、スルホキシド類、酸アミド類、エステル類等の
中で行われる。
【0045】液体のクロル化剤を用いる場合、それ自体
を溶媒とすることもできる。本反応においては、例えば
トリエチルアミン、トリプロピルアミン、トリブチルア
ミン、N,N−ジメチルアニリン、1,8−ジアザビシ
クロ〔5,4,0〕ウンデセン−7等の三級アミン系有
機塩基、例えばピリジン、ルチジン、コリジン、4−
(ジメチルアミノ)ピリジン等のピリジン系有機塩基ま
たはDMF等の酸アミド類を0.1〜20当量加えるこ
とにより、反応が促進される場合もある。上記有機塩基
はそれ自体溶媒として用いることもできる。
【0046】反応温度及び反応時間は用いるクロル化剤
によって異なるが、通常20〜200℃及び30分〜5
0時間程度である。より好ましくは50〜130℃及び
2〜20時間の範囲である。また加圧条件下(1.1〜
100気圧)で有利に反応する場合もある。
【0047】化合物〔V〕のAが硫黄の場合も同様にし
て化合物〔VIII〕が製造できるが、そのほか、クロ
ル化剤として化合物〔V〕に対して1〜50当量の塩
素、塩化スルフリル、次亜塩素酸ナトリウム等を用いる
ことにより式
【化49】 の塩化スルホニル誘導体(以下単に化合物〔XII〕と
称することがある。)を経由して化合物〔VIII〕が
製造できる場合もある。
【0048】反応は通常、例えば方法(A)で述べたよ
うな溶媒中で行われる。反応混合物が均一相でない場合
は、方法(A)で述べたような相間移動触媒を用いても
よい。反応温度は0〜150℃、反応時間は1〜10時
間である。化合物〔XII〕は単離してもよく、また、
単離することなくさらに反応させてもよい。
【0049】(F) 化合物〔I〕、化合物〔II〕及
び化合物〔III〕の三種のフタルイミド誘導体から選
ばれる一種とのチオ尿素とを反応させて化合物〔IX〕
またはその塩が製造できる。
【0050】
【化50】
【0051】この場合フタルイミド誘導体のうち、特に
化合物〔I〕及び化合物〔II〕が好ましい。化合物
〔I〕、〔II〕または化合物〔III〕に対しチオ尿
素は0.8〜2当量用いるのが好ましいが、場合によっ
ては0.8〜20当量用いてもよい。
【0052】反応は通常、例えば方法(A)で述べたよ
うな溶媒中で行われる。反応混合物が均一相でない場合
は、方法(A)で述べたような相間移動触媒を用いても
よい。反応温度は0〜150℃、反応時間は1〜10時
間である。
【0053】(G) 化合物〔IX〕またはその塩をジ
アゾ化し、式
【化51】 (式中、Zはジアゾニウム塩の陰イオン部分を示す。)
で表されるジアゾニウム塩(以下単に化合物〔XII
I〕と称することがある。)を製造した後、化合物〔X
III〕を塩化銅または金属銅の存在下で分解させるこ
とにより、化合物〔VIII〕が製造できる。
【0054】
【化52】 上記式中、Zで示されるジアゾニウム塩の陰イオン部分
としては例えばCl、HSO、NO、ClO、B
等が用いられるが特にClが好ましい。塩化銅とし
ては塩化第一銅が好ましい。金属銅を用いて分解させる
場合、ZはClである。
【0055】本反応は、例えば、Chemical.R
eviews、40巻251頁(1947年)等に記載
のいわゆるSandmeyer反応(塩化銅を用いる場
合)及びGattermann反応(金属銅を用いる場
合)の条件に従って行うことができる。
【0056】このようにして得られた化合物〔V〕、
〔V〕、〔VII〕、〔VIII〕及び〔IX〕また
はその塩は公知の手段、例えば濃縮、減圧濃縮、蒸留、
分留、溶媒抽出、液性変換、転溶、クロマトグラフィ
ー、結晶化、再結晶等により単離精製することができ
る。また化合物〔IX〕が遊離の化合物で得られる場合
は上記した様な塩に、また塩の形で得られる場合は遊離
の化合物に、それぞれ常法に従って変換することができ
る。
【0057】上記本発明方法の原料物質として使用され
る化合物のうち、化合物〔I〕は、例えば、Chemi
she Berichte、106巻、2513頁(1
973年)記載の方法またはそれと類似の方法により、
