JPH05202462A - 複合資材 - Google Patents

複合資材

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JPH05202462A
JPH05202462A JP18592192A JP18592192A JPH05202462A JP H05202462 A JPH05202462 A JP H05202462A JP 18592192 A JP18592192 A JP 18592192A JP 18592192 A JP18592192 A JP 18592192A JP H05202462 A JPH05202462 A JP H05202462A
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Abstract

(57)【要約】 【構成】本発明は緩衝、防振、吸音、電磁波遮蔽効果等
のある建築用、室内装飾用等の資材を提供し、また他方
ではヤシ繊維の高度利用を図ることを目的としてなされ
たものであって、比較的硬調な繊維を不織布様ないし三
次元網組織状に絡み合わせて成るマット層1に対し、溶
射による金属溶滴を皮膜2状に付着させていることを特
徴とする。 【効果】本発明の複合資材によれば、マット層の緩衝
性、防振性等を備えた上で、電磁波遮蔽効果が発現され
るとともに、吸音効果も奏され、緩衝、防振、吸音、電
磁波遮蔽効果等ある梱包用、建築用、室内装飾用等の複
合資材として提供することができる。また本発明ではヤ
シ繊維を使用したときは、プラスチック類の焼却時公害
の問題も同時に解決し、従来にないヤシ科植物繊維の高
度、積極的利用を図ることもできるようになる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の目的】
【産業上の利用分野】本発明は緩衝、防振、吸音および
電磁波遮蔽効果等を備える、建築用、室内装飾用等の各
種資材に関するものである。
【0002】
【発明の背景】近時、家屋の密集、団地化、高級住宅化
するに伴い、各家屋、各部屋における防振、防音対策が
求められるようになり、床板材に吸音、緩衝用のフェル
ト層やハニカム構造等の防音断熱層を裏張りした高級品
も出回り出している。同様な事は、車両、船舶、飛行機
内における床壁等の室内装飾についても言え、勿論、道
路沿い、線路沿いに建てられる防音壁にも言える。一方
デジタル回路を応用した電子機器が急速に普及してきて
おり、これらは家庭内で用いられるのは勿論、車両、船
舶、飛行機、通信設備等のありとあらゆるところで使用
されるため、いわゆる電磁波障害が問題となっている。
また、各種測定機器が高精度化するにつれて、測定環境
下における防振、電磁波遮蔽等が高い次元で要求される
ようにもなってきている。
【0003】また、これらとは別に、家電製品の梱包材
として多用されてきた発泡スチロールを紙の段ボールに
代えようとする動きもある。発泡スチロール等のプラス
チック類は、燃焼時に高熱を発して廃棄物焼却炉に悪影
響を与え、周囲には有害な煤煙を撒き散らしているから
である。同様な廃棄物処理の問題は、床板材等についも
言えるため、本出願人は、いわゆるシュロ皮やココヤシ
の中果皮繊維等、ヤシ科植物の繊維を、マット状とした
際の緩衝性、防振性、防音性、適湿性、焼却時低公害性
等について着目した。
【0004】
【開発を試みた技術的事項】そこで本発明は、緩衝、防
振、吸音、電磁波遮蔽効果等を備える、建築資材、室内
装飾資材等の複合資材を提供しようとするものである。
また、いわゆるヤシ繊維のマット状としたものの特質を
積極的に利用し、天然公害に近い、特に廃棄処理にあっ
て有利な複合資材を提供しようとするものでもある。
【0005】
【発明の構成】
【目的達成の手段】即ち本出願に係る第一の発明たる複
合資材は、比較的硬調な繊維を不織布様ないし三次元網
組織状に絡み合わせて成るマット層に対し、溶射による
金属溶滴を皮膜状に付着させていることを特徴とする。
【0006】また本出願に係る第二の発明たる複合資材
は、前記要件に加え比較的硬調な不織布様ないし三次元
網組織状に絡み合わせて成るマット層は、これに別途の
細く柔軟な合成樹脂繊維が絡み合わされていることを特
徴として成るものである。
【0007】更に本出願に係る第三の発明たる複合資材
は、前記要件に加え比較的硬調な不織布様ないし三次元
網組織状に絡み合わせて成るマット層における各繊維
は、別途の粘弾性物質が皮膜していることを特徴として
成るものである。
【0008】更にまた本出願に係る第四の発明たる複合
資材は、前記要件に加え前記マット層は、ヤシ繊維を不
織布様ないし三次元網組織状に絡み合わせてなる層であ
ることを特徴として成るものである。
【0009】更にまた本出願に係る第五の発明たる複合
資材は、前記要件に加え前記マット層は、不燃処理され
ていることを特徴として成るものである。
【0010】更にまた本出願に係る第六の発明たる複合
資材は、前記要件に加え前記マット層は、プレス加工さ
れていることを特徴として成るものである。
【0011】更にまた本出願に係る第七の発明たる複合
資材は、前記要件に加え前記マット層は、合成樹脂製フ
ィラメントを不織布様ないし三次元網組織状に絡み合わ
せてなる層であることを特徴として成るものである。
【0012】更にまた本出願に係る第八の発明たる複合
資材は、前記要件に加え比較的硬調な繊維を不織布様な
いし三次元網組織状に絡み合わせて成るマット層は、さ
