JPH05203615A - pH測定電極の電位安定化方法及び装置 - Google Patents

pH測定電極の電位安定化方法及び装置

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JPH05203615A
JPH05203615A JP4038674A JP3867492A JPH05203615A JP H05203615 A JPH05203615 A JP H05203615A JP 4038674 A JP4038674 A JP 4038674A JP 3867492 A JP3867492 A JP 3867492A JP H05203615 A JPH05203615 A JP H05203615A
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 金属酸化物や金属を感応膜とするpH測定電
極の変動した電極電位を短時間で元の電位状態に復帰さ
せる方法及び装置を提供する。 【構成】 電極電位の変動した酸化イリジウムをpH感
応膜とするpH測定電極1〜4を、それらのリード線1
a〜4aを互いに電気的に接続して各電極を電気的に短
絡した状態で、pH6.86の中性リン酸塩溶液5中に
1時間程度浸漬する。 【効果】 電極電位の変動していたpH測定電極を、短
時間でほぼ元の電位状態に復帰させ、安定化させること
ができるから、非常に効率が良く、また、十分に校正が
できる電位状態に復帰させ、安定化させることができる
から、従来のように不良品として廃棄処分することなく
再使用できる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は一般的には溶液のpHを
測定するpH測定電極に関し、特に金属酸化物又は金属
をpH感応膜とするpH測定電極の電極電位を短時間で
元の電位状態に復帰させる電位安定化方法及び装置に関
する。
【0002】
【従来の技術】周知のように、溶液のpH測定には水素
イオン選択性の感応膜を有するpH測定電極が使用さ
れ、その代表的なものにガラスをpH感応膜とするガラ
ス電極がある。また、高温溶液等の特殊な溶液や特殊な
用途においては、白金等の金属や酸化チタン等の金属酸
化物をpH感応膜とするpH測定電極が使用されてい
る。通常、pHを測定する場合には、上記のpH測定電
極を作用電極とし、この作用電極を甘汞電極や銀−塩化
銀電極等の比較電極と共に測定すべき溶液(被測定溶
液)中に浸漬し、両電極間の電位差から被測定溶液のp
H値が求められる。
【0003】ガラス電極は安定性がすこぶる良く、測定
精度が高いので、種々の溶液のpHの測定に大いに利用
されている。しかしながら、ガラス電極は壊れ易いため
に取扱いが面倒であり、また、耐薬品性に劣るために使
用できる溶液に制限がある。さらに、pH計その他のp
H測定装置に対する小型化の要望が高まる中で、膜抵抗
値が高いために製造技術的にガラス電極を微小化するこ
とが困難であるという欠点があった。
【0004】このため、これら欠点を除去することがで
きるpH測定電極が種々検討されており、上述の金属や
金属酸化物をpH感応膜として用いたpH測定電極が提
案されている。
【0005】金属酸化物をpH感応膜とするpH測定電
極は、一般的に、溶液との界面での金属酸化物の酸化還
元平衡電位が溶液中の水素イオン濃度に依存して変化す
ることを利用するものであるが、安定性の点で問題があ
り、例えば、濃度10-1〜100 Mのアスコルビン酸、
フェロシアン、フェリシアンといった共存物質の影響を
受けると電極電位がしばしば変動することがある。同様
に、金属をpH感応膜とするpH測定電極の場合にも共
存物質の影響を受け、電極電位がしばしば変動すること
がある。
【0006】このように電極電位が変動したpH測定電
極は、従来、pH一定(例えばpH6.86)の標準液
に元の電位状態に復帰するまで浸漬する必要があり、通
常、元の電位状態に復帰するまでに最短で10時間を必
要とし、1日(24時間)〜2日(48時間)かかるも
のも多数あった。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、pH測