あるいは式
【化53】 の3−(N−フタルイミド)プロパナールのハロゲン化
(例えば、Bulletin de la socie
te Chimique de France、197
3年、1465頁等に記載の方法)等により製造でき
る。
【0058】化合物〔II〕は新規化合物であり、例え
ば式
【化54】 (式中Yは、YまたはYを示す。)で表わされるN
−アリルフタルイミド誘導体(以下単に化合物〔XI
V〕と称する)をエポキシ化することにより製造するこ
とができる。
【0059】エポキシ化剤としては、例えば過酸化水
素、例えば、過ギ酸、過酢酸、過トリフルオロ酢酸、メ
タクロロ過安息香酸等の過酸類、パーオキシカルボキシ
ミド酸類、例えばt−ブチルヒドロパーオキシド等のア
ルキルヒドロパーオキシド類、二酸化セレン、酸素等が
用いられる。本反応は例えばモリブデン酸、タングステ
ン酸またはそれらの塩、モリブデンヘキサカルボニル、
例えば塩化第二鉄等の二価または三価の鉄塩、例えば鉄
アセチルアセトナート、ニッケルアセチルアセトナー
ト、酸化バナジウムアセチルアセトナート等の重金属と
1,3−ジカルボニル化合物との錯塩等の触媒の存在下
で促進される場合もある。酸素によるエポキシ化の場合
には、上記のような錯塩の触媒下、例えばイソブチルア
ルデヒド等の脂肪族アルデヒドを化合物〔XIV〕に対
して1.0〜5.0当量用いることにより、好結果を与
えることもある。また上記のような過酸類によるエポキ
シ化の場合等には、例えばリン酸水素二ナトリウム等の
緩衝剤の存在下で有利に反応が進行することもある。
【0060】反応は通常、例えば方法(A)で述べたよ
うな溶媒や、例えばギ酸、酢酸、トリフルオロ酢酸のよ
うな有機酸または、例えば無水酢酸のような酸無水物の
中で行われる。反応混合物が均一相でない場合は、方法
(A)で述べたような相間移動触媒を用いてもよい。エ
ポキシ化剤は化合物〔XIV〕に対して1〜3当量用い
るのが好ましいが、反応に支障がなければ20当量程度
まで使用することもできる。酸素をエポキシ化剤として
用いる場合は通常大過剰量用いる。反応温度及び反応時
間は用いるエポキシ化剤によって異なるが、通常0〜1
00度、1〜100時間の範囲である。化合物〔XI
V〕は一部公知化合物であり、公知またはそれと類似の
反応により製造できる。化合物〔II〕はまた、式
【化55】 (式中の記号は前記と同意義。)で表わされるN−(2
−ヒドロキシプロピル)フタルイミド誘導体(以下単に
化合物〔XV〕と称する)を環化させることによっても
製造できる。
【0061】酸性、アルカリ性または、場合によって
は、中性条件下で環化させることができるが、通常アル
カリ性での環化が最も好ましい。反応は通常例えば方法
(A)で述べたような溶媒中で行われる。反応混合物が
均一相でない場合は、方法(A)で述べたような相間移
動触媒を用いてもよい。アルカリ性物質としては、例え
ば炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、炭酸ナトリ
ウム、炭酸カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウ
ム、水酸化カルシウム、フェニルリチウム、ブチルリチ
ウム、水素化ナトリウム、水素化カリウム、ナトリウム
メトキシド、ナトリウムエトキシド、金属ナトリウム、
金属カリウム等の無機塩基、例えばトリエチルアミン、
トリブチルアミン、N,N−ジメチルアニリン、ピリジ
ン、ルチジン、コリジン、4−(ジメチルアミノ)ピリ
ジン、DBU(1,8−ジアザビシクロ[5,4,0]
ウンデセン−7)等の有機塩基を化合物〔XV〕に対し
て0.8〜20当量用いることができる。上記有機塩基
はそれ自体溶媒として用いることもできる。反応温度、
反応時間は通常0℃〜100℃、1〜100時間の範囲
である。
【0062】ここで化合物〔XV〕は例えば次式
【化56】 (式中の記号は前記と同意義。)に示すルート等により
製造することができる。化合物〔III〕も新規化合物
であり、例えば化合物〔XIV〕と式