らに板状の層と積層されていることを特徴として成るも
のである。
【0013】更にまた本出願に係る第九の発明たる複合
資材は、前記要件に加え比較的硬調な繊維を不織布様な
いし三次元網組織状に絡み合わせて成るマット層は、さ
らに粘弾性物質の層と積層されていることを特徴として
成るものである。これらをもって前記目的を達成しよう
とするものである。
【0014】
【発明の作用】本発明の複合資材は、比較的硬調な繊維
を不織布様ないし三次元網組織状に絡み合わせて成るマ
ット層に、溶射による金属溶滴を皮膜状に付着させてい
ることを基本として成るため、そのマット層の緩衝性、
防振性、防音性等を備えた上で、金属溶滴による導電性
がそのマット層において電磁波遮蔽効果として発揮され
るとともに、各繊維を接結する作用をなす。そして、こ
の金属溶滴付着面は、凹凸が激しく多孔質的であって、
かつ金属溶滴自体質量があるため、吸音効果も発揮され
る。また、そのマット層としての熱の伝導性、熱の発散
性が生ずることにもなる。
【0015】更にこのような層を板状の層としての例え
ば段ボールと積層すれば、十分強度及び緩衝性、電磁波
遮蔽性等ある梱包資材となり、板状の層としての木板を
材質とした層と積層すれば、緩衝性、防音性、電磁波遮
蔽性等ある建築資材等となる。また、比較的硬調な繊維
に細く柔軟な合成樹脂繊維を絡み付かせるか、粘弾性物
質の皮膜を形成することで、その緩衝性、防振性、防音
性等が改善され、この合成樹脂原料に脱臭剤、芳香剤、
防虫剤等の薬剤を混入することで、脱臭、防虫、香り漂
うものとなる。また、マット層を構成する繊維が、ヤシ
繊維であれば、その廃棄時処理も植物の乾燥品を焼却す
る程度に扱え、再資源化もし易い。
【0016】
【実施例】以下、本発明を構成する要素たるヤシ繊維、
比較的硬調な合成樹脂性フィラメントを不織布様ないし
三次元網組織状に絡み合わせてなるマット層、溶射、粘
弾性物質、脱臭剤、芳香剤、防虫剤等の薬剤、酸化物系
微粉末脱臭剤等について順次説明した後、図示実施例に
ついて具体的に説明する。
【0017】本発明ではヤシ繊維とは、熱帯から亜熱帯
地域にかけて分布するヤシ科植物における繊維状樹皮、
葉柄基部繊維、中果皮繊維等の繊維と定義する。ヤシ科
の植物は、すべて常緑の低木または高木で、幹は単一で
枝を分けることがなく、先端に葉冠をつくるものであ
り、幹がほとんど無いものや、高さ30メートルにもな
るものの、表面がなめらかなもの、古い葉鞘に密に包ま
れたものなどがある。またトウ類のように、茎はつると
なって樹上に高く登るもの、とっくり状に幹がふくれる
ものの、さらにドームヤシ属Hyphaeneのように
二又に分岐する例外的なものもある。
【0018】そして、その葉はふつう大型で、掌状また
は羽状で革質、葉柄の基部は幅広い葉鞘となって幹をし
っかりと抱いている、葉鞘部にはたくさんの繊維があ
り、種類によっては、古くなると柔らかい組織は腐って
繊維だけが残り、いわゆるシュロ皮ができる。花序は頂
生又はえき生の大きな総状の肉穂花序で、よく分岐し、
頂生の場合は、花が咲くと木は枯死する。風または昆虫
によって受精し、果実は液果または該果の場合は、内果
皮は種子にくっついているのが普通であり、中果皮は厚
い繊維層を有する。これらがヤシ繊維であり、具体的に
は、樹皮が繊維状として呈するヤシ科植物に、シユロ属
シュロ、トウジュロ、葉柄基部に繊維を呈するものにチ
ャマエロプス属チャボトウジュロ、クジャクヤシ属クジ
ャクヤシ、オウギヤシ属オウギヤシ、ナツメヤシ属ナツ
メヤシ、サゴヤシ属サゴヤシ、クロツグ属クロツグ、サ
トウヤシ、中果皮の繊維を提供するものに、ココヤシ属
ココヤシ、ニッパヤシ属ニッパヤシ等がある。
【0019】本発明では、これらヤシ繊維を不織布様な
いし三次元網組織状に絡み合わせものを使用する。マッ
ト層とするには、これら繊維を一旦ほぐした後、再度絡
み合わせる等、合成繊維における不織布製造工程と同様
な手法がとれ、絡み合わせるにあたっては適度に接着剤
を塗布し、通常5mm〜20mm程度の厚さとしたもの
が使い易い。またシート材やいわゆるクッシヨン材とし
て使用するときは、これを重ねて使用するか、それ以上
の厚さのものを用いるのが望ましい。
【0020】また本発明ではヤシ繊維の他に、比較的硬
調な合成樹脂製フィラメントを不織布様ないし三次元網
組織状に絡み合わせてなるマット層を用いることがで
き、これは少なくとも前述のヤシ繊維程度に硬調で、全
体を比較的粗の不織布状に絡み合わせたり、三次元網組
織状に絡み合わせたりして、適度のクッション性を有し
て、伸縮、屈曲、変形できるものであれば、その材質が
熱可塑性、熱硬化性であるかを問わないものである。ま
たフィラメントとは、紡糸工程で単一の線条として得ら
れる本来のモノフィラメント繊維の他、腰さえ強ければ
マルチフィラメントでもよいし、さらには例えば合成樹
脂を発泡成形させた後に、これを適宜な溶剤等に浸けて
その膜組織のみを溶解し、残った骨格組織としたもので
あってもよい。このように比較的硬調な合成樹脂フィラ
メントを不織布様ないし三次元網組織状に絡み合わせて
なるマット層は、細く柔軟な合成樹脂繊維からなる普通
の不織布とは異なり、例えば持ち上げる等しても一定の
形状を保ち、負荷が加わってはじめて変形するものであ
って、前記ヤシ繊維のマット層と同様にいわゆるクッシ
ョン性を呈する。
【0021】そしてこれらヤシ繊維のマット層、あるい
は比較的硬調な合成樹脂製フィラメントを不織布様ない
し三次元網組織状に絡み合わせてなるマット層には、普
通に言う不織布におけるごく普通の細く柔軟な合成樹脂
