JPH05201021A - 液体貯蔵容器、これを用いた記録ヘッドユニットおよびこれを搭載する記録装置 - Google Patents

液体貯蔵容器、これを用いた記録ヘッドユニットおよびこれを搭載する記録装置

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JPH05201021A
JPH05201021A JP4228732A JP22873292A JPH05201021A JP H05201021 A JPH05201021 A JP H05201021A JP 4228732 A JP4228732 A JP 4228732A JP 22873292 A JP22873292 A JP 22873292A JP H05201021 A JPH05201021 A JP H05201021A
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chamber
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chambers
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一浩 中島
Yasuo Kotaki
靖夫 小滝
Hidemi Kubota
秀美 久保田
Toshihiko Ujita
敏彦 氏田
Torachika Osada
虎近 長田
Keiichiro Tsukuda
圭一郎 佃
Yohei Sato
陽平 佐藤
Masanori Takenouchi
雅典 竹之内
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 インクの安定供給が行え周囲環境の変化や使
用時等の姿勢によってもインクもれが発生せず、インク
貯蔵率が高いインク容器を実現する。 【構成】 区画化された複数の室の1つに供給口が配さ
れ他の室に大気に開放した連通口が配されており、各室
の夫々が連続した液体供給部材のみで接続されている。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、必要とする量だけを必
要時に取り出すことが可能であり、各種記録分野に利用
されるインクを保持するインクタンクとして利用可能な
液体貯蔵容器、該液体貯蔵容器を用いた記録ヘッドユニ
ットおよびこれを搭載する記録装置に関する。
【0002】(従来技術の説明)インク等の保持に利用
される液体貯蔵容器は、容器に設けられた供給口から消
費される液体量に見合った量の液体を供給することが必
要であるとともに、供給が必要でない場合に、供給口か
ら容器外部に液体が漏れないことが要求される。
【0003】このような要求はインクを記録ヘッドから
吐出して記録を行うインクジェット方式に用いられる容
器において、特にインクの供給量に伴う画質への影響か
ら、重要なものである。
【0004】この様な要求に応えるインクタンクとし
て、下記のような形態が知られている。
【0005】図22に示すように、カートリッジ本体1
01のインクタンク内に、そのほぼ全体に多孔質体10
2が収容されており、多孔質体102にはインクが保持
されている。多孔質体102の一端側にはインク供給口
5が設けられており供給管11を介して記録ヘッド6側
と連通されており、他端側には大気連通口4が設けられ
ている。
【0006】このインクタンクの例では、多孔質体10
2の毛管力により、インク容器内の負圧力が制御され、
インク供給口5からのインクもれを生じない。
【0007】しかしながら、多孔質体にインクを保持さ
せているため、カートリッジ本体の容積に対するインク
貯蔵量、すなわちインク貯蔵率が低く、さらに、使用さ
れずに残存するインク量も多いといった解決すべき課題
がある。
【0008】このようなタンク内に多孔質体を配したこ
とによる液体の容積効率の低下を改善するために以下の
ように、多孔質体を用いない形態の液体貯蔵容器が知ら
れている。
【0009】図23の形態がそのような形態を示す図で
ある。
【0010】米国特許4,794,409号明細書で示
されている図23は、液体貯蔵容器をインクジェット記
録ヘッドユニットに適用した例であり、インクタンクで
ある容器106と、液体のあふれだめ103と記録ヘッ
ド105側とが多孔質体105を介して接続されてい
る。この例においては、容器内106には多孔質体が配
されていないため液体の容積効率を上げることができ
る。そして容器内106が閉ざされた空間となってお
り、104の穴を通して液体と空気とを交換する形態と
することによって容器内の負圧力を発生させ、容器内の
液体を保持している。
【0011】インク室13中のインクは、ペン体109
からのインク消費に伴って、インク室13から気液交換
通路111を通じてインク吸蔵体110にインクは供給
されるが、このときインク室13中は減圧状態となる。
これを補償するために通気管112から気液交換通路1
11を通ってインク室13内に空気が導入され、連続的
にインクを供給することが可能となる。
【0012】使用中に高温状態や減圧状態にさらされた
とき、インク室13中の空気は膨張し、インクを押し出
すが、押し出されたインクは気液交換通路を通りあふれ
溜め103内に溜り、外部に溢れ出さない。またあふれ
溜め103内にインクが入った状態でこの筆記具を使用
すると、まずあふれ溜めの内部のインクから先に消費さ
れていき、最後まで使いきることが可能である。
【0013】しかしながらこの図23で示されるような
大気に連通する室103とインク室108とが多孔質部
材105を介して連通し、かつ大気に連通する室に存在
する多孔質部材からインクを外部に取出すように構成し
た場合、1つのインク室の出入口104はひとつであ
る。従ってインクの供給動作中には、この出入口からイ
ンクが多孔質部材を通じて取出口から外部に取り出され
ると同時に、これによるインク室内の圧力低下を補うた
めに、同じ出入口を通って大気に連通する室より空気が
インク室内に流入しなくてはならない。ところが、これ
らのインク流出と空気流入は同一の出入口でかつ同一の
多孔質部材内で起こらなくてはならないため、比較的不
安定である。即ち、いったん大気に連通する室からの空
気の流れ道がインク室に及ばず、インクを外部に供給す
る供給口に直接つながってしまった場合、インクより空
気の方が流れやすいため、もはやインク室内のインクは
全く取出すことが不可能となってしまう。このような事
態は衝撃や振動などによって発生する可能性が大きく容
器の使用時における液体供給性能の安定性が達成されな
い。
【0014】又、インク貯蔵容器においては、インク室
内の空気が気圧や温度の変化等によって膨張した場合の
