JPH05208869A - 窒化ケイ素系切削工具 - Google Patents
窒化ケイ素系切削工具Info
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- JPH05208869A JPH05208869A JP4014141A JP1414192A JPH05208869A JP H05208869 A JPH05208869 A JP H05208869A JP 4014141 A JP4014141 A JP 4014141A JP 1414192 A JP1414192 A JP 1414192A JP H05208869 A JPH05208869 A JP H05208869A
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- JP
- Japan
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- silicon nitride
- sialon
- cutting tool
- sintered body
- strength
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Abstract
(57)【要約】
【目的】 耐欠損性に優れ、又、生産性にも優れた切
削工具を提供すること。 【構成】 α−窒化ケイ素とβ´−サイアロンからな
る窒化ケイ素焼結体からなる窒化ケイ素系切削工具であ
って、該α−窒化ケイ素の平均結晶粒径が0.5μm以
下、該β´−サイアロンの長軸、短軸方向の平均結晶粒
径がそれぞれ2.0μm〜5.0μm、及び0.5μm
以下であることを特徴とする窒化ケイ素系切削工具。
削工具を提供すること。 【構成】 α−窒化ケイ素とβ´−サイアロンからな
る窒化ケイ素焼結体からなる窒化ケイ素系切削工具であ
って、該α−窒化ケイ素の平均結晶粒径が0.5μm以
下、該β´−サイアロンの長軸、短軸方向の平均結晶粒
径がそれぞれ2.0μm〜5.0μm、及び0.5μm
以下であることを特徴とする窒化ケイ素系切削工具。
Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は生産性、コストおよび切
削性能、特に耐欠損性において優れた窒化ケイ素系切削
工具に関する。
削性能、特に耐欠損性において優れた窒化ケイ素系切削
工具に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、窒化ケイ素系材料の強度向上を目
的として、焼結方法、焼結助剤、含有結晶相の限定など
様々な研究開発が行われてきた。例えば、焼結法に関し
ては、ホットプレス焼結法では、Am.Ceram.S
oc.Bull.,52(1973)pp560で〜1
00kg/mm2(曲げ強度)が実現されており、また
ガラスカプセルによる熱間静水圧プレス法(HIP法)
等も開発されている。
的として、焼結方法、焼結助剤、含有結晶相の限定など
様々な研究開発が行われてきた。例えば、焼結法に関し
ては、ホットプレス焼結法では、Am.Ceram.S
oc.Bull.,52(1973)pp560で〜1
00kg/mm2(曲げ強度)が実現されており、また
ガラスカプセルによる熱間静水圧プレス法(HIP法)
等も開発されている。
【0003】こうした手法では焼結体の強度特性の面で
は優れた特性が得られているものの、生産性、コストの
面で優れた手法とは言えない。一方、こうした問題に対
して、ガス圧焼結法(例えば、三友、粉体と工業、12
巻、12号、pp27、1989)があるが、本方法で
は最終の焼結体の緻密化をβ−窒化ケイ素結晶の粒成長
に伴うため、粗大結晶粒の析出による強度劣化をまねく
可能性が高いことに加え、一般には、10気圧以上のN
2ガス圧をかけ焼結を実施するため、ホットプレス法や
HIP法と同様に焼結設備が大型となり、特性面、生産
面で十分優れた手法とはいえない。他方、焼結助剤に関
しては、主たる助剤としてY2O3を用いた Si3N4−
Al2O3−Y2O3系の窒化ケイ素系焼結体が特公昭49
−21091号、特公昭48−38448号に開示され
ている。これらは、該特許明細書中に示されているよう