繊維を絡み合わせてもよい。この合成樹脂繊維の原料に
は、ナイロン、ビニロン、ビニリデン、ウレタン、ポリ
エチレン、ポリプロピレン、アクリル等の種々の合成樹
脂を適用することができ、またその紡糸法にあっても、
溶融紡糸、重合紡糸、乾式法、湿式法等を問わず、材質
に応じて適宜の方法を適用することができる。また、こ
れを絡み合わせるにあたっては、例えば、溶融紡糸装置
の紡糸口金下方にコンベヤを配置し、紡糸口金からは高
温高速の空気流に乗せて原料の合成樹脂を糸状に吹き出
させるとともに、下方をコンベヤに乗って移動中のこれ
らのマット層の上に集積させて行う。このようにするこ
とによって、そのマット層には、細く柔軟な合成樹脂繊
維がヤシ繊維あるいは合成樹脂製フィラメント間を、そ
の層のある程度中まで侵入して絡み合うようになる。
【0022】次に溶射について説明する。溶射とは、ワ
イヤーやロッド状の線形材料や粉末材料を高温で融かし
て被処理物へ溶滴として吹き付け、被処理物の表面に金
属等の皮膜を形成する技術であり、主に金属体の防錆化
の表面処理法として知られている。この溶射には、材料
を溶融させる手段の別で、フレーム式、アーク式、プラ
ズマ式等の各種形式があり、また、その際の材料形態の
別により、ワイヤー式、ロッド式、粉末式等に細分され
る。
【0023】本発明においては、その中でも、フレーム
式溶射法により溶射するのが、その溶滴温度が比較的低
い点で好適であり、また、その際の燃料ガス、酸素、圧
縮空気等の圧力や流量を調整して溶滴粒径やバス回数等
を調整して行う。また、その溶射材料としては、亜鉛、
アルミニウム、およびこれらの合金を始め、炭素鋼、低
合金鋼、ステンレス鋼、ハビット、モリブデン、黄銅、
アルミ青銅、マンガン青銅、銅、ニッケルアルミナイ
ト、モネル、ニッケル、錫、鉛、ハンダ、ウッド合金等
の各種金属のうち、溶滴温度との兼ね合いも含め、好ま
しくは良導電材料から選ばれる。また、施工方式として
は、据置式のものと、手動式のものとがあり、手動式の
ものによれば現場作業も可能となる。
【0024】そして、溶射は一般には金属平坦面に対し
て施されるのが普通であるが、本発明では、比較的硬調
な繊維を不織布様ないし三次元網組織状に絡み合わせて
なるマット層に対して行う。このため、溶射による金属
溶滴は、時には繊維間にまたがって付着して各繊維間を
接結しつつ、マット層が一様に覆われるように皮膜状に
付着する。そして、この皮膜は基本的に不織布様ないし
三次元網組織状の絡み合いに沿って行われるため、凹凸
が激しく、多孔質的である。したがって凹凸が激しく、
多孔質的であって、かつ相対的に質量のある金属皮膜が
クッション性を示すマット層上に形成されるため、吸音
効果と、熱の伝導性、熱の発散性が生ずる。勿論、その
皮膜は金属で導電性があるため、静電防止、電磁波遮蔽
効果も生ずるようになる。
【0025】また、本発明では、前記ヤシ繊維のマット
層、あるいは比較的硬調な合成樹脂製フィラメントを不
織布様ないし三次元網組織状に絡み合わせてなるマット
層を粘弾性物質にて皮膜したり、それらマット層ごと一
部または全部含浸させ、あるいはこれに重ね合わせて積
層させることができるので、次にこの粘弾性物質につい
て説明する。
【0026】まずこの粘弾性物質として好適なものにシ
リコーンゲルがある。シリコーンゲルは、例えば次式
[1]で示されるシリコーンゲルの原液たるジオルガノ
ポリシロキサン(以下A成分という): RR1 2SiO−(R2 2SiO)nSiR1 2R…[1] [ただし、Rはアルケニル基であり、R1 は脂肪族不飽
和結合を有しない一価の炭化水素基であり、R2 は一価
の脂肪族炭化水素基(R2 のうち少なくとも50モル%
はメチル基であり、アルケニル基を有する場合にはその
含有率は10モル%以下である)であり、nはこの成分
の25℃における粘度が100〜100,000cSt
になるような数である]と、25℃における粘度が50
00cSt以下であり、1分子中に少なくとも2個のS
i原子に直接結合した水素原子を有するシリコーンゲル
の原液たるオルガノハイドロジェンポリシロキサン(B
成分)とからなり、且つこのB成分中のSi原子に直接
結合している水素原子の合計量に対するA成分中に含ま
れるアルケニル基の合計量の比(モル比)が0.1〜
2.0になるように調整された混合物を硬化させること
により得られる付加反応型シリコーンコポリマーであ
る。
【0027】このシリコーンゲルについてさらに詳しく
説明すると、上記A成分は直鎖状の分子構造を有し、分
子の両末端にあるアルケニル基RがB成分中のSi原子
に直接結合した水素原子と付加して架橋構造を形成する
ことができる化合物である。この分子末端に存在するア
ルケニル基は、低級アルケニル基であることが好まし
く、反応性を考慮するとビニル基が特に好ましい。また
分子末端に存在するR1 は、脂肪族不飽和結合を有しな
い一価の炭化水素基であり、このような基の具体例とし
てはメチル基、プロピル基及びヘキシル基等のようなア
ルキル基、フェニル基並びにフロロアルキル基を挙げる
ことができる。上記[1]式においてR2 は一価の脂肪
族炭化水素であり、このような基の具体的な例として
は、メチル基、プロピル基及びヘキシル基等のようなア
ルキル基並びにビニル基のような低級アルケニル基を挙
げることができる。ただし、R2 のうち少なくとも50
モル%はメチル基であり、R2 がアルケニル基である場
合には、アルケニル基は10モル%以下の量であること