定電極の電位の復帰に10時間以上もの長い時間を必要
としたのでは、その間はpH測定電極が使用できないの
で、極めて効率が悪い。また、影響の受け方によっては
全く復帰しないこともある。電極電位が変動すると、不
斉電位が大きくなるから、pH計での校正が不能とな
り、不良品として廃棄せざるを得なくなる。
【0008】従って、本発明の1つの目的は、金属酸化
物や金属をpH感応膜とするpH測定電極の変動した電
極電位を短時間で元の電位状態に復帰させることができ
る電位安定化方法を提供することである。
【0009】本発明の他の目的は、金属酸化物や金属を
pH感応膜とするpH測定電極の変動した電極電位を短
時間で元の電位状態に復帰させることができるpH測定
電極の電位安定化装置を提供することである。
【0010】
【課題を解決するための手段】上記目的は本発明に係る
pH測定電極の電位安定化方法及び装置によって達成さ
れる。要約すれば、本発明は、電極電位の変動した金属
酸化物又は金属をpH感応膜とする複数個のpH測定電
極を、互いに電気的に短絡させた状態で、pH一定の溶
液中に浸漬することを特徴とするpH測定電極の電位安
定化方法である。
【0011】或は、本発明は、電極電位の変動した金属
酸化物又は金属をpH感応膜とするpH測定電極と、該
pH測定電極のpH感応膜と同じ金属酸化物又は金属を
内極として使用する比較電極とを、互いに電気的に短絡
させた状態で、前記比較電極の内部液と同一のpH一定
の溶液中に浸漬することを特徴とするpH測定電極の電
位安定化方法である。
【0012】さらに、本発明は、金属酸化物又は金属を
pH感応膜とする複数個のpH測定電極を収納する電極
収納部と、該電極収納部内に入れられたpH一定の溶液
と、前記電極収納部に収納された複数個のpH測定電極
を互いに電気的に短絡する手段とを具備し、前記電極収
納部内で複数個のpH測定電極を前記pH一定の溶液に
浸漬させ、かつこれらpH測定電極を互いに電気的に短
絡させて各pH測定電極の電極電位を安定化させること
を特徴とするpH測定電極の電位安定化装置である。
【0013】或は、本発明は、金属酸化物又は金属をp
H感応膜とするpH測定電極と該pH測定電極のpH感
応膜と同じ金属酸化物又は金属を内極として使用する比
較電極とを収納する電極収納部と、該電極収納部内に入
れられた前記比較電極の内部液と同一のpH一定の溶液
と、前記電極収納部に収納されたpH測定電極及び比較
電極を互いに電気的に短絡する手段とを具備し、前記電
極収納部内でpH測定電極及び比較電極を前記pH一定
の溶液に浸漬させ、かつこれら電極を互いに電気的に短
絡させて前記pH測定電極の電極電位を安定化させるこ
とを特徴とするpH測定電極の電位安定化装置である。
【0014】
【実施例】以下、本発明の実施例について添付図面を参
照して詳細に説明する。
【0015】本発明者達は金属酸化物について種々の研
究を行なった結果、化学的に安定でフッ化水素酸を含む
酸に侵されない、しかも膜抵抗値の低い酸化イリジウム
がpHに感応する事実を確認し、この酸化イリジウム膜
を、例えば反応性スパッタによって、所定形状及び寸法
の白金、タンタルなどの金属基板に製膜し、酸化イリジ
ウム膜をpH感応膜とするpH測定電極を製造した。
【0016】(実施例1)上記構成の酸化イリジウムの
pH測定電極を4本用意し、酸化イリジウムのpH測定
電極に影響を与える物質が共存した溶液のpHの測定に
使用した後、pH6.86の標準液である中性リン酸塩
溶液に浸漬し、それらの電極電位を測定したところ、各
電極の電位はそれぞれ281、321、256、及び3
85mVと大幅に変動していた。この電極電位の測定に
は比較電極として飽和塩化カリウム溶液に接触させた銀
−塩化銀電極(Satu.KCl-Ag/AgCl、当社製品HS-205C)を使
用した。
【0017】次に、図1に示すように、これら4本のp
H測定電極1〜4を、それらの電極導出線(リード線)
1a〜4aを互いに電気的に接続して各電極を電気的に
短絡させた状態で、同じpH6.86の中性リン酸塩溶
液5に浸漬し、1時間放置した。放置後、上記pH6.