ために、想定する最悪の環境条件下で保障しうる容量の
あふれ溜めを設ける必要がある。
【0015】ところが図23で示される例においてはイ
ンク室が1つであるため、あふれるインク量も多くなっ
てしまう。このため大きな容量のあふれ溜めが必要とな
り、容器全体としての容積効率が悪くなる。
【0016】上述のような液体の流れと空気との流れの
問題を生じない形態の貯蔵容器として次に取り上げるよ
うなものがある。
【0017】それは容器内への空気の流入経路と容器外
への液体の流出経路とが異る米国特許4、920、36
2号明細書の形態である。
【0018】この形態は図24に示すように、インク容
器1が2つの分割壁117a、117bにより3個の室
108a、108b、108cに分割され、各室108
a、108b、108cは分割壁117a、117bに
それぞれ設けられた小径のオリフィス12a、12bに
より相互に接続されている。第1の室108aの底部
は、インク滴発生器118にインクを給送するためのイ
ンク井戸119に連通されており、第3の室108cの
底部は、滴下管120の気泡生成オリフィス12cによ
り通気管4によって大気と連通された溢れ溜め114と
連通されている。
【0019】このインクジェット・ペンでは、インク滴
発生器118より吐出されて消費されるインクの量に見
合うインクが、オリフィス12aを通して第2の室10
8bから第1の室108aへ供給されて行き、第2の室
108bにはオリフィス12bを通して第3の室108
cから供給される。その結果、第3の室108cの内部
気圧が低下し、該内部気圧がしきい値に達すると、気泡
生成オリフィス12cより空気が第3の室108c内へ
供給されて第3の室108cの内部気圧が自動的に調節
され、これにより第2および第1の室108b、108
aの内部気圧が制御される。他方、周囲環境の変化によ
りインク溜め1内の圧力が高くなったときは、インクは
インク滴下管120を通して溢れ溜め114内へ流れ、
インク滴発生器118からもれることはない。
【0020】又、この形態の容器においては、インクが
108c、108b、108aの順に使用されていくた
め、環境変化に伴う影響を受ける室は実質的に108
a、108b、108cのいずれか1つである。このた
め、あふれるインク容量を少なくすることができるた
め、あふれ溜めの容量を小さくでき、容器全体としての
容積効率を高めることができる。
【0021】上述の図24の例のように大気に連通する
室114とインク室108とが連通し、かつインク室1
08からインクを外部に取出すように構成した場合、つ
まり、インク室内への空気の流入経路とインク室外への
インクの流出経路が異なる場合、インクの供給動作中に
おいてインク室からのインク取出しに伴うインク室内の
圧力低下を補うために、大気に連通する室とインク室と
の連通部12cから空気が流入する。この連通部では空
気のみが必要に応じてインク室に流入するのみであるた
め前述の図23に示されるように大気に連通する室のイ
ンクを取出す構成での空気の流入経路とインクの流出経
路との混乱によるインク供給の不安定さの問題はない。
【0022】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上述の
図24の構成においては、インクの取出口5と、連通部
の多孔質部材115とが離れているので、取出口と連通
部の位置に上下の差が生じるような動作姿勢では、イン
クをすべて使い切ることができなかったり、または、イ
ンク供給時に取出口に対して加圧状態となってしまうと
いった事態が発生し、安定にインクの供給可能な姿勢が
大幅に限定されるといった問題点がある。
【0023】又、前述した図23の場合と同様に図24
の構成においては、インクあふれ溜めの容積を大きくし
なくてはならず、容積効率が低くなってしまうという問
題点もある。
【0024】また、図24の構成においては、複数のイ
ンク室が相互に毛管力を発生する様な小径のオリフィス
によって連通されているので、インクにゴミや析出物な
どが混入している場合には目詰まりを起こす虞がある。
【0025】さらに、複数の室を連通する小径オリフィ
スは、吐出口からインクがもれないような、そして空気
とインクの両方が同時に流通することのないような、さ
らには、インクの効率的な供給を妨げないような形状で
なければならず製造に困難を伴うという解決すべき課題
があった。
【0026】本発明は、上記技術の有する問題点や課題
に鑑みてなされたものであって、容器外部に液体を安定
供給することができ、周囲環境の変化や使用時等の姿勢
によるインクもれが発生せず、動作姿勢の自由度が大き
く、液体貯蔵の容積効率および使用効率が高い液体貯蔵
容器これを用いた記録ヘッドユニット、及びこれを搭載
した記録装置を実現することを目的とするものである。
【0027】又、他の目的は、製造時のコストが安く、
製造の困難性のない液体貯蔵容器、これを用いた記録ヘ
ッド及び記録装置を得ることにある。
【0028】
【課題を解決するための手段】このような目的を達成す
るための本発明の液体貯蔵容器の主たる構成は、区画化
された複数の室を備え、この複数の室の内のひとつに前
記液体を容器外部に供給するための供給口が配されてお
り、供給口が配された室と異なる室に大気に開放するた
めの大気連通口が配されており、前記複数の室の夫々が
連続した液体供給部材のみで接続されている。
【0029】又、本発明の記録ヘッドユニツトは、区画
化された複数の室を備え、この複数の室の内のひとつに
前記液体を容器外部に供給するための供給口が配されて
おり、該供給口が配された室と異なる室に大気に開放す
るための大気連通口が配されており、前記複数の室の夫
々が連続した液体供給部材のみで接続されているインク
タンクと、前記インクタンクの供給口からインクの供給
を受け、該インクを吐出口から吐出させるために利用さ
れるエネルギーを発生するエネルギー発生手段が配され
た記録ヘッドとを有している。
【0030】又、本発明の記録装置は、前述の液体貯蔵
容器を用いたインクタンクと、インクタンクの供給口か
らインクの供給を受け、該インクを吐出口から吐出させ
るために利用されるエネルギーを発生するエネルギー発
生手段が配された記録ヘッドと、を搭載可能な搭載手段
と、前記記録ヘッドのエネルギー発生手段に電気信号を
供給する手段とを有している。
【0031】
【実施例】本発明の実施例を図面に基づいて説明する。
【0032】図1は本発明の一例としてのインク容器の
一部を破断して示す模式斜視図であり、図2は第1実施
例の模式的縦断面図である。
【0033】なお、以下の説明においては、液体貯蔵容
器としてインクを貯蔵するインク容器を例にとって説明
するがこれに限られるものではない。