が好ましい。アルケニル基の量が10モル%を越えると
架橋密度が高くなり過ぎて高粘度になりやすい。またn
は、このA成分の25℃における粘度が通常は100〜
100,000cSt、好ましくは200〜20,00
0cStの範囲内になるように設定される。
【0028】上記のB成分は、A成分の架橋剤でありS
i原子に直接結合した水素原子がA成分中のアルケニル
基と付加してA成分を硬化させる。B成分は上記のよう
な作用を有していればよく、B成分としては直鎖状、分
岐した鎖状、環状、あるいは網目状などの種々の分子構
造のものが使用できる。また、B成分中のSi原子には
水素原子の他、有機基が結合しており、この有機基は通
常はメチル基のような低級アルキル基である。さらに、
B成分の25℃における粘度は通常は5000cSt以
下、好ましくは500cSt以下である。このようなB
成分の例としては、分子両末端がトリオルガノシロキシ
基で封鎖されたオルガノハイドロジェンポリシロキサ
ン、ジオルガノシロキサンとオルガノハイドロジェンシ
ロキサンとの共重合体、テトラオルガノテトラハイドロ
ジェンシクロテトラシロキサン、HR1 2SiO 1/2単位
とSiO 4/2単位とからなる共重合体ポリシロキサン、
及びHR1 2SiO 1/2単位とR1 3SiO 1/2単位とSi
O 4/2単位とからなる共重合体ポリシロキサンを挙げる
ことができる。ただし上記式においてR1 は前記と同じ
意味である。そして上記のB成分中のSiに直接結合し
ている水素原子の合計モル量に対するA成分中のアルケ
ニル基の合計モル量との比率が通常は0.1〜2.0、
好ましくは0.1〜1.0の範囲内になるようにA成分
とB成分とを混合して硬化させることにより製造され
る。
【0029】この場合の硬化反応は、通常は触媒を用い
て行なわれる。ここで使用される触媒としては、白金系
触媒が好適であり、この例としては微粉砕元素状白金、
塩化白金酸、酸化白金、白金とオレフィンとの錯塩、白
金アルコラート及び塩化白金酸とビニルシロキ酸との錯
塩を挙げることができる。このような錯塩はA成分とB
成分との合計重量に対して通常は0.1ppm(白金換
算量、 以下同様)以上、好ましくは0.5ppm以上の
量で使用される。このような触媒の量の上限については
特に制限はないが、例えば触媒が液状である場合、ある
いは溶液として使用することができる場合には200p
pm以下の量で十分である。
【0030】そして上記のようなA成分、B成分及び触
媒を混合し、室温に放置するか、あるいは加熱すること
により硬化して本発明で使用されるシリコーンゲルが生
成する。加熱して硬化させる場合、加熱温度は通常50
〜160℃である。このようにして得られたシリコーン
ゲルは、JIS(K2207−1980、50g荷重)
で測定した針入度が通常5〜250を有する。このよう
なシリコーンゲルの硬度は、上記A成分とB成分とによ
り形成された架橋構造によって変動する。シリコーンゲ
ルの硬化前の粘度及び硬化後の針入度は、両末端がメチ
ル基であるシリコーンオイルを、得られるシリコーンゲ
ルに対して5〜75重量%の範囲内の量であらかじめ添
加することにより調整することができる。シリコーンゲ
ルは上記のようにして調整することもできるし、また市
販されているものを使用することもできる。本発明で使
用することができる市販品の例としては、CF502
7、TOUGH−3、TOUGH−4、TOUGH−
5、TOUGH−6、TOUGH−7(トーレ・ダウコ
ーニングシリコーン社製)やX32−902/cat1
300、KE1308/cat1300−L4(信越化
学工業株式会社製)、F250−121(日本ユニカ株
式会社製)等を挙げることができる。
【0031】また、上記のA成分、B成分及び触媒の他
に、顔料、硬化遅延剤、難燃剤、導電性フィラー等をシ
リコーンゲルの特性を損なわない範囲内で配合すること
もでき、さらに緩衝、防振性等を高める為に、微小中空
球体のフィラーを混入してなるシリコーンゲルを用いて
もよく、このようなフィラー材料に日本フィライト株式
会社製造のフィライト(登録商標)や同社販売のエクス
パンセル(登録商標)マツモトマイクロスフェアー(松
本油脂製薬株式会社製造販売)等が例示できる。またマ
イカ(雲母)片をフィラーとして適用することもでき、
この場合には音や振動がマイカ片間で乱反射することで
減衰していくという作用を有する。
【0032】上記シリコーンゲルの他、粘弾性物質とし
て好適なものにポリブタジエンゲルがある。この具体例
としては、出光アーコ株式会社製造販売のPoly b
dR−45HTがある。これは、分子末端に反応性の高
い水酸基を備えたポリブタジエンゲルの液状ポリマー
で、通常のポリウレタンと同様にイソシアネート類によ
り容易に硬化して良好な粘弾性体となるものである。そ
して、このポリブタジエンゲルは、主鎖が炭化水素のみ
からなるため、優れた耐水性、耐薬品性、電気特性をも
備え、しかも骨格が1.4結合のため、良好な低温特性
も備えている。また、液状のため加工が容易で、連続化
が行い易い利点もある。そして、適宜の各種配合剤をを
加え一次混合した後、硬化剤を加え二次混合して、含
浸、シート成形等して用いることとなる。
【0033】なお、配合剤には、強度、硬さ耐熱性のた
めの充填剤としてカーボンブラック、シリカ、アルミ
ナ、炭酸カルシウムがあり、粘度調整の伸展剤としてプ
ロセスオイル、アスファルトがあり、硬化速度の調整の
ための触媒としてジブチル錫、ジラウレートがあり、耐
熱性向上、酸化防止剤としてヂバガイギ株式会社製のイ