【化57】 (式中の記号は前記と同意義。)で表わされるハロゲン
化物(以下単に化合物〔XVI〕と称する。)とを反応
させることにより製造することができる。化合物〔XV
I〕は特に塩素及び臭素が好ましく、化合物〔XIV〕
に対して1〜5当量用いられる。その他の反応条件は前
記した化合物〔XIV〕のエポキシ化のものに準じてよ
い。化合物〔IV〕及び〔VI〕は、市販されているか
自体公知の方法に従って製造することができる。
【0063】
【実施例】次に実施例及び参考例を挙げて、本発明をさ
らに詳しく説明するが、本発明はこれらの実施例に限定
解釈されるべきものではない。実施例等のカラムクロマ
トグラフィーにおける溶出は、TLC(Thin La
yer Chromatography、薄層クロマト
グラフィー)による観察下に行われた。TLC観察にお
いては、TLCプレートとしてメルク(Merk)社製
のキーゼルゲル60F254(70〜230メッシュ)
を、展開溶媒としてはカラムクロマトグラフィーで溶出
溶媒として用いた溶媒を、検出法としてはUV検出器を
採用した。
【0064】カラム用シリカゲルは同じくメルク社製の
キーゼルゲル60(70〜230メッシュ)を用いた。
【0065】NMRスペクトルはプロトンNMRを示
し、内部基準としてテトラメチルシランを用いて、Va
rian EM390(90MHz)型スペクトロメー
ターで測定し、全δ値をppmで示した。
【0066】展開溶媒として混合溶媒を用いる場合に括
弧内に示した数値は、各溶媒の容量混合比である。
【0067】なお、下記実施例及び参考例で用いる略号
は、次のような意義を有する。 s:シングレット、br:ブロード(幅広い)、d:ダ
ブレット、dd:ダブルダブレット、t:トリプレッ
ト、q:クワルテット、m:マルチプレット、J:結合
定数、Hz:ヘルツ、CDCl:重クロロホルム、D
MSO−D、重DMSO、%:重量%。また室温とあ
るのは約15〜25℃を意味する。
【0068】参考例1 氷冷下、濃硫酸100mlにtrans−1,2−ジク
ロロエチレン20.0gを15分間で滴下し、次いでN
−ヒドロキシフタルイミド10.0gを20分間で加え
た。氷冷下でさらに30分間かくはんしたのち、反応混
合物を1kgの氷にあけ、生じた沈殿を濾取し、水、エ
ーテルの順に洗浄した。9.69gの2−クロロ−3−
フタルイミドプロパナール1水和物を得た。
【0069】融点70−80℃ HNMR(δ,CDCl,200MHz):4.1
5(1H,dd,j=14.2,7.6Hz)、4.2
3(1H,dd,J=14.2,6.6Hz)、4.6
3(1H,ddd,J=7.6,6.6,2.2H
z)、7.77(2H,m)、7.89(2H,m)、
9.58(1H,d,J=2.2Hz)。 IR(cm−1,ヌジョール):3330,1762,
1700。 元素分析(C1110NOCl) 計算値 C:51.68 H:3.94 N:5.48 実測値 C:51.38 H:3.84 N:5.19
【0070】参考例2 フタルイミドカリウム18.58gと乾燥DMF100
mlの混合物に、室温で1,3−ジクロロプロペン(シ
ス体とトランス体の混合物)12.26gを20分間で
滴下した。反応混合物を室温で2時間、60℃で1時間
かくはんし、セライト上で不溶物を濾別した。濾液を減
圧濃縮後、残留物に水100ml及びクロロホルム20
0mlを加え、クロロホルム層を分離し、無水硫酸マグ
ネシウムで乾燥した。濃縮後、22.74gのN−(3
−クロロ−2−プロペニル)フタルイミドを得た。
【0071】融点〜85℃ 元素分析(C11NOCl) 計算値 C:59.61 H:3.64 N:6.32 実測値 C:59.70 H:3.60 N:6.34 HNMR(δ,CDCl):4.27(2H×1/
2,dd,J=6.0,0.9Hz)、4.50(2H
×1/2,dd,J=6.1,1.5Hz)、5.8〜
6.5(2H,m)、7.65〜8.0(4H,m) IR(cm−1,ヌジョール):3070,1765,
1710。
【0072】実施例1 N−(3−クロロ−2−プロペニル)フタルイミド3.