に、β型窒化ケイ素の結晶粒が焼結体中で繊維状組織を
形成し、これがマトリックス中に分散することから、強
度、靭性を向上しうるものと考えられている。すなわち
これは、β型窒化ケイ素の結晶形が六方晶でありC軸方
向に結晶が異方性成長をすることを積極的に利用したも
のであり、特に特公昭48−38448号や窯業協会
誌、94巻、pp96、1986に示されるように、繊
維状のβ−窒化ケイ素結晶粒がC軸方向に10数μm以
上に成長している場合がある。しかしながら、本技術に
おいては、やはりこの粒成長が異常成長や気孔の発生を
まねき、強度劣化をまねく可能性があり、また本方法で
の焼結助剤だけを用いた焼結体では、焼結温度を 17
00〜1900℃に上昇させなければ、緻密化が十分図
れず、大気圧付近のN2ガス圧焼結では、窒化ケイ素の
昇華分解が生じ、安定した焼結体を得られない場合があ
る。このため同じく、焼結体特性と生産性両面で十分優
れているとは言えない。一方、以上で述べてきた手法で
は、いずれも得られる焼結体の強度が、例えばJIS−
R1601に準拠した3点曲げ強度でせいぜい100k
g/mm2前後であり、黒皮を有する鋳鉄の断続旋削、
フライス旋削に用いた場合、必ずしも十分な強度を有し
ているとは言えず、欠損の発生から寿命となっているの
が現状である。また耐欠損性を向上させるため、刃先処
理(チャンファー加工)を行い、刃先強度を高める対策
もなされているが、この場合、切削抵抗の増大をまねく
ため、被加工材に面のむしれなどが発生し表面性状(面
粗さ)が低下することから限度が存在する。
は優れた特性が得られているものの、生産性、コストの
面で優れた手法とは言えない。一方、こうした問題に対
して、ガス圧焼結法(例えば、三友、粉体と工業、12
巻、12号、pp27、1989)があるが、本方法で
は最終の焼結体の緻密化をβ−窒化ケイ素結晶の粒成長
に伴うため、粗大結晶粒の析出による強度劣化をまねく
可能性が高いことに加え、一般には、10気圧以上のN
2ガス圧をかけ焼結を実施するため、ホットプレス法や
HIP法と同様に焼結設備が大型となり、特性面、生産
面で十分優れた手法とはいえない。他方、焼結助剤に関
しては、主たる助剤としてY2O3を用いた Si3N4−
Al2O3−Y2O3系の窒化ケイ素系焼結体が特公昭49
−21091号、特公昭48−38448号に開示され
ている。これらは、該特許明細書中に示されているよう
に、β型窒化ケイ素の結晶粒が焼結体中で繊維状組織を
形成し、これがマトリックス中に分散することから、強
度、靭性を向上しうるものと考えられている。すなわち
これは、β型窒化ケイ素の結晶形が六方晶でありC軸方
向に結晶が異方性成長をすることを積極的に利用したも
のであり、特に特公昭48−38448号や窯業協会
誌、94巻、pp96、1986に示されるように、繊
維状のβ−窒化ケイ素結晶粒がC軸方向に10数μm以
上に成長している場合がある。しかしながら、本技術に
おいては、やはりこの粒成長が異常成長や気孔の発生を
まねき、強度劣化をまねく可能性があり、また本方法で
の焼結助剤だけを用いた焼結体では、焼結温度を 17
00〜1900℃に上昇させなければ、緻密化が十分図
れず、大気圧付近のN2ガス圧焼結では、窒化ケイ素の
昇華分解が生じ、安定した焼結体を得られない場合があ
る。このため同じく、焼結体特性と生産性両面で十分優
れているとは言えない。一方、以上で述べてきた手法で
は、いずれも得られる焼結体の強度が、例えばJIS−
R1601に準拠した3点曲げ強度でせいぜい100k
g/mm2前後であり、黒皮を有する鋳鉄の断続旋削、
フライス旋削に用いた場合、必ずしも十分な強度を有し
ているとは言えず、欠損の発生から寿命となっているの
が現状である。また耐欠損性を向上させるため、刃先処
理(チャンファー加工)を行い、刃先強度を高める対策
もなされているが、この場合、切削抵抗の増大をまねく
ため、被加工材に面のむしれなどが発生し表面性状(面
粗さ)が低下することから限度が存在する。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】こうした従来技術にお
ける生産性と焼結体の機械的特性を両立させ耐欠損性の
優れた切削工具材料及びその材料からなる切削工具を提
供するのが本発明の課題である。