86の中性リン酸塩溶液5に浸漬した状態で、比較電極
として上記飽和塩化カリウム溶液に接触させた銀−塩化
銀電極を使用して各電極の電位を測定したところ、電極
1〜4の電位はそれぞれ261、261、261、及び
261mVであった。また、これら4本の電極1〜4を
pH4.01の標準液であるフタル酸塩溶液中に浸漬
し、同じ比較電極を使用して各電極の電位を測定したと
ころ、電極1〜4の電位はそれぞれ430、429、4
30、及び430mVであった。これらの結果を次の表
1に示す。
【0018】
【表1】
【0019】上記表1から明白なように、4本の電極を
互いに電気的に短絡し、pH6.86の中性リン酸塩溶
液に1時間浸漬させると、大幅に変動した4本の酸化イ
リジウムのpH測定電極1〜4の電極電位は1時間とい
う短時間でほぼ同一となり、かつほぼ元の電位状態に復
帰し、安定化されることが分かる。また、1pH当りの
傾きも理論値と一致した。このように酸化イリジウムの
pH測定電極の電位が短時間でほぼ元の状態に復帰し、
安定化するのは、酸化イリジウムが半導体金属酸化物で
あるため、相互に電気的に短絡することで電流が流れ、
平衡状態になる作用が生ずるものと考えられる。
【0020】(実施例2)上記実施例1と同じ構成の酸
化イリジウムのpH測定電極を5本用意し、酸化イリジ
ウムのpH測定電極に影響を与える物質が共存した溶液
のpHの測定に使用した後、pH6.86の標準液であ
る中性リン酸塩溶液に浸漬し、それらの電極電位を測定
したところ、各電極の電位はそれぞれ270、282、
235、258、及び282mVと大幅に変動してい
た。この電極電位の測定には比較電極として上記実施例
1と同じ飽和塩化カリウム溶液に接触させた銀−塩化銀
電極(Satu.KCl-Ag/AgCl、当社製品HS-205C)を使用した。
【0021】次に、これら5本のpH測定電極をpH
4.01の標準液であるフタル酸塩溶液中に浸漬し、5
本の電極の電極導出線を相互に電気的に接続して短絡さ
せ、1時間放置した。放置後、上記pH4.01のフタ
ル酸塩溶液中に浸漬した状態で、比較電極として上記飽
和塩化カリウム溶液に接触させた銀−塩化銀電極を使用
して各電極の電位を測定したところ、これら電極の電位
はそれぞれ425、426、430、426、及び42
6mVであった。また、これら5本の電極を上記pH
6.86の中性リン酸塩溶液中に浸漬し、同じ比較電極
を使用して各電極の電位を測定したところ、これら電極
の電位はそれぞれ258、261、260、260、及
び258mVであった。これらの結果を次の表2に示
す。
【0022】
【表2】
【0023】上記表2から明白なように、大幅に変動し
た5本の酸化イリジウムのpH測定電極の電位は、pH
4.01のフタル酸塩溶液中に浸漬した場合でも、1時
間という短時間でほぼ同一となり、かつほぼ元の電位状
態に復帰し、安定化されることが分かる。また、1pH
当りの傾きも理論値と一致した。
【0024】また、上記表1及び2から、pH測定電極
を浸漬する溶液はpH一定の溶液であれば良く、電極を
互いに短絡してそのpH一定の溶液中に短時間の間浸漬
すれば、ほぼ均一で安定な元の電極電位に復帰するとい
うことが理解できよう。
【0025】なお、電極電位の変動した各pH測定電
極、或は電極電位の変動したpH測定電極と比較電極
は、互いに電気的に短絡させてからpH一定の溶液に浸
漬させても、浸漬させてから互いに電気的に短絡させて
も良い。
【0026】(実施例3)本実施例はpH測定電極のp
H感応膜のみならず、比較電極の内極にも酸化イリジウ
ムを使用した場合の電極電位安定化方法である。図2に
示すように、比較電極10は内筒11及び外筒12にそ
れぞれジャンクション11a及び12aを有するダブル
ジャンクション形のものが使用され、内筒11内の内部
液13中に浸漬された内極14に酸化イリジウムが使用
されている。この内極14は、図3に拡大して示すよう