【0034】又、これらの図においては、この容器にイ
ンクを被記録媒体である紙等に飛翔させて記録を行う記
録ヘッド6を接続した状態を示しているが、後述するよ
うに記録ヘッド6と容器本体は着脱可能なものでもかま
わない。
【0035】図1および図2に示すように、本実施例の
容器本体1は、その底壁1S上にスポンジ等からなる板
状の多孔質体や繊維集合体で構成される液体供給部材3
が配設されており、液体供給部材3の部分以外は容器本
体と一体もしくは別体に形成された5枚の仕切板2a〜
2eによって6個の室(1a〜1f)に区分されてお
り、各室は液体供給部材3のみで接続されている。
【0036】容器本体1の1室(前面壁1Tの外面)に
は液体であるインクを外部に供給するための供給口5が
設けられており、本例ではこの供給口からインクの供給
を受ける記録ヘッド6が取付けられている。又、供給口
が設けられた室と異なる1室(後面壁1U)には大気連
通口4が開口されている。本例では大気連通口4は、管
状に形成して大気連通口4が開口された室のほぼ中央部
位に突出して開口しているため、大気連通口4が設けら
れている室にインクが溜った場合にインク容器をどのよ
うな姿勢にしても、該大気連通口4が開口した室の容積
の半分以下までのインク量であれば漏れ出すことはな
い。
【0037】次に、本実施例のインク容器の記録時の動
作について、図6を参照して説明する。
【0038】なお、記録時には、図6(A)に示すよう
に液体供給部材3の少なくとも一部がインク容器の最低
部に配置されるような姿勢でなくてはならない。
【0039】初期状態においては、該インク容器には、
大気連通口4が開口された第1室を除くすべての部屋が
インクで満たされている。印字を行うことによって液体
を消費していくと、図6(A)に示すようにインクは供
給口5から最も遠い部屋から順にインク量が減少してい
く。
【0040】その理由は次のとおりである。インクが供
給口5を通して消費されるのに伴い、供給口5が設けら
れた第6室(1f)のインクが消費量に見合う分だけ吸
い出される。第6室は供給口5の他には液体供給部材3
を介して第5室とつながっているのみであるので、第6
室から供給口5に吸い出された分のインク量が第5室
(1e)より液体供給部材3の隙間を通って供給され
る。同様にして大気連通口4寄りの室から順にインクが
供給されることにより、供給口5に対して連続的にイン
クが供給されていく。そして、大気連通口4寄りの隣の
室に供給可能なインクが全くない場合は、大気連通口か
ら供給される空気が液体供給部材3の中を通って供給さ
れる。こうして大気連通口4寄りの室から順にインクが
消費されるのである。なお、このとき供給可能なインク
の全くない最も供給口5寄りの室と、この室と隣接する
供給口5側の室との連通部の液体供給部材3内には微小
な多数のメニスカスが形成されており、このメニスカス
によって容器内のインクは所定の負圧を維持している。
【0041】次に非印字時におけるインクの状態維持作
用について説明する。周囲環境の変化、特に温度や周囲
の気圧の変化が生じた場合、液体であるインクの体積は
ほとんど変化しないが、容器内に存在する空気は大きな
体積変化を生じる。例えば、図6(A)の場合、温度が
上昇したとき、第1室(1a)から第3室(1c)まで
の空気はそれらの室に接続される液体供給部材3の中に
インクがほとんどなく大気連通口4を介して外気に連通
しているため、膨張しても容易に外部へ逃げることがで
きヘッド側に空気の体積変化に伴う圧力変化を及ぼすこ
とはない。ところが、第4室(1d)の空気はインク1
3によって外気と遮断されているため、第4室(1d)
の空気の膨張に伴い第4室内のインク13は第3室(1
c)へと押し出される。ところが第3室(1c)に押し
出されたインクは液体供給部材3の中を第1室(1a)
方向に広がっていくため、その過程で第3室(1c)、
第2室(1b)内の空気は外気と遮断され、その結果、
図6(B)に示すように、押し出された空気は第3室
(1c)、第2室(1b)内にはほとんど入らずに大気
連通口4が開口している第1室(1a)のみに移動す
る。
【0042】このように第1室(1a)に溢流するイン
ク量は、インクと空気が共存する室の空気の体積膨張分
と、同じ室内に存在していたインクの量によって決定さ
れる。つまり本例においては、温度上昇前に空気が外気
と遮断されているのは一つの室(図6(A)の場合1
d)のみであるため、第1室(1a)の容積は、第2室
以降の各室ごとの容積に対して、想定される温度および
気圧の変動範囲に鑑みて所定の比率で確保すれば良い。
【0043】一方、図6(B)に示す状態から温度が低
下し、空気の体積が減少したときには、第2〜4室(1
b〜1d)の空気が外気と遮断されているため、空気の
収縮に伴い第1室に移動していたインクが逆に第4室
(1d)に向かって吸い戻される。そして、最終的に
は、図6(C)に示すように初期状態に復帰する。
【0044】上述した非印字時におけるインク状態維持
作用は、他のどんな姿勢に対しても同様に機能する。こ
れは、液体供給部材3ほとんどがインク水面上に出てい
ても連続した液体供給部材の一部でも水面下に浸ってい
れば毛管力によって、インクが液体供給部材を通して移
動可能であるためである。ただし、液体供給部材3が図
6の状態とは上下逆になり第4室(2d)のインクが液
体供給部材3に全く触れていない姿勢の場合のみ若干異
なり、温度上昇してもインク容器内のすべての空気は外
気と連通しているため、インクの第1室への溢流は起こ
らない。
【0045】以上述べたように本発明においては、液体
を外部に供給する供給口を有する室と大気に連通した室
とが連続した液体供給部材でのみ接続された構成となっ
ているため、温度や圧力等の外部環境が変化した場合で
も、供給口側へのインクの供給が適切に行えインク漏れ
等を起こす心配がない。又、上述の外部環境変化で大気
に連通した室に移動したインクが元の状態に復帰可能な
容器本体の動作姿勢の自由度が大きい。
【0046】尚、本例における液体供給部材は貯蔵する
液体に対して安定でメニスカスによる液体保持能力を有
するものであって、各室を接続(連結)することが可能
なものであればよい。そのような例としては、スポンジ
等の多孔質体やフェルト等の繊維集合体が挙げられる
が、インクの使用効率から多孔質体である方がさらに望
ましい。この液体供給部材は、大気に連通した室と供給
口が設けられた室とを接続するように連続に配される必
要があるが、一体である必要はなく、製造工程の簡略化
が図れるように複数の供給部材を用いて連続的に配して
もよい。
【0047】又、仕切板2a〜2eは容器本体と別体で
あっても良いが、仕切られる室どおしが液体供給部材以
外では連通しないような気密性を持たせる必要がある。