ける生産性と焼結体の機械的特性を両立させ耐欠損性の
優れた切削工具材料及びその材料からなる切削工具を提
供するのが本発明の課題である。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明は、α−窒化ケイ
素とβ´−サイアロンからなり、α−窒化ケイ素の平均
結晶粒径が0.5μm以下、β´−サイアロンの長軸、
短軸方向の平均結晶粒径がそれぞれ2.0μm〜5.0
μm、及び0.5μm以下であることを特徴とする窒化
ケイ素焼結体が、JISR−1601に準拠した3点曲
げ強度が容易に130kg/mm2以上の特性を有し、
切削工具として黒皮鋳鉄の断続旋削、フライス切削など
の衝撃の激しい切削に用いた場合、優れた切削性能を示
すという知見に基づくものである。本発明の切削工具に
使用する焼結体が優れた強度特性を有するのは、微粒で
等軸晶のα−窒化ケイ素と微粒で柱状化したβ´−サイ
アロンの両方の結晶相を複合させることにより、従来の
柱状化したβ´−サイアロン(β−窒化ケイ素を含む)
結晶相のみで構成された焼結体に比較し、ヤング率、硬
度が向上することによる。これは材料の変形抵抗を示す
物性値でありセラミック材料のような脆性材料では、こ
の値を向上させることが広義では材料の強度向上につな
がるためである。さらに脆性材料の破壊の基本概念であ
るGriffithの理論に従えば、焼結体の破壊強度
σfは次式で与えられる。
素とβ´−サイアロンからなり、α−窒化ケイ素の平均
結晶粒径が0.5μm以下、β´−サイアロンの長軸、
短軸方向の平均結晶粒径がそれぞれ2.0μm〜5.0
μm、及び0.5μm以下であることを特徴とする窒化
ケイ素焼結体が、JISR−1601に準拠した3点曲
げ強度が容易に130kg/mm2以上の特性を有し、
切削工具として黒皮鋳鉄の断続旋削、フライス切削など
の衝撃の激しい切削に用いた場合、優れた切削性能を示
すという知見に基づくものである。本発明の切削工具に
使用する焼結体が優れた強度特性を有するのは、微粒で
等軸晶のα−窒化ケイ素と微粒で柱状化したβ´−サイ
アロンの両方の結晶相を複合させることにより、従来の
柱状化したβ´−サイアロン(β−窒化ケイ素を含む)
結晶相のみで構成された焼結体に比較し、ヤング率、硬
度が向上することによる。これは材料の変形抵抗を示す
物性値でありセラミック材料のような脆性材料では、こ
の値を向上させることが広義では材料の強度向上につな
がるためである。さらに脆性材料の破壊の基本概念であ
るGriffithの理論に従えば、焼結体の破壊強度
σfは次式で与えられる。
【0006】σf=E・γs/4a、 E;ヤング率、γs;破壊の表面エネルギー、a;先在
亀裂長さ ここでγsは粒界相の組成と厚みに依存すると考えられ
るため、特に厚みの点で結晶粒の存在密度を向上させる
結晶粒の微粒化と結晶相の複合化は有利である。また本
式に従えば、破壊強度を向上させるためにはEの増大と
aの減少が重要である。aの値は工程上不可避な欠陥寸
法を排除すれば、結晶粒径に依存するため、微細結晶粒
で充填性を向上させた本発明はE、γsの点で強度向上
に有効である。
亀裂長さ ここでγsは粒界相の組成と厚みに依存すると考えられ
るため、特に厚みの点で結晶粒の存在密度を向上させる
結晶粒の微粒化と結晶相の複合化は有利である。また本
式に従えば、破壊強度を向上させるためにはEの増大と
aの減少が重要である。aの値は工程上不可避な欠陥寸
法を排除すれば、結晶粒径に依存するため、微細結晶粒
で充填性を向上させた本発明はE、γsの点で強度向上
に有効である。
【0007】こうしたα型窒化珪素と柱状化したβ型窒
化珪素の両方の結晶相を複合させる考え方は、例えば特
開昭61−91065号や特開平2−44066号に開
示されているが、いずれもα´−サイアロン(一般式
MX(Si,Al)12(O,N)16 M:Mg,Ca,
Li及び希土類元素)とβ´−サイアロン(β型窒化ケ
イ素を含む)との結晶相の組合せであり、組成的にはS
i3N4−AIN−MO(M:MgO,Y2O3,CaO
等)の3成分系が主であり、その範囲もAINとMOの
添加比がモル%で1:9の限定された範囲で、α´−サ
イアロンとβ´−サイアロン(β−窒化ケイ素を含む)
の複合した結晶相を生成させることにより強度等の機械