に、所定の形状及び寸法の導電性の電極支持体21と、
この支持体21の1つの面に、例えばスパッタリングに
よって製膜された酸化イリジウム膜22とから構成さ
れ、電極支持体21が内筒11内に同軸的に配置された
支持管体16の底面に形成された透孔中に液密状態に取
り付けられることによって、酸化イリジウム膜22は内
筒11内の内部液13中に完全に浸漬した状態で支持さ
れている。
【0027】電極支持体21は酸化イリジウム膜22の
支持体として機能するもので、アルミニウム、白金、タ
ンタル、チタン、イリジウムなど導電性を有するもので
あればどんな金属でも良いが、本実施例では細長い板状
体のタンタルの金属板が使用され、酸化イリジウム膜2
2が被着された以外の全表面は絶縁膜24で電気的に絶
縁されている。また、電極支持体21の内部液13と接
触しない上端部にはリード線23が電気的に接続され、
このリード線23は支持管体16内を通って図示しない
測定処理回路の入力ジャックに接続される。
【0028】なお、図3では酸化イリジウム膜22と電
極支持体21との間に絶縁膜24が存在しないが、電極
支持体21には初めにその全面に絶縁膜24が被着され
ており、酸化イリジウム膜22を、例えばスパッタリン
グ被着することによってその間にある絶縁膜が除去さ
れ、酸化イリジウム膜22は電極支持体21と電気的に
強固に接続される。従って、酸化イリジウム膜を形成す
る部分の絶縁膜を予め電極支持体21から除去しておく
必要はない。
【0029】また、電極支持体21として、例えばサフ
ァイヤ、ガラス、セラミックスなどの無機材料やポリ塩
化ビニル(PVC)、フッ素樹脂などのプラスチック材
料よりなる絶縁物の板状体を使用してもよい。この場合
には酸化イリジウム膜22の上部を支持管体16内に配
置し、リード線23を酸化イリジウム膜22の上端部に
接続することになる。一方、絶縁膜24としては、五酸
化タンタル(Ta2O5) 、アルミナ(Al2O3) 、二酸化ケイ素
(SiO2)、窒化ケイ素(Si3N4) などの絶縁性の酸化物、窒
化物とフッ素樹脂などのプラスチック材料が使用でき
る。絶縁膜24は自然酸化膜を利用しても良いし、スパ
ッタリング、CVDなどの真空薄膜製造技術、加熱酸
化、金属アルコキシドを材料としたディップコーティン
グ法などの製造方法を使用して形成しても良い。なお、
電極支持体21の形状や寸法は任意に選択できるもので
あり、例えば、棒状体、円筒及び角筒状体等の種々の形
状の支持体が使用できる。また、金属酸化物としては、
酸化イリジウムの他に、例えば酸化パラジウム、酸化チ
タンなどの金属酸化物が使用できる。勿論、比較電極1
0の内極14は任意の構成のものが使用できる。
【0030】このような酸化イリジウムを内極14とす
る比較電極10が使用されているときには、上記図2に
示すように、電極電位の変動した酸化イリジウムのpH
測定電極30と比較電極10を、比較電極10の内筒1
1内に注入されている内部液13と同じpH一定の溶液
15中に浸漬し、pH測定電極30のリード線31と比
較電極10のリード線23とを電気的に接続して両電極
を互いに電気的に短絡し、所定時間放置する。本実施例
では、pH6.86の標準液である中性リン酸塩溶液で
の電極電位が320mVである酸化イリジウムのpH測
定電極30と247mVの比較電極10とを互いに電気
的に短絡して、この比較電極10の内筒11内に注入さ
れているpH一定の内部液13と同じ溶液15中に浸漬
し、1時間放置した。その後このpH測定電極30を上
記pH6.86の中性リン酸塩溶液に浸漬してその電極
電位を測定したところ、比較電極10と同じ247mV
であった。
【0031】このように、比較電極の内極にもpH測定
電極と同じ金属酸化物が使用されているときには、比較
電極の内筒内に注入されている内部液と同じ溶液にpH
測定電極と比較電極を浸漬し、両電極を互いに電気的に
短絡して短時間放置することによっても、pH測定電極