【0048】又、本例では室の数を6として説明した
が、これに限られることなく、大気連通口が配された室
と供給口が配された室とが別になる室の数であればよ
い。ただし環境の変化に伴って大気連通口が設けられた
室へ逆流する液体の量を減らすためには、さらに多くの
室に分割されていることが望ましい。そしてこの場合、
複数の室はその液体の供給安定性上液体供給部材で直列
に接続されていることが望ましい。
【0049】又、本発明においては、液体を保持してい
る室を中間室として複数に分割することによって液体を
大気に連通している室側から順に消費することができ
る。このため容器本体の少なくとも一部を透明又は半透
明な材料で構成することによって容器内部を視認可能と
し、液体の残量を適確に知ることができる。
【0050】図3は他の例の液体貯蔵容器の模式断面図
であって、本実施例は、液体供給部材3が、第6の室
(1f)においてヘッド側へのインク供給口5を覆う部
分にまで延在されている点が先例のインク容器と相違す
る。このように液体供給部材を配することによって残存
するインクを供給口にまで確実に導くことができる。
【0051】図4は他の例のインク容器の模式断面図で
あって、本実施例は、液体供給部材3が、第1の仕切板
2aの開放端と容器本体1の底壁との間まで延在してい
るが、第1の仕切板2aと大気連通口4が開口された後
面壁1Uとに囲まれた第1の室(1a)には多孔質体3
は配設されていない点が第1実施例のインク容器と異な
るのみで、他の部分は第1実施例と同様である。
【0052】図5は他の実施例の液体貯蔵容器の模式断
面図であって、本実施例は、液体供給部材3が、第1の
仕切板2aの開放端と容器本体1の底壁との間まで延在
しているが、底壁の第1の室に面する部位には配設され
ていない点で、上記図3に示す実施例と異なるのみで、
その他の部分は第3実施例と同様である。
【0053】本実施例では、図3で示される実施例のも
のより液体供給部材が少ない分残存するインクの量を少
なくすることができる。
【0054】本発明の容器は、記録ヘッドとは別体のカ
ートリッジタイプのものとすることができる。次にその
実施例について説明する。
【0055】図7は他の実施例のインク容器を示す模式
断面図であって、容器本体1の供給口5はばね16で常
時供給口5に向けて押圧されたボール15によって閉鎖
されている。そしてインク等の液体が供給されるヘッド
等の一部によって接続時に開放される。
【0056】図8は他の実施例のインク容器を示す模式
断面図であって、容器本体1の供給口5は、閉鎖シート
17で閉鎖されている。
【0057】図9は他の実施例のインク容器を示す模式
断面図であって容器本体1の供給口5を覆う液体供給部
材により常時供給口5に向けて押圧されたボール15で
閉鎖されている。
【0058】次に液体供給部材の配設部位および形状の
変形例について、図10、図11を参照して説明する。
【0059】図10において、(A)は上述の各実施例
に示したものと同じ配設位置および形状の液体供給部材
3を有する容器本体1であって、図示と逆さま(すなわ
ち、液体供給部材3が上になる)の姿勢以外はすべて動
作が可能である。
【0060】(B)はL字状の液体供給部材3を有する
容器本体1であって、どのような姿勢でも動作可能であ
る。
【0061】(C)はコ字状の液体供給部材3を有する
容器本体1であって、どのような姿勢でも動作可能であ
る。
【0062】(D)は容器本体1の1隅に棒状の液体供
給部材3を配設したもの、(E)は容器本体1の1壁面
の中央部に棒状の液体供給部材3を配設したものを示
す。
【0063】上述の図10の構成で示されるように、液
体供給部材の配置として様々な配置があるが、もっとも
安定供給を行いうる形態としては(A)が望ましい。
【0064】図11において、(A)は容器本体1の図
示底壁が傾斜面となっており、該傾斜面に沿って液体供
給部材3を配設したものを示し、(B)は容器本体1の
図示底壁および右側壁が傾斜面となっており、その隅部
に三角柱状の液体供給部材3を配設したものを示し、
(C)は2個の三角の仕切板2により容器本体1を仕切
り、両者の底辺間の間隙に液体供給部材3を配設した例
を示す。
【0065】図12は更に他の実施例のインク容器を示
す模式断面図であって、大気連通口4は上記従来例とは
異なり、液体供給部材3の配設面と相対する側の面から
室内中央部に向かって開口している。これは上記実施例
の連通口と全く同様に機能する。従って、容器本体の製
作方法により任意に選択すればよい。
【0066】一方、供給口5付近の構造は、前後に摺動
する弁体18とこれを付勢するバネ16とこれらの部品
を収めた摺動筒19とからなっている。さらに、液体供
給部材3は摺動筒19と仕切板2とによって挟み込まれ
ている。こうすることにより、インク容器がヘッドと分
離した状態のときのインク洩れなどをより確実に防止す
ることが可能となるばかりでなく、液体供給部材の毛管
力によりインク容器内のインクがより効率よく取り出す
ことができる。
【0067】図13は更に他の実施例のインク容器を示
す模式断面図であって、大気連通口4付近の構成を除い
て、上記実施例(図17)と同じである。大気連通口4
の開口する室は液体供給部材3がその空間のほとんどを
埋めている。大気連通口4はリブ等(不図示)を設ける
ことにより多孔質体3には触れないよう所定の間隙を確
保している。こうすることにより、温度や気圧変動など
によりインクが大気連通口側に移動してきたときに、振
動や加速度が加わっても液体供給部材の保持力により大
気連通口から外に出にくくすることが可能である。
【0068】図14は更にその他の実施例のインク容器
を示す模式断面図であって、大気連通口4付近の構成を
除いて、上記実施例(図12、図13)と同じである。
本実施例においては、大気連通口4のインク容器内の開
口部にフロロポア19(住友電工株式会社:商標)等を
熱溶着した。この膜は気体は通すが液体は通さない性質
があるため、温度や気圧変動により連通口が開口してい
る室内にインクがある場合に振動や加速度が加わっても
全く外部にインクが飛び出すことがなく、またインク容
器自体のインク供給性能にも影響を及ぼすことがない。
【0069】このような性質の膜を大気連通口に設ける
ことは、本発明のいずれの実施形態においても適用可能
である。従来このような膜をインク容器の大気連通口に
用いる提案はなされてはいたが、常にインクが膜に触れ
るような状態で使用していると徐々に膜の性能が失われ
たり、また膜の外側が一部でも濡れたりするとそこから
洩れ出してしまうために実用化が難しかった。しかし、
本発明の大気連通口は通常は全くインクに直接触れるこ
とはなく、さらにインクが大気連通口側に移動してきて