的特性の向上を示したものであり、またその実施例でも
明らかなように、各焼結体の強度特性が曲げ強度で10
0kg/ mm2を安定して越える焼結体製法はいずれ
もホットプレス法によるものであり、工業的に安定して
高い強度特性を得るまでに至っていない。切削工具とし
てこれらの材料を用いることについて特開昭60−23
9364にて開示されているがこれらの焼結体はα´−
サイアロンとβ´−サイアロン(β−窒化ケイ素を含
む)の間の熱膨脹係数の差が大きく、これが原因となり
焼結体中に引張の残留応力を発生させ、強度劣化を招く
可能性がある。また、このことは切削工具としては熱衝
撃の加わる湿式切削時に熱亀裂を発生させる要因となり
好ましくない。本発明はこうした使用条件の限定がなく
工業的に安定して高強度な焼結体からなる切削工具を提
供するものである。
化珪素の両方の結晶相を複合させる考え方は、例えば特
開昭61−91065号や特開平2−44066号に開
示されているが、いずれもα´−サイアロン(一般式
MX(Si,Al)12(O,N)16 M:Mg,Ca,
Li及び希土類元素)とβ´−サイアロン(β型窒化ケ
イ素を含む)との結晶相の組合せであり、組成的にはS
i3N4−AIN−MO(M:MgO,Y2O3,CaO
等)の3成分系が主であり、その範囲もAINとMOの
添加比がモル%で1:9の限定された範囲で、α´−サ
イアロンとβ´−サイアロン(β−窒化ケイ素を含む)
の複合した結晶相を生成させることにより強度等の機械
的特性の向上を示したものであり、またその実施例でも
明らかなように、各焼結体の強度特性が曲げ強度で10
0kg/ mm2を安定して越える焼結体製法はいずれ
もホットプレス法によるものであり、工業的に安定して
高い強度特性を得るまでに至っていない。切削工具とし
てこれらの材料を用いることについて特開昭60−23
9364にて開示されているがこれらの焼結体はα´−
サイアロンとβ´−サイアロン(β−窒化ケイ素を含
む)の間の熱膨脹係数の差が大きく、これが原因となり
焼結体中に引張の残留応力を発生させ、強度劣化を招く
可能性がある。また、このことは切削工具としては熱衝
撃の加わる湿式切削時に熱亀裂を発生させる要因となり
好ましくない。本発明はこうした使用条件の限定がなく
工業的に安定して高強度な焼結体からなる切削工具を提
供するものである。
【0008】本発明の切削工具に使用する焼結体を得る
ためには、焼結助剤は窒化珪素表面に存在するSiO2
とできるだけ低温で液相を生成する助剤、例えばMg
O、CeO2、CaO、La2O3を用い焼結温度を16
50℃以下で焼結することが望ましい。この低温焼結の
ため異常粒成長に伴う焼結体の特性劣化を阻止できる。
さらには、窒化ケイ素は大気圧のN2雰囲気下では17
00℃以上の温度域で昇華分解するため、加圧N2雰囲
気下で焼結する必要があり、設備面でバッチ式焼結炉を
用いていた。しかし、この様な低温での焼結が可能とな
ると焼結方法はプッシャー式あるいはベルト式等の開放
型連続焼結炉により、同時に量産性に優れ、コストの安
い焼結が可能となる。この詳細な説明を加えると、一般
に強度特性に優れた窒化ケイ素系材料の焼結法として
は、いわゆるバッチ式焼結炉によるガス圧焼結が主であ
るが、この方式では炉内の温度分布のばらつきやロット
間の条件ばらつき等が必ず生じるために、切削工具とし
ての工具寿命にばらつきが生じ、工具使用現場での工作
機械の無人化運転を難しくし、生産性が低くなってい
る。この点からも本発明はその生産性を同時に向上させ
た点で工業的に重要である。さらに本発明の効果を顕著
にするためには、焼結体中のα−窒化ケイ素とβ´−サ
イアロンの結晶粒の平均粒径が重要となる。すなわち、
α−窒化ケイ素の平均粒径が0.5μm以下、およびβ
´−サイアロンの長軸の平均粒径が2.0〜5.0μ
m、短軸の平均粒径が0.5μm以下であることが必要
である。α−窒化ケイ素の平均結晶粒径が0.5μmを
越えると、結晶相が複合したさい結晶粒の充填密度が低
下するため、強度に及ぼすα−窒化ケイ素結晶相の効果
が十分期待できない。一方、β´−サイアロンの長軸の
平均結晶粒径が2.0μm未満であるとやはり、柱状の
β´−サイアロン結晶粒が分散することによる強化効果
が十分期待できず、強度の劣化につながる。また、5.