ルガノックス565、大内新興化学株式会社製のノック
ラックNS−6、耐オゾン性のための紫外線吸収剤とし
てチバガイギ株式会社製のチヌビン327があり、難燃
化剤として水酸化アルミニウム、ホウ砂、塩素化パラフ
ィン、酸化アンチモンがあり、また、硬化剤としてはリ
レンジイソシアネート、メチレンジイソシアネートがあ
る。
【0034】そして、好適な例として、上記R−45H
Tの100部、消泡剤としての信越シリコーン株式会社
製のTAS750を0.005部、触媒としての共同薬
品株式会社製のDBTDL KS−1260を0.00
5部、硬化剤として日本ポリウレタン工業株式会社製の
Millionate MR−200(NCOの含有率
30.9重量%)を8.3部、さらに微少中空球体とし
て松本油脂製薬株式会社製のマイクロスフェアーF−8
0EDを1部用い、先ず、これらの内硬化剤を除いた成
分を室温で充分に攪拌混合し、次いでこれに硬化剤を加
え、さらに攪拌混合の上均一な液状物を得て、減圧下に
て脱泡した後、離型剤を塗布したガラス板間に流し出
し、加熱硬化させて粘弾性物質の層として積層させるこ
とのできるポリブタジエンゲルのシートを得ることがで
きる。なお、このようにして得たポリブタジエンゲルの
シートは、前記シリコーンゲルに近い緩衝性を有し、シ
リコーンゲルよりも比較的安価である。
【0035】その他、制振塗料、防音塗料、シーリング
材と呼ばれるものには、粘弾性を示すものが多く、温度
特性的には前2者より劣る場合が多いが、価格的には非
常に有利であるため、低廉な製品用にはこれを用いるの
がよい。このようなもので、自動車や鉄道車両の車体下
面やフェンダー、外板等に塗布され防音、防錆、断熱等
の効果があり廉価な材料に、例えば、日本特殊塗料株式
会社販売のニットクアンダーシール(登録商標)があ
る。
【0036】これら粘弾性物質は、ヤシ繊維のマット
層、あるいは比較的硬調な合成樹脂製フィラメントを不
織布様ないし三次元網組織状に絡み合わせてなるマット
層に対し、硬化前の原液が皮膜状に吹き付けられるか、
一旦マット層全体に含浸させた後、適宜手段によって皮
膜状に覆う以外の余剰の原液を噴出排除してそれらヤシ
繊維、あるいは合成樹脂製フィラメントを皮膜させるこ
とができる他、これら粘弾性物質を一部にまたは全部に
含浸させてしまう、あるいはシート状として予め得たも
のを重ね合わせて用いることができる。
【0037】それらマット層がこれら粘弾性物質により
皮膜されると、元のヤシ繊維または合成樹脂製フィラメ
ントの弾力が、粘弾性物質の適度の柔軟性と復元遅延性
が付加されて、マット層としては粘ばい重厚なクッショ
ン性を呈するようになる。なお、粘弾性を示す物質の硬
度が針入度100程度以上であると、その表面に粘着性
を生ずるため、このような場合には非粘着性のスキン層
を形成してもよい。また粘弾性物質を含浸させたり、そ
のシート状のものを重ね合わせ積層することによって、
その粘弾性物質の層の緩衝性、防振性、防音性が相乗さ
れることとなる。
【0038】また、合成樹脂製フィラメント又はこれに
絡み付かせる細く柔軟な合成樹脂繊維に脱臭剤、芳香
剤、防虫剤等の薬剤を混入することで、脱臭、防虫、香
り漂うものとなる。次にその脱臭剤、芳香剤、抗菌剤、
防虫剤、嫌虫剤、殺虫剤等の薬剤について説明する。ま
ず脱臭剤としては、活性炭の他、ゼオライト、クリスト
バライト、アミヨン、オリソリン酸アルミニウム、酸化
チタンと酸化亜鉛と水分子の緊密結合体、アニコ植物抽
出物などがある。なお、ゼオライトは、水やアンモニア
などの極性分子や硫化水素などの硫黄系ガスをよく吸着
する。また、活性炭は低温度で優れた吸着能を示す。ク
リストバライトは藻類の一種である珪藻が長い間に珪藻
士となり、更に火山のマグマに焼かれてできた珪酸鉱物
の一種であり、アンモニアの吸着率が高い。アミヨンは
天然の無機質から成る粉末であり、土中の生物的な作用
による脱臭と岩石や鉱物類の物理的、化学的作用による
脱臭能力がある。オルソリン酸アルミニウムはアンモニ
ア、アミン類をよく吸着する。アニコは硫酸第一鉄を主
成分とし、Lーアスコルビン酸を酸化抑制剤とするもの
で緑青色の液体である。植物抽出物には、例えば茶に代
表されるツバキ科植物から抽出されたフラバノール、フ
ラバノール類や針葉樹、広葉樹の抽出物などがある。
【0039】これら各種の脱臭剤のうち活性炭、ゼオラ
イト、クリストバライト、アミヨン、オルソリン酸アル
ミニウム等はいずれも粉体であるから、そのまま合成樹
脂原料に混入てせきる他、別途の多孔性の微粉末に一旦
担持させた後に、それごと混入して紡糸することもでき
る。また、液体である。アニコ、植物抽出物の場合には
合成樹脂原料との相溶性を考慮して適用することができ
る。
【0040】脱臭剤の内、酸化チタンと酸化亜鉛と水分
子との緊密結合体を代表とする酸化物系微粉末脱臭剤に
ついて更に詳述すると、このものは、脱臭力を比較評価
する目安としてのアンモニア、硫化水素の低温、低濃度
吸着性に特に優れており、触媒作用によって悪臭分子を
低分子化するとともに、更に、酸化亜鉛は酸性ガスを化
学吸着し、二酸化チタンはアルカリ性ガスを物理吸着す
ると考えられるものである。そして、このものは、脱臭
能力が優れる他、粒径がミクロンないしサブミクロンオ
ーダーの微粉末状であって、かつ白色であるため、清潔
感を与え、着色が効くという利点がある。
【0041】そして、特開昭63−54935号公報に
よると、水に可溶なチタン化合物と水に可溶な亜鉛化合
物との水溶液と、アルカリ水溶液とを混合し、生成する
