JPH0520238Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本考案は乗用車の前部座席などに適した自動車
用シートに関するものである。

（従来の技術） シートバツクに被套されるシートカバーを該シ
ートバツクの座面部の両側縁に沿つてシートカバ
ーの裏面に縫着した吊り布をもつてシートフレー
ム側に吊り込んだ車輌用シートは、立体感に富ん
だ表面形状が室内装飾効果を発揮するので広く採
用され、この種車輌用シートに関する考案も実開
昭62−113800号公報や実開昭62−126199号公報な
どにより種々提案されている。

（考案が解決しようとする課題） しかしながら、従来のこの種車輌用シートはい
ずれもシートバツクの座面部形状が比較的単純な
ものであつて、人間工学上好ましいうえに豪華に
見えるように、シートバツクをバケツトタイプと
して且つ座面部形状を、下端幅に比べて上部幅が
狭い内向きの下部曲面を両側面とした広幅の腰部
支持面と、中間部を最大幅とした内向きの上部曲
面を両側面とした広幅の背凭面と、前記下部曲面
と上部曲面とを繋ぐ外向きの中間曲面を両側面と
した狭幅の胴部支持面よりなるものとしようとす
ると、吊り込みが不完全で皺寄りが見られるた
め、面倒な皺取りを手作業で行わなければなら
ず、このため、前記したような座面形状のバケツ
トタイプの車輌用シートの普及が遅れている現状
にある。

（課題を解決するための手段） 本考案は前記のような問題点を解決した自動車
用シートに関するもので、シートバツクに被套さ
れるシートカバーを該シートバツクの座面部の両
側縁に沿つてシートカバーの裏面に縫着した吊り
布をもつてシートフレーム側に吊り込んだ車輌用
シートにおいて、前記シートバツクはその座面部
が下端幅に比べて上部幅が狭い内向きの下部曲面
を両側面とした広幅の腰部支持面と、中間部を最
大幅とした内向きの上部曲面を両側面とした広幅
の背凭面と、前記下部曲面と上部曲面とを繋ぐ外
向きの中間曲面を両側面とした狭幅の胴部支持面
よりなるものとしてそのクツシヨン材もその両側
面が座面部の側面形状に対応する曲面状に形成さ
れており、また、シートカバーは該座面部の外形
に対応する座面カバー部と周枠カバー部とを両者
間に基部を介在させた吊り布とともに縫着一体化
してなるものとするとともに、該吊り布の袋状部
に挿入される鋼線材は前記座面部の側面形状に対
応する曲線状に成形され且つ上端を上部座面の膨
出部形状に対応する半円弧状部としたものとして
該鋼線材と吊り込み線とをホグリングで掛止させ
て前記吊り布が吊り込まれていることを特徴とす
るものである。

（作用） このような自動車用シートは、従来のこの種自
動車用シートと同様自動車の前部座席などとして
車体内に装着し、意匠的にも座り心地にも優れた
座席として使用される。

（実施例） 次に、本考案を図示の実施例について詳細に説
明する。

１はシートクツシヨン２とシートバツク３とよ
りなるシート本体であつて、該シートバツク２は
その座面部４が周枠部５より奥まつたバケツト状
に形成されており、シートクツシヨン２とシート
バツク３とは各別にシートカバー６により被套さ
れている。なお、座面部４はその両側面が下端幅
に比べて上部幅が狭い内向きの下部曲面C₁と、
中間部を最大幅とした内向きの上部曲面C₃とを
外向きの中間曲面C₂を介して続かせて表面を広
幅の腰部支持面４ａと狭幅の胴部支持面４ｂと広
幅の背凭面４ｃとよりなるようにしたもので、そ
の大きさは主シートフレーム７を有する周枠部５
内にあつてその上端と周枠部５との間に窓孔８が
形成される大きさとするため、座面部４のクツシ
ヨン材９はこれに対応する形状としてその頂部は
主シートフレーム７の上方部間に張架される副シ
ートフレーム７ａを覆つている。また、シートバ
ツク３に被套されるシートカバー６は座面部４の
外形に対応する座面カバー部６ａと周枠カバー部
６ｂとを縫着一体化したものであるが、両者の境
界部裏面には吊り布１０が同時縫着されていてそ
の端縁に形成される袋状部には、下部曲面C₁に
対応する下部曲線部１１ａと中間曲面C₂に対応
する中間曲線部１１ｂと上部曲面C₃に対応する
上部曲線部１１ｃを有し且つ上端を第３図に示さ
れているようにシートフレーム７ａにより形成さ
れる上部座面の膨出部形状に対応するよう膨出分
だけ前方に膨出する半円弧状部１１ｄに成形され
た硬鋼線やピアノ線のような変形の殆んどない鋼
線材１１が挿着されている。そして、シート本体
１に被套されるシートカバー６の座面カバー部６
ａはクツシヨン材９の外形に添つて吊り布１０を
もつてシートフレーム側に引き込まれて主シート
フレーム７間に張設された吊り込み線１２と鋼線
材１１とはホグリング１３で掛止めされている。