00g、70%メタクロロ過安息香酸5.00g、クロ
ロホルム50mlの混合物を、10時間加熱還流した。
冷却後不溶物を濾別し、濾液を20%亜硫酸水素ナトリ
ウム水溶液、重そう水、食塩水の順で洗浄した。無水硫
酸マグネシウムで乾燥後、濃縮し、カラムクロマトグラ
フィー(ジクロロメタン)で精製した。1.054gの
N−(3−クロロ−2,3−エポキシプロピル)フタル
イミドを得た。
【0073】融点126−140℃ HNMR(δ,CDCl):3.3〜3.5(1
H,m)、3.6〜4.2(2H,m)、5.0〜5.
25(1H,m)、7.65〜8.0(4H,m)。 元素分析(C11NOCl) 計算値 C:55.60 H:3.39 N:5.89 実測値 C:55.88 H:3.27 N:6.15 IR(cm−1,ヌジョール):1770,1700,
1610。
【0074】実施例2 N−(3−クロロ−2−プロペニル)フタルイミド5.
43gとギ酸40mlの混合物に30%過酸化水素水5
mlを加え、40℃で2時間かくはんした。30%過酸
化水素水5mlを追加し、さらに40℃で1時間半かく
はんした。反応混合物を水500mlにあけ、ジクロロ
メタンで2回抽出した。ジクロロメタン層を2回水洗
後、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。溶媒等を留去
後、カラムクロマトグラフィー(CHCl)で精製
し、0.93gのN−(3−クロロ−2,3−エポキシ
プロピル)フタルイミドを得た。
【0075】実施例3 N−(3−クロロ−2−プロペニル)フタルイミド8.
46gのクロロホルム30ml溶液に20℃の水浴中
で、臭素6.10gを40分間で滴下した。滴下終了
後、水浴中で40分間、室温で3時間、加熱還流下で1
時間さらにかくはんした。反応混合物を濃縮し、14.
41gのN−(2,3−ジブロモ−3−クロロプロピ
ル)フタルイミドを得た。
【0076】融点108〜114℃(ジイソプロピルエ
ーテルより再結晶)。 元素分析(C11NOBrCl) 計算値 C:34.64 H:2.11 N:3.67 実測値 C:34.93 H:2.00 N:3.42 HNMR(CDCl):4.25〜4.45(2
H,m)、4.8〜5.15(1H,m)、6.0〜
6.15(1H,m)、7.65〜8.0(4H,
m)。 IR(cm−1,ヌジョール):1767,1710。
【0077】実施例4 2−クロロ−3−フタルイミドプロパナール1水和物
4.46g、チオカルバミン酸アンモニウム2.46
g、DMF20mlの混合物を約15〜20℃の水浴中
で30分間、浴を外して室温で4時間かくはんしたの
ち、150mlの水中にあけた。生じた沈殿を濾取し、
水洗、風乾燥後3.60gの粗製のN−(2−チアゾロ
ン−5−イルメチル)フタルイミドを得た。
【0078】実施例5 N−(3−クロロ−2,3−エポキシプロピル)フタル
イミド0.41g、チオカルバミン酸アンモニウム0.