も振動や加速度が加わった時のみ触れるのみであるた
め、この膜の上記のような問題はほとんど起こらない。
このためこのような撥水性の多孔質膜を用いることは本
発明において特に効果を発揮するものである。
【0070】図13においても、大気連通口4付近の液
体供給部材と各仕切板の下に配設された多孔質体は一体
でもよいし、別個の液体供給部材を互いに接触するよう
に設けてもよい。別個の液体供給部材で構成することで
各液体供給部材の形状を簡素化することが可能である。
【0071】図15、図16は大気連通口付近の液体供
給部材の配設方法の異なる実施例である。図に示すよう
に各仕切板の下に配設されている液体供給部材の末端側
が折り畳まれるように大気連通口のある室の内部に設け
たものである。液体供給部材の折り畳み方は室の大きさ
や形、多孔質体の厚みなどによって適宜選択することが
可能である。このように構成することにより、図13と
同様に温度や気圧変動などによりインクが大気連通口側
に移動してきたときに、振動や加速度が加わっても多孔
質体の保持力により大気連通口より外に出にくくするこ
とが可能である。
【0072】なお、図13、図15、図16において、
大気連通口の開口している室内の液体供給部材としての
多孔質体或いは繊維集合体の毛管力は、各仕切板下部に
おける毛管力よりも概ね小さくなるように室の大きさ、
多孔質体或いは繊維集合体の量、充填形態などを設定す
るのが望ましい。また、毛管力を小さくしすぎるのは大
気連通口側に移動してきたインクを保持する能力が小さ
くなってしまうため好ましくない。概ね、仕切板下部に
おける毛管力に対して、0.2〜0.9倍程度の毛管力
になるように設定するのが望ましい。
【0073】図17は本発明の他に他の実施例を説明す
る断面図である。本実施例においては、液体供給部材が
各インク室内の仕切板壁面に沿うように上部まで延びて
いる。このように構成することにより、インク容器が図
と逆さまに用いられた場合にも仕切板に沿っている多孔
質体或いは繊維集合体がインクを吸い上げるため、最後
までインクを使いきることが可能である。このようなピ
ックアップ構造は図17のような構成の他に図18、図
19に示すような一部分のみの構成でも同様の機能を達
成可能である。特に、図18や図19のような構成は、
製造上容易である。
【0074】以上の各実施例において室数は6の場合に
ついて説明したが、前述したように室数は2以上の任意
数を選択することができる。ただし、大気連通口4が開
口している室には初期状態ではインクを入れないため、
室数が少ないと漏れ防止のための大気連通口の室も大き
くしなければならず、インク貯蔵率が余りあがらない。
一方、室数が多過ぎる場合にはインク容器内の仕切板の
占める体積が相対的に増大し、インク貯蔵率は低下す
る。これらの条件を考慮し、最適な室数を選択すること
が望ましい。
【0075】また、各室の容積は任意でもよいが、初期
にインクで満たされるインク室の最大容積の0.6倍以
上の容積が大気連通口が開口している室には必要であ
る。これは、通常インクタンクが使用もしくは保存され
ると考えられる温度範囲又は、気圧変動範囲(例えば、
航空機貨物室内では0.7気圧程度になる)でのタンク
内気体の膨張、収縮によるインク漏れ防止を保証するも
のである。さらに、初期にインクで満たされた室の大き
さは、インクの供給を良好にするために、ほぼ均等か、
供給口に近い室ほど大きくすることが好ましい。
【0076】次に、本発明のインク容器に用いる液体供
給部材に関して詳細に説明する。
【0077】本発明の液体供給部材である多孔質体ある
いは繊維集合体は、少なくとも各インク室を仕切る仕切
板の下部においてインクの浸透し易さが等方的であるこ
とが望ましい。何故ならば、各インク室間の多孔質体或
いは繊維集合体で埋められた流通路の一部が動作姿勢の
変化によってインク水面上に出るような姿勢に置かれ、
水面上に出ている多孔質体或いは繊維集合体中に衝撃な
どの原因により空気の流通路が形成されても、毛管力に
よりインクがインクの存在する位置から吸い上げられ速
やかにそれを塞ぐため再びインクの流行が行われるため
である。もしも、仕切板の長手方向にインクが伝わりに
くい性質を持っているものを用いれば、一旦衝撃などに
より水面上の多孔質体或いは繊維集合体部分に空気の流
通路が形成されてもこの空気の流通路は容易に塞がら
ず、インクが供給口側に良好に供給されないだけでな
く、インクは大気連通口側のインク室へと流れ出てしま
う。こうなると、温度変化や気圧変化にさらされた場合
に大気連通口からインク洩れを起こしてしまう虞があ
る。
【0078】上述の液体供給部材を構成する多孔質体と
してはポリウレタンフォームを用いることが望ましい。
ポリウレタンフォームを製造する方法としては、例え
ば、ポリエーテルポリオールとポリイソシアネートと水
とを反応させ(その他、所望の発泡助剤、触媒、着色
剤、添加剤等を使用できる)、多数の空孔を有する高分
子化合物を合成し、これを必要なサイズ(ブロック)に
切断し、このブロックを燃焼ガス雰囲気下に浸し、ガス
を爆発させることによってセル間の膜状物質を除去する
方法が望ましい。
【0079】表1に種々の空孔量pの多孔質体(ポリエ
ーテル系ポリウレタンフォーム)が挿入されたインクタ
ンクの各々について必要特性を評価した結果を示す。
【0080】なお、この評価を行ったインクタンクは本
発明の先に実施例として説明したインク容器であり、図
2にその模式断面図を示したものである。
【0081】図2において、多孔質体は第1の室から第
6の室までの室を連続的に接続するように配されている
が、仕切板2a〜2eの底面とインクタンクの底壁1S
によって隙間なく挟み込まれていることが必要である。
ここで、インクタンクの底壁1Sより仕切板2a〜2e
の底面までの距離をT1、挿入前の多孔質体の厚みをT
2としたとき多孔質体が挟み込まれている状態はT2/
T1(以下圧縮比:Kとする)の比で表すことができ
る。すなわち、Kが1より大きいときは仕切板およびイ
ンクタンク底板により多孔質体に一定の圧力が加わった
状態となっており、Kが1より小さい時は多孔質体と仕
切板あるいはインクタンク底板との間に隙間が発生して
おり、この場合以下に説明するように本発明の動作機能
に支障をきたす。
【0082】例として仕切板2aの底面において、たと
えばK=0.8の値をとった場合、仕切板とインクタン
ク底板との間に隙間が発生するため、第1の室の空気が
第2の室(1b)へ、また第2の室の(1b)インクが
第1の室(1a)へといった気体と液体との逆の流れが
発生してしまう。この状態において周囲環境の変化、特
に空気が加温膨張した時に同体積分のインクが第2の室
より第1の室へと移動するが、あらかじめ第1の室にイ