沈殿物を乾燥して得られ、例えば、硫酸チタン、塩化チ
タン、硝酸チタン、硫酸亜鉛、塩化亜鉛、硝酸亜鉛等、
チタン化合物と亜鉛化合物とをモル比で7:3〜3:7
の範囲とした混成水溶液に水酸化ナトリウム、水酸化カ
リウム、水酸化バリウム、アンモニア等のアルカリ水溶
液を一部づつ又は全部40〜60℃の反応温度にて最終
的にPH7〜9の範囲で混合し、生成する沈殿物を15
0〜220℃で乾燥したものが好適とされており、チタ
ン工業株式会社よりTZ脱臭剤として入手できる。類似
の酸化物系微粉末脱臭剤には、酸化亜鉛と酸化アルミニ
ウムと酸化珪素の結合体(特開昭63−246167号
公報参照)、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化マグネシウ
ム、酸化カルシウムの結合体(特開昭63−18544
5号公報及び特開昭63−183065号公報参照)が
あり、同様に使用することができる。
【0042】また、芳香剤としては、動植物の天然香
料、合成香料、調合香料などをそのまま使用するか、こ
れら香料を乳化させたものを噴霧乾燥して粉末化したも
のを使用する。抗菌剤としては、前記酸化チタンと酸化
亜鉛と水分子との緊密結合体が抗菌性をも発揮できるの
で、この効用に着目して適用できる他、その他金属酸化
物、銀、銅等の金属の微粒子などを適用することができ
る。殺虫剤としては、例えばダニ用としてフェニトロチ
オン、フェンチオンなどの有機燐酸や、天然ピレトリン
と合成ピレトリン類化合物を総称したピレスロイド系、
その他、ニコチン、除虫菊等がある。また、防虫剤とし
ては、パラジクロルベンゼン、アレスニンとピペロニー
ルプトキサイドの併用、エミコン等を粉体化したもの等
を使用することができる。更に、嫌虫剤としては、例え
ば熱帯シマカに対して強い忌避作用を示すN,N−ジメ
チル−m−トルアミド等がある。
【0043】なお、これら薬剤を混入するときは、合成
樹脂製フィラメントまたはこれに絡み合わせる細く柔軟
な合成樹脂繊維に混入するのであるが、その原料が二種
以上の化学物質の化合により成る場合には、これら化学
物質も含む意味である。すなわち、例えばナイロン6.
6繊維を例にとると、アジビン酸とヘキサミチレンジア
ミンが重合されることによりできる未だ繊維化されてい
ない合成樹脂たるナイロン6.6の他、ナイロン6.6
自体の原料であるアジピン酸とヘキサメチレンジアミン
をも含むものである。従って合成樹脂原料に薬剤を混入
させるという場合には、アジピン酸またはへキサメチレ
ンジアミンの重合後、紡糸前の状態で薬剤を混入させて
もよいし、またアジピン酸またはへキサメチレンジアミ
ン何れか一方または双方に薬剤を混入させておき、これ
らを重合させてもよいのである。また、これら薬剤は合
成樹脂繊維中に完全に埋没している必要はないため、薬
剤を混入するとは、例えば紡糸口金を出た直後の溶融な
いし軟化状態の繊維に対し、これら薬剤の粉体を吹き付
けて一部埋没させて付着させるようにした場合をも含む
ものである。
【0044】次に本発明の複合資材を内装用貼壁材Aと
した図示実施例について説明する。図1はその縦断面を
示すもので、本実施例では、ヤシ繊維のマット層に対し
て、アルミニウムを溶射したものとなっている。すなわ
ち、1がヤシ繊維を不織布様ないし三次元網組織状に絡
み合わせた5mm厚程度のマット層で、その表面にはア
ルミニウムの溶滴が溶射皮膜2として付着している。こ
のような内装用貼壁材Aは、例えば、鋳ばなしのコンク
リト壁に対して貼り付けられて、室内を装飾するととも
に、コンクリート壁に断熱空気層を形成するとともに、
アルミニウムの溶射皮膜2があることで、表面の熱伝導
性が向上されており、自己消火性が付与されている。ま
た、吸音効果も奏されるようになっていて、例えばリス
ニングルームに施工するのに最適となっている。尚、以
下の各実施例、応用例においても同様であるが、各図面
では溶射した金属がマット層の表面にのみ付着している
ように描いているが、金属の溶射をすると溶滴の一部は
表面付近に被膜状に残る他、一部はマット層の中程に至
り、更に一部は透過して裏面に抜けるというように、必
ずしも溶射した金属は表面だけに残るものではない。
【0045】図2は床板材Bとしての実施例を示すもの
で、10mm厚程度のヤシ繊維のマット層1の片面には
鉛の溶滴が溶射皮膜3として付着しており、他面にはい
わゆる合板4が接着されている。合板表面は化粧面4a
であり、この化粧面4aを床面として骨木に止めて使用
する。このため、図示しないが30cm×30cm等の
適宜な大きさのタイル状のものとして相互に嵌め合わせ
て使うようにしたり、裏面一部には、骨木に固着するた
め、ヤシ繊維のマット層を積層しない部分があってもよ
い。
【0046】図3に示すものは、同じく床板材Cとして
仕上げられたものであって、ヤシ繊維のマット層1の内
30%体積分には粘弾性物質としてのポリブタジエンゲ
ルを含浸せしめた層5となっている点のみ図2に示す実
施例と異なる。このような床板材B、Cによれば、ヤシ
繊維のマット層1および粘弾性物質を含浸させた層5に
より、緩衝、防振、防音、断熱効果等が生ずるのは勿
論、鉛の溶射皮膜3があることで電磁波遮蔽効果も発揮
できるようになっており、電磁気的な精密測定室やコン
ピュータルーム用等の高級床材として提供できるように
なっている。
【0047】なお、ヤシ繊維のマット層にポリブタジエ
ンゲルやシリコーンゲル等の粘弾性物質を含浸させるに
当たっては、そのマット層の上にこれらの硬化前の原液