244g、DMF4mlの混合物を、2時間かくはんし
たのち、減圧下で濃縮した。残留物にジクロロメタン2
mlを加えて不溶物を濾別した。濾液をカラムクロマト
グラフィー(ジクロロメタン−メタノール20:1〜1
0:1)で精製し、まず0.17gのN−(2−チアゾ
ロン−5−イルメチル)フタルイミドを得た。
【0079】融点238〜243℃ 元素分析(C12S) 計算値 C:55.38 H:3.10 N:10.7
6 実測値 C:55.13 H:2.96 N:10.6
HNMR(δ,DMSO−d):4.63(2H,
d,J=1.0Hz)、6.93(1H,s)、7.7
7〜8.00(4H,m)、11.10(1H,br,
s) IR(cm−1,ヌジョール):3130,1768,
1725,1655
【0080】次いで0.24gのN−(4−ヒドロキシ
−2−チアゾリジノン−5−イルメチル)フタルイミド
(シス体とトランス体の混合物)を得た。 融点〜235℃ 元素分析(C1210S) 計算値 C:51.79 H:3.62 N:10.0
7 実測値 C:51.64 H:3.57 N:10.3
【0081】このN−(4−ヒドロキシ−2−チアゾリ
ジノン−5−イルメチル)フタルイミドをDMF中、6
0℃で7時間半加熱した所、ほぼ定量的にN−(2−チ
アゾロン−5−イルメチル)フタルイミドへと変化し
た。
【0082】実施例6 N−(3−クロロ−2,3−エポキシプロピル)フタル
イミド0.40gのDMF4ml溶液に、室温でチオカ
ルバミン酸アンモニウム0.20gを少しずつ5分間で
加えた。その後室温で1時間半、60℃で2時間半、8
0℃で2時間かくはんした。冷時不溶物を濾別し、濾液
を濃縮した。残留物に水10mlを加え生じた沈殿を濾
取し、水及びエタノールで洗浄した。0.308gのN
−(2−チアゾロン−5−イルメチル)フタルイミドを
得た。
【0083】実施例7 N−(3−クロロ−2,3−エポキシプロピル)フタル
イミド0.73g、ジチオカルバミン酸アンモニウム
0.51g、アセトニトリル10mlを混合し、室温で
2時間かくはんした。不溶物を濾別し、濾液を濃縮し
た。残留物の主生成物を、カラムクロマトグラフィー
(ジクロロメタン−メタノール20:1)で分離後、ク
ロロホルムで洗い、0.112gのN−(4−ヒドロキ
シチアゾリジン−2−チオン−5−イルメチル)フタル
イミドを得た。
【0084】元素分析(C1210) 計算値 C:48.97 H:3.42 N:9.52 実測値 C:48.68 H:3.20 N:9.61 HNMR(δ,DMSO−d):3.7〜4.1
(1H,m)、3.84(2H,s)、5.40(1H
×0.7,d,J=6.0Hz)、5.60(1H×
0.3,d,J=7.0Hz)、6.73(1H×0.
7,d,J=6.0Hz)、6.88(1H×0.3,
d,J=7.0Hz)、7.92(4H,s)、10.
6〜10.9(1H,broad s)。 IR(cm−1,ヌジョール):3260,1770,
1700,1485,1395,1360。
【0085】実施例8 N−(3−クロロ−2,3−エポキシプロピル)フタル
イミド0.40g、チオシアン酸カリウム0.24g、
アセトニトリル5mlを混合し、室温で1時間かくはん
した。30℃以下で溶媒を留去してジクロロメタンを加
え、不溶物を濾別した。濾液を再び30℃以下で濃縮
し、粗製の3−フタルイミド−2−チオシアナトプロパ
ナールを、シロップ状液体としてほぼ定量的に得た。 IR(cm−1,ヌジョール):2150,1768,
1710。
【0086】このものをジオキサン2mlと混合し、氷
冷下濃塩酸0.6mlを5分間で滴下した。同温度で3
0分間、室温で1時間、50℃で30分間それぞれかく
はん後、減圧下で濃縮した。残留物をジクロロメタンで
洗浄し、0.316gのN−(2−チアゾロン−5−イ
ルメチル)フタルイミドを得た。
【0087】実施例9 N−(3−クロロ−2,3−エポキシプロピル)フタル
イミド0.40g、チオシアン酸バリウム2水和物0.