0μmを越えると、逆に粗大粒としてこのβ´−サイア
ロン結晶粒が作用しやはり強度の劣化につながるととも
に結晶粒の充填密度を低下させるため、やはり強度の劣
化につながる。さらに短軸径については、0.5μmを
越えるとやはり、柱状のβ´−サイアロン結晶粒が分散
することによる強化効果が十分期待できず、強度の劣化
につながる。また本発明の効果を一層向上させるために
は、α−窒化ケイ素とβ´−サイアロンの結晶の析出比
がX線回折によるピーク強度比で0%<α−窒化ケイ素
≦30%、70%≦β´−窒化ケイ素<100%である
ことが好ましい。このα−窒化ケイ素の析出比が30%
を越えて高α−Si3N4側へずれるとβ´−サイアロン
柱状晶組織の効果が減少し、結晶相に複合化の効果が十
分現れず、強度向上の効果が十分ではない。
ためには、焼結助剤は窒化珪素表面に存在するSiO2
とできるだけ低温で液相を生成する助剤、例えばMg
O、CeO2、CaO、La2O3を用い焼結温度を16
50℃以下で焼結することが望ましい。この低温焼結の
ため異常粒成長に伴う焼結体の特性劣化を阻止できる。
さらには、窒化ケイ素は大気圧のN2雰囲気下では17
00℃以上の温度域で昇華分解するため、加圧N2雰囲
気下で焼結する必要があり、設備面でバッチ式焼結炉を
用いていた。しかし、この様な低温での焼結が可能とな
ると焼結方法はプッシャー式あるいはベルト式等の開放
型連続焼結炉により、同時に量産性に優れ、コストの安
い焼結が可能となる。この詳細な説明を加えると、一般
に強度特性に優れた窒化ケイ素系材料の焼結法として
は、いわゆるバッチ式焼結炉によるガス圧焼結が主であ
るが、この方式では炉内の温度分布のばらつきやロット
間の条件ばらつき等が必ず生じるために、切削工具とし
ての工具寿命にばらつきが生じ、工具使用現場での工作
機械の無人化運転を難しくし、生産性が低くなってい
る。この点からも本発明はその生産性を同時に向上させ
た点で工業的に重要である。さらに本発明の効果を顕著
にするためには、焼結体中のα−窒化ケイ素とβ´−サ
イアロンの結晶粒の平均粒径が重要となる。すなわち、
α−窒化ケイ素の平均粒径が0.5μm以下、およびβ
´−サイアロンの長軸の平均粒径が2.0〜5.0μ
m、短軸の平均粒径が0.5μm以下であることが必要
である。α−窒化ケイ素の平均結晶粒径が0.5μmを
越えると、結晶相が複合したさい結晶粒の充填密度が低
下するため、強度に及ぼすα−窒化ケイ素結晶相の効果
が十分期待できない。一方、β´−サイアロンの長軸の
平均結晶粒径が2.0μm未満であるとやはり、柱状の
β´−サイアロン結晶粒が分散することによる強化効果
が十分期待できず、強度の劣化につながる。また、5.