ンクが存在してしまうとこれらを合わせた量のインクが
第1の室内に入り込むことになり、第1室の許容体積を
越えてしまう結果として大気連通口4よりインク漏れが
発生する。また、Kの値があまり大きすぎても多孔質体
の空孔量Pに勾配が発生し、多孔質体においてインクが
残存するといったことも生じてしまう。
【0083】また、空孔量Pとは多孔質体1inch中
のセル数を示しており、本発明の特性評価は仕切板とイ
ンクタンク底板によって挟まれた部分の圧縮比をK=
1.5とし、多孔質体自体の空孔量を変化させることに
よって仕切板の下の挟み込まれている部分の多孔質体の
特性を下記の項目にて評価した。表1.における未
圧縮部とは仕切板による圧力が加わっていない部分のこ
とであり多孔質体のインクの流れ方向において挟み込ま
れている部分の約7倍の大きさである。
【0084】インク供給応答性能 記録を行う時にインクタンクに接続された記録ヘッドへ
過不足無くインクを供給することができるかを表す特性
であり、約100p1のインクを吐出するノズルが60
ノズル配列された記録ヘッドにて、4kHzの吐出周波
数で普通紙上に60ノズル全吐出を行い(以下ベタ印字
記録とする)、A4サイズ10枚記録可能であったもの
を〇、10枚記録中に不吐出の発生したものを×とし
た。
【0085】振動耐久性能 上記と同じ記録ヘッドが接続されたインクタンクを縦
置き(記録ヘッドが下側)にした状態で2G/10Hz
の振動を1時間加え、ノズルあるいは大気連通口よりイ
ンク漏れの無きものを〇、漏れの発生したものを×とし
た。
【0086】尚ここでの大気連通口は、第1aの室から
外部へ直接的に開放しているもので表から明らかなよう
に供給応答性能、振動耐久性能を考慮した場合、多孔質
体の挟み込まれた部分での空孔量としては、140in
ch-1〜300inch-1が望ましい。
【0087】
【表1】
【0088】以上、仕切板の下における多孔質体の必要
特性について説明したが、一方、仕切板の下における流
通路については次のようなことを考慮した方がよい。
【0089】各インク室間を連絡する多孔質体或いは繊
維集合体で埋められた流通路は、その断面積が大きすぎ
ると、その断面部分に気泡が残ることがあり衝撃や振動
などが加わったとき一旦形成された空気通路が容易に塞
がらなくなる危険性が増大する。一方、断面積が小さす
ぎると、現在一般的に入手可能な多孔質体や繊維集合体
はミクロに見るとばらつきを持った大きさの毛管の集合
体であるため、そのばらつきがそのままインク容器の供
給における負圧のばらつきとして現われてしまい好まし
くない。従って、断面積としては1〜100平方mm程
度が望ましい。
【0090】但し、多孔質体や繊維集合体のミクロな毛
管のばらつきがほとんどないような素材を利用すること
が可能であればこの限りではない。
【0091】又、多孔質体或いは繊維集合体を圧接する
仕切板の縁部および多孔質体を囲むその他の部分は、平
らな面でもよいが、小突起を適宜設けたり、表面を荒し
たりしてもよい。こうすることにより圧接された多孔質
体或いは繊維集合体のズレを防止することができる。
【0092】次に本発明の液体貯蔵容器を搭載するため
の搭載手段と動作姿勢規定部について図20を用いて説
明する。
【0093】図中、符号1が本発明の液体貯蔵容器であ
り、大気連通口4、供給口5、動作姿勢規定部19を有
し、容器の内部構造は前述した各実施例の構造を適用し
うる。符号6は、液体貯蔵容器から供給口5を介して液
体の供給を受ける部位であり、液体貯蔵容器をインクタ
ンクとして用いる場合には記録ヘッドにあたると考えれ
ばよい(ここでは記録ヘッドとして説明する)。
【0094】又、この記録ヘッドには、液体貯蔵容器の
動作姿勢を規定する、動作姿勢規定部を有している。
【0095】符号22が搭載手段であり、この搭載手段
にも又、液体貯蔵容器の姿勢規定を行う規定部が配され
ている。
【0096】本発明の液体貯蔵容器は、前述したごと
く、ほとんどの動作姿勢で液体の供給が可能であるが、
最も安定に液体の供給を行うためには、液体供給部材が
最下部に配されていることが望ましい。
【0097】この様に、使用条件に合わせた的確な動作
姿勢を誤りなく取らせるために、各部分に設けられた規
定部を用いるとよい。図20において示したように液体
貯蔵容器の動作姿勢は、記録ヘッド部の規定部と容器に
設けられた規定部の間で決定してもよいし、搭載手段の
規定部と、容器に設けられた規定部の間で決定してもよ
い。
【0098】次に、本発明のインク容器を適用した図2
1に示すインクジェット記録装置について説明する。
【0099】記録ヘッド103と本発明を適用したイン
ク容器とを接合した記録ヘッドユニットを搭載したキャ
リッジ101はガイド軸104および螺旋溝105aを
もつリードスクリュ105に案内され、キャリッジ10
1上には、本発明のインク容器が内装されたインク容器
カセット102を装着することが可能である。ちなみ
に、記録ヘッド103側には、図示しない棒体が設けら
れており、インク容器カセット102を一体化した際
に、前記棒体の先端部が容器本体1の供給口5内に挿入
されてボール15を押えばね16の弾発力に抗して押圧
し、供給口3を開放するように構成されている。
【0100】又記録ヘッドの駆動は記録装置に搭載され
た信号を供給する信号供給手段によって成される。
【0101】リードスクリュ105は、正逆回転する駆
動モータ106によって歯車列106a、106b、1
06c、106dを介して正逆回転され、その螺旋溝1
05aに先端部が係合したキャリッジ101に設けられ
ているピン(図示せず)を介してキャリッジ101を矢
印方向および反矢印方向へ往復移動させる。駆動モータ
106の正逆回転の切換は、キャリッジ101がホーム
ポジションにあることをキャリッジ101に設けられた
レバー115とフォトカプラ116とで検出することに
より行う。
【0102】他方、被記録媒体である記録紙109は、
プラテン107に押え板108によって押圧され、紙送
りモータ110によって駆動される紙送りローラ(図示
せず)によって記録ヘッドに対向するように搬送され
る。
【0103】回復ユニット111は、記録ヘッド103
の吐出口に付着した異物や粘度の高くなったインクを除
去して、吐出特性を正規の状態に維持するために設けら
れたものである。
【0104】回復ユニット111は、吸引手段(図示せ
ず)に連通されたキャップ部材113を有し、記録ヘッ
ド103の前記吐出口をキャッピングして吸引すること
により、吐出口に付着した異物や粘度の高くなったイン
クを除去する。また、回復ユニット111とプラテン1
07の間には、案内部材112に案内されて記録ヘッド
103の吐出口面の走行経路上に向けて前、後退するク