の電極電位の変動をほぼ元の状態に復帰させ、安定化さ
せることができる。
【0032】上記酸化イリジウムのpH測定電極30の
一例を図4に拡大して示す。このpH測定電極30は、
所定の形状及び寸法の導電性の電極支持体32と、この
支持体32の1つの面に、例えばスパッタリングによっ
て製膜された酸化イリジウム膜よりなるpH感応膜33
とを含み、このpH感応膜33を支持する電極支持体3
2が、例えばガラスの支持管34の底面に固着されるこ
とによって、pH感応膜33は支持管34に支持され
る。本実施例では、電極支持体32として直径2mm、
厚さ0.2mmの白金の円板を使用し、この白金円板に
白金のリード線31を接続し、このリード線31をpH
測定電極30のガラスの支持管34の端面に形成された
リード線挿通孔に挿通して白金円板のリード線31が接
続された面をガラス支持管34の端面に接触させ、加熱
して白金円板をガラス支持管34の端面に融着させた。
このときリード線挿通孔は閉塞され、リード線31はガ
ラス支持管34の端面に封止された。次に、酸洗浄によ
り十分に表面の酸化被膜を除去した後、白金円板の表面
の中心部に直径1mmの円形の感応膜形成部を残して、
残りの部分をマスキングし、これをスパッタリング装置
の成膜室に入れて、酸化性雰囲気下でIrターゲットを
電圧0.8KVにて100分間スパッタリングして酸化
イリジウム膜を形成し、次いで、この成膜された酸化イ
リジウム膜をマスキングし、アルカリ性の溶液中に24
時間浸漬して酸化イリジウム膜部分を除く白金円板の全
露出面に酸化膜(絶縁膜)35を形成した。
【0033】また、他の実施例においては、電極支持体
32として厚さ0.5mm、直径4mmのタンタルの円
板を使用し、このタンタル円板の全面に自然酸化により
形成された五酸化タンタルの被膜を絶縁膜35とし、こ
の絶縁被膜を有するタンタル円板上にマスキング材を用
いて直径3mmの酸化イリジウム膜をスパッタリングに
より被着し、厚さ約1000ÅのpH感応膜33を形成
した。
【0034】なお、図4では酸化イリジウムのpH感応
膜33と白金円板の電極支持体32との間に絶縁膜35
が存在しないが、電極支持体32には初めにその全面に
絶縁膜35が被着されており、酸化イリジウムの金属酸
化物膜を、例えばスパッタリング被着することによって
その間にある絶縁膜が除去され、金属酸化物膜は電極支
持体32と電気的に強固に接続される。従って、金属酸
化物膜を形成する部分の絶縁膜を予め電極支持体32か
ら除去しておく必要はない。
【0035】上記導電性の電極支持体32は金属酸化物
膜のpH感応膜33の支持体として機能するもので、ア
ルミニウム、白金、タンタル、チタン、イリジウムなど
導電性を有するものであればどんな金属でも良い。ま
た、絶縁膜35としては、五酸化タンタル(Ta2O5) 、ア
ルミナ(Al2O3) 、二酸化ケイ素(SiO2)、窒化ケイ素(Si3
N4) などの絶縁性の酸化物、窒化物とフッ素樹脂などの
プラスチック材料が使用できる。絶縁膜35は自然酸化
膜を利用しても良いし、スパッタリング、CVDなどの
真空薄膜製造技術、加熱酸化、金属アルコキシドを材料
としたディップコーティング法などの製造方法を使用し
て形成しても良い。さらに、金属酸化物膜としては、酸
化イリジウム、酸化パラジウム、酸化チタンなどの金属
酸化物が使用でき、スパッタリング、CVDなどの真空
薄膜製造技術によって電極支持体32上に製膜される。
勿論、上記pH測定電極の構成、使用材料、製造方法等
は単なる例示であり、必要に応じて種々に変形、変更可
能である。
【0036】図5は本発明によるpH測定電極の電位安
定化装置の一実施例を示す概略構成図であり、2本のp
H測定電極41、42がアダプタ43の電極収納部に収
納されている状態を示す。このアダプタ43はその内部
にpH一定の溶液44が注入されており、また、各pH
測定電極41、42のリード線41a、42aの先端に