0μmを越えると、逆に粗大粒としてこのβ´−サイア
ロン結晶粒が作用しやはり強度の劣化につながるととも
に結晶粒の充填密度を低下させるため、やはり強度の劣
化につながる。さらに短軸径については、0.5μmを
越えるとやはり、柱状のβ´−サイアロン結晶粒が分散
することによる強化効果が十分期待できず、強度の劣化
につながる。また本発明の効果を一層向上させるために
は、α−窒化ケイ素とβ´−サイアロンの結晶の析出比
がX線回折によるピーク強度比で0%<α−窒化ケイ素
≦30%、70%≦β´−窒化ケイ素<100%である
ことが好ましい。このα−窒化ケイ素の析出比が30%
を越えて高α−Si3N4側へずれるとβ´−サイアロン
柱状晶組織の効果が減少し、結晶相に複合化の効果が十
分現れず、強度向上の効果が十分ではない。
【0009】また、この組成範囲で焼結体中のβ´−サ
イアロン(一般式 Si6-ZAlZOZN8-Z)のZ値を0
<Z<1.0の範囲にして粒界相を制御すると高強度が
安定する。
イアロン(一般式 Si6-ZAlZOZN8-Z)のZ値を0
<Z<1.0の範囲にして粒界相を制御すると高強度が
安定する。
【0010】さらに、焼結体中のα−窒化ケイ素はJC
PDS(Joint Committe on PowderDiffraction Standa
rds)(09-0250)により同定されるものが、高硬度で分散
強化効果に優れ、好ましい。
PDS(Joint Committe on PowderDiffraction Standa
rds)(09-0250)により同定されるものが、高硬度で分散
強化効果に優れ、好ましい。
【0011】上記した本発明の切削工具に使用する焼結
体は、α結晶化率90%以上、平均粒径1.0μm以下
の窒化ケイ素原料粉末と、焼結助剤よりなる混合粉末の
圧粉体を1400〜1700℃10気圧以下のN2ガス
雰囲気にて1次焼結し、場合によってはさらに1次焼結
温度より低い温度で50〜2000気圧のN2ガス雰囲
気で2次焼結して製造することができる。
体は、α結晶化率90%以上、平均粒径1.0μm以下
の窒化ケイ素原料粉末と、焼結助剤よりなる混合粉末の
圧粉体を1400〜1700℃10気圧以下のN2ガス
雰囲気にて1次焼結し、場合によってはさらに1次焼結
温度より低い温度で50〜2000気圧のN2ガス雰囲
気で2次焼結して製造することができる。
【0012】
実施例1 平均粒径0.5μm、α結晶化率96%、酸素量1.4
重量%の窒化ケイ素原料粉末および、平均粒径0.8μ
m、0.4μm、0.5μm、0.2μmのY2O3、A
l2O3、AIN、MgOの各粉末をエタノール中、10
0時間、ナイロン製ボールミルにて湿式混合したのち、
乾燥して得られた混合粉末を3000kg/cm2でC
IP成形し、この成形体をN2ガス1気圧中で1650
℃で5〜10時間1次焼結した。得られた焼結体を16
50℃、1000気圧N2ガス雰囲気中で1時間、2次
焼結した。この焼結体よりJISR1601に準拠した
3mm×4mm×40mm相当の抗折試験片を切り出
し、#800ダイアモンド砥石により研削加工仕上げし
た後、引張面については#3000のダイアモンドペー
ストによりラッピング仕上げ加工した後、JISR16
01に準拠して3点曲げ強度を15本ずつ実施した。表
1中には平均結晶粒径、結晶相の比率、及び曲げ強度を
示した。なお、結晶相の比率に関してはX線回折法によ
り求めた各結晶相のピーク高さ比より算出した。
重量%の窒化ケイ素原料粉末および、平均粒径0.8μ
m、0.4μm、0.5μm、0.2μmのY2O3、A
l2O3、AIN、MgOの各粉末をエタノール中、10
0時間、ナイロン製ボールミルにて湿式混合したのち、
乾燥して得られた混合粉末を3000kg/cm2でC
IP成形し、この成形体をN2ガス1気圧中で1650
℃で5〜10時間1次焼結した。得られた焼結体を16
50℃、1000気圧N2ガス雰囲気中で1時間、2次
焼結した。この焼結体よりJISR1601に準拠した
3mm×4mm×40mm相当の抗折試験片を切り出
し、#800ダイアモンド砥石により研削加工仕上げし
た後、引張面については#3000のダイアモンドペー
ストによりラッピング仕上げ加工した後、JISR16
01に準拠して3点曲げ強度を15本ずつ実施した。表
1中には平均結晶粒径、結晶相の比率、及び曲げ強度を
示した。なお、結晶相の比率に関してはX線回折法によ
り求めた各結晶相のピーク高さ比より算出した。
【0013】
【表1】
【0014】実施例2 前記の内容で作成した、1〜15の焼結体からSPGN
120308なる工具形状のチップを研削加工により作
成し、チャンファー量0.1×−25゜の刃先処理を施
した下記条件の切削試験を行った。
120308なる工具形状のチップを研削加工により作
成し、チャンファー量0.1×−25゜の刃先処理を施
した下記条件の切削試験を行った。
【0015】被削材 FC25丸棒 四溝材 切削条件 速度 V=300m/min 送り f=0.8mm/rev 切込み d=1.0mm 切削時間 5分 切削コーナー数 20コーナー 切削油 乾式 表1中にその切削試験結果を示すが、本特許範囲内のN
o1〜10の切削工具は11〜15と比較して優れた耐
欠損性を示すことがわかる。
o1〜10の切削工具は11〜15と比較して優れた耐
欠損性を示すことがわかる。
【0016】実施例3 実施例2で作成した1〜15のチップを用いて、下記条
件により切削テストを行った。
件により切削テストを行った。
【0017】 被削材 FC25板 3枚断続配置 切削条件 速度 V=250m/min 送り f=0.25mm/刃 切込み d=2.0mm 切削油 湿式 表1中にその試験結果を、逃げ面平均摩耗量が0.2m
mに達するまでの切削パス数で示した。本発明のNo.