リーニングブレード114が配設されており、該クリー
ニングブレード114の先端で前記吐出口面に付着した
異物やインク滴をクリーニングできるように構成されて
いる。
【0105】本発明は、特にインクジェット記録方式の
中で熱エネルギーを利用して飛翔液滴を形成し、記録を
行うインクジェット記録方式の記録ヘッド、記録装置に
於いて、優れた効果をもたらすものである。
【0106】その代表的な構成や原理については、例え
ば、米国特許第4723129号明細書、同第4740
796号明細書に開示されており、本発明はこれらの基
本的な原理を用いて行なうものが好ましい。この記録方
式は所謂オンデマンド型、コンティニュアス型のいずれ
にも適用可能である。
【0107】この記録方式を簡単に説明すると、液体
(インク)が保持されているシートや液路に対応して配
置されている吐出エネルギー発生手段である電気熱変換
体に、記録情報に対応して液体(インク)に核沸騰現象
を越え、膜沸騰現象を生じる様な急速な温度上昇を与え
るための少なくとも一つの駆動信号を印加することによ
って、熱エネルギーを発生せしめ、記録ヘッドの熱作用
面に膜沸騰を生じさせる。この様に液体(インク)から
電気熱変換体に付与する駆動信号に一対一対応した気泡
を形成出来るため、特にオンデマンド型の記録法には有
効である。この気泡の成長、収縮により吐出孔を介して
液体(インク)を吐出させて少なくとも一つの滴を形成
する。この駆動信号をパルス形状とすると、即時適切に
気泡の成長収縮が行なわれるので、特に応答性に優れた
液体(インク)の吐出が達成でき、より好ましい。この
パルス形状の駆動信号としては、米国特許第44633
59号明細書、同第4345262号明細書に記載され
ているようなものが適している。尚、上記熱作用面の温
度上昇率に関する発明の米国特許第4313124号明
細書に記載されている条件を採用すると、更に優れた記
録を行なうことができる。
【0108】記録ヘッドの構成としては、上述の各明細
書に開示されているような吐出孔、液流路、電気熱変換
体を組み合わせた構成(直線状液流路又は直角液流路)
の他に、米国特許第4558333号明細書、米国特許
第4459600号明細書に開示されている様に、熱作
用部が屈曲する領域に配置された構成を持つものにも本
発明は有効である。
【0109】加えて、複数の電気熱変換体に対して、共
通するスリットを電気熱変換体の吐出孔とする構成を開
示する特開昭59年第123670号公報や熱エネルギ
ーの圧力波を吸収する開孔を吐出部に対応させる構成を
開示する特開昭59年第138461号公報に基づいた
構成のものにおいても本発明は有効である。
【0110】更に、本発明が有効に利用される記録ヘッ
ドとしては、記録装置が記録可能である記録媒体の最大
幅に対応した長さのフルラインタイプの記録ヘッドがあ
る。このフルラインヘッドは、上述した明細書に開示さ
れているような記録ヘッドを複数組み合わせることによ
ってフルライン構成にしたものや、一体的に形成された
一個のフルライン記録ヘッドであっても良い。
【0111】加えて、装置本体に装着されることで、装
置本体との電気的な接続や装置本体からのインクの供給
が可能になる交換自在のチップタイプの記録ヘッド、あ
るいは記録ヘッド自体に一体的に設けられたカートリッ
ジタイプの記録ヘッドを用いた場合にも本発明は有効で
ある。
【0112】又、本発明の記録装置に、記録ヘッドに対
する回復手段や予備的な補助手段を付加することは、記
録装置を一層安定にすることができるので好ましいもの
である。これらを具体的に挙げれば、記録ヘッドに対し
ての、キャピング手段、クリーニング手段、加圧或いは
吸引手段、電気熱変換体或いはこれとは別の加熱素子、
或いはこれらの組み合わせによる予備加熱手段、記録と
は別の吐出を行なう予備吐出モードを行なう手段を付加
することも安定した記録を行なうために有効である。
【0113】更に、記録装置の記録モードとしては黒色
等の主流色のみを記録するモードだけではなく、記録ヘ
ッドを一体的に構成したものか、複数個の組み合わせで
構成したものかのいずれでも良いが、異なる色の複色カ
ラー又は、混色によるフルカラーの少なくとも一つを備
えた装置にも本発明は極めて有効である。
【0114】本発明において、上述した各インクにたい
して最も有効なものは、上述した膜沸騰方式を実行する
ものである。
【0115】さらに加えて、本発明インクジェット記録
装置の形態としては、コンピュータ等の情報処理機器の
画像出力端末として用いられるものの他、リーダ等と組
み合わせた複写装置、さらには送受信機能を有するファ
クシミリ装置の形態を採るものであってもよい。
【0116】
【発明の効果】本発明は上述のように構成されているの
で、以下に記載するような効果を奏する。
【0117】複数の室は連続した液体供給部材のみによ
り相互に連通されているため、動作姿勢の自由度が高く
周囲環境の変化や使用時の姿勢によってインクもれが発
生せず、又安定供給可能で、しかも、インク貯蔵率が高
く小型化が可能な液体貯蔵容器や記録ヘッドユニットを
提供することができる。
【0118】又、液体供給部材がフィルタの役割をもは
たすため、仕切板の下の流通口がゴミ等で目づまりして
しまう虞がない液体貯蔵容器又は記録ヘッドユニットを
提供することができる。
【0119】又、仕切板と壁との間に液体供給部材を配
すだけでよく、精密な穴あけ加工等の複雑な工程を用い
ることなく、容易な工程で安定的に液体の供給を行いう
る液体貯蔵容器及び記録ヘッドユニットを提供すること
ができる。
【0120】又、前述の液体貯蔵容器を用いて安定記録
が行え、しかも小型化が達成された記録装置を得ること
ができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の液体貯蔵容器の一例を一部破断して示
す模式的斜視図である。
【図2】本発明の液体貯蔵容器の一例を示す模式的断面
図である。
【図3】本発明の液体貯蔵容器の一例を示す模式的断面
図である。
【図4】本発明の液体貯蔵容器の一例を示す模式的断面
図である。
【図5】本発明の液体貯蔵容器の一例を示す模式的断面
図である。
【図6】本発明の液体貯蔵容器の動作を説明するための
模式図である。
【図7】本発明の液体貯蔵容器の一例を示す模式的断面
図である。
【図8】本発明の液体貯蔵容器の一例を示す模式的断面
図である。
【図9】本発明の液体貯蔵容器の一例を示す模式的断面
図である。
【図10】本発明の液体貯蔵容器における液体供給部材
の形状および配設位置の変形例を示す模式的断面図であ
る。
【図11】本発明の液体貯蔵容器における液体供給部材
の形状および配設位置の変形例を示す模式的断面図であ
る。
【図12】本発明の液体貯蔵容器の一例を示す模式的断