を流し出した後、上下のロール間に通してその含浸度合
を調整し、その後加熱トンネルを通過させて硬化させる
等の手法を採ることができる。またマット層と板状の層
とを接着するにあたっては、適宜な市販接着剤を用いる
他、粘弾性物質を積層させるときは、その粘着性により
粘接着させてもよい。
【0048】また上記実施例では、ヤシ繊維のマット層
は全体が均一の厚さを有する平坦なものであるが、本発
明はこれに限らず、マット層に適宜のパターンで凹凸を
付すことができ、その一例として図4のような三角錐状
のエンボス6を形成したものが挙げられる。因みにこの
ようなエンボス6は、緩衝、防振、防音の各作用を一層
助長することができるものであって、例えば自動車の内
装として適用することができる。尚、ヤシ繊維をプレス
して高密度化してもよく、このような高密度化したヤシ
繊維にプレスの際にエンボス形成するようにしてもよ
い。
【0049】またヤシ繊維はあらかじめ不燃処理を施し
ておくことができる。不燃処理の具体的方法としては、
ヤシ繊維を窒素雰囲気下または不活性ガス雰囲気下で焼
成して炭化したものを適用したり、高温下での使用向け
として、ポリシラザンや有機チタネート等の難燃処理剤
を塗布してもよい。さらに、上記実施例では、ヤシ繊維
のマット層を用いるものとしたが、本発明はこれに限ら
ず、合成樹脂製フィラメントからなるマット層を用いる
ことも勿論でき、この場合ヤシ繊維のように植物繊維つ
まり木を原始材料とするため廃棄時処理に問題が少ない
という優位性はないが、電磁波遮蔽性、熱伝導性が付与
され、吸音効果が向上されることでは変わりがない。
【0050】さらに、上記実施例では、ヤシ繊維のマッ
ト層、または比較的硬調な合成樹脂製フィラメントを不
織布様ないし三次元網組織状に絡み合わせてなるマット
層は、それぞれヤシ繊維あるいは合成樹脂製フィラメン
トのみの絡み合いから成るものとしたが、本発明はこれ
に限らず、ヤシ繊維あるいは合成樹脂製フィラメントに
別途の細く柔軟な合成樹脂繊維が絡み合わされていた
り、またこのヤシ繊維あるいは合成樹脂製フィラメント
が粘弾性物質に皮膜されていたり、その細く柔軟な繊維
の原料たる合成樹脂、または合成樹脂製フィラメントの
原料に脱臭剤、芳香剤、抗菌剤、防虫剤、嫌虫剤、殺虫
剤の内から選ばれた1乃至複数の薬剤が混入されていて
もよいこと勿論である。これらによれば、その緩衝性、
防振性、防音性等が改善され、また脱臭、防虫、香り漂
う等の付随的な効果ももたらされることとなる。
【0051】また上記実施例では板状の層として合板を
適用したが、本発明はこれに限らず、その他、石膏ボー
ド、金属板、プラスチック板、絨毯マット、カーペッ
ト、ウレタン等の発泡層、人工皮革等の種々のものを適
用することができる。そして、それらを用いて例えば、
ドア、壁、天井、床等の内装材としたり、また防音壁の
充填材、更に垣根材として提供することができる。
【0052】また更に本発明の複合資材のより具体的な
応用例を幾つか掲げると、まず図5に示すものは、排気
管7の回りに拡径した円筒体8を設けた排気筒9におい
て、円筒体8内に排気管7を被うように、ヤシ繊維のマ
ット層1にアルミの溶滴の溶射皮膜2を形成した複合資
材10を適用したものであり、例えば灯油バーナ等の排
気音を解消するようにしたものである。尚この複合資材
10は、内側と外側とでヤシ繊維の密度に差をつけてあ
り、消音効果の増大を図っている。
【0053】また図6に示すものは、防音壁等のボード
11として、ヤシ繊維のマット層1に鉛の溶滴の溶射皮
膜3を形成した複合資材10を適用したもので、例えば
金属板12と鉛の溶滴の溶射皮膜3とをハンダ等の低融
点金属13を用いて加熱加圧下で溶融接合してボード化
したものである。更にハンダ等の低融点金属自体を溶射
して、これに金属板を直接加熱加圧してボード化しても
よい。
【0054】更に図7に示すものは、空気清浄機のフィ
ルタ14に、ヤシ繊維のマット層1に銅の溶滴の溶射皮
膜15を形成した複合資材10を適用したものである。
このようなフィルタ14では、ヤシ繊維により通常のフ
ィルタ作用が得られる他、熱交換的作用も有する。即ち
室内から屋外へ空気が排気される際には、排気される空
気の熱を比熱の小さな銅の溶滴の溶射皮膜15が吸収
し、その熱は空気の取り入れ側に伝導するとともに、今
度は屋外から室内へ空気が取り入れられる際に空気がそ
の熱を受け取って熱は室内に戻るという熱交換作用を有
するのである。尚このような各種の応用例の他、単に本
発明の複合資材を通常の不織布と同様な用い方をしても
よい。
【0055】また、上記実施例では合板を片面にのみ積
層したが、場合によっては、板状の層でマット層をサン
ドイッチする構成を採ってもよいこと勿論である。さら
に、上記実施例では、溶射金属としてアルミニウム、
鉛、銅を用いたが、これに限るものではなく、複合資材
として要求される緩衝、防振、電磁波遮蔽性、熱伝導性
等と、ヤシ繊維、あるいは合成樹脂の原料との兼ね合い
で、溶射可能な金属を用いることができる。
【0056】次に本発明の他の実施例として、制振作用
を有する他の素材との組み合わせについて説明する。こ
こで制振作用を有する素材の一例として、日本特殊塗料
株式会社製のニットク・イーディケル(登録商標)シリ
ーズを挙げることができる。即ち例えばイーディケル−
3500は感圧接着タイプのシート状のものであって制
振作用を有し、それ自体自動車、車両、機械装置、家電
製品、オーディオ製品などの金属構成の制振に使用する