1〜10の切削工具は比較例の11〜15の切削工具と
比較して、優れた切削性能を示すことがわかる。
mに達するまでの切削パス数で示した。本発明のNo.
1〜10の切削工具は比較例の11〜15の切削工具と
比較して、優れた切削性能を示すことがわかる。
【図1】実施例におけるNo.5の焼結体のX線回折
図。
図。
【図2】同No.11の焼結体のX線回折図。
【図3】実施例2の切削試験で用いた被削材の形状説明
図。
図。
【図4】実施例3の切削試験で用いた被削材の形状説明
図。
図。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 山本 剛久 兵庫県伊丹市昆陽北一丁目1番1号 住友 電気工業株式会社伊丹製作所内
Claims (4)
- 【請求項1】 α−窒化ケイ素とβ´−サイアロンから
なる窒化ケイ素焼結体からなる窒化ケイ素系切削工具で
あって、該α−窒化ケイ素の平均結晶粒径が0.5μm
以下、該β´−サイアロンの長軸、短軸方向の平均結晶
粒径がそれぞれ2.0μm〜5.0μm、及び0.5μ
m以下であることを特徴とする窒化ケイ素系切削工具。 - 【請求項2】 焼結体中のα−窒化ケイ素とβ´−サイ
アロンの結晶相はX線回折によるピーク強度比が0%<
α−窒化ケイ素≦30%、70%≦β´−サイアロン<
100%であることを特徴とする請求項1記載の窒化ケ
イ素系切削工具。 - 【請求項3】 焼結体中のβ´−サイアロン(一般式
Si6-ZAlZOZN8-Z)は0<Z<1.0の範囲にある
ことを特徴とする請求項1記載の窒化ケイ素系切削工
具。 - 【請求項4】 焼結体中のα−窒化ケイ素は実質的にJ
CPDS(09−0250)のα−窒化ケイ素と同定さ
れることを特徴とする請求項1記載の窒化ケイ素系切削
工具。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP4014141A JPH05208869A (ja) | 1992-01-29 | 1992-01-29 | 窒化ケイ素系切削工具 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP4014141A JPH05208869A (ja) | 1992-01-29 | 1992-01-29 | 窒化ケイ素系切削工具 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH05208869A true JPH05208869A (ja) | 1993-08-20 |
Family
ID=11852875
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP4014141A Pending JPH05208869A (ja) | 1992-01-29 | 1992-01-29 | 窒化ケイ素系切削工具 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH05208869A (ja) |
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2010001203A (ja) * | 2008-05-19 | 2010-01-07 | Ngk Spark Plug Co Ltd | 窒化珪素焼結体、窒化珪素切削工具、窒化珪素焼結体の製造方法 |
JP2014141359A (ja) * | 2013-01-22 | 2014-08-07 | Sumitomo Electric Ind Ltd | サイアロン基焼結体 |
-
1992
- 1992-01-29 JP JP4014141A patent/JPH05208869A/ja active Pending
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2010001203A (ja) * | 2008-05-19 | 2010-01-07 | Ngk Spark Plug Co Ltd | 窒化珪素焼結体、窒化珪素切削工具、窒化珪素焼結体の製造方法 |
JP2014141359A (ja) * | 2013-01-22 | 2014-08-07 | Sumitomo Electric Ind Ltd | サイアロン基焼結体 |
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