36g、アセトニトリル5mlを混合し、室温で1時間
かくはんした。TLCより、3−フタルイミド−2−チ
オシアナトプロパナールが主生成物であった。
【0088】実施例10 N−(2,3−ジブロモ−3−クロロプロピル)フタル
イミド0.763g、チオシアン酸カリウム0.292
g、エタノール2ml、水2mlの混合物を4時間半加
熱還流した。反応混合物にエタノール2ml、チオシア
ン酸カリウム0.972gを追加し、さらに9時間加熱
還流した。冷却し、不溶物を濾別し、不溶物をエタノー
ルで洗った。濾液と洗液を合わせて濃縮し、残留物のカ
ラムクロマトグラフィー(ジクロロメタン−メタノール
20:1)により、0.072gのN−(2−チアゾロ
ン−5−イルメチル)フタルイミドを得た。
【0089】実施例11 N−(3−クロロ−2,3−エポキシプロピル)フタル
イミド2.38g、チオ尿素0.913g、アセトニト
リル20mlの混合物を、室温で1時間、加熱還流下で
2時間かくはんし、冷却後生じた沈殿を濾取した。1.
98gのN−(2−アミノ−5−チアゾリルメチル)フ
タルイミド塩酸塩を得た。この塩酸塩を水20mlに溶
かし、10%炭酸ナトリウム水溶液を新たに、沈殿を生
じなくなるまで加え、濾取、水洗した。乾燥後1.13
gのN−(2−アミノ−5−チアゾリルメチル)フタル
イミドを得た。
【0090】融点233〜239℃ 元素分析(C12S) 計算値 C:55.59 H:3.50 N:16.2
1 実測値 C:55.57 H:3.52 N:16.0
HNMR(δ,DMSO−d):4.74(2H,
s)、6.60(2H,broad s)、6.93
(1H,s)、7.7〜8.0(4H,m)。 IR(cm−1,ヌジョール):3400,3250,
3100,1760,1710,1625,1560,
1515。
【0091】実施例12 実施例4で得た粗製のN−(2−チアゾロン−5−イル
メチル)フタルイミド0.521g、オキシ塩化リン1
ml、DMF2滴の混合物を、15時間加熱還流したの
ち、過剰のオキシ塩化リンを減圧下で濃縮した。残留物
をカラムクロマトグラフィー(ジクロロメタン−酢酸エ
チル20:1)で精製し、0.200gのN−(2−ク
ロロ−5−チアゾリルメチル)フタルイミドを得た。 融点105〜107℃
【0092】実施例13 実施例4で得た粗製のN−(2−チアゾロン−5−イル
メチル)フタルイミド0.521g、オキシ塩化リン1
mlの混合物にトリn−プロピルアミン0.287gを
加え、120℃で4時間かくはんした。減圧濃縮後水5
mlを濃縮の残さに加え、ジクロロメタンで2回抽出
し、有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥した。溶媒留
去後、カラムクロマトグラフィー(ジクロロメタン−酢
酸エチル20:1)で精製し、0.285gのN−(2
−クロロ−5−チアゾリルメチル)フタルイミドを得
た。
【0093】実施例14 N−(3−クロロ−2−プロペニル)フタルイミド0.
665g、ニッケル(II)アセチルアセトナート0.
088g、イソブチルアルデヒド0.451g、1,2
−ジクロロエタン4mlの混合物を酸素雰囲気下で18
時間激しくかくはんした。反応混合物をカラムクロマト
グラフィー(ジクロロメタン)で精製することにより、
N−(3−クロロ−2,3−エポキシプロピル)フタル
イミドが得られた。
【0094】実施例15 N−(3−クロロ−2−プロペニル)フタルイミド2.