ことができるものである。またイーディケル−M200
0,M2500は吹付型の塗料性状をした制振材であっ
て、防露や防錆などの作用を併せ持つ。更にイーディケ
ル−M5000はサンドイッチ型制振シートであって、
モーターカバーの制振等に使用できる。
【0057】このような制振作用を有する素材を本発明
に適用する実施例として、例えば図8に示すように上記
イーディケル−M3500のシート16aをヤシ繊維の
マット層1と加熱プレスして積層したり、図9に示すよ
うに粘弾性液に上記イーディケル−M2000またはM
2500の塗料16bを加え、この混合液をヤシ繊維の
マット層1の間に含浸させたり、更に図10に示すよう
に上記イーディケル−M5000を板体16cとして用
い、ヤシ繊維のマット層1と加圧して複合資材10を作
成してもよい。
【0058】
【発明の効果】以上のとおり、本発明の複合資材によれ
ば、マット層の緩衝性、防振性等を備えた上で、電磁波
遮蔽効果が発現されるととてもに、吸音効果も奏され、
緩衝、防振、吸音、電磁波遮蔽効果等ある梱包用、建築
用、室内装飾用等の複合資材として提供することができ
る。また本発明ではヤシ繊維を使用したときは、プラス
チック類の焼却時公害の問題も同時に解決し、従来にな
いヤシ科植物繊維の高度、積極的利用を図ることもでき
るようになる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明たる複合資材を内装用貼壁材として構成
したものであって、ヤシ繊維のマット状の層にアルミの
溶滴を付着させたものの縦断面図である。
【図2】床板材としての実施例を示すもので、合板にヤ
シ繊維のマット層を積層し、ヤシ繊維のマット層のもう
一面には鉛の溶滴を付着させたものの縦断面図である。
【図3】床板材としてのさらに他の実施例を示すもの
で、ヤシ繊維のマット層として粘弾性物質を含浸させた
ものを用いた例の縦断面図である。
【図4】自動車の内装材としての実施例を示すもので、
ヤシ繊維のマット層表面に三角錐状のエンボスを施した
ものの縦断面図である。
【図5】本発明たる複合資材を排気筒に適用した具体的
応用例を示す斜視図である。
【図6】同上防音壁等のボードに適用した具体的応用例
を示す縦断面図である。
【図7】同上空気清浄機のフィルタに適用した具体的応
用例を示す縦断面図である。
【図8】本発明たる複合資材を制振作用を有する他の素
材と組み合わせた実施例を示すもので、イーディケル−
M3500のシートをヤシ繊維のマット層と加熱プレス
したものの縦断面図である。
【図9】同上他の実施例を示すもので、粘弾性液にイー
ディケル−M2000またはM2500の塗料を加えた
ものをヤシ繊維のマット層の間に含浸させた状態を示す
縦断面図である。
【図10】同上更に他の実施例を示すもので、イーディ
ケル−M5000の板体をヤシ繊維のマット層の積層
し、加圧して作られる複合資材を示す縦断面図である。
【符号の説明】
1 ヤシ繊維のマット層 2 アルミの溶滴の溶射皮膜 3 鉛の溶滴の溶射皮膜 4 合板 4a 化粧面 5 ヤシ繊維のマット層にポリブタジエンゲルを含浸
させた層 6 エンボス 7 排気管 8 円筒体 9 排気筒 10 複合資材 11 ボード 12 金属板 13 低融点金属 14 フィルタ 15 銅の溶滴の溶射皮膜 A 内装用貼壁材 B 床板材 C 床板材

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 比較的硬調な繊維を不織布様ないし三次
    元網組織状に絡み合わせて成るマット層に対し、溶射に
    よる金属溶滴を皮膜状に付着させていることを特徴とす
    る複合資材。
  2. 【請求項2】 前記比較的硬調な不織布様ないし三次元
    網組織状に絡み合わせて成るマット層は、これに別途の
    細く柔軟な合成樹脂繊維が絡み合わされていることを特
    徴とする請求項1記載の複合資材。
  3. 【請求項3】 前記比較的硬調な不織布様ないし三次元
    網組織状に絡み合わせて成るマット層における各繊維
    は、別途の粘弾性物質が皮膜していることを特徴とする
    請求項1記載の複合資材。
  4. 【請求項4】 前記マット層は、ヤシ繊維を不織布様な
    いし三次元網組織状に絡み合わせてなる層であることを
    特徴とする請求項1、2または3記載の複合資材。
  5. 【請求項5】 前記マット層は、不燃処理されているこ
    とを特徴とする請求項4記載の複合資材。
  6. 【請求項6】 前記マット層は、プレス加工されている
    ことを特徴とする請求項4記載の複合資材。
  7. 【請求項7】 前記マット層は、合成樹脂製フィラメン
    トを不織布様ないし三次元網組織状に絡み合わせてなる
    層であることを特徴とする請求項1、2または3記載の
    複合資材。
  8. 【請求項8】 前記比較的硬調な繊維を不織布様ないし
    三次元網組織状に絡み合わせて成るマット層は、さらに
    板状の層と積層されていることを特徴とする請求項1、
    2、3、4、5、6または7記載の複合資材。
  9. 【請求項9】 前記比較的硬調な繊維を不織布様ないし
    三次元網組織状に絡み合わせて成るマット層は、さらに
    粘弾性物質の層と積層されていることを特徴とする請求
    項1、2、3、4、5、6、7または8記載の複合資
    材。
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