それぞれ取り付けられた電極プラグ(図示せず)が差し
込める端子(入力ジャック)45、46を備えている。
これら端子間にはオン・オフスイッチ47が接続されて
おり、このスイッチ47をオンにすると、2つのpH測
定電極41、42が電気的に短絡できるように構成され
ている。
【0037】上記構成のアダプタ43をpH測定装置に
取り付けておけば(取り外し可能に構成すると好便であ
る)、測定終了後、pH測定電極をこのアダプタ43内
に収納し、スイッチ47をオンにすることによって、簡
単に、しかも短時間で、pH測定電極を安定化させるこ
とができるので、直ちに次の測定が行なえるようにな
り、非常に好都合である。
【0038】なお、上記実施例ではアダプタ43に2本
のpH測定電極を収納する電極収納部を設けたが、電極
収納部を3本以上のpH測定電極が収納できるように構
成すれば、一度に多数のpH測定電極が安定化できる。
勿論、この場合には電極収納部に収納されたすべてのp
H測定電極を互いに電気的に短絡できるように短絡手段
を構成する。また、アダプタ43を1本又は複数本のp
H測定電極と1本(複数本でも良い)の比較電極とが収
納できるように構成しても良い。この場合には、アダプ
タ43内に比較電極の内部液と同一のpH一定の溶液を
入れておく。さらに、アダプタ43の電極収納部内に比
較電極の内部液と同一のpH一定の溶液を入れておけ
ば、複数本のpH測定電極を収納した場合でも、pH測
定電極と比較電極とを収納した場合でも、pH測定電極
の安定化が迅速に行なえるという利点がある。
【0039】上記アダプタ43は取り外せるから、pH
測定電極を保存しておく場合に、取り外したアダプタ4
3に収納して電気的に短絡しておけば、保存中のトラブ
ルが全くなくなるという利点がある。また、pH測定電
極を保存する場合や、エージング不足の場合等には、電
気的に短絡する際に、適当な抵抗を短絡回路中に挿入す
ると、好結果が得られる。この抵抗は0〜ギガΩ程度の
可変抵抗とすると、操作が容易になり、好便である。さ
らに、電位安定化装置をアダプタ形式とせず、pH測定
装置とは全く別体に構成しても良いことは勿論である。
【0040】なお、上記各実施例では金属酸化物として
酸化イリジウムを使用したが、類似する性質の他の金属
酸化物の場合にも上記実施例と同様の作用効果が期待で
きる。また、金、銀、白金などの金属をpH感応膜とす
るpH測定電極に対しても上述した本発明は適用でき、
同様の作用効果が期待できる。
【0041】
【発明の効果】以上の説明で明白なように、本発明によ
れば、電極電位の変動した金属酸化物又は金属をpH感
応膜とする複数個のpH測定電極を互いに電気的に短絡
させた状態で、pH一定の溶液に短時間浸漬するだけ
で、或はpH感応膜と同じ金属酸化物又は金属を内極と
した比較電極を使用する場合にはpH測定電極とこの比
較電極を互いに電気的に短絡させた状態で、比較電極の
内部液と同じpH一定の溶液に短時間浸漬するだけで、
これらpH測定電極の変動した電極電位を、たとえ大幅
に変動していても、ほぼ元の電位状態に復帰させ、安定
化させることができるから、非常に効率が良く、また、
十分に校正ができる電位状態に復帰させ、安定化させる
ことができるから、従来のように不良品として廃棄処分
することなく再使用できる等の顕著な効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明によるpH測定電極の電位安定化方法を
実施する一態様を例示する概略説明図である。
【図2】本発明によるpH測定電極の電位安定化方法を
実施する他の態様を例示する概略説明図である。
【図3】比較電極の一例を拡大して示す構成図である。
【図4】pH測定電極の一例を拡大して示す構成図であ
る。
【図5】本発明によるpH測定電極の電位安定化装置の
一実施例を示す概略構成図である。
【符号の説明】