このように構成されたものは、座面部４のクツ
シヨン材９の両側面が曲面状に形成されているの
で、シートカバー６を被套した後の座面形状は両
側縁が曲線状の意匠的に優れた豪華な感じのもの
となるばかりか、腰部支持面４ａが広くて胴部支
持面４ｂが狭く、背凭面４ｃが広い人間工学的に
見て好ましい形状とすることができて座り心地も
よい。しかも、両側面が曲面状に形成されている
クツシヨン材９に被套されるシートカバー６は、
座面部４の外形に対応する座面カバー部６ａと周
枠カバー部６ｂとを両者間に基部を介在させた吊
り布１０とともに縫着一体化してなるものである
うえにこの吊り布１０のシートフレームやインサ
イドワイヤなどへの吊り込みは、該吊り布１０の
袋状部に挿入される鋼線材１１を前記座面部４の
側面形状に対応する曲線状で上端が半円弧状部１
１ｄに成形してあるものとして該鋼線材１１と吊
り込み線１２とをホグリング１３で掛止させるよ
うにしてあるから、シートカバー６がクツシヨン
材９の曲面状をした側面に皺寄りなく倣うことと
なつて引き込み部の仕上りは極めよく、また、前
記したような特殊形状に成形された鋼線材１１は
変形がないので長期間使用しても形崩れすること
もなく、特に、鋼線材１１の上端を半円弧状部１
１ｄとしたことにより、クツシヨン材９の上部形
状に添つてシートカバー６を皺寄ることなく引き
込むことができて簡単な手数で極めて仕上りのよ
いものとなる。

しかして、このような車輌用シートを製造する
には、クツシヨン材９を側面形状が必要とする曲
面に形成されたものとするとともに、吊り布１０
の端縁の袋状部に挿着される鋼線材１１も前記ク
ツシヨン材９の側面形状に対応する形状で且つ上
端が半円弧状部１１ｄに予め成形しておくだけ
で、あとは従来の製造手段で容易に得られ、皺取
りなどの特別な後処理も不要であるから製造コス
トが嵩むこともない。

（考案の効果） 本考案は前記説明から明らかなように、座面部
の側部形状を意匠的に見ても座り心地の点から見
ても最適な豪華な感じで人間工学的にも優れてい
る曲線とすることができるうえに皺取り作業など
の後処理を行うことなく引き込み線が美麗に仕上
がるもので、製造工程も簡単なため安価に量産で
きるうえに鋼線材は変形しないので長期間使用し
ても形崩れすることがないなどの利点と相俟ち従
来のこの種車輌用シートの問題点を解決したもの
として実用的価値極めて大なものである。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の実施例を示す一部切欠斜視
図、第２図は同じく正面図、第３図は同じく一部
切欠側面図、第４図は鋼線材の斜視図である。 ３……シートバツク、４……座面部、４ａ……
腰部支持面、４ｂ……胴部支持面、４ｃ……背凭
面、６……シートカバー、６ａ……座面カバー
部、６ｂ……周枠カバー部、９……クツシヨン
材、１０……吊り布、１１……鋼線材、１１ｄ…
…半円弧状部、１２……吊り込み線、１３……ホ
グリング。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. シートバツク３に被套されるシートカバー６を
   該シートバツク３の座面部４の両側縁に沿つてシ
   ートカバー６の裏面に縫着されて端縁の袋状部に
   鋼線材１１が挿入された吊り布１０をもつてシー
   トフレーム側に吊り込んだ車輌用シートにおい
   て、前記シートバツク３はその座面部４が下端幅
   に比べて上部幅が狭い内向きの下部曲面C₁を両
   側面とした広幅の腰部支持面４ａと、中間部を最
   大幅とした内向きの上部曲面C₃を両側面とした
   広幅の背凭面４ｃと、前記下部曲面C₁と上部曲
   面C₃とを繋ぐ外向きの中間曲面C₂を両側面とし
   た狭幅の胴部支持面４ｂとよりなるものとしてそ
   のクツシヨン材９もその両側面が座面部４の側面
   形状に対応する曲面状に形成されており、また、
   シートカバー６は該座面部４の外形に対応する座
   面カバー部６ａと周枠カバー部６ｂとを両者間に
   基部を介在させた吊り布１０とともに縫着一体化
   してなるものとするとともに該吊り布１０の袋状
   部に挿入される鋼線材１１は前記座面部４の側面
   形状に対応する曲線状に成形され且つ上端を上部
   座面の膨出部形状に対応する半円弧状部１１ｄと
   したものとして該鋼線材１１と吊り込み線１２と
   をホグリング１３で掛止させて前記吊り布１０が
   吊り込まれていることを特徴とする車輌用シー
   ト。