面図である。
【図13】本発明の液体貯蔵容器の一例を示す模式的断
面図である。
【図14】本発明の液体貯蔵容器の一例を示す模式的断
面図である。
【図15】本発明の液体貯蔵容器の一例を示す模式的断
面図である。
【図16】本発明の液体貯蔵容器の一例を示す模式的断
面図である。
【図17】各室の液体をピックアップするためのピック
アップ機構を有する本発明の液体貯蔵容器の一例を示す
模式的断面図である。
【図18】各室の液体をピックアップするためのピック
アップ機構を有する本発明の液体貯蔵容器の一例を示す
模式的断面図である。
【図19】各室の液体をピックアップするためのピック
アップ機構を有する本発明の液体貯蔵容器の一例を示す
模式的断面図である。
【図20】液体貯蔵容器と記録ヘッドとを搭載可能な搭
載手段の一例を示す模式図である。
【図21】本発明の液体貯蔵容器を搭載したインクジェ
ット記録装置の一例を示す斜視図である。
【図22】従来のインクタンクの一例を示す模式的断面
図である。
【図23】従来のインクタンクの一例を示す模式的断面
図である。
【図24】従来のインクタンクの一例を示す模式的断面
図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 氏田 敏彦 東京都大田区下丸子3丁目30番2号キヤノ ン株式会社内 (72)発明者 長田 虎近 東京都大田区下丸子3丁目30番2号キヤノ ン株式会社内 (72)発明者 佃 圭一郎 東京都大田区下丸子3丁目30番2号キヤノ ン株式会社内 (72)発明者 佐藤 陽平 東京都大田区下丸子3丁目30番2号キヤノ ン株式会社内 (72)発明者 竹之内 雅典 東京都大田区下丸子3丁目30番2号キヤノ ン株式会社内

Claims (17)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 区画化された複数の室を備え、 前記複数の室の内のひとつに前記液体を容器外部に供給
    するための供給口が配されており、 該供給口が配された室と異なる室に大気に開放するため
    の大気連通口が配されており、 前記複数の室の夫々が連続した液体供給部材のみで接続
    されていることを特徴とする液体貯蔵容器。
  2. 【請求項2】 前記供給口が配された室と大気連通口が
    配された室との間に更に複数の中間室が配されており、
    前記供給口が配された室と前記複数の中間室の夫々と前
    記大気連通口が配された室とが直列に接続されている請
    求項1記載の液体貯蔵容器。
  3. 【請求項3】 前記液体貯蔵容器の本体は、内部のイン
    クが視認可能な材料から構成されている請求項1記載の
    液体貯蔵容器。
  4. 【請求項4】 前記液体供給部材が多孔質体もしくは、
    繊維集合体である請求項1、2もしくは3の液体貯蔵容
    器。
  5. 【請求項5】 前記大気連通口を備えた室には、多孔質
    体と繊維集合体の少なくとも一方が配されている請求項
    1もしくは2の液体貯蔵容器。
  6. 【請求項6】 前記液体供給部材は一体的な部材である
    請求項1もしくは2記載の液体貯蔵容器。
  7. 【請求項7】 前記容器本体には、該液体貯蔵容器を搭
    載する手段もしくは、接続する接続手段との間で、容器
    の動作姿勢を規定する規定部が配されている請求項1の
    液体貯蔵容器。
  8. 【請求項8】 区画化された複数の室を備え、前記複数
    の室の内のひとつに前記液体を容器外部に供給するため
    の供給口が配されており、該供給口が配された室と異な
    る室に大気に開放するための大気連通口が配されてお
    り、前記複数の室の夫々が連続した液体供給部材のみで
    接続されているインクタンクと、 前記インクタンクの供給口からインクの供給を受け、該
    インクを吐出口から吐出させるために利用されるエネル
    ギーを発生するエネルギー発生手段が配された記録ヘッ
    ドとを有することを特徴とする記録ヘッドユニット。
  9. 【請求項9】 前記供給口が配された室と大気連通口が
    配された室との間に更に複数の中間室が配されており、
    前記供給口が配された室と前記複数の中間室の夫々と前
    記大気連通口が配された室とが直列に接続されている請
    求項8の記録ヘッドユニット。
  10. 【請求項10】 前記液体供給部材が多孔質体もしく
    は、繊維集合体である請求項8もしくは9の記録ヘッド
    ユニット。
  11. 【請求項11】 前記インクタンクと、記録ヘッドとは
    別体である請求項8の記録ヘッドユニット。
  12. 【請求項12】 前記インクタンクには、該インクタン
    クと接続される前記記録ヘッドとの間で、タンクの動作
    姿勢を規定する規定部が配されている請求項11の記録
    ヘッドユニット。
  13. 【請求項13】 区画化された複数の室を備え、前記複
    数の室の内のひとつに前記液体を容器外部に供給するた
    めの供給口が配されており、該供給口が配された室と異
    なる室に大気に開放するための大気連通口が配されてお
    り、前記複数の室の夫々が連続した液体供給部材のみで
    接続されているインクタンクと、前記インクタンクの供
    給口からインクの供給を受け、該インクを吐出口から吐
    出させるために利用されるエネルギーを発生するエネル
    ギー発生手段が配された記録ヘッドと、を搭載可能な搭
    載手段と、 前記記録ヘッドのエネルギー発生手段に電気信号を供給
    する手段とを有することを特徴とする記録装置。
  14. 【請求項14】 前記供給口が配された室と大気連通口
    が配された室との間に更に複数の中間室が配されてお
    り、前記供給口が配された室と前記複数の中間室の夫々
    と前記大気連通口が配された室とが直列に接続されてい
    る請求項13の記録装置。
  15. 【請求項15】 前記液体供給部材が多孔質体もしく
    は、繊維集合体である請求項13もしくは14の記録装
    置。
  16. 【請求項16】 前記インクタンクと、記録ヘッドとは
    別体である請求項13の記録装置。
  17. 【請求項17】 前記インクタンクには、インクタンク
    の動作姿勢を規定する規定部が配されており、前記搭載
    手段は、前記該インクタンクに設けられた規定部と接続
    されることによって前記インクタンクの動作姿勢を規定
    する規定部を有する請求項13、16もしくは17の記
    録装置。
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