1〜4 pH測定電極 5 pH6.86の中性リン酸塩溶液 10 比較電極 11 比較電極の内筒 12 比較電極の外筒 13 内筒内の内部液 14 比較電極の内極 15 内筒内の内部液と同じpH一定の溶
液 16 支持管体 21 電極支持体 22 酸化イリジウム膜 23 リード線 30 pH測定電極 31 リード線 32 電極支持体 33 酸化イリジウムのpH感応膜 34 支持管 35 絶縁膜 41、42 pH測定電極 43 アダプタ 44 pH一定の溶液 47 スイッチ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 金野 裕子 埼玉県狭山市大字北入曽613番地 東亜電 波工業株式会社狭山工場内

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 電極電位の変動した金属酸化物又は金属
    をpH感応膜とする複数個のpH測定電極を、互いに電
    気的に短絡させた状態で、pH一定の溶液中に浸漬する
    ことを特徴とするpH測定電極の電位安定化方法。
  2. 【請求項2】 電極電位の変動した金属酸化物又は金属
    をpH感応膜とするpH測定電極と、該pH測定電極の
    pH感応膜と同じ金属酸化物又は金属を内極として使用
    する比較電極とを、互いに電気的に短絡させた状態で、
    前記比較電極の内部液と同一のpH一定の溶液中に浸漬
    することを特徴とするpH測定電極の電位安定化方法。
  3. 【請求項3】 前記金属酸化物が、Ir、Pd、Pt、
    Sn、Rh、Ta、Os、Ru、W、Tiから選ばれた
    金属の酸化物であることを特徴とする請求項1又は2の
    pH測定電極の電位安定化方法。
  4. 【請求項4】 前記金属酸化物が酸化イリジウムである
    ことを特徴とする請求項1又は2のpH測定電極の電位
    安定化方法。
  5. 【請求項5】 前記pH一定の溶液中に浸漬する時間が
    1時間程度であることを特徴とする請求項1又は2のp
    H測定電極の電位安定化方法。
  6. 【請求項6】 金属酸化物又は金属をpH感応膜とする
    複数個のpH測定電極を収納する電極収納部と、該電極
    収納部内に入れられたpH一定の溶液と、前記電極収納
    部に収納された複数個のpH測定電極を互いに電気的に
    短絡する手段とを具備し、前記電極収納部内で複数個の
    pH測定電極を前記pH一定の溶液に浸漬させ、かつこ
    れらpH測定電極を互いに電気的に短絡させて各pH測
    定電極の電極電位を安定化させることを特徴とするpH
    測定電極の電位安定化装置。
  7. 【請求項7】 金属酸化物又は金属をpH感応膜とする
    pH測定電極と該pH測定電極のpH感応膜と同じ金属
    酸化物又は金属を内極として使用する比較電極とを収納
    する電極収納部と、該電極収納部内に入れられた前記比
    較電極の内部液と同一のpH一定の溶液と、前記電極収
    納部に収納されたpH測定電極及び比較電極を互いに電
    気的に短絡する手段とを具備し、前記電極収納部内でp
    H測定電極及び比較電極を前記pH一定の溶液に浸漬さ
    せ、かつこれら電極を互いに電気的に短絡させて前記p
    H測定電極の電極電位を安定化させることを特徴とする
    pH測定電極の電位安定化装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP4857288B2 (ja) * 2006-11-08 2012-01-18 株式会社堀場製作所 ガラス電極等の洗浄保存液
CN104422720A (zh) * 2013-08-22 2015-03-18 恩德莱斯和豪瑟尔测量及调节技术分析仪表两合公司 测量装置

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