22g、リン酸水素二ナトリウム0.071g、モリブ
デンヘキサカルボニル0.06g、1,2−ジクロロエ
タン15mlの混合物に、70℃の油浴中で5Mt−ブ
チルヒドロパーオキシド 1,2−ジクロロエタン溶液
4mlを滴下し、その後、加熱還流下で8時間かくはん
した。反応混合物をカラムクロマトグラフィー(ジクロ
ロメタン)で精製することにより、N−(2,3−ジブ
ロモ−3−クロロプロピル)フタルイミドが得られた。
【0095】
【発明の効果】本発明は、フタルイミド誘導体の新規な
製造法を提供した。また、該製法は収率にも優れ、工業
的生産に応用可能なものである。
フロントページの続き (51)Int.Cl.5 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C07D 209:00 277:00) (C07D 405/06 209:00 303:00) 7822−4C

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 式 【化1】 (式中Pは、 【化2】 で、Xはハロゲン原子を、Yはハロゲン原子、低級
    アルコキシ基または低級アルキルチオ基を、Xはハロ
    ゲン原子を、Y及びYは同一または相異なり、それ
    ぞれハロゲン原子、低級アルコキシ基または低級アルキ
    ルチオ基を示す。)で表わされるフタルイミド誘導体
    と、式 【化3】 (式中Aは酸素または硫黄原子を、Mはアルカリ金属
    またはアンモニウムを示す。)で表わされるカルバミン
    酸誘導体または式 【化4】 (式中Mは金属またはアンモニウムを示し、nはM
    で示される金属またはアンモニウムの原子価を示す。)
    で表わされるチオシアン酸塩またはチオ尿素とを反応さ
    せることを特徴とする式 【化5】 (式中Bは、酸素、硫黄原子またはNHを示す。)で表
    わされるフタルイミド誘導体またはその塩の製造方法。
  2. 【請求項2】 式 【化6】 (式中Pは、 【化7】 で、Xはハロゲン原子を、Yはハロゲン原子、低級
    アルコキシ基または低級アルキルチオ基を、Xはハロ
    ゲン原子を、Y及びYは同一または相異なり、それ
    ぞれハロゲン原子、低級アルコキシ基または低級アルキ
    ルチオ基を示す。)で表わされるフタルイミド誘導体
    と、式 【化8】 (式中Mは金属またはアンモニウムを示し、nはM
    で示される金属またはアンモニウムの原子価を示す。)
    で表わされるチオシアン酸塩とを反応させることを特徴
    とする式 【化9】 3−フタルイミド−2−チオシアナトプロパナールまた
    はその塩の製造方法。
  3. 【請求項3】 式 【化10】 3−フタルイミド−2−チオシアナトプロパナールを環
    化させることを特徴とする式 【化11】 のN−(2−チアゾロン−5−イルメチル)フタルイミ
    ドまたはその塩の製造方法。
  4. 【請求項4】 式 【化12】 (式中Bは、酸素、硫黄原子またはNHを示す。)で表
    わされるフタルイミド誘導体またはその塩をクロル化す
    ることを特徴とする式 【化13】 のN−(2−クロロ−5−チアゾリルメチル)フタルイ
    ミドまたはその塩の製造方法。
  5. 【請求項5】 式 【化14】 (式中Qは、 【化15】 で、Xはハロゲン原子を、Yはハロゲン原子、低級
    アルコキシ基または低級アルキルチオ基を、Xはハロ
    ゲン原子を、Y及びYは同一または相異なり、それ
    ぞれハロゲン原子、低級アルコキシ基または低級アルキ
    ルチオ基を、Bは、酸素、硫黄原子またはNHを示
    す。)で表わされるフタルイミド誘導体。
JP4161610A 1991-05-27 1992-05-12 N−(2−クロロ−5−チアゾリルメチル)フタルイミドの製造方法、その中間体の製造方法及び新規な中間体 Withdrawn JPH05208977A (ja)

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JP4161610A Withdrawn JPH05208977A (ja) 1991-05-27 1992-05-12 N−(2−クロロ−5−チアゾリルメチル)フタルイミドの製造方法、その中間体の製造方法及び新規な中間体

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JP (1) JPH05208977A (ja)

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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US7977490B2 (en) 2005-04-07 2011-07-12 Sumitomo Chemical Company, Limited Process for producing thiazole compound
JP4917243B2 (ja) * 2001-05-23 2012-04-18 日本曹達株式会社 チアゾール化合物の製造方法

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